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テーマ : 富士宮市

大自在(12月4日)オウムバザー

 興味半分や見学気分で訪れた人もいた。富士宮市のオウム真理教富士山総本部では1996年12月に開催された教団所有の備品の販売会。「オウムバザー」とも呼ばれた。東京地裁から破産宣告を受けた教団の財産の売上金を、地下鉄サリン事件などの被害者の賠償に充当する目的だった。
 主催者は破産管財人。信者が去った総本部に電化製品、ワープロ、工具、事務用品などが並び、一般の来場者が買い求めた。「目玉商品」としてラジカセが山積みされていた光景が記憶に残っている。
 地下鉄サリン事件から9カ月後の95年12月、宗教法人法に基づく教団の解散命令が決定し、教団資産の管理は清算人に委ねられた。その後、破産が決まり、財産処分は清算人より権限が強い破産管財人の手に移っていた。
 政府は東京地裁に旧統一教会の解散命令を請求した。献金被害者などの救済に充てる教団財産の保全が課題となっている。被害者賠償については旧ジャニーズ事務所にも社会の関心が集まっている。
 数々の犯罪を起こした集団として事実上解体され、財産管理を第三者が担ったオウム真理教と同列に論じることはできない。だが、両団体がどのような姿勢で被害者と向き合うのか社会は厳しい目で見つめている。
 オウムバザーは全国各地の教団施設で行われた。富士山総本部での売り上げは200万円を超えた。それでも、数十億円に上る賠償額のごく一部にすぎない。ただ、会場にいた破産管財人からは被害者のため少しでも多く原資を集めたいという強い思いが伝わってきた。

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