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テーマ : 川根本町

川根茶やゆず「メタバース」出店 購入者との交流増に期待 合同会社「結」社長/高梨太氏【本音インタビュー】

 今春、川根本町に合同会社「結」を設立。インターネット上の仮想空間「メタバース」事業を手がけ、空間を活用した町専用の販売所「田舎の直送便」を開設した。事業の狙いやメタバースの可能性などを聞いた。

高梨太氏
高梨太氏

 ―田舎の直送便とは。
 「通話と翻訳機能が備わった仮想空間で町内の事業者と来場者を結ぶ販売所。CGで作ったアバターと呼ばれるキャラクターで空間内を移動する。事業者はブースを構え、来場者は出店ブースを行き来し、アバターでやりとりしながら、買い物が楽しめる。日本語と英語の翻訳機能も備わっている。現在は川根茶やゆずなどの特産品や、キャンプ用品などを販売中。ブースは事業者ごとではなく、『川根茶』や『ゆず』のようにジャンルごとに分けて、見分けが付きやすい販売所を目指していく」
 ―事業の狙いは。
 「町内の事業者が高齢化や新型コロナウイルス禍などが原因で売り上げに苦しんでいた。ECサイトに活路を見いだそうとしても、技術面や資金面で難色を示す人が多く、町民が気軽に出店できるような場があればと思っていた。メタバースを運営する東京の会社とつながりがあった縁で仮想空間の提供を受け、町専用の販売所として運用を企画した。出店者を募り、販売所を管理している。仮想空間を入り口として現実に人を呼び込む可能性を感じた」
 ―メタバースの強みはなにか。
 「一般のECサイトだと、商品ページで登録者側が発信したい情報を掲載しているだけで情報が一方通行。購入者が知りたい情報が書いてあるとは限らない。メタバースという現実に近い空間でやりとりができるのは面白く、会話が生まれやすいと思う。購入はしなくても、事業者との交流をきっかけに川根本町に対して興味を持ってもらえるのではないか。関係人口を増やせるチャンスがある」
 ―今後の展望を。
 「販売所には特産品以外にも、豊かな自然を生かした体験メニューなどを取り入れ、観光面にも力を入れる。今後は販売所の仕様を変え、ブースのほかに大型モニターを設置する予定。自治体にも協力を呼びかけ、事業者や町の紹介動画を放映するなどして、空間一体で町をPRしたい。仮想空間ではハンディキャップのある人でも接客などで活躍できる場面がある。障害者雇用の場としても可能性を秘めている」

 たかなし・ふとし 東京都の経営コンサルティング会社「経営参謀」の取締役を兼業する。2019年に同社のサテライトオフィスが川根本町に開設されたのを機に移住した。東京都出身。35歳。

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