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テーマ : 焼津市

大自在(5月17日)ロンパース

 焼津市のご当地商品として知られる「魚河岸シャツ」。豆絞りの柄に魚河岸の文字をあしらうのが定番で、その名が付いたとされる。
 余った手ぬぐいを縫い合わせ、魚店主が着ていたのが始まりらしい。綿100%で汗をよく吸い取るため、夏場に重宝された。近年、デザインが多様化し、老若男女が愛用している。
 孫への誕生日プレゼントを思案していたところ、魚河岸シャツを愛用している妻が「魚河岸ロンパースがあるらしい」と。販売している店を探し、訪ねた。ロンパースは上下がつながった乳児用の衣類で、実物を見たらすこぶる格好いい。
 伝統の意匠を自在に展開するアイデアに感激した。類似のデザインの小袋やバッグも並んでいた。伝統を継承し、商品価値を高めるため、デザインの多様化が力になると感じた。焼津市では盛夏に、魚河岸デザインのペアルックで闊歩[かっぽ]する親子を見掛ける。小粋で、まちの元気の象徴でもある。
 豆腐業界で急成長する相模屋食料(前橋市)の鳥越淳司社長は、県立大での講演でヒットの要因を「常識のアップデート」と説いた。秘訣[ひけつ]は「思いつき」という。伝統の味、商品の価値を守るため、変えるべきは変えていくということだろう。
 「グッドデザイン」で知られる日本デザイン振興会の表彰にロングライフデザイン賞がある。「時代とともに変化する価値観を超えスタンダードであり続ける力」を顕彰するとある。使い続けられるのには理由がある。サスティナブル(持続可能性)重視の時代は、自由な発想が商品力強化のかぎを握る。

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