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静岡県内でも長期の就業体験 静岡の法人、学生と企業つなぐ場提供

 「長期のインターンシップに参加したいけど、静岡県内で実施する企業が見つからない」。そんな学生の声を受け、NPO法人ESUNE[エスネ](静岡市)と一般社団法人草薙カルテッド(同市)が、プロジェクト型長期インターンシップのコーディネート事業を共同開発した。3~5カ月間、企業や団体が学生と継続的に関わる。学生と接点が少ない中小企業を支援し、学生に挑戦する場を提供するのが狙いだ。

社員と話して業務への理解を深める学生ら=2日、焼津市のサンロフト
社員と話して業務への理解を深める学生ら=2日、焼津市のサンロフト

 焼津市のIT企業サンロフトは「人づくりプロジェクト」と題したインターンシップを実施中。参加する東京経済大3年の水沢亮也さん(21)=藤枝市=と静岡大1年の今坂茉鈴さん(19)が3カ月間のうち50時間を目安に活動し、IT業界の社員像を第三者の視点で考えている。
 2日、同社を訪れた2人はデジタルトランスフォーメーション(DX)とIT化の違いについて鈴木あゆみ広報・マーケティング部長(51)と話し合い、業界への理解を深めた。今後は社員へのヒアリングを進めるなどして、魅力的な社員像を描き、必要なスキルや研修を提案する予定という。鈴木部長は「若い世代が共感することや、われわれの足りない部分を言語化したい。社外の人と対話することは社内の刺激になる」と学生の力を借りるメリットを話す。
 採用活動を強化したい島田市の土木業丸紅では、業務を広報戦略に特化して、9月から大学生2人を受け入れている。このうち静岡大2年の西口航平さん(20)はSNS(交流サイト)で自身の投稿が「バズった」(広く話題が拡散された)経験を生かして、業務を動画撮影して編集し、SNSに投稿する。「学生が企業のホームページにアクセスするのは難しいが、SNSなら偶然見て知ることができるのではないか。業務内容は知らないことばかりだったので、自分が驚いたことを分かりやすく伝えたい」と意気込む。
 コーディネート事業は昨年度から始まり、これまで、計9プロジェクトに17人の大学生が参加した。エスネによると、県内には学生が長期的に関われる企業や団体が少ないため、代わりに都内の企業でインターンシップに臨む学生もいるという。
 エスネ共同代表の斉藤雄大さん(29)は「中小企業はそれぞれ強みがあるのに、その情報が表に出ないため、学生は仕事がないと思い県外に出てしまう。学生が県内で働くキャリアイメージができるよう、さらに企業の情報が見えるようにしていきたい」と展望を語った。
 (生活報道部・伊藤さくら)

 インターンシップ 学生が将来のキャリアを意識して在学中に行う就業体験。就職活動が本格化する前から企業の情報を集めることができる。有償、無償のいずれの場合もある。本年度から国の定義が新しくなり、5日間以上実施し、日程の半分以上を職場での体験に充てるなどの要件を満たせば、企業は採用活動開始後にインターンシップで得た学生の情報を選考に生かすことが可能になる。

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