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【2024注目予算】藤枝市 保育士の人材確保 職場の環境改善推進

 新型コロナウイルス禍と不適切保育の影響で人材不足の深刻化や労働環境の改善などが課題に挙がる中、現場の保育士は子どもたちと向き合う日々が続く。「子どもの目線に合わせて1人の人として尊重し、丁寧に接する」。保育士20年目を迎えた藤枝市立前島保育園の魚住香織さんは、確固たる思いを持つ。

実習生(右)と共に保育活動する保育士=藤枝市立前島保育園
実習生(右)と共に保育活動する保育士=藤枝市立前島保育園
実習生(左)と共に保育活動する保育士=藤枝市立前島保育園
実習生(左)と共に保育活動する保育士=藤枝市立前島保育園
実習生(右)と共に保育活動する保育士=藤枝市立前島保育園
実習生(左)と共に保育活動する保育士=藤枝市立前島保育園

 2月、同園は大学生2人を実習生として受け入れた。学生は魚住さんら保育士の指導を受けながら保育の現場を体験。接した園児が笑顔を見せると、学生の表情は緊張から安堵(あんど)に変わった。
 実習は学生にとって保育士を目指すかどうかを選択する重要な機会。ただ、保育士1人当たりの負担の大きさなど現場の現実を目の当たりにし、自らの想像とのギャップを抱いた学生は少なくない。コロナ禍で魅力発信の場が減り、不適切な保育や通園バス置き去り死事件も重なって、若手の離職や保育志望の学生らの減少に拍車をかけた。
 市は2024年度予算案に、保育士の働きやすい環境づくり事業費1600万円を計上した。実習を担当する保育士と小規模事業所向けの研修を、専門家を招いて開催するほか、職員間のコミュニケーション向上や不適切保育に関する目的別のセミナーなども実施する。
 前島保育園の小川友美園長は「徹底した職員間の連携と人間関係の構築が適切な保育につながる。人材育成と確保のための計画を一緒に進めたい」と市と協力して職場環境の向上に意欲を示す。
記者の目 実効性ある研修確立を  保育現場を巡る問題は全国各地で指摘され、保育士はやるせない思いを抱いている。保育士の働く環境と子どもの成長を支えるためにも、市は実効性のある具体的な研修内容の確立が求められる。
 保育士は仕事の大変さや給与など待遇面への不満の声が注目されがち。不適切保育は許されないが、結果的に現場が萎縮し、保育士の心に余裕がなくなっている実態もある。保育は子どもの成長を見守ることができる職業。その魅力を発信するには行政や各園、保護者、地域が現状を理解し合い、一体となって事業を進める体制づくりも必要なのかもしれない。
 子どもを守るのは大人の仕事。人材不足が解消されても、保育に携わる覚悟を持たなければ失態は再び起こりかねない。保育に関わる全ての人間が同じ意識を持って子どもたちと向き合う姿勢が不可欠だろう。
 (藤枝支局・青木功太)

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