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盆栽 気軽におしゃれに 静岡県内専門店 若者ファン獲得 インテリア感覚で楽しむ

 自然の樹木を鉢の中に再現する「盆栽」。日本古来の伝統芸術として敷居の高いイメージもあるが、近年はインテリアとして、比較的若い樹木をおしゃれに仕立てた手頃な商品が出回る。県内にも手に取りやすい盆栽を提案する専門店が誕生し、若いファンを獲得している。

園芸店が開いた「盆栽カフェ」。コーヒーを飲みながらじっくり盆栽を選ぶことができる=静岡市駿河区の「唐花」
園芸店が開いた「盆栽カフェ」。コーヒーを飲みながらじっくり盆栽を選ぶことができる=静岡市駿河区の「唐花」
受け皿に水を張っておくことで、水やりができる盆栽=同
受け皿に水を張っておくことで、水やりができる盆栽=同
「盆栽を手に取ったことのない人に魅力を伝えたい」と話す大端将さん(左)と鈴木林太郎さん。陶芸作家に特注した鉢に盆栽を仕立てて販売する=浜松市中央区の「頭山」
「盆栽を手に取ったことのない人に魅力を伝えたい」と話す大端将さん(左)と鈴木林太郎さん。陶芸作家に特注した鉢に盆栽を仕立てて販売する=浜松市中央区の「頭山」
園芸店が開いた「盆栽カフェ」。コーヒーを飲みながらじっくり盆栽を選ぶことができる=静岡市駿河区の「唐花」
受け皿に水を張っておくことで、水やりができる盆栽=同
「盆栽を手に取ったことのない人に魅力を伝えたい」と話す大端将さん(左)と鈴木林太郎さん。陶芸作家に特注した鉢に盆栽を仕立てて販売する=浜松市中央区の「頭山」


 2023年9月に静岡市駿河区にオープンした「唐花」は、コーヒーや紅茶を楽しみながら盆栽を吟味できる「盆栽カフェ」。7年ほど前から盆栽を扱ってきた同市清水区の園芸店「深沢種苗園芸」が、時間を気にせずお気に入りの一点を選んでもらおうと開いた。
 「座ってゆっくり悩んでもらえば。もちろん見るだけでも歓迎です」と同社代表の深沢和典さん(42)。同社の盆栽はすべて、地元清水区に伝わる「清梅[きようめ]焼」の鉢を使用する。鉢自体に吸水性があり、通常は土の表面からタイミングを見て施す必要がある水やりが、受け皿に水を足すだけで簡単にできる。卓上サイズの小ぶりなものが中心で、価格は4千円から1万円程度が売れ筋。
 近年は雑貨店などで期間限定ショップを開く機会も増えているといい、深沢さんは「若い男性が『かっこいい』と反応してくれる。インテリア雑貨のような感覚で買い求める人が多い」と話す。「初めてでも臆さず手に取ってほしい」との思いで、購入から1カ月以内に枯れた場合、無償で同等の木に植え替えるアフターサービスも行っている。
 浜松市中央区の盆栽専門店「頭山」は、22年4月末から週末のみ営業し、地元を含む全国の作家が手がけた鉢に盆栽を仕立てて販売する。近隣で古い建物をリノベーションしたシェア店舗を運営する大端将さん(38)と、陶器専門店を営む鈴木林太郎さん(40)が、植物好きという共通項から共同で店を興した。
 「植木鉢の選択肢が少ない」と不満を抱えていたという2人。陶芸作家に依頼した植木鉢の商品化にあたり、鉢に見合う植物を求めて盆栽に行き着いた。店には藤枝市の村上祐仁さんら作家の鉢に入った20点ほどが並び、洗練された雰囲気。小さな鉢を中心に、価格は1万円前後から3万円程度。
 革小物などの雑貨やレコードと盆栽を並べる販売イベントも開き、購入者にはインテリアに凝るアートファンも多い。2人は「盆栽の持つ固いイメージを壊したい。盆栽を知らない人が盆栽に出合える場を作りたい」と話す。
 「盆栽ブラザーズ」を名乗り、インスタグラムのリール動画で手入れの豆知識を発信している。「盆栽は普通の植物と比べ、手入れや水やりなどに気遣いが求められる部分もある。すぐに枯らしてがっかりしないように」と購入後のサポートに余念がない。
 大端さんは「古木の美しさを鉢に再現するために、どこが美しいのか、要素を分解して見るのが面白い」、鈴木さんは「小さい分、新芽が出るなどの変化がよく分かる」と盆栽の魅力を語る。インテリアとして楽しむことを入り口に、「手をかけて育てることの奥深さにも目覚めてほしい」と口をそろえる。
 (生活報道部・西條朋子)

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