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テーマ : 沼津市

自動運転バスの実証実験相次ぐ 静岡県内公道6カ所、全国3位 運転手不足解消に期待

 静岡県内で自動運転バスの実証実験が相次いでいる。県や静岡、浜松市などが計6カ所で公道走行を実施し、共同通信の調査では愛知、栃木両県に次いで3番目に多かった。県によると、このほかにも複数の自治体が関心を示し、運行エリアがさらに広がる可能性がある。残業規制強化で運転手不足が深刻化する「2024年問題」が懸念される中、人口減や高齢化が進む地方の移動手段として期待が高まっている。

公道を走行した自動運転車両。県内で実証実験のエリアが広がっている=2023年11月、沼津市
公道を走行した自動運転車両。県内で実証実験のエリアが広がっている=2023年11月、沼津市
5段階の自動運転レベル
5段階の自動運転レベル
公道を走行した自動運転車両。県内で実証実験のエリアが広がっている=2023年11月、沼津市
5段階の自動運転レベル


 23年度に静岡、浜松、沼津、掛川市、松崎町のほか、三島市と長泉町にまたがるエリアで実証実験が行われた。いずれも一部の操作をシステムが担う「レベル2」だが、特定条件下で運転手がいなくても走行可能な「レベル4」の実現を視野に入れるエリアもある。本県は自動車産業をはじめとするものづくりが盛んで、自動運転の技術開発でも先進地となるか注目される。
 県は19年度から公道での実証実験に着手。23年度は沼津、掛川、松崎の3市町で一般客を乗せて自動運転バスを走らせた。住民の買い物支援や観光客の周遊を想定し、遠隔監視体制や道路状況の把握など技術高度化を図った。
 県建設政策課未来まちづくり室の鈴木英晃主査(39)は「運転手不足やバス路線の維持など地域公共交通の課題は多い。できるだけ早く定期運行を実現したい」と意気込む。
 沼津市は24年2月、JR沼津駅と沼津港を結ぶルートで社会実装に向けた実験を行う。県が取り組んできたノウハウを引き継ぎ、交通量の多い交差点での安全性向上を図る。段階的に車両を大型化し「レベル4を目指す」としている。
 JR三島駅と下土狩駅を結ぶ自動運転バスを運行したのは、三島、裾野、長泉、清水の各市町でつくる富士山南東スマートフロンティア推進協議会。複数自治体をまたぐルートは全国的に珍しく、乗車率も高水準だったという。静岡、浜松両市も地元企業などの協力を得て、技術面の検証や課題の洗い出しを進める。
 公道以外で取り組んだ自治体もある。富士市は中央公園で車両をデモ走行し、家族連れらが試乗した。利用者アンケートでは「早く導入してほしい」「運転手不足などの社会問題を解決する可能性を感じた」など前向きな意見が目立った。
 (政治部・森田憲吾)
「レベル4」拡大 全国50カ所目標 25年度  自動運転の普及が地域交通の維持や深刻化するドライバー不足などの解消につながるとして、政府は2025年度をめどにレベル4相当の自動運転移動サービスを全国50カ所まで広げる目標を掲げる。
 一方、交通インフラとして普及させる上でハードルとなるのが、採算性や安全性の確保だ。県は「自動運転車を公道で走らせるための明確な基準がない」と指摘し、国に対して規制緩和や技術援助を求めている。
 自動運転のレベルはアクセルやブレーキ操作を支援する「1」から、全ての操作が自動で人の対応が不要になる「5」まで5段階。23年4月の改正道交法施行で「4」が解禁された。

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