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テーマ : 沼津市

の【野】山崎皓司/三里四方の生活術学ぶ【SPAC俳優 言葉をひらいて㉕】

 野に咲く花のように 風に吹かれて 

の【野】
の【野】
山崎皓司
山崎皓司
の【野】
山崎皓司

 野に咲く花のように 人を爽やかにして 
 そんな風に 僕達も
 生きてゆけたら すばらしい
 時には 暗い人生も
 トンネルぬければ 夏の海
 (ダ・カーポ「野に咲く花のように」から)

 画家山下清をモデルにしたドラマ「裸の大将放浪記」の主題歌です。小学生の頃の僕はこのドラマが大好きで、山下清をまねてちぎり絵にはまっていました。久々にドラマを見たら、「白のタンクトップに短パン姿、おむすびを求めてうろつくおじさん=清」。今なら不審者としてすぐに通報されそうですが、35年前は許されていた世界観なんだなぁと感じます。(次は僕が山下清役を!)
 最近行きつけの、干支[えと]のオブジェやアサギマダラの飛来で有名な交流施設「こんにゃく亭」(掛川市倉真)では、毎日高齢者たちが火を囲んで談笑しています。この方々は三里四方(半径12キロ)の生活を知っていて、里山資源を活用する術を持っています。車はなく、燃料は薪[まき]か炭、塩は当番で海へ造りに行き、たまの肉は廃鶏か狩猟によるイノシシやシカ。魚は昔、僕のおじいさんが自転車で売りに来ていたそうです。根を生やしたところから動かず、自分の手に届く範囲で足るを知る生活を送り、まさに野に咲く花のよう。
 とはいえこれは理想で昔話。僕はもうぜいたくを知ってしまった。スーパーに行けば世界中の物が安価で買えるし、ガソリンがないと軽トラは動かないし、飛行機で海外にも行きたいし、たまにはマックも食べたいし、昆虫食は嫌。だから僕は「未来/世界平和」のため、科学技術の発展も期待しつつ、逆張りで自給自足的な生活を送って、野に咲く花のように生きる昔の術をつないでいこうとしています。
 唐突ですが最後にクイズ! 「トンネルぬければ夏の海」とありますが、僕が学生役で出演中のSPAC「伊豆の踊子」では天城トンネルを抜けます。さてその先は? 答えは25日、沼津市民文化センターで!

 やまざき・こうじ 掛川市出身。劇団「FAIFAI」所属。俳優業の一環として農業、狩猟、養蜂などに取り組む。農民生活を記録したドキュメンタリー「Koji Return」を動画配信サイトで公開中。

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