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テーマ : 沼津市

静岡県東部の干物製造、後世へ 食品衛生法改正で営業許可制に 6月以降継続は施設改修焦点、業者前向き

 沼津市や伊東市など静岡県東部の沿岸部で盛んな干物の製造を取り巻く環境が大きく変わる。食品衛生法改正に伴い営業許可制になり、許可を受けるには施設改修が必要となることがほとんど。100年以上続く食文化を受け継ごうと、地元の製造業者は前向きに動いている。

営業許可取得に向けて助言指導する県東部保健所の職員ら=16日午前、沼津市のヤマカ水産
営業許可取得に向けて助言指導する県東部保健所の職員ら=16日午前、沼津市のヤマカ水産

 改正法は2021年6月に施行され、3年間は猶予期間。今年6月以降も製造業を継続するには、営業専用の製造施設を設け水道を手洗い用と器具洗浄用に分けるなどして、保健所の営業許可を得る必要がある。影響は大きく、沼津市の製造業者によると、担い手の高齢化に直面していた小規模業者が法改正を機に廃業したという。
 同市の干物生産は、江戸時代末期から大正時代に漁師が売れ残った鮮魚を使って始まった。適度な風や豊富な水資源などの好条件がそろっていたため盛んになったとされる。
 1912(大正元)年創業のヤマカ水産の松本周執行役員(42)は「保健所の指導にのっとり施設改修する。安心安全な製品を作る」と話す。許可を得るには水道の増設などが求められるが「干物文化を後世に残すため負担を惜しまない」。静岡県東部保健所によると、把握している117の製造業者の半数は既に許可を得たか許可を受けられる状況にあるという。
 同保健所は毎年行う製造業者の一斉監視で、営業許可取得に向けた助言指導を行う。担当者は「製造をやめさせるためではなく、消費者に安全な干物を届けるための制度。前向きに対応してもらえるよう助言する」と強調する。
 改正法では漬物製造業なども許可制になった。北駿特産の水かけ菜漬けの生産者らが対応を急いでいる。
 (東部総局・矢嶋宏行)

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