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テーマ : 沼津市

スルガ銀行、不正融資問題の教訓紹介 企業や自治体にセミナー 組織風土改善、意識改革呼びかけ

 2018年に発覚した不正融資問題を受け、信頼回復に向けて強化した再発防止策と教訓を広く紹介しようと、スルガ銀行(沼津市)がハラスメント防止とコンプライアンス(法令順守)に関するセミナーを取引先企業や自治体、議会を対象に展開している。第三者委員会にコンプライアンス意識の欠如などを厳しく指弾された「苦い経験」を踏まえ、組織風土改善や働く人一人一人の意識改革の重要性を呼びかける。

スルガ銀行の行員(左上)を講師に招き、事例研修に取り組む伊豆市職員=2月、同市役所
スルガ銀行の行員(左上)を講師に招き、事例研修に取り組む伊豆市職員=2月、同市役所

 「根深い不正体質」「統治働かずパワハラも横行」―。同銀行が無償で提供するセミナーは、組織的関与が明らかになった不正融資問題の背景と、根本的な原因を振り返る体験談から始まる。
 講師を務めるのは不祥事後に拡充強化したコンプライアンス統括部の責任者。2月上旬に伊豆市役所で開いたセミナーでは「地元企業に勤める元先輩職員から飲食に誘われた」「検査先でコーヒーを勧められた」などの想定で、市職員が事例研修に臨んだ。
 開催目的について、同市総務課の城所章正主幹(63)=当時=は「時代の変化に合った公務員としてのあり方を学ぶため、専門的な知識を持つ講師を探していた」と説明する。同銀行の講師は市職員倫理規定と市コンプライアンス推進基本方針を踏まえ、「コンプライアンスの目的は自身を守ること。リスク回避のため『君子は危うきに近寄らず』を徹底して」と強調した。
 同銀行は業務改善計画に基づき、絶大な権力を握っていた創業家と決別し外部人材を招いてコンプライアンス体制を再構築した。不正の温床になった過剰なノルマは見直し、経営管理体制と内部通報制度を機能させるなどした。
 セミナーは経営再建を進める中、20年11月に始め、これまでに16企業・自治体で開いた。内容は業種や要望によって柔軟に対応する。今後もセミナーを通じて、「コンプライアンスの推進と実践に関するノウハウを地域のために役立てたい」(コンプライアンス統括部)としている。
 (東部総局・杉山諭)

 スルガ銀行の不正融資 シェアハウスやアパート、マンションといった投資用不動産への融資を巡り、書類改ざんや非現実的な家賃設定などの偽装が長期間、組織的に横行していた問題。審査部門も機能していなかった。過大な営業目標、パワハラ体質の企業風土、内部監査の形骸化などが原因だったとみられる。シェアハウスの経営難をきっかけに発覚し、金融庁はスルガ銀行に対して業務改善命令を出した。

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