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テーマ : 沼津市

東名日本平久能山スマートIC周辺、物流の拠点化着々 大型倉庫の建設進む【迫る24年問題】

 静岡市駿河区の東名高速道日本平久能山スマートインターチェンジ(IC)周辺の32・8ヘクタールを対象にした恩田原・片山地区の土地区画整理事業で、大型物流倉庫の建設が進んでいる。背景にあるのは、4月から始まる運転手の残業規制で輸送能力の低下が懸念される2024年問題。新型コロナウイルス感染症の影響で企業進出が停滞する時期もあったが、物流網の再構築を図る輸送業界の中で静岡県内拠点の適地と高評価を受けた。

大型物流倉庫の建設が続く東名高速道日本平久能山スマートIC周辺の恩田原・片山地区。倉庫の屋根には太陽光発電設備が設置され、地区一帯で脱炭素や防災の取り組みも進む=1月中旬、静岡市駿河区(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から、写真部・久保田竜平)
大型物流倉庫の建設が続く東名高速道日本平久能山スマートIC周辺の恩田原・片山地区。倉庫の屋根には太陽光発電設備が設置され、地区一帯で脱炭素や防災の取り組みも進む=1月中旬、静岡市駿河区(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から、写真部・久保田竜平)
日本平久能山スマートIC
日本平久能山スマートIC
大型物流倉庫の建設が続く東名高速道日本平久能山スマートIC周辺の恩田原・片山地区。倉庫の屋根には太陽光発電設備が設置され、地区一帯で脱炭素や防災の取り組みも進む=1月中旬、静岡市駿河区(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から、写真部・久保田竜平)
日本平久能山スマートIC

山梨へ配送も念頭 高評価
 市大谷・小鹿まちづくり推進課によると、24年3月までに企業用地22区画のうち19区画で契約が完了し、面積ベースで95%に達する見込み。丸紅ロジスティクス(東京)と中部陸運(静岡市清水区)がそれぞれ建設し、ペットフード製造いなばペットフード(同区)が運用する延べ床面積約3万平方メートルと同約1万2千平方メートルの物流倉庫2棟が23年までに稼働したほか、都内の別企業が同地区最大の同約4万9千平方メートルの物流倉庫を建設している。
 生活協同組合ユーコープ(横浜市)は、宅配事業「おうちCO―OP(コープ)」の県内展開や、県内と山梨県の運営店舗で取り扱う食料品の物流拠点を備えた施設「ユーコープ静岡ベース」が同地区で完成間近で、2月27日に開所式を開く。稼働後は1日25万点以上の冷蔵・冷凍品を取り扱う計画だ。
 ユーコープは県内の物流拠点が沼津市にあり、24年問題への対応が迫る中、県西部地域や山梨県への配送が課題だった。栗田桂物流部副部長は「県全域の物流網づくりに適し、探していた条件に合致した」と恩田原・片山地区の立地を評価し、21年に進出を決めたという。
 同地区ではこのほか、産業廃棄物処理などを手がける静和エンバイロメント(静岡市駿河区)による産業廃棄物処理と、処理過程で生成したエネルギーを活用する食品工場の併設施設の建設も進む。地権者でつくる恩田原・片山土地区画整理組合の高津友彦理事長(71)は「まちづくりはできてからが出発点。地元住民が何十年後に『やってよかった』と思えるように、次世代の産業集積の姿を示してほしい」と述べた。
 (政治部・尾原崇也)

IC南側は「交流エリア」 スポーツ施設やホテルなど誘致検討
 東名高速道日本平久能山スマートIC周辺では、南側の宮川・水上地区でも47.1ヘクタールの土地区画整理事業が進み、スポーツ施設やホテルの誘致が検討されている。
 静岡市は同スマートIC周辺のまちづくり基本構想の中で宮川・水上地区について、交流拠点を整備する区域に位置づけた。さらにこのうちの20.3ヘクタールを「広域交流エリア」とし、静岡ならではの「食と農」、「健康とスポーツ」をテーマに市外からの来訪を促すまちづくりを目指すとしている。
 関係者によると、地権者で構成する区画整理組合の委託を受けた業務代行者が、エンターテインメント施設や宿泊施設、飲食・物販店の誘致について水面下で協議を続けている。地権者でつくる宮川・水上土地区画整理組合の岩崎義郎理事長(70)は「魅力的なまちづくりに貢献できる施設が誘致できたらうれしい」と話す。

 <メモ>東名日本平久能山スマートIC周辺のまちづくり 静岡市は、市内に残された数少ない平らでまとまった駿河区大谷・小鹿地区の土地の活用法を探る一方で、スマートIC開設に伴う無秩序な開発を防ごうと2013年3月、周辺の125ヘクタールを対象にまちづくりの基本構想を策定した。このうち恩田原・片山地区と宮川・水上地区を先行整備エリアに位置づけ、土地区画整理事業による整備を進める。最も先行する恩田原・片山地区では、26年度に事業が完了する予定。市は同地区の事業終了後の経済効果として約500人の雇用増や年間6億4000万円の税収増を見込む。同地区一帯の使用電力を倉庫屋根に設置した太陽光発電設備でまかなう取り組みが評価され、22年4月に環境省の「脱炭素先行地域」に選定された。宮川・水上地区は24年8月ごろに都市計画決定し、工事が始まる予定。

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