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テーマ : 沼津市

沼津・興国寺城の石垣、1600年ごろ築造 高い技術「権力誇示」 発掘調査説明会

 沼津市文化財センターが2023年度に実施した国指定史跡・興国寺城跡(同市根古屋)の発掘調査で、石垣の築造時期が石の切り方や積み方の特徴から、戦国最末期から江戸最初期の1600年前後だと分かった。市はこのほど、現地で説明会を開いた。

約1・5メートルの深さまで残存していた石垣の基礎部分を紹介する説明会=沼津市根古屋の興国寺城跡
約1・5メートルの深さまで残存していた石垣の基礎部分を紹介する説明会=沼津市根古屋の興国寺城跡


 興国寺城の石垣はこれまで、大きさのふぞろいな自然石を積み上げる「野面積み」の特徴を持ちつつ、表面を平らに加工した石を使う戦国時代から江戸時代の過渡的な築造方法だと分かっていた。今回の調査で江戸初期に一般化する「矢穴」と呼ばれる石を切る際の跡がないことが分かり、時期がさらに絞り込めた。
 石垣の基礎部分は地表下1・5メートルに残存。黄色い粘土質の土や小さな石を敷き詰めて固める地盤対策を施していて、技術を持った職人が造り上げたとみられることも判明した。同センターの木村聡主任学芸員は「調査で外から見える部分の石だけを加工していたことも分かった。権力を誇示するため、見栄えを重視したのでは」と推測した。
 興国寺城は北条早雲旗揚げの城として知られ、武田氏や徳川氏、豊臣氏の家臣ら、支配勢力が次々と入れ替わった。市は城の保存活用整備に向けて継続的に発掘調査している。崩落する危険があることから、史跡の石垣の基礎を掘削する調査研究は少ないという。
 (東部総局・菊地真生)

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