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大自在(10月28日)コスモス

 藤枝市岡部町殿地区のコスモス畑に足を運んだ。畑一面に咲き誇る花を眺め、穏やかな時間の流れに身を置く。北の方から咲き始めて南下するコスモス前線は、今まさに本県の辺りのようだ。
 軒先にも咲き、日本の秋の風景になじむ花だが、原産地はメキシコ。大航海時代を経てスペインに渡り、明治期に日本各地に広まった。
 その語源は「秩序」「調和」を意味するギリシャ語という。花びらに見える8枚の舌状花が、規則正しく並ぶ様子から名がついたと伝わる。「宇宙」を指す言葉でもある。コスモスと対をなす概念は「混沌[こんとん]」を示すカオス。
 今、混沌の極みにあるのはパレスチナ自治区ガザであろう。イスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘は約3週間が経過し、双方に多くの死者を出す事態に陥った。奇襲攻撃し、人質を盾にするハマスの戦術は全く正当化されない。対するイスラエルによる報復は、空爆とともに、住民に水や食料、燃料が届かない作戦を展開し、人道危機を深刻化させている。
 民間人の犠牲は憎悪の連鎖を招くだけだ。国連安全保障理事会は決議案をまとめることができず、「世界の連帯と結束」の言葉もむなしい。連鎖を断ち切るすべはないのか。
 かの地にも秋を告げるカイソウという花がある。都内の植物園でこの花を知った。花茎の先に小さな白い花をつける。現地では長く暑い夏の後、過ごしやすい季節に入ると見られるという。今、現地から届く映像は戦火、がれき、負傷者、困窮する人々の表情。花も何もない。同じ地球で起きている現実に愕然[がくぜん]とする。

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