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佐藤工業所(藤枝) 小水力発電設備に参入 型枠製造技術生かす

 鋼製型枠メーカーの佐藤工業所(藤枝市)は、小水力発電設備の製造販売に本格参入する。小川や農業用水路に設置可能な装置を開発し、長野県の企業に2基販売した。エネルギー価格が高騰し、脱炭素化も求められる中で引き合いは多く、新たな収益事業に育てたい考え。

佐藤工業所が開発した小水力発電設備の心臓部となる水車=4月、長野県茅野市
佐藤工業所が開発した小水力発電設備の心臓部となる水車=4月、長野県茅野市

 小水力発電は天候や季節で変動する河川流量の影響を受けやすく、安定した発電が困難とされてきたが、佐藤工業所は型枠製造で培った技術を生かし、低流量でも効率的に発電できるシステムを確立した。初の販売先は同県茅野市の地元住民らが過疎地対策で起業した地域電力会社で、最大100キロワットと最大200キロワットの2基を納入した。年間発電量は一般家庭約600軒分に相当する。
 佐藤工業所は橋建設やトンネル掘削、鉄道の維持管理などで必要な型枠製造が中核事業で、小水力発電設備の開発に着手したのは2008年。リーマン・ショックの影響で型枠の受注が減り、新事業を模索した。ただ公共の河川での実証実験は行政の協力が欠かせず、完成までに10年以上を要した。
 豊富な水資源を活用して二酸化炭素排出量も低減できる水力発電の注目度は高く、県内のNPO法人などから引き合いがあるという。5年以内に売上高全体の10~20%を占める事業へと成長を目指している。
 佐藤輝男会長(71)は「小水力発電は自然災害発生時の予備電源としても期待できる。需要は今後さらに高まるはず」と話す。

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