静岡人インタビュー「この人」 マジックを通じた認知症予防に取り組む マギー塁さん(掛川市)
島田市を中心に県中部で活動を続ける。トランプやハンカチなど身近な道具を用い、指先を使った脳の活性化や成功しても失敗しても笑顔になれるなどの認知症予防効果を紹介する。マジシャンのマギー司郎さんの弟子。認知症サポーターや島田市の介護予防体操「しまトレ」を普及する「しまトレーナー」も務める。静岡市出身。39歳。
―活動のきっかけは。
「一昨年の12月、藤枝市の認知症カフェでマジックを披露したところ、認知症の夫がいる女性が『久しぶりに外に出て笑うことができた』と涙ながらに声をかけてくれたこと。今までこれほど感謝されたことはなく、無名の芸人でも社会の役に立つことができると思い、認知症について学び始めた」
―心がけていることは。
「縦じまのハンカチの持ち方を変えて横じまにする手品など一見簡単そうなマジックでも、できない人がいるかもしれない。失敗しても笑顔が生まれるように声をかけ、師匠の教えでもある『誰ひとり傷つけない、人に優しいマジック』を心がけている。あくまで人を楽しませることが自分の仕事で、誤った情報を伝えないことも大切」
―効果や反応は。
「地域のふれあい活動などに呼ばれる機会が増えている。小規模な集まりは参加者を巻き込みながら、みんなでマジックを楽しむことができる。『ついつい長居しちゃった』『今度孫の前でやってみるよ』と言われることが心の底からうれしい」
―今後は。
「呼ばれるだけでなく、主体的な活動にも取り組みたい。引きこもりがちな人や憂鬱(ゆううつ)な気分の人が『あそこに行けば楽しい』と思ってもらえるような拠点を作りたい」
(島田支局・寺田将人)