インタビューの記事一覧
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静岡人インタビュー「この人」 呼音楽パフォーマンス大会「KING OF FLIP」で優勝した 佐々木優さん(沼津市)
東京・渋谷で7月に開かれたリズムマシンを用いた音楽大会で優勝した。20代から「Doramaru(ドラマル)」名義で音楽活動を始め、7年前に夫婦で沼津市に移住。市内で居酒屋「魚鳥木(ぎょちょうもく)」を営む。東京都目黒区出身。45歳。 -大会の内容は。 「昨年から始まったトーナメント形式の大会で、前回は4位だった。16人が出場し、リズムマシンを用いて2分間のパフォーマンスをする。事前にサンプリングしたり、作ったりした音楽を組み合わせ、ビートを作る。今年は台湾からの出場もあった」 -リズムマシンでの音楽作りの面白さは。 「AKAIプロフェッショナル製の『MPC』と呼ばれるリズムマシンを愛
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静岡人インタビュー「この人」 聴覚障害者の国際テニス大会に出場する 相原風城さん(磐田市)
生まれつき耳が聞こえない重度難聴を患いながらも健常者とともに週6回、テニスの練習に励む。9月上旬、聴覚障害がある選手が補聴器を外して対戦する「デフテニス」全国大会に出場し、男子シングルスでベスト8入り。23日にギリシャ・クレタ島で開幕する世界大会では、日本代表として4種目に出場する。常葉大菊川高3年。17歳。 ―テニスを始めたきっかけは。 「小学1年のころ、家族で買い物に出かけた際、ブレスパティオテニスクラブ(袋井市)の『どなたでも受けられます』と書いた体験会のポスターを見たこと。これまで水泳やゴルフなどのスポーツに挑戦しようとしたが、耳が聞こえないことが理由で体験会ですら参加を断られて
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静岡人インタビュー「この人」 ライオンズクラブ国際協会334-C地区の地区ガバナーに就任 前田磨さん(三島市)
静岡県内71クラブ、会員数2788人(7月時点)のライオンズクラブ(LC)の代表。三島市で建設会社を経営しながら、地元のまちづくりや地域活性化、子ども育成事業などに携わる。62歳。 ―就任した感想は。 「7月の国際大会で正式就任し、感動とともに重責を感じた。刻々と変化変容する時代のニーズを的確に捉え、さまざまな環境に順応し、より一層積極的に奉仕活動へ取り組みたい。基本方針には①会員増強・クラブの強化②変革への順応・支援③笑顔あふれる奉仕活動④会員の資質向上・満足度アップ―を掲げた」 ―特に力を入れたい活動は。 「女性会員を増やしたい。県内クラブは女性会員が圧倒的に少ない。世界で134
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アントニオ猪木さん一周忌 直木賞作家の村松友視さん、40年の交友振り返る「『面白い』ことを探し続けた男」
プロレスラーのアントニオ猪木さんが亡くなってから、10月1日で1年。直木賞作家の村松友視さん(83)=旧清水市出身=が、1980年のベストセラー「私、プロレスの味方です」を契機とした約40年の交友を振り返り、空前絶後の人物像に改めて思いをはせた。 ―「私、プロレスの味方です」をお書きになったのは、中央公論社の編集者だったころでした。猪木さんとの接点はどのように生まれたのでしょうか。 「当時は、(プロレス評論家の)田鶴浜弘さんみたいな関係者以外で、プロレスについて書く人は皆無だったんです。『私、プロレスの味方です』はプロレスについて考えようという本なわけで、売れるわけがないと思ったので、
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「私のモットーは常に『最新が最高』なんです」 弾き語りトラックメイカーアイドル眉村ちあき 唯一無二の音楽、源泉は?
作詞・作曲、編曲、歌唱、ステージパフォーマンスの全てを高水準でこなす「弾き語りトラックメイカーアイドル」眉村ちあきが30日、浜松市中区のライブハウス「浜松窓枠」でライブを行う。5月に発表した新作アルバム「SAI」のツアー「一切合SAI」の一環。唯一無二の音楽活動の源泉を聞いた。 ー「SAI」のツアーは5月から続いています。手応えはどうでしょうか? 「私のモットーは常に、『最新が最高』なんです。だから、毎回のライブも『めちゃくちゃ更新しているな』という感じがあります。最新のライブが、今までで一番いいライブ。でも、主観と客観が違うのも分かっているから、各地のおいしい物を食べに行きつつ、スタ
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静岡人インタビュー「この人」 性の多様性啓発に取り組む専門職員 天草美樹さん(島田市)
島田市でジェンダー平等などの理解促進に向け、行政や市民、関係団体と連携して業務に当たる。静岡県が開始した性的少数者などのカップルを公的に認める「パートナーシップ宣誓制度」に合わせ、会計年度任用職員として3月から、市役所で勤務している。任期は3年間の予定。地方創生の実現などに向けた総務省の「地域プロジェクトマネージャー制度」を活用して採用した。愛知県半田市出身。26歳。 ―半年間で取り組んできたことは。 「まずは多様性に関する職員向けガイドライン作りに力を入れてきた。知識を詰め込むのではなく、地域の声を反映させ、手に取ってもらえる島田らしいガイドラインにしたい。性の多様性やジェンダー平等に
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生成AIを学校現場で使うのはあり?④有識者インタビュー【賛否万論】
文章などを自動的に作成する生成人工知能(AI)の登場に対して学校現場はどう対応すべきなのかをテーマとして取り上げています。前回までは生成AIや情報モラルに詳しい専門家に意見を聞いたり、生成AIの使い方をイメージしてもらおうと記者がAIで作った記事を紹介したりしてきました。今回は県教委の教育方針を決めるキーマンの一人で教育監の塩崎克幸さんにインタビュー。県教委が作成した生成AIのガイドラインにも触れながら、生成AI活用の在り方や今後想定する教員の対応について聞きました。 (社会部・大橋弘典) 教員の校務省力化に有効 県教委教育監 塩崎克幸さん チャットGPTを実際に使ってみた感想があれば
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静岡人インタビュー「この人」 定年後に起業、子ども向けワークショップを企画・運営する 深沢康伸さん(浜松市中区)
メルセデス・ベンツ日本を定年退職後、スタートアップスクールや大学に通い、一般社団法人SoZone(ソーゾーン)を2022年に設立した。代表理事を務める。静岡市葵区出身。63歳。 -ワークショップ(WS)の企画・運営を事業にした理由は。 「北米やドイツなどの海外勤務で経験したディベートが根底にある。当初はなかなか意見を通すことができず苦戦した。社内や販売店を対象にした社員教育を長く担当する中で、人に伝えることの難しさや喜びを感じた。子どもたちにSDGs(持続可能な開発目標)をはじめとしたグローバルな意識を持ってほしいと始めた」 -WSの良さは。 「新しいものをつくる想像力を育める。意見
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静岡人インタビュー「この人」 裾野市出身のプロテニス選手 吉岡希紗さん(群馬県)
三重県の四日市商高と早稲田大時代、ともに全国大会で優勝した。今年3月に大学を卒業した後、プロに転向して海外ツアーを転戦している。171センチの長身を生かし、左腕から繰り出す強烈なショットが武器。裾野市出身。23歳。 -現在はどのような生活を。 「国内の練習拠点は群馬県高崎市にあるテニスクラブ。月の半分は大会に出場している。試合は自分で選ぶので、現在は欧米に比べて遠征費がかからないアジアや東南アジアを中心に回っている。8月はタイに3週間滞在していた。今後は国内で開かれる国際大会2戦と、国民体育大会に出場する予定」 -競技を始めたきっかけは。 「テニスをしていた両親について行き、5歳で始
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工芸職人村へ 若手育成 旧宿場町 つなげ活性化 山梨洋靖/創造舎社長【聞きたい】
静岡市駿河区丸子泉ケ谷地区と、同市葵区人宿町でまちづくりに取り組む。伝統工芸の維持発展を掲げるほか、両地点を旧東海道の宿場町「丸子宿」と「府中宿」に重ね合わせて観光振興、地域活性化を目指す。 -丸子泉ケ谷での伝統工芸振興で何を目指すか。 「長期化する担い手不足対策に注力したい。静岡市の指定管理者として運営する伝統工芸体験施設『駿府の工房 匠宿』では竹千筋細工や陶芸といった分野の職人が集まり、職人や作家を目指す若者への指導に取り組んでいる。10年間で100人の職人誕生を目標としている」 -施設近隣で宿や模型体験施設を開業する狙いは。 「工芸を未来に残すには、工房だけを強くしても不十分
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静岡人インタビュー「この人」 鹿児島国体で県選手団の旗手を務める 山本みなみ(掛川市)
「国体」の名称では最後の開催になる大会の総合開会式で県選手団を先導する。7人制女子ラグビークラブ「アザレア・セブン」の単独チームで構成する県代表の主将を務めるフッカー。2016年に正式種目になったラグビー成年女子で本県として初めて本大会出場を決めた。鈴与所属。北海道出身。25歳。 -旗手としての意気込みを。 「まさか自分が務めるとは思わなかったので光栄。初出場ということもあったと思う。経験のない大役だが、堂々と行進してチーム静岡を引っ張りたい」 -本大会出場の喜びを。 「昨年も国体チームの主将だったが、体調不良で欠場したので東海ブロック大会を含め初出場。前週にクラブでウイメンズセブン
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静岡人インタビュー「この人」 東海大翔洋中軟式野球部の監督として全国制覇に導いた 寺崎裕紀さん(静岡市清水区)
全国中学校体育大会の軟式野球で昨年の準優勝に続く2年連続の決勝進出を果たし、東海大一中時代の1994年以来29年ぶり2度目の優勝を飾った。新潟県出身で東海大海洋学部在学中に準硬式野球部に所属しながら、翔洋中の指導にも携わった。2020年に2度目の監督に就任。今大会は投手陣の踏ん張りと、武器の攻撃力が融合し一戦一戦をものにした。34歳。 -新チーム当時の状況は。 「去年の経験者が伏見響だけで、ほかの子たちは経験が少なく不安だった。自分は記憶にないが、選手からは『(歴代で)おまえたちが一番弱いと言われた』と聞いた。だが彼らは練習をかなりやって力を付けた」 -今夏の勝ち上がりは。 「けが人
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静岡人インタビュー「この人」 日本統治下の台湾の歴史について調査、発表した 土山祐実さん(浜松市東区)
日本統治下の台湾について、子どもの教育や戦争の影響などを調査し、7月末から8月上旬にかけて浜松市役所で行われた同市遺族会のパネル展に合わせて発表した。台湾在住者や、日本に引き揚げた高齢者らへの聞き取りを2020年から行っている。発表では聴取結果をまとめ、来庁者らの注目を集めた。台湾大3年。23歳。 ―発表内容は。 「日本から渡った内地人と、台湾の住民で漢人系の本島人とで初等教育が異なっていたことや配給に差があったことなどを説明した。当時の生活などを古老たちにインタビューした動画は、QRコードを貼り出して会場に来た人がスマートフォンなどで確認できるようにした」 ―台湾の歴史などを調べよう
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キャタラー(掛川市)石田雅資社長 脱炭素に触媒技術活用【キーパーソン】
11年ぶりの社長交代で6月、トップに就いた。主力の自動車用排出ガス浄化触媒は新興国中心に伸びしろがあるとみて、技術の磨き上げを進める。電気自動車(EV)化が急速に進む環境変化を視野に、強みの触媒技術を応用できる新事業の模索にも余念がない。 ―自動車関連で現状をどう認識しているか。 「電動化の流れはあるが、短期的に見れば内燃機関の利用は続くだろう。欧米を中心に排出ガス規制は年々、厳しくなっていて、規制値をクリアできる研究開発は必須だ。原料価格が高騰する中、触媒に使う貴金属の使用量を抑えながら性能を満たすための研究にも力を入れていく。新興国では排出ガス触媒の市場自体がまだ伸びる。とりわけイン
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静岡人インタビュー「この人」 「昭和すぎる」喫茶店の店主 藤原美恵子さん(沼津市)
父親が開業した沼津新仲見世商店街の喫茶店「ケルン」(沼津市大手町)を1人で切り盛りする。半世紀以上趣が変わらない店は過ぎた時代を懐かしむ中高年に加え、古さに新鮮さを感じる若者を引き付ける。85歳。 -これまでの歩みは。 「高校を卒業して洋裁学校に1年間通った後、父の手伝いを始めてからずっと働いている。当時は日付が変わる時間まで営業し、3交代勤務だった。1990年に父が他界し、夫と共に店の2階に移り住んだ。5年ほど前から1人で営業している」 -こだわりは。 「冷凍食品は一切使わず全て手作り。見た目はシンプルで家庭的な味にしている。愛を込めているからおいしい。お客さんから値上げしろと言わ
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静岡人インタビュー「この人」 日本青年会議所主催の「国連大使」に就任した 西沢孝次朗さん(静岡市葵区)
日本青年会議所(JC)が主催し、全国の中学1年から高校2年までの20人が選抜される青少年育成事業「JCI JAPANグローバルユース国連大使」に選出された。世界の文化や価値観に触れ、SDGs(持続可能な開発目標)達成に貢献できる人材を目指し、国内やカンボジアで研修を重ねた。茶殻などの未利用資源を有効活用する学生プロジェクト「茶っぷさいくる」のメンバーも務める。清水東高に在学中の16歳。 -応募のきっかけは。 「元々社会貢献やボランティアに興味を持っていた。家族ぐるみで仲が良い1学年上の先輩が昨年大使を務め、生き生きと活躍する姿に憧れ、自ら立候補した」 -国内研修で学んだことは。 「オ
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静岡人インタビュー「この人」 聖隷三方原病院長に就任した 山本貴道さん(浜松市中区)
2023年1月に副院長として着任し、7月からかじ取り役を担う。専門は脳神経外科。浜松医科大卒。富士宮市出身。62歳。 -医師を志したきっかけは。 「親族に医者はいないが、清水東高でクラスの4分の1の生徒が医学部を目指していて、医学の道に進むのは環境的に自然な流れだった。学生の頃に初めて手術を見た際、脳があまりにきれいで神秘的だったことや、神経科学の研究分野で未解明な部分が多いことにひかれて脳神経外科を選んだ」 ―聖隷三方原病院の強みは。 「ドクターヘリを持ち急性期医療に強いのはもちろん、病床数が県内最大で慢性期医療も充実していて診療の幅が広い。4月に開設した『外傷センター』では、下肢
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静岡人インタビュー「この人」 清水町のふるさと大使を務める海洋生物写真家 峯水亮さん(清水町)
沼津市の大瀬崎など国内外で海洋生物の写真を撮影する。7~8月に清水町で、町制60周年記念の一環として個展が開かれた。撮影対象は主に稚魚や幼生などのプランクトン。撮影した写真のパネルは、同町のふるさと納税の返礼品にもなっている。大阪府出身。52歳。 -なぜ清水町に。 「大瀬崎でダイビングガイドとして働いていたが、1997年にフリーの写真家として独立した。柿田川の美しさに引かれて、清水町に住み始めた。水がきれいで環境がよく、過ごしやすい土地だと感じる。仕事で東京に行くこともあり、アクセスがいいことも魅力」 -写真の道に進んだ理由は。 「ダイビングの仕事をしていたときに、もっとたくさんの人
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天竜商工会(浜松市天竜区) 島明男事務局長 団体垣根越え連携強化【キーパーソン】
地域の金融機関や行政の代表を招いた金融懇談会を開催するなど、団体の垣根を越えた地域経済の立て直し策を探っている。疲弊する地域経済にいま求められる視点と展望を聞いた。 -天竜の経済状況は。 「かつての主要産業だった林業が衰退し、少子化にも歯止めがかからない状況。商工会もそのあおりを受けて会員が減少し、将来の先行きが見通せないのが現状。ただ、天竜商工会は事業継承計画の策定件数で4年連続県内1位の実績がある。事業者の可能性を引き出していくことが、地域経済浮上の鍵になる」 -力を入れている取り組みは。 「まずは地域の金融機関と商工会のホットラインを作って、情報共有を進めていくことが重要と考え
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静岡人インタビュー「この人」 名古屋税関清水税関支署長に就任した 谷本勇王(たにもといさお)さん(静岡市清水区)
中部空港税関支署次長などを歴任、7月に就任した。税関の三つの使命である「安全・安心な社会の実現」「適正かつ公平な関税等の徴収」「貿易の円滑化の推進」の実現を抱負に掲げる。岐阜県高山市出身。57歳。 -県内に初赴任の感想は。 「郷里は海がない場所だったこともあり、駿河湾越しの富士山を見ながら日々仕事ができることが感激だ。静岡県は全国有数の工業地域であり、農林水産業や観光業も盛ん。まさに三拍子そろっていて、このような地域はほかにない」 -抱負は。 「輸出入関係事業者に対し、税制面などで優遇措置のある各国との経済連携協定(EPA)に関する情報提供を積極的に行い、利活用支援をしたい。輸出入促
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静岡人インタビュー「この人」 静岡県警の無線通話技能大会で優勝した 高林杏樹さん(菊川市)
静岡県警拝命5年目までの警察官が参加し、無線連絡技術を競う「通信指令無線通話技能競技会」で優勝した。現場から無線通話で犯人の特徴や逃走経路などを県警全体に素早く情報共有する技術を高めて、迅速な初動捜査につなげている。将来は国際捜査官になるのが目標。菊川署地域課所属。関西外国語大卒。23歳。浜松市中区出身。 -通信指令無線通話とは。 「110番を受けて現場に臨場した警察官が携帯する無線通話機を使用し、被害者の状況や犯人の目撃証言などを情報共有する初動対応。例えば、ひったくり事件などが発生した場合、現場から被疑者の特徴や犯行情報を警察署で待機している警察官や巡回中のパトカーにすぐ伝えることが
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生成AIを学校現場で使うのはあり?有識者インタビュー②【賛否万論】
学校の夏休みが終わりましたが、読書感想文や自由研究など夏休みの宿題に生成人工知能(AI)が悪用されるのではないかと一時、全国的に物議を醸しました。県教委によると、授業での本格的な活用はこれからですが、学校生活に限らず、日常のさまざまな場面で生成AIが使われていく可能性があります。今後、私たちは生成AIとどのように向き合っていけばいいのでしょうか。情報モラル教育が専門の静岡大教育学部准教授の塩田真吾さんに考え方や留意点について聞きました。(社会部・大橋弘典) 学習目的を考えることが大切 静岡大教育学部准教授 塩田真吾さん 教育委員会や学校から生成AIの利用に関する問い合わせはありますか。
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静岡人インタビュー「この人」 富士宮市の時報で流れる市歌を歌った 山崎陽子さん(東京都)
短大卒業後に歌手の道に進んだ。松田聖子さんのコンサートコーラスを皮切りにプロとしてキャリアを始め、ディズニー作品「ビアンカの大冒険」の主題歌と挿入歌を担当するなど、多方面で活動。2003年から現在も浜崎あゆみさんのバックコーラスを務める。ことし8月から刷新された、富士宮市の午後4時を知らせる同報無線で市歌を歌っている。同市出身。 -歌手になった経緯は。 「高校生の時にミュージカルを見てあふれんばかりのエネルギーに感動し、都内の音楽系の短大に進んだ。在学中に芸能関係者と知り合い、コーラスのオーディションを受けたのが始まり。松田聖子さんや松任谷由実さんのコーラスに合格した。幸運にも人との縁が
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静大特支中学部生 コースター作品出展 色合い褒められ「うれしい」 静岡県立美術館
静岡大付属特別支援学校中学部の生徒6人が30日、作業学習で自作したコースターを展示している静岡市駿河区の静岡県立美術館県民ギャラリーを訪ね、来場者に感想を聞いた。 生徒は「学校の来客をもてなす」をテーマに織機で毛糸を編み、12点の展示用コースターを作った。色使いを追求したり、形を美しく整えるよう気を付けたりしたという。 同校は、他者の視点に関心を持つことで生徒自身の視野を広げようと来場者へのインタビューも企画した。生徒は自分たちの作品が展示されているのを見てうれしそうな表情を見せ、鑑賞に来た人に感想を求めてノートに記した。3年の近藤菫さんは「色合いがきれいと言われてうれしかった。大勢の人
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静岡人インタビュー「この人」 県環境資源協会長に就任した 平井一之さん(藤枝市)
6月末に開かれた定時総会で静岡県環境資源協会の第3代会長に就任した。資源やエネルギー、廃棄物問題に対し、県知事が専門指導を認可した機関である同協会の専務理事として10年以上培った人脈や経験を生かし、行政と産業界のパイプ役を担う。自宅で飼っているボーダーコリー2匹との散歩を楽しむ愛犬家。72歳。 -協会の活動内容は。 「脱炭素化、循環型経済、自然共生という三つの課題に対し、環境と経済が両立する社会を構築するため、県や環境省の補助事業を執行している。22年度は全国の企業や団体から650件、計132億円の補助金採択があった」 -環境省が推奨する環境経営システム「エコアクション(EA)21」の
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静岡人インタビュー「この人」 県西部で音楽イベントを企画する 杉田浩一さん(浜松市東区)
2012年から浜松市でチャリティー音楽ライブ「オアシス・ハママツ」を主宰する。今年から湖西市に活動の場を広げ、5月に音楽ライブ、7月に屋外イベントを開いた。自身も「ソラノネ」「杉徳商店」などの名前で音楽活動をしている。浜松市北区三ケ日町出身。44歳。 ―音楽を始めた契機は。 「湖西高時代に友人とバンドを組んだのがきっかけ。自宅の倉庫や教室で練習し、文化祭でステージに立った。卒業後も働きながら音楽を続け、浜松市や豊橋市を拠点に活動してきた」 ―イベント企画の経緯は。 「音楽を自分のためだけでなく社会貢献につなげようと思い、浜松市内で東日本大震災の被災地支援や途上国の給食支援の慈善ライブ
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静岡人インタビュー「この人」 修善寺紙の発展に努める 舛田拓人さん(伊豆市)
大学院修了後、大阪府のスポーツ用品メーカーに勤務し、サッカーシューズの商品開発に携わる。2021年9月から伊豆市地域おこし協力隊として同市修善寺に移住。同市の紙谷和紙工房で和紙を作るほか、原材料を育てたり観光客への紙すき体験を行ったりしている。富山市出身。31歳。 -同隊応募のきっかけは。 「自分のやりたいことができる企業で働いていたが、改めて自分で決定権を持って仕事をしたいと思うようになった。世界で通用する事業、さらに伝統工芸に挑戦したいと思い調べたところ、『修善寺紙』を見つけた。地域になじみやすく、支援もあることから、応募を決意した」 -伊豆市の良さは。 「地元の方やほかの移住者
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古屋旅館(熱海市)内田宗一郎社長 現場の課題、DXで解消【キーパーソン】
創業200年余の老舗旅館の17代目。現場の課題を解決するためにデジタルトランスフォーメーション(DX)を積極的に導入し、従業員の負担軽減などで効果を発揮している。 -どのような業務にDXを導入しているか。 「お客さまの食物アレルギーの有無や細かな要望事項などは、宿泊予約サイトから自動的に自社の顧客管理システムに反映されないため、社員が一つ一つ確認し、手作業で入力していた。接客や電話対応などと並行して行うため、大きな労力を割いていた。これを遠隔で入力できる仕組みを地元業者と開発し、外部委託したことで現場に余裕が生まれ、サービス向上につながった。月間労働時間も約120時間削減できた」 -人
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静岡人インタビュー「この人」 静岡県医療的ケア児等支援センターのアドバイザー 小林不二也さん(富士宮市)
日常的に人工呼吸器やたんの吸引などが必要な医療的ケア児等を支援するため、看護師資格を持つ2人のスタッフとともに相談対応や関係機関への橋渡しを担う。養護学校(当時)や国立病院で勤務経験があり、富士市や富士宮市で在宅の重症心身障害児を支援する施設を開設した。浜松市浜北区出身。66歳。 ―現状は。 「医療技術の進歩に伴い、これまで命を落としていた子どもたちを救えるようになった。県内には在宅で約600人いるとされ、今後も増えていくと予想される。ケア児と家族が地域で安心して暮らせる環境をつくるため昨年7月、県医療的ケア児等支援センターが設置された」 ―アドバイザーの役割は。 「医療的ケア児等の
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静岡人インタビュー「この人」 浜松青年会議所(JC)の次期理事長に選出された 稲垣善彦さん(浜松市南区)
2017年入会。20年地域連携委員会委員長、22年人材発掘室長を歴任し、23年は副理事長を務める。本業はイナガキ建設(浜松市南区)専務。24年1月から就く理事長の任期は1年間。36歳。 ―入会のきっかけは。 「JCに入っていた友人がいて、当時30歳、自慢できるものは何かと問われ、考えてみると仕事の腕しかなかった。祖父の代から自営業をやってきて、現在は父が社長。そうした環境の中、横のつながりが薄いと感じていたこともあり、入会した」 ―JCで得たものは。 「建設業でずっと仕事をしていたら出会わなかった人や、いろいろな考え方を持った方がいて、自分の中で大きく成長につながった。理事長の立候補
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生成AIを学校現場で使うのはあり?有識者インタビュー①【賛否万論】
情報技術が飛躍的に進化する中、人間と会話しているかのように応答できる対話型の生成人工知能(AI)が登場し、教育界にも衝撃を与えています。夏休みの宿題に利用されるのではないかとも話題になりました。文部科学省は夏休み前の7月、暫定的なガイドラインを各教育委員会に通知しましたが、生成AIを使ったことがなかったり、利点や欠点をよく知らなかったりする教員や保護者が多いのが実情です。学校現場でどのように活用すべきでしょうか。まずは、生成AIに詳しい静岡大情報学部の狩野芳伸准教授(情報理工学)にその仕組みや特性について聞きました。(社会部・大橋弘典) 仕組みは〝ものまねマシン〟 静岡大情報学部准教授 狩
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静岡人インタビュー「この人」 旧制静岡高創立100周年記念誌の編集委員会担当責任者を務めた 水口好美さん(裾野市)
旧制静岡高創立100周年を祝って、静岡大学岳陵会(文理・人文・人文社会科学部同窓会)と理学部同窓会が発刊した記念誌「知をつなぎ、新たな100年へ」の編集委員会担当責任者を務めた。静岡大文理学部を卒業後、県内の高校で数学の教員になり、韮山高や沼津東高の教頭などを歴任。2021年3月まで非常勤講師を務め、長年にわたって教育現場で活躍してきた。79歳。 -なぜ責任者になったのか。 「旧静岡高時代の寮を自分も使っていたり、当時の教官から指導を受けたりした経験があった。県立中央図書館調査課長を務めていた時に学んだ昔の資料を探す手だてを生かせるとも思った。データベースで他の図書館の本を検索できる時代
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静岡人インタビュー「この人」 県PTA連絡協議会の会長に就任した 宮下修一さん(静岡市駿河区)
静岡県内各地区のPTA会員が連携するための組織「県PTA連絡協議会」の会長に就任した。中央大法科大学院教授。北海道釧路市出身。53歳。 -PTA活動のきっかけは。 「双子の長男と次男が小学生の頃に妻に勧められ、静岡市立大谷小PTAの父親委員会に入ったのが始まり。夏祭りのクイズ大会で、景品を懸けて子どもがはしゃいだり悔しがったりする姿を間近で見られて楽しかった。翌年には本部副会長、さらに次の年には会長に。同小140周年を祝う寸劇でカッパ役をやり『カッパの会長』と親しんで呼んでもらえるようになったのが良い思い出」 -PTAの現状をどう見るか。 「新型コロナウイルス禍を契機に、県内でも行事
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静岡人インタビュー「この人」 全国青色申告会総連合の新会長 伊藤升吾さん(浜松市東区)
全国各税務署管内402の青色申告会(青申会)で構成する組織。常任理事、副会長を歴任し6月、トップに就任した。県青色申告会連合会、浜松西青色申告会、浜松市納税意識啓発市民会議の会長も務める。70歳。 -青申会とは。 「個人事業主を中心とした納税者団体。記帳から決算、申告に至る一連の指導だけでなく、経営や労務、登記、建築、相続など事業に付随するさまざまな問題の相談に乗ることができる体制を整えている。会員にとっては同規模の事業主との異業種交流も魅力の一つだと思う」 -全青色の主な活動は。 「青申会の会員は全国に100万人、県内では3万人。各青申会員の獲得と指導に向けたサポートに注力している
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静岡人インタビュー「この人」 熱海特産ダイダイの魅力発信に努める 高木康行さん(伊東市)
熱海市特産のダイダイの価値と、活用の機運を高める「熱海だいだい和菓子プロジェクト」を7月に始動した。若手社員と商品開発や普及活動を行い、販路拡大も目指す。伊東市出身。 -始めたきっかけは。 「これまでもニューサマーオレンジなど伊豆地域のかんきつ類を使った和菓子の製造販売に取り組んできた。ダイダイの活用にも挑戦してきたが、独特の苦みや渋みに阻まれていた。そんな中、2年前に熱海市の生産者、岡野谷伸一郎さんと出会い、ダイダイの魅力を広めたいという熱意に共感し、商品開発に改めて挑もうと決意した」 -ダイダイの魅力とは。 「日本では正月飾りでの使用が中心で、あまり食用に使われてこなかった。しか
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静岡人インタビュー「この人」 設立30周年を迎えた静岡県社会福祉士会の会長 高橋邦典さん(浜松市中区)
静岡県職員として高齢者や障害者、地域の福祉行政に携わる傍ら、社会福祉士の資格を取得。退職後の2020年、会長に就いた。約1500人の会員とともに活動の充実に努めている。県社会福祉協議会常務理事、64歳。 -社会福祉士の仕事とは。 「社会福祉協議会や地域包括支援センター、社会福祉施設、医療機関などの窓口で高齢者や障害者、児童に関する相談を受け、必要な支援につなげるのが柱。成年後見人を務めている人も多い。社会福祉士会としては会員個々の活動だけでなく、社会的な課題に対して改善を呼びかけるソーシャルアクションにも取り組んでいる」 -近年増加している相談は。 「80代の老親が、ひきこもりの50
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静岡人インタビュー「この人」 浜北商工会青年部長に就任した 平野明史さん(浜松市浜北区)
浜松市浜北区の若手経営者らでつくる浜北商工会青年部は、2023年度で発足60周年を迎えた。節目のタイミングで組織のけん引役を務め、地域活性化へ意気込む。繊維製造業の平織産業取締役。38歳。 -就任の抱負を。 「23年度のスローガンは『挑戦』。コロナ禍で落ち込んだ地域経済を上向かせるため、若い世代から元気を発信していきたい。幸い、前年度から地元の飲食店などにも少しずつにぎわいが戻ってきた。この勢いを継続させていく」 -具体的な活動は。 「5月に『遠州はまきた飛竜まつり』を4年ぶりに開いた。目玉のナイアガラ花火を待ちわびていた人が多かったようで、会場の熱気のすごさに驚いた。区の再編で浜北
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静岡人インタビュー「この人」 伊豆長岡温泉のまちづくりに関わる 榊田幸平さん(伊豆の国市)
日本大国際関係学部在学時、伊豆の国市の伊豆長岡温泉街で開催されているイベント「温泉場お散歩市」の運営を手伝う。約2年間活動し、「伊豆長岡温泉の再生に向けた地域資源調査」について研究した。旅行のツアーを企画・販売できる国家資格「国内旅行業務取扱管理者」も取得。卒業後、沖縄県の人口約10人、周囲約2キロの由布島で、西表島とを往復する水牛車の運転などに携わった。6月から市地域おこし協力隊として同市四日町に移住し、客室7棟が点在する分散型ホテル「さかなやステイ」のスタッフを務める。埼玉県本庄市出身。26歳。 -同隊応募のきっかけは。 「知人と連絡を取ったりSNSで調べたりしていたところ、お散歩市
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静岡人インタビュー「この人」 静岡・用宗漁港でワカメとアカモクの商品開発に取り組む 青木拓磨さん(静岡市駿河区)
静岡市駿河区の用宗漁港でワカメの養殖と天然アカモクの商品開発に取り組む。黒潮の蛇行や海水温上昇でシラス漁が安定しない中、用宗漁港の新たな魅力として生産拡大に挑む。清水漁業協同組合用宗支所青壮年部の部長。35歳。 -主な活動内容は。 「1月から3月のシラスの禁漁期に、1年かけて育てた養殖ワカメの収穫を行う。塩蔵ワカメに加工し販売するほか、収穫した日の朝には採れたての生ワカメを販売する。同時期に漁港内に自生しているアカモクを収穫し、ゆでて細かく切ったものを販売する」 -始めたきっかけは。 「ワカメの養殖は長年、青壮年部で続けてきたが、海水温が上昇したことで2017年から不作が続いた。そこ
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静岡人インタビュー「この人」 精神疾患の親を持つ子供や若者を支援する「CoCoTELI(ココテリ)」理事長 平井登威さん (浜松市中区)
精神疾患の親を持つ25歳以下を対象に、自らの当事者体験を生かしてオンラインの居場所づくりなどの支援に携わる。8月末まで2カ月間、支援の拡充を目指したクラウドファンディング(CF)に取り組んでいる。関西大4年。4月から休学し、出身地の浜松市に滞在。21歳。 -活動の経緯は。 「自分が幼稚園の時に父親がうつ病になり、誰にも悩みを相談できず苦しい日々を過ごした。転機は大学進学後。偶然にも同じ環境の友達に出会い、一人ではないと気づけた。社会の理解や支援が不足している現状を何とかしたいと問題意識を持ち、学生団体を立ち上げて2021年9月から、チャット形式のオンラインツール『スラック』を活用した悩み
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脱炭素重視し工業炉設計 エコム(浜松市浜北区)/高梨智志社長【キーパーソン・最前線】
産業用工業炉の設計、開発、製造の産業システム事業と祖業の保守サービス事業を手がけ、3月に名古屋証券取引所メイン市場に上場した。脱炭素社会の実現へ最先端の熱技術を駆使し、工業炉からの二酸化炭素(CO2)排出削減ニーズに対応する。 -事業の内容と強みは。 「全体売上高の7割が四輪、二輪など輸送機器向け。工業炉の産業システムの特徴は、受注の前段で行う『ヒートトライアル』と呼ぶ加熱実証テスト。業界トレンドの省エネ、省時間、省スペースを踏まえた上で、熱源や温度、加熱方向、スピードなど最適な熱処理の条件を導き出し、オーダーメードの設備を提案する。綿密な実証に基づく独自の受注体制は顧客との信頼構築につ
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静岡人インタビュー「この人」 スルガ銀行の「営業本部温泉部長」寺田聡さん(横浜市)
スルガ銀行公式サイトで静岡、神奈川県と伊豆諸島の温泉やグルメ、観光名所を紹介する「井伊部長の温泉グルメ探訪」。井伊湯種(いいゆだね)のペンネームで連載リポートを担当する。コロナ禍で休止していたが、今年5月、2年半ぶりに連載を再開した。普段は横浜市内の支店に勤務する。59歳。 -連載を始めたきっかけは。 「スルガ銀行の主要営業エリアには伊豆、箱根、湯河原などの温泉地がある。行内で地域活性化につながる貢献事業を考えていた時、後輩が各地の素晴らしい温泉や食べ物を多くの人に伝えたい、と発案した。温泉マニアだった自分が担当に決まり、2013年にスタートした」 -いつから温泉好きに。 「沼津市の
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静岡人インタビュー「この人」 日本高校野球連盟の育成功労賞を受賞した 栗林俊輔さん(磐田市)
静岡高野球部の前監督として13年間で春夏通算7度の甲子園出場を果たした。初任地は野球部のない清水南高。磐田北高で創部と同時に初代監督に就き、浜松工高を経て2008年に静岡高に着任した。鈴木将平外野手(西武)、村松開人内野手(中日)らプロ5人を育てたほか、東京六大学野球リーグの東大に3人を送り出した。県教委健康体育課勤務。50歳。 -表彰をどう受け止めた。 「賞をいただくことは光栄。生徒や全ての野球関係者に野球を通じて自分の方が育てていただいたと実感、感謝している」 -指導者になった経緯は。 「自分が磐田南高3年の夏は1回戦で敗退。負けたことで野球へのこだわりが強くなった。体育の教員を
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静岡人インタビュー「この人」 演奏会シリーズ「壬生の響き」を企画運営する 山崎綾さん(浜松市浜北区)
浜松市天竜区二俣町の天竜壬生ホールで、演奏会シリーズ「壬生の響き」を立ち上げ、地域の文化振興に力を注ぐ。天竜材に包まれた優れた音響を、プロの演奏家の公演で広く伝えるべく企画・発信している。34歳。 -企画した経緯は。 「天竜壬生ホールを指定管理する浜松市文化振興財団の職員として、イベントやワークショップの運営に携わって7年。公演のたびに『いいホールだな』と感じてきた。一方で、その魅力が十分には知られていない現実をもどかしく思ってきた。地域の財産ともいえるホールに、より多くの人に触れていただこうと、開館20周年の昨年に企画を立ち上げた」 -演奏会の特徴は。 「平日の夜に限定し、シリーズ
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静岡人インタビュー「この人」 伊豆山温泉旅館組合の組合長を務める 山田洋一さん(千葉県)
8軒の宿が加盟する組合のトップとして、土石流災害からの復興に向けて伊豆山の魅力の発信に力を入れる。ホテル水葉亭を運営する大江戸温泉物語運営本部第3運営部長。49歳。 -伊豆山の魅力は。 「海と山の絶景や走り湯をはじめとした温泉資源。さらに平安時代から続く歴史は、熱海市中心街とは違った魅力がある。狭いエリアではあるが、大手企業が運営する宿泊施設が多く、新たなホテルの建設も進んでいる。それぞれに個性があり、お客さまの選択肢は広いと思う」 -地域の現状は。 「土石流の発生から2年以上がたったが、まだまだ厳しい状況が続いている。ただ、9月1日に警戒区域が解除される予定になり、長いトンネルの先
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静岡人インタビュー「この人」 静岡県商工会青年部連合会の会長に就いた 吉村隆さん(静岡市清水区)
今春から静岡県内34商工会青年部の会員約1100人を束ねる。静岡市清水区で金属スクラップの回収や分別を担う東海金属の専務。静岡市清水商工会青年部所属。40歳。 -連合会の課題は。 「会員が減少し続けていることだ。親が会員でもその子どもが入会しなかったり、廃業が増えたりしていることが原因。45歳で定年を迎える退会者を上回る入会者を集める必要がある。事業サポートのほか、異業種交流で得られる知見などの利点をアピールし、今まで以上に若手経営者に声をかけていく」 -任期中の目標を。 「新型コロナウイルス禍で鈍っていたイベント活動を再び活性化させる。複数の青年部による合同企画で、各地の魅力や会員
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事業変革促し価値創造 FG中核企業の成長策 静岡銀行頭取・八木稔氏【聞きたい】
昨年10月に発足した持ち株会社しずおかフィナンシャルグループ(FG)は、静岡銀行を含めたグループ連携策を成長の柱に据える。原料高、ものづくり高度化、事業承継などコロナ禍後も県内企業の課題が山積する中、静岡銀行はグループ中核企業として本業の収益力向上に努めつつ、取引先の事業変革を促して地域経済活性化、脱炭素推進に注力する。 ―中期経営計画の中で重視することは。 「課題解決と地域活性化、収益機会拡大を併せた『地域共創戦略』が重要。根幹は持続可能な社会、地域をどうしたら維持できるのか。DX、イノベーション、環境、生産性向上など多様な手法で解決策を考えることで、収益拡大につなげる。地域と金融機
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静岡人インタビュー「この人」 マッスルゲート浜松大会で3冠に輝いた 鈴木沙織さん(浜松市東区)
6月に浜松市中区で開かれた全国から約320人が参加して筋肉量やスタイルを競いあったコンテスト「マッスルゲート浜松大会」で、出場した全部門で優勝して3冠に輝いた。保育士として働きながら、美しい体を作る「ボディーメーク」に打ち込み、日々体を鍛える。35歳。 -ボディーメークを始めたきっかけは。 「昔は食べても太らない体質だったが、年齢を重ねるうちに少し体形が気になるようになり、5年ほど前にジムに入会した。入会から半年後にジムが主催する日本大会に出ると準優勝することができた。大会で自分の鍛えた体とポージングを披露する楽しさにハマり、トレーニングを続けるようになった」 -トレーニングは普段どの
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路線縮小、黒字化目指す コロナ禍でビジネス利用に変化 鈴木与平/フジドリームエアラインズ会長【聞きたい】
新型コロナウイルス感染症拡大が影響するなどし、2019年3月期以降4年連続で最終赤字を記録したフジドリームエアラインズ(FDA、静岡市)が、路線見直しなどで経営立て直しを進めている。今月23日に就航14年の節目を迎えた同社は今後の航空需要を見極めながら、弾力的な路線運航を志向する。 -航空需要の動向は。 「羽田空港発着の便などでは乗客が戻ってきているようだが、地方路線の場合、本格復活にはまだ時間がかかる。特にビジネス利用客の戻りが鈍い。テレワークなどが根付いたこともあり、日本人の働き方が社会全体で変わっている。これに航空会社として対応していく必要がある」 -相次いで路線の休止を決めた
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先生の残業代 どうあるべき?有識者インタビュー②【賛否万論】
先週の賛否万論は国レベルで進む公立学校教員の給与制度や働き方の見直しについて、教員サイドの見解を聞きました。今回は教育研究家の妹尾昌俊さん(43)に、委員を務める中央教育審議会(中教審)特別部会での議論の見通しなどを聞きました。(社会部・河村英之) 教員と子どもにゆとりを 教育研究家 妹尾昌俊さん 永岡桂子文部科学相は働き方改革や待遇改善などの項目を諮問し、6月に特別部会が設置されました。給与制度の見直しでは教職調整額(月給の4%)を引き上げたり、時間外勤務手当を付けたりする案があります。 まだ2度しか会議を開いていないのであくまで現時点での感触ですが、教職員給与特別措置法(給特法)の
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静岡人インタビュー「この人」 ICOIプロジェクトのコーディネーターに就いた 後藤康彰さん(東京都)
温泉を活用して産業を創出し、伊豆地域を活性化する県のプロジェクトのコーディネーターに就いた。元自転車競技選手の平塚吉光さんとともに、事業者のマッチングや商品造成支援を担う。日本健康開発財団主席研究員。温泉専門家ゆえに「フロフェッサー」を自称する。大阪生まれ、京都育ちの56歳。 -どんな役割を担うのか。 「温泉と健康を軸に地域のさまざまな素材を結び付けて提供し、経済効果を生み出して温泉街や伊豆地域を元気にする。宿泊と飲食だけという現在の滞在から、地域全体でいろいろな楽しみ方ができるようにする。温泉のプロではあるが地域のプロではない。魅力を最も知る地域の人々を支援しながら進める」 -伊豆地
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静岡人インタビュー「この人」 プラネタリウム誕生100年の番組を制作 日向健さん(焼津市)
プラネタリウム誕生100年の今年、勤務するディスカバリーパーク焼津天文科学館で自主制作番組を手がけた。解説員として星や宇宙の魅力を伝える。富士宮市出身。43歳。 ―番組のコンセプトは。 「プラネタリウムは誕生から100年で大きく様変わりした。近年は、デジタル映像の進化でよりリアルな宇宙が再現可能になっている。そうした技術を使い、臨場感あふれる映像体験をテーマに据えた。プラネタリウムを訪れるのは人生で3度とも言われる。最初は親と、2度目は恋人と、3度目は自分の子どもと。その回数が増えるきっかけになればうれしい」 -内容は。 「現在投影中の『宇宙だいぼうけん!』は、米航空宇宙局(NASA
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静岡人インタビュー「この人」 SDGsに関する絵本教材を制作し図書館に寄贈した 高田亜美さん(浜松市中区)
SDGs(持続可能な開発目標)をテーマに子ども向け絵本「うさぎたんてい~うみとそらとやまのだいぼうけん~」を制作し、浜松市内の図書館などに寄贈した浜松学院大地域共創学科3年生。絵本サークル「Smile Leaf」代表。御殿場市出身の20歳。 ―絵本の内容と工夫した点は。 「依頼を受けたウサギの探偵が平和な街に起きた悲劇を伝え、海や山の自然に触れながら環境問題の謎の解決を目指す物語。読み手に考えてもらうきっかけをつくれるよう終わり方を工夫した。私たちの暮らしと山や海などの自然は一つにつながっていることを伝えたい」 ―制作のきっかけは。 「学童で小学生に本を読む機会があり、子どもたちの教
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静岡地裁所長に就任した 永渕健一さん【時の人】
「静岡地裁をより力強い存在にできたらいい」。就任の記者会見で、願いを込めてそう強調した。 とかく縁遠く感じられてしまいがちな司法の分野。社会のIT化・デジタル化が進む中、裁判所としても対応を図り、利用のしやすさを追求する。「より良い司法サービスの提供が目指すところだ」 憲法は「裁判官の独立」を保障する。「独立して仕事ができるところ、最終的な判断を示すことで社会に貢献できるところ」に魅力を感じ、裁判官を志望した。主に刑事裁判を担い、直近の東京地裁では裁判長として、収賄罪に問われた前伊東市長に実刑判決、福島第1原発事故を巡って業務上過失致死傷罪で強制起訴された東京電力の旧経営陣3人に予見可能
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静岡人インタビュー「この人」 短編映画祭を初開催する映画監督 藤木裕介さん(沼津市)
短編映画制作の傍ら、国内外で活動する現代アートチーム目[mé]の制作サポートなどに関わる。8月27日、沼津駅近辺で短編映画祭「みちくさ映画祭」を初開催する。39歳。 -企画のきっかけは。 「昨冬、市内で短編映画を作るワークショップを開いたが、関係者以外に上映する機会がなかった。参加者の一人で、映画上映会『スキマcinema』を主宰する大木真実さんが、より多くの人に見てもらえる場所をつくろうと映画祭を提案した」 -映画祭の概要は。 「公募で集まった20分以内の短編映画を複数の会場で上映する。上映作品を選考する「推薦委員」も沼津に関わる人を対象に公募した。推薦理由をプレゼン
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栄養価でパプリカ訴求 スマートアグリカルチャー磐田/久枝和昇社長 【キーパーソン・最前線】
磐田市内に設けた約3ヘクタールの大型ハウスで、ICT(情報通信技術)を活用してパプリカを生産している。一大産地として、生産や販売の拡大を目指す。 -生産するプリンセスパプリカの特徴は。 「日光を効果的に活用するオランダ型のハウスに加え、ICTで温度や湿度、炭酸ガス濃度などを最適化することで安定した品質、収量を確保している。血圧を下げる効果があるGABAの機能性表示がパプリカでは全国で初めて認められた。売り上げは年々伸びていて、昨年度は約4億5千万円と過去最高になった」 -今後の生産方針は。 「磐田市は日照時間が長く、パプリカ生産に適している。温暖で暖房コストも抑えられる。市内の生産面
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経営基盤強化へ改革を ハイナン組合長 八木達良さん【JA新トップに聞く】
-管内の特徴と課題は。 「温暖な気候や広い農地に恵まれた管内では茶をはじめ、レタスやイチゴなどさまざまな農作物が盛んに生産されている。近年では沿岸部を中心にサツマイモの産地化に注力している。農業従事者の高齢化、離農は慢性的な課題だ。特に主要作物の茶では価格低迷、肥料や燃油など生産コストの高騰もあり厳しい状況下に置かれている。歴史ある茶業を守るため、販路拡大や大手ドリンクメーカーとの契約栽培の安定生産などに引き続き努める」 -農業振興への方策は。 「本年度から始まった2カ年計画では産地の維持、拡大に向け、主要作物ごと明確な目標を定めた。吉田町では茶園転換畑地化に取り組み園芸団地として約2
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静岡人インタビュー「この人」 家族を世話する子どもの支援団体「ヤングケアラー協会」理事 高垣内文也さん(浜松市中区)
家族の介護や世話を日常的に担っている子どもや若者が、夢を諦めずに自分らしく生きられるよう、行政や民間団体と連携して支援策を模索している。県の委託事業で開催したオンラインや対面形式の交流会では司会を務めた。自身も元ケアラー。神戸市出身。37歳。 ―自身のケアラー体験とは。 「認知症だった祖母の世話を20歳から約10年間続けた。18歳以上はヤングケアラーではなく、若者ケアラーと呼ばれる。祖母は体が元気でも脳が次第に衰え、料理や買い物、通院がうまくできなくなり、自分が代わりに行ったり付き添ったりした」 ―東京にあるヤングケアラー協会で働き始めたきっかけは。 「大学卒業後、認知症に向き合う人
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先生の残業代 どうあるべき?有識者インタビュー①【賛否万論】
公立学校教員の給与制度を見直す議論が国レベルで進んでいます。教職は厳格な時間管理が難しいとして、教職員給与特別措置法(給特法)は月給の4%をあらかじめ上乗せして支給する代わりに、残業代を支払わないとしています。教職調整額と呼ばれるこの特殊な規定は近年、学校現場の多忙化により実態に合わなくなりました。待遇の適正な改善は当然の方向性ですが、長時間労働が是正されることも肝要です。“先生”の残業代はどうあるべきか-。県教職員組合の赤池浩章中央執行委員長(58)に見解を聞きました。(社会部・河村英之) 調整額増と働き方改革〝両輪〟 県教職員組合中央執行委員長 赤池浩章さん
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静岡人インタビュー「この人」 新興国の音楽教育普及に取り組む 日比野ともみさん(浜松市中区)
ヤマハに勤務し、エジプトやベトナムなどの新興国で音楽教育の普及活動を進めている。2012年から2年間、勤務しながら国際協力機構(JICA)の海外協力隊としてヨルダンで音楽教育活動に取り組み、その経験を仕事に生かしていることから、4月にJICAの「帰国隊員社会還元表彰」を受賞した。東京都出身。37歳。 -現在の仕事は。 「音楽の授業がない国で、リコーダーや鍵盤ハーモニカを使った教育を普及させるヤマハの『スクールプロジェクト』を進めている。現地の教員らに音楽教育の意義や授業の進め方、楽器の演奏手法を伝える研修が中心。自分が伝えたことが現地の子どもたちの学びにつながるので、とても重要な仕事だと
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新たな農地利用を研究 しみず組合長 石切山誠さん【JA新トップに聞く】
―抱負は。 「農家の所得向上や担い手の高齢化、後継者不足が課題となっている。清水では30年以上前から全国に例のない規模で急傾斜地の農地を畑地帯総合整備事業で平たんにしてきた。機械化に対応できるようになり、生産量も安定してきている。今後は課題解決のため、JAの垣根を越えた広域選果施設の建設など次のステップを検討したい」 ―どのように課題を克服するか。 「国は担い手がいない農地も含めた、地域ごとの農地利用計画を進めている。JAしみずとしてもバックアップしていきたい。例えば飛び地になっている農地や、耕作放棄地が地元にもある。こうした状況についてやる気のある若い就農者が大規模に農業を行いたい
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茶業界一丸で産地拡大 掛川市代表理事組合長 榛葉稔さん【JA新トップに聞く】
―基幹の茶業で消費拡大と所得向上が課題になっている。どのような戦略を描いているか。 「産地の維持と拡大のためには、急須で飲む茶文化を守り、インバウンド(訪日客)需要を取り込んでいく必要がある。国内外で有機栽培茶の需要は根強い。2023年度は、有機JAS規格茶の栽培面積を前年度の2倍以上の800アールまで拡大する。茶商や行政と一緒に、業界が一丸となって消費者に積極的に発信していく取り組みが大事だ。大きな枠組みで茶業を盛り上げていきたい」 ―補完作物についての考え方は。 「茶価の低迷が続く中、茶プラスアルファで仕掛けていくのは大切なこと。約20年前からイチジクやキャベツなど収入の足しにな
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第169回直木賞に決まった 永井紗耶子(ながいさやこ)さん【時の人】
今勢いに乗る時代小説作家が2回目のノミネートで直木賞に輝いた。山本周五郎賞とのダブル受賞は史上3人目。「単に別の時代を描くのでなく、今を考えるヒントになる映し鏡のような世界を書きたい」と語る。 受賞作「木挽町(こびきちょう)のあだ討ち」は、江戸時代後期の芝居小屋の裏手で起きたあだ討ちの真相を巡るミステリー仕立ての物語。事の詳細を調べる聞き手の武士の前に、芝居に関わるさまざまな人物が現れ、その生い立ちを語っていく。 「ライター時代のインタビューを思い出し、頭の中に人物像を描いて、あとは勝手にしゃべってもらいました」 舞台となった江戸後期は、戦乱の世を脱して停滞し、変化を望む雰囲気に満ちた
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静岡人インタビュー「この人」 西伊豆町で防災体制の拡充に取り組む 山本新吾さん(松崎町)
内閣府が認定する「地域防災マネージャー」として、4月から西伊豆町防災課で業務に当たる。防衛大学校、陸上自衛隊幹部候補生学校を卒業し、初任地の陸上自衛隊板妻駐屯地(御殿場市)など全国で勤務し、災害派遣の経験もある。定年後、神奈川県大磯町危機管理課に在籍した後、現職。任期は2年。熊本県宇城市出身。57歳。 -防災マネージャーとは。 「豪雨災害や発生の懸念がある南海トラフ地震に対応するため、内閣府が創設した制度。自衛官の経験や知識を生かし、自治体の防災力向上に努める。前任地の神奈川県では自治体の多くが採用していたが、本県では事例が少なく感じる。有事の際に自衛隊を活用できる人材として必要になる」
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静岡地検検事正に着任した 山田英夫さん【時の人】
現在の静岡市清水区で1966年、一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、有罪立証を維持する道を選んだ静岡地検。方針表明から一夜明けた11日付で、そのトップに就いた。「法と証拠に基づき、検察としていろいろと検討した結果。制度上も再審公判において検察は、再審開始決定に縛られるものではない」。着任会見では地検の従前の説明を踏襲した。 不祥事をきっかけに策定された「検察の理念」は、あたかも常に有罪そのものを目的とするかのごとき姿勢に「なってはならない」と自戒する。再審公判での有罪立証方針は、再審請求審の蒸し返しではないのか―。弁護団や支援者はもとより、市民の見る目
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静岡人インタビュー「この人」 鈴鹿8耐に初参戦する 伊藤章人さん(牧之原市)
牧之原市菅ケ谷でバイクショップを経営する傍ら、レーシングチーム「ゲズンハイトレーシング」の監督を務める。8月4~6日に三重県で開かれる国内最高峰のオートバイレース「鈴鹿8時間耐久ロードレース(鈴鹿8耐)」に初参戦する。50歳。 -鈴鹿8耐参戦の経緯は。 「父親の影響で幼い頃からバイクに親しみを持っていた。中学生の時に初めて見た鈴鹿8耐のレースにくぎ付けになり、いつかこの舞台に立ちたいと思い続けてきた。出場枠を懸けた2019年の挑戦では8耐の壁の厚さを思い知らされたが諦めなかった。自分と同じ気持ちを持ったライダーやスタッフら多くの仲間との出会いがあったからこそ達成することができた」 -本
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生産者との一体感醸成 大井川組合長 杉山芳浩さん【JA新トップに聞く】
―組合長に就任した抱負は。 「農業の振興をいかに進めていくか。いかに組合員をまとめていき、日々の農業生産から生活全般までを支援していくか。こうした命題に協同組合として応援して貢献し、幸せを作っていきたい。組織としては職員がやりがいを持って仕事に臨むことができるような職場環境を作っていく。それが生産者との一体感を生みだし、農業の活性化につながっていく」 ―JA大井川の強みは。 「1万6800人ほどの組合員の組織力。ファーマーズマーケット『まんさいかん』も年間100万人以上が利用している。管内の特産品もお茶、レタス、イチゴ、ミカン、カキ、トマトと豊富。これらの生産活動で伝統ある技術を継承し
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緑豊かな風景守りたい とぴあ浜松経営管理委会長 渥美保広さん【JA新トップに聞く】
―JAとぴあ浜松の現状をどう見ているか。 「平成7年(1995年)に(県西部の14農協が)合併し、とぴあが誕生して30年近くになる。先輩方が築いてこられた盤石な経営基盤を維持しなければならないし、農協として本来あるべき姿である農業振興をきっちりやっていかないといけない。コロナ禍の3年間は思うような活動ができなかったので、まずは3年前に戻すことが自分の役割だと思う」 ―エネルギーや肥料の価格高騰への対応は。 「とぴあ独自で昨年、eco(エコ)みどり配合という肥料を3種類つくった。価格は(一般的な肥料に比べ)3割くらい安い。この肥料は食品残渣(ざんさ)を原料にしているので、コスト削減や、
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囲碁をテーマにした小説を出版 松井琢磨さん【とうきょうウオッチ 静岡へ発進&発信】
会社経営の傍ら55歳から小説家を目指し、囲碁サロンが舞台のファンタジー小説「爛柯(らんか)の宴」で念願だった大手出版社からの書籍化を実現させた。電子書籍でデビューし、日本棋院の週刊紙連載を経て8年越しの夢をかなえた。静岡市出身。64歳。 -作品の内容は。 「40代で囲碁を本格的に始め、夢中になって通った実在のサロンでの出会いや人間模様を描いている。囲碁が題材の漫画がヒットしたように『面白い小説があれば初心者にも魅力が伝わるのでは』と考え、1話ごとに謎が残るミステリー要素や、囲碁の歴史・豆知識も盛り込んでいる」 -どんな反響があったか。 「週刊紙の連載が人気を集めただけでなく、電子書籍
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静岡人インタビュー「この人」 手延べ麺職人 加藤剛さん(浜松市北区)
浜松市北区引佐町の製麺所「いなさの郷」社長。手延べのそうめんやうどん、きしめんなどを手がけ、特産品「遠州手延べ麺」として売り出している。閑散期には茶の栽培も行う。46歳。 -どのような麺か。 「地域の特産品として40年ほど前から製造が始まった。現在は私と父、数人のパート従業員で生産している。そうめん、きしめん、うどんの素材は同じだが、太さの規格が異なる。そうめんを手延べで作っているのは県内でうちだけ。抹茶味や地元産のタマネギ味の麺作りにも挑戦している」 -手延べ麺の魅力は。 「機械や包丁で麺を切る工程がなく、生地を熟成させながら時間をかけて仕上げている。100キロの麺に対して、コップ
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静岡人インタビュー「この人」 幼稚園で外国籍の子どもたちの通訳をする アガラノ娃肥さん(沼津市)
外国籍の園児が約35%を占める清水町立清水西幼稚園で、昨年からフィリピン語と英語での通訳を担当している。保育の補助も行っている。フィリピン・アンティポロ出身。33歳。 -仕事内容は。 「年少のクラスをメインに外国籍の子どもたちの通訳をしている。保護者とコミュニケーションもとっていて、お便りの翻訳や先生との通訳、保護者用メール登録の仕方の案内も行う。職員や保護者には、来てくれて助かる、と言ってもらえた。子どもたちと関わるのは楽しく、お母さんたちが安心している姿を見るとうれしい」 -仕事の難しさや感じることは。 「保護者の中には、日本の教育を受けさせたいというよりも、預かってもらえればい
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静岡人インタビュー「この人」 静岡地方気象台長に就任 北田繁樹さん
気象庁で静止気象衛星「ひまわり」の運用・管理担当や土砂災害気象官などを経て現職。静岡勤務は2020年以来2度目。北海道旭川市出身。59歳。 -静岡の気象上の特性は。 「温暖で住みやすい気候だが、南に暖かい海、北に標高の高い山や斜面があり、その間の狭い平野に人口が集中している。伊豆半島を含めて大雨が降りやすく斜面や川の周辺を中心に災害が起こりやすい条件がそろっている」 -印象に残っている仕事は。 「通算で14年、衛星部門を担当した。ひまわりは諸外国と協調して運用しなければならず、英語やドイツ語での意思疎通に苦労した。本庁の土砂災害気象官時代は、震度5強以上の地震が発生すると地面がもろく
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インタビュー深掘りを 沼津城北高 企業訪問に向け講座
沼津市の沼津城北高は10日、インタビュー講座を開いた。1年生83人が夏休みに行う企業訪問で役立つスキルを身につけた。 静岡放送のプロデューサー・リポーターの鈴木俊夫さん(67)が講師を務め、代表生徒を相手にインタビューを実演した。事実関係の確認より相手の考えや気持ちを聞くことが重要で、そのためには答えの中身から次の質問を探し、深掘りすることが大切だと説いた。インタビューを受けた中村友咲さん(15)は「言葉選びや口調から相手を敬う姿勢が感じられた」と話した。 総合学習の一環。生徒は近隣の企業の従業員にインタビューし、キャリア形成の参考にする。
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静岡人インタビュー「この人」 都市対抗野球大会に出場するヤマハのダイヤモンドサポーターに就いた 青柳明子さん(浜松市中区)
かつてはマスコットガールと呼ばれていた社会人野球の花形。2022年に名称変更した。ベンチでチームを励まし、チームの33年ぶり優勝への貢献を目指す。東京都出身。23歳。 ―就任の経緯は。 「野球部の関係者の方から頼まれた。うれしくて、快く引き受けた。普段は広報をやっていて、野球でも会社のアピールをしてほしいと言われている。東京ドームは、コンサートでは行ったことはあるが、野球では初めて。ダイナミックな試合をベンチから見ることができるのは、個人的に楽しみ」 ―入社のきっかけと、現在の仕事は。 「3歳からヤマハ音楽教室でエレクトーンを習っていたので、つながりを感じていた。音楽という非言語で、
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新興企業と地元協働へ CFスタートアップス(東京都)/出縄良人社長【キーパーソン・最前線】
昨年度から始まった牧之原市内の地域資源を活用したビジネスプランを競う「牧之原市チャレンジビジネスコンテスト」の運営を担う。本年度も継続開催し、地域の産業や観光の活性化を目指しながらスタートアップ(新興企業)支援と誘致に取り組む。事業の特色や今後の展開について聞いた。 -事業の狙いと特色は。 「近年ブームとなっているスタートアップ支援を地方にどのように還元することができるか考えた。各地域には長年受け継がれてきた産業がある。スタートアップの革新的なアイデアと既存の企業が持つ経営資源を組み合わせて事業を創出することを目指している。オープンイノベーションの考え方を基軸として、アイデアに実効性を持
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静岡人インタビュー「この人」 三島市観光協会長に就任した 西原宏夫さん(三島市)
6月の総会で新会長に就任した。三島市ならではの観光の在り方や協会経営の改革を打ち出す。県東部を中心に飲食店を展開するにしはらグループ(同市)の会長。71歳。 ―どんな観光協会を目指すか。 「元気の良い市町の観光協会は、指定管理者や駐車場事業などの収入があるが、三島市は市の補助金に頼っている。補助金が減れば、観光協会が存続できなくなる可能性が出てくる。目指すのは、稼ぐ観光協会。自主財源を確保する方策を考え、まずは経営を盤石にしたい」 ―三島の魅力をどうみるか。 「水がきれいで自然に囲まれ、駅も近い。適度に田舎で、適度に都会。だからシティープライドが高いのだろう。家庭や職場ではない第3番
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俳優磯村勇斗さんインタビュー 故郷・沼津は「初心に戻れる場所」 PR大使就任
沼津市出身の俳優磯村勇斗さん(30)が9日、同市を訪れ、先日任命された市のPR役「燦々(さんさん)ぬまづ大使」の認証式に臨んだ。本紙のインタビューに応じた磯村さんは、多忙な中でも度々訪れる沼津を「初心に戻れる場所」と表現。故郷への熱い思いを語った。 同市中心部の沼津仲見世商店街で育ち、18歳まで沼津で暮らした。「上京後、番組や映画の撮影で沼津に来ることが多くなる中で恩返ししたいと思っていた。子どものころと比べて寂しくなった商店街に、若い人たちで新しい風を吹かせたい」と大使としての抱負を口にする。 沼津西高時代に地元劇団「沼津演劇研究所」に所属。自身の初舞台で演じたロシアの劇作家チェーホフ
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静岡人インタビュー「この人」 NPO法人結び家の理事長 戸塚結花さん(焼津市)
5月、藤枝市高洲地区にこども食堂「お結び」をオープンした。おむすびを中心とした食事を提供し、貧困や孤食の問題を抱える家庭の子どもをはじめ、障害者や高齢者らの居場所づくりを目指す。磐田市出身。47歳。 -こども食堂の事業を始めた理由は。 「社会課題として日本は先進国なのに年々、貧困率が上がっている。藤枝市は貧困世帯が多いと同時に、障害者や高齢者の居場所も足りていないと聞いた。そういう人々を助けられる場所を提供したかった。子どもの学習支援も考えている」 -5月に初開催したこども食堂を振り返って感じたことは。 「こども食堂に興味を持つ方が多いと感じた。SNSでボランティアを募ったら大勢の方
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静岡人インタビュー「この人」 剣道最高段位の八段に合格した 杉森義昭さん(掛川市)
京都市で5月に行われた審査会に臨み、合格率1%未満の難関を突破した。2日間で全国の剣士1665人が挑戦し、合格者は14人。県内では2016年以来7年ぶり14人目の八段保持者になった。23年4月から県剣道連盟副会長を務める。68歳。 ―合格した感想は。 「八段は目標であり、夢だった。47歳から審査を受け続け、初めて1次審査を通過したのが58歳の時。ずっと相手の動きと対応のパターンを考えて実技に臨んできたが、今回は頭の中を巡らなかった。無心ですがすがしい気持ちだけがあった。どう動いたかも覚えていない」 ―競技を始めたきっかけは。 「友人の誘いで中学校の剣道部に入ったのが始まり。当時は強豪
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立て直しへ営業力強化 中期経営計画前倒し策定 千葉靖史/島田掛川信用金庫理事長【聞きたい】
6月16日付でトップに就き、新たな3カ年の中期経営計画をスタートさせた。合併に合わせた前計画(計画期間2019~23年度)を1年前倒しで更新した背景には、スピード感を増す社会情勢の変化への対応に加えて、最終赤字を計上した23年3月期決算を踏まえた立て直しがある。原点回帰を意識して営業力や人材投資を強化する。 ―有価証券の損切りで最終赤字を計上した。どのような判断があったか。 「欧米を中心に各国の政策金利が急激に上がって外国証券や投資信託が大きな影響を受けた。利上げが続く状況下で、含み損を抱え続けるのは経営的に問題。整理すべきと考えた。比較的預貸率が低い地域柄で、貸出金利息と有価証券の運用
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静岡人インタビュー「この人」 小山町歌を制作した 秋田悦夫さん(小山町)
小山町が町制施行110周年記念事業の一環として一般募集した町歌で、応募64作品中の最優秀作品に選ばれた。町議会6月定例会で条例が可決され、正式に町歌として制定された。クリーニング会社経営。66歳。 -応募の経緯は。 「大学生の頃、東京都に住んでいた。ハードな生活で心身が摩耗する中、京王線の駅から小さな富士山を見た。麓に家族や友達がいて、豊かな自然があると思うと望郷の心が芽生えた。町に帰り、町のために活動したいと無性に思うようになった。町歌もその精神で作った」 -制作で工夫したことは。 「小さな子どもたちから高齢者まで気軽に、一緒に歌える単純なメロディーを意識した。シンプルな曲というの
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静岡人インタビュー「この人」 探求学習デザイナーとして総合学習を支援 鈴木秀喜さん(島田市)
昨年度末で教員の職を辞し、学校と事業所を結び総合的な学習をプロデュースする企業の年度内立ち上げを目指す。かつて教壇に立った島田第一中では生徒による地元観光の戦略プラン策定を支援する。30歳。 ―教員をやめ、起業を目指したきっかけは。 「『面白い授業を届けたい』『教育を面白くしたい』という思いが根底にあった。教員として詰め込み型の受験勉強を避けることができず、矛盾も感じていた。課題設定、情報の収集や整理、新たな課題の発見といった課題解決型の学習サイクルに可能性を感じた」 ―探求学習の効果は。 「普段知らない、見ようとしない、大人の世界にアプローチするきっかけになる。例えば観光戦略プラン
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静岡人インタビュー「この人」 NPO法人「山に生きる会」理事長に就任した 坂本貞夫さん(浜松市天竜区)
浜松市天竜区水窪町の豊かな自然や文化を後世に伝える取り組みや、山道の環境整備を手がけるNPO法人「山に生きる会」の理事長に6月1日付で就任した。半世紀以上を同町で過ごし、日々感じている地元の課題は多い。同町自治会連合会会長の経験などを生かし、地域の活性化に汗を流す。75歳。 ―暮らしの中で意識している地域の課題は。 「三遠南信自動車道の部分開通がこれから進み、観光客が増えると思うので、水窪に立ち寄ってもらえる仕掛けをつくらないといけない。一方で、山に生きる会の会員は高齢化が進み、後継者がいない状況。観光面と若手の確保が一番の課題で、どう解決すべきか考えている」 ―理事長に就任して、最初
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その目は次のW杯へ もう一回出て活躍したい サッカー代表伊藤
サッカー日本代表のDF伊藤洋輝(24)=シュツットガルト、磐田ユース出=が1日、取材に応じた。2026年に北中米で行われるワールドカップ(W杯)に向け「まずは自チームで活躍してこそ選ばれる。W杯にもう一回出て活躍したい思いはある」と意気込みを語った。 -6月の国際親善試合ペルー戦で代表初ゴールを決めた。 「スペースがあったのでいいところで球を受けた。思い切り振り抜いた。迷わなかったのが一番ゴールにつながった。三笘選手(ブライトン)にはマークが付いていた。ゴールの真ん中だったので振り抜けた」 -昨季を振り返って。 「個人的なパフォーマンスは安定感が増して自信も付いた。守備でより球を奪え
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静岡人インタビュー「この人」 自転車を通じたまちづくりに関わる 石井駿平さん(伊豆市)
前橋工業高(前橋市)で自転車競技部に入部。鹿屋(かのや)体育大(鹿児島県鹿屋市)に進学し同部入部後は、3年時に全日本学生選手権個人ロードレース大会優勝。世界大学選手権にも出場した。卒業後、富士市が拠点のプロサイクリングチーム「レバンテフジ静岡」に所属し、プロ選手として活動した。5月から伊豆市地域おこし協力隊として同市柏久保に移住。群馬県伊勢崎市出身。26歳。 -同隊応募のきっかけは。 「知人から募集について話を聞いた。大学時代に自転車レースのサポートなど地域に資する活動をしてきたことや、自転車競技に取り組んできた経験を生かせると思った。若いうちにやれることに挑戦したいと思い、決意した」
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静岡人インタビュー「この人」 しずおか自主夜間教室を主宰する 深山孝之さん(静岡市清水区)
教職を務め、教員仲間の肥田進さんと2020年から静岡市葵区のアイセル21で、民間の自主夜間教室「しずおか自主夜間教室」を開いている。61歳。 ―学習者の状況は。 「未就学児から70代まで40人ほどが登録し、毎回10人ほどが来て各自が希望する学習に取り組んでいる。講師は教員経験者や大学生、高校生などで1人以上が付き、対話も多い。一つの小説を題材にわいわい語り合うグループもあって、しんとしているというよりも毎回にぎやかで、心地よい居場所だ」 ―活動で気付いたことは。 「外国籍の子や不登校の子、学び直しの高齢者など年齢も背景、動機も多様だ。対話を通じて講師が学ぶことも多く、教える、教わる間
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静岡人インタビュー「この人」 指定難病SLEの当事者として社会の理解普及を目指す 池田初美さん(浜松市中区)
全身の倦怠(けんたい)感や発熱、発疹や臓器の炎症などを引き起こす指定難病「全身性エリテマトーデス」(SLE)を患いながらも、県西部を中心に患者、家族らでつくる会「浜松S―FA(エスファ)」の初期メンバーとして活動してきた。6月上旬に浜松市内で行われた設立20周年記念式典では準備、運営を担った。原因不明の病について、悩む人の励まし、社会の理解普及を目指す。58歳。 ―記念式典の感想は。 「事前に新聞などで呼びかけたこともあり、会員以外の人も訪れた。病気への理解を深めてもらうことができたと思う。会の初期から活動に携わる医師からは最新の薬、医療体制などについて講演を聞くことができ、有意義だった
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静岡人インタビュー「この人」 全国高校生大作書道展で最高賞の文部科学大臣賞を受賞した 木村智祐さん(沼津市)
今年の全国高校生大作書道展(公益財団法人独立書人団主催)で、県内唯一の表彰を受けた。木簡をテーマにした書作品が評価された。沼津西高芸術科3年生で、書道専攻。プロとして作品を制作しながら、書道の先生になるのが夢。17歳。 -書道を始めたきっかけは。 「祖母が書道塾をしていた影響で、小学3年生から習字を始めた。そのうち、先生をする祖母がかっこよく見え、字を書くことが楽しくなった。本格的に書道に挑戦したいと思い、沼津西高に進学した。高校1年生から書道部に所属し、週5日、各3時間半ほど練習している」 -出展した作品は。 「縦240センチ、横510センチの大きな紙に、六つの木簡を書いた作品。木
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静岡人インタビュー「この人」 静岡県司法書士会長に就任した 井上尚人さん(三島市)
5月末、県内8支部の会員485人で構成する県司法書士会の18代目会長に就任した。4月末に始まった「相続土地国庫帰属制度」など相続に関する仕組みが大きく変革する中、かじ取り役を任された。中央大法学部出身。趣味はプラモデル製作。50歳。 -就任の抱負は。 「相続登記がされていないなどの理由で、全国の所有者不明の土地は九州の面積に匹敵するほど増加している。地方に行くほどその割合は増える。相続登記は司法書士の根幹業務の一つ。業界に課せられた使命として、法務局や県内行政機関と連携し、この社会問題の解決に取り組みたい」 -司法書士を目指したきっかけは。 「当初、不動産業界を目指し、宅建資格も取得
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静岡県外産地との連携強化 県茶商工業協同組合/長瀬隆理事長【キーパーソン】
4月に県内301社の製茶問屋を束ねる組合のトップに就任した。茶生産者や行政、さらには他府県産地との連携強化を目指す。 -茶業界の現状をどう見るか。 「新型コロナウイルス禍から社会経済活動が正常化に向かう中、催事での試飲が可能になり、販売面で明るい兆しがある。スーパー向けの卸売りを手がける企業がインターネット通販に注力するなど、売り方を工夫した市場開拓の動きが強まっている。国内外で抹茶の引き合いは強いが、需給バランスの先行きは見通せない。当面はリーフ茶主体で考えるべきだ」 -取り組みたい事業は。 「静岡茶品評会(鶴亀品評会)などを通じて業界の底上げに努めると同時に、外部との関係を強化し
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静岡人インタビュー「この人」 ウミガメの卵を保護監視する 良知正美さん(御前崎市)
御前崎市の海岸砂浜に産卵上陸した絶滅危惧種アカウミガメの保護監視を行うメンバー8人の代表。県と市の委託を受け、卵を保護してふ化させている。厳しい自然界で懸命に生きるウミガメに魅了され、活動歴は18年目を迎えた。82歳。 -主な活動内容は。 「産卵期の5月中旬になると毎朝4時半に海岸へ行き、アカウミガメの足跡を探して産卵の有無を確認する。アカウミガメは地中約50センチの穴を掘って一度に約120~150個の卵を産むが自然条件下では波に流されたり、外敵に食べられたりする危険が高い。安全な場所で人為的にふ化させ、放流している」 -難しい点は。 「保護した卵の全てがふ化するわけではない。昨年は
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文化庁調査官として登録事務に携わった 本中真氏(奈良文化財研究所長)インタビュー【富士山世界遺産10年】
文化庁の主任文化財調査官として富士山をはじめとする国内の世界遺産登録事務に携わってきた本中真氏(68)=奈良文化財研究所長=に、富士山世界遺産登録の意義や今後の保全管理に向けた課題を聞いた。 -登録10年の歩みをどうみるか。 「国連教育科学文化機関(ユネスコ)から指摘された課題を一つ一つ乗り越える中で、一番の成果は静岡、山梨両県の努力によって世界遺産としての顕著な普遍的価値(OUV)が受ける影響を予測・評価する『遺産影響評価(HIA)』の仕組みができたことではないだろうか。景観関連の条例制定などの取り組みを経て、2021年度からはHIAのマニュアル運用が始まった。事業者らが法律の範囲内だ
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シニア雇用 年齢で判断されるのはあり?③ 有識者インタビュー【賛否万論】
企業側は空前の人手不足なのにシニア世代が再就職を断られるケースが相次いでいます。年金が目減りして仕事探しを余儀なくされるシニアもいる中で、こうしたミスマッチの解消には何が必要なのでしょうか。全国のシニア雇用の事情に詳しいリクルートジョブズリサーチセンター長の宇佐川邦子さん(53)に聞きました。 企業も思い込みなくして リクルートジョブズリサーチセンター長 宇佐川邦子さん Q 年齢を理由に仕事が制約されると感じているシニアが多いですが、解決する上でのポイントを教えてください。 企業側の感覚としては定年を前後にどこまで働いてくれるかを考えた時、できるだけ長く働ける若い人がほしくなるので、今
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静岡人インタビュー「この人」 看護師の全国体験文コンクールで最優秀賞に輝いた 糠塚真由子さん(富士市)
看護師としての体験文を厚生労働省などが募集した「忘れられない看護エピソード」で最優秀賞を受賞した。外出中に女性を救助したことをきっかけに、娘が看護師を志望し始めたという話をつづった。昨年からは富士市立看護専門学校の教員を務める。41歳。 -応募のきっかけは。 「看護師をする中で2人の娘の育児と両立することが難しく、仕事をやめようと考えたことが何度かあった。日頃は勤務で家にいないことに愚痴を言っていた娘が『かっこよかった。ママみたいになりたい』と言ってくれ自分の仕事に誇りを持てた。看護師の人手不足が続いている。この経験を、同じように退職しようか悩んでいる人に伝えて応援できればと思った」
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霊峰不変 価値探究し発信 遠山敦子氏/富士山世界遺産センター館長 富士山世界遺産10年
富士山の世界文化遺産登録に尽力し、2017年12月の静岡県富士山世界遺産センター(富士宮市)の開設時から館長を務める遠山敦子氏が13日、同センターで静岡新聞社など報道各社の共同インタビューに応じた。世界遺産登録10年の歩みを「霊峰の存在自体に変化はなくても、人々の感情は大きく育った」と評し、富士山の価値を後世に引き継ぐために同センターの研究・発信機能をさらに高めていく考えを述べた。 -同センターの意義とこれまでの成果は。 「研究と発信を通して山の価値を守っていくための重要な拠点。設立5年で、谷文晁[ぶんちょう]ら多くの有名画家が富士山を題材に多数の作品を残していたことや、徳川家にとって
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静岡人インタビュー「この人」 G7サミット開催地の広島を訪問して折り鶴を届けた 木下聡さん(静岡市葵区)
持続可能な開発目標(SDGs)や平和への願いを込めて集めた折り鶴を先進7カ国(G7)首脳会議に合わせて広島市青少年センターで展示した。代表を務める市民団体「しずおかSDGsネットワーク」の取り組みの一環。仙台市出身。40歳。 -企画の概要は。 「私たちの団体も加盟している全国組織『SDGs市民社会ネットワーク』で、昨夏くらいからG7に合わせて全国一斉にアクションを起こそうという話になった。関係閣僚会合も静岡では開かれなかったため、県民がG7と関わり、思いを届ける機会を作れればと考えた」 -折り鶴はどう集めたか。 「あさはた緑地(静岡市葵区)で開いたイベントの来場者に制作を依頼したほか
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国産利用増 合板需要が鍵 ウッドショック後の木材市場 野田励/「ノダ」社長【聞きたい】
約2年前に世界中が木材の供給不足に陥った「ウッドショック」と呼ばれる混乱は、海外産に依存する国内市場の弱さを浮き彫りにした。政府が木材自給率50%を目標に国産材の利用を促進する中、静岡市清水区と富士市の建材生産工場で県産材の需要を創出している。 ―木材市場の展望は。 「国産材の利用を伸ばすには、合板メーカーの需要が一つの鍵になる。2015年に稼働を始めた富士市の合板工場は年間15万立方メートルの木材を使い、毎日の使用量も一定。林業にとって経営計画が立てやすく、間伐材の利用で県内の森林管理も進む。政府は自給率を現在の約40%から50%に引き上げるため、住宅以外の木造建築物を増やす計画を立て
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静岡人インタビュー「この人」 全日本トライアル選手権に電動バイクで参戦しているヤマハ発動機チームの監督 佐藤美之さん(浜松市中区)
1985年にヤマハ発動機入社。主に国内営業を担当し、2015年からモータースポーツを担うMS戦略部に所属。20年にヤマハファクトリーレーシングチーム監督に就任した。23年の全日本トライアル選手権に出場チーム唯一の電動バイクで挑んでいる。福島県出身。60歳。 -トライアルの魅力は。 「自然の中のコースで、岩や丸太などの障害物をバイクで乗り越えるモータースポーツ。選手の表情が見えるほど間近で観戦できるので、臨場感や緊張感が楽しめる。こんなに高い岩を登れるのかとドキドキハラハラする中で、足をついたり、転んだりせずにゴールできた時は感動が味わえる」 -なぜ電動バイクで参戦したのか。 「(二酸
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不断の努力 飛躍の礎に 東京大から箱根駅伝に出場した 近藤秀一さん(2013年度卒)【龍城 韮山高150周年 今昔物語⑬完インタビュー編】
箱根駅伝予選会で敗退した大学の代表選手でつくる関東学生連合に選ばれ、2019年に本大会の1区を走った。夢だった箱根駅伝を現実的な目標としてとらえたのは高校時代。「結果として文武両道に見えたかもしれないが、使える時間の全てを陸上に注ぎ込んでいた」と振り返る。 高校の入学式前から陸上部の練習に参加し、駅伝の県予選に出場した3年の11月までずっと陸上に熱中する生活を送っていました。テスト期間中も、修学旅行先の米国でも走っていた。だから、文化祭を楽しんだり、陸上部以外の友人と遊んだりという思い出はほとんどありません。授業中もけっこう寝ていた記憶が。「近藤は勉強を頑張っていた」と話す同級生はいないの
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静岡人インタビュー「この人」 イルカの水中ショーでデビューした 鈴木真生さん(沼津市)
沼津市内浦長浜の伊豆・三津シーパラダイスでイルカとアシカのショーを担当する。昨年8月から訓練を重ね、今年4月にイルカの水中ショーデビューを果たした。群馬県高崎市出身。21歳。 ―なぜこの仕事に。 「子どもの頃によく両親と動物園や水族館に行っていた。いつも動物ショーばかりを見ていた。ショーのトレーナーを見て『かっこいいな』と思い、物心が付いたときには既に将来の夢となっていた」 ―デビューを果たした時の感想は。 「とても緊張した。大きなジャンプも体勢を崩さずにできたが、細かいところでいろいろな課題が出たため自己評価は60点だった。群馬から両親も見にきていて、終了後に涙を流しながら『すごい
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変革期へ新市場開拓強化 浜松・エンシュウ/鈴木敦士社長【キーパーソン】
工作機械、自動車部品製造エンシュウの社長に4月、就任した。電気自動車(EV)シフトなど変革期の中、売上高500億円の達成、車以外の市場開拓を掲げた中期経営計画(2021年度~25年度)の進捗(しんちょく)、成長戦略について聞いた。 ―中計「チャレンジ500」の現状と課題は。 「事業別に言えば、部品加工は二輪や船外機分野の需要増、EV関連部品の新規受注獲得なども含め、売り上げ面は順調に推移しそうだ。一方、工作機械はこれまで主力だったエンジン部品の設備投資の停滞など、EV部品量産の端境期でもあり、苦戦している。コロナ禍を経て、半導体や医療など非エンジン、非自動車分野の市場開拓のさらなる強化に
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先輩の地元貢献の姿に憧れ 企業の課題解決を支える「OASTBLUE」社長 神田輝和さん(2007年度卒)【龍城 韮山高150周年 今昔物語⑫インタビュー編】
3月に地元企業や自治体の課題解決をクリエーティブの力で支える会社「OASTBLUE」(オーストブルー)を創業した。勉強、部活、龍城祭-。韮山高で過ごした青春の熱量を抱き、同窓生と共に地元への恩返しに力を注ぐ。 韮高の2期先輩である沢井富士彦さんが創業した「WACHAJACK(ワチャジャック)」の経営に2021年、参画しました。映画やゲーム、アニメなどで使用するデザインを指すコンセプトアートや映像の制作会社です。 沢井さん以外の創業メンバー3人は、通学路にあるたこ焼パパさんに入り浸っていた韮高の同級生。体育館、パパさん、部室の往復でした。先輩がお代を払ってくれる「つけ帳」の縁は、今もつな
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演劇部の経験 創作原点 クリエーティブ集団「ライゾマティクス」主宰 石橋素さん(1993年度卒)【龍城 韮山高150周年 今昔物語⑪インタビュー編】
技術と表現の新しい可能性を探究するクリエーティブ集団「ライゾマティクス」のエンジニア兼アーティスト。音楽ユニットのPerfume(パフューム)や、2016年のリオ五輪閉会式における東京五輪開催PR式典など、舞台の映像演出に関わる。創作の原点には、韮山高の演劇部時代の経験があった。 子どものころ、SF映画の魔法を生み出す機構に興味を持ちました。韮高の演劇部で3年間出演した龍城祭は、めちゃくちゃ楽しかった。当時から裏方が好きで、今もライブの時は大体、舞台袖にいます。まさか大人になっても、エンターテインメントに関わるとは思っていませんでした。 部活の合宿では、学校近くの「世界」という定食屋に
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「外」からの視点大切に 浜松市東京事務所長・松野吉司人さん【とうきょうウオッチ 静岡へ発進&発信】
南区副区長から4月1日付で着任した。1991年に入庁し、福祉やごみの減量対策など市民生活に密着した業務に携わってきた。企画調整部参与を兼務する。東区出身。54歳。 ―東京事務所の役割は。 「浜松市と首都圏をつなぐ拠点。情報の収集と発信を担う。国の施策について情報の入手が早ければ、市にとって一番良い対応を考える時間が生まれる。また、新型コロナウイルスの感染症法の位置付けが5類となり、イベントが再開している。浜松市は国内有数の産業都市でありながら、海も山も近く自然豊か。大河ドラマの影響で注目度は上がっている。魅力をアピールしていく」 ―仕事での心がけは。 「直接人と会って関係を築くこと。
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創造性育んだ輝く毎日 ミュージシャン・伊藤多賀之さん(1994年度卒)【龍城 韮山高150周年 今昔物語⑩インタビュー編】
韮山高の同級生だった細根誠さんと音楽デュオ「ブリーフ&トランクス(ブリトラ)」を結成。ユーモアセンスあふれる唯一無二の世界観で「半径5メートル以内の日常生活」を歌い、1998年にメジャーデビューした。曲折を経てソロユニットとして活躍する中、「高校3年間のおかげでいまの自分がある」と感謝する。 「タイムマシンがあったらどの時代に戻るか」。飲み会でこの話題になるたび、高校時代と答えます。思いっきり遊んで、たくさん恋をして。軟式テニスの部活動に打ち込み、音楽も頑張っていた。受験勉強に励みながら不合格という挫折を最後に味わいましたが、最高に楽しく輝かしい毎日でした。在校生にも遊びや趣味、恋愛に注ぎ
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静岡人インタビュー「この人」 オクシズの「こぐまプレイス」で働く保育士 後藤歩美さん(静岡市葵区)
抱っこひも、おんぶひも専門店「北極しろくま堂」のパート社員。同社は静岡市葵区の中心街から「オクシズ」と呼ばれる山あいへ移転し、子育てと起業を支援する新拠点「こぐまプレイス」を併設。保育士資格を生かし、「親子ひろば」の運営を始めた。近くの玉川地区に移住し1年。三島市出身。32歳。 -「親子ひろば」とは。 「毎週火曜と木曜、親子を対象に敷地を開放し、手作りのおむすびランチを提供する。助産師と私が常駐し、産後や育児の相談に乗る。参加費は大人500円、中学生以下無料。ランチは1食500円。弁当の持参もできる。日によってベビーマッサージなどの催しもある」 -どんな場を目指すか。 「親も子も、心
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“リケジョ”拒まぬ校風 横浜国立大教授(キャリア教育)為近恵美さん(1978年度卒)【龍城 韮山高150周年 今昔物語⑨インタビュー編】
韮山高の男女比は今でこそ半々だが、女子生徒が一学年のうち1クラス分しかいない時代があった。理系進学をする女子はさらに絞られる中、物理の道を志すことを決意。現在は理系女子の進学に関する研究に取り組み、「女子が進学や就職を諦めずに済む環境整備が必要」と強調する。 伊豆箱根鉄道での通学時、必ず韮山駅の改札口に一番近いドアの横に立ち、毎日先頭を歩いて学校へ向かう生徒でした。韮高は楽しかったです。「顔が小林秀雄に似ている」という理由で、数学の先生が読書感想文の審査委員に選ばれることもありました。ウイットに富んだセンスをみんなでおもしろがる雰囲気が、韮高らしさだと思います。 同学年の女子は50人弱、
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シニア雇用 年齢で判断されるのはあり?② 有識者インタビュー【賛否万論】
シニア雇用を考える上で、年金などの老後資金と働き方は切り離せない関係です。健康維持や社会とのつながりを持つという理由で仕事を探すシニアもいますが、年金が目減りする中で生計維持は仕事の大きな動機になっています。ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の小田切克子さん(53)=浜松市中区=に老後資金の観点から年金と働き方の在り方について聞きました。(社会部・大橋弘典) 年金繰り下げ上手に活用を 社会保険労務士 小田切克子さん Q 2019年に「老後資金2000万円問題」ってありましたよね。金融庁の報告書で老後は2000万円必要になるとされ、騒動になりました。あの問題は何だったのでしょうか。
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静岡人インタビュー「この人」 湖西市初の地域おこし協力隊 佐藤拓真さん
2022年12月、湖西市初の地域おこし協力隊に委嘱された。湖西・新居観光協会の一員としてSNSを通じた情報発信を担う。新潟県長岡市出身、25歳。 ―隊員になった経緯は。 「地元の長岡造形大で設計を学んでいたとき、同級生の紹介で湖西市の古民家改装を手伝い始め、定期的に市内を訪れるようになった。大学卒業後は神奈川県の設計事務所に就職したが、自分自身で宿泊施設をつくるという夢があり移住を考えていたところ、市が隊員募集を行うと知って応募した」 ―現在の活動は。 「観光協会のインスタグラムやウェブサイトでの情報発信が主な仕事。市内各地に出向いて広報用写真の撮影やイベントの取材をしている。新潟県
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伝統がつむぐ人との和 伊豆の国市長 山下正行さん(1973年度卒)【龍城 韮山高150周年 今昔ものがたり⑧インタビュー編】
韮山高のすぐ近くで生まれ育ち、子どものころから校内が遊び場だったという。龍城山で秘密基地をつくったり、友だちが住む教職員官舎へ遊びに行ったり―。自然な流れで韮高に進み、げたをつっかけて通った3年間。青春の思い出を共有した人間関係が、いまに生きると説く。 高校時代を振り返った時、最も印象に残っているのは部活動です。卓球部に入り、目立った成績を残したわけではありませんが、仲間と練習に励んでいました。夏の合宿はみんなで雑魚寝し、最後の夜に1人ずつ龍城山に行く肝試しもありました。合宿にはOBが参加していたので、社会に出てから通じる年上の方に対する言葉遣いや接し方を学びました。処世術と言ったらいい
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熱い気持ち投球に込め 夏の甲子園に導いた 平井渉さん(1995年度卒)【龍城 韮山高150周年 今昔ものがたり⑦インタビュー編】
1995年、主戦として夏の全国高校野球選手権大会に出場した。甲子園でも1、2回戦を勝ち上がり、ベスト16に進出。近隣の野球少年が集まったどこにでもある県立校の快進撃は「韮高旋風」と呼ばれ、熱狂を巻き起こした。静岡大会から全9試合をほとんど1人で投げ抜き、旋風の主役になった。 中学生の時、甲子園より神宮を意識していました。東京六大学野球にあこがれ、進学校の韮山高を選びました。入学後は高校球児だから当然、甲子園を目指していましたが、下級生のころは自分の実力が伴わず、2年夏の静岡大会も1回戦負け。甲子園は現実的な目標というより、夢でした。 新チームは同級生だけでなく下級生にも好選手がそろい、
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静岡人インタビュー「この人」 タイキャンプフェスを主催した 佐野ひろさん(富士宮市)
20代でタイに移住し俳優として活躍。「タイで最も有名な日本人の一人」との呼び声も。タイ人向けに日本の生活を紹介するテレビ番組の企画制作など、親日文化の醸成に取り組む。2019年に両親が住む富士宮市に移り、ことし5月下旬には市内のキャンプ場でタイキャンプフェスを同国政府観光庁と共催した。48歳。 -タイに渡った理由は。 「役者の下積み時代にバックパッカーをして知り合ったタイ人からCMのオーディションに誘われ、偶然にも3本も主役級で合格した。昔から一度きりの人生はチャンスがある場所に住もうと決めていた」 -日本との違いを感じた思い出は。 「カオスな街だという第一印象。日本の満員電車に感じ
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日銀静岡支店長に就いた 水野裕央さん【時の人】
日銀甲府支店長から5日付で就任した。本県経済は新型コロナの5類移行で明るい兆しが見え始めた一方、世界経済の下振れリスクに加え、価格転嫁の遅れや人手不足など課題も残る。14日の着任会見で「少子高齢化、脱炭素を含め、企業を取り巻く環境は山梨も静岡も同じ。企業や金融機関、地方自治体との対話を通じ、静岡県経済の発展に尽力したい」と決意を述べた。 本県経済の印象を「輸送機器や食料品、電気機械などの製造業だけでなく、観光や農林水産も盛ん。多彩な産業の集積が強み」と分析。特に中小では「付加価値と労働生産性をいかに高めるかが重要」と指摘し、日銀ネットなど情報システム部局での勤務経験から、「企業のデジタル化
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静岡人インタビュー「この人」 焼津の「キャンプ飯」プロジェクトの事務局を務める 岩崎真紗美さん(焼津市)
老舗こんにゃく専門店の4代目店主として奮闘する傍らで、焼津市内の事業者が自らの食品加工技術を活用した「キャンプ飯」の開発プロジェクトを取りまとめる。参加する14社の製品は、7月開業予定の焼津市内のアンテナショップで本格展開していく。40歳。 ―プロジェクトを始めたきっかけは。 「焼津港がなぜ日本有数の漁港なのかを探った時に、市内事業者が持つ高い水産加工技術だということに気がついた。コロナ禍でキャンプ需要が高まり、外出先で手軽に食べられる保存食が着目されるなかで、ツナ缶やかつお節、練り製品といった保存食の製造に秀でている市内事業者が協力し合えば、新しい何かが生まれるのではないかと思った」
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障害者雇用のつなぎ役 アイエスエフネット(東京都)/渡辺幸義社長【キーパーソン】
企業に障害者を紹介し、障害者が勤務する「サテライトオフィス」を貸して、就労後の支援まで行うサービス「チャレンジドオフィス」を沼津市で展開する。障害者の就労訓練を担う施設と、障害者を雇用したい企業をつなぎ、まずは県東部の100人の安定雇用創出を目指す。 -サービス開始理由は。 「障害者の就労支援施設は企業とのつながりがなく、訓練した人材の輩出先がなかった。ITサービスを通じて企業とのつながりがあるわれわれが、就労という『出口』を代行する。障害者の法定雇用率が拡大し、企業側も対応を迫られているが、雇用の方法が分からない企業も多い。両者をつなぐ役割を果たす。沼津を事業エリアに選んだのは地元愛か
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静岡人インタビュー「この人」 「昭和のレコードを聴く会」の発起人 沢田弘さん(浜松市中区)
製茶機械製造販売の沢田工業の社長を務める傍ら、昨年アナログレコードを再生する針と一体化した部品「カートリッジ」を発売した。同年7月に、レコードに興味のある市民を集めて昭和の流行歌を楽しむ「昭和のレコードを聴く会」を発足した。浜松市中区の高台協働センターで月2回、無料開催し、参加者は延べ400人を超えた。71歳。 ―会をつくった理由は。 「地元の地区社会福祉協議会の副会長に就いた際に新しい試みとして始めた。オーディオ機器が壊れて捨てたとしても、レコード盤だけは大切に保管している同世代は多い。そういったレコードを持ち寄って、思い出話をしようと企画した」 ―会の特徴は。 「聴く会は中学の同
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静岡陸上競技協会理事長に就任した川口雅司さん【時の人】
26歳から本格的に高校生指導に携わり36年。母校の韮山高を中心に多くの有力選手を育て上げた名伯楽が、静岡県陸上界のかじ取り役を担う。夢は大会でスタンドを満員にすること。「陸上ファンを増やし、その中から生まれたトップ選手に憧れて子どもたちが競技を始め、将来は社会に貢献する。そんな好循環を生み出したい」 2003年静岡国体までの6年間、県教委で競技力強化に携わった。陸上に加えレスリングやソフトボールなど6種目で選手育成の後方支援に奔走。競技の枠を超えて多くの指導者と出会い、「日の丸を着ける選手を育てた方もいた。情熱に刺激され、指導者として学び直したいと思った」。国体を終えて現場復帰を願い出た。
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静岡人インタビュー「この人」 「まちじゅう図書館」の仕掛け人 平川博巳さん(下田市)
カフェやワーケーション施設など下田市の町中の施設に、図書館の書籍を置いたり貸し出したりする取り組みが今春から始まった。市教委生涯学習課長として、事業の拡大に汗を流す。中学高校の体育の教員免許も所持していて、教育行政に精通。1991年入庁。55歳。 -事業の仕組みは。 「50冊を上限に蔵書を並べてもらう。蔵書のほか、廃棄対象になったり寄付を受けたりした本も並べ、施設ごとにも用意してもらっている。一部は貸し出し可能で、『館長』を任命して貸し出し業務を任せている」 -県内でも先進的な取り組みとみられる。開始の経緯は。 「図書館の老朽化が進む一方、新市庁舎の建設など大型の公共事業を多数抱えて
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シニア雇用 年齢で判断されるのはあり?① 有識者インタビュー【賛否万論】
仕事を求める70代が増えています。物価高や現役世代減少の影響で年金が目減りし、老後資金が確保できるのか不安感が高まっているようです。しかし「高齢」を理由に再就職を断られるケースは多く、自信を喪失したシニアの「ひきこもり」も問題視されています。しずおかジョブステーション東部のベテラン就職相談員、野中和夫さん(70)にシニアの雇用状況の実態や課題を聞きました。 「経験こそ強み」と気付いて しずおかジョブステーション東部 ベテラン就職相談員 野中和夫さん 再就職できないシニアの中には「年齢差別ではないか」と受け止める人もいます。 差別か区別かは受ける側の問題なので難しいですね。年齢で切ら
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静岡人インタビュー「この人」 防災拠点化が進む「道の駅朝霧高原」支配人 吉里正臣さん(富士宮市)
災害時に救助や復旧の広域拠点となる「防災道の駅」に県内で唯一選定された「道の駅朝霧高原」(富士宮市)の支配人。2021年6月に就任し、幅広い関係機関と連携した訓練のほか、防災機能強化に向けた取り組みを進めている。富士市出身。50歳。 -防災道の駅の第一歩は。 「昨年、東日本大震災の被災写真や遺物を展示する企画展を1カ月にわたって開いた。災害の恐ろしさを伝えていくことも防災道の駅に課せられた使命。まずはここが防災道の駅だと地域住民や利用客らに知ってもらうことも大切だと考えている」 -道の駅の足元の課題は。 「駐車場の車中泊利用が増加の一途にある。以前から防犯上の懸念もあったが防災の観点
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静岡人インタビュー「この人」 掛川市で猫の保護に取り組む団体を立ち上げた 森沢優さん(掛川市)
掛川市を拠点に猫の保護活動をするため藤枝市から移住した。2022年4月に立ち上げた団体「マイフレンドキャット掛川」の代表。野良猫を不妊去勢手術して地域に返す「TNR活動」や譲渡支援に取り組む。23年2月には猫を保護するシェルターを開設し、ボランティアと世話をしている。38歳。 -猫との出合いは。 「幼い頃から動物好き。20代で動物病院の動物看護師になったが一年半で辞め、その後は約15年間配置薬などの営業をしていた。8年前、外回り中に黒猫を拾ったことがきっかけで一気に猫中心の生活に。保護活動する人とも知り合い、飼い主探しを手伝うようになった」 -印象に残っている猫は。 「ペットショップ
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全員営業、変わらぬ姿勢 岩山靖宏/清水銀行頭取【聞きたい】
人事制度改革などに取り組む新たな中期経営計画を今春スタートさせた。新型コロナウイルス感染拡大が一服した一方、事業承継や脱炭素など中小企業が抱える課題は依然として多い。顧客に対して一層「踏み込んでいく」ことが、地元地銀としての存在感アップにつながると考えている。 -前の中期経営計画は2020年4月の就任と同時にスタートした。 「頭取という立場になりコロナ禍の中、県内の企業500社を自分の目で見て回った。社会的混乱の中、ビジネスモデルの転換、事業承継、設備投資など顧客のニーズの多様化が顕在化し、ソリューション営業の必要性を痛感した。『融資は必要ありません』という取引先も含め、お客さまの課題に
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静岡人インタビュー「この人」 シイタケ品評会で数々の受賞歴を持つ 小柳出勝さん(伊豆市)
4月に行われた静岡県乾椎茸(ほししいたけ)箱物品評会で、最高賞の林野庁長官賞・日本きのこセンター理事長賞を花冬菇(はなどんこ)の銘柄で受賞。ここ10年間で同賞に8回輝いた。日本菌類専門学校(鳥取市)を卒業後、日本きのこセンター(同市)に勤めた。24歳で3代目として家を継いだ。伊豆市年川在住。62歳。 -最高賞の感想は。 「2年連続の受賞で非常にうれしい。受賞がきっかけで得意先が増えて、県外の料亭などから注文もあった。受賞は喜ばしいが、かさの大きさが7~10センチ前後の『大葉』銘柄でも賞を取ってみたい」 -伊豆のシイタケのおいしさは。 「原木の栽培にこだわっているので、特に歯応えが良い
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多言語での発信不可欠 国際交流協会職員として外国人を支える 岡田シモネさん【アフターコロナへ 私の視点⑧】
新型コロナウイルス下、外国人はいつにも増して「日本語の壁」に直面しました。一番困ったのは、ワクチンや給付金など生活に不可欠な情報を理解すること。日本人と同じように税金や社会保険料を納めているのに、日本人と同じタイミングで情報を得ることができなかったのです。私たちは多言語への翻訳と周知に努めましたが、さまざまなルールはめまぐるしく変わり、対応が追いつかないほどでした。 浜松市に住む外国人の中心は働く世代。その多くが、工場に勤める歩合制の派遣労働者です。2008年のリーマン・ショックと同様、新型コロナの流行が始まった20年も、彼らが真っ先に、解雇や労働時間削減の対象になりました。生きるためには
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静岡人インタビュー「この人」 要介護度改善の取り組みを静岡市に表彰された福祉事業所の施設長 ミン・シ・トゥ・チョーさん
2011年にミャンマーから来日し、静岡市内の日本語学校を卒業して、静岡県内で福祉施設を運営するアクタガワに16年に就職した。22年12月に葵区の事業所の施設長に就任し、今年3月には国家資格の介護福祉士の試験に合格した。33歳。 ―来日の経緯は。 「もともと日本の本やアニメが好きで、ミャンマーにいたころから独学で日本語を勉強していた。姉が静岡の大学院に通っていたこともあり、21歳の時に静岡の日本語学校に入学した。静岡は自然と文化と食べ物が魅力的だと感じる」 ―介護職に就いた理由は。 「就職活動中に、母国を含めた外国人のリクルート活動に力を入れていた今の会社に出合った。最初の1年は事務職
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伊東商工会議所 斎藤稔会頭 経済復活へ定住を促進【キーパーソン】
2022年11月に伊東商工会議所の会頭に就任した。観光業が柱の伊東市では夏の行楽期を控え、新型コロナウイルス禍で落ち込んだ経済の復活に期待が高まる。地元事業者を取り巻く現状や今後の方針を聞いた。 ―伊東市内の現況は。 「8月に予定する按針祭をはじめ、さまざまなイベントがコロナ前に戻りつつあり、いい状態になってきている。インバウンド(訪日客)も見受けられる。伊東は観光関連の仕事に従事する人が多く、観光立市。活性化に向けては、観光客やまちのにぎわいをいかにして増やしていくかに尽きる」 ―地域の実情は。 「宿泊施設では人手不足により、客室の売り止めが出ている。人材の確保が大きな課題だ。経営
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交流増で故郷に誇りを 静岡県在京交流会事務局長・大石倫義さん【とうきょうウオッチ 静岡へ発進&発信】
都内に出先機関を持つ県内企業など135社の交流会を2022年から支える。静岡市駿河区出身、静岡商高卒。同校同窓会関東支部長も務める。71歳。 -活動内容は。 「総会や県内の見学会など年間4回の活動を企画している。コロナ禍は活動が制限されたが、ビジネスは徐々に戻り、企業側もリアルな交流の場を求めていると感じる。秋の県内見学会では静岡市の徳川家康ゆかりの施設を訪ねる予定で、大河ドラマによるブームをさらに盛り上げたい」 -新たな取り組みは。 「就任以降、連絡手段のデジタル化やSNSを活用した広報の強化に着手した。公式フェイスブックでは会員企業の取り組みの発信に加え、故郷に誇りや愛着を持って
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静岡人インタビュー「この人」 浜松市議会初の女性副議長に就任した 須藤京子さん(浜松市中区)
浜松市教育委員長、NPO法人理事長などを歴任し2015年に初当選。今年4月の統一地方選で3選を果たし、市議会5月定例会初日の副議長選で選出された。女性議員が副議長に就くのは1911年の市制施行以来初めて。富山市出身。68歳。 ―就任の感想を。 「県内の他自治体でも女性の議長や副議長が増えているが、浜松市議会においても副議長は男女にかかわらず、重責だと思っている。大変恐縮するとともに、選んでいただいたことに感謝している。公平性と、あらゆる多様性を認める包摂性を大切にしながら、議長をしっかりと補佐していきたい」 ―政治上のモットーは。 「夫の仕事の都合で浜松に移り住んで約40年。3人の子
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静岡人インタビュー「この人」 科学技術賞技術部門で文部科学大臣表彰を受けた 安部一祐さん(沼津市)
科学技術分野の研究開発などに貢献した人に贈られる賞で2023年度、県内唯一の表彰を受けた。使い捨てが多い焼き肉用網の洗浄機「網ing」の開発が評価された。長泉町の機械製造業「京和工業」の会長。81歳。 ―洗浄機開発の経緯は。 「20年ほど前、知り合いの焼き肉店で積み上げられた大量の網と、洗浄に4時間かかる旧式の洗浄機を見て、簡単に短時間で網を洗うことができないかと考えた。多い店で年間約6万枚、重さにして3~4トンが廃棄される網の再利用で、コスト削減や環境負荷軽減、時間短縮で店の経営者や従業員の負担軽減につながればと開発した。現在では大手焼き肉チェーン店でも利用されている」 ―どのような
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静岡人インタビュー「この人」 Jリーガーから僧侶に転身した 五藤晴貴さん(島田市)
サッカーJリーグのジュビロ磐田の下部組織出身。カターレ富山などで5年間プロ選手として在籍した異例の経歴を持つ。4月から2年余りの修行を終え島田市の曹洞宗林入寺に戻った。静岡市葵区出身。28歳。 -転身したきっかけは。 「妻の実家がお寺だったから。妻は三姉妹の末っ子で、住職の義父からは『このお寺を誰かに継いでほしい。現役引退したら継いでくれないか』と言われた。最初は驚いたが、なかなかないご縁。やらせていただくしかないと思った」 -サッカーへの未練は。 「けがの多いサッカー人生だった。プロ1年目は肩、2年目は左膝の靱帯(じんたい)、3年目は左足半月板と毎年のように手術とリハビリを繰り返し
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静岡人インタビュー「この人」 第69回全国展フォトコンテスト「日本の文化」部門で文部科学大臣賞を受賞した 松浦昭宏さん(島田市)
受賞作は、農機具用の刃を作る鍛冶職人を捉えた組み写真「野鍛冶ひとすじ」。昨年は全部門最高賞の内閣総理大臣賞を受賞し、歴史ある全国公募展で2年連続上位入賞した。発表展が6月4日まで、東京都美術館で開かれている。薬学博士号を持ち、新薬や医療機器の文書作成に従事する。キヤノンフォトクラブ静岡の代表。70歳。 ―受賞作への思いは。 「高温の鉄を鍛錬し、放射状に火花が飛び散る瞬間を狙った。職人歴70年の熟練した技や機械類がひしめく工場など4枚を組み合わせた。鍛冶と聞くと刀が有名だが、昔から人々の暮らしを支えてきた農機具にも日本伝統の美しさを感じる。それらを形作る手、工具一つ一つに説得力があった。こ
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静岡人インタビュー「この人」 伊豆伊東高校の初代校長 池田将章さん(伊東市)
伊東市内の3高校(伊東、伊東城ケ崎分校、伊東商)を統合して4月に開校した伊豆伊東高の校長に就いた。初任校は大仁高(現・伊豆総合)で、富士市立や清水東での副校長、伊東商の校長を経て現職。富士宮市出身。57歳。 ―新高校の様子は。 「各方面の皆さんの支援をいただき、無事に開校ができたことはありがたい。全日制と定時制を合わせ、非常勤を含め90人以上の教職員がいる。3校が合わさり、他校からの赴任者を加えて『新しい高校を良い学校に』と意欲あふれる職員がそろい、強力な体制ができた。約660人いる生徒からもワクワクしている雰囲気を感じる」 ―学校の特色は。 「全日制は普通科に特別進学やアートなど4
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人材交流でまちを活性化 長泉・うさぎ企画/森田創代表【キーパーソン】
焼津市で複数の仕事や拠点で働く「複業人材」と地元企業をつなげたり、モビリティーサービスを使って人材交流を促したりする事業に取り組む。二つの事業から見えてきたまちの課題や今後の展開について聞いた。 ―モビリティーサービスを使った実証実験の成果は。 「1、2月に都内のソフトウエア開発会社と協力して市内で実施した実験では利用するモビリティーとして低速の電気自動車(EV)と電動アシスト自転車を採用した。県内外の企業経営者やスタートアップ企業の従業員が出会いを求めて利用してくれた。多くの課題はあったが、おおむね好評だった」 ―事業を通じて感じた課題は。 「焼津市内の企業には良い製品や取り組みが
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静岡人インタビュー「この人」 全国篆刻展で最優秀賞を受けた 岡崎英雅さん(静岡市葵区)
石などに文字を刻んだ印章の公募展「日本篆刻(てんこく)展」(31日~6月4日、神戸市)で、応募643点の最高賞となる梅舒適(ばいじょてき)賞を受賞。技術向上に励み20年以上続けた努力が実った。趣味は所有するオープンカーでのドライブ。63歳。 -篆刻を始めた経緯は。 「父親が書道をやっていた影響で、書道を学ぶため大東文化大文学部中国文学科に進学した。授業で篆刻に触れる機会があって興味を抱き、書道で使う雅号印を独学で彫ってみたりした。卒業後も書道を続けて30代後半になった頃、現在の師である黄教奇先生を紹介されたことを機に、本格的に習い始めた。最初の展覧会出品に際し、先生から『石と戯れる』意味
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静岡人インタビュー「この人」 第70回姫様道中で姫様を務めた 森田心海(もりたここみ)さん(浜松市北区)
浜松市北区細江町で3月に開かれた道中行列で主役を担い、華やかな衣装で都田川沿いの桜並木を堂々と歩いた。2024年3月まで、細江署防犯広報大使も務める。同町出身。浜松市立高(同市中区)2年。16歳。 -「姫様」について抱いていた印象は。 「小さい頃に毎年行列を見に行ったことを思い出す。笑顔を振りまきながら歩く姫様に元気をもらい、自然と憧れの存在になっていた。中学生時代に友達と行列に参加するチャンスがあったが、コロナ禍で中止になり、いつかは自分も出たいという気持ちはずっと持っていた」 ―大役を果たした感想は。 「沿道に集まった多くの人に笑顔を与えることを心がけた。子どもの頃にチアリーディ
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静岡人インタビュー「この人」 競輪選手としてデビューした 日吉克実さん(伊豆市)
5日に三重県の四日市競輪場で開かれたルーキーシリーズで、競輪選手としての第一歩を踏み出した。元陸上選手。伊豆・修善寺中時代には、同学年で後に日本人初の100メートル9秒台を記録する桐生祥秀選手らを破り、全中の100メートルと200メートルで2冠に輝いた。28歳。 ―競輪に転向した理由は。 「10歳で陸上を始め、13年間取り組んだ。アキレス腱(けん)を痛めたこともあって引退を決めたが、これまで体を鍛えてきた成果をプロのスポーツ選手として、別の競技で生かしたいと思った。日本競輪選手養成所のある伊豆市で生まれ育ち、競輪は身近な存在だった」 ―3月に卒業した約10カ月間の養成所生活を振り返ると
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静岡人インタビュー「この人」 全商主催の検定試験9科目1級を2年生で合格した 村松真緒さん(藤枝市)
簿記実務検定や英語検定など全国商業高等学校協会(全商)が主催する検定試験9科目の1級を昨年度までに合格した。島田商業高3年。2年次までに9科目を制覇したのは同校初の快挙。英文ワープロ部部長。男性アイドルグループ「Hey!Say!JUMP」の大ファン。17歳。 ―受験のきっかけは。 「部活の顧問に勧められて1年生の時に初めて受験し、ビジネス計算実務検定(電卓)とビジネス文書実務検定の2科目に合格した。もともと勉強は嫌いで苦手だったが、合格をきっかけに勉強が楽しくなっていった。将来を考えるにあたり進路の選択肢を広げようと思い、2年生に入ってから自分の意思で残り7科目の受験を決めた」 ―大変
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陸上自衛隊富士学校長に着任した 中村裕亮さん【時の人】
「国際情勢は異次元のレベルで複雑化している。陸上自衛隊の戦闘作戦の中核を担う普通科(歩兵)、特科(砲兵)、機甲科(戦車と偵察)は、時代に即応する変革のリーダーでなくてはならない」。軍事活動を活発化させるロシア、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮-日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、3職種の主に幹部隊員育成と戦術の調査研究を行う機関のトップとしての決意を示す。 富士学校の最重要任務を「諸職種協同による戦法を研究開発し、第一線部隊で役立てること」と強調する。現代戦は宇宙やサイバー(電脳)空間などの新領域を含む領域横断作戦の重要性が増しており、「平時と有事、軍事と非軍事の境目も変わってきている
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微細藻類、新産業創出へ 浜松バイオチェスト/梶村武志社長【キーパーソン】
電気電子機器製造のシステック(浜松市北区)、静岡大、浜松医科大の産学連携プロジェクトの一環で、昨年7月に静大発ベンチャーとして設立した。ユーグレナ(ミドリムシ)をはじめとする微細藻類の培養装置を製造、販売する。新たな産業創出への期待や今後の展開を聞いた。 -ユーグレナに注目した理由は。 「システックがかつてレトルト食品を製造していた際に、栄養素を加えて付加価値を高めようと考えたのがきっかけ。研究者の提案を受け、59種類の栄養素を含み体内吸収率が高いユーグレナに着目して、身近で手軽に培養できる装置の開発に取り組んだ」 -どのような事業展開を期待しているか。 「先行企業は多くあり、医薬品
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静岡人インタビュー「この人」 ミニチュアハウスの個展を開いた 鈴木孝子さん(浜松市浜北区)
趣味の人形の初個展「ねずみさん達が暮らすレトロな和風ミニチュアハウス作品展」を8日から1週間、浜松市中区のクリエイト浜松で開いた。2008年から制作した17作品を展示。多くの来場者が詰めかけ、盛況に終わった。74歳。 ―初個展の感想は。 「今まで作った作品を一度に並べるのが自分の夢だった。当初は1週間で100人来てくれればうれしいなと思っていたが、予想をはるかに超える人たちに見てもらえた」 ―創作活動を始めたきっかけは。 「最初は(自らも勤務していたヤマハの元社員らによる)趣味の作品展に女性の作品が少ないと思って参加した。どこが既製品で、どこが自分が作ったところかを説明するのが面倒く
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ニーズ捉え情報伝える 静岡市東京事務所長/谷川良英さん【とうきょうウオッチ 静岡へ発進&発信】
4月1日付で着任した。1990年に入庁し、税や産業振興などの業務に長く携わった。前任は観光交流文化局スポーツ振興課長。東京事務所の勤務は2016~17年以来2回目で、首都圏総合調整担当の肩書も付く。56歳。 ―東京事務所の役割は。 「首都圏のヒト・モノ・カネを静岡市につなぐハブ(拠点)となること。これからは特に、アフターコロナを見据えた動きが求められていく。社会環境も変わるもの、変わらないものが出てくるだろうが、そうした中でもリアルな交流の場をなるべくつくって活発に情報収集したり、市の魅力を発信したりしたい」 ―職員に向けてはどのような呼びかけをしているか。 「『いろいろな人に会い、
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発信源に当たる指導必要 チャットGPT、子どもの利用 狩野芳伸・静岡大准教授
膨大なデータを学習し、質問や依頼に対して人間が回答しているような文章などを提供するプログラム「チャットGPT」。対話型人工知能(AI)などとも呼ばれ、昨秋の公開以降、話題を集めている。学校教育などの面で何が期待でき、どのような課題があるのか。英語や日本語など人間の言語を、コンピューターを使って分析する「自然言語処理」が専門で、講義などでもチャットGPTを扱う静岡大情報学部の狩野芳伸准教授に聞いた。 ―チャットGPTの仕組みはどうなっているのか。 「私たち研究者はチャットGPTのようなプログラムのことを大規模言語モデルと呼ぶ。ある文章について単語を一つ隠し、その単語を当てられるようになる
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静岡人インタビュー「この人」 加工商品開発に力を入れるオリーブ生産者 金成健二さん(沼津市)
大手電機メーカー退社後にオリーブの生産を始め、現在は沼津市などの3カ所の農園で計150本以上を育てる。地元の事業者と協業して加工食品を開発し、販売している。56歳。 -生産を始めた理由は。 「何もないところから自分だけの力で物を生み出す農業に関心を持った。幼稚園児のころから愛鷹地区で育ち農家を身近に感じてきたが、現在は耕作放棄地が増えている。電機メーカーで研究開発に従事した経験を生かし、放棄地再生のモデルをつくれればと考えた」 -なぜオリーブなのか。 「知人に誘われて県中西部の生産者を訪ねたのがきっかけ。東部で育てている人は少なく、自分の力を試すには最適だった。作り始めてから、いいこ
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第116代静岡県議会議長に就任した 中沢公彦さん【時の人】
「県当局に迎合するような議会運営はしない。二元代表制の一翼のおさとして知事の言動を監視し、問題点を指摘する」。川勝平太知事と対峙(たいじ)してきたベテランは、議長就任も「言うべきことは言う」との姿勢を貫く。 旧浜北市議を経て2007年に県議に初当選し、連続5回当選。一貫して教育や特別支援教育に注力し、トイレ洋式化なども提案してきた。「県教委や教育現場に閉鎖性を感じてきた。常に子どもたちの目線でどうあるべきかを考えている」と自負する。 議場では鋭いやじでも存在感を発揮してきた。「登壇者や議員に対し、真剣に議論に向き合う姿勢を示す行為」とその意義を話す。新人や若手議員には、情報の収集力、理解
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静岡人インタビュー「この人」 県中学校体育連盟会長に就任した 長沢滋文さん(静岡市葵区)
少年時代から野球に励み、内野手として活躍した。静岡末広中で主将、静岡高では副将、順大で主将を担った。指導者としては3度の県大会優勝を経験。県中体連では野球競技部長、理事長を歴任した。中学時代に厳しい練習を乗り越え、仲間と励まし合い、つかんだ全国大会準優勝の感動が原点。子どもにも同じ経験をしてもらいたいと奔走する。長田西中校長。56歳。 -県中体連の役割とは。 「歴代役員ら多くの関係者の努力で76年の歴史を築き、世界や全国に多くの人材を輩出してきた。『不易と流行』のバランスを取り、先輩方が積み上げた実績や伝統を受け継いで、発展させたい」 -地域移行への取り組みは。 「本年度は地域スポー
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再生エネ国策で普及を 瀬川浩司・東京大先端科学技術研究センター教授【浜岡原発 全炉停止12年③】
温室効果ガスの排出量や事故リスクが少ない自然再生可能エネルギー。太陽光発電の最新技術に詳しい東京大先端科学技術研究センターの瀬川浩司教授は「政策次第で自然再生可能エネルギー分野は成長し、脱原発は推進できる」とみる。 -再生可能エネの優位性は。 「原発や火力は大規模発電所で大量の電気を生み出して広域に送電するのに対し、再生可能エネは地産地消できる。住宅や公共施設、工場など電気需要に応じて設置できるため地域の電力需給バランスを最適化しやすく、災害に強いまちづくりに役立つ。最近はペロブスカイトと呼ばれる結晶構造の材料を発電層に用いた日本発の次世代太陽光電池の技術進化が著しい。研究用セルの発電効
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静岡人インタビュー「この人」 性的少数者(LGBTなど)の支援団体を本格始動させた 久米泰代さん(浜松市南区)
性的少数者の分類の一つで、性自認が男女のどちらにも当てはまらない人などを指す「Xジェンダー」。当事者として、同じ悩みを抱える人に寄り添おうと団体「QUEBEC(キュベック)」を2019年に創設した。コロナ禍で活動が制限されていたが、今年4月に本格始動した。建築設計事務所の代表を務めている。42歳。 ―主な活動内容と目標は。 「個人、法人の相談に対応している。最近は市内の宝石店からの依頼で、性的少数者が店を利用しやすくするために通称名での記入欄の作成や、店舗での対応方法、ホームページのレイアウトなどをアドバイスした。最終目標は支援が必要なくなる社会の実現。性自認や性的指向に関係なく、誰もが
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静岡人インタビュー「この人」 今夏タイで上演する劇で主演する写真家 鈴木竜一朗さん(御殿場市)
7月中旬、静岡とタイの劇作家が共作した演劇で、本人役を演じながら撮影もする。戯曲制作のため4月中旬、タイの制作チームと県東部の水にまつわる場所をリサーチした。38歳。 -出演の経緯は。 「京都府舞鶴市で2017年に上演した石神夏希さん(静岡市)の戯曲『青に会う』への出演がきっかけ。同作の構造はそのままに、舞台をタイ北部のダーンサーイに移してナッタモン・プレームサムランさん(タイ)が戯曲を書き下ろす。来訪者である日本人2人が、旅を通じてタイの青にまつわる人や景色、ものに出会うという内容で、再び同じ役で出演する」 -どのように上演するのか。 「タイの街中で7日間上演する。出演者は上演前夜
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静岡人インタビュー「この人」 静岡労働局長に就任した 笹正光さん(静岡市駿河区)
バブル直前の1984年に入省。地方のハローワークや中央労働委員会などに勤務し、主に職業安定行政に携わってきた。山形県出身。58歳。 ―新型コロナウイルス禍はどんな業務に従事したか。 「2019年から福岡労働局の職業安定部長を務め、着任から9カ月後ぐらいにコロナの感染拡大が始まった。単に仕事を探す人は減ったが、ハローワークで失業認定を受けようとする人が急増した。助成金担当の窓口も雇用調整助成金の特例措置が始まる前から事業主が殺到し、現場は大変だった」 ―コロナの収束で労働環境も新たな局面に入る。 「景気が改善すると、より良い条件の仕事を探す求職者が増える。物価が上がればさらに高賃金を求
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上流は下流を思い 下流は上流に感謝 嘉田由紀子参院議員インタビュー【サクラエビ異変 母なる富士川 未来につなぐ/番外編】
サクラエビの不漁を契機に静岡・山梨両県の流域住民が富士川の河川環境について深い関心を抱くようになった。子供たちが生きる未来に健全な生態系や自然環境を手渡すにはどうしたら良いのだろうか。近畿地方の水がめ・琵琶湖を有する滋賀県の知事を務めた嘉田由紀子参院議員(72)は、県境などにこだわらず、流域が手を取り合うことの大切さを説く。 ―上流と下流はどう向き合うべきか。 「県境など人工的に区切られた地域ではなく、河川流域など生態的つながりを表す地域として『バイオリージョン』の存在が注目される。富士川水系での不法投棄を受け、2021年7月に両県知事はマスコミの前で覚書を交わすセレモニーをわざわざ行い
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静岡人インタビュー「この人」 プロジェクションマッピング企画の発案者 永井駿矢さん(袋井市)
袋井高パソコン部による、法多山尊永寺でのプロジェクションマッピングを企画立案した。プロジェクトリーダーとして部員をまとめ、約10カ月間かけて「袋井の四季」をテーマにした映像作品を完成させた。4月9日の本番には2千人以上の観覧客が訪れた。同部副部長。17歳。 -企画を終えての感想は。 「達成感と安堵(あんど)感が大きい。これだけの作品を完成できた、やり遂げたという気持ち。発案者だが、部として初挑戦だったので、本当にできるのか不安もあった。無事成功してホッとしている。最初は部員からも『できるわけない』という意見があったが、最後は全員笑顔で終えられて良かった」 -提案した理由は。 「花火大
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静岡人インタビュー「この人」 会員制スパイス酒場店長 新井一平さん(三島市)
食を通じた居場所づくりを目指すブランド「6カレー&」の全国展開を見据え、三嶋大社前に「6カレー&サウナ」を4月にオープンした。食とサウナを通じた新たな出会いと、家庭でも会社でもない第3の居場所を提供する。三島市出身。37歳。 ―店の仕組みは。 「月額を払うと来店やカレー無料の権利を得て、一日店長や部活動もできる。食を通じて多様な人と出会い、周囲の目を気にせず自分を表現できる居場所をつくっていく。6カレー&は、カレーと地域特有の体験やコトを掛け合わせた場。関心のある共通のコトやモノを通じ、人のつながりが自然と生まれる空間にしたかった。そういう意味で、サウナはふさわしかった」 ―食を通じた
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静岡人インタビュー「この人」 静岡市職員として初めて台湾に駐在する 増田梢さん(静岡市葵区)
静岡市の庁内選考を経て、県の地域外交課が所管する県台湾事務所への派遣が決まった。市職員として初の台湾駐在職員となる。5月中旬から約1年間、県市と台湾の交流促進に取り組む。同市葵区出身。30歳。 ―志望動機は。 「2年前に観光関係の課に異動になり、インバウンド(訪日客)を担当して台湾とも関係があった。新型コロナウイルス禍で現地と実際につながることが難しく、定期異動の中で直接やりとりできる職員も減っていった。一度台湾に赴き、現地の人が静岡に何を求めているか、生の声を聞きたいと思った」 ―どんな活動をしたいか。 「台湾では富士山が人気だが、富士山をきれいに見ることができる『茶の間』という施
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ピアニスト・小山実稚恵 富士山静岡交響楽団と初共演 愛してやまないベートーベン
富士山静岡交響楽団の第118回定期演奏会が27日に静岡市清水文化会館マリナート、28日にアクトシティ浜松で開かれる。ソリストに日本を代表するピアニストの小山実稚恵、指揮者にドイツを中心に欧米で活躍するキンボー・イシイを迎え、ベートーベンとブラームスの名曲を奏でる。国内外の主要オーケストラに招かれることも多い小山に演奏曲への思いを語ってもらった。 音楽はいつも一期一会です。キンボー・イシイさん、富士山静岡交響楽団の双方と初共演となる今回の演奏会は、旅にたとえるなら初めて訪れる街を旅するようで心が躍ります。 演奏する曲目はベートーベンのピアノ協奏曲第3番ハ短調です。選んだ理由はオケ(楽団)
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静岡人インタビュー「この人」 浜松市ウエルネス推進事業本部の初代本部長に就いた 藤野仁さん(浜松市西区)
浜松地域イノベーション推進機構派遣、市産業部長を経て4月から現職。健康増進と産業創出を両輪として進める新設組織のかじ取りに、産業振興部門での豊富な経験を生かす。59歳。 ―事業本部の役割は。 「ウエルネス産業は経済産業省が注目する成長分野。健康増進、産業振興に横串を刺し、官民連携で市民の健康増進を進めながら地域産業力の強化を図り『ウエルネスなら浜松市』と言われるよう全国に発信したい」 ―これまでのウエルネス推進の取り組みは。 「3年前に浜松ウエルネス推進協議会と浜松ウエルネス・ラボの二つの官民連携プラットフォームを設置した。協議会は136の企業、18団体が参加して健康関連のサービス創
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鍵盤楽器奏者、ADAM at 「DJ」名義で初アルバム “六者六様”リミックス
SBSラジオ「ADAM[アダム] at[アット]の詞がないラジオ」のパーソナリティーを務める鍵盤楽器奏者ADAM at(磐田市)が、サイドプロジェクト「DJ ADAM at」名義の初アルバム「百物語」を発表した。 2017年から続く同プロジェクトは、バンド形式で演奏している楽曲を電子音楽として再構築し、DJ機器を使ってノンストップで聴かせるライブ形式。「ADAM atはジャズに分類されることが多いけれど、DJ ADAM atはクラブミュージックに近い感覚。(低音打楽器の)“四つ打ち”で同じ展開を繰り返し、音の抜き差しを考えます。お酒を飲んで踊るのにいいと思って」
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静岡人インタビュー「この人」 移住定住の促進に取り組む 神健一さん(松崎町)
松崎町や町商工会の住民有志らでつくる伊豆まつざき田舎暮らしサポート隊(松崎町移住定住促進協議会)の代表。4月には空き家の再生プロジェクトを始めた。広告代理店に勤めた後、2021年に横浜市から移住した。同市出身。46歳。 -移住のきっかけは。 「元々自然に憧れがあり、残りの人生をどう生きるか考えた末、移住に至った。伊豆半島南部の賀茂地域で移住を考え、松崎町で気に入った物件が見つかったため、現在は回覧板も回ってこない山中の家に住んでいる。ゆくゆくは自然豊かな伊豆の食材を使った飲食店の経営ができたらうれしい」 -サポート隊の活動内容は。 「ホームページなどで移住者のインタビュー記事や、空き
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JR東日本 菅沼晋さん 伊豆南部の観光を開拓【キーパーソン】
下田市の「ケンサキイカ」や南伊豆町の「クネンボ」など、伊豆半島南部の産品に着目した地域おこしの仕掛け人。JR社員としての取り組みの意図や活性化策を聞いた。 -下田で「アカイカ」と呼ばれるケンサキイカを飲食店が一斉に提供する企画を昨春市観光協会に提案した。経緯や手応えは。 「都内では高値で取引されていると記憶にあり、下田でも提供されていると聞いたのがきっかけ。イカの特産地は函館や北陸、九州と首都圏からは遠い。首都圏からのアクセスの良さは下田の大きな利点で、列車の移動需要も見込める。一定の経済効果や観光客増につながった。今季も実施を見込んでいる」 -今春は日本のかんきつ類の祖先ともされる「
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静岡県内外で記念像を作る彫刻家 堤直美さん 時代超え心響く作品に【とうきょうウオッチ 静岡へ発進&発信】
4月に開校した中央大茗荷谷キャンパス(東京都文京区)のブロンズ製テミス像を制作した。武蔵野美術大で学び、日展や日彫展で入賞。日展審査員を務める。JR静岡駅の今川義元像など数十カ所でモニュメントを手がけた。 -出来栄えは。 「テミスはギリシャ神話に出てくる法の女神。法学部の学生が利用する新キャンパスのシンボルにふさわしい。法の理念である公平の意味が込められたてんびんを右腕に掲げ、左腕には正義を実現する力を表す剣を握っている。日展で私の作品を見た中央大卒業生から制作を依頼された。その人の意見を参考にして、剣を体の後ろに隠している。剣は権力を連想させる道具でもある。私の親族も中央大OBなので縁
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どうする少子化 国と地方ができることとは② 有識者インタビュー【賛否万論】
全国で進む少子化は、静岡県はどのような実態なのでしょうか。有効だと考えられる対策は。行政はどう対応しているのでしょうか。シリーズの2回目は、静岡県事情に詳しい静岡経済研究所主任研究員の岩間晴美さん(磐田市出身)にインタビューしました。 鍵は郷土愛と働き方改革 静岡県の少子化はどのような実態か。 「出生数は第2次ベビーブームだった1973年に6万3588人でピークとなり、その後は急速に勢いを失った。80年代に5万人を割り、90年代以降は3万人台、2014年から2万人台になった。22年の速報値は2万1772人でぎりぎり2万人台。この半世紀で7割近く減ったことになり、全国と比べても落ち込みは
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大学教員で各国の伝統療法に詳しい 清ルミさん 不安に取り込まれないで【アフターコロナへ 私の視点⑤】
新型コロナウイルス下、学生と高齢者の様子は対照的でした。学生は群れて騒ぎたいのに翼をもがれたよう。いら立ちを秘めていました。今は講義中もくっつきたがっています。一方、高齢者はもろに不安のあおりを受けて萎縮しました。明るくずぶとく、普通に生きる力を失わされたと感じます。今も感染を警戒して縮こまっている人が少なくありません。 プラセボ効果を知っていますか。偽薬を本物の薬と思い込んで服用すると、症状が回復する現象です。逆に「これは漆の葉」と告げられ、ただの葉っぱで肌をなでられると、炎症が起きることがあります。医学界ではよく知られた話です。 メディアを見るたびに、ウイルスの拡大画像とともに感染者
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静岡人インタビュー「この人」 20年ぶりに「浜名湖花博」に関わる県職員 山本東さん(静岡市駿河区)
2024年3~6月に浜松市西区で開かれる浜名湖花博20周年記念事業に向け、ことし4月新設された県の「記念事業推進室」に勤務する。04年の同花博開催当時に準備段階から携わった職員として経験が買われた。1986年に県採用。オリンピック・パラリンピック推進課長やスポーツ局長、地域外交担当部長を務めた。今春、定年退職し、経済産業部参事として再任用された。60歳。 ―浜名湖花博との関わりは。 「04年時は県国際園芸博覧会協会で各国に出展を勧める交渉に当たった。長い準備期間を経て更地のような場所に庭園の形が見えてきた時には感動した。初の国際イベントでの経験がその後のラグビーワールドカップや東京五輪パ
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「子ども第一」の制度へ 東京大名誉教授・汐見稔幸氏インタビュー【届かぬ声 子どもの現場は今】
静岡新聞社が行った保育者アンケートへの受け止めについて、保育政策に詳しい汐見稔幸東京大名誉教授(教育学、保育学)に聞いた。 ★「使命感の一方 負担重く」保育士、幼稚園教諭アンケート結果概要を読む ★保育士、幼稚園教諭アンケート結果詳報を読む 汐見稔幸東京大名誉教授 ―アンケートの印象を。 「保育現場の多忙感や不適切な保育に対する認識など、現場の実態が反映された結果だと感じた。一方、気になったデータもある。例えば、保護者から連絡なく園児が登園していない場合、確認の連絡をしなかったことが『ない』と答えた人が73%というのは低い印象。90%は超えてほしかった。登園途中でトラブ
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どうする少子化 国と地方ができることとは① 有識者インタビュー【賛否万論】
少子化が深刻です。国内の年間出生数は想定より約10年早いペースで80万人を切り、政府は「次元の異なる対策」の検討を始めました。議論の推移を見守ると同時に、地方も何ができるか考えなければいけません。関係者のインタビューを通じ、国の衰退が懸念される事態に向き合います。初回は合計特殊出生率の高さで知られる岡山県奈義町の奥正親町長(64)に聞きました。 財源捻出 施策貫く覚悟 岡山県奈義町長 奥正親さん 子育て支援を重点化するようになった経緯は。 平成の大合併が進んだころの2002年、住民投票で単独の道を選んだのがきっかけ。子育てと教育重視にかじを切り、「小さくても活力ある町を」という前向きな
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静岡人インタビュー「この人」 遠州織物のベビー用品「はままつBABYBOX」を企画した 桂川美帆さん(浜松市中区)
育児支援や産地振興を目的にした遠州織物のベビー用品パッケージを企画・運営する「BABYBOX(ベビーボックス) Supporters(サポーターズ)」代表。東京芸大大学院で博士号(美術)取得。染色作家として活動する。2019年4月、大学教員の夫の転勤を機に浜松に移住した。4歳と2歳の2児の母。東京都出身。36歳。 ―活動の経緯は。 「子供が誕生したばかりで、育児の情報が得られず不安ばかりの新生活だった。そんな時に出会ったのが、遠州織物のからみ織りの生地。独特の風合いに目を奪われ、伝統の技術に魅力を感じた。一方で、後継者不足などの産地の課題も知った。育児支援と産地活性化に何かできないかと、
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画家・山田ケンジさん(静岡市葵区) 命吹き込む「生きた線」【表現者たち】
絵はがき大の水彩紙に塗り重ねた寒色の透明水彩が、馬上でうなだれる若武者の不安な心情を際立たせる。画家山田ケンジさん(69)=静岡市葵区=が胡粉[ごふん]を水で溶いた白い飛沫[ひまつ]を画面に落として雪を表現すると、凍[い]てつく空気感を伴った情景が浮かび上がった。 新聞や文芸誌の連載小説を彩る挿絵を画業の中心に据える。鉛筆書きの下絵をペンでなぞり彩色に進むのが一般的だが、「下絵をなぞった線はよそ行きでつまらない。ぶっつけ本番で仕上がり線を描く方が『生きた線』になる」。緊張感がもたらす震えや揺らぎは持ち味と捉える。 広島市出身。幼少期から絵が得意で、武蔵野美術大で油彩画を学んだ。都内でデザ
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静岡人インタビュー「この人」 お薦めの本を5分で紹介する大会で優勝、企画展「さくららら展」を手がけた 小林捺哉さん(東京都)
静岡北中・高(静岡市葵区)、帝京大教育学部を経て、同大教職大学院教職研究科教育実践高度化コース在学中。3月に奈良県生駒市で開かれた、お薦めの本を5分で紹介して最も読みたくなった本を決める「ビブリオバトル全国大会inいこま」で優勝した。静岡市清水区出身。23歳。 -「ビブリオバトル全国大会」で優勝した感想は。 「根拠はなかったが、優勝できる自信はあった。『本でバトルをする』という青春やザワザワ感を味わえるのが魅力的だと思って取り組み始めた。今後は子どもたちに楽しいバトルを広げていきたい」 -大学でどのような活動を。 「読書推進活動を行う学生団体『共読サポーターズ』に所属している。大学の
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「レプリカだって、恋をする。」著者、榛名丼さんに聞く 「分身」目線の青春物語
日本最大級の応募数を誇る「電撃小説大賞」の大賞に本書で選ばれた。自身が住む静岡市が舞台の青春ラブストーリーで、4128作品の頂点に輝いた。「用宗海岸や日本平動物園などを聖地巡礼と称して読者が訪れている。SNSに投稿してくれる人もいてうれしい」 クールな女子高生の愛川素直と、素直が生み出した外見がそっくりなレプリカ(分身)のナオ。ナオは、素直が学校に行きたくない日に呼び出され、身代わりとして学校に行く。 物語はナオの目線でつづられる。ドッペルゲンガーといわれる自分と酷似した分身が題材の小説は珍しくないが、分身側を主人公にした設定が斬新と評価された。着想は、どうしたら学校をサボれるか真剣に考
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市債削減「トップの覚悟次第」 退任の鈴木浜松市長 政界人脈生かし政策提案目指す
鈴木康友浜松市長は4月末の退任を前に、インタビューに応じた。4期16年で市債残高を1300億円以上削減した行財政改革について「どの自治体も覚悟があればできる。東日本大震災後の防潮堤整備など、財務体質が良いために臨機応変に対応できた政策もあった」と強調した。今後については、政界人脈を生かして情報収集し政策提案する「ロビイングの仕事に関わりたい」との考えを明らかにした。 ―市債残高を削減できた要因をどう振り返るか。 「大半のメニューは行革審(市行財政改革推進審議会)で指摘された職員定数の適正化、公共施設の統廃合、外郭団体改革などで、それをしっかりと行政経営に落とし込んだ。毎年の市債発行額を
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静岡人インタビュー「この人」 台風15号で被災の庭園が復旧した清見寺住職 一條文昭さん(静岡市清水区)
昨年の台風15号の襲来で住職を務める静岡市清水区の古刹(こさつ)・清見寺の庭園が被災。3月に半年ぶりに復旧工事が完了した。県内外の人々から励ましの声があり、感謝するとともに老朽化が著しい寺の保全にも気を配る。修行僧、愛犬と同居する。岩手県出身。65歳。 -被災時の状況は。 「ただならぬ豪雨の音に恐怖を感じた。2003年と14年にも裏山が崩れ、国指定名勝の庭園に土砂が流れ込んだが今回は過去最大規模。普段は小石が敷き詰められた庭は厚い泥に覆われ、乾いてひび割れした。励ましの声が救いだった」 -どんなふうに復旧したか。 「寺だけではどうしようもなかったが、国と県、市などの助成を受けられた。
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憲法学者 根本猛さん 「森を見て」互いを尊重【アフターコロナへ 私の視点④】
憲法13条に「すべて国民は、個人として尊重される」とあります。権力は、個人の生き方に関与してはならないという意味です。健やかに生きるうえで、多様なものの見方や考え方、選択が認められる社会であることは大前提です。新型コロナウイルス下は、その大前提が揺らぐ危うさを感じました。 2020年から政府は徹底した感染対策を呼びかけていましたが、世界保健機関(WHO)の発表などから、少なくとも子どもや若者については「ここまで大騒ぎする話か」と疑問でした。 21年、静岡市内の感染症医らが、医療、教育、報道関係者を集めて開いた「コロナ差別を考える勉強会」に参加しました。そこで初めて「大半の感染者は、テレビ
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FUJI&SUN’23 ASIAN KUNG-FU GENERATION 後藤正文 地元、温かな気持ちで
富士山の麓でキャンプしながら音楽を楽しむ野外フェスティバル「FUJI&SUN‘23」が5月13、14の両日、富士市の「富士山こどもの国」で開かれる。2日目の最後に演奏する4人組バンド「ASIAN KUNG―FU GENERATION」(アジアン・カンフー・ジェネレーション、以下アジカン)のボーカリストでギタリストの後藤正文(島田市出身)に、自身の“フェス観”、地元フェス出演への思いを語ってもらった。 アジカンの結成は1996年で、国内の野外フェスの草分けとされる「フジロックフェスティバル」の初開催は97年。メジャーデビューした2003年に同フェスに初出
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なでしこ遠藤 世界に咲く エンゼルシティー、解放されたアメリカで得た自信
サッカーの女子ワールドカップ(W杯)は、開幕まで3カ月に迫った。2019年フランス大会でチーム最年少だった遠藤純(エンゼルシティー、JFAアカデミー福島出)は米国で自信をつけ、4年に1度の祭典への思いを語った。 -「なでしこジャパン」では2018年のU-20(20歳以下)W杯優勝メンバーらが台頭する。 「自分たち若手と言われる選手が、より責任感を持ってやることが大事。それが勝ちにつながる。プレーしているときは(年齢の)上も下もなく、平等」 -米国に移籍して、より堂々とした。 「もともと海外に行きたいというのはなかった。ベレーザ(日テレ東京V)でも先発ではなかったので自信がなかった。米
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十国峠(函南町) 野出直輝社長 若者と外国人誘客に力【キーパーソン】
伊豆や駿河をはじめ10カ国を見渡せたことに由来する函南町の景勝地、十国峠。2022年にケーブルカーなどの施設と運営会社を引き継いだ富士急行によるリゾート化が進む。インスタ映えを意識した施設改修を進めて若者を呼び込み、今後は外国人誘客にも力を入れる。 -富士急行グループ入り後の取り組みは。 「山頂テラスやケーブルカーの内外観など、四半期ごとに大型リニューアルを行った。施設はもちろん、提供する飲食物もインスタ映えを意識した。主力だった年配の方に加えて若い人に楽しんでいただきたいと考えた。山頂エリアの魅力を高めてケーブルカーに乗る人の割合を増やし、単なる休憩施設から『絶景を体感できる場所』にし
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静岡人インタビュー「この人」 フードロス解決のために絵本を制作、図書館や幼稚園に寄贈した 坪井しずくさん(浜松市天竜区)
SDGsをテーマにした2022年度の総合学習の夏休み課題で、フードロス問題について探求し、解決を目指して食の大切さを伝える絵本「てんごくやさいどうぶつえん」を制作した浜北西高3年生。学校の協力で増刷し、3月に計22冊を地元の図書館や幼稚園などに寄贈した。女子剣道部の部長。17歳。 -絵本の内容と制作過程で工夫した点は。 「トマトやピーマンなどの野菜のキャラクターが登場し、その中にいる食べ残された野菜たちは天国に行けないと伝えるストーリー。食べ残さないように啓発している。絵本作家から助言をもらい、登場する野菜に読み手が名前をつけられるような仕組みにして、野菜に愛着がわくように工夫した」
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富士山火山避難基本計画改定 観光客は「帰宅」、複合災害も想定を 藤井敏嗣/検討委員長【インタビュー】
噴火に備えて改定された富士山火山避難基本計画。登山者や観光客の避難対策や降灰からの避難の考え方も新たに追加された。富士山火山広域避難計画検討委員会の藤井敏嗣委員長に改定のポイントと今後の課題を聞いた。 ―登山者や観光客は避難ではなく早期の「帰宅」となった。 「避難というと、近くの避難所に行くというイメージがあるためだ。避難所や避難路は地元住民に優先的に使ってもらう。観光客は噴火警戒レベル3に引き上げられるまでに帰宅し、5合目以上の登山者はそれよりも前のレベル2に相当する臨時の火山解説情報で下山する。要支援者や住民の避難と重ならないようにした。混雑の緩和には5合目以下の林道を整備し、複数
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静岡人インタビュー「この人」 全日本ベンチプレス選手権大会で王者に輝いた 伊東永悟さん(沼津市)
2月に愛知県で開かれた全日本ベンチプレス選手権大会フルギア男子93キロ50歳代の部で、全日本王者に輝いた。沼津市職員で、地域密着型プロレス団体「沼津プロレス」のレスラーとしても活動する。54歳。 -全日本制覇した感想は。 「まずはほっとした。ただ、242キロの日本記録を目指していたため悔しさも残る。最低優勝、最高日本記録という気持ちで臨んだ。大会では、挑戦可能な3回のうち2回目で210キロに成功、3回目の242キロで失敗してしまった」 -トレーニングを始めたきっかけは。 「プロレス好きの父親の影響。高校時代に部活でウエートリフティングに取り組み、25~27歳には東京でプロレスラーとし
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南海トラフ巨大地震対策 「臨時情報」周知強化に意欲 気象庁・大林正典長官インタビュー【詳報「一問一答」あり】
気象庁の大林正典長官(60)が20日までに静岡新聞社の取材に応じ、南海トラフ巨大地震の発生可能性が高まった際に発表する「臨時情報」の認知度向上への情報発信を強化する考えを示した。「地方気象台も加わり、自治体の防災訓練やイベントを機会に普及を図っていく」と述べた。 臨時情報の運用は2019年に始まって以来、発表事例はない。県が3月に発表したアンケートの結果によると、臨時情報を知る県民は24%にとどまり、周知が課題になっている。 大林氏は水害や土砂災害の避難情報と比較し「臨時情報はめったに出されることはなく、経験として認知されていくのは難しい」と指摘。関東大震災から100年の節目となる今年を
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歌うように 踊るように バイオリニスト/椙山久美さん(浜松市中区)【表現者たち】
バイオリニスト椙山[すぎやま]久美さん(59)=浜松市中区=が4月末、デュオリサイタルを静岡、浜松の両市で開く。ピアニストでパリ国立高等音楽院教授、上田晴子さんとの共演。当初は2020年春に予定していたが、新型コロナウイルス禍で延期が続き、3年越しとなる。フランクやラベルのバイオリンソナタをはじめ、フランス人作曲家を中心とした名曲プログラム。「歌うように、踊るように。色彩あふれる音色を届けたい」と臨む。 浜松市出身。5歳でバイオリンを始めた。東京芸大付属音楽高に進み、同大、同大大学院からウィーン国立音楽大に留学。帰国後はドイツ音楽を軸に国内外で演奏活動をしてきた。 上田さんとは02年、共
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静岡人インタビュー「この人」 静岡県内外で演奏会を企画・開催 中山絵理さん(静岡市駿河区)
2021年に演奏団体「音束(おとたば)」を設立し、国内外で活躍する県内出身の音楽家の公演を主催するほか、依頼に応じて演奏会を企画・開催する。7歳でピアノを始め、フェリス女学院大音楽学部を卒業した。福岡県中間市出身。37歳。 ―設立のきっかけは。 「結婚を機に静岡に移り住み、会社に勤めながら仲間と演奏会を開いていた。そうした活動から演奏依頼を受けることもあり、要望に応えられる枠組みを作ろうと思った。新型コロナ禍で、依頼してくださる方も私たちも地元の人材に目を向けられた」 ―活動の工夫は。 「音楽家だけでなく、芸術や芸能に関わる人とのつながりによって、今までにない面白い企画をしたいと思っ
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静岡人インタビュー「この人」 地域社会と連携した実践的教育を進める静岡産業大の学長 堀川知広さん(湖西市)
元県職員で経済産業部長などを歴任し、2011年に特任教授として静岡産業大へ。情報学部長、副学長を経て22年4月1日から現職。産官学など地域社会と連携した実践的教育を軸に、社会に貢献できる人材育成を目指す。専門分野は農業政策、産業政策。湖西市出身。72歳。 -就任1年を振り返って。 「豊かな感性を持っている学生が自分で考えながら学ぶものを選択し、社会に貢献できる技術を身につける必要がある。デジタルトランスフォーメーション(DX)や脱炭素社会に向けたグリーントランスフォーメーション(GX)など、急激な社会の変化を国内外の現場に出向いて肌で感じてもらいたい」 -本年度の取り組みは。 「教員
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静岡県高校体育連盟会長に就任した 丹生敬人(におはやと)さん【時の人】
指導者として水球一筋29年。静岡県高体連での役職や、県教委勤務経験はなく、「顧問目線に立てるのが唯一の強み」と言い切る。新型コロナウイルス禍から正常化に向かう節目の就任に「教員がやりがいを感じ、生徒が“ばか”になって部活動に打ち込めるようにしたい」と熱い思いを口にする。 大阪府岸和田市出身。筑波大時代の1988年、先輩に「指導者がいないから」と誘われ、全国高校総体を3年後に控えた本県で教員になった。初任地の磐田南高を20年間で7度の全国総体に導き、袋井商高でも9年間指導。当時の教え子が指導者として地元に戻り、今では小、中学生の県選抜チームも活動する。昨年は高校生が全
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静岡県高校野球連盟会長に就任した 清水淳次さん【時の人】
コロナ禍に翻弄(ほんろう)された部活動や大会運営。今春から球場での声出し応援が可能となり、コロナ前の風景が戻ってきた。「子どもたち一人一人に真摯(しんし)にプレーに取り組んでもらい、選手とともに一喜一憂しながら感動を味わえる大会にしたい」と意欲を口にする。 輝かしい球歴を誇る。浜松三ケ日中で県大会優勝、高校は浜松西に進み、3年時に主将として同校を初の甲子園(第63回全国高校野球選手権)に導いた。静岡大会はエース宮田守啓投手が全試合完封の偉業を達成。全国選手権1回戦は佐賀学園に1-0で勝ち、2回戦は北陽(大阪・現関大北陽)に1-2で敗れた。 「野球の難しさと野球で得る喜び、両方を経験できた
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静岡人インタビュー「この人」 改修前の池で生き物保護イベントを開いた 吉田大祐さん(三島市)
休館中のヴァンジ彫刻庭園美術館(長泉町)の人工池「鏡池」の改修工事を前に、池の中の生き物を保護するプロジェクト「鏡池生きもの救出作戦!」を企画した。土木系県職員の傍ら、「かえる探偵」として子どもたちに生きものを知る楽しさを伝える活動に取り組む。函南町出身。42歳。 -企画のきっかけは。 「私設図書館『あひる図書館』(三島市)で本を貸し出す本棚オーナーの連携で生まれた企画。学生時代の研究を機に大好きになったカエルの本を図書館に並べたところ、同美術館の飯野隆常務理事から『工事時に生きものに配慮したい』と相談を受けた。美術館を訪れた際に池にカエルがいるのを見かけていたので、興味を持ち快諾した」
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静岡人インタビュー「この人」 静岡市女性会館長に就任した 井藤喜美江さん(静岡市葵区)
静岡市女性会館の指定管理者「NPO法人男女共同参画フォーラムしずおか」理事。同館管理事業課長を経て4月に館長に就任した。同市葵区のアイセル21を拠点に、2007年から講座や女性人材データベースの運営などを担当してきた。熱烈な韓国ドラマファン。55歳。 -館長としての抱負は。 「何の知識も経験もないままこの世界に入り、子育てしながら経験を積ませてもらった。恩返しのつもりで務めたい。調整型の人間なので、そこを強みにスタッフが楽しんで仕事に打ち込める環境をつくりたい」 -女性を取り巻く状況は。 「ジェンダー(社会的性差)という言葉の認知度は高まっているが、本質的な理解や格差の解消は進んでい
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生き残りへ変革支援 三島商工会議所/石渡浩二会頭【キーパーソン】
移住先や観光地として首都圏から注目を集める三島市。新型コロナウイルス感染が落ち着く中、地域経済をどう勢いづけるか戦略を聞いた。 ―三島市が発展するポイントは何か。 「三島駅を中心に三島広小路駅と三嶋大社を結ぶトライアングル構想がある。その鍵となる三島駅南口の再開発を成功させないといけない。さらに市役所の新庁舎建設に伴う跡地の利活用が組み込まれれば、活性化はさらに進むはずだ。商議所の役割は金もうけの支援だけではない。率先して環境保全に貢献する責務がある。地域が停滞すれば商売も停滞するからだ。SDGs推進委員会やグリーン委員会を昨年立ち上げた。周辺市町とも連携して取り組みたい」 ―ワンスト
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静岡人インタビュー「この人」 リサイクル市を開業した 富永文子さん(浜松市中区)
浜松市南区卸本町で3月、同市中区富塚町などで人気を呼んでいる「富用品市ピタゴラス」の卸本町店を開業した。市民から不要になった衣料や服飾品、家電、食器などを集め、来場者に譲り渡したり安値で販売したりする。夫の寿一さん(69)と協力して運営する。65歳。 -どのような場所か。 「持ち主には不要でも、別の人に必要とされる品物がある。リサイクルによる環境保護を推進するとともに、地域コミュニティーの拠点としても役立てたい。店頭には数千点ほどのアイテムが並ぶ。入場料100円のほか、一部の良品を100~300円で販売し、運営資金に充てている」 -開業の経緯は。 「貸倉庫業を営んでいるがコロナ禍で地
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開かれた学校へ地域と連携 御前崎市教育長インタビュー 吉村紳治郎さん
4月に御前崎市教育長に就任した吉村紳治郎さん(60)が14日までにインタビュー取材に応じ、「子どもが育つ基盤と地域に開かれた学校づくりを目指す」と意気込みを語った。外部講師などを務める地域人材と学校をつなぐコーディネーターの新設を視野に「教育と地域の連携体制を強化したい」と述べた。 吉村さんは子どもにとって大切な創造力や課題解決力を養うためには、キャリア教育や防災学習が重要との認識を示し、地域の協力や理解が欠かせないと強調した。学校側の依頼を受けて授業講師や放課後見守りボランティアを探すコーディネーターを設置し、学校と地域人材をマッチングしやすい仕組みを構築すれば特色ある教育が実践できると
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静岡人インタビュー「この人」 総合格闘家として活躍する 林源平さん(東京都)
総合格闘技の国内プロ団体「パンクラス」に参戦する。2013年にデビュー。これまでライト級(70・3キロ以下)を主戦場としていたが、22年から1階級上のウエルター級(77・1キロ以下)に転向した。現在のランキングは2位。三島市のイギーハンズジムに所属する。裾野市出身。33歳。 ―階級を変えた理由は。 「減量による体の負担を減らし、より良いパフォーマンスを発揮したかった。周りの関係者も勧めてくれた。総合格闘技はパンチ、蹴り、投げ技、絞め技、関節技とあらゆる攻撃を駆使するが、中でも自分の武器はパンチだと思っている。体重が増え、パワーは増した」 ―普段の生活サイクルは。 「レベルの高い練習パ
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大規模改装から1年 魅力高め中心街活性化 上西征直/松坂屋静岡店店長【聞きたい】
本社のデジタル担当部署から3月に赴任した。約1年前に大規模改装を実施した静岡店の新たなてこ入れ策を練りつつ、新型コロナウイルス後を見据えた静岡市中心市街地のさらなる活性化を目指す。 -具体的な集客策は。 「昨春の改装で、高額商品を強化して売り場をテーマ別に再編し、広域から集客できる施設に変えた。高級宝飾店や地下食材売り場は新規顧客の獲得など一定の成果が出ているが、(常設では国内百貨店初の)都市型水族館などのフロアは目標に届いていない。SNSの活用などで発信力をさらに高め、顧客との接点を増やしたい。5月のコロナの5類移行で社会経済活動は一気に正常化に向かうとみている。整備が遅れている『美と
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新茶商戦、簡便性と機能性に鍵 伊藤園・阿井崇さん/リーフブランドグループ商品チーフ
新茶商戦を迎え、各社は販路拡大に向けた戦略を実践する。消費者ニーズに合致した商品とは何か-。国内産荒茶の約25%を扱う業界最大手伊藤園の阿井崇リーフブランドグループ商品チーフに市況動向と方策を聞いた。 -足元の業況をどう見るか。 「在宅需要が落ち着き、急須で入れるリーフ茶の売れ行きが芳しくない一方、ペットボトルの販売は好調を維持している。社会活動正常化やインバウンド(訪日客)の復活に伴い、ティーバッグや水で溶ける『さらさら緑茶』のようなインスタント商材の売れ行きは伸びつつある。1パック500円以下のリーフ茶に代わるニーズがある」 -消費拡大に向けた取り組みは。 「売れる商品のテーマと
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静岡人インタビュー「この人」 「南海トラフ地震臨時情報」の対応計画策定を支援する 福島洋さん(仙台市青葉区)
南海トラフ沿いでの巨大地震発生に備え、企業や組織が取るべき行動を事前に定める「対応計画」。作成のポイントなどを紹介する支援パッケージの開発プロジェクトの代表を務める。東北大災害科学国際研究所准教授。専門は地震学。静岡市清水区興津出身。47歳。 ―プロジェクトのきっかけは。 「2016年、ニュージーランドでマグニチュード(M)7・8の地震があった直後に『ゆっくりすべり』と呼ばれる地殻変動が観測され、大地震を誘発しないか問題になった。不確実だが、巨大地震につながるかもしれない観測を減災に結び付けられないか、勉強会を立ち上げた」 ―支援パッケージの特徴は。 「後発地震が発生する確率などを分
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アウトドアブームの火付け役 アニメ作品「ゆるキャン△」 原作者のあfろさん(浜松市出身)インタビュー【しずおかアウトドアファン】
静岡県や山梨県を舞台に、キャンプが好きな女子高校生5人の日常を描いたアニメ作品「ゆるキャン△」は、アウトドアブームの火付け役の一つとされる。漫画原作者のあfろさん(浜松市出身)に、創作の端緒や描写の工夫を聞いた。 漫画の連載開始は2015年。現在のようなアウトドア人気の高まりはなかったが、自身の興味関心を出発点に「女子高校生とキャンプ」というテーマにたどり着いた。 「前に連載していた2作はSFだったので、編集担当との打ち合わせで次は日常の話をやろうということになりました。たまたまキャンプが趣味だったので題材にしたんです。夏ではなく冬を舞台にしたのは、落ち着いた話が描きたかったから。虫が
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静岡人インタビュー「この人」 袋井商議所会頭に就いた 豊田浩子さん(袋井市)
2022年11月に第8代会頭に就任した。同商議所では史上初の女性会頭で、全国515ある商議所の中でも女性会頭は現在3人のみという。袋井市内で管材、住設などの卸を手がける丸尾興商専務。63歳。 -就任後の感想は。 「大変さよりもやりがいを感じている。自分自身は仕事をする上で性別を意識することはないが、親しくしている女性経営者らから喜んでもらえるなど、想像以上の注目度を感じる。こうした状況を商議所の発信力強化に生かしたいと思っている」 -現状の課題は。 「恒例のふくろい遠州の花火の4年ぶりの開催に向けて一丸で取り組んでいる。コロナ禍で疲弊した地域経済の活性化にも力を入れたい。商議所の組織
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増えた悩み、話せる場ある 中高生の思春期電話相談を担う助産師/宇田公美子さん【アフターコロナへ 私の視点②】
思春期の中高生は、周りの人と関わる中で、私は何者なのかと自問自答を繰り返します。そうしてアイデンティティー(自分らしさ)を確立しますが、新型コロナウイルス下では確立しづらかったのではないかと推察します。 マスク越しでは友達の表情を読み取れず、真意を悟りにくい。大人と違い、相手を「分かりきる」まで関係性を深めるのが難しい。自分のことを相手にどれだけ伝えたらいいか判断しづらく、集団の中での立ち位置も見極めにくいからです。そんな日々の積み重ねは、生徒は自覚しなくても、ストレスになったはずです。 窓口に電話をくれる中高生の中には、雑談を交えてひとしきり話をすると、心が晴れた様子で電話を切る生徒も
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静岡人インタビュー「この人」 賀茂地域の課題解決に取り組む弁護士 三森祐二郎さん(河津町)
弁護士の過疎地域の解消を狙いに、日本弁護士連合会などが支援し運営する下田ひまわり基金法律事務所の7代目所長。当地ならではの問題解決に汗をかく。横浜市出身。52歳。 -賀茂地区の印象は。 「昨秋に赴任したが、住民の高齢化に伴う財産管理が大きな問題になっている。認知症で管理できなくなったり、家族が近くにいなかったりするケースが多い。バブル期に購入されたリゾートマンションの管理費滞納も課題の一つだ」 -なぜ弁護士を志したのか。 「元々は東京地裁や最高裁で事務官や書記官を務めていた。裁判前の権利手続きの担当や、国会議員との調整役を任されていたが、弁護士が依頼者に信頼され仕事をする姿を間近で目
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オークラアクトシティホテル浜松/糸正弘総支配人【キーパーソン】
JR浜松駅に近接するオークラアクトシティホテル浜松(浜松市中区)の総支配人に2022年6月に就任した。「コロナ後」を見据え、行動力とアイデアで観光誘客を図ろうと戦略を練る。 ―国内の宿泊需要をどうみるか。 「旅行支援策の後押しで、昨年12月は宿泊部門で開業以来過去最高の月間売上高を記録した。年配客の利用やビジネス需要が回復している。スポーツやコンサートなどのイベント開催も活発になり、週末は特に忙しい」 ―着任後の9カ月で注力したことは。 「営業を休止して遊休スペースになっていた地上185メートルの45階展望回廊の再開を急いだ。浜松市や観光振興団体に相談し、大河ドラマに合わせて徳川家康
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静岡人インタビュー「この人」 帰国後10周年公演を終えたフルート奏者 青島由佳さん(静岡市駿河区)
欧州留学から帰国して10周年を記念したコンサートを、故郷の静岡市で開いた。17~18世紀の欧州で聴かれた「バロック音楽」の魅力を伝える活動に心血を注ぐ。県内では希少な、古楽器「バロック・フルート」の使い手としても知られる。静岡東高出。40歳。 -本年は「バロック・ダンス」をテーマにして各種活動を展開。最終公演を終えての心境は。 「(フルート奏者の)前田りり子さんを講師に招いたワークショップ(WS)を年間3回行い、2月のコンサートはその集大成だった。イベントを立て続けに実施した1年の締めくくり。温かい雰囲気の中、充実した演奏ができた」 -舞踏を主題にした理由は。 「当時の音楽とは切り離
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声上げ諦めずに改善 過疎地変える舞台の力 劇団「限界集落」主宰/松井茉未さん(34)浜松市浜北区在住【決める、未来 持続可能な街へ 私の願い⑥】
人口減と高齢化が進む故郷浜松市天竜区春野町で、2年前に劇団「限界集落」を立ち上げた。これまで上演した3回の公演はいずれも超満員。小学生から70代までの団員22人とともに、衰退する地域に演劇で活力を与えようと奮闘している。 「舞台に立つ人も見る人も公演を通じて何か変わってほしい。変化の体験が、過疎地でも前向きに生きていくことにつながるはず」。主宰者の松井茉未さん(34)は劇団設立に込めた思いを語る。 松井さんと舞台との出合いは、中学の修学旅行で訪れた宝塚大劇場。別世界を作り出す舞台の力に衝撃を受けた。高校時代はタカラジェンヌを目指し、稽古に明け暮れた。音大に進み、卒業後は浜松で就職した。
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静岡人インタビュー「この人」 2023年各流派合同新春舞踊大会で文部科学大臣賞に選ばれた 北嶋なるみさん(東京都)
3歳の時に祖母の影響を受け、浜松市の舞踊家・花柳絵美舞(えみまい)氏の指導で日本舞踊を始め、1月中旬に都内で開かれた若手の登竜門と位置づけられる大会で最高賞に輝いた。「花柳絵美舞也(えみまいなり)」の名で花柳基(もとい)氏の指導を受けながら活動する。同市東区出身。25歳。 ―最高賞に輝いた感想は。 「幼いときから指導してくださった先生と、現在教えを受けている先生、支えてくれた家族のみんなに感謝している。3回目の挑戦で賞をつかむことができてうれしく思う」 ―今後の目標は。 「今回は通過点でもある。今後も賞に恥じない演技を披露していきたいと思うし、舞台を降りても人として尊敬されるようであ
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静岡人インタビュー「この人」 中学軟式野球クラブ「沼津フェニックス」を立ち上げた 内村義則さん(沼津市)
国が少子化対策や教員の負担軽減を目的に中学校部活動の指導を地域クラブなどに委ねる「地域移行」に伴い、受け皿として4月、沼津市で中学軟式野球クラブ「沼津フェニックス」を組織した。3月末に中学校教員を定年退職したばかり。長年の経験を生かし、地域移行化の先駆けとして同クラブの代表兼監督を務める。60歳。 -立ち上げのきっかけは。 「学校単位で単独チームが組めるのは、競技によって差があった。中学野球は部活動の軟式とクラブの硬式に二極化。軟式野球は競技人口が減り、沼津市内は合同チームが約半分になった。軟式野球を中学でも頑張りたい生徒の場所を守らなければと思った」 -取り組んだことは。 「学校の
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静岡人インタビュー「この人」 県内のまちづくり会議でファシリテーターを務める 原口佐知子さん(牧之原市)
牧之原市や磐田市、掛川市などで行われるまちづくり会議に話し合いを円滑化する「ファシリテーター」として参加する。2月末に終了した焼津市のやいづ未来まちづくり研修会では、市民からふるさとの将来像についての議論を導き出した。市民ファシリテーターでつくる団体代表。東京都出身。56歳。 ―ファシリテーターとして気をつけていることは。 「主催する自治体に実際に出向いて、歩いて、自分の目でまちの課題を確認する。話し合いの場では、各テーブルをくまなく回り、意見が交わし合えるような場に持っていくようにする。行政側、市民側どちらにも偏りすぎない中立な立場でいることも心がけている」 ―焼津市の研修会の様子は
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静岡人インタビュー「この人」 ウインドサーフィンのプロランキング1位となった 守屋拓海さん(浜松市西区)
日本ウインドサーフィン協会の2022年フリースタイルプロ年間ランキングで2年連続の栄冠に輝いた。20年に協会公認プロとなり、浜松市西区の浜名湖村櫛海岸を拠点に国内外を転戦している。16歳。 ―昨シーズンの振り返りを。 「ランキングを決める二つの大会のうち、1戦目は4位に終わったので2戦目で1位を取るしかない状況だった。これまで負けていた選手に勝って優勝できたのは良かった。夏場に海外合宿も行い、外国のトップ選手の練習を間近に見て技の成功率や難易度の高さに刺激を受けた。今後、少しでも近づいていきたい」 ―競技に取り組んだきっかけは。 「父がウインドサーフィンのショップを経営しているので、
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静岡人インタビュー「この人」 ウニの魅力発信に取り組む 小西香代子さん(伊豆市)
沼津市の水族館あわしまマリンパークの飼育課魚類主任兼営業企画課係長。“ウニコンサルタント”を自称し、ウニの生態のおもしろさを伝える企画を立案する。骨格標本の製作やウニに関する掲示物の作成も一手に担う。岡山県出身。37歳。 -どのような発信を。 「菓子パンのような見た目のウニにちなみ『ウニのカシパンまつり』を毎年企画している。骨格の展示や飼育員が生態を解説するバックヤードツアー、ウニをデザインした皿のプレゼントなどを展開する。普段もウニの生態展示や解説板の制作などを担当し、交流サイト(SNS)でも紹介している」 -ウニの魅力は。 「『スカシカシパン』や『タコノマ
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育休中のリスキリング どう考える?(4) 有識者インタビュー【賛否万論】
育休中のリスキリング(学び直し)について考える上で、忘れてならないのは、育児休業を取得する人が育てる乳幼児の視点だ。乳幼児期とは子どもにとってどんな時期なのか。保護者が心がけたい点とは。乳幼児の子育てに必要な政策は。常葉大保育学部の山本睦教授(教育心理学)にインタビューしました。 あらゆる人が利用しやすい制度を 常葉大保育学部教授(教育心理学) 山本睦さん 人間の赤ちゃんの特徴はどんな点ですか。 生まれてすぐに歩けるウマやウシと比べ、人間の赤ちゃんは極めて未熟な状態で生まれます。つまり、人間は赤ちゃんの時期からたくさん学ばなければならないのです。 授乳の方法も人間は特徴的。多くの動
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静岡人インタビュー「この人」 日本顧問介護士協会理事長 石間洋美さん
高齢化社会が進む中、仕事を続けながら家族を介護する人を支援しようと、2020年4月に協会を設立した。現在は県内を中心に全国約40社と顧問契約を結び、介護離職を防ぐための企業体制づくりや従業員への啓発活動などを展開する。40歳。 ―設立のきっかけは。 「介護現場に20年近く携わり、家族が突然、要介護者になって困惑する人を数多く見てきた。特に親の介護の場合、子供はどう対処していいか分からないのが本音だろう。いざという時に備え、かかりつけ医のように日頃から相談できる機関が介護分野でも必要と考えた」 ―顧問介護士の活動とは。 「契約を結んだ企業に働きかけ、従業員が仕事と介護を両立できる体制構
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静岡人インタビュー「この人」 B&G全国指導者会ゴールド指導員褒賞を受けた 久保徹さん(掛川市)
掛川市で市民対象のボート教室に参加したのを機にインストラクターを志し、1992年に認定された。市B&G海洋センターで約30年にわたって小中学生にボートやカヌーなど海洋スポーツの魅力を伝え、2021年末に引退した。元ヤマハ発動機社員。65歳。 ―受賞の感想は。 「非常にありがたいこと。子どもの成長を感じられたことが大きなやりがいだった。意識的に交流を楽しもうと決めて遠征にも同行してきた。カヌーに興味を持ち続けて、進学先の大学で大会に出場した教え子がいた。指導員をやりたいと志願してくれた人も複数いる。たまらなくうれしかった」 ―心がけた指導法は。 「子どもたちに目標を決めてもらい、できた
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静岡人インタビュー「この人」 「宮ガール」を名乗り地域交流創出に取り組む 金子充子さん(富士宮市)
3人の子どもを育てながら富士宮の店や人を市内外に発信してきた。最近は交流の場を提供し、市の関係人口増加に取り組む。4月2日には静岡市駿河区のリバティーリゾート久能山でマルシェを開いて地元の魅力をPRし、両地区の人が出会う機会を設ける。37歳。 -始めたきっかけは。 「10年前に故郷の富士宮に帰り、豊かな自然や特徴ある店が多いのに、住民は地元に関心が薄いと感じた。もったいない。自分が勉強したまちのことをSNSで発信し、フリーペーパーにまとめて商業施設で配った」 -富士宮の魅力とは。 「発信活動を通して、地元をワクワクさせようと目を輝かせている人たちに引かれた。コロナ禍には苦しむ人たちを
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静岡人インタビュー「この人」 50周年記念誌を発行した「静岡子どもの本を読む会」代表 小泉亮子さん(静岡市葵区)
子どもたちに読書の喜びを伝えたいと初期から運営委員として、図書館と連携した講演会や勉強会を企画してきた。活動の中心「子どもの本を学ぶ講座」は、50年間で420回。講座から生まれた「静岡おはなしの会」でも中心的役割を担う。旧芝川町出身、81歳。 ―読む会との出合いは。 「子育て中だった30代、1972年の『読む会』発足後初めて開いた講座に参加したのが始まり。物語を覚えて語る『ストーリーテリング』も講座で教わり、『おはなしの会』を作る原動力になった」 ―講座の講師を選ぶ過程は。 「流行や人気の有無ではなく、登場人物がどう生きているか、物語の真理がしっかり伝わってくる本を探すことから始まる
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地域の魅力発信 誘客へ 湖西・新居観光協会/長田尚史事務局長【キーパーソン】
2022年4月に湖西市内の2観光協会が統合し、一般社団法人「湖西・新居観光協会」となった。新居弁天地区で市の観光拠点再整備も進む中、新型コロナウイルス禍からの観光産業の回復に向けた展望を聞いた。 ―統合後の様子は。 「自治体の合併後も10年間、観光協会はそれぞれ独自の活動を継続していたが、コロナ下などの状況の変化に応じて一体的に活動するため統合に至った。22年度はこれまでの事業として牡蠣(かき)小屋の運営などを行いつつ、市全体の魅力として特産のイチゴを取り上げた観光マップを作るなど一元的な情報発信を始めた」 ―コロナの影響は。 「湖西は伊豆のような本格的な観光地ではないが、浜名湖と遠
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憎い敵/かわいい弟「とどめは家康に」【今川氏真役・溝端淳平インタビュー 大河ドラマ編】
大河ドラマ「どうする家康」で、駿河・遠江を治めた今川氏真を演じる溝端淳平。掛川城を舞台に徳川家康と攻防を繰り広げた末、戦国大名・今川氏が滅亡した場面の心境や舞台裏を聞いた。 ⇒もっと詳しく 今川氏真ってどんな人? ⇒今川領訪問「楽しみ」今川氏真役・溝端淳平インタビュー【静岡まつり編】 家康に1発で敗れる 家康が最後現れて、目が合って1発で敗れる。満身創痍(そうい)の氏真だから一瞬で決着がつきますけど、ほっとしている自分がいました。反撃する気もなかったし、ただただ確かめたかった。もう一回向き合いたかったという意味の対峙(たいじ)だった。 松本(潤)くんとのシーンは結構コミュ
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動物の看護師 国家資格始動 治療高度化に対応期待(県獣医師会長/山田有仁氏)【本音インタビュー】
4月から、新設の国家資格「愛玩動物看護師」が本格的に始動する。3月には初の試験結果が発表され、全国で約1万8千人が合格した。同看護師に期待される役割や本県の獣医療に与える影響について聞いた。 ―愛玩動物看護師の資格創設の背景は。 「犬や猫などの小動物を診療する動物病院は1980年代初頭から増加し始めたが、当初は1人の獣医師とトリマー、手伝いの家族数人で診療する形態が中心だった。その後、獣医療が高度化してチーム医療が主流になる中で動物看護職の存在が不可欠になってきた。ばらつきがあった看護職の業務を明確にし、知識、技能を高いレベルで平準化する必要が高まったため、2005年に農林水産省が検討
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静岡人インタビュー「この人」 中学校の美術教師から画家に転身した 平賀卓也さん(浜松市天竜区)
浜松市内の中学校の美術教師を定年より2年早く辞め、画家に転身した。新たな道を踏み出して2年たつが、ほぼ毎日キャンバスと向き合う生活で、創作活動への意欲は膨らみ続けている。作品には、日常や人の中にある「優しさ」を込める。人物画や風景画など、どんな作品にも共通した思いがある。天竜区佐久間町の浦川地区を拠点に絵を描く。60歳。 ―画家に転身した理由は。 「教師になる前から絵を描きたい思いはあった。教師を勤めていた頃は、仕事と創作活動を両立できず、気持ちが遠ざかっていた。画家を目指すならば覚悟を持ちたいと思い、定年前に転身したかった。2年早く画家の活動を始めることができて良かったと思う」 ―画
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育休中のリスキリング どう考える?③ 有識者インタビュー【賛否万論】
育休を取得した男性の4割超が家事・育児をほとんどしない“とるだけ育休”―。妊娠出産・育児に関するアプリ・SNS「ママリ」を運営する会社「コネヒト」(東京都)は調査事業の結果を示し、社会に問題提起しています。沼津市出身の同社の高橋恭文代表取締役(45)に、岸田文雄首相の発言をきっかけにした「育休中のリスキリング(学び直し)」についてインタビューしました。 1978年、沼津市生まれ。生活者向けITサービス事業家。大卒後、Uターン就職し求人情報「DOMO」「JOB」を運営する「アルバイトタイムス」入社。転職し、「食べログ」「Retty」の収益化に携わり、2
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静岡人インタビュー「この人」 観光絵本「こめた」シリーズを手がける作家 ふくだのぞみさん(神奈川県)
保育士として働きながら、絵本作家やイラストレーターの仕事に打ち込む。旅行読売出版社発行の観光絵本「こめた」シリーズで作・絵を担当。これまで青森県や鳥取県、静岡県版などを手がけた。昨年秋には富士宮信用金庫の企画で職員らと連携し、特別編として自身の出身地富士宮版を制作した。36歳。 ―絵本作家になった経緯は。 「幼少期から絵本や本、物語が好きで、幼稚園児のころから絵本をつくっていた。幼稚園や保育園で働くうちに、絵本に触れる機会が増えて、子どもたちが喜ぶ本を自分でつくりたいなと、絵本作家を再び目指した」 ―「こめた」シリーズで共通して大切にしていることは。 「地域に暮らす人たち、その地域を
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静岡人インタビュー「この人」 沖縄まつりの仕掛け人 平井慎二郎さん(藤枝市)
本年度で3回目を迎えた「ハイサイ!藤枝沖縄まつり」を企画する。藤枝市藤枝の鬼岩寺を会場に、例年2千人近くが来場する人気イベントになっている。市内でプリントショップや沖縄物産店を営む。64歳。 -まつりの概要は。 「ソーキそばやサーターアンダギー、オリオンビールといった現地グルメの屋台が並ぶ。エイサーや三線(さんしん)、琉球舞踊などを披露するステージイベントもある。沖縄在住のミュージシャンのほか、沖縄の芸能の腕を磨く静岡県の団体などが出演している」 -沖縄との関わりは。 「学生時代に旅行で訪れたのが初めて。1週間の滞在予定だったが、自然の美しさなどにほれ込み、気付いたらアルバイトをしな
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静岡人インタビュー「この人」 書籍「視覚障害者柔道の歴史-人物史を中心に-」を出版した 伊藤友治さん(浜松市西区)
小学2年の時に突然強度の弱視になった。雄踏中、浜松日体高、淑徳大で柔道に打ち込み、県内の盲学校教員になった後は指導者として柔道に関わった。視覚障害者柔道の歩みをまとめた書籍は初めて。点字出版などの桜雲会から発刊した。NPO法人日本視覚障害者柔道連盟副会長。73歳。 -書籍の内容は。 「明治時代から現代まで、視覚障害者柔道が日本国内でどのように始まり普及したのか、発展への課題は何かをまとめた」 -読みどころは。 「盲学校の校内日誌などを調べ、昭和初期に京都盲学校で教えていた記述を見つけた。昭和中期にリハビリテーションの観点から、欧州の影響を受けて普及したというのが従来の認識だが、戦前の
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増商(島田市)増田直樹社長「観光」切り口に活性化【キーパーソン】
戦前に創業し、LPガスや太陽光発電の販売などエネルギー総合会社として80年超の歴史を持つ。昨年から地元木材を使ったバレルサウナの製造・販売など観光関連事業に乗り出した。事業の狙いや地域活性化への思いを聞いた。 -バレルサウナ事業の内容は。 「大井川流域のヒノキを使用し、組み立ては地元の大工が担う。昨年11月、川根本町の寸又郷温泉に1基設置したところ、県内外の愛好者やインフルエンサーが訪問するなど好評で、増設を計画中。年々観光客が減る寸又峡の活性化に向けた一つのモデルケースになればと考えている」 -休館中の「東海道金谷宿お休み処」を利活用する民間事業者として市から優先交渉権者に選ばれた。
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アイドルの皮かぶって 静岡発2人組アーティスト「もにゅそで」 インタビュー
静岡市駿河区用宗、焼津市を拠点に楽曲や動画を制作する女性2人組「もにゅそで」。メンバーのもにゅこ、ミナミムラソデコはそれぞれ、所属レーベル「LushMusic(ラッシュ・ミュージック)」を運営する会社の代表取締役社長、取締役でもある。2022年末にはJR焼津駅前に直営のライブハウスも開いた。活動の目的に「地方創生」を掲げる2人に、結成から2年3カ月を振り返ってもらった。 意識を韻に置き換えた時 塗り替えられた君の心とtalking 少年に希望を老年に後光を 韻は愛そうだろう?nomorewar (才能と叡知よ命じよ) 韻踏みますそしてrebirth (時代と歴史の定義を)
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遠州灘防潮堤 完成から3年 津波災害の教訓後世に 静岡県浜松土木事務所長/広瀬聡氏)【本音インタビュー】
東日本大震災の津波被害を教訓に、県と浜松市が整備した遠州灘海岸の防潮堤が完成から3年を迎える。現在は唯一残された同市南区の馬込川河口部で水門工事が進む。今後の津波対策や防災の心構えで何が必要なのか。 -完成から3年。どのような防潮堤か。 「天竜川河口から浜名湖今切口まで、海岸線約17・5キロにわたる大工事だった。県の第4次地震被害想定を踏まえ、想定最大のレベル2津波に対する減災を目指した。一条工務店グループの寄付金300億円と、地元企業や市民の協力を受け、全国に先駆けて整備できたことは意義深い。のり面に土をかぶせて防災林を再生し、中田島砂丘周辺では砂の被覆を施した。周囲の自然になじむ外観
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証拠隠しが誤判を生む 再審長期化、体質見直せ 名張毒ぶどう酒事件弁護団長・鈴木泉弁護士【最後の砦 刑事司法と再審/番外編インタビュー㊦】
袴田事件の再審開始決定に検察が特別抗告する公算が大きくなる中、検察官抗告の是非が問われている。1961年に三重県で起きた名張毒ぶどう酒事件の再審請求では、無実を訴え続けた奥西勝元死刑囚が請求中に獄中で死亡した。約40年にわたり再審弁護を続ける鈴木泉弁護団長は「検察と裁判所の体質を見直さない限り冤罪(えんざい)はなくならない」と指摘する。 -名張事件では、弁護団が発掘した新証拠から一度は再審開始が出た。しかし検察の異議申し立てにより開始決定が取り消された。 「5次再審の歯形鑑定、再審開始決定につながった7次の毒物鑑定は大きな成果だった。科学はうそをつかない。ただ、異議審で開始決定を取り消し
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静岡人インタビュー「この人」 演劇祭「YOSHIWARA EN:JOE」を初開催したフジシニアート代表 倉田純子さん(富士市)
2018年に結成した富士市のシニア劇団「フジシニアート」の代表に加え、役者と広報を掛け持つ。同市吉原地区の妙祥寺で開いた演劇祭は、高校演劇部や若手ユニットなど7団体の約30人が出演した。63歳。 -どのような演劇祭か。 「地域のイベントやアートフェスと結びつき、響き合う企画として検討した。自分たちの劇団だけだと、公演はターゲット層や来場者数が限定的になってしまう。他の劇団とのコラボを演出家に提案したところ、構想が膨らんで演劇祭という形になった。単独の開催では食い足りない部分を満たしてくれることを期待した」 -当日を終えて。 「初回は開催にこぎ着けることで精いっぱいだったが、次回からは
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育休中のリスキリング どう考える?② 有識者インタビュー【賛否万論】
岸田首相の国会発言をきっかけに、賛否両論が巻き起こった育休中のリスキリング(学び直し)。育児軽視との批判の一方、肯定的な声も上がりました。県立大発のベンチャー企業「ワークシフト研究所」が主催する産休・育休中の人たちなどを主な対象とした講座「育休プチMBA」はことしで10年目を迎えます。女性リーダー育成プログラムも加わり、海外も含めこれまでに延べ約1万7000人が受講しています。産前産後の人たちが学びを求める背景にあるものとは。同研究所所長の国保祥子さん(県立大経営情報学部准教授)に聞きました。 学ぶ選択肢 次代に増やす必要 ワークシフト研究所所長/国保祥子さん 講座を始めたきっかけは。
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静岡人インタビュー「この人」 地域再生大賞の優秀賞受賞 シズオカノーボーダーズ代表 岡康史さん(静岡市駿河区)
健常者と障害者の混成パフォーマンスチームの代表。舞台公演の演出も手がける。地方紙46社と共同通信が主催する第13回地域再生大賞で、「文化芸術のバリアフリー」を実現させた活動が評価され優秀賞に選出された。藤枝市出身、54歳。 ―受賞の感想は。 「大変光栄。互いに遠慮なく意見を言い合える関係を築いてきた仲間がいたから受賞できた。『がんばってるね』の拍手ではなく、『いい作品だったね』の拍手を目指して取り組んできた結果。みんなと喜びを分かち合った」 ―演劇との出合いは。 「特別支援学校に通っていた17歳の時に、演劇が好きな教師の誘いを受けた。肢体不自由の障害があり、自分が物事の中心になること
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静岡人インタビュー「この人」 佐鳴湖ノルディック・ウオーク健歩会で会長を務める 久嶋茂さん(浜松市中区)
浜松市内のノルディック・ウオーク愛好家約70人のグループを率いて、2022年は浜名湖1周踏破、23年は大河ドラマ「どうする家康」にちなみ、県内外の家康ゆかりの地を歩く挑戦を会員とともに続けている。全国各地で開催される全日本ノルディック・ウオーク連盟の公認大会で、日本一の240回完歩を誇り「鉄人」の称号を持つ。浜松市中区出身。84歳。 -ノルディック・ウオークを始めたきっかけは。 「郵便局長を退職後、手術をするなど体調がすぐれない日々が続いた。そんな時期、運動不足の解消のためにノルディック・ウオークの体験会に参加したのがきっかけ。続けるうちに体調も変化して風邪も引きにくくなり、歩く楽しさが
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静岡人インタビュー「この人」 販売中の沼津市のブランドミカン「寿太郎温州」を手がける 矢岸正敏さん(沼津市)
沼津市三浦(さんうら=西浦、静浦、内浦)地区のブランドミカン「寿太郎温州」の生産者でつくる「JAふじ伊豆西浦柑橘出荷部会」の部会長。今季の出荷は3月中旬ごろまでで、毎シーズン県内外の市場から高評価を得ている。同市西浦久連出身。趣味は時代小説などの読書。69歳。 -今季の出来栄えは。 「高糖度のミカンとして有名だが、甘みと酸味を併せもった奥深い味わいになった。大雨が多く、11月もさらに雨が降ったので不安だったが、環境が悪い中でも良いミカンができた。『コク』を味わってほしい」 -今季は一定の収穫量が見込める「表年」。生産量は。 「昨季に比べると2割以上多く、約2200トンの出荷を見込んで
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あしき「当然抗告」 証拠評価絶対と思い込み 元検事・市川寛弁護士【最後の砦 刑事司法と再審/番外編 インタビュー㊤】
東京高裁は13日、一家4人を殺害したとして死刑判決が確定した袴田巌さん(87)の裁判をやり直すこと(再審開始)を認めた。高裁の決定を不服として検察が最高裁に特別抗告するかが焦点だ。元検察官の市川寛弁護士は「今の検察庁は、再審請求事件は必ず最高裁まで争うという方針を立てているとしか思えない」と指摘する。 ―高裁決定の印象は。 「特別抗告される可能性を意識し、最高裁でも決定を守り切れるよう、丁寧に丁寧に一つずつ検察の主張を蹴っている。(審理不尽の違法を理由に高裁に差し戻した)最高裁の問いに十二分に答える決定になっている」 ―大阪高裁が2月に「日野町事件」の再審開始を認める決定を出したが、検
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静岡人インタビュー「この人」 日本学生野球協会表彰を受けた 木川静さん(静岡市駿河区)
静岡大硬式野球部で副主将を務めた巧打の左打者。4年春は4番中堅手として同大初のリーグ連覇を果たし、東海選手権でも活躍して全日本大学野球選手権出場の原動力になった。静岡学生野球リーグでは2度のベストナインを獲得。茨城県出身。22歳。 -受賞の喜びを。 「ベストナインのように狙って獲得できるものではないので素直にうれしい。3年秋に1学年上の先輩が多く残ってリーグ優勝し、東海大会に出場できた経験が4年春の全国につながった。自分も後輩たちに同じことをしようと、同級生の多くが引退する中、4年秋までプレーしたことも評価されたと思う」 -4年間を振り返って。 「同級生は控え選手を含めて意識が高く、
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焼津拠点にワサビ研究 誰でも栽培 実現目指す NEXTAGE代表/中村拓也氏【本音インタビュー】
焼津市の製造機械メーカー本社敷地に、デジタル技術を駆使したワサビ栽培の実現を探る研究施設を立ち上げた。栽培にテクノロジーを取り入れることで、誰でもできるようにシステム化を狙う。研究目的や将来像について聞いた。 ―具体的に何を研究するのか。 「施設はメーカーの提供した広さ25平方メートルのコンテナ。気温や二酸化炭素(CO2)、照明といった指標を軸に、あらゆる条件に置くことで、最適な環境は何かを探っていく。成長管理システムを導入し、人工知能(AI)が撮影した栽培したワサビの画像データから成長度合いや剪定[せんてい]のタイミングを判定する。実証していく中で、適合していると判断したら、栽培技術と
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静岡人インタビュー「この人」 地射手役を30年連続で務めた 藤田陽一さん(森町)
森町の小国神社で行われる伝統の神事御弓始祭(おゆみはじめさい)で、氏子の弓引き代表として弓を射る「地射手(ぢいて)」を30年連続で務めた。高校から弓道を始め、現在は県弓道連盟森支部の支部長。60歳。 -節目を迎えた感想は。 「まずは長い間、健康に務められたことに感謝している。初めは先輩方についていくことに精いっぱいで、これほど長く続けられるとは思ってもみなかった。今は地射手役の中でも最年長になった。リーダーとしての責任を持ち、伝統の神事を途絶えさせてはいけないとの思いで役目を担っている」 -30回目の神事をどのような思いで臨んだか。 「これまでと同じように平常心でいることを心がけたが
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静岡人インタビュー「この人」 商店街とアーティストの交流創出に挑む 瀧瀬彩恵さん(富士市)
吉原中央カルチャーセンター(YCCC)を2022年に設立し、富士市の吉原商店街に芸術家を短期滞在させて創作活動を支援する「アーティストインレジデンス」などを展開する。芸術家の感性を言語化して伝える翻訳活動にも取り組む。幼少期をアメリカで過ごし、同年7月に都内から富士市に移住した。33歳。 -なぜ吉原を選んだ。 「あらゆるものが集約されている都心部を離れたくて、面白そうなことをしている人がいる場所を探していた。音楽フェスの仕事で吉原の人と意気投合してすぐに商店街を訪ねると、ただの寂れた街ではないと直感した。個性豊かな店と元気いっぱいの同世代に引き寄せられた。地域が活発になり始めた時期での移
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静岡人インタビュー「この人」 日本学生野球協会の優秀選手に選ばれた 加藤大登さん(三島市)
日大三島高野球部の主将として2022年、春夏の甲子園に連続出場した。レギュラーではなく苦労も多かったが、試練を乗り越えチームをまとめ上げた。春からは立命館大へ進み、アメリカンフットボールに挑戦する。18歳。 -表彰を受けた感想は。 「試合に出て活躍できるような選手ではなかったが、いただけてとても恐縮している。学校の代表としていただいたと思うので、個人で喜ぶのではなく、皆で喜びたい」 -野球部での3年間を振り返って。 「主将を務めたのが一番印象的。組織なので誰かがミスをしたら誰かがカバーをするというまとまりが大切なんだと感じた。(永田裕治監督は)厳しかったが、人としてどう生きていくかを
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静岡人インタビュー「この人」 小学校に自作の絵本の寄贈を続ける元中学校長 鈴木平さん(浜松市中区)
生物学研究の大学助手や会社員を経て、31歳で父の故郷浜松市の中学教員になり、公立と私立の中学で校長を務めた。市教育委員会指導課で生徒指導も担当した。教員時代から書いていた子ども向けの物語を、画家の作画を加えた絵本として昨年から順次出版し始め、これまで2作品を市内全小学校へ寄贈した。中区の禊(みそぎ)教遠江教会で神職も務めている。73歳。 ―絵本を書き始めた契機は。 「市教委の指導課で不登校対策を担当し、各学校を巡って多くのケースに関わった。一人一人抱えている悩みが違い、とても難しい問題で、自分に何ができるか自問し続けた。幼い頃から心がほっとして落ち着く物語、発見する楽しさを感じられる物語
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初島航路の新規客獲得へ 富士急マリンリゾート(熱海市)/堀内明広社長【キーパーソン】
静岡県内唯一の有人島「初島」と熱海港を結ぶ定期船を運航する。新型コロナウイルス禍で低迷した観光の客足が回復傾向にある中、本格的な再生に向けて新たな戦略が求められている。今後の展望を聞いた。 -新型コロナ禍からの回復状況は。 「熱海市の宿泊客数はコロナ禍前の7割程度まで回復してきた。初島航路の利用客数も全国旅行支援などの効果で、コロナ禍前の年間50万人の8割程度まで回復してきている。一般客はほぼコロナ禍前に戻っているが、団体利用はなかなか回復しない。物価高騰もあり経営は厳しい状況が続いている」 -初島航路の利用促進の取り組みは。 「客船の旅を楽しみ、島の食堂街やアジアンガーデンなどの施
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静岡人インタビュー「この人」 沼津の空きビル地下で期間限定ギャラリー開設 古地由莉香さん
沼津市のまちなか居住促進事業の一環で、JR沼津駅近くの空きビルを利活用して居住促進を目指す「for now(フォーナウ)」の運営サポートに携わる。昨秋から運営する丸天ビルの地下に1月末、ギャラリー「スペース戯曲」を設けた。 -フォーナウとは。 「ビルの空き室を借り上げ、低価格で入居希望者に提供することで、トライアル出店や新規事業立ち上げを促進する期間限定のプロジェクト。企画運営する合同会社レイバー(同市)と勝亦丸山建築計画(富士市)が入居者と大家をつなぐ。2021年に実施した第1弾のビルには昨夏、参加者の1人がコーヒー店を正式に開業し、実際に空きビルの活用につながった」 -スペース戯曲
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静岡県移住者対象のカーリース特典企画を発案 田辺純一さん【とうきょうウオッチ 静岡へ発進&発信】
2019年、ベンチャー企業のナイル(東京都品川区)に入社した。月額1万円台から車を持てる個人向けカーリース事業を手がける。自宅がある出身地の掛川市と東京を行き来する日々を送る。常葉菊川高卒。33歳。 -企画を発案した経緯は。 「新型コロナウイルス禍を機に、首都圏から地方に移住する人が増えている中で、引っ越しは多額の費用がかかる。弊社のカーリースは頭金なしで利用できるため、経済的な負担が小さくなる。ライフスタイルが変わったタイミングで車を持とうとするお客さまが多いので、移住のハードルを下げられるような支援をしたいと思った」 -企画を通して、静岡県に貢献したい思いは。 「事業ミッションは
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外国クルーズ 清水寄港活況 おもてなしの質上げる 清水港客船誘致委員会長/山田英夫氏【本音インタビュー】
新型コロナウイルスの感染拡大でストップしていた外国クルーズ船の国内受け入れが3月1日に清水港を皮切りに再開した。これまでの地道な誘致活動が実を結び、3~4月は計19回の寄港ラッシュ、年間でも過去最多の70回以上を予定する。自ら先頭になっておもてなしを展開する。 -外国クルーズ船をいかに迎えるか。 「日本、清水港を訪れてみたいという外国人観光客に感謝している。吹奏楽や太鼓の演奏、お見送り時には花火などを準備している。清水芸妓にも参加してもらい、日本文化を楽しんでもらえるようにしたい。何か購入してもらうこともそうだが、体験してもらえることも重視したい。着物の着付けやティーセレモニーなども先
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静岡人インタビュー「この人」 キノコ写真展を開く静岡木の子の会の会長 小倉辰彦さん(富士市)
ふじのくに地球環境史ミュージアム(静岡市駿河区)で19日まで開催中の「キノコ写真展」に、各地で撮影した作品を出展している。元は富士宮市の消防職員。富士山麓の森林を歩くうち、キノコの魅力にとりつかれた。一眼レフカメラを片手に、毎日のように自然の中を歩いている。山梨県南部町出身、70歳。 ―キノコとの出合いは。 「山で育ったので、花や鳥などの自然観察が好きだった。秋のキノコ狩りに誘われて行ったのが始まり。富士山の針葉樹林帯にはキノコが多い。コケの中に生えた姿がすごくきれいだと感じ、撮影を始めた。50歳の時にホームページを開設し、写真などを紹介してきた」 ―どんな魅力があるか。 「雨上がり
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静岡人インタビュー「この人」 静岡県西部農林事務所天竜農林局長として団体間交流を通じた地域振興に取り組む 太田治夫さん(静岡市清水区)
浜松市天竜区の官民各種団体が集まり地域振興を考える集会「サロン・ザ・天竜」を立ち上げた。普段は交流のない団体間の情報共有や意見交換を通じ、活気ある地域づくりの可能性を探っている。2020年4月から現職。60歳。 -立ち上げの経緯は。 「局長に就任後、基幹産業である農林業の持続可能な発展には、地域全体の価値を高める取り組みが不可欠と考えた。まず局内に広報委員会を創設し、職員一丸となって地域の魅力発掘に着手した。その上で地域の各種団体に拡張することで、より具体的な発展につなげようとサロンを立ち上げた」 -天竜の魅力と課題は。 「一番の魅力は人。豊かな自然や食文化も根付いている。今求められ
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静岡人インタビュー「この人」 ヤングケアラーを支援する元当事者の家庭教師 宮坂智恵子さん(沼津市)
静岡県が本年度から始めた、ヤングケアラーだった元当事者が子どもの相談に応じるピアサポート事業で、学習支援を行うほか、講演会や勉強会の講師としてヤングケアラーの存在の周知に努める。「ミスどん底先生」と名乗り、家庭教師として活動する。横浜市出身。41歳。 -ピアサポートとしてどんな活動をしているのか。 「県の委託を受ける一般社団法人の活動に参加し、沼津、富士、御殿場の3市で学習支援している。家にいると手伝いをせざるを得ない子どもたちが集まっている。個別でつながり、学習だけでなく心の面や進学もサポートする。行政や学校などに向けた講演会活動も行い、自分の体験を伝えている」 -「ミスどん底先生」
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静岡人インタビュー「この人」 サックバットの魅力を伝える 小野和将さん(浜松市中区)
現在広く演奏されている金管楽器トロンボーンの“先祖”に当たる古楽器サックバットのプロ奏者。昨秋、静岡市駿河区のグランシップで披露されたバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)のモーツァルト「レクイエム」公演に参加した。33歳。 -BCJ参加の経緯は。 「南西ドイツ放送交響楽団首席トロンボーン奏者、清水真弓さんに声を掛けてもらった。世界的なプレーヤーの集まりであるBCJでモーツァルトの最高傑作を演奏できたことは、大きな喜びだった」 -どのような楽器か。 「17世紀前半を中心に、教会で聖歌隊を補助する役割を担った。人の声に近く、歌のニュアンスに寄せやすい。今回のBC
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地域を挙げた観光振興 袋井市観光協会/村田繁樹会長【キーパーソン】
袋井市内でも観光客が徐々に戻りつつある中、本県ゆかりの徳川家康が主人公の大河ドラマ「どうする家康」の放送開始を観光業のさらなる活性化へとつなげる。行政をはじめ関係団体との連携も強化し、地域を挙げて観光振興を図っている。今後の戦略などを聞いた。 -就任から8カ月たっての感想は。 「観光の多様化が進み、時代に合わせた施策が必要。特に発信力の重要性を改めて感じている。協会としてPRすることはもちろんだが、SNSの影響力は大きい。主な利用者の若者世代をどのように呼び込むか。客足は回復傾向の半面、今は観光支援を利用した来訪も多い。一過性ではなく、リピーターとして定着させるための知恵を絞りたい」
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静岡人インタビュー「この人」 全国障害者スポーツ大会で連覇を狙う 森下実咲さん(御前崎市)
昨年10月に栃木県で開かれた第22回全国障害者スポーツ大会の陸上女子立ち幅跳びと50メートル(いずれも視覚障害1部)で優勝した。陸上の魅力は「記録を伸ばせるところ」と語る。県立浜松視覚特別支援学校高等部3年生。18歳。 ―優勝の感想は。 「できると思っていなかったのでうれしい。大きなスタジアムでやるのは初めてで緊張した。立ち幅跳びで大会記録(2メートル11)が出てびっくりした。練習でも跳んだことがない」 ―3年越しの全国大会だったとか。 「2019年にも県代表に選ばれていたが、台風の影響で、開催地の茨城県に向かう電車の中で中止を言い渡された。20年と21年は新型コロナウイルス感染の拡
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無人駅が舞台 芸術祭6年目 作品の主役 地域へ人へ NPO法人クロスメディアしまだ理事長/大石歩真氏【本音インタビュー】
大井川鉄道の無人駅と周辺の集落を舞台にした「UNMANNED 無人駅の芸術祭/大井川」が6回目を迎えた。専門誌で「注目の国際芸術祭」として選出されるなど知名度を高め、アーティストと地元住民との協働による作品制作は地域づくりの観点からも評価を受けている。 -無人駅をテーマにしたきっかけは。 「地域資源を掘り起こすことがアーティストの重要な役割と考えた時、私たちの暮らしの原風景が残る大井川流域の里山に目を向けるようになった。最初は無人駅だった舞台が集落へと移って茶畑や空き家、公共空間に広がり、次の段階で作品が『人』へと変化した。住民が映像作品に出演したり、住民の顔の型取りをしたり。地域に生
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静岡人インタビュー「この人」 みしまバーニャを企画した 大滝真人さん(三島市)
標高50メートル以上の高地で生産される箱根西麓三島野菜にソースを付けて味わうバーニャカウダ。新たな三島の名物として市内飲食店に提案し、1カ月で23店舗のメニューに加わった。JAふじ伊豆三島函南地区本部営農販売課の課長補佐。41歳。 ―みしまバーニャとは。 「3品以上の地元野菜をオリジナルソースとともに提供する。少量多品種の箱根西麓三島野菜は年間を通じて50種類以上が生産され、旬の野菜は季節に応じてさまざま。店によってソースも異なるので、食べ歩いて楽しんでも面白い」 ―バーニャカウダで売り出す理由は。 「元々はイタリア発祥の家庭料理。生でもゆでても焼いても良く、種類が豊富な箱根西麓の野
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静岡人インタビュー「この人」 難聴児の支援に取り組む 植田宏さん(静岡市清水区)
難聴児への理解、配慮を求める動画を作成した。難聴児の療育体制の構築にも力を注ぐ。県耳鼻咽喉科医会福祉医療委員会委員長。57歳。 -難聴児の未来が昔と変わっている。 「全く聞こえない赤ちゃんも難聴の早期発見、人工内耳や補聴器による補聴、適切な療育によって聞けて話せるようになり、通常学級に行ける可能性が高くなった。今は療育環境が不十分なため体制づくりに取り組んでいる。『難聴で生まれても安心して』と言える時代がもうすぐ来るかもしれない」 -動画作成の狙いは。 「通常学級で頑張ろうと思っても教師や友達が難聴の子どもに慣れていないため、本人が疎外感を感じたり、補聴器の装用を嫌がったりすることが
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静岡人インタビュー「この人」 常葉大からサッカーJ2いわきFCに加入した 速水修平さん(福島県いわき市)
ヘディングが強く、空中戦に優れたセンターバック。常葉大では副主将を務めた4年時に総理大臣杯とインカレの全国大会に出場し、U―23日本代表に選ばれた。身長182センチ、体重78キロ。島田市出身。22歳。 -大学時代を振り返って。 「1年の最初からスタメンで公式戦に出場させてもらい、多くの経験ができた。監督からは食事や考え方など私生活の部分まで指導をしていただき、プロになった今、教えがその通りだと感じている。キャプテンや同期のメンバーにも恵まれ、人間的に成長できた4年間だった」 ―12月末からチームに合流している。いわきFCの印象は。 「練習がハードだと聞いていたが、想像以上にきつい毎日
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災害対策 アプリに集約 建設システム/重森渉社長(富士市)【キーパーソン】
建設業界をIT技術で支えてきた知見を生かし、自然災害などのリスク対策を集約した防災アプリ「クロスゼロ」を開発した。企業向けから提供を始め、3月には家庭用の運用を見込む。 -どのようなシステムか。 「自動配信の安否確認をはじめ、SNSからAIが収集する発災情報、ユーザーの投稿を表示するリスク共有、掲示板などを一体的に利用できる。建設や土木など取引会社に無料プランから案内している。有事だけでなく、平時にも利用できる仕組みが特徴。日頃から機能に親しんでほしい」 -開発の経緯は。 「社員が増え始めた頃からBCP(事業継続計画)を強く意識し、有効なアプリを検討してきた。東日本大震災を体験した社
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静岡人インタビュー「この人」 創立70周年節目に向け準備に力 沼津青年会議所理事長 竹村俊克さん
2011年に沼津青年会議所(JC)入りし、委員長や副理事長、専務などを務めた。1月に第69代理事長に就任。本業はコインランドリーのプランニング会社「美幸工業」の専務。今年の沼津市制100周年を機に、全県へ沼津を発信したいと意気込む。36歳。 -今年のスローガンは。 「『真っ向勝負で想いを繫(つな)げ! 沼津の未来を共に創ろう!』を掲げた。活動を通して、メンバーには情熱を持って全力で取り組み修練してもらいたいと思っている。自らも、思い切り挑戦する姿を示していく」 -どのような年と捉えるか。 「創立69年の今年は、来年に向けた『繋ぎの理事長』と思われるかもしれないが、それほど意義のある役
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静岡市清水区出身の新人漫画家 たむらゲンさん 伝える力、心がけて描く【とうきょうウオッチ/静岡へ発進&発信】
小学館が提供するデジタルコミック配信サービス「マンガワン」で昨夏にデビュー。マナー(礼儀・作法)を題材にした作品「遥かなるマナーバトル」を隔週で連載する。1月に単行本も出版された。都内の大学4年生。23歳。 ―デビューの経緯は。 「漫画を描くのは小学生の頃から好きだった。大学1年生の時に、マンガワンの『投稿トーナメント』という賞に応募して6位になった。そこから付いてくれている担当者の助言も受けて今回の作品を描き始め、未完成の段階で5月にツイッターへ上げた。想定外にバズった(広く話題が拡散された)のがきっかけとなり、すぐ連載が決まった」 ―周囲からはどのような反応があったか。 「日常は
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土石流被災者 心に寄り添う 多角的に支援 熱海市伊豆山ささえ逢いセンター長/原盛輝氏【本音インタビュー】
2021年7月に熱海市伊豆山で発生した大規模土石流の被災者の見守り支援を続けている。被災者の悩みは多岐にわたり、時間とともに変化もする。現地のインフラの復旧工事が本格化する中、一人一人に寄り添いながら、分断された地域コミュニティーの再生を目指している。 -被災者と接して感じることは。 「センターは発生3カ月後に開設し、保健師や社会福祉士など6人の相談員が被災した127世帯を訪問したり、電話したりして悩みや不安を聞いてきた。少しずつ前に進もうとしている人もいれば、まだ誰とも話したくないという人もいる。先日、最後の行方不明者の太田和子さん=当時(80)=の骨の一部が発見された。良かったと思
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静岡人インタビュー「この人」 「東アジア文化都市2023」のロゴマークを考案した 入江七海さん(浜松市中区)
日中韓3カ国が文化芸術を発信する国際イベントのシンボルとして、県が関連事業で使用するロゴマークを考案した。静岡文化芸術大デザイン学部3年。神戸市出身、21歳。 ―ロゴマークの題材は。 「日本の伝統的な飾り結びの『総角(あげまき)結び』を結ぶ途中の形を基にしている。イベントを通じて3カ国の交流を結んでいこうという思いを込め、結ぶ途中の形を題材に選び、3カ国を表現する三つの色や、本県を象徴する富士山、ハートの形などを盛り込んだ。『結びつき』や『つながり』のイメージから、飾り結びのモチーフにたどりついた」 ―考案の経緯は。 「昨年の夏休みごろ、先生から学内コンペに参加しないかと声をかけられ
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#暴力をなくそう 性的描写のシーン 俳優の「NO」尊重 インティマシー・コーディネーター西山ももこさんに聞く【NEXTラボ】
世界各地に広がった「#MeToo」運動に呼応し、国内の映像業界でも性暴力被害の告発が相次ぐ中、「インティマシー・コーディネーター」と呼ばれる新たな職業が注目されている。映画やドラマで肌の露出や性的描写を伴う親密なシーンを撮影する際、制作側と俳優側の間に入り調整役を担う。国内にはまだ2人しかいないコーディネーターの1人、西山ももこさん(43)=東京都=に自身の役割や映像業界の課題について聞いた。 同意、不同意 事前に調整 制作側との橋渡し インティマシー・コーディネーターの役割を教えてください。 映画やドラマでインティマシー(親密な)シーンを撮影する際、監督が目指す表現を理解した上で、
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静岡人インタビュー「この人」 日本貿易振興機構(ジェトロ)・ミュンヘン事務所長 高塚一さん(ドイツ在住)
南ドイツのミュンヘン事務所(2020年開設)初代所長。バイエルン、バーデン・ビュルテンベルクの2州を管轄する。赴任は西部デュッセルドルフ以来2回目。1月下旬には浜松市で現地概況を情報提供するセミナーを行った。牧之原市出身。 -管内の経済・産業状況は。 「BMWやメルセデス・ベンツ、ボッシュ、シェフラーなどの本社があり、主要自動車・部品メーカー、機械など製造業が集積する。国の名目GDP(21年)の3割以上を創出し、高い経済力を有する。日系企業進出はこの10年で200社増の約740社と加速している」 -事務所の役割は。 「日本と海外の貿易と投資の促進がジェトロの使命。日本、南ドイツ双方の
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静岡人インタビュー「この人」 学生らと町をつなぎ新規ビジネス創出を図る地域おこし協力隊 高井洋季さん(西伊豆町)
2020年に西伊豆町地域おこし協力隊に就任。同町の地域活性化を進めるNPO法人国際ボランティア学生協会(IVUSA)の元職員で、現在理事として学生と町のハブ役を務め、新規ビジネスの創出を図る。隊員の定住促進や働きやすい体制づくりのほか、地域課題解決を促すために官民連携を進める。横浜市出身。41歳。 -就任のきっかけは。 「国際協力について学ぶために留学した経験がある。その際、東日本大震災が発生したのを機に日本を拠点として国内諸地域の課題解決に取り組もうと決めた。これまでは学生を介在して地方創生に携わってきたが、自身がプレーヤーになりたいと考えた。西伊豆は人口減少が進む中で、問題意識を持っ
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静岡人インタビュー「この人」 静岡県の東アジア文化都市担当県理事に就任 渋谷浩史さん(藤枝市)
1985年に県に入庁。行政職として初めて県教委の高校教育課長などに登用された。本県が2022年夏に文化庁の東アジア文化都市事業の23年国内都市に選定されたのを受け、22年12月に新設された現ポストに就いた。23年度に本格化する事業の取りまとめを担う。60歳。 ―東アジア文化都市とは。 「日中韓3カ国の開催都市が文化を発信し、交流する。事業は10年目になるが、外交の停滞もあり、盛り上がりを欠いた。文化は国境を超えた交流のツールになる。本県が過去最高の成果を残して東アジア文化都市の意義をあらためて示したい。友好関係の深化にも貢献したい」 ―本県事業の特徴は何か。 「芸術、スポーツ、食、フ
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静岡県清水港管理局/斎藤昌昭局長 恩恵を実感できる港に【キーパーソン】
中部横断自動車道の開通や静岡市の海洋文化施設建設、ENEOS(エネオス)清水製油所跡地がサッカースタジアムの建設候補地に選定されるなど大きな変革期を迎えている国際拠点港湾・清水港。3月からは海外のクルーズ船受け入れも再開する。管理する県の担当者にみなとまちづくりの展望を聞いた。 -海外のクルーズ船受け入れが再開する。 「昨年秋の国内船寄港再開後、岸壁での見送りに来る人が増え、改めてクルーズ船の人気が不動であることを実感する。客船誘致委員会などと連携し、新型コロナウイルス感染症に対し、万全な備えをして臨む。清水港周辺には久能山東照宮など観光資源が多い。コロナ禍で疲弊した観光産業の復活のため
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静岡人インタビュー「この人」 航空自衛隊第1航空団司令兼浜松基地司令に就いた 伊藤顕さん(浜松市西区)
防衛大卒業後に入隊。第1高射群司令や南西航空警戒管制団司令などを歴任し、2022年12月23日付で現職に就いた。若手パイロットの育成や基地運営を統括する。空将補。浜松基地の第1術科学校長も務めた。東京都出身。57歳。 -就任の抱負を。 「浜松基地では、パイロットの証しとなるウイングマーク取得に向けた操縦学生の育成をはじめ、航空機や通信機材などの整備に関する教育も長年行われ、まさに教育の原点の場といえる。また、警戒や救難の任務にあたる第一線の部隊が配備され、空の防衛体制の拠点でもある。航空自衛隊における浜松基地の重要性を十分に認識し、全力で職務に当たりたい」 -特に重視して取り組むことは
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「大河」起爆剤 観光回復狙う 家康ゆかりの地と連携(浜松市観光・シティプロモーション課長/北嶋秀明氏)【本音インタビュー】
徳川家康が主人公の大河ドラマ「どうする家康」の放送が始まった。家康ゆかりの地の浜松市は好機と捉え、コロナ禍で落ち込んだ観光需要の回復に力を注ぐ。行動力とアイデアで観光振興とプロモーションを先導する。 ―ドラマへの期待は? 「約3年前の就任以降、新型コロナ感染防止対策の飲食店認証制度やスマートフォンを使った大型ポイント還元キャンペーン、飲食代1億円キャッシュバックなどに取り組み、飲食店やホテルなど観光関連産業の厳しい状況を肌で感じた。これからが観光をV字回復させるタイミングだ。幅広い年代のファンを持つ松本潤さん主演の大河ドラマの舞台地になったことはありがたく、浜松があらためて全国から注目さ
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静岡人インタビュー「この人」 バタフライガーデンの統括責任者 高瀬文江さん(富士宮市)
芝川ギフチョウ保護の会が富士宮市下柚野の興徳寺敷地内につくったバタフライガーデン。きっかけは地元中学生から「アサギマダラを柚野に呼びたい」と相談を受けたこと。昨年5月からガーデンを37区画に分けて、手入れに参加する市民らの有志(区画オーナー)とチョウが集まる庭づくりに励む。同会の会計担当。72歳。 -1年目の感触は。 「びっくりするほどたくさんの人がガーデンに遊びに来てくれた。保育園が遊びのフィールドに使ってくれたこともうれしい。ギフチョウの広報活動にもつなげられた。自然観察の入り口になったな、という感触がある。成功の理由は想定を超える約70人もの有志が区画オーナーに参加してくれたことと
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静岡人インタビュー「この人」 子どもや高齢者らが使いやすい食事用エプロンを開発した 小沢順さん(島田市)
故郷の島田市で起業し、幼児や高齢者、介助が必要な人の使いやすさを考えた食事用エプロンを開発した。2021年7月に「obiyaco(オビヤコ)」を立ち上げ、製造・販売を手がける。49歳。 -開発の経緯は。 「母親の介護の際、既存の介護用品を使いたがらなかったことがきっかけ。パジャマやつえなど無機質なデザインが多く、着る物にもこだわっていた母親のためおしゃれな製品を探し回った。機能性だけでなく見た目も重視し、使う喜びや満足が得られる製品があってもいいのではと考えるようになった」 -製品づくりはどのように進めたか。 「傘に使われている富士吉田市の『ほぐし織』と呼ばれる高級生地に出会い、前合
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静岡人インタビュー「この人」 2023年度浜松商工会議所女性会長に就く 山本泰子さん(袋井市)
浜松地域の女性経営者や管理職など47人でつくる女性会に2009年入会。17年と20~22年度に副会長を務め4月、会長に就任する。芸能スクール「ヒーローズアカデミー」(中区)社長。63歳。 ―これまでの活動は。 「副会長として3年間、横田(みどり)会長の下、広報委員会をやってきた。コロナ禍で状況が変わって厳しい中、助け合うためフェイスブックで会員企業を紹介して盛り上げ、会員企業の存続に注力してきた」 ―女性会に入会したきっかけは。 「03年に開校した自分の会社は芸能関連で、当時は信頼がなかった。孤独だったこともあり、いろいろな人と人脈をつくり、活動を認めてもらいたかった。経営者として勉
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静岡人インタビュー「この人」 熱海芸妓置屋連合組合の組合長を務める 小笠原亜紀子さん(熱海市)
2022年6月に22代目の組合長に就任した。観光地熱海の「華」である芸妓(げいぎ)衆の先頭に立って、伝統文化の継承と魅力の発信に努めている。芸名は「美保」。佐賀県出身。 -組合長としての抱負は。 「まちの人から愛され続ける組合にしていきたい。現在、組合に所属する芸妓は70人ほど。芸妓の伝統文化を継承していくためにも、担い手の発掘、育成に努めていく。師匠に学ぶ踊りや唄、鳴り物、茶道、華道は生涯の宝になる。若い人が憧れて飛び込んでくるような世界にしていきたい」 -芸妓を取り巻く環境は。 「新型コロナウイルス禍を境に大人数の宴会が激減し、厳しい状況に置かれた。組合員みんなで励まし合って、何
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静岡人インタビュー「この人」 ハーダンガー刺しゅうの魅力を伝える 上栫洋子さん(富士市)
ノルウェーの伝統技法「ハーダンガー刺しゅう」による作品が、日本編物手芸協会が主催する本年度の「編物手芸新作コンクール」で最高賞の文部科学大臣賞を受けた。受賞は2回目。自宅で教室を開き、ハーダンガー刺しゅうの魅力を伝えている。60歳。 ―ハーダンガー刺しゅうとは。 「刺しゅうはさまざまあるが、ハーダンガー刺しゅうは布目を数えながら刺しゅうし、織り糸を切ってかがることで、繊細なレースのような作品に仕上がる。一方で、図面通りでなければ完成しない難しさもある。織りの細かさで完成品の印象も変わる」 ―きっかけは。 「40代の頃、夫の赴任先のメキシコで出合った。現地駐在員の家族はさまざまな趣味を
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富士ざくらホテル(小山町)小沢健男社長 訪日客と合宿客に照準【キーパーソン】
2018年にオープンした小山町須走の富士ざくらホテルを運営する。当初ターゲットにしたインバウンド(訪日外国人)需要が新型コロナウイルス禍で消失し、富士山麓の準高地という立地を生かしてスポーツ合宿の誘致に乗りだした。回復基調にあるインバウンドとの2本柱で集客を図る。 ―スポーツ合宿の利用状況は。 「20年10月に誘致を始めてから増え続け、22年は5千人が宿泊した。23年は1万人を見込む。9割が陸上の団体で、箱根駅伝常連の順天堂大学も定期的に訪れる。利用者の目的は強くなること。須走は環境が整っている。周辺にトレーニング施設が多く練習内容に合わせて選択できる。富士山の存在は大きなモチベーション
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推理小説を発刊したジャズ・プロデューサー/渡辺康蔵さん 魂解放 音楽自由に表現【とうきょうウオッチ/静岡へ発進&発信】
ソニーミュージックなどで勤務し、昨年からフリーランスとして活動する。1月、ジャズをテーマにした推理小説「ジャズ・エチカ ジャズメガネの事件簿」(彩流社)を発刊した。静岡高、早稲田大卒。静岡市葵区出身。66歳。 -書籍を発刊した経緯は。 「文章を書くことが音楽と同じくらい好きだった。中学生の時は、夏休みの宿題の代わりにジャズ小説を1本書いたこともある。2013~18年は、レコード会社のジャズ雑誌で計11回の推理小説の連載を執筆した。今回発刊した本は、その内容に加え、モデルにしたジャズアーティストのエッセーを盛り込んだ」 -読みどころと書籍に込めた思いは。 「決まりにとらわれず、音楽を
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沼津・庄司美術館が新装オープン 芸術の良さ伝える場に(副館長/松永純氏)【本音インタビュー】
2022年4月から指定管理者不在で休館していた沼津市庄司美術館(モンミュゼ沼津)が1月、リニューアルオープンした。運営を県東部の芸術家らによるNPO法人が担う。今後の展望を聞いた。 ―再開館までの経緯は。 「昨年4月の休館を受け、6月にNPO法人『レザミ・デ・ザール』を立ち上げた。活動に一緒に参加してくれる会員を集めるのが大変だったが、正会員は主に県東部の住民で27人にまで増えた。プレゼンテーションを経て12月から指定管理者になり、1月の再オープンまでは期間が短く、どれだけ準備できるかという不安があったが、再オープンを迎えほっとしている。内装の一部をリニューアルし、展示作品も決め直した
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静岡人インタビュー「この人」 シードライブラリーに取り組んでいる 川田忍さん(浜松市西区)
種の大切さを伝える活動に取り組む生産者の任意団体「はままつ種ねっとわーく」の代表。「固定種」や「在来種」と呼ばれる地域に根付いた野菜の種を守ることを目的にした「シードライブラリー(種の図書館)」の活動を浜松市内で進めている。沼津市出身。57歳。 ―シードライブラリーとはどのような活動か。 「種を市民に貸し出し、その種で作物を栽培してもらう。作物が収穫できたら、その種の一部を返却してもらう仕組み。全国的にも広がっている活動で、図書館の本の貸し出しを想像してもらうと分かりやすい」 ―始めたきっかけは。 「ゲノム編集食品の種が自然界に無秩序に広がることに危機感がある。食の安全や、固定種、在
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学校のブラック校則、謎ルール、見直しませんか③ 関係者インタビュー【賛否万論】
子どもや保護者が「なぜ?」と戸惑う校則や学校のルールについて、多くの先生も「説明するのが難しい」と苦慮しているようです。生徒はどんなことを考えているか。先生の本音は?-。静岡県内公立中の元教諭で、校則をテーマにした動画を「TikTok(ティックトック)」や「ユーチューブ」に投稿して人気を集める「静岡の元教師 すぎやま」さんにインタビューしました。 先生と生徒 一緒に考えて 経歴を聞かせてください。 大学卒業後、講師時代を含めて12年間、県内の公立中5校で音楽を教えていましたが、2018年に退職しました。市民ミュージカルの指導をきっかけに、「舞台に立ちたい」「歌がうまくなりたい」という
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静岡人インタビュー「この人」 全国高校生パンコンテストで最優秀賞を受賞した 杉山小雪さん(静岡市清水区)
伊豆の国市で1月下旬に開かれた第17回パン祖のパン祭内のコンテストで、全国各地の30校から応募のあった331作品の中で最優秀賞のパン祖のパン祭大賞・農林水産大臣賞に選ばれた。静岡農高の2年生で、食品科学部の部長。17歳。 -出品作品の特徴は。 「作品名は『ライ麦ブロート~穀物の香り』。サワー種などの酵母を使い、外はカリカリ、中はもちもちとした食感になるように香ばしく焼き上げた。クリームチーズやジャムと一緒に食べるのがおすすめ。材料は食物繊維が多いので、腸の働きも良くなる」 -こだわったところは。 「生地がべたついて丸め込むのが難しかったので、スピード感を持って手際よく作業できるように
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静岡人インタビュー「この人」 高天神城跡で20年間観光ボランティアを続ける 大石鐘邇さん(掛川市)
掛川市の高天神城跡を拠点に活動する「高天神城観光ボランティアの会」を20年前に立ち上げた。戦国時代に武田氏と徳川氏が激しい争奪戦を繰り広げ、「高天神を制するものは遠州を制する」と言われた難攻不落の山城を観光客に案内している。83歳。 -案内するコースは。 「北側の搦手(からめて)門から石段を登ると籠城には欠かせない井戸曲輪(くるわ)があり、東に行くと徳川方の大河内正局が幽閉されたという石窟、西には見晴らしのいい馬場平などがある。標高約130メートルの山を生かした複雑な地形をしているため、1時間半~2時間かけてじっくり紹介している」 -見どころは。 「さまざまな場所に土塁や堀切が残され
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静岡人インタビュー「この人」 地域の中学生らに演劇を指導する大学サークルの代表を務める 河原崎茜さん(浜松市中区)
静岡文化芸術大のサークル「ぷちまり」の代表として演劇のワークショップに励んでいる。昨秋にはサークルの仲間と一緒に浜松市浜北区の中学生たちを指導する「お芝居プロジェクト」を約1カ月にわたって展開。生徒たちとオリジナル脚本による芝居を同区の北浜南部協働センターで共演し、住民らの注目を集めた。御前崎市出身。同大文化政策学部2年。20歳。 ―お芝居プロジェクトを振り返って感じたことは。 「サークルの仲間の中には中学生相手に演技指導をした経験のない人もいて、教え方を戸惑うことはあった。ただ、生徒たちとどんな芝居を作りたいかや、どこで笑いを入れようかなどを話し合うことで演劇の可能性や自由さをあらため
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プラニック(御前崎市)小池忠敏社長 廃プラの再資源化推進【キーパーソン】
自動車や家電製品などの廃プラスチックを加工して再資源化する。御前崎市に工場を構え、昨年10月に事業を開始した。県内外の中間処理業者などから最大で年間約4万トンの廃プラを受け入れ、約3・2万トンの再生プラスチック原料の生産を目指す。今後の事業の展望などを聞いた。 ―現在の稼働状況は。 「徐々に廃プラの仕入れ量を増やしながら従業員の技術向上を図っている。夜間も稼働し始め、最終的には3交代制の24時間稼働を目指す。従業員は御前崎市や近隣市在住者を含め約40人。フル稼働に備えて増員を考えている」 ―工場の特徴は。 「材質ごとの選別が困難で、従来は廃棄したり焼却処分したりしてきたプラスチックを
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静岡人インタビュー「この人」 シニアの太鼓日本一に輝いた 山内剛さん(御殿場市)
60歳以上の奏者が腕前を競う日本太鼓シニアコンクール(昨年11月、石川県)で優勝した。28歳で演奏を始め、太鼓団体「富岳太鼓」の代表を務める。保育園や障害者支援施設などを運営する社会福祉法人「富岳会」の理事長。奏者としては「強嗣」名義で活動する。64歳。 ―コンクールを振り返って。 「新型コロナ禍で対外活動が制限される中、優勝という明確な目標を持って自らを奮い立たせた。仕事で日中は練習ができず、毎朝5時に起きて1時間体を鍛え、昼休みの45分間に太鼓を打った。3位だった前年の悔しさをばねに、前年の3倍練習したので自信はあった。指導する子どもたちが賞を取ることは多いが、私個人が評価されるのは
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宮沢博行氏(自民、衆院比例東海) 合成燃料の必要性強調【とうきょうウオッチ/永田町便り】
二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラル(CN)の実現に向け、CO2と水素を原料にして製造される合成燃料「e-fuel(イーフューエル)」の必要性を強調する。 「電気自動車の開発が加速しているが、ガソリン車をなくしてしまうと産業の競争力の低下につながる恐れがある。ガソリン車を残してCNを達成するには、イーフューエルという再エネ合成燃料が必要だ。自動車や石油精製会社の関係者らを集めた検討グループを立ち上げ、研究開発を強力に支援していかなければならない」
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全線開通70年 好循環を創出 沿線活性の発信拠点へ 岳南電車社長/橘田昭氏【本音インタビュー】
富士市の岳南電車(通称・岳鉄)は1月に全線開通70周年を迎えた。2004年度以降は利用者の減少などで経営状況が苦しくなり、市からの補助金で赤字を補ってきた。現在は23年度以降の公的支援の最終決定を待っている。地方鉄道の存続に向けた課題を聞いた。 -利用者数の推移は。 「年間70万人を下回っている。ピーク時(1970年前後)の約460万人とは比較にならないほど減少してしまった。創業当時は、吉原駅と商店街を結び、製紙工場の輸送手段として地元の期待を背負って運行していた。モータリゼーションや沿線企業の減少が響き、2012年の貨物輸送休止が社の分岐点と言える。夜景電車を筆頭とした企画に注力し利
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学校のブラック校則、謎ルール、見直しませんか② 関係者インタビュー【賛否万論】
ブラック校則や学校の謎ルールについて考えています。校内暴力などが社会問題化していた時代は学校の秩序を保つために厳しい校則が必要とされていましたが、今は時代にそぐわなくなっている校則もあるようです。静岡新聞社にもこれまで、校則に悩む多くの生徒から投稿が寄せられてきました。非合理的なルールが、不登校の子どもを増やしているという指摘も聞こえてきます。積極的に校則の見直しを進める静岡市立西奈中で、生徒指導主事を務める大村悠紀教諭(34)に今後の校則の在り方について話を聞きました。 意見や考え 発信する力養いたい 静岡西奈中・生徒指導主事 大村悠紀さん 大村悠紀さん 大学卒業後、清水第六中に5
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静岡人インタビュー「この人」 台風15号で県内支援をした日本カーシェアリング協会代表理事 吉沢武彦さん
宮城県石巻市を拠点に全国の災害被災地で、車の無料貸し出し活動を行う。昨年9月の台風15号直後から静岡市を拠点に、浸水で自家用車を失った人や災害ごみの搬出でトラックを必要とする人たちなどを支援した。44歳。 ―活動実績は。 「10月から乗用車と軽トラックを延べ286件貸し出した。申し込みが殺到したが、ピーク時170人だった待機者は今はゼロ。貸し出し期間は2月28日までとしている。車の寄付を募ったところ、有志や中古車業界団体の協力で24台を譲り受けた。中古車需要が高い中で手放した思いに感謝が尽きない」 ―静岡市の調査時の印象は。 「清水区を最初に訪ね、住民の話を聞き、思っていたよりもひど
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静岡人インタビュー「この人」 ろう者と聴者の理解促進を目指す「KIZUNA Deaf&Hearing」代表 和田典子さん
耳が聞こえず手話を第1言語にする「ろう者」と聴者(健常者)をつなぐ「キズナ デフアンドヒアリング」を昨年9月に浜松市に設立した。2019年から市内在住。東京都出身。57歳。 -手話との出会いは。 「都内在住時に友人が手話を学び始めたのを機に、自分も講習会に通い始めた。手話は一つの言語という印象を持ち、率直に『面白い』と感じた。2003年に手話通訳士の資格を取得。その後、全国のろう者と金融機関や店舗などをテレビ電話の画面越しに結んで遠隔で手話通訳する企業に勤め、コミュニケーションをサポートした」 -団体立ち上げの経緯は。 「かつてろう者だけのキャンプの予約をした時に、相手先から大丈夫か
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静岡人インタビュー「この人」 富士ばやしの普及に努める富士市民踊会会長 伊藤芳子さん
富士市の市民グループ「富士市民踊会」に1989年に入会し、2021年から現職。会員約80人と共に、地域の民踊や音頭の指導と普及、啓発に努める。74歳。 -富士ばやしの特徴は。 「1976年に市制10周年を記念して作られ、郷土の情景や特産品を物語のように歌っている。誰でもやさしく踊ることができて、富士まつりでは市民総おどりの定番になっている。当初は都はるみさんの歌唱で有名になったが、踊りと合わせていつまでも残ってほしい」 -地域外への普及はどのように。 「各地の民踊の保存は、それぞれの地域が知恵を絞っている。富士ばやしは昨年11月、全国の民踊指導者500人が集まる研修会で課題曲に選ばれ
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EVシフト、脱炭素推進 持続的成長へビジョン策定 加藤充明/小糸製作所社長 【聞きたい】
電気自動車(EV)など次世代モビリティ開発が進む中、主力製品の自動車用ランプを高性能化する一方、新規事業の発掘や早期事業化に力を注ぐ。持続的な成長や環境との共生に向け、2022年11月に30年度までの経営目標「KOITO VISION(コイト・ビジョン)」も策定した。 ―足元の事業環境は。 「自動車用ランプの22年の年間生産数は7900万台。前年比450万台増とはいえ、新型コロナウイルス感染拡大前の状況までは回復していない。半導体や部品不足は完全解消したと言えず、23年も厳しい経営環境が続くだろう」 ―ビジョン策定の狙いは。 「国内自動車産業はEVシフトや脱炭素化などで大きな変革期を
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静岡人インタビュー「この人」 賀茂地域で住民の健康長寿研究に取り組む 田原康玄さん(静岡市駿河区)
賀茂地域1市5町の住民を対象に健康調査を行い、健康状態の変化などを追跡する「静岡多目的コホート事業」を進める。効果的な予防方法の開発や疾病の早期発見、健康づくりの意識を高めることを目指す。静岡社会健康医学大学院大(静岡市)研究科長。川崎市出身。53歳。 ―コホートとは。 「集団を長期間追跡し、疾患の発症や関連する特徴を明らかにする研究手法で電気や水道と同じ社会インフラ。疾病予防は分かっていないことが多く、社会環境の変化で認知症やフレイル(虚弱)などの課題も出てきた。リスク因子を明らかにし県民の健康づくりに貢献したい」 ―研究成果は。 「自分が取り組むもう一つのコホート(滋賀県長浜市)
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静岡人インタビュー「この人」 焼津・実証実験のアプリを開発した会社CEO 讃井寛海(さぬいひろみ)さん(三島市)
1月から焼津市内で始まった実証実験で使うビジネスマッチングのアプリを開発した。実証実験ではモビリティサービスと組み合わせ、人材交流促進を図る。2021年、大学在学中にソフトウエア開発会社「LANDMARK(ランドマーク)」を創業。さいたま市出身。三島市在住。26歳。 ―アプリ開発の動機は。 「大学在学中に米国シリコンバレーでコワーキングスペースを拠点にビジネスを含めてさまざまな出会いが繰り広げられている光景を見て、対面でやりとりすることの重要性を感じた。日本に帰って、こうした光景を都会ではない都市の中心部で実現したいと思ったことがきっかけ」 ―立ち上げた会社の目指すところは。 「米国
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松下園(掛川市)/松下芳春代表 茶のファン拡大へ挑戦【キーパーソン】
手探りで無農薬の茶づくりを始めたのは40年以上前。有機茶園を拡大する一方、カフェの開設や茶本来のうまみを引き出す茶器の開発など多彩な挑戦を続けてきた。2022年に発売した発泡性緑茶リキュールをベースに、アルコールを含まない新飲料の試作も進めている。 ―緑茶リキュールの開発の狙いは。 「お茶好きを増やすためには、茶の多様な可能性を示して広がりを生む取り組みが大事になる。リキュールは茶を高級品として味わってもらうための提案の一つ。海外では富士山や日本の茶園風景を連想してもらえる飲料に育てていく。ノンアルコールの需要も出てきた。完成させて、23年のドイツの展示会に出品したい。現行のリキュールの
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アトピー治療薬を開発するナノエッグ社長/山口葉子さん 原因究明し根治へ全力【とうきょうウオッチ/静岡へ発進&発信】
アトピー性皮膚炎の新たな治療法の開発を目指すベンチャー企業ナノエッグを2006年に設立した。物理学の博士号を持ち、医学や薬学にも精通する。聖マリアンナ医科大客員教授。韮山高、静岡大工学部出身。60歳。 ―なぜ物理から医学の世界に。 「もともと医学には興味があり、中学時代は医者になりたかったほど。医学や薬学の分野では当たり前のことでも、物理の視点を加えたら面白くなると感じた。研究員時代に開発した、水に溶けない薬剤を溶けるようにした技術はその一例。薬剤をカプセル化して皮膚から薬を入れる会社の根幹技術だ」 ―アトピーの治療に力を入れる理由は。 「長女がアトピーに悩まされた。かゆみは我慢す
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男社会への挑戦 新型コロナ下、自伝まとめる 「女になれない職業」を出版した映画監督/浜野佐知氏【本音インタビュー】
女性が映画制作に携わることが困難な時代に成人向け「ピンク映画」の監督として頭角を現し、一般映画でも女性の性の抑圧を撮り続けてきた異色の人。新著の自伝「女になれない職業」や仕事への思いを聞いた。 -自伝をまとめたきっかけは。 「古希を迎え、近年は常に『これで最後かも』と覚悟して映画に向き合ってきた。ところがコロナ禍でその映画制作が止まり、映画祭なども軒並み中止になった。映画の他にできることはないかと考え、これまでの自分を全て記録しておこうと思い立った」 -自身のキャリアをどう振り返るか。 「静岡の七間町で映画に夢中になるうち、女性の描かれ方に疑問を持ち、本物の女を表現したいと監督を志
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静岡人インタビュー「この人」 干物の“可能性”を発信する飲食店を開業した 二見一輝瑠さん(熱海市)
創業150年余りの老舗干物店「釜鶴」の5代目。熱海市銀座町の国道135号沿いにあった支店を全面改装し、「干物の可能性を拓(ひら)く」をテーマにした飲食店「ヒモノダイニング かまなり」として今月オープンした。斬新なメニューで幅広い世代に干物の活用方法を提案する。44歳。 -飲食店を開業したきっかけは。 「干物の主な購買層は中高年で、『グリルを使いたくない』『骨が苦手』と敬遠する若者が多いのが実情。一方で、熱海には若者の観光客が増えている。その世代に干物の新しい食べ方を提案したいとの思いで開店した。新鮮な魚を使った自家製干物の味を通じて、熱海へのリピーターを増やしたい」 -メニューの特徴は
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静岡人インタビュー「この人」 「静岡どぼくらぶ」で建設業の魅力を発信する県職員 富田ひかるさん(静岡市駿河区)
社会インフラを守るため、土木工事の担い手づくりを目指す産学官連携組織の担当者。業界のイメージアップを図る取り組みの中心的な役割を担う。2018年に土木技術職として県に入庁し、島田土木事務所に勤務後、21年4月から交通基盤部建設政策課に所属する。静岡市出身。29歳。 ―なぜ、土木技術職なのか。 「小さい頃から工作好きで、ものづくりに興味があった。高校時代に新東名高速道の工事を見学し、大規模な構造物を作る技術者の誇りを感じ、大学で土木学科に進学するきっかけになった。学生時代には東日本大震災の被災地を訪れ、災害を防ぐインフラの大切さを実感した」 ―どぼくらぶの意義は。 「毎年のように大規模
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全国信用金庫協会長/御室健一郎氏 地域の発展見据え伴走【難局に挑む 新年トップインタビュー⑩完】
-2023年の景況をどう見通すか。 「新型コロナウイルス禍の悪影響がようやく減衰しつつあり、地域経済はやや持ち直しの傾向がみられる。ただ、原材料高や欧米の景気後退の局面と併せて不確実性は増している。22年末には日本銀行の実質利上げ発表のサプライズがあった。国内外の金融政策や市場動向が企業業績に与える影響を注視する」 -中小企業の経営課題と支援の方向性は。 「原材料高、部品調達難、人材不足などの荒波の中、経営環境は依然厳しい。カーボンニュートラル(CN)や電気自動車(EV)シフトの動きが世界的に加速し、本県などの自動車産業も引き続き転換期にある。足元の資金繰りを支えながら、人材育成や販
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静岡人インタビュー「この人」 徳川家康と遠州のゆかりを紹介する書籍をまとめた 冨田泰弘さん(磐田市)
磐田、袋井両市の郷土史研究団体「磐南文化協会」会員。鎌倉~江戸期に栄えた武家社会の歴史を中心に調査・研究に取り組む。昨年10月に初の著書「徳川家康公と磐田~遠州に見える天下人の足跡~」を自費出版した。磐田市職員。43歳。 -歴史に興味を持ったきっかけは。 「中学生の時に、祖父が浜松城公園に連れて行ってくれて興味を持つようになった。中学2年の夏休みには、友人と袋井市の久野城跡を訪れ、人の手で山を削り、土造りの城が築かれたことに感動を覚えた」 ―なぜ家康の研究を書籍化したのか。 「大河ドラマで家康が取り上げられることが決まり、過去の研究成果に加え、1年ほどかけて文献を読み直したり、史跡を
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スルガ銀行社長/嵯峨行介氏 顧客に呼応 解決策拡充【難局に挑む 新年トップインタビュー⑨】
―2023年の静岡県内経済の見通しは。 「現況の基調は持ち直している。23年も全体としては持ち直しの動きが期待されるが、燃料や原材料の高騰、供給制約、物価上昇に伴う消費停滞、新型コロナウイルスなどの影響に引き続き留意する必要がある。主要営業エリアの県東部では、製造業に比べて非製造業の業況判断指数(DI)が厳しくなっている。全国旅行支援事業や各種イベントの再開による人流の活性化に期待したい」 ―社会環境が大きく変わる中、デジタルトランスフォーメーション(DX)をどう進めるのか。 「スマホアプリをはじめとする多様なデジタルチャネルでサービスを拡大し、お客さまの利便性向上と店舗業務効率化を
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県議選 複数議席獲得へ 山村糸子氏/共産党静岡県委員長【各党に聞く 2023年選挙戦略⑤】
―統一地方選の争点は。 「大軍拡を目指す今の政権運営は、共産党が目指す方向に逆行している。地方にも原発やリニアの問題、暮らしと医療の課題など国政と一体の問題が多くある。党として岸田政権への対決姿勢を明確にした上で、各自治体で取り組むべき政策を掲げ、地方の視点でも必要な論戦を展開して党の役割を発揮する」 ―統一選の目標は。まだ態度表明をしていない静岡、浜松の両政令市長選への対応は。 「どの選挙も重要だが、特に県議選の複数議席獲得に力を入れる。政令市の浜松市議選も、ものづくりのまちにおける市の役割を問う選挙になる。国政では野党共闘を取り巻く環境が変化している。統一地方選で共産の議席や得票
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静岡県ホテル旅館生活衛生同業組合理事長/加藤賢二氏 高価値化へ転換不可欠【難局に挑む 新年トップインタビュー⑧】
―2023年の観光業をどう見通すか。 「新型コロナウイルスの影響を大きく受けた観光業だが、22年以降は手探りながらウィズコロナの付き合い方が見えてきた。国内客を中心に22年10月はコロナ禍前の9割まで回復。静岡空港の国際線再開も決まり、インバウンド(訪日客)の増加が期待できる。インバウンドもコロナ禍前のような団体旅行から小グループへの転換が見られ、受け入れ態勢の再構築を急がなければいけない」 ―国内需要のつなぎ止めやインバウンド受け入れに何が必要か。 「価格競争ではなく、高付加価値、高品質のおもてなしを提供する形態に転換する契機としたい。コロナ対応の国の補助を受け、高付加価値化に向け
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無党派層に支持広げる 公明党・静岡県本部幹事長/早川育子氏【各党に聞く 2023年選挙戦略④】
―統一地方選の位置付けは。 「前半戦は県議選と浜松市議選に計10人、後半戦の市町議選には計19人の立候補を予定している。県内公明党議員60人のうち半数が選挙戦に挑む。2024年11月に結党60年の節目を迎えることもあり、全員の勝利を目指す。公明党はネットワーク政党。市町、県、国の連携によって政策を作り上げてきているため、統一地方選は非常に重視している」 ―県議選は現状の5議席維持が目標となる。 「今回から定数が減る沼津市、新人が出馬を予定する静岡市葵区をはじめ重点選挙区ばかり。(今回擁立しなかった)浜松市については区割りの動向や定数を見ながら、今後検討していく必要があると思っている」
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静岡人インタビュー「この人」 ランチュウの全国品評会で2位に輝いた 小沢忠幸さん(沼津市)
昨年、大阪府で開かれた“金魚の王様”と呼ばれるランチュウの愛好家による品評会「第65回日本らんちう協会 全国品評大会」の当歳魚の部で2位に当たる西大関に輝いた。全国での入賞は15大会連続。県勢としては最高成績だった。ランチュウの販売も手がける。46歳。 -どのような大会か。 「全国からよりすぐりのランチュウが集まり、頭や尾の形の美しさや左右対称であること、八の字を描くよう泳ぐかなどを基準に競う。審査はシビアで、ヒレが少し欠けているだけでも厳しく評価される。当歳魚の部はその年に生まれたランチュウで競う部門で、作り手の力量が問われる難関。約500人が出品した」 -ど
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静岡人インタビュー「この人」 静岡県介護福祉士会会長に就任 水野公智さん(静岡市清水区)
昨年5月の理事会で副会長から昇格した。介護福祉士の上位資格である認定介護福祉士の資格を取得。静岡市駿河区の介護福祉施設に勤めながら、在宅介護についても学ぶため、聖隷クリストファー大大学院(浜松市北区)に通う。介護福祉士の資質向上や働きやすい環境づくりのために先頭に立つ。46歳。 ―福祉の世界に入ったきっかけは。 「専門学生時代、末期の大腸がんになった祖父の介護をした。当時の自分には排せつの補助などが苦痛だった。早く介護から解放されたいと思った直後に祖父が他界。『もっとできることがあったのではないか』という後悔の気持ちから、福祉の世界に入った」 ―会長として取り組むべきことは。 「会は
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脱炭素、安定供給と並行 静岡ガス社長/岸田裕之氏【難局に挑む 新年トップインタビュー⑦】
―2023年のエネルギー需給と価格の動向をどう見通すか。 「昨年はロシアのウクライナ侵攻で原油価格が高騰し、ロシアと欧州のパイプライン不通や円安の影響などで液化天然ガス(LNG)の価格も上がり、厳しい年だった。23年もウクライナ情勢が見通せず、産油国の出方次第なので見通しは非常に難しいが、合理的に考えれば原油価格は1バレル=60~80ドル前後で推移するのではないか。LNGは引き続き欧州の需要増の傾向が続くことと、23年後半に中国の経済が回復する可能性を考えると、22年ほどではないが少し高めに推移するのでは」 ―自社の調達戦略は。 「もともと長期契約をベースに購入し、(価格変動性の高い)
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伊豆の国ミニトマト原料のクラフトビール「政子の情熱」開発 大屋幸子(おおやさちこ)さん【とうきょうウオッチ/静岡へ発進&発信】
羽田空港隣接地の醸造所併設ビアレストラン「羽田スカイブルーイング」など、大田区内で飲食店を経営する。全国の信用金庫による「よい仕事おこしネットワーク」で伊豆の国市とつながり、「政子の情熱」が誕生した。44歳。 ―政子の情熱の現状は。 「昨年9月に醸造を始めて10月末に約500本が完成したが、ほぼ完売となった。ビールらしい味わいの中にほんのりとミニトマトを感じてもらえる仕上がりとなり、とても評判が良かった。年1回のイベントのような形で今後も提供できればと考えている」 ―開発の前には、伊豆の国市へも実際に足を運んだ。 「ビニールハウスに入れてもらい、生産に携わるニューファーマーの方たちか
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ロゲイニング 地域防災に活用 ゲーム感覚で避難訓練 静岡大防災総合センター副センター長/村越真氏【本音インタビュー】
昨年9月の台風15号のような大規模災害への備えと命を守る行動が求められる中、オーストラリア発祥のスポーツ、ロゲイニングを地域の防災活動に活用する「防災ロゲイニング」を先月、静岡市駿河区川原地区で初めて実施した。狙いや今後の展望を聞いた。 -防災ロゲイニングとは。 「ロゲイニングは地図上に示されたチェックポイントを制限時間内に探し、合計点を競う競技。その競技特性を防災教育に生かせないかと、2013年に当時静岡高の地学教諭だった美沢綾子氏が高校生向けに提唱したフィールドワークが発端となった。使用する地図にハザードマップを組み込むことで、日常の生活圏に潜む自然災害のリスクを認知し、予防対策を
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浜松ホトニクス社長/丸野正氏 レーザー売上高10倍に【難局に挑む 新年トップインタビュー⑥】
―現状の景況感は。 「2022年9月期の連結決算で売上高が初めて2千億円を超え、経常利益、純利益とも過去最高を達成した。世界情勢が不安定な中で、よく成長できた。中国とアメリカで半導体製造工場の建設ラッシュが起こり、検出器の需要が急激に伸びた。電気自動車(EV)の普及でリチウムバッテリーの検査向けも製造が追いつかないほどだ。医療用向けの需要も高まった。ただ、現在は受注残が高止まり傾向にあり、動向を注視している」 ―25年9月期までの3年間で計画している1千億円超の設備投資の目的は何か。 「多くは半導体製品の生産増強に充てる。現在はフル稼働に近い状況で工場は操業している。今後、需要は踊り
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勢力維持へ野党間連携 曳田卓氏/立憲民主党・静岡県連幹事長【各党に聞く 2023年選挙戦略②】
―統一地方選の方針は。 「県議選は現職2人、新人1人の3人の公認が決まり、掛川市選挙区でも新人が準備している。所属する県議会第2会派ふじのくに県民クラブの候補者らと競合しない空白区で擁立を模索する。コロナ禍からの地域経済再生と介護など社会保障の充実、人員確保を伴った子育て環境の整備などを訴える。市町議選では現時点で公認・推薦が5人。各選挙で全員当選を目指す。市町長選は連合静岡との共同歩調が基本線になる」 ―野党の存在感が薄れている。統一地方選での野党連携は。 「統一地方選でも野党共闘を目指す。立憲民主党、国民民主党、支援組織である連合静岡の3者で毎月1回の会合を重ねている。旧立民と旧
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静岡人インタビュー「この人」 浜松でベトナムサッカー年代別代表合宿を誘致した グェン・ボ・フェン・ユーンさん
ベトナムから22年前に留学生として来日し、静大在学中に浜松市で起業。日本企業向けベトナム事業コンサルの傍ら、NPO法人理事、在日ベトナムサッカー協会全権代理などとして交流に励む。浜松での同国サッカー年代別代表の合宿誘致を企画し、昨年9月にU―17男子代表合宿を実現した。42歳。 ―合宿誘致の経緯は。 「全権代理として日本の大都市などでの代表合宿に関わってきた。ベトナムのサッカー人気は代表戦のテレビ視聴率が8割に上るほど高い。合宿も注目され、日本で誘致した都市は知名度が上がり、観光や就労での効果にもつながっているので、浜松で実現したいと考えた」 ―浜松での合宿の成果は。 「選手とスタッ
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鈴与社長 鈴木健一郎氏 環境配慮の清水港PR【難局に挑む 新年トップインタビュー⑤】
-景気の先行きをどう見るか。 「人流が新型コロナウイルス感染前に戻りつつあり、海外の旅行客も増えている。一方で物価高騰による消費意欲の減退や、国外の景気後退の可能性という不安要素もあるように思う。これらの要素をプラスマイナスしていくとどうなるか。基本的には半年ぐらいはプラス基調でいくのでは」 -清水-甲府間の中部横断自動車道開通から1年以上が経過した。 「順調に推移しているという認識だ。わが社は10年以上前から山梨や長野でマーケティングを行い準備してきた。予想していた顧客をしっかりと取り込めている。清水港を使ってもらえる余地はまだ多く、努力を着実に積み重ねる」 -清水港の強みとは。
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静岡人インタビュー「この人」 ジオを生かした防災ワークショップを企画した 佐久間千佳さん(三島市)
ながいずみ観光交流協会の職員で、認定ジオガイドの資格を持つ。協会として新たに始めた防災をテーマにした取り組みで、ワークショップを開催した。地形や地質など「ジオ」の知見を生かし、スタッフとともに観光案内をはじめ、防災や文化、教育など幅広い分野の情報発信に努める。33歳。 -防災ワークショップを実施した感想は。 「長泉町内の危険箇所を把握し、災害に備える手段を考えてもらう内容。身近に起こり得る自然災害に目を向け、自分ごとで捉えてもらおうと企画した。これまでにやったことのない企画をアピールでき、地域からも反響があった」 -協会の主な活動は。 「町内の文化財を巡るまち歩きを月1回程度開いてい
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逆風も政策実現力訴え 良知淳行氏/自民党・静岡県連幹事長【各党に聞く 2023年選挙戦略①】
―統一地方選では何を訴えていくか。 「地域ごとに候補者の主張は異なるが、共通しているのはエネルギー価格や物価高騰によって厳しい状況が続く1次産業や中小企業をしっかり支えていくということ。4月のこども家庭庁発足に合わせ、国と連携して安全・安心な子育て環境をつくる。人口減少が続く中での地域振興策も重要だ。われわれの強みである政策実現力をアピールしていく」 ―具体的にどう戦うか。 「県議選は現有議席の40から一つでも多く上積みし、納得のいく結果を出したい。選挙区変更で新たに単独区となった長泉町をはじめ、現時点で公認候補が決まっていない選挙区で擁立作業を加速させる。川勝平太知事に対しては是々
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ヤマハ発動機社長 日高祥博氏 二輪脱炭素へ開発加速【難局に挑む 新年トップインタビュー④】
-2022年は経営環境が目まぐるしく変化した。新年の見通しは。 「22年は、コロナ禍に伴うアウトドアレジャー需要と円安が追い風になり、業績面は非常に好調に推移した。半導体不足などサプライチェーン(部品の供給網)の混乱もあったが、社員がレジリエンス(適応力)を発揮してくれた。先のことを予想して手を打っても逆効果になることがある。起きたことに対して素早く対応することが重要。社員のレジリエンスが高まっている前提で、23年は成長戦略や構造改革など本質的なところに立ち返り、変革のスピードを上げていく」 -具体的にどんな変革を進めるのか。 「ロシアのウクライナ侵攻をはじめ、北朝鮮や中国などさまざ
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静岡人インタビュー「この人」 労働紛争の解決に尽力する弁護士 森本耕太郎さん(沼津市)
静岡県労働委員会の会長を昨年6月から務め、労働者側と会社などの使用者側との紛争解決に尽力する。解雇に限らず、最近はパワハラなども違法行為として認識されるようになり、労働トラブルが多様化した。弁護士としての知識を生かし、労使双方が納得できる解決案の提示を目指す。裾野市出身。48歳。 -県労委の役割とは。 「労働組合法に基づいて各都道府県に設置され、労働組合や労働者個人と使用者との間の紛争を解決する機関。取り扱う事例は労働者個人と使用者側のトラブルが中心。会社側からの相談も少なくない。近年は県内の組合加入率が17%程度まで低下しており、労働紛争解決の受け皿として重責を感じている」 -裁判と
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静岡人インタビュー「この人」 マラソン選手としても活躍する浜松市財務部長 石切山真孝さん
2006年総務省入省。同省自治財政局や内閣府などで地方の自治や防災に長く携わり、総務省地域政策課理事官を経て22年4月から現職。地方自治体は福岡、千葉、愛知に続き4カ所目。愛知県で財務部長兼財政課長を務めた。5年ほど前にマラソンの練習を本格的に始めて力をつけ、各地の大会に参加。昨年は富士登山駅伝出場、県市町対抗駅伝で浜松市南部代表に入った。富士宮市出身。40歳。 ―市の来年度予算編成に向けた意気込みは。 「鈴木康友市長のリーダーシップで築いてきた健全・強固な財政基盤により、コロナ禍や豪雨災害にも機動的に対応することができた。鈴木市長の下で最後の予算編成になるが、浜松の未来につながる予算と
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全量戻し「実質破綻」 JR東海の先進ボーリング実施方針 川勝知事インタビュー【大井川とリニア】
川勝平太知事は10日までに静岡新聞社のインタビューに応じ、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事でJR東海が山梨県から静岡県に向けて実施する方針を示している高速長尺先進ボーリングについて「調査の名を借りた水抜き工事だ」との認識を改めて示した上で、同社が敢行した場合、県や利水者と約束した「トンネル湧水の全量戻し」は実質破綻するとの考えを明らかにした。 川勝知事は同ボーリングと全量戻しの関係性について「普通に考えればそう(破綻することに)なる」と述べ、「強引にするのはおかしい。JR東海の(世間に対する)信頼が厳しくなる」と、計画の見直しを求めた。 JR東海の同ボーリングを巡るこれまでの対応は
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ヤマハ社長/中田卓也氏 軽音楽の普及にも尽力【難局に挑む 新年トップインタビュー③】
―経営の現況は。 「コロナ禍で2020年3月期以降は苦戦が続いたが、為替もプラスに働き、実質成長3%で着地する。米国は管楽器ビジネスが好調に推移している。コロナ禍で停滞した学校教育を一気に回復させようと、政府が20兆円を超える大型予算を確保したことが後押しになった。一方、中国はロックダウン(都市封鎖)の影響で特にピアノが苦戦している」 ―どの分野の伸長を見込むか。 「車載オーディオ事業が拡大している。電気自動車(EV)にシフトすると、快適な移動空間の中で上質な音楽を楽しみたいというニーズが出てくる。中経期間中は難しいが、あるスパンの中で売上高を2倍の700億円にしたい。昨夏に日本で始め
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第31回全日本高校女子サッカー選手権で優勝した 藤枝順心高サッカー部監督・中村翔さん【時の人】
監督就任は2021年春。選手権5度の優勝に導いた名将・多々良和之前監督の後を受けた。1年目の選手権は4強進出。2度目の挑戦で頂点に立ち「選手たちがよく頑張ってくれた。この結果を得ることができて誇りに思う」。緊張から解放された表情には喜びが満ちていた。 岩手県出身。プレーヤーとしては盛岡商高3年時に全国高校選手権優勝。大学卒業後、教員として11年に藤枝明誠高に赴任しサッカー部で指導者人生が始まった。17年に藤枝順心高に移り、コーチとしてチームを支えた。意識するのは「彼女たちの良さがピッチ上で発揮できること」。その積み重ねが最後に優勝につながればと取り組んできた。 同じ県勢として高め合ってき
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しずおかフィナンシャルグループ社長/柴田久氏 社会課題解決へ新事業【難局に挑む 新年トップインタビュー②】
―当面の経済見通しは。 「2023年前半は難局が続くと想定される。インフレで原材料を含めたさまざまな物の値段が上がり、地域経済を取り巻く環境はかなり厳しいと思う。賃上げの進展も注目点になる。一方で課題が多ければ多いほど、われわれの役割も大きい。地域、顧客にしっかり寄り添い、地域活性化に貢献していく」 ―今年の注力事業、特にグループ子会社の新設の方向性は。 「来年度の始動に向けて準備を進めている。人材やDX(デジタルトランスフォーメーション)、地域の経営資源を活用するまちづくり会社などが候補に考えられ、長期的には脱炭素推進なども検討事項だ。新会社をつくったり、他の組織と連携したり、資本
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軽EV 最適な移動追求 スズキ社長/鈴木俊宏氏【難局に挑む 新年トップインタビュー①】
-2023年の経営環境をどう見通すか。 「22年は新型コロナウイルス禍や半導体不足にプラスして急激な円安、原材料高が加わった。半導体に限らず、部品は2年程度先を見据えた取引先への発注など安定調達の体制を強化した。23年も依然先行き不透明な状況が続く。予期せぬ問題への対応力、行動力が問われる。『動』の姿勢を貫き、全社一丸で品質の良い車を1台でも多く市場に供給する」 -軽EV(電気自動車)開発の方向性は。 「(23年度販売予定の)軽商用EVは、トヨタ自動車やダイハツ工業も参画するCJPTなどと取り組み、スペックに関する協議や分析を続けている。見えてきたのは、まずは大都市で1日50キロ程度
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バスケ男子B3 静岡、攻撃進化に手応え 単独首位で7、8日新年初戦 昇格へ「リーグ1位狙う」
バスケットボール男子Bリーグ3部(B3)の静岡は7、8日、ホームの静岡市中央体育館で8位岐阜との2023年初戦に臨む。22年を8連勝で締め、現在21勝3敗の単独首位。悲願のB2昇格へいよいよスタートする勝負の年に向け、主将の岡田雄三(沼津中央高出)にここまでの戦いぶりと新年の決意を聞いた。 -シーズン前半を振り返って。 「岩手、岡山という強豪との4連戦もあった中では予想以上。ただ、好調だっただけに下位の山口に1敗したのがもったいなかった。昨季も取りこぼしで(B2昇格の可能性がある)2位を逃している。順位にとらわれず、岐阜戦から一戦一戦勝っていきたい」 -どこからでも得点できる新たなスタ
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川勝平太・静岡県知事 新春インタビュー 浜松新球場2万2千人規模ドームを/富士山中心に「文化の首都」世界に発信
静岡県の川勝平太知事は31日までに静岡新聞社のインタビューに応じ、県が浜松市西区の遠州灘海浜公園篠原地区に整備する新野球場について、2万2千人規模のドーム型が望ましいとの認識を明らかにした。市や経済界などでつくる建設促進期成同盟会の要望を踏まえ、「地元の希望を県議会も無視できないはずだ」と述べた。球場の構造と規模に対する考え方を知事が明示したのは初めて。 野球場を巡っては、照明によるアカウミガメへの影響を避けるため、事実上、構造は屋根で覆われたドームか照明設備のない野外球場に絞られた一方、規模の方針はまとまっていない。県は2023年の県議会2月定例会での絞り込みを目指すが、概算事業費370
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「するがの極」400トン目標 JAふじ伊豆(沼津市)/藤沼和明常務理事【キーパーソン】
旧JAなんすんがブランド化したコメ「するがの極(きわみ)」の生産者や収量が増加している。今年4月の県東部8JAの合併で管内が広がったことによる新たな戦略や展望を聞いた。 ―「するがの極」の経緯や特徴は。 「2016年に沼津市大平地区で品種『きぬむすめ』の試験栽培が始まったのがきっかけ。沼津、裾野、長泉、清水の2市2町で生産された『きぬむすめ』のうち、食味値77点以上の一等米を17年度に名付け、ブランド化した。炊きあがりの色つやが良く、冷めても甘みが持続するのが特徴。19年には行政と推進協議会も組織し、学校給食で提供するなど、連携して普及に取り組んでいる」 ―今年は「するがの極フェス」と
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日本語教室や学校編入支援 市と責任ある「教育」を 湖西国際交流協会事務局長/猪井英典氏【本音インタビュー】
40カ国以上の国籍の人々が暮らし、外国人人口6・5%と県内でも上位の湖西市で、湖西国際交流協会が果たす役割は大きい。外国人同士のつながりを生むイベントをはじめ、市の委託事業として子どもを対象にした日本語教室や、移住後の学校編入をサポートする初期支援教室に力を入れている。 -日本語教室の現状は。 「2009年から継続していて、市内に外国人の子どもが増えてきたことから、今年4月には教室を2カ所に増やした。場所が遠かったため、これまで通えない子もいた。登録者は現在50人以上。中には教室に来て遊ぶ子もいるが、学校以外に居心地が良い場所があることも大切。来てくれるだけでも意味がある」 -言葉の
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静岡人インタビュー「この人」 釣り場環境改善を目指す釣り具メーカー社長 加藤慶太さん(静岡市)
3月に海洋環境改善のための「1%のソーシャルグッド」を掲げ、実践する年商約12億円の釣り具メーカートップ。公認会計士の資格を持ち監査法人勤務後、父が創業した会社を2018年に継いだ。「良い釣り道具を作るだけでなく、釣り場環境の保護も重要」と話す。42歳。 -「1%のソーシャルグッド」とは。 「ルアーの年間販売数の1%に相当する稚魚を放流し、社長と全社員の総労働時間の1%を環境保護活動に充てる。毎年、3月から2月末までの1年間で計算し、稚魚は1万5千匹以上を放流、342時間を清掃などに充てる目標を立て実践中だ」 -なぜ活動を。 「原点に立ち返り『もっと魚が釣れるようになるにはどうすれば
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静岡人インタビュー「この人」 民間から協賛募り学校花壇の整備に取り組む 山村克孝さん(浜松市東区)
企業の協力を得て浜松市立小2校の花壇を整備する事業を始めた。生花販売業グリーンハート・ヤマムラ社長。75歳。 ―事業のきっかけは。 「数年前、学校の花壇を管理するフラワー委員会に入った小学生の孫から、『雨の日にも花への水やりは必要なの?』と衝撃の相談を受けた。雨でも定期的に水やりするルールだった。花壇も手入れが必要な状況で、許可を得て整えていると、通りかかった子どもたちから『きれいだ!』と次々と声を掛けられた。教員は忙しくなかなか花壇に手を掛けられない。誰かがやらなければいけないと感じた」 ―協賛を募る理由は。 「地域でチームを組まないと活動は根付かない。事業は協賛金を活動費に充て、
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静岡人インタビュー「この人」 乳がん経験者にドレスアップの場を提供する 松永直子さん(焼津市)
闘病してきた女性にウエディングドレスを着てもらうイベントを昨年から年1回、静岡市で開いている。本業はフリーランスのウエディングプランナー。新郎新婦の要望に応じて、国内外の多彩な結婚式を企画している。36歳。 -どのようなイベントを開いているのか。 「ドレスショップや写真家、ヘアメークなどの協力を得て、乳がん経験者の方にドレスを着て写真撮影を楽しんでもらう。どの参加者も最初は緊張しているが、ドレスアップ後は一気に表情が華やぐ」 -イベントを企画したきっかけは。 「知人の紹介で乳がん経験者の女性に出会ったのがきっかけ。乳がんを経験した人の中には外見の変化から、おしゃれや美容に前向きになれ
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静岡人インタビュー「この人」 日本とモルディブをつなぐ団体の代表 サウドラ アハメッドさん(清水町)
日本と、インド洋に浮かぶ島国モルディブ共和国をつなぐ非営利団体「モルディブ ジャパン ネットワーク」で、モルディブ側の代表を担う。清水町出身の妻と運営する。町の生徒とモルディブの中学生らを結ぶオンライン交流会を町に働きかけ実現させ、現在も取り組んでいる。同国第二の都市アッドゥ出身。41歳。 -団体の活動内容は。 「日本にモルディブと結ぶ団体はほとんどなく、2008年の立ち上げ以降、フェイスブックに寄せられる多種多様な相談に対応している。15年には、きれいな水の大切さを伝えようと現地108の学校などに浄水器を贈った。活動は大使館に報告し、情報共有している」 -オンライン交流会の手応えは。
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静岡人インタビュー「この人」 日展「書」部門の審査員 平形精逸さん(静岡市駿河区)
京都、名古屋など全国4カ所の巡回展が24日から始まる、国内最高峰の美術公募展「第9回日展」で「書」の審査員を務めた。本県在住者が同部門の審査員に選ばれるのは53年ぶり。静岡大名誉教授、76歳。 ―選出の感想を。 「審査員の資格を有する2度目の特選受賞から6年経過し、そろそろ依頼される頃だと覚悟はしていた。審査は19人で行った。重責を感じながら、身が引き締まる思いで審査に臨んだ」 ―入選作の傾向は。 「伝統を踏まえつつ時代の息吹を感じさせる、いわば二律背反した要素が調和している。書は日本画、洋画、彫刻、工芸美術といった他部門より出品点数が多い。本年度は8576点の出品で、入選は1089
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食通じ地域活性目指す イケダヤ(浜松市天竜区) 池田勝臣社長【キーパーソン】
1907年創業。衣料品・雑貨小売業で県内外に8店舗を展開する。今年2月に創業の地浜松市天竜区二俣町で「森のマルシェきころ」をオープン。生鮮食品や地産商品の販売を通じ、地域のにぎわい創出を図っている。 -マルシェ開業の経緯は。 「二俣町のクローバー通り商店街で約半世紀営業してきた天竜ファミリータウンを閉店し、跡地に新たな業態でスタートした。鮮魚・青果の販売のほか、地元の特産品などの食品販売に絞り、食を通じて天竜にもう一度にぎわいを取り戻したいと考えた」 -どこが変わった。 「一番の違いは、地元の有志で企業組合を設立し、テナント方式から経営を改めたこと。地に足をついた業態で再スタートしよ
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榮太樓總本鋪の副社長 細田将己さん 静岡県特産使い商品開発【とうきょうウオッチ/インタビュー】
江戸時代の文政元(1818)年から200年以上続く老舗菓子店。東京・日本橋に本店を置く。県茶業会議所が主催した県産茶の魅力発信イベントに協力し、茶と和菓子の関係などを紹介した。東京都世田谷区出身。49歳。 -ゆかりのある静岡県産の茶とコラボした。茶と菓子の組み合わせをどう捉えるか。 「母が清水の三保出身という縁があり、個人的にも知っている土地の産物のイベントに参加できたのはうれしかった。茶があってこその菓子だ。洋菓子を含め、今は茶を使った菓子が多いが、茶と一緒に召し上がっていただく上では、菓子には茶を取り込まない方が望ましい。それほど、茶を尊重している」 -静岡の特産物を使ってどんな菓
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地域活性化と防災力向上へ 情報発信、よりミクロに 吉田町まちづくり公社理事長/塚本昭二氏【本音インタビュー】
官民一体で地域の魅力発信や防災を推進することを目的に設立された一般社団法人「吉田町まちづくり公社」。町内の特産品の掘り起こしや企業活動の支援、ボランティア活動などを機動的に展開する中、新たに就任した新理事長に今後の展望を聞いた。 -設立の経緯は。 「人口減少に伴い多面的な観点から自治体間での競争が高まりを見せる中、町の課題の一つが地域の情報発信だった。行政や既存の機関とは別の切り口を目指し、町の地方創生総合戦略の中に位置付けられる形で行政や自治会、地域の経済団体に加え、有識者らを発起人として2016年に設立された」 -注力する事業は。 「昨年から地域の優れた特産品を『よしまちべっぴ
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静岡人インタビュー「この人」 自転車まちづくりに取り組む マルコ・ファヴァロさん(伊豆市)
東京五輪・パラリンピックの自転車競技会場になった伊豆市で11月から、地域おこし協力隊として活動する。サイクリングイベントのプロデュースなどの経験を生かし、五輪パラのレガシー(遺産)として自転車を活用したまちづくりや観光活性化を推進する。拠点は伊豆箱根鉄道修善寺駅前の自転車観光施設「クランクベース」。イタリア北部のパドヴァ出身。53歳。 -就任の抱負を。 「サイクリストは走りやすい道、美しい景色、文化を感じる場所を求めて走りにくる。サイクリストやインバウンド、サイクリングイベントの誘致に取り組みたい。学校などのセミナーで自転車文化を広めるほか、なぜヨーロッパが観光地として成功したのかも紹介
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静岡人インタビュー「この人」 フランス社会功労奨励章で王冠付金章を受章した 道川省三さん(島田市)
島田市川根町笹間上在住で世界を舞台に活動する陶芸家。フランス政府が社会公共、専門職業、芸術などの分野で功績のあった個人や団体に贈る「フランス社会功労奨励章」で3等の王冠付金章を受章した。笹間で開催される「ささま国際陶芸祭」でアートディレクターとしても活動する。北海道出身。69歳。 ―受章を振り返って。 「王冠付金章はかつて俳優の三船敏郎さんや画家の岡本太郎さんら数々の著名人が受章した名誉ある勲章。フランスをはじめ30カ国以上で個展やワークショップを開いてきたこれまでの活動が認められて率直にうれしい気持ち」 ―笹間移住のきっかけは。 「友人から過疎化が進む笹間の現状を耳にしていた。実際
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静岡人インタビュー「この人」 天竜川ダム再編に取り組む浜松河川国道事務所長 名久井孝史さん(浜松市中区)
国土交通省に2003年入省。17年から3年間、国際協力機構(JICA)に出向し、フィリピン国公共事業道路省で技術指導に当たった。福井県河川課長を経て22年4月から現職。道路や河川の整備に加え、長年の懸案だった天竜川ダム再編事業が本格着工間近で、節目の重責を担う。北海道出身、44歳。 ―浜松に勤務しての印象は。 「徳川家康、豊臣秀吉ら歴史を動かした方々の跡を身近に感じられることに感動する。日本を代表する大企業が育ち、高速道路や国道1号、新幹線が走る日本の要となる地域で、インフラ整備を担う責任を感じる」 ―現在の取り組みの重点は。 「天竜川ダム再編は関係機関との調整が進み、間もなく本格工
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静岡人インタビュー「この人」 伊東按針会の新会長 武智幹夫さん(伊東市)
徳川家康の外交顧問として活躍し、伊東市で日本初の洋式帆船を建造した英国人ウィリアム・アダムス(三浦按針)。按針の功績を顕彰する市民団体の3代目会長を6月から担う。写真スタジオ「タケチカメラ」(同市猪戸)の代表。79歳。 ―按針の日本、伊東との関わりは。 「5隻の船団でオランダを出発し、1年10カ月後の1600年4月に現在の大分県臼杵市に到着した。たどり着いたのは按針が乗った『リーフデ号』のみ。命がけの航海だった。伊東では2隻の船を建造した。1隻は『サン・ブエナ・ヴェンツーラ号』で、市内の按針メモリアルパークには地元彫刻家の重岡建治さんが手がけたモニュメントや、按針の胸像がある」 ―按針
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東部健康福祉センター所長 小坂寿男氏 感染症対策さらに強化【サンフロント21懇話会~熱き地域人】
-新型コロナウイルス感染症への対応は。 「保健所機能がまひしないよう、定例的な業務は延期し、他庁舎の応援や派遣職員も確保しながらオール県庁体制で食中毒や児童虐待、精神患者の通報など他の業務との両立を図ってきた。9月の制度改正以降は重症化リスクがある人への支援を重点化したが、11月末以降は再び増加傾向にある。年末年始に備え、市町や医療機関、医師会、消防本部と連携し、患者の受け入れ体制を強化したい」 -近年力を入れている取り組みは。 「県内の児童虐待の発生件数は昨年度3700件と高い水準を推移する。今年から県警警察官を併任職員として招いたことで情報共有が円滑になり、迅速な対応につながった。
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食文化継承、次の使命に 富士宮やきそば学会(富士宮市)渡辺孝秀代表【キーパーソン】
富士宮市民有志で2000年に発足し、ご当地グルメ「富士宮やきそば」を全国区に広めてきた同学会。今年は文化庁の新制度「100年フード」に富士宮やきそばが認定を受けた。地域の活性化、地域で愛される食文化を次世代にどのようにつないでいくのか、道筋を聞いた。 -認定の受け止めは。 「学会の新たな使命に一致した。富士宮やきそばを全国に広めるという使命を果たしてきたが、これから、どう次世代にバトンタッチするか活動の方向転換を模索していた。地域には頑張っている若い事業者がたくさんいる。若い世代の応援が100年先の未来をつくる。学会での経験や培ってきたノウハウや人脈をつないでいきたい」 -地元のクラフ
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静岡人インタビュー「この人」 南アルプスみらい財団専務理事兼事務局長 田島章次さん(静岡市葵区)
財団は静岡県の出資を受けて8月に設立された。県くらし・環境部理事(南アルプス地域連携担当)からの転身。企画総務課長を兼ねて自ら山岳現場を巡っている。静岡市出身。62歳。 ―設立の狙いは。 「ユネスコエコパークに登録された南アルプスは、氷河期からの遺存種など希少な動植物が息づく場所で、ライチョウなど世界の南限となる生き物もいる。エコパーク憲章は、この地域資源を共有財産として未来に受け継ぐため、持続可能な利活用に取り組み、自然の営みを生かした魅力ある地域づくりをうたう。その精神を踏まえ、保全と活用を図る協力の輪を広げていきたい」 ―なぜ今、南アルプス。 「南アルプスの高山植物は、高山帯に
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なでしこ1部昇格 WE参入への第一歩に 女子サッカー静岡SSUボニータ監督/小川貴史氏【本音インタビュー】
女子サッカーのアマチュアトップチームが集うなでしこリーグに所属する「静岡SSUボニータ」(磐田市)の監督。就任1年目でチームを初の2部優勝に導き、1部昇格を果たした。今季の躍進を振り返るとともに、指導方針や課題、目指す方向性などを聞いた。 ―チームの第一印象は。 「オルカ鴨川(なでしこ1部、千葉県)を指揮していた昨年12月の皇后杯3回戦で対戦し、戦いぶりを目の当たりにした。攻撃力が高く何度も危ないシーンをつくられ、試合直後に関係者と話題になるほどだった。一方、守備は強度が足りない印象だった。ゴール前で体を張ってボールを奪う個人の守備と、自由にシュートを打たせないグループ単位の守備を、試
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イチローさん 富士高野球部質問に真剣対応 「魔法はない」「体で選球」
プロ野球オリックス、米大リーグのシアトル・マリナーズなどで活躍したイチローさんが3、4日、富士高(富士市)で臨時指導を行った。時間で区切った同校の練習メニューについて「練習を時間で決めてしまうと10分後に合わせてしまう。全力でいかないよね。本当に限界を見るには効果的じゃない」と助言するなど選手の質問に丁寧に答えた。 -盗塁の時に何を意識していたか。 「リードを大きく取れるからといって大きく取らない。それがコツ。盗塁する時は戻る(けん制されて帰塁する)気持ちはなくしておきたい。けん制されても戻れるという距離を測っていたら100%(不安のない気持ち)で走れる。(リードが)大きいからいいわけ
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環境への視野より広く 松浦スチロール工業所(吉田町) 松浦令和社長【キーパーソン】
1956年創業の発泡スチロールメーカーとして魚箱や緩衝材、建材などを製造し、県内トップのシェアを誇る。原油高といった製造コストの高騰に加え、企業として環境問題への取り組みが求められる時代にどう対応するのか、新社長に聞いた。 -自社の強みは。 「創業以来培った発泡スチロール製造のノウハウは最大の強み。魚箱やフルモールド用ブロック、家電の緩衝材と構造部材、農業資材など多種多様なスチロール製品を生産することができる。町内に大規模な生産拠点を3カ所設けていることで生産能力も高い。魚箱など新型コロナウイルスの影響で落ち込む製品も一部あったが、巣ごもり需要による家電関連の受注でカバーできた」 -原
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横並び政策やめ大胆に 静岡市の活性化に携わるまちづくりアドバイザー/百瀬伸夫さん【とうきょうウオッチ インタビュー】
静岡市葵区中心市街地の2040年の姿と方針を示した「葵歴史のまちづくりグランドデザイン」策定に向けた有識者や市民による検討会の座長を務めた。都内でも地域住民を主体としたまちづくりに取り組む。70歳。 ―グランドデザインにどんな思いを込めたか。 「『400年の歴史を身近に感じる』という言葉を使った。市民が地元の歴史を外から来た人に語れるレベルになってほしい。市歴史博物館が整備されたこれからが大切。足元の資産を磨き直し、これからの社会に求められるイノベーション(変革)を起こさないといけない」 ―静岡市をどう見るか。 「人口減などの現実に、危機感を感じていない。国土軸のど真ん中にあり、東京
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遊女普賢菩薩 松崎で展示中 鏝絵の傑作、触れる好機 伊豆長八作品保存会長/近藤二郎氏【本音インタビュー】
松崎町出身の左官職人・入江長八が築いた独自の芸術分野「漆喰鏝絵[しっくいこてえ]」。幻の作品「遊女普賢菩薩[ふげんぼさつ]」の展示が今秋、同町の伊豆の長八美術館で始まった。発見経緯や見どころを聞いた。 -作品の概要は。 「江口の里(現大阪市)の遊女が普賢菩薩に化身したのが、遊女普賢菩薩。能の謡曲『江口』の一場面を描いている。制作されたのは明治初期で、当時流行していた浮世絵に影響を受けている。長八と親交のあった男性の守り本尊・普賢菩薩の制作を依頼されたが、しゃれを効かせて遊女普賢菩薩にしたという逸話もある。長八研究のバイブル『伊豆長八』では、傑作と評された。江戸に住んでいた長八の作品の多
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技術応用、スケボー施設造り 大村組(浜松市浜北区)/大村幸治社長【キーパーソン】
本業の土木工事技術を生かしてスケートボード施設造りに携わる。7月には本社敷地内にスケートボードのできるカフェを併設した。東京五輪での日本人スケーターの活躍以来、若者を中心に人気が高まったこともあり、スケートパーク建設について官民から相談を受ける。スケート文化に対する理解促進や地域経済への影響について考えを聞いた。 ―カフェオープン後の地域への影響は。 「カフェ運営は市内の飲食店オーナーも協力してくれている。スケボーをしない住民たちも利用し、地元政治家や行政担当者の視察も受け入れた。スケーターへの理解促進に一役買ったのでは。当社敷地にあるおわん型のスケボー用ボウルは底が浅いのが特徴で、県外
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田中健氏(国民、衆院比例東海) コロナ予防策、転換訴え【とうきょうウオッチ 永田町便り】
新型コロナウイルスの流行が「第8波」入りしたとみられる中、ウイルスの特性や科学的根拠に基づいた感染予防策に転換すべきだと指摘する。 「軽症者が使える国産初の飲み薬が緊急承認され、コロナ禍前の日常を取り戻すための第一歩になった。一方で、海外と比較すると感染症対策の遅れは否めない。空気感染が主流になっている今、アクリル板の設置や徹底した消毒よりも、換気と密閉した空間でのマスク着用が重要だ。まずは所属する衆院厚生労働委員会から考え方を変えていこうと、アクリル板の撤去を理事会で提案した」
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逆風の茶産業 輸出対応が鍵 日本貿易振興機構(ジェトロ)浜松貿易情報センター所長/永盛明洋氏【本音インタビュー】
長引く茶価低迷や担い手不足など逆風が続く茶産業。国内市場の先細りが懸念される一方で、健康志向の高まりや茶を原料に使う加工食品の多様化を追い風に輸出は堅調に推移している。拡大する海外市場の取り込みを茶業再興の鍵と位置付け、世界の潮流を意識した変革を呼びかけている。 ―管内の茶産業の特徴をどうみるか。 「一定のブランド力はあるが、耕作放棄地になった茶園が増えている。製造業などが盛んで、ほかの働き先に恵まれていることが一因だろう。農林水産業が中心の鹿児島県とは異なり、地域にまだ余裕があると言える。ただ、伝統としての茶をどう守っていくかを考えると、従来通りのやり方では対応が難しい。業界内で危機
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子どもの情報モラル教育急務 身体への悪影響も懸念 NPO法人子どもとメディア・豊泉行男さん
学校では今、情報モラル教育とともに身体への影響を意識させる啓発活動も盛んに行われている。2020年の新型コロナウイルス禍の一斉休校後を契機に啓発の必要性を実感し、本年度は市内を中心に約40校で啓発授業を行う元校長の豊泉行男さん(NPO法人子どもとメディア)に聞いた。 ―どのような点を意識して児童生徒に伝えているか。 「生活リズムを整えて視力や学力を守るために何ができるか考えようと。この数年で情報端末の利用が日常生活に定着したためか、警鐘を鳴らしても届きにくくなっていて、子ども一人一人が自分ごとと捉える機会があらためて必要だ。訪問する学校との事前打ち合わせでは、テレビも含む端末の動画視聴時
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商品発信基地を港町に 焼津冷蔵(焼津市) 原崎太輔社長【キーパーソン】
1966年に創業し、サバ、穴子、ウナギの加工販売を手がける。これまで主にメーカーに材料を供給していたが、コロナ禍を機に2年前からサバずしの自社での製造、販売を展開。2023年夏には一大販売拠点を小川漁港(焼津市)の旧魚市場跡地に設置する計画が進んでいる。新拠点の計画や今後の経営方針を聞いた。 ―新拠点の詳細は。 「小川漁業協同組合から譲ってもらった魚市場の跡地にサバずしを中心とした販売拠点を設ける。サバずしの製造部門も本社工場から新拠点に移すつもり。製造過程は外から見えるような仕掛けを施したい。漁港が近くてロケーションとしては抜群。港町の雰囲気を味わいながら、自社商品の発信基地にしたい」
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塩谷立氏(自民、衆院比例東海) 税制議論、将来見据え【とうきょうウオッチ 永田町便り】
2023年度税制改正に向けた党税制調査会(税調)の議論が本格的に始まった。小委員長として、12月の大綱取りまとめへ中心的な役割を担う。 「新しい資本主義、人への投資の加速や国際情勢を踏まえた議論を進めていく。論点はNISA(少額投資非課税制度)の抜本的拡充、相続税と贈与税の在り方など。今後のモビリティー社会を展望した自動車関係税の方向性も見いださなければならない。一方で、防衛力の強化や社会保障に必要な財源の確保も検討が必要だ。国民の理解を得ながら、国の将来を見据えた税制の形をしっかりと決めていきたい」
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大雨断水被害、巡視船で支援 備えと迅速初動が奏功 清水海上保安部長/戸田陽一氏【本音インタビュー】
台風15号による大雨の影響で最大約6万3千戸で断水被害が発生した静岡市清水区。清水海上保安部は発災当日の9月24日午後に巡視船のタンクを開放し、市民に給水活動を開始した。迅速な災害対応には、事前の備えと初動が重要だと指摘する。 ―支援の経緯は。 「庁舎や職員宿舎は断水しておらず当初は気付かなかったが、清水区の実家から通う職員から報告があり、給水支援の準備を指示した。電話で静岡市の了承を得て午後5時55分から翌日午前0時15分まで巡視船おきつによる給水活動を実施。御前崎海上保安署と連携して、水の補給中は同署の巡視船ふじが代替できるようにして、第3管区海上保安本部にも災害対応型巡視船いずを手
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静岡人インタビュー「この人」 グローバルユース国連大使として活動する 田中新恋さん(静岡市葵区)
日本青年会議所の「JAPANグローバルユース国連大使」に選ばれ、インドネシアで現地の高校生とSDGs(持続可能な開発目標)をテーマに議論した。静岡城北高グローバル科2年。16歳。 -どんな活動をしてきたか。 「SDGsをより多くの人に身近に感じてもらうのが目的。全国各地から22人、そのうち県内から5人が選ばれた。インドネシアでは6グループに分かれ、SDGsの一つの項目に絞って日本の課題や解決策を発表した。『貧困をなくそう』について発表した際に、現地の高校生から貧富の格差が激しいインドネシアの現状を教えてもらい驚いた」 -活動で学んだことは。 「日本の英語学習はアウトプットが極端に少な
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PTA どう変える?③関係者インタビュー【賛否万論】
コロナ禍をきっかけに、保護者の負担感が大きいPTA活動を見直そうという動きが広がっています。本部役員や委員のなり手が不足する中、どうすれば持続可能な団体へと変わることができるのでしょうか。静岡県PTA連絡協議会長の谷口明さんと、PTA業務代行サービスを始めた近畿日本ツーリスト(KNT)の中村達也さんに話を聞きました。 必要なもの精査 質の良い活動へ 静岡県PTA連絡協議会長 谷口明さん 長女が小学生だった2014年、くじ引きで沼津今沢小PTA副会長に。同会長、沼津市PTA連絡協議会会長、県PTA連絡協議会副会長などを経て、21年から同会長。沼津市内で建設業を営む。富士市出身。39
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静岡人インタビュー「この人」 富士宮版コロマガプロジェクトを立ち上げた 望月悟さん(富士宮市)
子どもたちが好奇心を伸ばしながら地域情報紙をつくるコロマガプロジェクトが今夏、富士宮市でスタートした。地元小中学生約20人が記者や編集者として、ボランティアメンバーと富士宮版創刊号の制作を進めている。運営を担うデザイン事務所アイムデザインの代表。46歳。 -立ち上げの経緯は。 「伊豆のコロマガプロジェクトに関わったことがきっかけ。子どもたちの良い経験になると実感した。もともと、『デザイン』の考え方が子どもたちの将来に役に立つという思いを持っていて、それがコロマガにつながった。昨年冬、デザイン事務所内に女性目線のブランディングチームを立ち上げたことで始める土壌ができた」 -大切にしている
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静岡人インタビュー「この人」 第28回酒田市土門拳文化賞奨励賞を受賞した 若林茂さん(三島市)
写真家土門拳の出身地・山形県酒田市が主催する同賞。東京・新宿のニコンプラザ東京で受賞作品展が28日まで開かれている。初めての応募で、カラー30枚組みの作品「母 卒寿」が高い評価を受けた。元私立高教員で現在は非常勤講師。高校の写真部顧問の経験もある。伊豆の国市出身、65歳。 ―どのような作品か。 「この賞はただのコンテストではなく、写真家の資質を問う賞と言われる。しっかりした準備が必要と考え、10年間ほど撮りためた写真を拾い集めた。部屋の中に始まり、5月ごろから冬までの農作業を経て、再び部屋での静穏な写真になるように構成した。1枚目と30枚目にいずれも父の遺影が写り、ループさせることも意識
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静岡人インタビュー「この人」 藤枝MYFC応援グループ団長 増田正明さん(焼津市)
サッカーJリーグ3部(J3)藤枝MYFCを応援するグループ「F・E・S」の団長を務める。2020年発足のグループは「フジエダ・エンジョイ・サポーター」の頭文字を取った。自前で大漁旗を作り、ゴール裏のスタンドでは大きな太鼓をたたくのが役割だ。ニックネームはツルさん。グループで男性メンバー最年長の70歳。 -応援を始めたきっかけは。 「8年ぐらい前、招待券をもらって観戦したのがきっかけ。以前からスポーツ観戦は好きだったが、サッカーを見る機会がなかった。ホーム最終戦を見にいってレベルの高さに驚いたのを覚えている。翌年には年間シートを買った。練習場が近所にあるのも親近感が湧いた」 -応援のモッ
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「スマート養殖」発信へ 海幸ゆきのや(磐田市)秋田亮社長【キーパーソン】
関西電力などが出資するエビ陸上養殖事業者の責任者を務める。7月に磐田市に新設したプラントで、独自ブランド「幸(ゆき)えび」として、デジタル技術を駆使し、バナメイエビの養殖に取り組んでいる。陸上養殖参入の狙いや今後の展望を聞いた。 ―陸上養殖に参入した理由は。 「多くの電力を使う陸上養殖は、省エネ、再生可能エネルギーの技術を活用できる可能性がある。電力会社として、そんな『スマート養殖』を進める意義がある。発電所で培った管理・制御の技術やノウハウなどの強みもあった。陸上養殖の産業化を促すため、モデルとして国内外に発信していきたい」 ―なぜ磐田を養殖の現場に選んだのか。 「エビ養殖に適した
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静岡人インタビュー「この人」 沼津グッズを開発するよたさんこと石井亮太さん(沼津市)
沼津市内の名店を題材にした「ヌマヅ看板シール」や名物をキーホルダーにした「沼津ガチャタマ」といった沼津の魅力を形にした商品の製作に取り組む。昔からあるものにもう一度スポットを当てる“リポップ”をテーマに活動する。三島市出身。27歳。 -どのような商品か。 「看板シールは甘味店やクリーニング店など約20店舗の看板をシール化したもの。寿太郎みかんや、菓子パンの『のっぽ』などをキーホルダー化した沼津ガチャタマは“ご当地ガチャ”を各地で企画する埼玉県の企業と協力して手がけた。その他には、沼津名産の干物を怪獣のようにデザインしたキャラクター『ヒモノラ
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静岡県1部リーグ昇格 ホームを大切に高みへ サッカーチームORAN袋井代表/安原直哉氏【本音インタビュー】
今シーズンからORAN袋井に改称。2024年までにサッカー東海リーグ昇格、30年にJFLへの参入を掲げ、チーム史上初めてプロ契約の監督を招くなど強化に力を入れる。新体制で臨む初年度の手応えと課題を聞いた。 -ここまでの手応えは。 「県2部リーグ12連勝中で、最終戦を残して1部昇格を決めた。目標としてきた全勝優勝もあと一歩。3年間昇格できず、今シーズンは勝負の年と位置づけていた。その中でここまでは満足のいく結果を出せている。選手はカルロス・アルベルト・ゴンサルヴェス監督の下、今まで以上に質の高いトレーニングを積んでいる。技術の向上はもちろん、モチベーションを維持しながらリーグ戦に臨めている
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静岡人インタビュー「この人」 静岡県感染症対策担当部長 鈴木宏幸さん(静岡市清水区)
4月に就任し、新型コロナウイルス対応の指揮を執る。1985年度入庁。大半を健康福祉部で過ごし、医療分野に精通する。目下の懸案は季節性インフルエンザとの同時流行対策。趣味はクラシック鑑賞。60歳。 -県内の感染状況に対する認識は。 「10月にいったん落ち着いたが、今月に入り急激に感染者数が伸び始めた。再拡大の様相は全国も同様。水際対策が緩和され、行動制限もなく、ウイルスが広がりやすい環境だ」 -県は、同時流行の患者発生は1日最大2万5千人に上ると試算した。 「想定通りになれば現状の医療提供体制ではとても対応できない。事前の備えが大切で、呼びかけたいのはワクチン接種。特に3歳未満の子ども
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PTA どう変える?②関係者インタビュー【賛否万論】
多くの保護者が負担に感じているPTA活動をどう見直していけばいいか、考えています。「子どものため」とはいえ、仕事をこなしながら役員や委員を務めることに二の足を踏む人は多いでしょう。半ば強制的な活動が保護者の大きなストレスになっているようです。PTA問題を長く取材し、「さよなら、理不尽PTA!」(辰巳出版)などの著書があるライター大塚玲子さんに話を聞きました。 できる範囲でやれることを PTAを取材テーマとしたきっかけは何ですか。 子どもが小学校に入学した12年前、保護者会のPTA委員決めに初めて出た時に感じた違和感や理不尽さがきっかけでした。なぜ、6年間に1度委員をやることを強制されるのか
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静岡人インタビュー「この人」 ベストボディ・ジャパン経営者部門でグランプリに輝いた 清水ひとみさん(磐田市)
不動産会社を経営する傍ら、ボディーメークに励む。10月に東京都内で開かれた健康的な肉体美を競う「ベストボディ・ジャパン ジャンル別&職業別大会」の経営者部門で、予選を通過した10人からグランプリに輝いた。昨年より各地方大会に出場していたが、今回初めて頂点に立った。11月23日には東京・両国国技館での日本大会出場を控える。磐田市出身。48歳。 ―鍛え始めた理由は。 「太り気味な自分を変えたいと思ったから。40歳を過ぎてから、運動不足と代謝の低下で体重のコントロールが難しくなった。そんな中、新型コロナの影響で外食する機会も減り、改めて食事管理や体質改善する良い機会だと思った。一昨年の4月から
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静岡人インタビュー「この人」 造形作家として地元で初の個展を開いた看板店社長 野口大さん(沼津市)
沼津市の看板製作会社の2代目社長として、現場作業や経営に携わる傍ら、作業場で出た鉄板などの廃材を利用し、昆虫や動物を緻密に表現した造形作品を制作している。遅咲きの造形作家として、10月に地元のららぽーと沼津内の店舗で初めての個展を開催した。44歳。 ―造形作品の制作を始めたきっかけは。 「2018年に父から社長を引き継ぎ、弟と会社を経営していく中で、自分の会社の『強み』は何かと考えた。新しいアイデアを思いついても、すぐに他の会社に模倣されてしまう。ならば、まねされないようなことをやって、技術をアピールしようと始めた」 ―どのように作品をつくっていくのか。 「看板の骨組みになる鉄板の端
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静岡人インタビュー「この人」 県高校定通制生徒生活体験発表で最優秀賞に輝いた 漆畑美広さん(藤枝市)
第1種電気工事士の資格取得に向けて親身になって指導してくれた亡き恩師との思い出や感謝の気持ちをスピーチし、最優秀賞をつかんだ。科学技術高定時制4年。20日に東京都で開かれる全国大会に挑む。19歳。 -恩師はどのような人だったか。 「高校で入部した電気工事受験部の顧問だった。先生は中学時代、問題児と言われていた自分に『漆畑ならできるよ』と声をかけ、対等に接してくれた。理解するまで何度も指導してくれ、資格を取得することができたが、報告する前に病気で亡くなってしまった。何事にも不真面目で不良だった自分が、目標に向かって努力することの大切さを知ることができたのは先生のおかげ」 -スピーチの文章
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野村商店社長・野村勝也氏 生活支える仕事、次代に【サンフロント21懇話会~熱き地域人】
―創業から100年の節目を迎えた。近年の動向は。 「2022年の年間スローガンには『バトンを次の君たちへ』を掲げた。次の世代を考えると、信頼できるパートナーと手を取り合って地域の雇用を守り、維持していくことが重要になる。他社と協同して新組織を立ち上げ、事業を展開している。まずは一歩を踏み出すことが大事だと考える。行動しなければ経験値を積むことができない」 ―建設業界の現況は。 「人手不足が課題だ。実際に働く人の様子を見学したり、話を聞いたりしてもらいたい。選んでもらえる会社を目指す。橋や道路、防潮堤、津波避難タワーなどインフラや安全を守る設備に関わっている。近年は大きな災害も多く、直近
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関係人口の増加が使命 浜松・浜名湖ツーリズムビューロー(浜松市中区) 竹内靖理事・事業本部長【キーパーソン】
観光振興に取り組む浜松・浜名湖ツーリズムビューローの理事・事業本部長に本年度、就任した。観光プロモーションを立案・実行する役割を担い、コロナ禍で疲弊した地域の活性化を目指す。 ―浜松の印象は。 「西日本で勤務していた時は静岡県の情報が少なく、当地域は浜名湖とウナギのイメージが強かった。実際は風光明媚(めいび)な観光スポットや食の魅力にあふれ、振興に力を入れる若い世代が多いと感じている。情報発信が総花的になってぼやけないように、パワーのある若手と数年後を見据えた活性化策の議論を深めたい」 ―コロナ禍の影響をどうみているか。 「ビューローが提案している体験型観光プラン『ちょい旅ガイド』の
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静岡人インタビュー「この人」 不登校児の保護者らを支える活動を始めた 鈴木友加里さん(浜松市西区)
不登校の児童生徒が各地で増えている中で、その保護者らを支えようと「トーキョーコーヒー浜松」の活動を今秋から始めた。料理や染め物といった創作を通じた学びが主な内容で、活動には子どもが参加してもしなくてもいいという方針。中学生の娘が不登校で、10月には浜松市浜北区の自家焙煎(ばいせん)カフェ「タイニーシード」(旧すいーとまむ)で不登校の経験がある子の母親数人とスパイスカレーなどを作りながら交流した。同区出身。41歳。 ―10月の活動の手応えは。 「初の本格的な活動だった。料理はおいしくでき、会話も弾んだ。眉間にしわを寄せ、深刻になっているばかりではだめだと改めて感じた」 ―活動を始めたきっ
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メンタルヘルスケアで地元に貢献 「cotree」社長 西岡恵子さん【とうきょうウオッチ インタビュー】
東京都港区六本木に拠点を構えるITサービス企業の2代目。磐田市と連携協定を結び、9月の台風15号の被災者を中心とした市民向けに、無料のオンラインカウンセリングを実施している。磐田南高出。浜松市東区出身。32歳。 -磐田市の被災現場を目にしてどう感じたか。 「見慣れた風景が壊れてしまうのは初めての経験で、ショックを受けた。被災者をはじめ、テレビやSNSで被災情報を見る人にも心理的負担が大きかったはず。目に見えない心の傷が少しでも癒やされてほしいという思いで支援している。カウンセラーと初回のみ無料でマッチングしているが、状況次第で深い悩みを抱える人に2回目以降のケアの追加支援も検討したい」
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女性がん経験者ら支えて20年 患者や社会に活動発信 NPO法人「オレンジティ」理事長/河村裕美氏【本音インタビュー】
静岡県内を拠点に、女性特有のがんの経験者や家族を支援するNPO法人「オレンジティ」。患者や家族が悩みを打ち明け合う「おしゃべりルーム」のほか、企業や専門機関と共同研究も行う同NPOはことしで設立20周年を迎えた。今後はより専門性を高め、患者だけでなく社会全体への発信も続けていく。 -20年を振り返って。 「がんの罹患(りかん)を経て、患者同士で助け合おうと設けたおしゃべりルームからスタートした。当時、県内には婦人科がんの患者会がなく、孤独を感じていた。生活に必要な排尿やむくみ防止のリンパマッサージなどの悩みも尽きず、自分が助かりたいとの思いから組織を立ち上げた。これまで支援を続ける中で知
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静岡人インタビュー「この人」 オリジナルソングで地域活性化を目指す 金刺貴彦さん(西伊豆町)
オリジナルソングを通じて出身地の西伊豆町を盛り上げようと、町内の認定こども園や小学校でギターの弾き語りを披露する。2021年には、町が台湾産パイナップルの購入支援を始めた際に応援歌をつくり町内で購入を呼びかけた。持ち歌は100曲を超える。人権擁護委員を務める。元教員。62歳。 -音楽を始めた経緯は。 「20代の頃、音楽好きの同僚から刺激を受けてギターを練習するようになり、作詞作曲にも挑戦するようになった。教科書の内容や行事を題材にした歌をつくって子どもたちと一緒に歌うことで、打ち解けられるようになった。音楽には人と人をつなぐ力があると思う」 -活動を始めた理由は。 「音楽で地域を明る
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急激な円安 影響注視 伊野彰洋・東海財務局長
4日、大須賀紳晃静岡新聞社・静岡放送社長と懇談し、就任を報告。急激な円安と原材料高が進む中、「製造業は円安のメリットを比較的受けやすいが、業種によってメリットを得る企業と苦しい企業との差が激しい」と指摘し、地域経済への影響を注視する姿勢を示した。 新型コロナウイルス下で実施された実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済本格化も見据え、県内金融機関には「地域企業が持続的に成長できるよう、ノウハウを含めて全力で支援してほしい」と求めた。 9月の台風15号による本県産業の被災にも触れ、「財務局は地域と東京の結節点。地域に寄り添って声を聞いていく」と今後の方針を語った。
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静岡人インタビュー「この人」 原泉アートプロジェクト代表・ディレクター 羽鳥祐子(はとりゆうこ)さん(掛川市)
掛川市北部、原泉地区でアーティスト・イン・レジデンス(AIR)を企画し、作家が旧茶工場や寺社などで作品を発表するアートイベント「原泉アートデイズ!」(27日まで)を率いる。2018年の初回から5年間の足跡を振り返る書籍も刊行する。群馬県出身。38歳。 ―山間地で1カ月以上、AIRを実施する理由は。 「都市部で制作していると、作品も世界観も小さくなる。ここには自然に囲まれた空間の広さと、ゆったりと流れる時間がある。その中で、作家自身が自分の新たな可能性に気付き、挑戦する姿が見られる」 ―AIRを始めた経緯は。 「学生時代、農学部で生物多様性について学び、人と自然との共生を考えるようにな
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DX、ベンチャー誘致促進 中小企業と中心街活性へ 岸田裕之/静岡商工会議所新会頭【聞きたい】
静岡商工会議所の4代目会頭に1日、就任した。エネルギー業界から初の同商議所トップとして、デジタル化による生産性向上やカーボンニュートラル推進を重点戦略に掲げ、歴史的な円安と物価高に苦慮する地元企業と静岡市中心街の活性化を目指す。 -地域の中小企業が抱える課題と対応策は。 「少子高齢化が続く中、今後も人口減少に伴う人手不足は避けられない。デジタル化に対応できた企業が最終的に伸びていくだろう。一方で、本来の目的である事業拡大や新規ビジネスの立ち上げも欠かせない。会員企業が置かれた状況は千差万別。個々の経営課題を吸い上げられるよう、静岡商議所の職員のスキルアップを図り対応していく」 -静岡
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静岡人インタビュー「この人」 自転車「塩の道」ルート実走調査を主導した 佐藤雄一さん(掛川市)
静岡県サイクルツーリズム協議会事務局長。自転車人口の増加とニーズの多様化を受けて、ガイド付き自転車旅の普及に注力する。各地の道や景観、食に精通したローカルサイクリストに着眼し、社会参画を促す構想も練っている。コンサルティング業「コンセプト」社長。60歳。 ―県内の特徴をどうみるか。 「日本有数のバラエティーに富んだゲレンデだ。サイクリストが求めるのは、面白い道と美しい景観、おいしい食の3要素。県内は東部と中部、西部でそれぞれ地形や風土が異なり、食材も豊富。初心者からベテランまで楽しめる道がある」 ―サイクルツーリズムの現状をどう捉えているか。 「ロードバイクの台頭とともに、長距離を走
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静岡人インタビュー「この人」 「伊豆の踊子」の伝承に努める 小野英樹さん(河津町)
今春、没後50年を迎えた川端康成の「伊豆の踊子」の舞台にもなった河津町の職員。映画版「踊子」のフィルムを修復させ、ゆかりの地を広く知ってもらおうと奮闘中。裾野市出身。55歳。 -フィルム修復の経緯は。 「『踊子』の映画は全6作あり、そのうち4作分の16ミリフィルムを、主人公一行が滞在した湯ケ野地区の観光協議会と町が1989年に購入した。協議会が管理し『伊豆の踊子文学祭』でも上映していたが、解散したため映写機とともに町が引き継ぎ、修復会社に頼んできれいな映像で見られるようにした」 -修復の意義は。 「持っているだけでは宝の持ち腐れ。今後は上映会開催などを通じ、川端康成の功績を語り継ぐ一
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小山展弘氏(立民、衆院静岡3区) 災害対策強化に奔走【とうきょうウオッチ/永田町便り】
政府は、静岡県や九州を中心に甚大な被害をもたらした9月の台風14、15号の激甚災害指定を決定した。衆院災害対策特別委員会の立憲民主党の筆頭理事として、早期復旧と対策強化に奔走する。 「与野党で被災地を視察し、激甚災害の指定を求めた。県内の被災地にはボランティアとして訪れ、被害の状況や災害ごみの片付けの大変さを実感した。他にも、農業被害への対応や河川改修など速やかに対処すべき課題は多い。一日も早い復旧に向けて、現場の声を国に届け、災害対策に全力を尽くしていきたい」
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首都圏と磐田市の人材や企業をつなぐ 伊佐治幸泰さん 官民共創で住民笑顔に【とうきょうウオッチ/インタビュー】
民間企業と自治体をつなぎ、社会課題を解決する新規事業の開発を支援する「ソーシャル・エックス」の共同代表。首都圏と磐田市の企業や人材を引き合わせ、地域活性を目指す同市の事業の連携コーディネーターを務める。 ―磐田市の事業に携わった経緯と目指す成果は。 「地場の企業について知らない自治体も多いが、磐田市は官民連携に積極的で、一緒に仕事をしたいと思った。全国には官民連携が手段でなく目的化している取り組みも多い。マッチングだけでなく、その先が大事。磐田市の課題を企業が解決して住み心地が良くなり、住民が笑顔になったかがポイントになる」 ―なぜ官民連携が求められるか。 「人口が減り、時代が複雑化
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コロナ禍経て3年ぶり開催 「笑顔の輪」を広めたい 大道芸W杯大会実行委員長代理/猪股宏光氏【本音インタビュー】
静岡市の秋の風物詩「大道芸ワールドカップ(W杯)」が11月5、6日、新型コロナウイルス禍を経て3年ぶりに開催される。開幕間近の10月上旬、プロデューサーの解任問題で揺れた。大会への思いや実行委の今後の在り方を聞いた。 ―どんな大会を目指すか。 「大道芸には人を笑顔にし、人生を豊かにする力がある。だが、新型コロナで中止が続き、毎年参加していたボランティアは1人減り、2人減りという状況だった。これまで一生懸命取り組んでいた人も別の楽しみを見つけ、いつか忘れられてしまう不安もある。今年は何としても開催したかった。イベントを楽しみにしている声は数多く聞いた。訪れた人にたくさんの笑顔を届けたい」
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静岡人インタビュー「この人」 全国アマチュアオーケストラフェスティバル 静岡大会の実行委員長を務めた 佐々木智子さん(静岡市駿河区)
9月に静岡市駿河区のグランシップで開かれたフェスで、300人のアマチュア奏者による演奏を成功させた運営サイドの“立役者”。県内で10年ぶりの開催となった今回、大会は50回の節目を迎えた。静岡フィルハーモニー管弦楽団副理事長、サブコンサートマスター。49歳。 -静岡フィルの役割は。 「ホスト楽団として参加者をもてなすことに徹した。広上淳一先生の指揮で大曲を演奏したいと全国から集まった方々が集中できるよう、休憩コーナーでいつでも冷たい静岡茶を飲めるようにしたり、参加者の要望や困り事を聞く担当を配置したりして、最大限環境を整えた」 -苦労もあったのでは。 「一昨年の
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静岡人インタビュー「この人」 男性の性生活で守るべき規範を著書にまとめた医師 今井伸さん(浜松市中区)
生殖医療に長年携わってきた立場から、男性の性に関する“教科書”がないと感じて執筆した新書「射精道」(光文社)が好評を得ている。性生活を送る上で守るべき考え方を武士道に照らして記した。2011年から県西部で男子中高生向けの性の授業も行っている。聖隷浜松病院のリプロダクションセンター長兼総合性治療科部長。島根県出身。51歳。 ―執筆で意識したことは。 「年配男性の心に刺さるように書いた。年代別で陰茎を扱う際の正しい知識や道徳観、倫理観を記した。例えば、中高年編では、独りよがりな性行為をしたり、若い時の栄光にすがったりする人にパートナーとの対話を訴えている。年齢ごとに性
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静岡人インタビュー「この人」 富士山フォトコンテストで最優秀賞に選ばれた 稲朋和さん(小山町)
静岡中央銀行(沼津市)が主催したコンテストで、応募者207人、総数608点の中から最高賞に輝いた。雪化粧した富士山と、手前に雪をかぶった樹木が「白いじゅうたん」のように広がる静寂とした風景を写した受賞作「春雪の朝」は、同銀行の2023年カレンダーに採用される。会社員。45歳。 ―撮影時の様子は。 「よく晴れた3月下旬の早朝、裾野市の水ケ塚公園で撮影した。ライブカメラで富士山がくっきりと見えるのを確認してから出掛けたが、雪道だったのでたどり着くのが大変だった。最初は公園の駐車場で撮影していたが、高台に展望台があることが分かり、雪の中を移動した」 ―応募した理由は。 「勤務先の会社に飾っ
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事業存廃に関わる問題 台風15号被害 全線復旧めど立たず 鈴木肇・大井川鉄道社長【聞きたい】
9月の台風15号により大きな被害を受け、現在も本線の運休が続く。12月の金谷-家山間の運転再開と「きかんしゃトーマス号」運転に向け復旧工事を急ぐが、全線開通のめどは立っていない。新型コロナウイルスの影響による観光事業の落ち込みに続く災害で、長期的な影響が懸念される。 ―被害状況と復旧のめどは。 「本線で20カ所、井川線で26カ所と過去にない大きな被害を受けた。井川線は22日に全線開通したが、本線は採石場跡地からの大量の土砂で埋まった神尾-福用間をはじめ、影響が大きい。収入が絶たれる中、まずは全線にこだわらず鉄道を動かすことが最優先だ。家山駅までのトーマス号運転は以前も経験していて、十分収
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静岡人インタビュー「この人」 電話応対コンクール県大会で優勝 海野奈緒美さん(富士市)
日本電信電話ユーザ協会静岡支部が主催する県大会で頂点に立ち、11月18日に山口市で開かれる全国大会に県代表として出場を決めた。建設システム(富士市)勤務。36歳。 ―優勝の心境は。 「想定外というのが正直な感想。これまで大会に7回出場したが、うち5回は地区予選を突破できず、県大会にすら進めていなかった。他の出場者も素晴らしい電話応対ばかりだったので、優勝した実感がなく、夢のような気分が続いている。職場の上司や先輩が支援してくれたおかげと感謝している」 ―どんな準備をして大会に臨んだか。 「特別な練習を積み重ねてきたわけではない。建設業者向け施工管理ソフトウエアの開発や販売を手掛ける企
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啓発と人材育成に注力 企業脱炭素化支援センター 三須敏郎センター長【キーパーソン】
7月に本格稼働した県内中小企業の脱炭素化支援組織を率いる。円安や資源高騰で中小を取り巻く経営環境が悪化する中、脱炭素への道をどう描くか。戦略と課題を聞いた。 ―当面の主な取り組みは。 「情報提供と相談対応、人材育成を軸に展開する。『何から手を付けたらいいか分からない』との声は根強いため、自社の省エネや二酸化炭素(CO2)排出量の可視化など、基本的対応策から伝達する。関係機関と連携し、企業の相談、問い合わせにセンターがワンストップで対応する。企業内で脱炭素化策を担う人材に加え、中小企業診断士などの社外から指導できる人材も併せて育成する」 ―大手と異なり、中小企業にとって脱炭素は最優先課題
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静岡人インタビュー「この人」 「水窪100山」完登 田中大輔さん(浜松市浜北区)
浜松市天竜区水窪町のNPO法人「山に生きる会」が同町の山や峠をまとめた「水窪100山」。そのすべてを約4年で登り切った。今春、最後の不動岳(標高約2171メートル)を登って同会公認の初の完登者になり、7日に賞状が贈られた。山登りを楽しむ傍ら、同町の自然や地域に関する情報の発信もする。浜北区在住の会社員。50歳。 -水窪100山に挑戦したきっかけは。 「地元の山を登りたいと考えていた。『山に生きる会』のホームページを見たり、山登りの記録を共有できるスマートフォンアプリ『YAMAP(やまっぷ)』と『ヤマレコ』の二つで情報収集したりした。2019年に挑戦を始め、今年5月に100山目を登り切った
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城内実氏(自民、衆院静岡7区) 外務委員長の経験生かす【とうきょうウオッチ/永田町便り】
昨年11月から約1年間、衆院外務委員長を務めた。在京の各国大使などとの会談を通じて得たグローバル(地球規模)な視点を維持しながら、従来のローカル(地域)を重視する活動と両立させていきたいと意気込む。 「委員長在任中、大使や海外からの要人との面会を約100回重ねた。ウクライナ問題に対する日本の姿勢、取り組みを伝えるなど、一定の成果を残せたと思う。メールや手紙のやりとりは今も続いている。経験を生かし、引き続き意見を交わしていきたい。退任後は時間的な余裕もできたので、改めて地元の声も丁寧に拾っていく」
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栽培漁業拠点開設から50年 稚魚の安定供給地道に 静岡県温水利用研究センター所長/鈴木吉典氏
静岡県栽培漁業の拠点として種苗生産に取り組む県温水利用研究センター(御前崎市佐倉)は、10月で開設から50周年を迎えた。種苗生産は卵から稚魚になるまでの最も病気に弱い期間を人の手で扱うため、常に失敗と隣り合わせという。試行錯誤の日々と今後の抱負について聞いた。 ―同センターの概要は。 「中部電力浜岡原発の温排水を水産面に有効活用する目的で1972年に設立した。県の委託を受け県漁業協同組合連合会が運営している。職員は13人。マダイ、ヒラメ、トラフグなど7種類の種苗を生産している。敷地面積は1万3350平方メートル。小中高生の社会科見学も受け入れている」 ―御前崎市の特産品でもあるクエの
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静岡人インタビュー「この人」 御殿場線を育てる会の会長を務める 菅沼弘さん(御殿場市)
沼津駅と国府津(神奈川県小田原市)を結ぶJR御殿場線の沿線活性化と利便性向上に取り組む。発足した2003年から活動に携わり、15年に会長に就任した。玉穂木材工業(御殿場市)の顧問。77歳。 ―御殿場線の意義は。 「1889年に東海道線として開通し、現在の東海道線が開通するまで日本の基幹鉄道だった。東京との往来を活発にし、多くの富士登山者を御殿場に運んだ。駅前に旅館が建つなど地域経済に大きく貢献した」 ―これまでの会の活動は。 「かつて御殿場線で活躍し、日本に7両しか現存しない蒸気機関車(SL)D52を郊外から御殿場駅前に移した。御殿場出身の冨原薫さんが作詞した汽車ポッポの歌碑と、御殿
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静岡人インタビュー「この人」 吉田町と防災協定を結ぶ「YSD防災協力会」会長 橋口智規さん
吉田町内の異業種11社でつくる「YSD防災協力会」の会長で、大規模災害に備えて同町と防災、減災のための協力と支援業務に関する協定を結んだ。本業は同町神戸の運送業「丸総」の社長。神奈川県出身。44歳。 -協力会結成の経緯は。 「丸総が2019年に創業50周年を迎えた際、この町に根付く企業としてできる恩返しの方法が防災だった。防災対策を推進する吉田町まちづくり公社に協力を求めたり、地元企業に声をかけたりして、前身となる防災協力会を結成した。約3年が経過し、効果的かつ継続的に防災に関わっていこうという考えが強まり、YSD防災協力会として再構築を図った」 -主な活動と強みは。 「平時には防災
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伝統継承と挑戦を両立 「開運」蔵元創業150年の節目 土井酒造場社長・土井弥市さんに聞く
創業150年の節目に、地元クラフトビール醸造所や菓子メーカーなどと相次いで協業し、日本酒銘柄「開運」のブランド力を生かした新商品を提案した。人口減少で国内需要の縮小が見込まれる中、海外進出にも本腰を入れる。伝統の味と香りの継承に軸足を置きつつ、新たな成長の源泉を探っている。 ―日本酒を取り巻く環境をどうみるか。 「新型コロナウイルス感染拡大で売り上げが落ち込んだ時期もあったが、国内需要は持ち直している。海外は主力の北米と中国が好調。光熱費や運送代だけでなく、瓶の価格も上がり種類が減ってきた。外見ではなく中身で選んでもらえる日常使いの酒を目指し、工夫していく」 ―輸出戦略は。 「北米と
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静岡人インタビュー「この人」 浜松の音楽イベントデザインコンペで最優秀賞に輝いた 中江ほのかさん(浜松市中区)
浜松市の中心市街地を会場として、3年ぶりに開催された「やらまいかミュージックフェスティバル」(実行委主催)のポスターやオリジナルTシャツのデザインを手掛けた。静岡文化芸術大デザイン学部3年生。岡山県津山市出身。20歳。 ―コンペに応募したきっかけは。 「大学生活の目標として、いろいろなことに挑戦したいと思っている。授業で先生からコンペの紹介があり、応募を思い立った。コロナ禍で中止になっていたのでフェスティバルを実際に見たことはなかったが、ホームページなどを参考にイメージを膨らませた」 ―デザインで意識した点は。 「Tシャツは楽器が踊るようなポップなイラストにすることで、フェスティバル
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静岡人インタビュー「この人」 沼津市5ライオンズクラブの代表に就任した 大嶽正泰さん(沼津市)
1986年沼津香陵ライオンズクラブに入会。2013、17年に会長を務める。今年7月から、沼津市内5クラブの代表の334―C地区3R・1ZC(ゾーンチェアパーソン)に就任し、県内各地のクラブとの交流も図る。同市大岡の三明寺住職。趣味は落語とお酒、寺の目の前に広がる「門池」を眺めること。沼津に住み始めて40年。富士市出身。76歳。 ―任期中にやりたいことは。 「沼津市の民話を広めることに協力したい。8月に『ぬまづ昔ばなし』が再編され書籍化されたのを機に、読み聞かせなどに進んで参加する。郷土の記憶を未来につないでいくためには不可欠。NPO法人『フードバンクふじのくに』への食料品寄贈、『こども食
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統合か分裂か、欧州注視 鈴木哲駐イタリア大使(浜松市出身)に聞く
駐イタリア大使に就任した鈴木哲氏(63)=浜松市天竜区出身=が17日までに、静岡新聞社のインタビューに応じた。右派連立政権が樹立される見通しとなった同国の行方や、結束力が弱まる中での欧州の動向を注視する考えを示した。 ―右派政党「イタリアの同胞」党首で、自国優先主義を訴えるメローニ氏を首班とする連立政権が樹立される見通しで、右傾化を警戒する声があるが。 「『極右』と呼ぶメディアもあるが、メローニ氏らは右派連合と言っている。EUやウクライナとの関係で今までと全く違う政策が出る可能性は高くない。観察するのが最初の使命だ。欧州は統合の流れから分裂に進むのか、新しいリーダーが現れ、まとめるのか。
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物価高、生活支援に注力 静岡県労働金庫/増田泰孝理事長【キーパーソン】
静岡県内の労働者らが会員の福祉金融機関のトップに6月就任した。急激な物価高の影響が広がる中、会員の生活支援に力を注ぐ。2023年3月の創立70周年に向けた記念事業の検討も進める。 ―個人消費の現状をどう見ているか。 「原燃料価格の高騰による物価の上昇ペースに賃上げが追い付かず、実質賃金は低下傾向にある。特に子育て世代の家計を圧迫していると感じる。主力商品は住宅とマイカーのローンだが、建築資材の価格上昇で住宅を買い控えたり、半導体不足による減産の影響で新車が手に入らなかったりしていて、相談を受けるケースが散見される」 ―労働者の生活をどう守るか。 「家計見直しキャンペーンを前倒して実施
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静岡人インタビュー「この人」 「グランドスケープ浜名湖@舘山寺」で振り付けを監修する 中沢里彩さん(浜松市中区)
29日から11月3日まで浜松市西区舘山寺町の浜名湖で繰り広げられる湖上舞台。振り付けを監修し、出演するダンサーたちを取りまとめる。経験と人脈を生かし、キャスティングも担った。ダンス教室で教える傍ら、小中学校の授業を通じて地元の子どもたちに踊る楽しさを伝える。同市中区出身、41歳。 ―ダンス歴を。 「最初は路上でヒップホップを練習する友達のラジカセを運ぶ係だった。先輩の代役で初めてステージに立ち、楽しくて教室に通い始めた。この道を進んだのは、高校3年でTRFのライブに出たのがきっかけ。東京でダンサーとして活動し、今は浜松を拠点にしている」 ―湖上舞台での役割は。 「場面によって振り付け
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細野豪志氏(自民、衆院静岡5区)若者の賃金上昇目指す【とうきょうウオッチ/永田町便り】
大卒の初任給が1世代前とほぼ変わらない現状に危機感を抱く。教育費の支援など若年層の社会保障の充実を図るとともに、若者の賃金アップに向けた雇用環境の改善に意欲を見せる。 「携帯電話代などの支出を考えれば、若者の実質的な生活水準は1世代前よりも下がった。終身雇用や年功序列といった雇用形態は、若い人の給料を抑えてしまう。変えなければ、世界で日本だけ給料が上がらない。労働者不足なのに賃金が上がらないのは仕組みの問題だ。失業なき雇用流動化を目指し、知恵を絞りたい。SNSを通じ、若者の声を集めて政策につなげていく」
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熱海土石流で失われた住宅の復元図を無償提供する建築イラストレーター 阿部雅治さん 被災者が前を向く力に【とうきょうウオッチ/インタビュー】
災害で消失した住宅の復元図を作る「想い出パース」と名付けた活動を続け、熱海市の被災者への協力も申し出ている。本業の経験を生かし、コンピューターグラフィックスでかつての姿をよみがえらせる。武蔵野市在住、72歳。 ―6月に熱海へ向けた活動を始めた。現在の実績を。 「土石流で家を流された家族からの依頼が1件あった。まず、発生前のグーグルアースの航空写真を使って住宅の寸法を割り出し、図面を立ち上げた。ストリートビューを参考にして外観を描き、依頼者からの写真などを基にペットや愛車、庭木も入れた。修正を重ね、8月にA3判のカラー印刷にして届けた」 ―完成した復元図に対し、依頼者からはどのような反応
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台風15号で被災孤立地区 防災マニュアル作成へ 静岡市清水区両河内地区連合自治会長/中山治己氏【本音インタビュー】
台風15号により被災した静岡市清水区の両河内地区。断水の長期化は免れたものの、区中心部から離れた山間地ゆえに、発災直後は行政の手がすぐには差し伸べられず、自主運行バス「ココバス」などにより自分たちで被災状況などの把握に努めた。連合自治会では独自の防災マニュアルを作成する計画もある。 -発災直後の状況は。 「川や沢の増水が多くの民家を直撃した。数メートルまで興津川本流が迫ってきた家もある。清地地区では橋が流出し、11世帯31人が孤立した。10カ所以上が地滑りし民家などに堆積した。9月23日午後8時に対策本部を立ち上げ、徹夜で詰めながら各地から入る被災情報を清水区役所に伝え続けた連合自治会
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静岡人インタビュー「この人」 豊漁祈願や太鼓祭りで知られる舞阪・岐佐神社の神職に就いた 高柳敦(たかやなぎあつし)さん(浜松市西区)
貝の神様をまつることから漁業の守り神として信仰を集める浜松市西区の岐佐神社で、第19代宮司の父壮さんを継いだ。3月、全国に二つしかない神職を育てる大学の一つ国学院大の神道文化学部を卒業し、禰宜(ねぎ)を拝命した。趣味は散歩と料理。愛読書は、穏やかな気持ちになれるウォン・ジェフン作の「世の中に悪い人はいない」。23歳。 -若くして神職に就く決心は。 「幼い頃から、地域とのつながりを大事に仕事をする父の姿を見て育った。神職の家に生まれ、地域とともに歩んできた神社を守っていかなければいけないと高校生のときに決心した。大学を出て奉職することは自然だった」 -半年で気付いたことは。 「地域の方
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静岡人インタビュー「この人」 熱海市の「起雲閣」を題材にした小説を出版した 中尾千恵子さん(熱海市)
海外向けの企業資料の編集や翻訳、貿易業務代行などのビジネスを手がけながら、小説の執筆活動を続けている。仕事で関係の深いロシアや伊豆を舞台にした作品を発表し、2017年に「熱海残照」で第20回伊豆文学賞最優秀賞を受賞した。浜松市天竜区出身。76歳。 -執筆活動のきっかけは。 「市場調査や翻訳など仕事で培った知識や経験を生かし、クリエーティブなことをやってみたくて60歳あたりから始めた。膨大な資料を読み込んだり、人に会って話を聞いたりして取材することに楽しさを感じる。今後、故郷の北遠地域を舞台にした作品を書いてみたい」 -起雲閣を題材にした小説を執筆する上で苦労したことは。 「史実に基づ
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静岡人インタビュー「この人」 マルシェで司法書士バーを出店した 杉本直人さん(藤枝市)
藤枝市で司法書士法人よつばを構える。2012年に開業し、22年9月に法人化した。藤枝、掛川の両市を拠点に活動する。7月にJR藤枝駅北側で開催されたマルシェ「ひのでのひ」で、司法書士と大学生が運営するバーを構えた。38歳。 -バー出店の経緯は。 「司法書士事務所は敷居が高く、足を踏み入れにくいと思われがち。地域に開かれた場所にしたいと考えていた。大学生と一緒に地域企業の課題解決を考える企画の一環で実現した。若者ならではの発想を取り入れることができたし、過去に飲食店で勤務した経験も生きた」 -出店した効果は。 「オリジナルカクテルなど68杯を売り上げた。『面白い』『珍しい』などと声を掛け
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静岡人インタビュー「この人」 一般社団法人「森林健康経営協会」代表理事 浅沼宏和さん(浜松市中区)
カーボンニュートラル社会の実現に向けて、企業と森を結びつけ、健康で持続可能な森づくりを目指す。地元の林業家などと7月に団体を設立し、活動を始めた。自身は税理士で経営コンサルタント。59歳。 ―協会の活動の目的は。 「日本の国土の約3分の2は森林。水源涵養(かんよう)や木材供給源など多面的な役割があるが、適切に管理が行われていない森林が増加し危機にある。協会の目的はより小規模な森林と、そのエリアに拠点を置く中小企業などがつながるプラットフォームを構築し、企業が身近に森の健康づくり活動に関わる。街と森をつなぎ、地域コミュニティーの土台をつくる」 ―具体的な取り組みは。 「温室効果ガス排出
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アスリートのキャリアアップ支援に取り組む 増田洋平さん 元選手、企業マッチング【とうきょうウオッチ/インタビュー】
一般社団法人アスリートライフデザインアソシエーション(東京都渋谷区)の代表理事を務める。アスリートの人間的な魅力と、人材としての資質を引き出し、社会で共に成長できる環境を創出する。静岡市葵区出身。36歳。 -事業を立ち上げたきっかけは。 「大学までサッカーに励んできた。Jリーグに進んだ仲間と会話をする中で、年を重ねるごとに将来に関する具体的な相談を受けることが多くなった。彼らは引退後に、収入がゼロになることへの不安が大きい。現役を引退しても、ファンから応援されながらやりたいことを実現できる仕組みを作ってあげたいという思いがあった」 -事業を通じて、静岡に貢献したい思いは。 「クラ
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平山佐知子氏(無所属、参院静岡選挙区) 災害時情報伝達見直しを【とうきょうウオッチ/永田町便り】
静岡県内に甚大な被害をもたらした台風15号による豪雨災害。迅速かつ正確な情報発信の重要性を訴えると同時に、災害時の伝達の在り方を見直すべきだと強調する。 「今回の災害ではSNSの情報を受け取れない人がいた。災害時のような危機的状況では県内全ての議員のネットワークを使って、一丸となって情報共有すべきだ。メディアを含め、誰がどこで何を必要としているのかを伝達できる仕組みを整えなければならない。大規模災害の備えとして、情報を受け取る側もSNSの使い方を学ぶなどの努力が必要になる」
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菊川市の人生会議ノートを作成 生きざま知り個別ケア 松田真和氏/市家庭医療センター長【本音インタビュー】
「家族ぐるみのかかりつけ医」として、さまざまな健康問題に対応する菊川市家庭医療センターのセンター長。今年、完成した同市の人生会議ノートの作成に携わった。人生会議の意義やノートの特徴について聞いた。 -人生会議とは。 「もしもの時に患者が望む医療やケアを前もって家族や医師らと話し合う『アドバンス・ケア・プランニング(ACP)』の愛称。その人の最善を、その人を中心にして皆で探し、繰り返し話し合う。決定よりも共に考える過程が重要。生きざまを大切な人に伝える会議でもある。医療の立場からすると、患者の生きざまが分かればその人らしいケアができる可能性がある。たとえば心臓病の80代男性ではなく、駅伝選
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静岡人インタビュー「この人」 沼津で第1回アフリカンフェスタを企画した 中村俊哉さん
沼津市中心市街地の3カ所で今夏、アフリカ文化を紹介するイベントを初開催した。音楽演奏や映画上映、トークショーなどを繰り広げ、開催期間中3日間で計約千人が来場した。7月から家業の金属加工会社「シングウ技研」(同市)の社長に就任した。清水町出身。46歳。 -イベントに携わるようになったきっかけは。 「大学時代に役者をしていた経験から、卒業後は都内のIT企業で働きながら劇団を立ち上げた。社会に役立つことをしようと教育施設を巡る公演も実施。東日本大震災を機に被災地の復興応援にも取り組み、宮城県南三陸町で音楽イベント『ミナサンフェス』をコロナ禍までの6年間で主宰していた」 -フェスタ開催の理由は
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静岡人インタビュー「この人」 静岡市清水区小島で台風被害を受けた住民の支援活動に従事 清水久美子さん
台風15号による大雨の影響で断水被害が続いた静岡市清水区小島で、地域住民に対する給水支援や物資配布にボランティアで参加した。同地区主任児童委員。47歳。石川県出身。 ―支援活動参加の経緯は。 「25日に小島生涯学習交流館で給水活動が始まったので見に行ったら、水道業者が1人で大勢の住民の列に対応していた。せっかく来てくれたのに大変だろうと思い、市や自治会から要請はなかったが自主的に手伝い始めた。同じ地域住民が対応した方が並んでいる人にとっても融通が利くし、少しでも円滑に支援が進めば良いと考えた」 ―活動の内容は。 「9月の終わりぐらいから支援物資がたくさん集まるようになり、仕分けや降ろ
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静岡人インタビュー「この人」 サーフィンの国際大会の開催に尽力した 宇田大地さん(牧之原市)
サーフショップ経営。サーフィンの競技審判員としての国際資格を持つ。昨年の東京五輪で審判員を務めた。地元サーファーらと実行委員会を結成し、9月1~3日にワールドサーフリーグ(WSL)公認の国際大会「ホワイトバッファロー御前崎プロ」を御前崎市の海岸で開催した。埼玉県出身。54歳。 ―開催のきっかけは。 「前々から若い選手のために大会をやりたいという思いがあった。この思いを加速させたのは新型コロナウイルス禍。東京五輪で日本人選手が銀メダルと銅メダルを取ったが、その後はコロナ禍で大会がなかなか行われず、一度盛り上がった機運がしぼんでしまいそうに思えた」 ―準備で大変だったことは。 「資金集め
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静岡人インタビュー「この人」 伊東商高で新商品の開発に取り組んだ 伊藤優希さん
2017年に創部し、商品開発とボランティア活動を行う伊東商高フロンティア部の部長。同部では今年、地元事業者の協力で二つの菓子を開発した。来春、伊東商を含む伊東市内3校が統合されて新高校に。後輩たちに「自分たちと同じような活動を続けていってほしい」と思いを託す。同校3年。18歳。 ―開発した商品は。 「一つは製菓業者と作った『伊匠魂(いしょうだましい)』。新高校に向け『つなぐ』をテーマにし、4種類のあんを付けた和風クッキーを開発した。もう一つは地域名産のダイダイを使ったジェラート『G―dai(じだい)』。ジェラート工房と開発した。甘さも果実本来の苦みも感じる、夏においしく食べてもらえる商品
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静岡人インタビュー「この人」 静岡茶の魅力を発信する 辻せりかさん(静岡市葵区)
茶の需要開拓に取り組む会社「AOBEAT(アオビート)」を2021年に立ち上げた。茶を観光資源と捉え、幅広い世代への魅力発信や、地域活性化に力を注ぐ。31歳。 -事業を立ち上げるまでの経緯は。 「県中部5市2町の観光まちづくり組織(DMO)で働く中で、茶づくりに情熱を注ぐ農家と出会う機会がたくさんあった。一方、リーフ茶の需要低迷や担い手不足などを痛感し、適正な価値で販売できていない現状を残念に感じることも多かった。仲間と一緒に静岡茶の価値を発信していきたいとの思いを強くした」 -主な活動内容は。 「茶畑に作ったテラス席から眺める景色と、おいしいお茶を楽しむ『茶の間』を県内各地で運営し
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優れた立地、唯一無二の個性 富士SWホテル運営 日本ハイアット・坂村代表取締役一問一答
富士スピードウェイホテルは、ハイアットのブランド「アンバウンド コレクション」の国内初施設。取材に応じた日本ハイアットの坂村政彦代表取締役(49)は「都会を離れて過ごすには距離的にもアクセス面も便利なロケーション。地域の魅力を幅広く知っていただくお手伝いをしたい」と語った。一問一答は次の通り。 ―ブランドのコンセプトは。 「唯一無二の個性を持ち、独自のストーリーを放つホテルのブランド。ハイアットブランドではなく場所の個性やコンセプトを前面に出す。日本の自然を象徴する富士山と、産業界を代表する企業のトヨタ自動車が融合する富士スピードウェイは唯一無二に合致し、第1号にふさわしい」 ―想定す
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首都圏で静岡市ファン獲得に取り組む市職員 松木喜伯さん【とうきょうウオッチ】
静岡市のシティープロモーションの一環で、首都圏でのPRやファン獲得に取り組む。市が契約する都内のシェアオフィスを拠点にイベントを次々と企画。広報戦略を学ぶ専門職大学院にも通い、実務に生かしている。 ―市の事業「プラモデル化計画」と企業版ふるさと納税を発信する8月末のイベントは好評だった。 「約50人が参加し、仕事場にミニ四駆のコースがある非日常感を楽しんでいた。外資系企業が『面白い街ですね』と興味を示すなど商談5社、寄付1、2社の成果目標は達成できそうだ。ワーケーションの候補先として関心を示す会社もあった。遊び心を取り入れた情報発信が、市のイメージアップにもつながり、狙い通りになった」
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独立200年記念音楽イベント 日伯の市民交流を促進 在浜松ブラジル総領事/ガルシア・アウデーモ氏【本音インタビュー】
全国都市で最も多い約1万人の在日ブラジル人が暮らす浜松市。在浜松ブラジル総領事館は9月3、4の両日、ブラジル独立200年を記念した音楽イベント「ブラジルデー浜松」を浜松駅前で開いた。イベントの手応えや、日本人との交流促進に向けた意気込みを聞いた。 -ブラジルデーを企画した経緯は。 「音楽の街でもある浜松で、ブラジルの文化に親しんでほしいと思い、1年前から準備した。ブラジルはサッカーが有名だが、サンバやボサノバ、ロック、ポップスも人気。16時間にわたって約40組アーティストが出演し、約2万5千人が来場した。大成功だった。エコ・ステーションというごみ回収場を設置したところ、終了後にごみはほと
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巨大市場「手が届くEV」準備 鈴木俊宏社長に聞く【インド戦略、深化へ スズキ進出40年⑤完】
インド事業40周年の節目を迎えたスズキ。国土は日本の約9倍、人口は約11倍の巨大市場で、中期経営計画で示す「乗用車市場シェア50%以上」の継続的な獲得に何が必要か。鈴木俊宏社長に戦略を聞いた。 ―市場動向の変化にいかに対応するか。 「今はSUV、MPVなど(中大型)に需要が動いている。当社もSUVのラインアップを拡充中だ。ただ、EV(電気自動車)化が進めば、価格的に見て、また小型車に戻るのではないか。その時に備えてしっかりと小型EVを準備する。地場メーカーなどのEVが売れ始めているが、インドで今後、EV化がうまく進行するか不安もある。インフラ準備が整わない中、普及はまだクエスチョン(疑問
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静岡人インタビュー「この人」 全国初優勝したENSチアリーディングクラブSmileys代表 内木裕紀子さん(浜松市中区)
8月に開催された「JAPAN CUP2022チアリーディング日本選手権」(東京)自由演技競技の小学校低学年部門で頂点に立ったチームを指導する。神奈川県出身。42歳。 ―全国優勝の勝因は。 「子どもたちが目標を見失わずに食らいついていた。中部大会後、何度も細かくすり合わせ、ミーティングを重ねた。他チームの練習を10としたら12、13の練習をしようと話した。テーマを決めて常に復唱した」 ―クラブを設立した理由は。 「駐在員の夫の関係で住んでいたジャカルタから浜松に戻り、2019年に立ち上げた。ジャカルタでもチームを作っていたが、うちの娘と、帰国していた子どもたちの4人がまたやりたいと言っ
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静岡人インタビュー「この人」 県社会人リーグ1部 サッカークラブ「SS伊豆」代表理事 片岡大輔さん(函南町)
2016年、「伊豆半島から世界へ」を合言葉にクラブを設立。東駿河湾3部リーグ(J12相当)から5年連続で昇格し、10月に鹿児島県で開かれる全国社会人サッカー選手権全国大会に初出場を決めた。37歳。 -チーム設立の経緯は。 「プロ選手を目指して中学卒業後にイングランド、スペインに留学した際、週末は各町のスタジアムで試合観戦するサッカー文化に衝撃を受けた。帰国後、プロを諦めたものの草サッカーでは物足りず、国内のアマチュアチーム層の薄さを痛感。あえてプロを目指さないチームを創設した。2年前にセカンドチームも設け、トップから漏れても頑張れる環境を整えた」 -活動形態は。 「メンバー26人中1
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静岡人インタビュー「この人」 栃木国体の総合開会式で県選手団の旗手を務める 鈴木音生さん(焼津市)
初の国体で大役を務める。小学2年冬に家族で登った八ケ岳連峰の赤岳(長野ほか)でアイスクライミングに触れ、その後、地元にオープンしたジムで本格的にスポーツクライミングを始めた。中学から大会に出場し、昨年12月の全国高校選抜男子リードで優勝した。東海大翔洋高3年。18歳。 -団旗の重みを。 「まさか自分が旗手に選ばれるとは。緊張感と責任を感じている。開会式では県選手団を先導し、堂々と行進したい。国体のスポーツクライミングはペア競技。相方とのチームワークを深め、リードとボルダリングの2種目で決勝に進みたい」 -クライミングの魅力とは。 「登れない壁のほうがはるかに多い。ルートを考え、何度も
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静岡人インタビュー「この人」 日本ギャップイヤー協会を立ち上げた ナヤー友里佳(なやーゆりか)さん(御前崎市)
学生が進学や就職の道にすぐに進まず、ボランティアや旅行など学校以外の場で経験を積む「ギャップイヤー」の考えを広めようと、2020年に「日本ギャップイヤー協会」を立ち上げた。菊川市市民協働センター職員。御前崎市出身。20歳。 -ギャップイヤーの長所は。 「ギャップイヤーの考えは主に欧米で広まっている。『gap』は英語で隙間の意味。協会ではギャップイヤーを『肩書のない時間』と定義した。さまざまな経験ができるほか、自分で道を開くことで、決断力が付き、日々の自分の選択に責任を持てる。自己肯定感も上がる」 -自身のギャップイヤーは。 「高校卒業後の留学がコロナ禍でかなわなかったため、毎日のよう
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災害時、迅速に復旧活動 伊東建設業協同組合 石田龍夫理事長【キーパーソン】
1972年に発足した組合は今年、創立50周年の節目となる。現在は伊東市内の建設業者23社が加盟。地域の安全安心を支える組織として、災害復旧などに尽力する。取り組みや今後の展望を聞いた。 ―組合の役割は。 「災害発生時に消防や警察、自衛隊が人命救助のために現地入りするには、倒木や崩れた土砂を撤去する必要がある。まずは地元の建設業者が作業に当たる。そのため組合では24時間、365日いつでも対応できるよう体制を整えている」 ―直近の取り組みは。 「5月中旬に伊東市鎌田であった県道沿いの崩れでは、交通量の多い道路の迅速復旧に当たった。8月の台風8号でも県道や市道で倒木の撤去を行った。災害時に
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静岡人インタビュー「この人」 まちづくりを行う一般社団法人「いちご」理事 藤井さやかさん(清水町)
自身が産後鬱(うつ)のようになってしまった経験から、2007年に「子育て応援サークルいちご」を立ち上げた。17年に10周年を迎え、公益的な事業の展開に際し、子育て支援やまちづくり活動を行う「一般社団法人いちご」設立。法人として17年に県知事褒章、22年にふじさんっこ応援大賞優秀賞を受賞。県内の地域に根付く人や体験を紹介するローカルサイト「ひととき百貨店」を運営。「ぬまづパンまるしぇ」等の沼津の商店街を会場にしたイベントも主催。沼津市出身。44歳。 ―「子育て応援サークルいちご」を通じてのやりがいは。 「心が躍動する人との出会い。現在300組を超える親子が関わってくれている。自分のために始
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4年ぶり「野外フェス」 聖地での音楽祭へ一丸 朝霧JAMS’代表/堀内潤氏【本音インタビュー】
富士宮市を会場とする野外音楽フェスティバル「朝霧JAM(ジャム)」が10月、4年ぶりに開催される。1万人規模のイベントを支えるボランティアグループのリーダーに現在の心境、地方フェスの役割や課題について聞いた。 -2001年から毎秋開催が定着していたフェスが19年は台風、20、21年は新型コロナウイルス禍で中止となった。どんな思いだったか。 「秋開催が当然のように感じていたので、ここ3年は残念な10月だった。朝霧JAMS’(ジャムズ)は地元のコアメンバー約30人に加え、開催期間に全国から集まる約150人で構成されている。メンバーの士気を維持するために、電話やメール、LINE(
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どうする?離婚後の子育て③ 関係者インタビュー【賛否万論】
夫婦が離婚した後、どちらか一方が子どもの親権者となる単独親権制度をこのまま維持するか、それとも離婚後も父母双方が親権を持つ共同親権を導入すべきか。全国の読者からさまざまな意見が寄せられています。9月16日付の関係者インタビュー1回目は、共同親権の導入推進派で「静岡親子の会」の代表を務める大森貴弘常葉大准教授の話を掲載しました。今回のインタビュー2回目は、静岡市のひとり親支援団体「シングルペアレント101」の代表で、共同親権導入に反対する田中志保さんの話です。 共同を強制する仕組み 本当に必要か 共同親権の導入反対派/シングルペアレント101 田中志保代表 共同親権について議論が進められてい
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静岡人インタビュー「この人」 盛り土の崩壊メカニズムを研究する名城大4年 夏目将嗣さん(愛知県刈谷市)
熱海市伊豆山の土石流で、発生原因を究明する県の検証委員会委員を務めた名城大の小高猛司教授(地盤工学)の研究室に所属している。土が水を吸収し、軟化して崩れる過程を調べる実験をサポートした。23歳。 ―どのような思いで実験に臨んだか。 「実験データが盛り土崩壊を考察する重要な資料になると思うとかなり緊張した。いつも以上に慎重に取り組んだ。熱海の土石流は、雨だけが要因ではなく、人の手が加わった盛り土が崩れて発生した。自分が将来就こうと考えている土木技術者の責任の重さを感じるきっかけになった」 ―土木の研究に関心を持ったきっかけは。 「元々はまちづくりの分野に興味があった。3年になって研究室
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静岡人インタビュー「この人」 第17回浜名湖フォークジャンボリーの実行委員長 新海稔和さん(浜松市北区)
浜松市西区の浜名湖ガーデンパークで8月に開かれた音楽ライブの運営で中心的な役割を果たした。毎年50組前後のアマチュアバンドなどが県内外から集まる一大イベントだったが、今回を最後に終えた。65歳。 -最終回の感想は。 「出演者、お客さんから『終わってしまうのは寂しい』『これからも続けてほしい』と声を掛けられて。たくさんの人に愛され、支えられてきたイベントだったと改めて感じた。会場の都合で今年は残暑の厳しい時期での開催になったが、ほぼ満席で多くの人が最後まで残ってくれていた」 -惜しまれつつ終了する理由は。 「仕事の片手間にやるには運営の負担が大きく、実行委員の確保が難しくなった。協賛企
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静岡人インタビュー「この人」 裾野市出身で初のプロサーファーになった 松本浬空さん(宮崎県日南市)
中学卒業まで海のない裾野市で過ごし、2021年4月、サーフィン部のある宮崎県の日南学園高に進学した。同年10月のトライアルでプロ公認資格を取得した。16歳。 ―サーフィンを始めたきっかけは。 「小学2年生の時、父親の勧めで始めた。小中学生のころは毎週末、片道1時間半ぐらいかけて、父と一緒に下田市の多々戸浜に通っていた。平日は走り込みやスケートボードなどの陸上トレーニングに励んでいて、海に出ることができる週末が待ち遠しかった」 ―進学先に宮崎県の高校を選んだ理由は。 「海に出る時間、練習量を増やしたかった。いま通っている高校はサーフィンを部活動として認め、とても理解がある。部員は自分を
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東京都文京区の学生会館「富士寮」寮長 庵原哲也さん 協調性や社会性を育む【とうきょうウオッチ】
13年ぶりの寮長交代で、7月に就任した。姉で寮母の千代子さんとともに、共同生活をしながら首都圏の大学に通う静岡県出身の学生たちを支える。直近までの38年間は国税庁に勤め、税理士の資格も持つ。磐田市生まれ、61歳。 ―富士寮の特徴を。 「1956年に静岡県人会が設立し、現在は公益財団法人が運営する男子寮。46人が生活している。すべて個室で朝夕の2食が付く。公益目的を理由に税金面なども優遇されているため、アパートを借りるのに比べて寮費は経済的だ。皆に静岡県出身という『地縁』があり、アットホームな雰囲気で過ごせる」 ―寮長として、どのような心掛けを大切にしているか。 「学生たちの協調性や社
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噴火で埋没の須走 地中の集落、解明へ一歩 小山町生涯学習課課長補佐/金子節郎氏【本音インタビュー】
1707年の富士山宝永噴火で火山灰に埋まった集落が地中に残るとされる小山町須走地区。町教委による2019年と22年の試掘調査の中心を担い、家屋の柱や什器(じゅうき)などを発見した。調査の成果と今後の展望を聞いた。 -宝永噴火当時の須走の様子は。 「駿河、甲斐、相模の3カ国が交わる交通の要衝として栄えた。富士山須走口登山道の起点でもあり、観光業や宿泊業が盛んだった。冨士浅間神社の門前の本通り両脇に76軒の住宅や旅籠(はたご)が立ち並んでいた。噴火では約390センチの火山灰が積もった。39軒が重みでつぶれ、37軒が焼失した。除去できないほどの降灰量で、火山灰の上に新たな集落が形成されたと伝わ
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静岡人インタビュー「この人」 「寄付付き商品」で市民団体を応援するNPO法人理事長 磯谷千代美さん(静岡市清水区)
企業が自社商品に数十円程度の寄付額を上乗せして販売し、商品が売れた個数に応じて、自社が支援したい市民団体に寄付金を贈る「しみず元気プロジェクト」を2016年に始動した。静岡市清水区の清水市民活動センター指定管理者のNPO法人「NPOサポート・しみず」理事長。同区出身。70歳。 ―プロジェクトには何社が参加しているか。 「レストランや食品加工会社など、個人店舗を含む8社。うち2社は、毎年協賛金を提供するなど、商品販売とは違う形で参加している。運営資金の少ない団体にとっては、年1万円の寄付でも大きな支えになる」 ―市民団体は寄付金をどう活用しているか。 「里親支援団体は毎年1回、寄付金を
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どうする?離婚後の子育て② 関係者インタビュー【賛否万論】
日本は夫婦が離婚した後、どちらか一方が子どもの親権者となる単独親権制度をとっていますが、家族法制の見直しを続けてきた法制審議会(法相の諮問機関)の部会は、離婚後も父母両方が親権を持つ「共同親権」の導入を中間試案に盛り込むことを検討しています。単独親権の維持か、共同親権の導入か。どちらが子どもの幸せにつながるのでしょう。当事者の意見が真っ二つに割れる中、双方の関係者から話を聞きました。インタビューの1回目は、共同親権の導入推進派で「静岡親子の会」の代表を務める大森貴弘常葉大准教授です。 両親に愛された体験、心の支えに 共同親権の導入推進派/静岡親子の会・大森貴弘代表 「静岡親子の会」はどん
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静岡人インタビュー「この人」 9年ぶりに開催される浜松市民オペラの実行委員長 玉川昌幸さん(浜松市中区)
市制80周年を記念して1991年に始まった市民オペラは今回で8回目。初回から運営に携わり、開催に向けて尽力を続ける。2024年9月28、29日に浜松市中区のアクトシティ浜松大ホールで上演する。浜松シティオペラ協会長、浜松学芸高非常勤講師。70歳。 ―今回の演目は。 「浜松ゆかりの作家荒井間佐登さん作の『音詩劇(おんしげき)かぐや』。作曲は市在住の鳥山妙子さんが手掛ける。元々は母体となる作品があり、過去にアクトシティ浜松の中ホールでも上演した。好評だった作品を、大ホールのグランドオペラの形にバージョンアップして届ける。年月をかけて育てた作品なので感慨深い」 ―オペラの魅力とは。 「歌、
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静岡人インタビュー「この人」 沼津市茶道連盟の会長に就いた 東海庵龍子さん(沼津市)
茶道7流派でつくる沼津市茶道連盟の会長に4月末に就いた。毎年、三嶋大社で献茶式を行う東海流の家元を夫に持つ。本名は長島幸子さん。76歳。 -茶道を始めたきっかけは。 「先代東海流家元の父を持つ夫と結婚したこと。何も分からない中、義母の背中を見て茶道を学んだ。沼津での茶会に通い、周囲の勧めで茶道研究家の杉浦澄子先生にも学んだ。月に1回程度東京に通い、杉浦先生から茶わんや掛け軸、表具の見方などを丁寧に教えてもらった。自分の茶道の輪郭をつくってもらったと感謝している」 -茶道の精神とは。 「豊かな心で人に接し、明るく過ごせるように努めること。多くの恩恵に感謝することも大切。例えば茶を頂くと
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静岡人インタビュー「この人」 第28回酒田市土門拳文化賞を受賞した 大角勝さん(静岡市清水区)
世界的な写真家土門拳の出身地、山形県酒田市が主催する公募展。モノクロ30枚組みの「立ち止まる情景」で、全国106人による応募作の中から最高賞に輝いた。写真用品メーカーに就職した20代で写真を始め、撮影を続ける。他のコンテストでも数々の受賞歴がある。70歳。 ―受賞作はどんな作品か。 「昭和レトロと雨がテーマで、自分の感性に合う写真を集めた。撮影場所の大半は熱海。昭和レトロを感じる路地裏が多く残る。10年ほど前から撮影を重ね、後で調べると36回も訪れていた。街を歩く中で、何か感情に訴えかけるものがあり、立ち止まった場面だ」 ―受賞が決まった感想は。 「連絡を受けた時はまさかと思った。9
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新興企業ノウハウ地元に 次期頭取、新産業育成へ一層注力 八木稔・静岡銀行代表取締役副頭取【聞きたい】
10月3日の持ち株会社しずおかフィナンシャルグループ(FG)設立に伴い、子会社となる静岡銀行で第12代頭取に就く。原燃料価格の高騰や急激な円安で経営環境が厳しさを増す地元企業に寄り添い、グループ各社と連携しながら経営支援や新産業育成に一層注力する。 ―次期頭取に決まった経緯は。 「銀行傘下にあったグループ各社の自立性を高めて新たな事業を展開し、地域経済により貢献していくのがFG設立の趣旨。その点を踏まえ、グループ全体を統括するFG社長と銀行経営に専念する頭取の役割を分け、別の人物が担った方が良いとの判断に至った。とはいえ、移行後も当面は静岡銀がFGの収益を引っ張っていくだろう。重責に緊張
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静岡人インタビュー「この人」 アジアU18男子バレーボール選手権大会で日本代表の優勝に貢献した 小野駿太さん(浜松市北区)
イランで8月15~22日に開かれた国際大会でエースとして全6試合にフル出場し、ベストアウトサイドヒッターに選出された。聖隷クリストファー高(浜松市北区)2年。同校の全国高校総体ベスト8にも貢献した。静岡市清水区出身。身長185センチ。16歳。 -大会を振り返って。 「初めての国際大会で気候や時差、食事など環境面の違いに苦労し、体調管理やメンタルのコントロールが難しかった。日本では味わえない高さと技を持ち合わせた海外選手と戦い、強いスパイクを打つだけではなくワンタッチアウトを狙うなど、日本人が海外で戦っていくための技術を学ぶことができた」 -競技を始めたきっかけは。 「小学4年まではサ
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最期まで安心 地域社会寄与 在宅医療の活動広げる 伊豆保健医療センター総合診療科長/清水啓介氏【本音インタビュー】
伊豆の国市の伊豆保健医療センターが注力する在宅医療の中心的な役割を担う。地域ケア部や総合診療科の新設など本年度の組織改編にも尽力した。センターが拠点となって周辺市町にも在宅医療の取り組みを広げ、市民が住み慣れた地域で安心して過ごせる社会の実現を目指す。 -在宅医療の現状は。 「昨年度に自分が赴任する前までは医師2人体制だったが、現在は非常勤も含めて7人になり、訪問診療数は右肩上がりになっている。医師がフットワークを軽く訪問することで患者や家族はもちろん、助言を受ける訪問看護師の安心にもつながっている。7月からは在宅医療全体のマネジメントを担当する看護師を配置した。こまめに情報共有をするこ
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静岡人インタビュー「この人」 ミセスジャパン2022静岡大会 クラシックミセス部門グランプリ 安本梨花さん(静岡市清水区)
女性が人生経験の中で培った魅力や人生のストーリーを表現し、内外面の美しさを競う「ミセスジャパン2022静岡大会」のクラシックミセス部門(46歳以上)で最高賞に輝いた。同大会で選出された他の3人とともに、10月18日に都内で開かれる日本大会に出場する。ネイルやエステティックサロンを経営する。55歳。 ―受賞の喜びを。 「まさかという思い。本当にうれしい。大会に出場し、共にレッスンを受けた仲間や、指導してくださった先輩ファイナリスト、そして家族にも感謝したい。多くの仲間に会えたこと、励まし合ったことは本当に自分の財産になった。賞をいただいたこと以上に仲間ができたことが大きかった」 ―出場の
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静岡人インタビュー「この人」 静岡市歴史博物館初代館長に就任 中村羊一郎さん(静岡市葵区)
室町から戦国時代まで約230年にわたり駿河に君臨した今川氏と静岡市の礎を築いたとされる徳川家康を中心に、静岡の歴史と文化を発信する。元静岡産業大教授。79歳。 ―プレオープンの手応えは。 「開館から約1カ月半で来館者数は1万5千人を超え、市民の関心の高さと期待の大きさを感じている。無料公開中の1階部分のほか、バックヤード見学ツアー、工作体験ワークショップ、学芸員6人が各専門分野でマニアックな話をする歴史講座なども開催する。何度も足を運んで“推し学芸員”を見つけてもらえたらうれしい」 ―展示の目玉は。 「建設中に発掘された戦国末期の道と石垣の遺構は、むき出しのま
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落語もジャズも「即興」 ウィリアムス浩子、春風亭昇太とのコラボ心待ち ハママツ・ジャズ・ウィーク
静岡市葵区出身のジャズ歌手ウィリアムス浩子が10月、第30回ハママツ・ジャズ・ウィーク(浜松市、市文化振興財団、ヤマハ、静岡新聞社・静岡放送など主催)に登場する。近年共演を重ねる落語家の春風亭昇太(同市清水区出身)とのコラボレーションに加え、ジャズによる日本の歌も聞きどころ。即興の妙と名曲の調べがジャズ・ウィークに花を添える。 出演するのは同月18日に同市中区の市勤労会館で開かれる「ジャズと落語のスペシャルエンターテインメントショー」。これまでの共演では昇太師匠が歌とトロンボーンを演奏し、音楽の中に“飛び込んで”きたが、今回は落語を軸にジャズを添える。「落語もジャズ
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静岡人インタビュー「この人」 湖西市の新たなイメージキャラクターをデザインした漫画家 稲空穂さん(湖西市)
湖西市が市制施行50周年を機に今年制作したイメージキャラクターに、デザインが採用された。会社員を経て、2017年に漫画家としてデビュー。昨年から出版され、老夫婦らの何げない日常を描いた「特別じゃない日」(実業之日本社)が話題に。浜松市北区出身。36歳。 -「浜名湖があるまち」をPRするキャラに込めた思いは。 「モチーフは浜名湖特産のウナギ。突然変異で体が白黒になる希少な「パンダウナギ」や縁起の良い黄金色のウナギから着想を得た。みんなと仲良くなりたくて、着ぐるみをまといパンダのふりをしている。子どもにも親しんでもらえるよう、愛らしいキャラにしたかった」 -湖西市はどんなまちか。 「コン
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静岡人インタビュー「この人」 御殿場馬車鉄道の車両復元に尽力した 勝又祐介さん(御殿場市)
明治から昭和初期まで御殿場市や小山町を走った御殿場馬車鉄道の客車を復元した御殿場馬車鉄道研究会の事務局長。昨年12月にお披露目会を開き、人を乗せて人力で動かした。43歳。 -御殿場馬車鉄道とは。 「1898年から1928年まで運行し、最盛期には現在の御殿場駅前と籠坂峠間の約18キロメートルを結んだ。多くの富士登山者が乗車した。当時の東海道線で御殿場に運ばれた物資を山梨県側に運んだ。運転手が鳴らすラッパの音『テトウテトウ』にちなみ『テト馬車』と呼ばれた」 -復元した理由は。 「御殿場馬車鉄道を知る人は減っている。地域の人が出資し苦労して作った歴史の継承を目指した。運営会社は経営難から『
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水災補償、必要性訴える 日本損害保険協会静岡損保会(静岡市葵区)山本耕平会長【キーパーソン】
静岡県内損害保険8社でつくる団体トップに6月就いた。災害や事故などのリスク軽減に向けた啓発活動を担う。本業の損害保険ジャパン静岡支店長としては、地域に一層密着した店舗経営を目指す。 ―業界の現状は。 「本県の需要自体はここ数年、ほぼ横ばいで推移していて新型コロナウイルス禍などの影響は少ない。だが、全国的には自然災害が多発して支払額が急激に伸びているのに伴い、損保各社の保険料は上昇傾向にある。万が一のリスクに備える必要性が高まっている」 ―静岡損保会の重点的な取り組みは。 「損害保険料率算出機構の2020年度統計によると、県内の火災保険契約のうち水災補償を付帯している割合は68・8%で
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静岡人インタビュー「この人」 3年ぶりに開催される大道芸W杯のプロデューサー 奥野晃士さん
静岡市の秋を彩る一大イベント、大道芸ワールドカップ(W杯)。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う中止を経て、今秋は11月4~6日に3年ぶりに開催される。県舞台芸術センター(SPAC)の舞台俳優として活動する傍ら、大道芸W杯の企画進行を取りまとめる大役を担う。兵庫県淡路市出身。53歳。 ―就任の抱負は。 「今秋で29回目を数える歴史のある行事。大道芸人が目標とする大舞台の一つとして全国的な知名度がある。長年、大道芸W杯を支えている地元企業の社長や大会関係者と関わる中で、プロデューサー就任への話が持ち上がった。最大限の力で場を盛り上げたい」 ―準備状況は。 「感染対策を講じつつ、規模縮小で
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はままつ首都圏ビジネス情報センター長 金山岳史さん 起業で選ばれる地域に【とうきょうウオッチ】
1990年、浜松市に入庁した。主に地域活性化に関連したイベントの運営に携わり、今年4月から現職。市のスタートアップ支援施策の一環で、新興企業の経営者らが参加したシンポジウムを企画運営した。54歳。 -シンポジウムで感じたことや手応えは。 「思った以上に20代の参加が目立った。シンポジウムで浜松の取り組みを十分に周知でき、関心を持ってもらう第一歩という意味では大成功だった。今後、浜松を起業するステージの一つに選んでもらったり、欲を言えば浜松に拠点を設けたりするまでに発展してほしい」 -浜松市のスタートアップ推進の課題は。 「ものをつくって急成長する新興企業が増えてきた。ただ、首都圏では
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静岡県産花卉、ブランド強化 東伊豆・県農林技術研究所伊豆農業研究センター主任研究員 勝岡弘幸氏【本音インタビュー】
キク科のマーガレットとローダンセマムを交配した新品種の開発に成功した。この2種の交配は世界で初めてで、耐寒性や栽培コスト面の利点を持ち合わせる。「静岡にしかない花」を目指し、静岡県花卉[かき]ブランドの強化に情熱を燃やす。 -新品種「ビジューマム」の開発経緯は。 「名称はフランス語で宝石を意味する『ビジュー』とキク科の愛称『マム』を合わせた造語。前任者から引き継ぎ、ピンク色の『ローズクオーツ』と赤色の『ガーネット』の2種を開発した。マーガレットは夏は冷涼で冬は温暖なカナリア諸島原産のため、日本での栽培は困難とされる。ローダンセマムの耐寒性を与えたかった。マーガレットとローダンセマムは血
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静岡人インタビュー「この人」 外国人児童に贈るランドセルを集める 座光寺明さん(磐田市)
磐田市前野の幼保連携型認定こども園「龍の子幼稚園」の理事長。卒園児や市民らから使わなくなったランドセルを集め、愛知県のNPO法人を通じて、日本に住む外国人児童に贈る活動を展開している。65歳。 ―なぜ活動を始めたのか。 「2011~19年に、職員と共に『伊達直人となかま達』の名で磐田市長宛てに図書カードを寄贈していた。10回の寄贈を終え、もっと多くの人が参加できる運動に移行しようと思った。そんな時にランドセル寄贈に取り組むNPOを知った」 ―どのようにランドセルを集めているのか。 「毎年、卒園式で『小学校に入ったらランドセルを大切に使い、卒業したら持ってきて』と呼び掛けている。浜松い
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「家具」で子どもを笑顔に 性同一性障害を公表、安池中也さんに聞く【NEXTラボ】
木製家具の産地として知られる静岡市葵区で、子ども家具メーカー「えて」を経営する安池中也さん(52)。30歳の時、「子どもたちの笑顔をつくろう」と起業した。3年前、新たに始めたことがある。生まれた時の性別と自認する性が異なる「性同一性障害」であると公表し、静岡県内外の学校などで講演するようになった。「笑顔の少ない子ども時代を送った自分だからこそ、きっと伝えられることがある」。今、安池さんが届けたい思いとは。 ■小さな行動、その先に変化 ロボット型の収納家具や大きな古時計。まるで絵本から飛び出したような家具が「えて静岡基地」に並ぶ。地元の木工職人の技術を生かした家具は、全国にファンがいる。
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静岡人インタビュー「この人」 アマモ場の保全に取り組む 杉山善一さん(沼津市)
沼津市西浦地区で水生生物のすみかや産卵場所になり、「海のゆりかご」と呼ばれる海草アマモの保全活動を行うNPO法人「海プラスSOU」の理事長。同市の大瀬崎でダイビングショップを経営する。52歳。 -どのような取り組みか。 「平沢港沖など比較的規模の大きなアマモ場で種子を採取し、磯焼けや海水浴場としての整備の影響でアマモが少なくなってしまった海域に植える。2015年に地元のダイバーや漁業関係者で活動をはじめ、場所を変えながら生育に適した環境条件を模索している」 -きっかけは。 「20代の頃から15年ほど東京で働き、8年前に地元の同市西浦江梨に帰った。漁師の手伝いで作業潜水をしたり漁業者の
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静岡人インタビュー「この人」 放置竹林を使った竹灯籠を制作する 大村大輔さん(静岡市葵区)
静岡市葵区の麻機地区を拠点に活動する自然環境保全団体「アカリノワ」の代表として、放置竹林問題の解決に取り組む。竹林から切り出した竹で制作した竹灯籠の展示イベントを開いたり、使用済みの竹灯籠を竹炭など土壌改良材に活用したりしていて、2020年に国土交通省の「地域づくり表彰」で、全国地域づくり推進協議会会長賞を受賞した。46歳。 -活動のきっかけは。 「09年ごろに、地元の子ども向けに実施する自然体験教室で竹灯籠を作り始めた。当初は町内の小規模な祭りで展示していたが、評判が口コミで広がり、活動範囲が拡大した。現在は久能山東照宮(同市駿河区)や都内のホテルなど県内外で実施している」 -制作時
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静岡人インタビュー「この人」 ジュビロ磐田と連携した事業で地域活性化を目指す 清水聖也さん
サッカーJリーグ1部(J1)ジュビロ磐田とコラボしたレンタカー事業や地元農産物・飲食物を販売するマルシェ、カフェ、コインランドリーの複合店舗を開き、地域の活性化に取り組む。ガス・石油販売の第一商事社長。磐田市出身。49歳。 -各事業の狙いは。 「レンタカーは、売上金の一部をチームの強化支援に充てる仕組み。ジュビロを応援しつつ、試合日に車でスタジアムを訪れてもらい、市内の観光にもつなげる狙いで始めた。複合店舗はもともと取り組んでいるコインランドリー事業の集客のため、洗濯の待ち時間にマルシェやカフェに寄ってもらうことを想定した。コロナ禍で苦しむ地元の農家や飲食店に新たな販路を提供したい」
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中部横断道開通1年 玉置実・静岡経済研究所主席研究員に聞く【清水港はいま④完】
中部横断自動車道の静岡-山梨間は29日、全線開通から丸1年を迎えた。ただ、県内唯一の国際拠点港湾である清水港ではこの1年間、海上コンテナ取扱数量は前年同期比横ばいでシナジー(相乗効果)は出ていない。かつて駿河と甲州を結び、清水港の発展を支えた富士川舟運の“復活”のためにはどうしたらよいのか。静岡経済研究所の玉置実主席研究員に聞いた。 -清水と甲信地方の歴史的つながりをどうみていますか。 「地理的にも近く、つながりは深かった。その象徴が清水の巴川沿いに今でも残る『甲州廻米置場』だ。清水は、甲信地方の流通拠点として機能してきた。山梨県のすし店数は、人口1千人当たり0・
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顔見える6次産業推進 三和畜産(浜松市北区) 鈴木芳雄社長【キーパーソン】
ブランド豚「浜名湖そだち」などを飼育し、直売所や肉料理のレストランも経営する“6次産業”に取り組む。穀物相場の上昇による養豚業への影響や、長く続けていく上で重要なポイントを聞いた。 -飼料高騰の影響と対策は。 「1キロ約38円だったトウモロコシの価格が約60円まで上がり、終わりが見えない。養豚を始めて約50年間で最悪の状況。畜産業の今後について考える上で、世界の穀物が安定供給されるかが心配の種になった。トウモロコシと低コストの飼料米、大豆かすの配合飼料を豚に与えていて、米の配合比率を増やすことでえさ代の上げ幅を抑えている」 -持続可能な畜産業の実現に必要なことは
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静岡人インタビュー「この人」 伊豆市CIO補佐官に就任 中村祥子さん
伊豆市のCIO(最高情報責任者)を務める副市長をサポートし、市役所のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する。就任は7月21日付。日本マイクロソフトで業務システムの導入コンサルタントなどに従事するカスタマーサクセスマネジャーで、非常勤特別職として兼務する。同市の賃貸住宅とオフィスが一体になった街区「ドットツリー修善寺」と都内で2拠点生活中。山口県出身。 -就任の抱負を。 「一般企業のDXには関わってきたが、自治体は初めて。まずはDXとは何かを理解してもらい、成功事例をつくりたい。事例ができると他の業務にも広めやすくなる。市役所は数年で職員が異動するので、変化に対応する素養はある
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障害者避難の安全性確保へ 防災用QRコード普及に尽力 浅羽喜久子氏【本音インタビュー】
大規模地震など災害発生時に、障害者や寝たきりの高齢者が円滑に避難するにはどうしたらいいのか。適切な支援に必要な情報をあらかじめ記録して携帯する「防災用QRコード」を発案し、普及に向けた活動を始めた。 -なぜ、防災にQRコードを活用しようと。 「4年前、長女(30)の足が急に動かなくなり、ベッドの上で生活するようになった。難病で検査をしても原因が分からず、まひは上半身に進行した。昨年8月には10分以上心肺が停止し、脳にもまひが残った。現在は寝たきりの状態になっている。そんな長女を見ているうちに、災害時にどうやって避難するのか不安が募った。介助が必要な寝たきりの障害者や高齢者が、頼れる家族が
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静岡人インタビュー「この人」 「レバンテフジ静岡」を支える元実業団選手 夜野正紀さん(静岡市葵区)
富士市拠点のプロサイクリングチーム「レバンテフジ静岡」の裏方として、昨年2月から選手を支える。静岡市に生活拠点を置きながら、長年、長野県内の実業団チームに所属し、2010年まで国内最高峰のロードレース「Jプロツアー」で活躍した。全日本選手権4回出場。京都府出身。52歳。 -自転車との出合いは。 「中学のころ、米国人として初めてツール・ド・フランスを制したグレッグ・レモンのレースをテレビで見てあこがれた。社会人になり、仕事で知り合ったトライアスロンの選手に誘われて本格的に練習を始めた」 ―そこからプロに。 「人より速く走る楽しさに目覚めてロードレースに出るようになり、強い選手の刺激を受
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静岡人インタビュー「この人」 天竜材水平連携協議会会長として地域製材のネットワーク化に尽力する 石野秀一さん(浜松市浜北区)
協議会は天竜材の安定供給のための事業連携を目的に、浜松市内の製材所を中心に設立された。大、中規模の木造建築に対応可能な体制づくりを進めている。59歳。 -立ち上げの経緯は。 「2015年に完成した草薙このはなアリーナの建材として、天竜材を納材する話が持ち上がった。ただ、個々の製材所で対応できる規模ではない。そこで地域の同業者のネットワークを作り、総力を挙げて納材する方法を考えた。集まった20社中16社が製材工場。県内初の試みだったが、短い納期で厳しい規格と品質基準をクリアすることができた」 -設立の効果は。 「これまでライバルだった業者同士で一つの事業を行うには、まず信頼関係を作るこ
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静岡人インタビュー「この人」 西伊豆町地域協力隊として介護予防の体操普及に取り組む 国島学さん(西伊豆町)
4月に西伊豆町地域おこし協力隊に就任した。理学療法士の資格を生かし、健康事業を担当する。町が推進する介護予防を目的とした「シルバーリハビリ体操」の普及や住民指導士の育成に尽力する。東京都出身。これまで都内で訪問リハビリなどに従事した。31歳。 -指導士が高齢者に体操を教え、自立を支援する実証実験が町で始まる。指導士に伝えたいことは。 「高齢者が想定外の動きをした際の対応など、実際に指導する中で学ぶことが多い。初対面で相手の身体状況が分からない不安もあると思うが、自信を持って指導し、動作の改善や回復が見られた際の喜びを味わってもらいたい」 -町の介護や生活実態をどう見るか。 「専門職が
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静岡人インタビュー「この人」 梅干し作りを通じ「伊太の梅」のPRに取り組む 大石富佐子さん(島田市)
梅の産地として知られる島田市伊太地区で、夫の昭さんと「島田八房」を中心とした梅の栽培、加工品製造を行う。2017年に「梅工房おおいし」を立ち上げ、梅干しに加えてジャム、シロップなど加工品の種類を増やしながら「伊太の梅」のPRに力を入れる。岐阜県出身。71歳。 -梅を栽培するきっかけは。 「もともと梅干しが大好きで、結婚を機に移り住んだ島田でも買い求めた梅を自宅で漬けたり、和歌山県の農家に出向いて漬け方を学んだりしていた。知人にいただいた島田八房のおいしさに驚き、伝統的な品種であることを知った。夫の定年退職に合わせ、約10年前から本格的に栽培を開始した」 -島田八房の特徴は。 「柔らか
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新たな観光資源探る 下田市観光協会 沢地大吉会長【キーパーソン】
観光業が基幹産業の下田市。伊豆半島の周辺市町と同様、新型コロナウイルス禍のあおりを受ける中、現状の分析と今後の展望を聞いた。 -コロナ禍以後を振り返って。 「もろ手を挙げて『下田に来てください』と言えず、心苦しい限りだ。行政の支援で何とか踏みとどまっているというのが現状。ただ今夏について言えば、宿泊施設に関してはキャンセルはあるものの、その分も埋まったとのことだ。観光ムードの回復の兆しだと好意的に受け止めたい。県外来訪者からも、観光を心待ちにしていたという声を多く聞く」 -下田の観光の魅力とは。 「海の美しさが国内トップクラスであることは間違いない。海辺を含め、自然の美しさをいま一度
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静岡人インタビュー「この人」 ロボットプログラミング技術を競う全国大会の実行委員会会長 塩見彰睦さん(浜松市東区)
28日に浜松アリーナ(浜松市東区)で開かれる「WRO(ワールド・ロボット・オリンピアード)ジャパン決勝大会in浜松」の実行委会長を務める。大会は地区予選を勝ち抜いた小中高生がロボットプログラミング技術などを競う。静岡大情報学部教授。57歳。山口県出身。 ―大会の見どころは。 「大会では2競技を行う。競技場で行う『ロボミッション』は、各チームが自律型ロボットでブロックを指定した場所に運び、正確性を競う。ロボットは参加者がプログラムを組んで制御する。当日に発表される課題もあり創意工夫が欠かせない。また、ロボットの企画や開発をプレゼンする部門もある。各チームの熱い戦いを見てほしい」 ―浜松が
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川根茶やゆず「メタバース」出店 購入者との交流増に期待 合同会社「結」社長/高梨太氏【本音インタビュー】
今春、川根本町に合同会社「結」を設立。インターネット上の仮想空間「メタバース」事業を手がけ、空間を活用した町専用の販売所「田舎の直送便」を開設した。事業の狙いやメタバースの可能性などを聞いた。 ―田舎の直送便とは。 「通話と翻訳機能が備わった仮想空間で町内の事業者と来場者を結ぶ販売所。CGで作ったアバターと呼ばれるキャラクターで空間内を移動する。事業者はブースを構え、来場者は出店ブースを行き来し、アバターでやりとりしながら、買い物が楽しめる。日本語と英語の翻訳機能も備わっている。現在は川根茶やゆずなどの特産品や、キャンプ用品などを販売中。ブースは事業者ごとではなく、『川根茶』や『ゆず』の
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静岡人インタビュー「この人」 「あいぞめ珈琲店」の店長を務める 中野裕基さん(熱海市)
大規模土石流に見舞われた熱海市伊豆山の住民をはじめ、伊豆山を思う人々をつなげようと、4月に開店した「あいぞめ珈琲店」を切り盛りする。店を運営するボランティア団体「テンカラセン」の副代表も務める。大阪府守口市出身。33歳。 -熱海市とのつながりは。 「もともとは何のゆかりもなかった。2年前に旅行で訪れた際に、熱海のまちづくり会社『マチモリ』がスタッフを募集していることを知ったのがきっかけ。地域に貢献できる仕事に興味があったので、すぐに移住して働こうと思い立った」 -土石流発生後、どんな活動を続けてきたか。 「当初は伊豆山の土地勘や人脈が全くなかったが、ひたすら高齢者宅などを回って、食料
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静岡人インタビュー「この人」 県内が舞台の怪談作品集を著した作家 神薫さん(焼津市)
静岡県中部を中心にした29の怪談を収録した「静岡怪談」(竹書房)を出版した。2011年に怪談作品を初執筆し、13年には単著で初の作品集を出版している。今回の作品は単著で5冊目になる。眼科医師の傍らで、怪談ネタの収集にいそしむ。藤枝市出身。50歳。 ―怪談に興味を持ったきっかけは。 「1999年に眼科で働いている頃に手に取った怪談本を読んで面白いと感じ、本を書いている平山夢明氏のファンになった。関連本を買い集めて夢中で読んだ。10年後、平山氏にイベントで出会い『怪談を書いてみないか』と誘われて、平山氏編の怪談作品集に参加した」 ―怪談の取材はどのようにしているのか。 「コロナ禍で今はや
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静岡空襲題材の創作オペラ「ある水筒の物語」広める声楽家 田川理穂さん【とうきょうウオッチ/インタビュー】
静岡市で行われた2019年の初演と昨年の再演に日本兵役で出演。7月には都内で作品を紹介するコンサートを自ら開いた。物語を幅広い世代に知ってもらい、平和への祈りを国内外に伝えたいと願う。東京都町田市在住。45歳。 ―「ある水筒の物語」に関わるようになった経緯は。 「企画した『うきうきプロジェクト』の仲戸川知恵子代表に声を掛けてもらったのがきっかけ。静岡県とはそれまでも静岡市、三島市、伊東市の合唱団を指導した縁があった。最初に台本を読んだ時、『二度とこのようなことが起きないために、どうするべきか』という気持ちを抱いた」 ―物語は、空襲の犠牲者と墜落した米軍機搭乗員の合同慰霊祭を続ける医師、
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行政と市民のつなぎ役担う 民間の視点でDX助言 藤枝市デジタル統括監/山田義則氏【本音インタビュー】
ソフトバンクの社員として藤枝市役所に常駐で勤務し、市のデジタル事業の総合的な指南や職員に助言する役割を担う。着任から約1年半の勤務で感じた手応えや課題、今後の方向性を聞いた。 -これまでの取り組み内容は。 「藤枝市の方針を明確にする『市DX(デジタルトランスフォーメーション)推進ビジョン』の策定に関わった。市民サービス向上、まちづくりへの活用、市役所システム構築の3領域で進める。全ての領域で共通するデジタルディバイド(情報格差)解消やセキュリティー対策、人材育成にも力を入れていく。デジタル技術は日進月歩なので、具体的な方向性について都度検討していく必要がある」 -意識していることは。
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戦争のこと、どう伝えていますか③ 関係者インタビュー【賛否万論】
15日の「終戦の日」に合わせ、平和教育のあり方について考えています。戦争体験者の高齢化が進む中、貴重な記憶を子どもたちにどう語り継いでいけばいいでしょうか。絵本「せんそうしない」(講談社)の作画を担当した三島市在住のえがしらみちこさんと、戦争をテーマにした取材を続けるSBSアナウンサー牧野克彦さんに話を聞きました。 絵を見ること 平和考える導入に 絵本作家・えがしらみちこさん 作画を担当し、2015年に発刊した絵本「せんそうしない」が再び注目されています。 これまでも夏になると「学校の読み聞かせで使いたい」という連絡がありましたが、最近は個人的に読んでいる人も増えたように思いま
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静岡人インタビュー「この人」 一般社団法人「ボウサイ・エデュラボ」の代表理事に就任する 上田啓瑚さん(静岡市駿河区)
防災教育や災害ボランティアに積極的に取り組み、大学在学中は防災サークル「静岡大学学生防災ネットワーク」を仲間と創設。県内の高校生などを対象にした地域防災の担い手「防災ユースアンバサダー」プログラムにも力を入れる。現在は慶応大の大学院に通い、県内や首都圏で地域防災や学校防災の研究をする。三重県出身。23歳。 ―防災に興味を持ったきっかけは。 「防災活動に熱心な祖父母の影響。小学校の頃に地域の集いの場へ参加を勧められ、地域のつながりの大切さも学んだ」 ―防災で課題だと思う点は。 「地域の防災訓練などで同じ人しか参加していない現状と、防災教育の地域格差。日本に住む人は災害といつも隣り合わせ
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静岡人インタビュー「この人」 伊丹弥生さん 行政相談委員の活動で内閣総理大臣感謝状を受賞
住民の行政などへの意見や相談を聞き取ったり、市町に届けたりして解決促進を図る行政相談員。清水町の相談員として長年活動を続け、内閣総理大臣感謝状を受けた。1997年に委嘱され、2021年3月まで24年間務めた。83歳。 -受賞の感想を。 「思いがけなかった。人に頼られることは幸せ。活動は生活の一部になっていて、好きなことをしていたら賞をもらえた。人生の集大成の賞のように感じている」 -活動を始めるきっかけは。 「平井弥一郎町長(当時)に声をかけられたこと。幼い頃からはきはきした性格で、新しいことに挑むのが好きだった。当時は女性の相談員はおらず、どんな相談があるか分からず不安だったが、挑
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食の質保ち再訪客確保 沼津観光協会(沼津市)望月善人会長【キーパーソン】
新型コロナウイルスの影響が読み切れない中、沼津港やアニメ「ラブライブ!サンシャイン‼」ゆかりの地を中心に沼津市内の観光地は客足が戻りつつある。来年は同港で市制100周年を記念した「Sea(シー)級グルメ全国大会」も開かれる。現状や今後の展望を聞いた。 ―新型コロナの影響は。 「行動制限がなくなった今年の大型連休前後から、問い合わせが増えている。旅行を控えていた高齢層や団体客の姿も見かけるようになった。沼津港では、コロナ禍前の売り上げを超える店も少なくない。再び感染者が増加しているが、一層感染対策を徹底して観光客を受け入れたい」 ―「ラブライブ―」の“聖地巡り”は
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静岡人インタビュー「この人」 柳野和也さん 中日本高速道路から出向、国土交通省静岡国道事務所長に就任
中日本高速道路では東名、新東名高速道の保全や次世代技術を活用した高速道路のマネジメント事業などに携わった。6月から現職。裾野市出身。46歳。 -これまでの経歴は。 「2012年に開通した新東名の整備効果の検証や20年12月に完了した御殿場―浜松いなさ間の6車線化を担当した。スマートインターチェンジ(SIC)事業にも多く携わり、東名の日本平久能山SIC建設に向けた地区協議会の立ち上げに関わった」 -管内の道路の課題は。 「東名、新東名、国道1号、国道1号バイパスの4本があり東西の道路が発達しているが、渋滞のボトルネックはある。地域の経済、観光促進のために改善が必要。南北のネットワークも
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静岡市葵区に新拠点を開設 アニメ新旧技術を融合 制作会社「シャフト」社長/久保田光俊氏【本音インタビュー】
「魔法少女まどか☆マギカ」「3月のライオン」など多くの人気アニメーション作品を手掛ける制作会社シャフト(東京)が、静岡市葵区に「静岡スタジオAOI」を設立した。地方都市に設けた新拠点の狙いを聞いた。 -スタジオ開設のいきさつは。 「アニメ制作のデジタル化や技術の進歩、通信環境の向上で、オンラインのやりとりに不自由がなくなった。さらに、新型コロナウイルス禍を受けて約2年間、テレワークを進めた結果、東京の本社から離れた場所でも十分に仕事ができるという手応えを得た。静岡は都内から近く、住みやすく、働きやすい。本社から『隣のスタジオに行ってくれ』というぐらいの感覚で行き来できる」 -新拠点の
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静岡人インタビュー「この人」 花井和徳さん 浜松市文化振興財団の代表理事に就任
浜松市役所に1979年に入り、市立双葉小校長や学校教育部長などを歴任した。2016年に県内で初めて行政職から市教育長となり、21年に退任。長年教育に携わった立場から、文化振興活動に取り組む。6月27日から現職。67歳。 -就任から1カ月余りが経過した。今の感想は。 「就任のあいさつでは、人に感動を与えるためには自分も感動できなければいけないと職員に話した。文化芸術は人が人らしく生きるために必要だ。10の施設を所管し、職員がとても熱心。新型コロナの感染対策もあって、イベント運営が大変な中よくやっている。特に若手の可能性に期待したい」 -浜松の文化的な魅力や課題をどう考えるか。 「市内三
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戦争のこと、どう伝えていますか② 関係者インタビュー【賛否万論】
77回目の「原爆の日」と「終戦の日」を前に、戦争の記憶を未来にどう語り継いでいくか考えています。ロシアによるウクライナ侵攻は子どもたちと一緒に戦争について考える機会となっていますが、ショッキングな映像は子どもに悪影響を与えるとの指摘があります。平和教育の現場でも試行錯誤が続く中、「静岡平和資料館をつくる会」の田中明充さんと、県公認心理師協会災害領域支援委員長の中垣真通さんに話を聞きました。 体験者の現実 どこまで開示 静岡平和資料館をつくる会団体見学部長 田中明充さん 田中明充さん 1944年6月生まれ。78歳。1歳になる1週間前に静岡空襲を経験した。2015年7月に
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静岡人インタビュー「この人」 山口智史さん 下田ライフセービングクラブ理事長
日本ライフセービング協会の認定海水浴場に下田市の6カ所が認定された。牧之原市の2カ所と合わせ本県は全国最多の8カ所。自身も認定に尽力し、海の安全や環境保全にも引き続き励んでいる。元東京消防庁の消防士で、現在は下田市の地域おこし協力隊員としても活動。東京都世田谷区出身。39歳。 -認定の受け止めを。 「日本国内の認定基準は国際規格よりも厳しく、市も協力してくれたが、まさか6カ所も認定されるとは思わなかった。今までのさまざまな機関の活動が第三者から評価され、ビーチの付加価値が大きく高まった」 -下田の海の魅力とは。 「首都圏からこれだけ近く、水質が良いところは少ない。また、海水浴シーズン
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静岡人インタビュー「この人」 菅谷昌司さん 外来種問題に関する絵本を出版した
昆虫研究家。県ホタル連絡協議会長として、ホタルが生息できる環境づくりに奔走する。文芸社から出版した2冊の絵本では、外来種のアカミミガメを主人公に、生物の存在意義を提起した。69歳。 ―本に込めた思いは。 「外来種が悪者扱いされていることに違和感を抱いていた。生態系に問題があることは十分に承知しているが、もともとは人の手によって持ち込まれた生き物。外来種を排斥して人の行為を正当化しようとする風潮に一石を投じたかった」 ―反響はあったか。 「読み聞かせグループや環境保全活動に熱心な企業から問い合わせがあった。メッセージ性の強さが響いたようだ。出版をきっかけに、化学薬品メーカーとの協業が実
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静岡人インタビュー「この人」 高橋康晴さん 10年間、桐陽高生と被災地との交流支える
沼津市の桐陽高副教頭。2011年の東日本大震災の翌年から被災地支援を始め、震災や福島第1原発事故で被災した福島県広野町と同校生徒との交流活動に取り組んできた。保健体育教諭。高校時代に全国高校ラグビー大会で準優勝した経験を持つ。東京都出身。58歳。 -被災地支援を始めたきっかけは。 「在校生の祖母が宮城県女川町で被災し、生徒会やラグビー部の有志が被災地でボランティア活動に参加したことがきっかけ。14年からは普通コースの1年生が毎年被災地を訪れ活動に取り組むようになった」 -広野町とのつながりは。 「当時ボランティア先として訪問していたいわき市の仮設住宅に暮らす人が広野町の住民だった。住民
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女性の視点で問題共有 静岡県商工会議所女性会連合会 遠藤悦子会長【キーパーソン】
静岡県内10カ所にある単会が連携する県商工会議所女性会連合会の会長に就任した。各地の取り組みや情報を共有し、新型コロナウイルスの感染拡大で苦境が続く商工業界に女性の視点で貢献する。 ―女性会の役割は。 「女性の資質向上と商工業の振興で地域の発展に寄与することが目的だが、自分たちで景気を良くするとか変革するとかではなく、まずは女性の中で社会の貧困やジェンダーなどさまざまな問題を理解することから始めたい。特に女性は年上だから遠慮するというのが少なく、肩書や年齢にとらわれず対等に話し合いやすい。さまざまな考えがあるからこそ、社会は良い方向に向かうと思う」 ―何に取り組むか。 「10月には3
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静岡人インタビュー「この人」 望月哲也さん 静岡県内初の東京五輪・パラ「ホストタウンリーダー」としてレガシー継承に尽力
2020年に政府から東京五輪・パラリンピックのホストタウンリーダーに選ばれ、オリパラ閉幕後も静岡市内の小中学校で多文化共生をテーマに出前授業に取り組む。市観光交流文化局長。同市清水区出身。58歳。 ―活動の内容や目的は。 「これまで『五輪は見るもの』という印象があったと思う。実際は選手が市内で合宿するなど、市民とつながりがある。身近なものと捉えてほしい。市は台湾、モーリシャス、フランス、スペインのホストタウン。コロナ禍で直接の交流はできなかったが、オンライン交流や相手国の魅力を学ぶ機会を設けてきた」 ―他のホストタウンリーダーにない強みは。 「幼少期からサッカーを続けていて、清水東高
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洋服に価値を加える「アップサイクル」に取り組む 立山都さん(静岡市葵区)【NEXT特捜隊 あの人に聞きたい】
洋服を捨てるのでなく、本来の良さを生かして新たな価値を加える「アップサイクル」に取り組む立山都さん(43)。「彼女の活動の原動力が知りたい」と、静岡市葵区の女性から投稿が寄せられた。静岡鉄道古庄駅の北西約100メートル。幼稚園舎を再利用した建物の一角にある、立山さんの営む古着店「ものがたりを『着る』お店 choosy(チュージー)」を訪ねた。レトロ雑貨、ドライフラワーの甘い香り、色とりどりの古着。おとぎ話のような雰囲気の店内で、話を聞かせてもらった。 服で新たな人生の物語 友達とデザインがかぶらず、値段も手頃な古着がずっと好きでした。同時に、数十年たっても着られるほどきれい
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静岡人インタビュー「この人」 三上英さん 浜名高「大同窓会」で実行委員長を務める
静岡県内外にいる浜名高(浜松市浜北区)の卒業生が3年に1度、集まって旧交を温める催しの責任者。本来は昨年に開く予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期した。現在は県内の特別支援学校に勤務する傍ら、卒業生約30人でつくる実行委員会で定期的に話し合い、9月25日の開催に向けた準備を進める。1983年度卒の57歳。 ―実行委員長を務めるようになった経緯は。 「前回の実行委員長が、野球部の先輩ということで任された。コロナ禍で思うように準備が進まない中でも、2021年春からは実行委のメンバーで集まれるようになってきた。今回は出席者同士の間隔、食事の方法など新型コロナウイルスの感染防止策を十分に
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静岡人インタビュー「この人」 芹沢創さん 東京バレエ団アーティスト
3歳の時、姉の影響から沼津市の江川バレエアートスタジオでバレエを始める。15歳で東京バレエ学校に入学し、毎週日曜は同市から東京に通い、練習に励んだ。大学在学中の2018年4月に東京バレエ団に研究生として入団。その後正団員となり、階級「アーティスト」として活躍中。21年2月より同学校の「大人クラス」の指導も行う。同市出身。24歳。 ―バレエの楽しさは。 「舞台から客席を見る瞬間が何物にも代え難い。多くの会場は5階席まであり、公演が終わって会場を見回した時に、『バレエをやってきて良かった』と何度も思う。公演のために努力をしてきたのが報われた瞬間だと感じる」 ―普段の練習で意識する点は。
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静岡人インタビュー「この人」 竹内哲雄さん 県中体連理事長に就任した
清水四中や静岡服織中でバスケットボール、軟式野球を指導した。県中体連では事務局長を経て4月から現職。休日の部活動指導を地域や民間団体に委ねる「地域移行」への過渡期にあって、実務役として本県の実情に合わせた中学スポーツの環境構築に注力する。静岡市清水区出身。45歳。 -就任の所信を。 「部活に育てられたという思いが強く、事務方として恩返ししたい。部活を通じて生徒の成長する姿を見るのが教員の喜びで、学校指導にも生きる。地域移行は働き方改革の側面があるが、教員側がやりがいを保てるようにもしていきたい」 -県内部活動の現状は。 「少子化により各競技で部員は減少している。特に野球、サッカーは著
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経営安定化へ販路拡大 すこやか(湖西市)鈴木健吾社長【キーパーソン】
就労継続支援A型事業所「すこやかファーム湖西」を運営し、野菜などの栽培、収穫、梱包(こんぽう)を行う。従業員約50人のうち障害がある人は約30人。販売先は全国のスーパーなど約500店舗に上る。事業拡大の経緯や今後の展望を聞いた。 -創業から10年目を迎えた現状は。 「現在栽培している作物はタマネギやサツマイモ、トマト、キクラゲなど8品目。初めは農業や福祉の知識が全くなかった。当初の畑は約1200平方メートルのみだったが、今は湖西市内の7万平方メートルにまで広がった。タマネギの値段高騰などもあり、5月の売り上げは過去最大の610万円だった」 -どのような販売戦略を持っているか。 「単価
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静岡人インタビュー「この人」 山下孝道さん 浜松市動物園で昆虫館管理者を長年務める
浜松市役所を定年退職した15年前から、市動物園の昆虫館の管理者(館長)を務める。少年時代から独学で積み重ねてきた昆虫知識を生かし、昆虫学習会を開催し、子どもたちに自然と触れ合う喜びや正しい知識を伝えている。昆虫以外にも、野鳥や哺乳類の生態に関心を深め、遠州地方を中心に全国各地を飛び回る。4月には同園に飛来したコウノトリの撮影にも成功した。浜松市中区出身。75歳。 -昆虫の魅力は。 「底知れない奥深さがあり、フィールドに行くたびに新しい生命との出合いがある。身近な昆虫でも解明されていないことが多く、一生勉強しても追いつかないと感じることが一番の魅力」 -中でもチョウへの興味が強い理由は。
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世界品評会で「トロフィー」 日本酒、海外市場開拓へ 磯自慢酒造社長/寺岡洋司氏【本音インタビュー】
ロンドンで開かれた世界最大級のワイン品評会「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」の日本酒部門(純米吟醸酒)で、最優秀の「トロフィー」に輝いた焼津市の磯自慢酒造。国内に限らずアメリカやアジアでも愛される日本酒の魅力について社長に聞いた。 ―8年ぶりのトロフィー受賞の感想は。 「1等賞が取れたことは率直にうれしい。多くのお客さまにご愛飲していただいたおかげと大変感謝している。何よりも河村伝兵衛さんを中心に開発された『静岡酵母』を使った酒が評価されたことがうれしい。静岡酵母によって味わいの良い酒が実現できた。特に香りが自然でさっぱりしていると好評を得た」 ―日本酒の海外での評価は。 「
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静岡人インタビュー「この人」 栗原薫さん 静岡県交通指導員会連合会の会長に就任
三島市交通指導員会に1975年に入り、登下校時の交通安全活動や啓発イベントに参加してきた。連合会は県内33市町の交通指導員会で構成し、会長の任期は2年間。73歳。 ―県内の交通事故の状況をどう思うか。 「自転車事故が多発している。特に電動自転車は扱いを間違えると事故になる危険が高まる。実は、自転車のルールは難しい。降りれば歩行者になることも周知し、安全運転を徹底したい。高齢者関連事故も多い。お年寄りが横断歩道を渡らずに近道をするのが危険だ。自分の身を守ることを第一に考えてもらいたい」 ―県の連合会はどのような状況か。 「自分が入会したころは2千人の指導員がいたが、現在は1400人。年
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静岡人インタビュー「この人」 塩沢諭さん 音楽文化向上に尽力
本年度の県文化奨励賞を受けた県演奏家協会の会長。プロのクラリネット奏者として長年活躍するとともに、中学校などの吹奏楽部や市民吹奏楽団の指導者としても尽力し、多くの後進を育成している。72歳。 -県内のさまざまなジャンルの演奏家約150人が所属する大所帯。受賞の感想は。 「励みになる。協会を育ててくれた先輩、そして現在関わってくださっている全ての方々による受賞だ。私は代表して賞状を受け取ったにすぎない」 -自身にとって協会はどんな存在か。 「1966年に発足した時、私は高校2年だった。設立に向けて中心になって動いたのが、母校の高校で音楽を教えていた高橋松寿郎先生だった。招待券をいただき
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静岡人インタビュー「この人」 金田鈴音さん 浜松山里いきいき応援隊に就任
6月に浜松市中区から地元である天竜区佐久間町に“Uターン”した。既に活動している2人の先輩隊員とともに、地域の応援、発展のため動きだした。静岡文化芸術大文化政策学科4年。21歳。 -応募のきっかけは。 「高校卒業後、進学のため一度地元を離れたが、大学でも佐久間を含む中山間地域の維持や存続の在り方などについて学んでいた。研究を通じて改めて地域の魅力に気付き、就職活動を機に佐久間に戻って学びを生かした仕事をしたいと思うようになった」 -地域ならではの魅力とは。 「自然と文化の融合に価値があると感じている。周囲を山に囲まれた環境で、脈々と受け継がれてきた独特の文化や
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静岡県副知事に就任した 森貴志(もりたかし)さん【時の人】
静岡県政史上最長の8年在任した難波喬司氏が退任後、1人体制になった副知事に7月2日付で就任した。県の施策の土台となる新しい総合計画が2021年度から始まったとし、「東京一極集中から地方への流れの中、県が先進になっていくための総合計画を着実に進めたい」と意気込む。 1983年県庁入庁。知事公室長、政策企画部長などを歴任し、2017年3月に定年退職後は県医師会事務局長を今年3月まで務めた。県では国際関係の部署が長く、国際室長時代に浜松市のブラジル総領事館誘致に尽力した。 医務課長時代、伊豆地域の病院破綻を担当し、行き場のない入院患者の受け入れ先探しに奔走した。その時見たのは患者のために無償で
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静岡人インタビュー「この人」 杉浦学さん 伊東市の地域おこし協力隊員
6月から協力隊員として、伊東市が力を入れ始めた移住定住の促進業務に関わる。元職は税関職員で、名古屋税関清水税関支署の静岡空港出張所で統括監視官などを務めた。サーフィンを愛好するほか、海岸に打ち上がるシーグラス(ビーチグラス)を使った作品を手掛ける作家としても活動している。愛知県豊田市出身。58歳。 ―経歴は。 「静岡空港に転勤となり、牧之原市に住んでいた。税関では薬物や金塊などの密輸取り締まりに従事した。2020年夏に早期退職した後、同市の海沿いにあるカフェでオーナーから経営を引き継いだが、人繰りの都合で1度店を閉めた。海の近くに住みながら社会貢献の仕事ができればと思い、伊東市の隊員に応
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生活困窮者の声と向き合う 社会的排除、分断なくす 静岡大教授/笹沼弘志氏【本音インタビュー】
JR静岡駅周辺で路上生活者(ホームレス)を見回る支援活動を続ける。生活保護費の基準額を引き下げた国の処分取り消しを求める集団訴訟の証人尋問で、引き下げで生じる問題点を訴えた。生活困窮の現場と向き合う思いを聞いた。 -生活保護制度の現状は。 「生活保護を受給せず、生活保護の基準額以下の収入で暮らしている人は多くいる。生活保護受給者は約200万人いるが、基準以下の収入で暮らす人は受給者よりはるかに多い。仕事している人は『受給者が優遇されている』と考える。このような認識が広がれば、基準額は無限に引き下げられ、生活保護が廃止されてしまう。憲法25条は全ての国民に『健康で文化的な最低限度の生活を
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苦境の中小支援に全力 合併3年、さらに地域密着 田形和幸/しずおか焼津信金理事長【聞きたい】
旧しずおか、旧焼津両信用金庫が合併して16日で3年を迎え、本年度にスタートした中期経営計画で地域により密着した金融機関を目指す。原油・原材料価格の高騰や急激な円安などで足元の経済情勢が不透明感を増す中、中小企業支援に力を尽くす。 ―合併から3年間の成果と課題は。 「人事制度や給与体系を刷新し、企業風土の異なる両信金の職員の融和に心を砕いた。静岡、焼津、藤枝の3拠点に相談プラザを設置したほか、中部横断自動車道が静岡と山梨間で全線開通したのを機に山梨、長野両県の3信金と連携協定を結び、取引先の経営改善や販路拡大の支援も強化した。ただ新型コロナウイルス感染拡大など想定外の事態が相次いだ。もっと
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静岡人インタビュー「この人」 風間昌美さん 骨髄ドナー登録の普及に尽力
2018年から静岡骨髄バンクを推進する会の会長を務める。骨髄バンク事業の普及、啓発活動を20年以上続けている。71歳。 -活動を始めたきっかけは。 「40年以上前においが血液の病気になり、骨髄移植に関心を持った。ドナー登録をして10年目に依頼があり提供したが、当時は周囲から『なぜそんな怖いことをしたのか』と言われた。ドナー登録や提供が普通のことにならなければいけないと、周知する必要性を感じた」 -県内のドナー登録状況は。 「5月末現在の登録者数は9176人。競泳の池江璃花子選手が白血病を公表した後は全国的に登録者数が増え、本県も9300人以上になったが、その後は再び減少した。人口千人
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静岡人インタビュー「この人」 石川大輔さん 浜松産グレープフルーツのジュースを開発した団体の代表
浜松市の会社員ら有志でつくる団体「どいーにはままつ」を立ち上げ、同市北区にある障害者就労施設「KuRuMiX(クルミックス)」などと連携して希少な同市産グレープフルーツを使ったジュースの販売をスタートした。静岡市葵区出身。40歳。 ―ジュースを開発したきっかけは。 「プライベートで関係があった縁で、クルミックスが製造する果物ジュースの販売をボランティアで手伝っていた。利用者が働いている姿を見て少しでも工賃アップに貢献できればと思い、開発を思い立った。浜松はグレープフルーツ生産量が日本一。ミカンと収穫期がずれるため、活用できると直感した」 ―開発で苦労した点は。 「団体メンバーに商品開
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静岡人インタビュー「この人」 及川涼介さん 27歳で裾野市副市長に就任
東京大を卒業し、総務省に入省。マイナンバー制度に関する法令整備などを担当した。その後、自治体向けのクラウド型サービスを提供するベンチャー企業に転職。会社員生活を経て、今年4月1日に就任した。横浜市出身。 ―就任のいきさつは。 「勉強会などを通して知り合った村田悠市長から声を掛けていただき、市長の掲げる『市民は顧客』との姿勢に強く共感した。在籍企業で新しい分野の仕事に挑戦したいという気持ちもあったが、より良い課題解決のため、自治体の現場に飛び込もうと決意した」 ―就任前の裾野市の印象と、実際に生活してみた感想は。 「子供のころから静岡県東部や山梨県をたびたび訪れ、裾野市にも観光やレジャ
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総体は中学生の大会へ 河合祐一/静岡県中学校体育連盟会長【教育総論インタビュー】
国が学校部活動の地域移行を推進する中、県内の各市町でも新しい部活動の在り方が模索されている。地域移行によって部活はどう変わっていくのか。今後の課題などを県中学校体育連盟の河合祐一会長に話を聞いた。 ―地域移行による中学総体への影響は。 「『中学校の大会から中学生の大会に変えていこう』というのが現在の方針だ。静岡市のように複数校の生徒が集まるエリア制の部活動は当然参加を認める。既に日本中学校体育連盟から、原則各学校単位という参加条件を緩和し、2023年度にはクラブチームの参加も認めるよう要請が来ている。県内に存在するクラブの総数や県中学総体への参加希望の有無を調査している段階だ。一方、部活
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観光通じ東伊豆に寄与 ホテル銀水荘社長/加藤晃太氏【熱き地域人 サンフロント21懇話会】
-コロナ禍以降、観光業界は打撃を受けている。3年間をどう振り返るか。 「『これ以上下がることがあるのか』と思い続けた3年だ。大型旅館にとっては特にバスや団体客の来訪が激減し、大打撃だった。ただ、旅行ムードも回復傾向にある。今夏は近隣でも宿泊の予約状況が上向きで、コロナ禍以前の平時に近づくのではと期待している」 -観光業は町の基幹産業。コロナ禍後をどう見据えているか。 「夕食無しの素泊まりプランの推進を町内全体の活性化につなげたいと思っている。東伊豆では宿の夕食が好評だが、客層がコロナ禍以降若返り、『まちあるき』の需要が高まっている。今までは旅館が夕食時間帯に“囲って&rdq
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顧客目線でDXを推進、グループ結束変化に対応 丸山晃司/遠州鉄道社長【聞きたい】
遠州鉄道の社長に6月29日付で就任した。デジタル化や物価高など変化が激しい社会環境の中、電車やバス、百貨店、スーパー、観光開発、自動車販売などグループ14社をけん引。地域に必要とされる企業集団を目指す。 ―グループ運営の課題をどう考えるか。 「顧客目線に立ってデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める必要がある。社内的には定型業務の効率化やペーパーレス化を進めてきた。今後はEC(電子商取引)サイトの進化や、SNSを利用したマンション管理システム提案などの対応が欠かせない。新型コロナ禍では、社員の成長や勉強の機会をつくる人材交流に課題があった。グループ全員がオンラインなどで学べる機会
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静岡人インタビュー「この人」 久保田翠さん 静岡県文化奨励賞を受賞したアートプロデューサー
浜松市中心部で運営する福祉施設を拠点に2016年から、障害の有無にかかわらず自己表現を文化創造の軸とした「表現未満、」プロジェクトを推進する。17年度芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。認定NPO法人クリエイティブサポートレッツ理事長。静岡市出身。59歳。 ―受賞の感想は。 「福祉施設の受賞で、アートが介在する福祉の一つのモデルとして認められた。美術館や展示スペースの設置、芸術家支援だけがアートではない。福祉施設から、社会の規範を揺らし、新しい価値観を導き出す文化の力が波及していったらいい」 ―活動の原点は。 「重度知的障害のある長男を育てる中、どこにも預かってもらえない苦しみから『自
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地域一体で魅力発信へ 伊豆の国市観光協会 稲村浩宣会長【キーパーソン】
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受ける中、伊豆の国市ゆかりの北条義時が主人公の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の放映を、地元観光の再活性化に向けた「追い風」と捉える。全国的に注目が集まる好機をどう生かすか。協会の役割や戦略を聞いた。 -新型コロナの影響は。 「まだまだ厳しい状況が続いている。市内の観光の中心地である伊豆長岡温泉では、過去は団体客を多く受け入れていたが、現在は旅館がそれぞれの個性を磨き、多様な客のニーズに対応して受け入れている。協会としても魅力を発信して広く知ってもらうことが大切だ」 -地元ゆかりの大河ドラマの効果は。 「『伊豆の国市』の名前が全国に広まった。従来、北条家
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静岡人インタビュー「この人」 御園崇さん 県立三ケ日青年の家の所長として野外活動の指揮を執る
2010年にボート転覆事故が発生した県立三ケ日青年の家(浜松市北区)の所長に4月、就任した。県立森林公園森の家(同市浜北区)から14年に青年の家に移り、副所長を8年務めた。静岡市駿河区出身。46歳。 -野外活動を安全に行うために重要なことは。 「視野を広く持ち、いざという時には声を上げ、行動することが大切。マスクでの熱中症対策など、安全対策は変化している。所員はもちろん、学校の安全意識のレベルを高めていくことが鍵になる。過去に事故が起きた施設だからこそ、安全の見本にならなくてはいけない」 -学校側の意識を向上させる方策は。 「海洋活動の事前研修を実施している。先生が体験していない活動
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モニュメント、精力的に制作 たゆまず仕事続け今に 彫刻家/重岡建治氏【本音インタビュー】
85歳となった現在も、伊東市大室高原のアトリエで毎日、作品に向き合う。自作のモニュメントは全国各地のほか海外にも点在し、多くの人の目に触れる。今なお精力的に創作に励む氏に、原動力の背景を聞いた。 ―制作時の心掛けは。 「作品を作る前に必ず、配置される場所の視察に行く。どういうものがふさわしいかを絶えず考え、作品のひな型を多数作る。制作を依頼されたら、時間ぎりぎりまで構想を練る。彫刻は作品そのものだけでなく、それがあることで空間がどうなるかを考える。そしてそこから、ものづくりが始まる」 ―作品に込めた思いは。 「『大地から生まれる』という一つのテーマは、留学先のイタリアから戻った当時
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静岡人インタビュー「この人」 山田武司さん 出演者が70歳以上の高齢者演劇を開催
静岡県東部の70歳以上の高齢者でつくる演劇集団「まだ2(まだまだ)チャレンジャー」の座長を務める。2018年に解散した「チャレンジャー」で一緒に活動した元団員たちに声を掛けて再結集した。6月中旬に富士市の富士川ふれあいホールで初公演を成功させた。78歳。 -演劇を始めたきっかけは。 「64歳まで演劇とは無縁だった。08年にチャレンジャーの結成を知人から聞き、新しいことに挑戦してみようと参加した。昔から人とお話することが好きで、舞台の上から観客を楽しませたいと思った」 -なぜ再結集したのか。 「10周年の節目にチャレンジャーを解散することを座長から告げられ、突然のことで心残りがあった。
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静岡人インタビュー「この人」 佐藤希さん 第25代高校生平和大使に選ばれた
国内外で核兵器廃絶や世界平和の実現を訴える活動の旗振り役を担う。27人の高校生が参加した県内選考会を突破し、高校生平和大使に任命された。県内では11代目。韮山高(伊豆の国市)の理数科1年生。15歳。 -応募のきっかけは。 「曽祖父母が1945年に広島市に近い島から原爆の黒雲を見た、という話を聞いたり、実際に広島を訪れたりして核の恐ろしさを学んだ。ロシアのウクライナ侵攻などを背景に世界中で平和や核の議論が活発化している今、未来を担う一人として声を上げなくてはと思った」 -同世代に活動の輪を広げる取り組みは。 「平和について自分の意見をしっかりと確立している同世代は少ないと思う。交流サイ
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静岡人インタビュー「この人」 松下真実子さん 子どもの睡眠改善に取り組む養護教諭
御前崎市立第一小勤務。市内7小中学校の養護教諭でつくる市養護教諭研修会のメンバーで、2019年度から児童や生徒の睡眠の改善に取り組む。保護者や地域住民が参加する協議会での発表など中心的な役割を担う。42歳。 ―きっかけは。 「最近はスマホやゲームなど夜更かしの誘惑がとても多く、子どもの昼夜逆転が気になっている養護教諭もいた。このままではどんどん悪化するのではないかという危機感があった」 ―まず何をしたか。 「20年2月に小中学生計約850人を対象にアンケートを行った。その結果、小学生に必要とされる睡眠の9~10時間、中学生に必要とされる8~9時間にどの学年も達していなかった。『こんな
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静岡人インタビュー「この人」 坪内ゆみさん 絵本を通じた交流促進に取り組む
伊豆市内でギャラリーや交流スペース、古民家を改修した施設を運営する一般社団法人修善寺Cotori(ことり)の代表。元小中学校の教員で、早期退職して活動を始めた。教員時代は東京都御蔵島での勤務経験もある。絵本を通じて人々に癒やしを与え、交流を促すことを目的に活動する。東京都出身。60歳。 -施設開設の経緯は。 「大好きな絵本に囲まれたリフレッシュできる場が欲しいと思い、3年前にギャラリーと交流スペースを開設した。伊豆は豊かな自然は多いが、ギャラリーや交流施設は少ないので、自分でやろうと考えた」 -施設の活用方法は。 「ギャラリーでは絵本原画展や地元の高校生による写真展などを定期的に開催
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特産PR強化し活性化 浜名商工会 吉田清和会長【キーパーソン】
浜松市内の可美、篠原、庄内、雄踏町、舞阪町の5商工会が合併した2010年から会員は10%減少し、21年度末時点で1359事業所。事業者の高齢化など直面する課題に対し、地域に活気を取り戻すための策を講じる。 ―事業者の現状は。 「商業、工業に舞阪の水産業、舘山寺の観光業と幅広い業種がある地域だが、新型コロナウイルス禍で特に観光業に深刻な影響が出た。今後もコロナに加え、資材費の高騰、賃金の値上げなど厳しい状況が続くと思うが、商工会は会員に寄り添いながら最大限のサポートをすべきと考えている」 ―会員の支援策で新たな取り組みは。 「創業を考える人のため、6月下旬から日曜創業スクールを開講。経
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静岡人インタビュー「この人」 合志明倫さん 三保半島に新コンセプトの商業施設をオープンする
8月上旬に静岡市清水区三保の内浜海岸に新コンセプトの商業施設をオープンさせる。「三保の水族館」として親しまれた東海大海洋科学博物館などが来春の有料入館終了を発表する中、観光資源としての三保半島の魅力を信じ、発信し続ける。サーフショップも運営。48歳。 ―工事の進み具合は。 「建物は8割出来上がった。外構が整えばもっと雰囲気が出てくる。ハワイで夕日に照らされた雨が赤や黄色に輝く様子を『ウラレナ』と呼ぶことにちなみ、施設の名前にした。内浜から見る夕日はとても美しく、施設を通じて素晴らしさを発信していきたい。工事はわが子を見る思いだ」 ―なぜオープンを。 「約30年間ここに住み、魅力を分か