静岡人インタビュー「この人」 賀茂地域の課題解決に取り組む弁護士 三森祐二郎さん(河津町)
弁護士の過疎地域の解消を狙いに、日本弁護士連合会などが支援し運営する下田ひまわり基金法律事務所の7代目所長。当地ならではの問題解決に汗をかく。横浜市出身。52歳。
-賀茂地区の印象は。
「昨秋に赴任したが、住民の高齢化に伴う財産管理が大きな問題になっている。認知症で管理できなくなったり、家族が近くにいなかったりするケースが多い。バブル期に購入されたリゾートマンションの管理費滞納も課題の一つだ」
-なぜ弁護士を志したのか。
「元々は東京地裁や最高裁で事務官や書記官を務めていた。裁判前の権利手続きの担当や、国会議員との調整役を任されていたが、弁護士が依頼者に信頼され仕事をする姿を間近で目にすることが多かったのがきっかけ。自分の知識を依頼者の悩みの解決につなげられるのが何よりの魅力と感じている」
-2010年に弁護士登録後、これまでは宮城や岩手の事務所に勤務していた。どのような問題に取り組んだのか。
「宮城では震災直後の12年から栗原市のひまわり基金法律事務所に、18年からは岩手の陸前高田市の民間事務所に勤めた。津波被害が大きく、仮設住宅や災害公営住宅での相談会を開催し、生活再建の情報提供に特に力を入れた」
-今後の抱負を。
「元々地域に寄り添う弁護士として活動したかった。現在の賀茂地区が抱えている問題は、そこに弁護士がいなければ解決できない問題も多い。まさにずっとやりたかった内容だ。ただ、人的資源が足りないのも事実。介護や医療関係者、行政とも密に連携を取りながら、住民の皆さんのために励んでいこうと思っている」
(下田支局・伊藤龍太)