裁判しずおかの記事一覧

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東伊豆 旧旅館など特別清算開始決定 負債総額14億円
信用調査会社の東京商工リサーチ静岡支店によると、東伊豆町の温泉旅館「熱川大和館」と同社資産管理会社「海南荘」の2社が1日までに、静岡地裁下田支部から特別清算開始決定を受けた。2社の負債総額は約14億円。 会社分割で設立した同館と同名の会社が運営を継承したため、同館の営業は現在も継続している。 同館は1980年代には年間売上高約16億円を上げていたが、旅館改修での債務増や新型コロナウイルス禍の客数減などで収益が悪化。2022年12月から事業を停止していた。
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函南の無許可盛り土 被告代表が認否留保 地裁沼津支部
函南町丹那の山中に無許可で大規模な盛り土が造成された事件で、町条例違反の罪に問われた清水町のソーラー設営会社「ソーラーセキュリティ」と同社代表(53)=沼津市下香貫=の初公判が1日、静岡地裁沼津支部で開かれた。被告は起訴事実の認否を留保し、閉廷した。 起訴状などによると、被告は2021年8~10月、函南町長の許可を受けずに、事業として同町丹那の千平方メートルの土地に土砂を埋め立てたなどとされる。 被告の代理人弁護士は、起訴状に一部不明確な部分があるとして釈明を求めた。取材に対し「起訴状の千平方メートルの土地がどこを指すのか不明瞭」と説明した。次回公判までに争点を整理するという。
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袋井強盗致傷主導 被告が一部否認 地裁浜松支部初公判
袋井市の知人男性宅に仲間を連れて侵入して暴行を加え、現金などを脅し取ったとして強盗致傷と住居侵入の罪に問われた指定暴力団稲川会系組員の無職の男(55)=神奈川県横須賀市=の裁判員裁判初公判が31日、静岡地裁浜松支部(大村泰平裁判長)で開かれた。被告は「最初は金品を盗むつもりはなかった」と計画性を含め起訴内容を一部否認した。 検察は冒頭陳述で、被告は男性が被告の会社の金を着服したと考え、仲間2人を連れて主導的に犯行に及んだと説明。金づちや粘着テープを持参していたことなどから、「現金を奪う意思があった」と指摘した。弁護側は、被告が金品を奪おうと思ったのは暴行の後だとして、強盗致傷罪は成立しない
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連続不審火で男起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は31日、器物損壊と非現住建造物等放火の罪で函南町平井、庭師の男(23)を静岡地裁沼津支部に起訴した。 起訴状などによると、被告は3月9日夜、三島市の民家の駐車場で乗用車のナンバープレートを壊した後、同町の園芸店にあった植木など232点を焼損させ、町内の男性の敷地にある物置に火を付けたとされる。
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生活保護減額「違法」 県内4市処分取り消し 静岡地裁判決
国が2013~15年に生活保護費の基準額を引き下げたのは生活保護法に違反するとして、受給者6人が浜松、静岡、袋井、掛川の4市に減額処分の取り消しを求めた訴訟の判決で、静岡地裁は30日、減額処分を取り消した。菊池絵理裁判長は、厚生労働相の引き下げに関する判断過程には「過誤、欠落があると言わざるを得ず、裁量の逸脱・乱用がある」と指摘し、生活保護法違反を認定した。 同種の訴えは29都道府県で起こされ、地裁段階の判決は21件目。原告側の勝訴判決は11件目となった。 国は、物価下落を理由に13年から3年間で基準額を平均6・5%引き下げ、計約670億円を削減した。 静岡地裁判決は、物価動向を考慮し
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再審冒頭陳述案、7月提出要請 静岡地裁、袴田さん弁護団と地検に 出頭免除応じる考え
現在の静岡市清水区で1966年に一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、静岡地裁と弁護団、静岡地検による非公開の3者協議が29日、地裁で開かれた。国井恒志裁判長は、冒頭陳述案を7月10日までに提出するよう弁護団と地検の双方に求めるとともに、現時点では袴田さんを公判に強制的に出頭させる考えはないと述べた。協議終了後、弁護団が記者会見して明らかにした。 再審公判に向けた3者協議は2回目。4月の第1回協議で検察側は、立証方針を決めるのに「3カ月かかる」と主張している。この日の協議で国井裁判長は冒頭陳述案の提出と同時に、立証に必要な証拠の取り調べを地裁に対して請求
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焼津カツオ盗 運送業社長、起訴内容認める 静岡地裁公判
焼津市の焼津漁港に水揚げされたカツオの窃盗事件で、窃盗の罪に問われた市内運送会社の社長(62)の第2回公判が29日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれ、社長は起訴内容を認めた。初公判で弁護人は検察側から直前に証拠が追加開示され、検討が終わっていないと認否を留保していた。 検察側は冒頭陳述で、社長が焼津市の水産加工会社の元役員(45)の指示で、カツオを未計量のまま持ち出して冷蔵庫に運搬するなどして窃取していたと説明。未計量のカツオの運搬費についてはルートに応じて、1キロ当たり1・3~3円の支払いを水産加工会社などから受けていたとした。 起訴状によると、社長は水産加工会社の元役員らと共謀の上
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土石流被災住宅で窃盗、専門学生の男起訴 静岡地検沼津支部
静岡地検沼津支部は29日、熱海市伊豆山の土石流災害で被災した男性宅に侵入し清涼飲料水を盗んだとして住居侵入と窃盗の罪で静岡市清水区、専門学生の男(26)を静岡地裁沼津支部に起訴した。 起訴状などによると、男は2021年8月4日午後6時55分ごろから5日午前7時40分ごろまでの間、熱海市伊豆山の男性宅で清涼飲料水(100円相当)のほか、男性の家族の下着など26点(計約1万3800円)を盗んだとされる。
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3000万円詐取の罪で会社役員を起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は29日、事業者にうその投資話を持ちかけて金をだまし取ったとして詐欺の罪で東京都八王子市の会社役員(76)を静岡地裁沼津支部に起訴した。 起訴状などによると、被告は2016年5月5日ごろから25日ごろまでの間、富士宮市内に残土処分場を開発するという架空の事業への投資話を事業者に持ちかけ、1千万円を入金させたとされる。7月上旬ごろには、手付金が不足しているとしてさらに2千万円を振り込ませたとされる。
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原発耐震基準 元裁判長「低い」 静岡で講演
2014年に関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の再稼働差し止めを命じる判決を出した元福井地裁裁判長の樋口英明さんが27日、静岡市内で講演し、全国の原発について「耐震設計の基準は極めて低く、稼働すべきでない」と述べた。 樋口さんは、16年の熊本地震など過去の地震では地表で最大加速度1千ガル超の揺れが観測されている一方、国内の多くの原発の基準地震動(耐震設計の目安となる揺れ)は1千ガルに満たないと指摘。「推進派は、原発は地表よりはるかに揺れが小さい岩盤の上に建てられているなどと主張するが、地震で地表よりも岩盤の揺れが必ず小さくなるという法則性はない。逆になることもあり得る」と語った。 原発
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事故偽装詐欺 3人目も有罪 地裁浜松支部
飲酒運転が絡む交通事故を自作自演し、同乗者から示談金をだまし取ったとして詐欺の罪に問われた浜松市浜北区、建設業の男(30)の判決公判で静岡地裁浜松支部は26日、懲役3年、保護観察付き執行猶予5年(求刑懲役3年6月)を言い渡した。同じ詐欺グループの判決は3人目。 高島由美子裁判官は判決理由で、仲介役や歩行者役だった男は「詐取金から相当額の分け前を得ていた。非難に値する」と指摘した。一方、被害弁償が済んでいることなどを考慮して保護観察付き執行猶予が相当とした。 判決によると、男は仲間と共謀して2022年8月5日夜、同市中区の市道で、乗用車と歩行者の衝突事故を計画的に起こし、同乗の女性=当時(
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的確な訴訟指揮を要請 袴田さん弁護団、静岡地裁に意見書、出頭の免除も
現在の静岡市清水区で1966年に一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判の進め方を巡り、弁護団は25日、新たな意見書を静岡地裁(国井恒志裁判長)に提出した。静岡地検に速やかに立証方針を明らかにさせるための訴訟指揮と、袴田さんの公判への出頭免除を地裁に求めた。29日の次回3者協議で議論する。 弁護団は意見書で、前回の協議で検察官が立証方針の決定に3カ月かかるとしたことについて「裁判長は説明を検察官に求めることもなく、当然であるかのような対応をした」と抗議。迅速な裁判を受ける権利を無視していると批判し、的確な訴訟指揮を促した。また、袴田さんの公判出頭義務を免除すること
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重大少年事件、記録廃棄問題「後世に残す意識なく」 静岡県内3事案「検討なく廃棄」
「組織として記録を後世に残すという意識がなかった」。重大少年事件の記録廃棄問題で25日、記者会見した最高裁の小野寺真也総務局長は、最高裁の不適切な対応があり、各裁判所で長年にわたり記録保存の運用が浸透せず、深刻な事態を招いたことに苦渋の表情を浮かべた。 午後3時過ぎに最高裁内の一室で始まった記者会見には多くの報道陣が集まった。「事件に関係する方々を含め、国民の皆さまにおわび申し上げます」。出席した小野寺局長ら3人は深々と頭を下げた。 調査報告書によると少年事件の件数は減少しているものの、民事や家事事件を中心に記録の分量は大きく増加。全国的に保管スペースが手狭だったことから、1991年に「
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沼津のごみ処理施設計画差し止め訴訟 市「請求却下を」 地裁初弁論
沼津市のごみの新中間処理施設整備計画を巡る事業費は覚書に反する違法な公金支出だとして、市民59人が市を相手に2022年度の事業費1億300万円の支出差し止めを求めた訴訟の第1回口頭弁論が25日、静岡地裁(菊池絵理裁判長)であった。市側は、事業費は執行済みで訴訟要件を欠いているとして、請求の却下を求める答弁書を提出した。 原告側は終了後の説明会で、市側の主張を受けて訴えを変更し、頼重秀一市長に損害賠償を請求するよう求めていく考えを示した。 訴状などによると、沼津市は1976年から同市上香貫のごみ焼却施設を稼働している。施設建設に際して当時の市長は74年、隣接する清水町外原地域の区長らとの間
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奉賛会員への恐喝 2被告とも認める 地裁沼津支部初公判
熱海市内の神社奉賛会の会員から現金を脅し取ったとして、恐喝の罪に問われた指定暴力団稲川会系組幹部、無職の男(49)=神奈川県湯河原町土肥4丁目=と造園業の男(51)=熱海市紅葉ガ丘町=の両被告の初公判が24日、静岡地裁沼津支部(室橋秀紀裁判官)で開かれ、いずれも起訴内容を認めた。 検察側は冒頭陳述で「『トラブルを仲介したのに正月にお礼のあいさつがない』などと、神社奉賛会会員の40代男性3人に因縁をつけた」と経緯を述べた。起訴状などによると、両被告は1月中旬、この3人を脅迫し現金80万円を脅し取ったとされる。
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放課後デイ詐欺罪 検察懲役3年求刑 地裁浜松支部公判
浜松市の放課後等デイサービス施設の運営に関する給付金をだまし取ったとして、詐欺罪に問われたNPO法人アンヘレス理事長の女(65)=同市中区=の論告求刑公判が24日、静岡地裁浜松支部(高島由美子裁判官)で開かれ、検察側は懲役3年を求刑した。 検察側は論告で、不正受給と認識しながら繰り返し受け取り、被害は高額に上るとして「理事長としての規範意識が希薄」と非難した。弁護側は、法人の資金繰りが苦しく、自分の貯金を経営資金に充てたことなどから「自らの利益のためではなかった」と主張し、執行猶予付き判決を求めた。 弁護人は、同法人の破産に向けた手続きが進んでいることも明らかにした。施設運営は、既に別の
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焼津カツオ窃盗 3船会社訴訟取り下げへ 漁協和解案応じる
焼津漁港(焼津市)で発生した冷凍カツオの窃盗事件に関連し、被害を受けた同市などの船会社3社が、事件に関与したとして職員が立件された焼津漁業協同組合の和解案に応じて、漁協などへの損害賠償訴訟で漁協分の訴えを取り下げる方針を固めたことが23日、関係者への取材で分かった。 訴訟を取り下げる方針を固めたのは極洋水産(焼津市)、大倉漁業(新潟市)、兼井物産(長崎県)。焼津漁協は4月に被害を受けた船会社15社に解決金計約6億7千万円を支払う意向を示し、3社を含む少なくとも13社が和解に応じる方針を示している。 3社は昨年までに、焼津漁協と焼津市の水産加工会社「カネシンJKS」、同市の運送会社「焼津港
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強制わいせつ致傷 男に猶予付き判決 地裁浜松支部
浜松市内の路上で女性にわいせつな行為をした上、けがを負わせたとして強制わいせつ致傷の罪に問われた同市南区、無職の男(26)の裁判員裁判の判決公判で静岡地裁浜松支部は23日、懲役3年、保護観察付き執行猶予5年(求刑懲役3年)を言い渡した。 大村泰平裁判長は判決理由で、女性が「死ぬかもしれない」と強い恐怖を感じるほどの力で暴行を加えたことを「危険で悪質」と非難。事件前後はアルコールの影響で理性が弱っていたとした弁護側の主張も「判断力はあった。飲酒の影響を考慮すべきではない」と退けた。一方、断酒の治療を受けていることなどを踏まえて執行猶予付きの判決が妥当とした。 判決によると、被告は2022年
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「再審請求 死ぬまで」 旧天竜林高事件 簡裁棄却で元市長【刑事司法と再審】
旧天竜林業高(浜松市天竜区)で起きた大学推薦入試の調査書改ざん・贈収賄事件で、無実を訴えて再審請求している元天竜市長(90)の支援者らが22日、浜松簡裁の8日の請求棄却決定を受けた報告会を市内で開いた。支援者らによると、家族を通じて結果を報告した際、元天竜市長は「死ぬまで再審請求を続ける。徹底的にやる」などと語ったという。 元天竜市長は体調が優れず市内の医療施設に入院していて、家族などを除いて面会が難しい状況。同簡裁の棄却決定と、東京高裁に即時抗告したことを家族が伝えると、再審請求への強い意欲を示した。 報告会に出席した請求人弁護人の杉尾健太郎弁護士は「校長室で現金授受があったとされる日
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除斥期間の適用 原告側「制限を」 浜松・強制不妊訴訟
旧優生保護法下で不妊手術を強いられたのは憲法違反だとして、浜松市の視覚障害者の武藤千重子さん(74)が国に損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が22日、静岡地裁浜松支部で開かれた。原告側は同法を巡る訴訟で、国に賠償を命じた熊本地裁や静岡地裁の判決を踏まえ、損害賠償の請求権が消滅する「除斥期間」について「適用が制限されるべきだ」と主張する準備書面を提出した。 弁護側は口頭弁論後、浜松市内で報告会を開き、両地裁の判決が、被害者が損害賠償請求をすることが長期にわたって事実上不可能だったと指摘した点などを挙げ、「武藤さんについても同様の事情が当てはまる」と強調した。次回期日で本人尋問に臨む予定の武藤さん
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地裁職員の公務妨害疑い 磐田市
磐田署は22日、公務執行妨害の疑いで、磐田市に住む無職の男(45)を現行犯逮捕した。逮捕容疑は同日午前10時ごろ、容疑者方に建物の引き渡し命令の執行で訪れた静岡地裁浜松支部の男性職員(59)らに刃物を示して脅迫し、職務の執行を妨害した疑い。同行していた関係者からの110番を受け、駆けつけた署員が取り押さえた。けが人はいなかった。
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袴田さん、元裁判長と初対面 14年に再審開始や拘置執行停止決定 姉感謝「命助けてくれた」
現在の静岡市清水区で1966年に一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直しが認められた元プロボクサー袴田巌さん(87)が19日、静岡地裁の裁判長として袴田さんの再審開始と死刑・拘置の執行停止を決めた村山浩昭さん(66)と都内の集会会場で初めて対面した。袴田さんの姉ひで子さん(90)は「命を助けてくれたようなもの。ありがとう」と村山さんに直接感謝を伝えた。 村山さんは2014年、袴田さんの再審開始と死刑の執行停止に加えて「耐えがたいほど正義に反する」として拘置の執行停止も決め、袴田さんは約48年ぶりに釈放された。13年には手続きの一環で意見を聴くため収監先の東京拘置所に出向いたが、
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袴田さん出廷免除求める 弁護団、静岡地裁に診断書を提出
静岡地裁で今後始まる袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、袴田さんの出廷免除を求めている弁護団は19日までに、拘禁反応で袴田さんには訴訟能力が認められないとする精神科医の診断書を地裁に提出した。同日、都内で弁護団の会議があり、終了後に小川秀世事務局長が明らかにした。29日の次回3者協議までに、出廷を強制しないよう訴える意見書も出す方針。 診断書は15日付。袴田さんが東京拘置所に収監されているころから関わりのある精神科医が4月に面談して作成した。長期拘禁により、袴田さんは「公判で意味のある対応をすることが不可能」とし、心神喪失の状態にあると判断。その上で、出廷を強制した場合は「身体的精神的不調
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隣人切りつける 傷害で男を起訴 地検浜松支部
静岡地検浜松支部は19日、隣人の男性を刃物で刺して殺害しようとしたとして殺人未遂の疑いで逮捕、送検されたブラジル国籍、磐田市国府台、無職の男(40)を傷害の罪に切り替えて静岡地裁浜松支部に起訴した。地検支部は理由を明らかにしていない。 起訴状などによると、被告は4月29日午前11時半ごろ、同市国府台のアパートで、隣の部屋に住む無職男性=当時(29)=の左脇腹を包丁で切りつけ、約10日間のけがを負わせたとされる。
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三島死亡事故 賠償命令 地裁沼津支部判決 遺族訴え大筋で認める
三島市の市道交差点で、赤信号で進入した乗用車がミニバイクを運転する男性に衝突して死亡させた事故で、遺族が乗用車を運転していた女性やその夫らに約7300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が17日、静岡地裁沼津支部(古閑美津恵裁判長)であった。同支部は遺族側の訴えを大筋で認め、賠償を命じる判決を言い渡した。 判決によると、女性は2019年1月、赤信号を見落としたまま進入して男性=当時(50)=が運転するバイクに衝突し、死亡させた。判決は「一方的に衝突した被告女性の過失はあまりに大きい」と指摘。また、被告女性が赤信号で侵入した事実について事故直後に認めなかったこと、女性の夫が刑事裁判の公判中に裁判
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再審法改正、賛同求める 川勝知事と静岡市長を訪問へ 静岡県弁護士会
裁判のやり直しを求める再審請求に関する規定が乏しく、無実を訴える人の救済につながっていないと指摘される再審法(刑事訴訟法の第4編再審)を巡り、県弁護士会の杉田直樹会長らが今月中にも川勝平太知事と難波喬司静岡市長を訪ね、法改正への理解を求める方針であることが18日までの関係者への取材で分かった。日本弁護士連合会が始めた要請活動の一環。 日弁連は2月、再審請求審での証拠開示の法制化や再審開始決定に対する検察官の不服申し立てを禁止することなどを盛り込んだ再審法の改正案を公表した。今月12日には理事らが与野党の国会議員や秘書200人以上と面会し、法改正の必要性を説明している。 国会を後押しするた
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裁判員制度テーマ 31日にイベント 静岡地裁
静岡地方裁判所は31日午後1時半から同4時10分まで、裁判員制度をテーマにしたイベントを静岡市葵区の地裁本庁で開く。 模擬裁判のほか、裁判員裁判にまつわるクイズ、法廷見学や法曹三者(裁判官と検察官、弁護士)への質問コーナーを予定する。 定員60人(先着順)。申し込み、問い合わせは静岡地裁広報係<電054(251)6241>へ。
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露店を不正出店 主犯の男に有罪判決 地裁沼津支部
静岡県東部の祭り会場で露店出店権を不正取得したとして、詐欺罪と覚醒剤取締法違反に問われた裾野市深良、元暴力団員の無職の男(66)に対し、静岡地裁沼津支部は17日、懲役2年6月、執行猶予5年(求刑懲役2年6月)を言い渡した。 室橋秀紀裁判官は判決理由で、一定の計画性と相応の売上額を指摘。「主犯であることは明らか。売り上げによる利得目当てという身勝手な動機に酌量の余地もない」と断じた。一方、反省の弁を述べ、所属していた暴力団からも除籍されたことなどを考慮し、執行猶予が相当とした。 判決によると被告は昨年6~11月、妻(52)=詐欺罪で懲役1年、執行猶予3年の有罪判決=などと共謀して、暴力団員
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強制わいせつ致傷 男に懲役3年求刑 地裁浜松支部公判
浜松市内の路上で女性にわいせつな行為をした上、けがを負わせたとして強制わいせつ致傷の罪に問われた同市南区、無職の男(26)の裁判員裁判の論告求刑公判が17日、静岡地裁浜松支部(大村泰平裁判長)で開かれ、検察側は懲役3年を求刑した。 被告は当時飲酒していて、判断力の有無などが争点。検察側は被告の事件前後の言動などから、「飲酒の影響はなかった。酒のせいにして責任軽減を図るなど反省も不十分」と非難した。弁護側は「酒に酔って理性が弱り、衝動的な行動に陥りやすい状態だった」と主張。アルコールを断つ治療も受けていることなどから執行猶予付き判決を求めた。 起訴状によると、被告は2022年9月27日午前
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横領の元課長 懲役7年求刑 地裁富士支部公判
富士市の食品用素材製造業「日本食品化工」で会社の資金を着服したとして、業務上横領の罪に問われた岡山県倉敷市、同社の元財務課長で仕分け作業員の男(52)の論告求刑公判が17日、静岡地裁富士支部(西沢諒裁判官)で開かれ、検察側は懲役7年を求刑した。 検察は被告が立場を利用して犯行に及んだ悪質性を強調した。ギャンブルや借金返済に充てるため会社の資金に手を付け、発覚しないよう請求書を偽造していたことも指摘した。犯行の被害額は計約1億1590万円に及び、会社への影響など「生じさせた結果は極めて重大。一時的な快楽に溺れ、規範意識が欠如していると言わざるを得ない」と述べた。 弁護側は、被告が事実を認め
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保育士に罰金20万円 裾野・園児虐待 沼津簡裁が略式命令
裾野市の私立さくら保育園で園児の両足を持って宙づりにするなどの虐待をしたとして、暴行の罪で略式起訴された同市の女性保育士(38)が、17日までに沼津簡裁から罰金20万円の略式命令を受けていたことが分かった。命令は8日付。罰金の納付は17日時点で確認されていないという。 同園で昨年12月、1歳児クラスを担当していた30代の女性保育士3人(既に全員退職)が、園児を虐待したとして暴行容疑で逮捕、送検された後、処分保留で釈放されていた。静岡地検沼津支部は逮捕容疑について今年4月、全員を不起訴処分とした。このうち、釈放後の在宅捜査で確認した別の2件の暴行罪で、女性保育士は略式起訴されていた。 起訴
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無実の人救済、より実効性を 京都・龍谷大が研究センター新設 学者と弁護士協働「あるべき再審法」提示目指す
龍谷大(京都市)に2023年度、刑事司法・誤判救済研究センターが新設された。再審法(刑事訴訟法の再審規定)の不備によって無実の人の救済が遅れているとの指摘がある中、弁護士と協働し、実効性のある仕組みの構築を目指す。センター長に就いた斎藤司法学部教授(刑訴法)は「持続可能な刑事司法と再審制度を支える基盤を整え、実務と研究の担い手も育てていきたい」と話している。 研究員21人の過半数は刑事弁護にたけた弁護士だ。「もっと普通に、もっと安定的に誤判救済ができるようにしたいと考えたとき、実務家の努力がなければ机上の空論になりかねない」と斎藤教授。その上で「実務の蓄積を共有すると同時に、理論的観点の検
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自宅アパートに放火の罪で男起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は16日、現住建造物等放火の罪で住所不定、配膳人の男(34)を静岡地裁沼津支部に起訴した。裁判員裁判の対象。 起訴状などによると、被告は4月26日午前3時ごろ、当時住んでいた沼津市内のアパートで、封筒にライターで火をつけてアパートを全焼させたとされる。
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強制わいせつ致傷 被告の男が認める 静岡地裁浜松支部初公判
浜松市内の路上で女性にわいせつな行為をした上、けがを負わせたとして強制わいせつ致傷の罪に問われた同市南区の無職の被告(26)の裁判員裁判の初公判が16日、静岡地裁浜松支部(大村泰平裁判長)で開かれ、被告は起訴内容を認めた。弁護側は「酒に酔っていて、判断力や理性が弱っている状態だった」と主張した。 検察は冒頭陳述などで、被告は事件の前に社交飲食店などでウイスキーの水割りなどを飲み、別の女性グループの後を付ける行為を繰り返していたと説明。飲食店員の証言や防犯カメラの映像などから、話し方や足元もしっかりしていたとし、「飲酒の影響は限定的だった」と指摘した。弁護側は専門家の鑑定結果などを基に、アル
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住居侵入や恐喝 富士の男を起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は12日、強盗致傷、住居侵入、恐喝の疑いで逮捕、送検された富士市厚原の男(36)を、住居侵入、恐喝、傷害の罪で静岡地裁沼津支部に起訴した。 起訴状などによると、被告は2022年5月6日から7日にかけて、同市内の男性宅に侵入し、現金8千円を脅し取ったとされる。同13日にも、再び男性宅に侵入して現金3千円を脅し取った上、男性をモーターレンチのようなもので複数回殴り、全治1週間のけがを負わせたとされる。
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旧天竜林業高事件 元市長の再審請求棄却 浜松簡裁 弁護側、高裁に即時抗告
旧天竜林業高(浜松市天竜区)で起きた大学推薦入試の調査書改ざん・贈収賄事件をめぐり、贈賄罪で罰金の略式命令を受けた元天竜市長(90)の再審請求審で、浜松簡裁が請求を棄却していたことが12日、関係者への取材で分かった。弁護側は棄却を不服とし、東京高裁に即時抗告した。 関係者によると棄却は8日付、即時抗告は11日付。審理は同簡裁の大村泰平裁判官が担当した。 弁護側は、元天竜市長が厳しい取り調べにより虚偽の自白に追い込まれたと主張し、県警の取り調べメモや供述心理学の専門家の鑑定意見書などを提出した。同メモの記述から、2回目の現金授受があったとされる日に、舞台となった同校の校長室にいるのは物理的
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事故偽装で詐欺 男に有罪判決 地裁浜松支部
飲酒運転の絡む交通事故を自作自演し、同乗の女性から示談金をだまし取ったとして、詐欺の罪に問われた磐田市の建設業の男(34)の判決公判で、静岡地裁浜松支部は10日、懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。同じ詐欺グループの判決は2人目。 高島由美子裁判官は判決理由で、歩行者役だった被告は「必要不可欠な役割を果たした」と指摘し、「分け前をほとんど得ていなかったとしても相当の非難に値する」と断じた。一方、被害者との示談が済んでいることなどを考慮して執行猶予が相当とした。 判決によると、被告は仲間と共謀して2022年8月5日夜、浜松市中区の市道で、乗用車と歩行者の衝突事故を計
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証拠の整理方法検討 袴田さん弁護団、静岡地裁、地検
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直し(再審)が認められた元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審公判に向け、静岡地裁(国井恒志裁判長)と弁護団、静岡地検は10日、地裁で非公式の打ち合わせをした。弁護団によると、証拠番号の振り方をはじめ証拠の整理方法などを話し合ったという。 地裁は4月の第1回3者協議で、確定審の証拠を厳選するよう弁護団と地検に求めた。弁護団は打ち合わせに先立ち、意見書を地裁に提出。「確定記録の全ての証拠を取り調べるべき」として厳選には同意できないとした上で、全てを取り調べる場合でも「効率的な審理は可能」と訴えた
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再審無罪願って逝く 袴田さん支援の須藤春子さん 二俣事件冤罪、亡き夫重ね 「本当の笑顔見たい」あと一歩で
現在の浜松市天竜区二俣町で1950年に一家4人が殺害された「二俣事件」で、一・二審で死刑判決を受けたものの差し戻しを経て無罪に至った須藤満雄さん(2008年に死去)の妻春子さんが4日、老衰のため85歳で亡くなった。夫と同じ境遇の元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審無罪を願い続けた一人。「一日も早く、巌さんの本当の笑顔が見たいの。無罪になるまで絶対に死なない」。そう誓ってきたが、あと一歩のところで旅立った。 静岡地裁は14年3月、一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田さんの再審開始を認め、釈放した。直後、春子さんは「袴田さんはうちの主人と同じようにつらい思いをしたと思う。苦労しただろう
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全ての確定審証拠 地裁に調査要請へ 弁護団、10日意見書提出
元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審公判に向け、弁護団は10日、確定審の全ての証拠を取り調べるよう求める意見書を静岡地裁(国井恒志裁判長)に提出する。地裁は証拠の厳選を打診していたが、弁護団は「同意できない」として反対する。 弁護団は9日に会議を開き、今後の対応などを話し合った。終了後、角替清美弁護士が報道陣の取材に応じた。検察が主張・立証の方針を明らかにしない中、速やかに方針を決めるよう地裁の訴訟指揮を求める意見書も追って提出する。 地裁は4月、再審公判に向けた弁護団と静岡地検との第1回協議で、確定審の証拠を厳選するよう弁護団と地検に検討を促した。 弁護団は再審公判で、袴田さんの犯
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社説(5月3日)憲法記念日 幸福度の追求を論点に
憲法施行から76年目の「憲法記念日」を迎えた。祝日法には「憲法の施行を記念し、国の成長を期する」と趣旨が記されている。国の成長とは経済的に豊かになることだけではない。国民の幸福を追求する権利を尊重する憲法の理念を踏まえれば、国民一人一人の幸福度が増す国になることと言ってもいいだろう。 昨年来、衆参両院の憲法審査会で憲法9条への自衛隊明記、緊急事態条項の創設など改憲議論が本格化しているが、幸福追求の権利に関わる「環境権」「プライバシー権」など「新しい人権」の明記は、自民党の改憲案の柱に据えられていない。改憲に反対、慎重な政党は新しい人権の創設が改憲の突破口になることを警戒する。どこか置き去り
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再審法 憲法に照らし検証を 静岡大・笹沼教授 袴田事件踏まえ「捜査機関は全証拠、裁判所に」
3日は憲法記念日。現在の静岡市清水区で1966年、一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の裁判のやり直し(再審)が決まるまでに長い年月がかかったことを巡り、現在の再審法(刑事訴訟法の第4編再審)は憲法上の要請を実現できていないとの指摘が聞かれる。不利益再審を廃止した以外は戦前の旧刑訴法の規定を引き継ぎ、一度も改正されていない再審法について、静岡大の笹沼弘志教授(憲法学)は「憲法に適合しているかどうかを全面的に検証すべき」と話している。 袴田さんは80年に死刑が確定し、翌81年に再審を請求した。第2次再審請求審で静岡地裁は2014年、再審開始と死刑・拘置の執行停止を認めて袴
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長泉の中学教諭 過失傷害で起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は28日、自動車運転処罰法違反(過失傷害)の罪で長泉町中土狩、中学教諭の女(48)を静岡地裁沼津支部に起訴した。 起訴状などによると、被告は昨年12月20日午後4時40分ごろ、三島市内で乗用車を運転中、横断歩道を歩行中の男性=当時(82)=に衝突しけがを負わせたとされる。
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露店不正出店主犯 懲役2年6月求刑 静岡地裁沼津支部公判
静岡県東部の祭り会場で露店出店権を不正取得したとして、詐欺罪と覚醒剤取締法違反に問われた指定暴力団山口組藤友会元組員の無職の男(66)の論告求刑公判が静岡地裁沼津支部で開かれ、検察側は懲役2年6カ月を求刑した。判決は5月17日。 検察は被告が主犯格で、売上金のうち必要経費や共謀した妻(52)=詐欺罪で懲役1年、執行猶予3年の有罪判決=らへの謝礼を除く金額を自身の借金返済などに充てていたことから、「利欲目的であったことは明らか」などと指摘した。弁護側は「コロナ禍で困窮していた」などと情状酌量を求めた。 起訴状などによると被告は昨年6~11月、暴力団員が実質経営する露店であることを隠して沼津
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車で3人死傷 運転者在宅起訴 静岡地検富士支部
静岡地検富士支部は27日、自動車運転処罰法違反(過失傷害と過失致死傷)の罪で、富士市の無職の男(85)を静岡地裁富士支部に在宅起訴した。 起訴状などによると、被告は昨年9月3日午後5時35分ごろ、同市内の道路で普通乗用車を運転し、別の車に衝突した。続けてブレーキとアクセルを間違えて踏み、同じ車にさらに衝突して、運転者の腰にけがを負わせた。その後、交差点角の歩道にいた男女2人に衝突し、男性を死亡させ女性に足の打撲などのけがを負わせたとされる。
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2人に有罪判決 露店出店権不正取得 静岡地裁沼津支部
静岡県東部の祭りで露店出店権を不正取得したとして、詐欺罪に問われた指定暴力団山口組藤友会組員の無職の男(77)=事件当時富士市中里=と露天商の女(55)=同=両被告の判決公判で、静岡地裁沼津支部は27日、男に懲役2年、執行猶予5年、女に懲役2年、執行猶予4年(それぞれ求刑懲役2年)を言い渡した。 明日利佳裁判官は、「売上金を生活費や所属する暴力団への上納金に充てるための利欲的で悪質な犯行で、両名の刑事責任は重い」とした。一方、2人とも罪を認めている点などを理由に執行猶予を付けた。 判決によると、両被告は昨年6~11月、富士宮市の富士山本宮浅間大社秋の例祭など三つの祭りで共謀し、暴力団関係
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露天風呂 常習的盗撮事件 主導の男に3年求刑 静岡地裁公判
露天風呂に入っていた女性を狙った常習的な盗撮事件で、兵庫県迷惑防止条例違反などの罪に問われた茨城県行方市、無職の男(50)の論告求刑公判が26日、静岡地裁(谷田部峻裁判官)で開かれ、検察側は懲役3年を求刑した。 論告で検察側は一連の盗撮を「強い計画性と犯意に基づく」と指摘した。盗撮動画を仲間内で共有し、不特定多数に拡散する危険性があったとして「女性の尊厳を踏みにじる極めて悪質な犯行」と強調。共犯者に盗撮技術を教えるなど主導的な役割を担ったとした。 被告は最終意見陳述で「ばれなければ被害者を生まないと身勝手に考えていた。ものすごく傷つけ、申し訳ないとしか言いようがない」と述べた。弁護人は起
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静岡の無許可盛り土 現旧社長が認める 地裁初公判
静岡市葵区の藁科川上流域に無許可で盛り土が造成された事件で、県砂防指定地管理条例違反の罪に問われた同区の残土処分会社「富田建材」と同社社長(41)=同区羽鳥5丁目=、父親で前社長(84)=同=の初公判が25日、静岡地裁(国井恒志裁判官)で開かれ、2人は「間違いない」と起訴内容を認めた。 盛り土は日向、杉尾の両地区に造成された。砂防法の盛り土規制区域「砂防指定地」に指定されていて、県の条例によって知事の許可なく土地の形状を変更する行為が禁止されている。 冒頭陳述で検察側は、前社長が日向地区で2004年ごろまでに盛り土などをするようになったと主張した。静岡土木事務所の職員が数回にわたり是正す
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懲役刑確定の静岡市職員失職
静岡市は25日、窃盗罪で執行猶予付きの懲役刑が確定した市保健福祉長寿局の40代男性職員が、地方公務員法の規定に基づき同日付で失職したと発表した。 男性職員は2021年9月に市役所静岡庁舎で、別の職員の机から現金5千円を盗んだとして同11月に逮捕され、同12月に起訴された。23年4月10日に静岡地裁で懲役1年、執行猶予3年の判決を受け、同25日に刑が確定した。 高田和昌市総務局次長は「再発防止策を徹底し、市民の信頼を早期に回復できるよう努める」とコメントを出した。
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沼津鉄道高架訴訟 元地権者らが上告
沼津市のJR沼津駅付近の鉄道高架事業は不要として、国や静岡県などを相手に事業認定の無効確認などを求めた元地権者らは25日、「事業の必要性は失われていない」とする一審静岡地裁判決を支持した東京高裁判決を不服とし、最高裁に上告したことを明らかにした。上告は3月30日付。 控訴審判決で高裁は、少子高齢化で市の人口や交通量が減少しても、鉄道高架化事業の必要性は失われず、事業継続に違法性はないとして原告の訴えを退けた。25日に市役所で開いた会見で原告代表の殿岡修さんは「証拠を示したが審理が尽くされなかった。市の経済状況を無視している」と話した。 原告側は上告趣意書を「5月半ばごろまでに提出する」と
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妻嘱託殺人の罪 51歳夫を起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は25日、沼津市高島町のホテルで妻を本人の依頼に応じ刺殺したとして、嘱託殺人の罪で東京都練馬区、無職の男(51)を静岡地裁沼津支部に起訴した。 起訴状などによると、被告は昨年10月25~27日、妻=当時(49)=に頼まれてホテルの一室で左胸を包丁で突き刺し、殺害したとされる。被告自身も腹部に重傷を負っていて、病院で治療を受けていた。 同地検は約4カ月にわたり被告を鑑定留置し、事件当時の精神状態を調べていた。
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追突後に車両盗み 逃走の男実刑判決 静岡地裁
島田市の新東名高速道で盗難車両で追突事故を起こし、後続のワゴン車を盗んで逃走したなどとして、窃盗と覚醒剤取締法違反の罪に問われた大阪市西成区、塗装工の男(43)の判決公判で、静岡地裁は24日、懲役3年6月(求刑懲役5年)を言い渡した。 谷田部峻裁判官は判決理由で、救助のために停車したワゴン車を乗り去った犯行について「非常に大胆で悪質性が高く、動機も自己中心的。被害者の善意を踏みにじり、強い非難に値する」と述べた。 判決によると、被告は仲間と共謀して2020年12月14日、千葉県柏市内で乗用車を盗んだ。島田市内の新東名高速道下りで、この乗用車で追突事故を起こし、救助のために止まった後続のワ
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再審進行、速やかに 高検に袴田さん弁護団
現在の静岡市清水区で一家4人が殺害された事件で、強盗殺人罪などで死刑判決が確定した袴田巌さん(87)=浜松市中区=の再審公判に向け、袴田さんの弁護団が20日、東京高検に申し入れ書を提出し、有罪立証の放棄と速やかな公判の進行への協力を求めた。 申し入れ書では、静岡地裁で10日に開かれた法曹三者協議の中で、検察が公判での立証方針を示すまで3カ月の期間を求めた点について、「検察は再審請求審で、全ての記録を十分に検討したはず。すでに方針が決められていることは間違いない。袴田さんが置かれている状況を全く考慮していない」と批判した。 提出後に記者会見した弁護団によると、申し入れ書を受け取った東京高検
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被告の運送業社長 カツオ盗認否留保 静岡地裁初公判
焼津市の焼津漁港に水揚げされたカツオの窃盗事件で、窃盗の罪に問われた市内の運送会社「堀住運送」社長(61)=同市北新田=の初公判が20日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれ、弁護人は起訴内容について「認否を留保したい」と述べた。 弁護人は、検察側から19日に証拠が追加で開示されたと説明した。証拠の検討が終わっていないため、認否を留保すると伝えた。 起訴状によると、被告は焼津市の水産加工会社「マルテ小林商店」元役員(45)らと共謀の上、2021年3月11日、焼津漁港に水揚げされた冷凍カツオ約26トン(約425万円相当)を、同13日には約23トン(約360万円相当)を、同17日にも約28トン
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日弁連会長、検察けん制「有罪立証、諦めるべき」 袴田さん再審公判巡り
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定した袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、日本弁護士連合会の小林元治会長は19日、速やかな公判開始と無罪判決を求める声明を公表した。同日の定例記者会見で、小林会長は「これ以上、袴田さんに過酷な時間を強いてはいけない」と強調した。 再審公判の日程は決まっていない。静岡地裁と弁護団、地検による10日の3者協議で地検は立証方針を表明せず、7月10日までに明らかにする考えを示した。 声明は、事件から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで発見され、袴田さんの犯行着衣とされた「5点の衣類」について、第1次と2次の再審
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熱海土石流 盛り土公文書黒塗り外し、一部提供 熱海市が原告側に
熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り、遺族、被災者が土石流の起点となった土地の現旧所有者や県、市に損害賠償を求めた訴訟の弁論準備手続きが19日、静岡地裁沼津支部であり、市側は関係者の氏名などが伏せられた盛り土に関する一部の公文書について、黒塗りを外した形で原告側に提供したことを明らかにした。原告側は7月19日の次回期日までに、県と市の公文書や独自に集めた証拠を基に主張をまとめて提出する。 協議は非公開。市が提供した公文書は、ホームページで公表している崩落した盛り土に関する部分。当初は被告の現所有者側からの申し立てを受け、同支部が提出を依頼していた。原告側も市に要請していて、市は「土石流発生原因
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有罪立証の放棄要請 袴田さん支援者 静岡地検に
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定した袴田巌さん(87)の再審公判に向け、支援団体が18日、有罪立証を放棄し、再審公判の早期開始に協力するよう静岡地検に要請した。 再審公判の日程は未定。静岡地裁と弁護団、地検による10日の3者協議で地検は立証方針を表明せず、検討して7月10日までに明らかにする考えを示した。 「袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会」など3団体のメンバー14人が地検に出向いた。要請書は、事件から約1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかり、袴田さんの犯行着衣とされた「5点の衣類」について、発見経緯の不自然さを強調。「
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植木鉢で女性殴る 傷害で男を起訴 地検浜松支部
静岡地検浜松支部は18日までに、女性の頭部を植木鉢で殴って殺害しようとしたとして殺人未遂の疑いで逮捕、送検された浜松市西区馬郡町、無職の男(69)を傷害の罪に切り替えて静岡地裁浜松支部に起訴した。地検支部は理由を明らかにしていない。起訴は17日付。 起訴状などによると、男は3月28日午前8時10分ごろ、同市西区内の空き地で、近くに住む女性=当時(71)=の頭部を植木鉢で殴打し、女性に全治約4週間のけがを負わせたとされる。
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ワクチン会場侵入 反ワク団体理事 弁護側は無罪主張 静岡地裁で初公判
新型コロナウイルス感染症のワクチン接種会場に侵入したとして、建造物侵入の罪に問われた掛川市、反ワクチン団体「神真都(やまと)Q会」の理事の被告(49)の初公判が17日、静岡地裁(国井恒志裁判長)であった。被告は起訴内容について「間違いない」と述べ、弁護側は医師に説明を求めるためといった正当な「訪問」だったとして無罪を主張した。 冒頭陳述で検察側は、会場正面に「ワクチン接種に来られた方以外の施設内への立ち入りはご遠慮ください」との立て札が置かれていたことなどを指摘した。 起訴状によると、被告は仲間と共謀の上、ワクチン接種の中止を求める目的で2022年3月13日午後、焼津市のワクチン接種会場
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生活保護訴訟巡り 支援団体署名提出 「公正判決」求め静岡地裁に
国が2013~15年に生活保護費の基準額を引き下げたのは生活保護法に違反するとして、県内の複数の受給者が掛川市などに減額処分の取り消しを求めた訴訟の判決公判(5月30日)が迫る中、原告の支援団体「生存権にかかわる裁判を支援する静岡の会」や弁護団が14日、公正な判決を求める要請書の署名3897筆を静岡地裁に提出した。署名集めは継続していく。 静岡市葵区で集会も開き、同会共同代表で弁護団長の大橋昭夫弁護士は「静岡地裁にも受給者の実態を理解してもらい、良い判決を出してほしい」と訴えた。同会や協力団体メンバーら約70人のほか原告の受給者も駆けつけた。 同様の訴えは全国29地裁に起こされた。一審判
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露店不正出店 女に有罪判決 地裁沼津支部
静岡県東部の祭り会場で露店出店権を不正取得したとして、詐欺罪に問われた清掃員の女(52)=裾野市公文名=に対し、静岡地裁沼津支部は14日、懲役1年、執行猶予3年(求刑懲役1年)を言い渡した。 室橋秀紀裁判官は判決理由で、計画性と高額の売り上げを指摘し「必要不可欠な役割を果たした」と断じた。一方、従属的な役割であることなどを考慮し、執行猶予が相当とした。 判決によると、女は昨年6~8月、夫で指定暴力団山口組藤友会組員の男(66)=詐欺罪で公判中=が実質経営する露店であることを隠し、沼津市の「沼津夏まつり」と三島市の「三嶋大祭り」の主催団体に申込書などを提出し、出店権利をだまし取った。
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事故偽装し詐欺 男に有罪判決 静岡地裁浜松支部
飲酒運転の絡む交通事故を自作自演し、同乗の女性から示談金をだまし取ったなどとして、詐欺などの罪に問われた住所不定、無職の男(22)の判決公判で、静岡地裁浜松支部は13日、懲役2年8月、保護観察付き執行猶予4年(求刑懲役3年)を言い渡した。 高島由美子裁判官は判決理由で「分け前欲しさの犯行で約90万円を得た」と指摘し、事故偽装では仲介役をするなど「重要な役割を果たしていて相応に厳しい非難に値する」と断じた。一方、共犯者が被害弁償を済ませたこと、今後は共犯者ら事件関係者と交際しないと約束している事情などを考慮し、保護観察付き執行猶予が相当とした。 判決によると、仲間と共謀して2022年8月1
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焼津カツオ盗の3被告に懲役2年6月求刑 静岡地裁公判
焼津市の焼津漁港に水揚げされたカツオの窃盗事件で、窃盗の罪に問われた神奈川県の運送会社元社長(49)と焼津市の水産加工会社元社長(57)、都内の水産加工会社元焼津営業所長(47)の論告求刑公判が12日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。検察側は3被告にいずれも懲役2年6月を求刑した。 論告で検察側は「継続的・常習的な犯行で、自己あるいは会社の利益を得るためという利欲的な動機に酌量の余地はない」と指摘した。最終弁論で神奈川県の運送会社元社長と都内の水産加工会社元焼津営業所長の弁護人は執行猶予付きの判決を求め、共謀を否認している焼津市の水産加工会社元社長の弁護人は「共謀を裏付ける証拠はない
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露店不正 組員ら懲役2年を求刑 地裁沼津支部公判
静岡県東部の祭りで露店出店権を不正取得したとして、詐欺罪に問われた指定暴力団山口組藤友会組員の無職の男(77)=事件当時富士市中里=と露天商の女(55)=同=両被告の論告求刑公判(明日利佳裁判官)が12日、静岡地裁沼津支部で開かれ、検察側は2人に懲役2年を求刑した。判決は27日。 検察側は論告で女が露店営業を取り仕切り、売り上げを男が管理していたと説明。「暴力団の上納金を確保する目的もあった。出店した露店で高額な利益を得ていた」と指摘した。弁護側は執行猶予付きの判決を求めた。 起訴状などによると、両被告は昨年6~11月、富士宮市の富士山本宮浅間大社秋の例祭など三つの祭りで共謀し、暴力団関
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住宅放火などの罪 藤枝の消防士起訴 静岡地検
静岡地検は12日、非現住建造物等放火と詐欺未遂の罪で、藤枝市稲川1丁目、静岡市消防局の消防士(26)を静岡地裁に起訴した。 起訴状によると、消防士は2022年12月2日正午ごろ、所有する藤枝市内の木造2階建て住宅に放火し、全焼させたとされる。また、この火災について、都内の損害保険会社に虚偽の事故状況を申告して保険金を請求し、不慮の事故による火災と誤信させてだまし取ろうとしたとされる。
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役所で5000円窃盗 静岡市職員、有罪 地裁判決
静岡市役所静岡庁舎で職員の机から現金5千円を盗んだとして、窃盗の罪に問われた伊豆市熊坂、静岡市職員(40)=休職中=の判決公判で、静岡地裁は10日、懲役1年、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。 谷田部峻裁判官は判決理由で、心神喪失か心神耗弱の状態だったとする弁護側の主張について、医師の証言などを踏まえ「何らの精神障害にも罹患(りかん)していなかった」と否定した。その上で、大胆で悪質な犯行と指摘し「被害金額は多額とは言えないが、軽視できない」と述べた。 判決によると、市職員は2021年9月30日午後11時20分ごろ、静岡市役所静岡庁舎で、男性職員が使う机の引き出しに保管されてい
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袴田さん再審決定文 ようやくウェブに掲載 静岡地裁
裁判をやり直す再審公判を控える元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審開始と死刑・拘置の執行停止を認めた2014年の静岡地裁決定(村山浩昭裁判長)について、地裁は11日までに裁判所のウェブサイトに全文を掲載した。支援団体が載せるよう求めていた。 袴田さんの第2次再審請求を巡り、静岡地裁決定を取り消した18年の東京高裁決定と、審理不尽の違法があるとして高裁に差し戻した20年の最高裁決定は裁判所のウェブサイトに載っている一方、地裁決定のみ不掲載の対応が続いていた。 各地の支援団体で組織する「袴田巌さんの再審無罪を求める実行委員会」は21年と再審開始確定後の今年3月、掲載するよう地裁に要請。4日
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静岡人インタビュー「この人」 賀茂地域の課題解決に取り組む弁護士 三森祐二郎さん(河津町)
弁護士の過疎地域の解消を狙いに、日本弁護士連合会などが支援し運営する下田ひまわり基金法律事務所の7代目所長。当地ならではの問題解決に汗をかく。横浜市出身。52歳。 -賀茂地区の印象は。 「昨秋に赴任したが、住民の高齢化に伴う財産管理が大きな問題になっている。認知症で管理できなくなったり、家族が近くにいなかったりするケースが多い。バブル期に購入されたリゾートマンションの管理費滞納も課題の一つだ」 -なぜ弁護士を志したのか。 「元々は東京地裁や最高裁で事務官や書記官を務めていた。裁判前の権利手続きの担当や、国会議員との調整役を任されていたが、弁護士が依頼者に信頼され仕事をする姿を間近で目
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袴田さん弁護団「心外」 3者協議開始 検察の態度を批判
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決を受け、今年3月に裁判のやり直し(再審)が確定した袴田巌さん(87)の再審公判に向けた法曹三者の協議が10日、静岡地裁でスタートした。有罪の主張・立証をするかどうかの方針を3カ月後まで示すことができないとした検察側に対し、早期の再審無罪と謝罪を求めている弁護団は「誠に心外だ」(西嶋勝彦団長)と反発した。 「全くの予想外。憤りを感じている」。1時間を超える3者協議の終了直後、弁護団の小川秀世事務局長は地裁前で報道陣の取材に応じ、検察側が態度を留保したことを批判した。 やりとりの中で、確定記録が静岡地検ではなく
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検察や裁判官に謝罪要求 袴田さん再審公判、弁護団方針
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定した袴田巌さん(87)の裁判をやり直す再審公判を巡り、弁護団が、袴田さんは捏造(ねつぞう)された証拠で死刑囚にさせられてきたとして、検察官と裁判官に長年の判断の誤りを謝罪するよう求めることが7日、関係者への取材で分かった。 再審公判に向けた弁護団と静岡地裁、静岡地検による3者協議が10日に地裁で開かれる。弁護団と地検の主張方針を確認し、公判日程などが話し合われる。 弁護団は速やかに無罪判決を得るため、即日結審を要望する。一日で検察側の論告求刑や弁護側の最終弁論まで行うことが難しい場合でも、判決を含め「
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御殿場男性暴行死 傷害致死罪で起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は7日、殺人の疑いで逮捕、送検された小山町菅沼、とび職の男(26)を傷害致死罪で静岡地裁沼津支部に起訴した。地検支部は罪名変更について「捜査によって得られた証拠で判断した」としている。裁判員裁判の対象。 起訴状によると、被告は3月16日午後7時45分ごろ、御殿場市内の会社の資材置き場で、地面にひざまずいた状態の同市新橋、会社員の男性=当時(30)=の頭部に角材のようなものを振り下ろして殴る暴行を加え、脳挫傷により死亡させたとされる。
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女性殺害罪で男起訴 沼津の遺棄事件 地検浜松支部
知人女性を殺害し、遺体を自宅で切断したなどとして静岡地検浜松支部は5日、殺人と死体損壊、死体遺棄の罪で沼津市真砂町の会社員の男(31)を静岡地裁浜松支部に起訴した。裁判員裁判の対象になる。地検浜松支部は、殺害後に遺体を糸のこなどで切断し、ごみ袋に入れて遺棄したとみている。 起訴状によると、被告は2月21日、静岡市内の農道付近に駐車した乗用車内で、磐田市岩井の会社員の女性=当時(33)=の頭部などを鉄製ハンマーで複数回殴った上、充電ケーブルを巻き付けて首を絞めて殺害したとされる。翌日には沼津市内の自宅で遺体を、糸のこなどを使って切断し、ごみ袋に分け入れて自宅3階バルコニーのコンテナ箱や、自宅
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静岡の不動産賃貸会社告発 6600万円脱税疑い
架空の修繕費を計上し法人税と消費税計約6600万円を脱税したとして、名古屋国税局が法人税法違反などの疑いで静岡市の不動産賃貸会社の社長(60)=東京都町田市=と、法人としての同社を静岡地検に告発したことが4日、関係者への取材で分かった。 関係者によると、実際は行っていない修繕の請求書や領収書を協力者に作成させて所得を圧縮。2021年8月までの3年間で、約1億9700万円の所得を隠し、法人税と地方法人税計約4800万円、消費税と地方消費税計約1800万円を免れた疑いが持たれている。 絵画や高級腕時計の購入に充てたほか、自身の口座で貯蓄していたという。
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決定文ウェブ掲載 「地裁が適切判断」 袴田さん再審で最高裁
最高裁の小野寺真也総務局長は4日の衆院法務委員会で、袴田巌さん(87)の再審開始と死刑・拘置の執行停止を認めた2014年の静岡地裁(村山浩昭裁判長)による決定文の裁判所ウェブサイトへの掲載について「決定が確定したことを踏まえ、静岡地裁が適切に判断する」と述べた。立憲民主党の米山隆一氏(新潟5区)への答弁。 小野寺氏は答弁の中で、最高裁は14年当時、刑事再審請求事件のウェブサイトへの掲載基準を明示していなかったと説明した。最高裁は17年、決定告知日の翌々日までに日刊紙2紙が決定を掲載した場合を掲載基準に定めた。 今年3月の東京高裁の再審開始決定を受け、袴田さんの支援団体が静岡地裁にウェブサ
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労組費4600万円着服か マックスバリュ東海 元常任顧問を提訴
食品スーパー「マックスバリュ(MV)東海」(浜松市東区)の労働組合で常任顧問を務めていた女性が少なくとも約4600万円の組合資金を着服した疑いがあることが31日、関係者への取材で分かった。組合は同日までに、女性に約5千万円の損害賠償を求める訴訟を静岡地裁浜松支部に起こした。 提訴したのは「MV東海MYユニオン」で、2月17日付。代理人弁護士や訴状によると、元常任顧問の女性は2018年~19年ごろ、組合に帰属する資金を複数回にわたって口座から引き出し、消失させたとしている。組合の一般会計に計上されない四つの口座を使い分け、有価証券の配当金や、組合オリジナルグッズの売上金などを引き出したとされ
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覚醒剤使用疑い 裾野の男追起訴 露天商不正出店で公判中
静岡地検沼津支部は31日までに、覚醒剤取締法違反の罪で裾野市、無職の被告(66)=詐欺の罪で公判中=を静岡地裁沼津支部に追起訴した。30日付。 起訴状によると、被告は2022年11月3日ごろ、沼津市の東名高速道上りの路肩に止めた車内で覚醒剤を使用したとされる。被告は、富士宮市で同日開かれた富士山本宮浅間大社の秋季例大祭で、露店の出店権を不正に取得したとして詐欺の罪で追起訴されていた。 県東部の祭り会場で露店の出店権を暴力団組員らが不正に得ていたとして、詐欺の疑いで逮捕、送検された土木作業員の男性(49)=長泉町=、土木作業員の男性(24)=沼津市=、無職男性(79)=富士市=、露天商でつ
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器物損壊の疑い 男子中学生を家裁送致 静岡地検浜松支部
静岡地検浜松支部は31日までに、浜松市北区細江町の北区役所駐車場で資源回収ボックスに火を付けた器物損壊の疑いで同市の男子中学生(14)を静岡家裁浜松支部に送致した。 送致は29日付。送致容疑は2月11日正午ごろ、同区役所駐車場に設置されたボックスに火を付けて焼損させた疑い。 現場付近では2月、ごみ集積場のごみ袋などを焼く火災が相次いでいて、細江署が関連を調べている。
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沼津の女子大生刺殺事件 懲役20年確定
沼津市で2020年6月、大学2年の女子学生=当時(19)=を刺殺したとして、殺人やストーカー規制法違反などの罪に問われた同級生の被告(22)について、懲役20年とした一審判決を支持した東京高裁判決が30日、確定した。期限の29日までに被告側、検察側が上告しなかった。 控訴審で検察側は、他のストーカー殺人事件の量刑傾向を示し「無期懲役が相当」と主張したが、高裁判決は検察側が示したのは被害者が2人のケースなどで「悪質性が異なる」と退けた。東京高検の山元裕史次席検事は29日、「適法な上告理由が見いだせなかった」として上告断念を明らかにしていた。 判決によると、20年6月27日、沼津市の駐車場に
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3者協議、4月10日に 袴田さん再審公判へ初 静岡地裁
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直し(再審)が認められた袴田巌さん(87)の弁護団は29日、再審公判に向けた静岡地裁、静岡地検との3者協議が4月10日午後に地裁で開かれることが決まったと明らかにした。 検察側は協議の中で、再審公判で有罪立証するかどうかの方針を示すとみられる。弁護団は早期の無罪判決を求めていく。笹森学弁護士は、再審開始の確定から3週間で初回の協議が開かれることについて、自身も関わり再審無罪となった「足利事件」と比較しながら「相当早い」と述べた。 事件では、発生から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで血痕の赤
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上告断念、遺族「納得いかず」 沼津女子大生ストーカー殺人 二審で懲役20年
沼津市西浦久連で2020年6月、大学生の女性=当時(19)=を刺殺したとして、殺人やストーカー規制法違反の罪に問われた同級生の被告(22)を一審に続き懲役20年とした東京高裁判決について、東京高検は29日、上告を断念したと明らかにした。検察側は控訴審で無期懲役が相当と主張していた。 高検の山元裕史次席検事は「判決内容を十分に検討したが、適法な上告理由が見いだせなかった」とした。遺族は「懲役20年は到底納得がいかない。上告断念は非常に残念」とのコメントを出した。判決によると、被告は20年6月27日午後、沼津市内で女性の腹を包丁で突き刺した上、逃げる女性を路上に転倒させ、首や背中を複数回刺して
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袴田さん釈放9年 静岡地裁決定のウェブ掲載、支援団体が再要請
現在の静岡市清水区で1966年、一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)が釈放されて27日で9年となった。袴田さんの再審開始と死刑・拘置の執行停止を認めた2014年の静岡地裁決定(村山浩昭裁判長)は裁判所のウェブサイトに載っておらず、袴田さんの支援団体は同日、地裁に「日本の刑事裁判史上極めて重要な判例となった村山決定は特筆に値し、広く一般に公開されてしかるべき」として掲載するよう再要請した。 地裁決定を取り消した18年の東京高裁決定と、審理不尽の違法があるとして高裁に差し戻した20年の最高裁決定はウェブサイトに載っている。支援団体によると、21年にも掲載を要請したが、地裁は
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露店不正出店 懲役1年求刑 地裁沼津支部公判
静岡県東部の祭り会場での露店出店権を不正取得したとして、詐欺罪に問われた清掃員の女(52)=裾野市公文名=の論告求刑公判が27日、静岡地裁沼津支部(室橋秀紀裁判官)で開かれ、検察側は懲役1年を求刑した。判決は4月14日。 検察側は論告で、暴力団員のため出店許可を得られない指定暴力団山口組藤友会組員の無職の女(66)=詐欺罪で公判中=にとって「必要不可欠な役割を果たしており、責任は重い」と指摘。弁護側は「売上金は一括して富美夫被告に渡している」として情状酌量を求めた。 起訴状などによると、女は昨年6~8月、暴力団員が実質経営する露店であることを隠し、「沼津夏まつり・狩野川花火大会」と三島市
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冤罪の叫び 司法に届かず【最後の砦 刑事司法と再審/緊急連載 抗告断念㊦】
「検察がてんびんにかけたのは、袴田さんの早期救済ではない。メンツのために特別抗告するか、それとも世論のハレーションを避けるか、というてんびんだった」。日本弁護士連合会再審法改正実現本部の鴨志田祐美本部長代行(京都弁護士会)はそうみている。 みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審開始を東京高裁が認めた13日、検察は最高裁に特別抗告すると多くの関係者が予想した中、鴨志田さんは「50%」と読んだ。 再審開始決定に対する検察の不服申し立てが再審の実現を妨げているとの批判は根強い。不備が指摘される再審法(刑事訴訟法の第4編再審)の改正を求める声の高まりを受
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ねつ造 袴田さんが指摘【最後の砦 刑事司法と再審/緊急連載 抗告断念㊥】
1966年にみそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件で、重要証拠が捏造(ねつぞう)された可能性を誰よりも早く指摘していたのは、死刑が確定した袴田巌さん(87)自身だ。 83年1月、東京拘置所から弁護団の田中薫弁護士に宛てたはがきにも〈血染めのズボン等についての私に対するねつ造〉と書いている。 事件から1年2カ月後、現場近くのみそタンクからシャツやズボンなど「5点の衣類」が見つかる。血痕には赤みが確認できた。一方、袴田さんの再審開始を認めた13日の東京高裁決定は、専門家の化学的知見を踏まえ、1年以上みそに漬かった衣類の血痕に「赤みは残らない」と判断した。 発見直前に隠された可能性が高ま
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社説(3月23日)検察が抗告断念 再審公判の早期開始を
現在の静岡市清水区で1966年6月、みそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件を巡り、死刑が確定した袴田巌さん(87)の裁判やり直し(再審)開始を認めた東京高裁決定に対し、東京高検は最高裁への特別抗告を見送った。高裁での差し戻し審を経て、閉ざされていた再審の扉がようやく開いた。 差し戻し審では、弁護側は争点となった「衣類の血痕の赤み」について、赤みが消失する化学的な仕組みを説明し、確定判決が「犯行着衣」と認定した衣類5点の証拠能力に疑いがあることを明らかにした。検察側に有罪を維持できる根拠は乏しく、静岡地裁で開かれる再審公判では無罪判決が言い渡される公算が大きいとみられている。 開始日時
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無罪へ前進「うれしい」 小さな声、大きな力に 袴田さん再審確定【最後の砦 刑事司法と再審/緊急連載 抗告断念㊤】
「えぇー。私が袴田巌でございます」 拍手で迎えられた。 静岡市葵区の静岡労政会館。21日、再審開始確定後初めての集会が開かれた。 「竜との闘いでありますので、みんなの協力があって勝ち抜ける。よろしくお願いします」 袴田巌さん(87)は支援者が差し出したマイクを手に一気に話すと、さっさと壇上から降りた。会場に入ってから、わずか3分間の出来事だった。 現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定したが、2014年の静岡地裁に続き東京高裁が裁判のやり直し(再審)を認め、検察当局が20日、最高裁に不服を申し立てることを断念した。 静岡地裁の決定を
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袴田さん無罪の公算 再審開始が確定 検察、特別抗告断念 死刑事件で戦後5件目
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めてきた元プロボクサー袴田巌さん(87)の差し戻し後の即時抗告審で、東京高検は20日、再審開始を認めた東京高裁決定について、最高裁に特別抗告しないことを明らかにした。再審開始が確定し、今後、静岡地裁での再審公判に移行する。事件から57年。袴田さんに無罪判決が言い渡される公算が極めて大きくなった。 戦後の死刑確定事件のうち再審が開始されるのは5件目で、89年に静岡地裁で再審無罪となった「島田事件」以来となる。先の4件は全て再審無罪に至った。 東京高検の山元裕史次席検事は記者会見
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「早く無罪に」決意新た 弁護団、抗告断念にうれし涙 袴田さん再審確定【動画あり】
当然の判断だと分かってはいても目にはうれし涙が浮かんだ。一家4人を殺害したとして死刑が確定し、無実を訴えて裁判のやり直し(再審)を求めてきた袴田巌さん(87)の再審開始が20日、検察の特別抗告断念によって確実になった。弁護団は都内で記者会見を開き、二人三脚で取り組んできた支援者に感謝。「袴田さんを早く無罪にしてあげたい」と決意を述べた。事件から半世紀余り。姉のひで子さん(90)は満面の笑顔を見せた。 特別抗告期限を踏まえ、会見は午後4時半に設定されていた。検察の断念が弁護団に伝わったのは、そのわずか1分前。小川秀世事務局長の携帯電話に担当検察官から連絡が入った。 「特別抗告を断念するのか
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半世紀余「長かった」 世論喚起した支援者ら歓喜 袴田さん再審確定
「ノックアウトで勝利」 「やった、やった。長かった」―。検察が特別抗告を断念したとの一報が記者会見場に入ると、「袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会」の山崎俊樹事務局長(69)は声を上げた。 山崎さんは、みそタンクから見つかり犯行着衣とされた「5点の衣類」の不自然さを20年以上にわたって追及してきた。弁護団の実験を主導。みそ漬けの血痕が短期間で黒色化することを示した実験報告書は「無罪を言い渡すべき明らかな証拠に該当する」と評価され、その成果は袴田巌さんの再審開始に結びついた。 20日も検察の庁舎に出向き、弁護団や他の支援者とともに特別抗告を断念するよう要請行動を展開。再審開始の確定を「
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袴田さん再審、20日抗告期限 公開法廷で主張尽くせ 「大崎事件」元裁判官・根本渉弁護士【最後の砦 刑事司法と再審】
強盗殺人罪などで死刑判決が確定した袴田巌さん(87)=浜松市中区=の再審請求を認めた東京高裁決定は、20日に抗告期限を迎える。再審制度の不備や不当を訴える声が法曹界を中心に一層強まる中、袴田さんと同様に審理が長期化している鹿児島県の「大崎事件」の再審請求審を裁判官時代に担当した根本渉弁護士(65)=第一東京弁護士会=が18日までに取材に応じ、「現在の制度は請求当事者にとって納得しがたい形になっている。ルールの整備が必要だ」との認識を示した。 日本弁護士連合会は請求審での検察官による不服申し立て禁止や証拠開示の制度化の必要性を主張している。 根本氏は、検察官の不服申し立てが禁止されれば、「
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「特別抗告の理由ない」 袴田さん再審巡り 元裁判長、検察けん制 都内でシンポ【最後の砦 刑事司法と再審】
みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直し(再審)を求める袴田巌さん(87)の差し戻し後の即時抗告審で、再審開始を認めた東京高裁決定に対し検察が最高裁に特別抗告するかどうかの期限が迫る中、2014年に静岡地裁の裁判長として袴田さんの再審開始を認めて釈放した村山浩昭弁護士が18日、都内のシンポジウムで「特別抗告の理由が全くない。もし特別抗告したら、検察官の抗告は法律で禁止しなくてはいけないという意見がもっともっと高まる」とけん制した。 刑事訴訟法は、特別抗告の要件を憲法違反か判例違反がある場合とする。村山氏は高裁決定について、審理を差し戻した最高裁の課題に答えを出
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証拠隠しが誤判を生む 再審長期化、体質見直せ 名張毒ぶどう酒事件弁護団長・鈴木泉弁護士【最後の砦 刑事司法と再審/番外編インタビュー㊦】
袴田事件の再審開始決定に検察が特別抗告する公算が大きくなる中、検察官抗告の是非が問われている。1961年に三重県で起きた名張毒ぶどう酒事件の再審請求では、無実を訴え続けた奥西勝元死刑囚が請求中に獄中で死亡した。約40年にわたり再審弁護を続ける鈴木泉弁護団長は「検察と裁判所の体質を見直さない限り冤罪(えんざい)はなくならない」と指摘する。 -名張事件では、弁護団が発掘した新証拠から一度は再審開始が出た。しかし検察の異議申し立てにより開始決定が取り消された。 「5次再審の歯形鑑定、再審開始決定につながった7次の毒物鑑定は大きな成果だった。科学はうそをつかない。ただ、異議審で開始決定を取り消し
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特別抗告しない英断を 袴田さん弁護団 高検に申し入れ
1966年に現在の静岡市清水区でみそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件で死刑が確定し、東京高裁で再審開始決定が出た袴田巌さん(87)の弁護団は17日、東京高検に「特別抗告をしないという英断を求める」との申し入れ書を提出した。関係者によると、高検は最高裁に特別抗告する方向で検討している。期限は20日。申し入れ書では「最高裁が万が一にも検察の主張を認めれば、袴田さんを死刑にしなければならない事態に陥ることもある」との危惧を示した。 東京・霞が関の高検前では、支援者が「特別抗告NO!」「無罪」と書かれたプラカードを掲げた。弁護団の村崎修弁護士は「特別抗告の理由が全くないのは明らか。最高裁が救っ
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「特別抗告断念を」SNSで賛同の輪 袴田さん再審開始確定願い【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審開始を認めた東京高裁決定に対して東京高検が最高裁に特別抗告する公算が大きくなる中、弁護団や日本プロボクシング協会袴田巌支援委員会が、特別抗告を断念するよう求める動きをSNSでも強めている。ネット署名は開始から1日で賛同者が2万7000人を超え、増え続けている。 特別抗告の期限は20日。高検が特別抗告しなければ再審開始が確定する。静岡地裁で再審公判が開かれ、袴田さんは無罪になる可能性が高い。特別抗告した場合は、再審開始の可否をめぐる審理が最高裁で続く。 ネット署名は、戸舘圭之弁護士
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検察に反論へ鑑定書、弁護団準備 みそ漬け実験結果 袴田さん再審
強盗殺人罪などで死刑判決が確定した袴田巌さん(87)=浜松市中区=の再審開始を認めた東京高裁決定を受け、弁護団が16日、都内で記者会見し、検察側のみそ漬け実験の結果を分析した専門家の鑑定書を準備していると明らかにした。事務局長の小川秀世弁護士は「今後予想される検察側の主張への反論になり得る」として、特別抗告を検討中とみられる検察側をけん制した。 弁護団は同日、鑑定書の概要を盛り込んだ書面を東京高検に提出し、特別抗告の断念を改めて求めた。 東京高裁での差し戻し審では、事件発生の1年2カ月後にみそタンクから見つかった犯行着衣とされる衣類の血痕に、赤みが残るかどうかが争点だった。 弁護団が準
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沼津・鉄道高架訴訟 控訴審も請求棄却 東京高裁
JR沼津駅付近の鉄道高架事業は不要として、元地権者らが国や静岡県などを相手に事業認定の無効確認などを求めた控訴審判決で、東京高裁は16日、一審の静岡地裁判決を支持し、原告側の訴えをいずれも棄却した。 原告側は、事業効果指標の一つの「費用便益比」が同事業で1・1と便益が費用を上回るとしている点について、鉄道高架事業と周辺の土地区画整理事業と一体で算定されないことで、費用が過小に評価されているなどと主張した。 三角比呂裁判長は判決理由で「鉄道高架化事業の必要性は失われていない。費用便益比は1を上回り、事業を継続することに違法はない」と退けた。 原告団の団長は「証拠を示したが、聞き入れられな
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飲酒ひき逃げで元NPO職員有罪 地裁浜松支部判決
湖西市で2022年12月、業務で児童を送迎中に乗用車を飲酒運転して事故を起こし、その場から逃走したとして自動車運転処罰法違反(過失傷害アルコール等影響発覚免脱)と道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われた元NPO職員(60)の判決公判で、静岡地裁浜松支部は16日、懲役1年6月、保護観察付き執行猶予3年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。 杵渕花絵裁判官は判決理由で「相当量の焼酎を飲んだ状態で子どもたちを乗せたことは強く非難される」などと悪質性を指摘した。アルコール依存症が原因と自覚して治療の意思は示しているものの、「家族による監督にも限界があるため、保護観察が相当」と判断した。 判決によると、被
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過失運転傷害で磐田の男性無罪 相手車両「異常な速度」 地裁浜松支部判決
2020年に磐田市の交差点で乗用車を運転中に右折する際、優先道路を走行していた乗用車と衝突して運転者の男性=当時(66)=に重傷を負わせたとして自動車運転処罰法違反(過失傷害)の罪に問われた同市の男性会社員(65)の判決公判で、静岡地裁浜松支部は16日、無罪(求刑罰金10万円)を言い渡した。大村泰平裁判長は、相手車両が制限を大きく上回る「異常な速度」で接近してきた状況を指摘し、「安全確認義務を怠ったとはいえない」と断じた。 事故は20年1月5日早朝に発生した。男性会社員は一時停止標識に従って停車後に発進し、優先道路に右折で合流しようとした際、左側から走行してきた相手車両と衝突した。同車両は
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自白偏重が冤罪要因に 「無実発見」判事の務め 元判事・井戸謙一弁護士【最後の砦 刑事司法と再審/番外編インタビュー㊥】
袴田事件の再審開始を認めた13日の東京高裁の決定は、袴田巌さん(87)の犯行着衣とされた「5点の衣類」を捜査機関が隠した可能性が「極めて高い」と指摘した。元判事で、再審無罪となった湖東記念病院事件(滋賀県)の井戸謙一弁護団長は「自白があれば客観的な裏付けをおろそかにし、有罪方向に進んでいくことが問題」と現在の刑事司法の在り方を批判する。 -袴田事件の再審開始決定についての評価は。 「合理的な判断で、『疑わしきは罰せず』の刑事裁判の精神を踏まえた決定。新証拠の新規性も明白性もある。これで検察が抗告するようなら恥の上塗りだ。日野町事件、袴田事件と再審開始が続いたことで、他の事件の裁判官も再審
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袴田さん再審 特別抗告、判断いかに 東京高裁決定受け検察 期限は20日 要件が壁、断念なら無罪公算
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん(87)を巡り、東京高裁が再審開始を認める決定をしたのに対し、東京高検は期限の20日までに最高裁に特別抗告するかどうかを決める。決定は弁護側の主張を全面的に認めたことに加え、抗告の要件は憲法違反か判例違反に限られており、ハードルは高い。ただ過去にも再審開始決定に特別抗告したケースはあり、判断が注目される。 特別抗告すれば最高裁が改めて審理し、結論まで年単位の時間がかかるとの見方もある。袴田さんは高齢で、第2次再審請求は申し立てから15年近くが過ぎ、弁護側は抗告断念を強く求めている。抗告しなけ
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沼津の女子大生刺殺 二審も20年 検察の控訴棄却
沼津市西浦久連で2020年6月、大学生の女性=当時(19)=を刺殺したとして、殺人やストーカー規制法違反の罪に問われた被告(22)の控訴審判決で東京高裁は15日、懲役20年とした一審静岡地裁沼津支部の裁判員裁判判決を支持し、無期懲役を求めて争った検察側の控訴を棄却した。 検察側はストーカー殺人類型の裁判例を示し、同類型の量刑傾向などを踏まえれば、無期懲役が相当だと主張していた。安東章裁判長は、検察側が同類型として示した裁判例は、通り魔や無差別などの事案、前科や別の被害者への併合事件がある事案で、「今回の事件とは悪質性が異なる」と検察側の主張を退けた。 一審判決によると、被告は20年6月2
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あしき「当然抗告」 証拠評価絶対と思い込み 元検事・市川寛弁護士【最後の砦 刑事司法と再審/番外編 インタビュー㊤】
東京高裁は13日、一家4人を殺害したとして死刑判決が確定した袴田巌さん(87)の裁判をやり直すこと(再審開始)を認めた。高裁の決定を不服として検察が最高裁に特別抗告するかが焦点だ。元検察官の市川寛弁護士は「今の検察庁は、再審請求事件は必ず最高裁まで争うという方針を立てているとしか思えない」と指摘する。 ―高裁決定の印象は。 「特別抗告される可能性を意識し、最高裁でも決定を守り切れるよう、丁寧に丁寧に一つずつ検察の主張を蹴っている。(審理不尽の違法を理由に高裁に差し戻した)最高裁の問いに十二分に答える決定になっている」 ―大阪高裁が2月に「日野町事件」の再審開始を認める決定を出したが、検
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自宅で放火 御殿場の女起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は14日、現住建造物等放火の罪で御殿場市沼田、無職の女(63)を静岡地裁沼津支部に起訴した。裁判員裁判の対象となる。 起訴状などによると、被告は2月21日午前、自宅2階でソファに灯油をまくなどして火を放ち、床などを焼損したとされる。火災で同居する夫がのどと両手にやけどを負った。
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ソーラー設営会社など起訴 函南での造成巡り 地検沼津支部
函南町丹那の山中に無許可で大規模な盛り土が造成された事件で、静岡地検沼津支部は14日までに、町条例違反の罪で清水町のソーラー設営会社「ソーラーセキュリティ」と同社社長(53)=沼津市下香貫=を静岡地裁沼津支部に起訴した。13日付。 起訴状などによると、被告は2021年8~10月、函南町長の許可を受けずに、事業として同町丹那に土砂を埋め立てたなどとされる。 被告は23年2月、沼津市の運送業会社役員の男性(47)、御殿場市の建設業の男性(41)と共に町条例違反の疑いで逮捕・送検された。同支部は3月13日付で男性2人を処分保留で釈放した。今後も捜査を続ける。
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再審法制問題の「縮図」 袴田さん請求審 証拠開示の在り方、長引く審理 日弁連「法改正の好機」
2008年に始まった袴田巌さん(87)の第2次再審請求審は、再審法(刑事訴訟法の第4編再審)が抱える「制度的・構造的な問題の縮図のような状況にある」(県弁護士会)と指摘されてきた。検察官の手元に残されていた約600点もの証拠が開示され、静岡地裁が14年に再審開始を認める上で重要な役割を担った。一方、検察官が再審開始決定に不服を申し立てたことで請求審は長引いた。弁護団は再審の請求人であり、袴田さんの姉ひで子さん(90)の年齢を考慮し、袴田さんの2人目の保佐人に選ばれた弁護団の弁護士を請求人に追加するよう東京高裁に求め、認められた。高裁が13日、袴田さんの再審開始を認めたことで再審法の改正を求め
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「この日を待っていた」袴田さん姉ひで子さん涙 無実信じ57年
一度は閉ざされた重い扉が再び開いた。東京高裁が13日、袴田巌さん(87)の再審開始を認めた。袴田さんの逮捕から57年間、無実を信じ続けた姉のひで子さん(90)は目頭を押さえ、「この日を待っていた」と声を震わせた。一方、検察が最高裁に特別抗告する可能性もあり、支援者はさらなる長期化を危惧する。 雨が打ち付ける中、正午ごろから高裁正門前には支援者や報道陣計約150人が集まった。雨がやんだ午後2時2分、高裁から正門に小走りで駆けてきた弁護団の2人が「再審開始」「検察の抗告棄却」の垂れ幕を掲げると、支援者から拍手と歓声が起こった。続いて、弁護団の小川秀世事務局長と庁舎から出てきたひで子さんは支援
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袴田さん再審認める 捜査側の「証拠捏造」指摘 東京高裁差し戻し審決定
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めている袴田巌さん(87)の差し戻し後の即時抗告審で、東京高裁(大善文男裁判長)は13日、検察側の即時抗告を棄却し、再審開始を認める決定を出した。 事件から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかり、袴田さんの犯行着衣とされた「5点の衣類」について、捜査機関が隠した可能性が「極めて高い」と指摘。捜査側の証拠捏造(ねつぞう)に言及した。袴田さんを「到底犯人と認定することはできない」としたほか、5点の衣類以外の旧証拠に「犯人性を認定できるものは見当たらない」と判断した。
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支援者の実験、大きな成果 袴田巌さん「救援する会」歓喜 5点の衣類、不自然さ追及が突破口に 東京高裁 再審認める決定
一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の無実を証明しようと、弁護団と二人三脚で活動してきたのが支援者たちだ。とりわけみそ漬けの状態で発見され、犯行着衣とされた「5点の衣類」に疑問を突きつけてきた「みそ漬け実験」は、静岡地裁に続いて東京高裁が再審開始を認める大きな根拠となった。20年以上にわたり実験を主導する「袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会」の山崎俊樹事務局長(69)は「市井の人間の素朴な疑問で『おかしい』と言い続けてきたことが、やっと認められた」と喜びをかみしめた。 みそ漬け実験のルーツは2000年にさかのぼる。最初は「5点の衣類」の色や付着した血痕の色ではなく、
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社説(3月14日)袴田さん再審決定 早期開始 司法の責任だ
現在の静岡市清水区で1966年6月、みそ製造会社専務一家4人が殺害された「袴田事件」の裁判やり直し(再審)を求める第2次請求の差し戻し審で、東京高裁は再審開始を決定した。 事件発生から間もなく57年となる。最高裁で死刑が確定してからも42年が経過した。裁判で一貫して無実を訴えてきた袴田巌さん(87)が、司法に翻弄[ほんろう]されてきた期間はあまりにも長い。死刑囚としての長期間の拘禁は袴田さんの心身をむしばんだ。 決定に対して検察側が特別抗告をすれば、舞台は最高裁に移り、再審の可否を巡る審理はさらに長引く。これ以上時間を掛けることが果たして正しいといえるだろうか。東京高裁は決定で「確定判決
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袴田さん再審認める 差し戻し審 東京高裁決定
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めている元プロボクサー袴田巌さん(87)の差し戻し後の即時抗告審で、東京高裁(大善文男裁判長)は13日、検察側の即時抗告を棄却し、袴田さんの再審開始を認める決定をした。東京高検は最高裁に特別抗告するか検討するとみられる。 事件では、発生から1年2カ月後に現場近くのみそタンクでシャツやズボンなど「5点の衣類」が見つかり、確定判決は袴田さんの犯行着衣と認定している。しかし、付着した血痕には赤みが残り、弁護団は「不自然」として捏造(ねつぞう)された証拠だと指摘。長期間みそに漬か
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袴田さん再審可否 13日決定 高裁差し戻し審
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めている元プロボクサー袴田巌さん(87)の差し戻し後の即時抗告審で、東京高裁は13日、再審開始の可否を決定する。検察側の即時抗告を棄却して再審開始を認めるのか、再審請求を棄却するのか。高裁の判断が注目される。 事件発生から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで「5点の衣類」が見つかり、袴田さんの犯行着衣とされた。しかし、付着した血痕には赤みが残り、弁護団は「不自然」として捏造(ねつぞう)された証拠だと指摘してきた。静岡地裁は2014年、DNA型鑑定結果を最大の根拠に袴田さんの
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袴田さんの請求審 静岡地裁決定ウェブ掲載を 支援団体要望
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の第2次再審請求審で、東京高裁は13日、再審開始の可否について判断を示す。第2次請求を巡り、静岡地裁は2014年に再審開始と死刑・拘置の執行停止を決め、袴田さんを釈放した。一転して請求を棄却した東京高裁決定、審理を差し戻した最高裁決定とは異なり、地裁決定だけ裁判所のウェブサイトに掲載されていない。支援団体が「不合理だ」として公開を強く望んでいる。 東京高裁での審理は、検察側が静岡地裁の再審開始決定を不服として即時抗告したために行われてきた。各地の支援団体で組織する「袴田巌さんの再審無罪
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袴田さん87歳に 浜松市の自宅で誕生会 再審可否決定、目前に控え
無実を訴えながらも死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さんが10日、87歳の誕生日を迎えた。再審開始の可否を巡る東京高裁の決定を13日に控え、姉ひで子さん(90)は「再審開始を願っている」と話した。 浜松市の自宅で誕生会が開かれ、ひで子さんは革の手袋を、支援者は花束や財布をプレゼントした。袴田さんは年齢を問われ「21だと決めちゃっているんだ。それ以上、年をとらん」。ひで子さんについて「姉ということじゃあね、こき使うわけにもいかない」と言って、周囲を笑わせた。 近ごろは支援者の運転する車でドライブに出かけることが日課になっている。ひで子さんは「100歳ぐらいまで丈夫に生きてもらいたい」と目を
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裁判員「若者の視点必要」 地裁浜松支部 経験者ら意見交換
裁判員経験者と法曹三者による意見交換会が10日、静岡地裁浜松支部で開かれた。成人年齢の引き下げで18、19歳の国民が裁判員に選ばれるようになったことについて、経験者からは「事件が複雑化する中、若い人の視点も必要になる」と歓迎する声が上がった。 出席した経験者は40~70代の男女8人。同支部で開かれた殺人や傷害致死、放火、強制性交致傷といった刑事事件公判を担当した。 18、19歳が裁判員を務めることについて、60代の男性は「SNS(交流サイト)が絡んだ犯罪が増えている。若者の意見があるとありがたい」と述べた。40代の女性会社員からは「わいせつ事案などの場合、ストレスを与えないようにする配慮
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強制不妊訴訟、国が控訴 静岡地裁判決に不服
旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたのは憲法違反だとして、聴覚に障害のある県内の女性が国に3300万円の損害賠償を求めた訴訟を巡り、国は9日、旧法を違憲と判断して国に1650万円の支払いを命じた2月の静岡地裁判決を不服とし、東京高裁に控訴した。 訴訟は不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」の扱いが焦点だった。地裁判決は「国が全国的かつ組織的な施策によって優生手術を強いられた事実を知り得ない状況を殊更に作出し、そのために原告がその事実を知ることができなかった」と指摘。除斥期間の効果を制限するのが相当だと判断した。 旧法に基づく優生手術について、幸福追求権な
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事故偽装で詐欺 男3人を起訴 地検浜松支部
浜松市で若い男のグループが飲酒運転絡みの交通事故を自作自演し、同乗者から示談金をだまし取ったとされる事件で、静岡地検浜松支部は9日までに、詐欺などの罪で住所不定、無職の男(21)、同市の建設業の男(30)の両被告=別の詐欺事件で起訴=を静岡地裁浜松支部に追起訴し、磐田市の建設業の男(34)を同支部に起訴した。追起訴、起訴は7日付。 起訴状などによると、3人は共謀して8月5日夜、乗用車と歩行者の接触事故を故意に起こし、同乗していた20代女性に示談金を請求して150万円をだまし取ったとされる。無職の男、浜松市の建設業の男の両被告は同女性からさらに130万円をだまし取ったとされる。 無職の男は
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旧優生保護法訴訟で国が控訴
旧優生保護法下で不妊手術を強制されたのは憲法違反として、聴覚に障害のある県内の女性が国に損害賠償を求めた訴訟で、国は9日、旧法を違憲と判断して国に1650万円の支払いを命じた2月の静岡地裁判決を不服とし、東京高裁に控訴した。
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元校長の再審認めず 最高裁、特別抗告棄却 旧天竜林高事件
旧天竜林高(浜松市天竜区)で起きた大学推薦入試の調査書改ざん・贈収賄事件を巡り、加重収賄罪などで有罪が確定した元校長(75)の再審請求で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は元校長の特別抗告を棄却したことが8日までに、関係者への取材で分かった。再審開始を認めない判断が確定した。 決定は6日付。元校長と弁護団が8日、郵送された書面を確認した。特別抗告審で弁護側は、検察から新たに開示された元天竜市長(90)=贈賄罪で罰金刑確定、再審請求中=への警察の取り調べを記したメモを受け、自白の信用性を追求。現金の授受があったとされる日の元市長の行動履歴を裏付ける証拠の開示も求めていた。 これに対し最高裁
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伊東・メガソーラー建設 住民側の訴え棄却 東京高裁
伊東市八幡野の大規模太陽光発電所(メガソーラー)建設を巡り、反対住民が静岡地裁での判決の取り消しと差し戻しを求めた控訴審判決で、東京高裁は8日、原告の訴えをいずれも棄却した。 住民側が同市を相手取り、宅地造成等規制法に基づく事業許可処分の無効確認などを求めた訴訟の判決で、静岡地裁は「原告適格を欠き不適法」と訴えを却下。住民側が高裁に控訴していた。 控訴審判決は、原告住民が「工事に伴う崖崩れや土砂の流出による直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に住居を有し、居住する者とはいえない」と結論づけ、原告適格を認めなかった。 原告団長の佐藤みつ子さんは「全く承服できるものでなく、不当な
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大自在(3月9日)最終ラウンド
2004年、米国の元黒人ボクサーから1歳年上の日本の元ボクサーに激励の手紙が届いた。差出人は白人3人が殺害された事件で終身刑が宣告された後、無罪を勝ち取ったルービン・カーター氏。現役時代は「ハリケーン」の名で活躍した。 手紙は現在の静岡市清水区で発生した一家4人殺人事件で死刑判決が確定した後、無実を訴えている袴田巌さんが受け取った。同じ1966年に起きた二つの事件。カーター氏は19年の獄中生活を経て自由の身になっていたが、袴田さんはまだ東京拘置所に収監されていた。 米国ではカーター氏が身の潔白を叫び始めると、人種差別を象徴する事件として注目を浴び、支援の輪が一気に広がった。米国を代表する
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旧天竜林高事件 再審認めない判断確定
旧天竜林高(浜松市天竜区)で起きた大学推薦入試の調査書改ざん・贈収賄事件を巡り、加重収賄罪などで有罪が確定した元校長(75)の再審請求審で、最高裁は8日までに請求を棄却したことが関係者への取材で分かった。
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事故偽装し示談金詐欺 男に有罪判決 地裁浜松支部
飲酒運転の絡む交通事故を自作自演し、同乗者の女性から示談金をだまし取ったなどとして、詐欺などの罪に問われた浜松市北区の会社員の男(22)の判決公判で、静岡地裁浜松支部は7日、懲役2年4月、執行猶予4年(求刑懲役2年6月)を言い渡した。 高島由美子裁判官は判決理由で、被告が詐欺グループに加わった経緯を「分け前ほしさから、(誘いに)安易に応じた」と指摘し、車と衝突する歩行者役を務めるなど「犯行では、必要不可欠な役割を果たした」と断じた。一方、全額の被害弁償を済ませていることなどを考慮し、執行猶予が相当とした。 判決によると、仲間と共謀して2022年9月18日、同市中区の市道で、乗用車と歩行者
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不法残留で起訴 殺人未遂は処分保留 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は7日、御殿場市で1月中旬、ベトナム国籍の男性に切りつけたとして殺人未遂の疑いで、逮捕、送検された同国籍、住所不定、無職の容疑者(29)を、入管難民法違反(不法残留)の罪で静岡地裁沼津支部に起訴した。 起訴状などによると、被告は在留期間の2022年10月18日までに出国せず、23年1月23日まで御殿場市内などに居住するなどして不法残留したとされる。 同支部によると、殺人未遂容疑については、処分保留にしたという。捜査は継続する。
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「一日も早く自由の身に」 袴田さん救援議連 都内で集会
一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(86)の再審開始の可否を巡る東京高裁の決定が迫る中、袴田巌死刑囚救援議員連盟は6日、衆院第1議員会館で集会を開いた。与野党の国会議員ら約20人が出席し、袴田さんの姉ひで子さん(90)を前に「一日も早く袴田さんが自由の身になれるよう頑張りたい」と決意を新たにした。 支援団体は議連の塩谷立会長(衆院比例東海)に対し、斎藤健法相宛ての要請書を手渡した。要請書は、東京高裁が再審開始を認めた場合は検察官に特別抗告を断念させるよう、請求を棄却し死刑と拘置の執行停止を取り消した場合には釈放状態を維持するよう、指揮権の発動を求めている。 ひで子さんは「あ
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曲乗りを見せようと、走行する車の屋根に乗った疑い 男子大学生ら書類送致
静岡中央署は6日、道交法違反(乗車積載方法違反)の疑いで焼津市の男子大学生(21)を静岡区検に、藤枝市の自称とび職の少年(17)と同市の男子高校生(17)を静岡家裁に書類送致した。3人の送致容疑は昨年10月30日午後10時20分ごろ、静岡市葵区の県道で走行中の乗用車に乗っていた際に、曲乗りを見せようと、乗車設備のない車両の屋根の上に乗った疑い。当日はハロウィーン前日で、現場となった同区の中心市街地は混雑していたという。居合わせた非番の警察官が目撃した。
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親族3人殺害の男起訴 刑事責任問えると判断 静岡地検浜松支部
浜松市中区佐鳴台の住宅で2022年3月、無職の男性=当時(79)=ら3人を殺害したとして、静岡地検浜松支部は3日、殺人の罪で男性の孫の無職の男(23)を静岡地裁浜松支部に起訴した。2回の鑑定留置の結果、刑事責任を問えると判断した。裁判員裁判の対象になる。 起訴状によると、被告は同年3月8日夜、自宅で、男性と男性の妻で美容師の女性=同(76)=、被告の兄で同区萩丘の会社員の男性=同(26)=の3人を殺害したとされる。いずれもハンマーなどで頭部を多数回にわたって殴打するなどの暴行を加え、外傷性くも膜下出血や外傷性ショックで死亡させたとみられる。 同支部は22年4月、被告の事件当時の精神状態を
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牧之原の中国人男性殺害 被告に実刑判決 静岡地裁
牧之原市片浜の会社員の男性=当時(41)、中国籍=が殺害された事件で殺人と窃盗の罪に問われた菊川市本所、中国籍の無職の被告(48)の裁判員裁判判決公判で、静岡地裁は3日、懲役11年(求刑懲役18年)を言い渡した。 国井恒志裁判長は判決理由で「犯行経緯は短絡的で強い非難に値するが、未必的な殺意にとどまる」と指摘。「殺人については自首が成立する」とも述べた。 判決によると、被告は2021年7月8日、牧之原市片浜の男性宅で、男性の背中などを金属バットで多数回にわたって殴打し、殺害。その際、男性の携帯電話などを盗んだ。
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伊豆・廃棄物混じり土砂流出 宗教法人に賠償命じる 静岡地裁沼津支部
宗教法人の敷地に搬入された廃棄物混じりの土砂が市有地に流出しているとして、伊豆市が宗教法人平和寺本山(同市大平柿木)女性代表役員ら4人に廃棄物と土砂の除去や約3495万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、静岡地裁沼津支部(斎藤巌裁判官)は3日、同法人に約3113万円の支払いと土砂の除去を命じた。 判決などによると、崩落防止措置を講じることなく、大量の廃棄物と土砂を敷地内に不法投棄し市有地に流入させた。土砂の除去のほか、市が行った水質・土壌検査や柵の設置費などを賠償すべきとした。 菊地豊市長は「主張がおおむね認められたことには安堵(あんど)しているが、住民の安心感が得られたわけではない。
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商業施設で夫婦死傷 運転の74歳に有罪判決 静岡地裁浜松支部
浜松市浜北区の商業施設「プレ葉ウォーク浜北」で2022年8月、軽乗用車を運転中に70代の夫婦に衝突して女性を死亡させ、男性にけがを負わせたとして、自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)の罪に問われた同区西美薗、無職の女(74)の判決公判で、静岡地裁浜松支部は3日、禁錮2年6月、執行猶予5年(求刑禁錮2年6月)を言い渡した。 大村泰平裁判官は判決理由で、ブレーキとアクセルを踏み間違える基本的な誤りをした過失は大きく、警察官の到着まで車から降りなかった事故後の対応も芳しくないと指摘した。一方、執行猶予を付けた理由について、一時的なペダル操作の誤りで「同種の過失運転致死傷罪の中で非難の程度が特に
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会社の資金着服 元財務課長起訴 地検富士支部
静岡地検富士支部は1日、富士市の食品用素材製造業「日本食品化工」富士本社の口座から約3300万円を着服したとして、業務上横領の罪で岡山県倉敷市、同社の元財務課長で仕分け作業員の男(52)を静岡地裁富士支部に起訴した。 起訴状によると、被告は財務課長の立場を利用し、昨年1月11日から同年8月15日までの間、同社名義の預金口座から56回にわたり現金計約3300万円を引き出し、私的に使うために着服したとされる。 同社は被告が約10年間で計約3億800万円を着服していたと公表している。
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旧優生保護法問題 「全面救済」を要請 静岡県弁護士会が声明
旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたのは憲法違反として、聴覚に障害のある静岡県内の女性が国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁が旧法を違憲と判断、国に1650万円の賠償を命じたことを受け、県弁護士会は28日、被害者の全面的な救済を求める伊豆田悦義会長名の声明を公表した。 声明は、静岡地裁判決を高く評価した。不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」の適用を制限したのが全国で5件目だったとして「司法は、正義公平の観点から被害者の救済姿勢を完全に固めた」と指摘し、国に対して控訴しないよう強く要請した。 その上で、一時金支給法の抜本的な見直しや優生思想に基づく
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証拠開示大きな役割 袴田さん再審請求審と日野町事件の共通点
大阪高裁が27日に再審開始を認めた「日野町事件」は、3月13日に東京高裁の再審可否決定を控える袴田巌さん(86)の第2次再審請求審の経過と共通点が見られる。ともに、再審開始の判断が導かれる上で検察官の手元に残されていた証拠の開示が大きな役割を果たし、再審開始決定に対して検察官が即時抗告したため請求審が長期化。関係者は速やかな救済に向け、規定が乏しい再審法(刑事訴訟法の再審規定)を改正する必要性に言及した。 「(検察官は)特別抗告すべきではない。いたずらにわれわれの時間を奪うべきではない。一日も早く再審公判を開いてほしい」。大阪高裁決定後の記者会見で、再審請求を申し立てていた阪原弘元受刑者の
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残土処分会社を起訴 静岡の巨大盛り土巡り 静岡地検、社長ら2人も
静岡市葵区日向、杉尾両地区に巨大盛り土が造成された事件を巡り、静岡地検は27日、県砂防指定地管理条例違反の罪で同区の残土処分会社「富田建材」と社長ら2人を静岡地裁に起訴した。 起訴された2人は、同社社長の被告(41)=同市=と父親で前社長の無職の被告(84)=同=。起訴状などによると、2人は共謀し、昨年6月5日までに会社業務として、両地区の砂防法の盛り土規制区域「砂防指定地」に知事の許可を受けずに盛り土を造成し、土地の形状を変更したとされる。 関係者によると、同社は主に静岡市内の建設残土の運搬作業を担い、所有する土地に搬入していた。2005年ごろには日向地区で盛り土の造成行為が確認され、
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富士宮の祭りで露店不正 組員ら3人追起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は27日、富士宮市の「富士山本宮浅間大社の秋季例大祭」で露店の出店権を不正に取得したとして詐欺の罪で、指定暴力団山口組藤友会組員ら3人を静岡地裁沼津支部に追起訴した。 追起訴されたのは、組員の男(77)=富士市中里、無職=と男(66)=裾野市深良、無職=、露天商の女(55)=富士市中里=の3被告。 起訴状などによると、組員の男(77)と露天商の女(55)は共謀して2022年10~11月、暴力団員が実質経営する露店であることを隠して、祭りの運営委員会などに出店申込書や誓約書などを提出し不正に出店の権利をだまし取ったとされる。男(66)も同様の内容とされる。 3被告は「沼津
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静岡県警自殺訴訟 上告議案を可決 県議会
静岡県議会2月定例会は27日、追加で上程された損害賠償請求訴訟の上告と上告受理申し立ての議案を賛成多数で原案通り可決した。 議案は、2012年に自殺した県警の30代男性警部補の妻子が県に損害賠償を求めた訴訟で、過重な業務と自殺の因果関係を認めて県に1億135万円の支払いを命じた一審広島地裁福山支部判決を支持し、県の控訴を棄却した広島高裁の判決を不服として最高裁に上告する内容で、県議会に議決を求めた。
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警察官自殺訴訟 上告議案提出へ 静岡県、議運で説明
静岡県は24日、2012年に自殺した県警の30代男性警部補の妻子が県に損害賠償を求めた訴訟で、広島高裁が控訴棄却とした判決を不服として、最高裁に上告する議案を開会中の県議会2月定例会に追加提出することを議会運営委員会で説明した。 議案は、27日に追加提出され、委員会付託をせずに即日採決をする見通し。 訴訟は、妻子が警部補の自殺は過重な業務が原因として県に損害賠償を求めて提訴。一審の広島地裁福山支部は県に1億135万円の支払いを命じた。広島高裁は今月17日、一審判決を支持し、控訴を棄却した。
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弁護団「勝訴の流れ加速」 国に控訴断念要請へ 強制不妊、静岡も違憲
旧優生保護法(1948~96年)に基づく強制不妊手術を憲法違反と認め、国に賠償を命じた24日の静岡地裁判決を受け、原告の弁護団は静岡市葵区で記者会見を開いた。大橋昭夫団長は「原告の苦しみを理解した判決だと評価したい。きっぱりと国の優生思想を断罪したことは、(一連の訴訟で)勝訴の流れを加速させる」と期待を込めた。 聴覚に障害のある県内の女性は2019年、静岡地裁に国を提訴した。前年、県聴覚障害者協会の小倉健太郎事務局長や前田智子事務局次長が被害実態調査で初めて面会。「国に賠償を求める裁判を起こすことができる」と伝えたが、女性はすぐにはのみ込めない様子だった。以後、30回以上対面する中で少しず
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強制不妊 静岡も違憲判断 地裁判決 国に賠償命令
旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたのは憲法違反として、聴覚に障害のある県内の女性が国に3300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁は24日、旧法は違憲と判断し、国に1650万円の支払いを命じた。一連の訴訟で、国への賠償命令は昨年の大阪、東京両高裁と今年1月の熊本地裁に続き4例目。 不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」をどう扱うかが焦点だった。原告側は「前代未聞の人権侵害を時の経過によって不問に付すことは許されない」と主張し、国側は適用するよう求めてきた。 増田吉則裁判長は判決理由で「国が全国的かつ組織的な施策によって優生手術を強いられた事実を
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かけ子監禁 懲役7年 地裁沼津支部判決「特殊詐欺でも役割」
特殊詐欺グループから脱退しようとした「かけ子」の監禁事件で、監禁や暴行、詐欺などの罪に問われた東京都練馬区、無職の男(32)の判決公判で、静岡地裁沼津支部は24日、懲役7年(求刑懲役8年)を言い渡した。 判決で室橋秀紀裁判官は、監禁事件で「かけ子の調達や管理の一翼を担っていた被告が、共犯者に指示して犯行を主導した」と指摘。詐欺事件では、特殊詐欺グループの主犯格とかけ子らの間に立って重要な役割を果たしたと述べた。 判決によると、被告はいずれも無職の男(22)=沼津市、監禁と暴行罪で有罪判決が確定=と別の男(22)=富士宮市、監禁罪で有罪判決が確定=と共謀し、昨年3月、脱退しようとしたかけ子
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強制不妊、国に賠償命令 旧優生保護法訴訟で静岡地裁判決
旧優生保護法下で不妊手術を強いられたとして、聴覚に障害のある静岡県内の女性が国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁は24日、旧法を違憲と判断し、国に1650万円の支払いを命じた。一連の訴訟で、国への賠償命令は地裁段階では2例目。
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伊東メガソーラー改善命令 経産省「取り消し適切」 市、回答明かす
伊東市は市内の大規模太陽光発電所(メガソーラー)建設で、経済産業省が事業者の伊豆メガソーラーパーク合同会社に出していた再エネ特措法に基づく改善命令を取り消したことで同省に説明を求め、回答を得た。小野達也市長が22日の定例記者会見で内容を明らかにした。 事業者と同市は静岡地裁で係争中。事業者が市のメガソーラー規制条例に基づく市長の同意義務や事業の中止義務がないことの確認を求めている。経産省は市から条例違反との情報提供を受け、改善命令を出した。 市によると、経産省は回答で「訴訟における状況等を踏まえ、現時点においては改善命令の取り消しが適切であると判断した」とした。また「省として条例違反に関
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児童送迎中に飲酒ひき逃げ 元NPO職員の男に1年6月求刑 地裁浜松支部公判
湖西市で2022年12月、業務で児童を送迎中に乗用車を飲酒運転して事故を起こし、その場から逃走したとして、自動車運転処罰法違反(過失傷害アルコール等影響発覚逸脱)と道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われた元NPO職員、無職の男(60)の公判が21日、静岡地裁浜松支部で開かれた。検察側は懲役1年6月を求刑し、結審した。 検察側は、被告が今回の事件以前にも数回、勤務中に飲酒していたと指摘。「(飲酒運転などの)常習性は否定できない」と主張した。弁護側は、アルコール依存症治療に前向きなことや、運転免許再取得の意思がないことを理由に執行猶予付き判決を求めた。 起訴状などによると、被告は22年12月5日
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ネイルサロン放火 元従業員を起訴 地検浜松支部
静岡地検浜松支部は21日、勤務先のネイルサロン店内に火を付けたとして、現住建造物等放火などの罪で富士市、元従業員の無職の女(27)を静岡地裁浜松支部に起訴した。裁判員裁判の対象となる。 起訴状などによると、被告は2018年3月26日午後6時10分ごろ、当時袋井市内にあったネイルサロン事務室に何らかの方法で火を放ち、建物の一部を焼損させたなどとされる。店舗は2階建てで2階が住居部分だった。
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放課後デイ理事長 別施設の詐欺認める 地裁浜松支部公判
浜松市のNPO法人「アンへレス」が放課後等デイサービス施設の運営に関する給付金を詐取したとされる事件で、詐欺の罪に問われた同市中区、同法人理事長の女(65)の第2回公判が20日、静岡地裁浜松支部(高島由美子裁判官)で開かれた。追起訴された別の放課後等デイサービス施設に関する詐欺罪の審理が行われ、被告は起訴内容を認めた。 起訴状などによると、被告は2019年から20年までの間に、同市北区の「天使の部屋 初生教室」で児童発達支援管理責任者(児発管)を配置したように装って8回にわたり市に障害児通所給付費を請求し、不正受給額642万円を含む給付費3737万円をだまし取ったとされる。 被告は同市中
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再審法改正に向け奔走 判断しやすい環境追求【最後の砦 刑事司法と再審⑨/第2章 語り始めた元裁判長㊦】
一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(86)の再審開始決定を静岡地裁の裁判長時代に手がけた村山浩昭さん(66)は、その当時から「裁判員の方には気付かされることが多い」と口にしていた。 「人の一生を左右するような事件についてチームを組み、真剣に議論する。互いに歩んできた人生が違うから、いろいろな経験則が提出される。量刑にもその価値観が結構反映される。非常に新鮮な経験だった」 一般の市民が刑事司法に関わる意義はどこにあるのか。村山さんは「大上段に言うと、司法は国家権力を行使する一つの場。以前は市民の手が届きにくかったと思う」と説明。その上で「市民の方と法曹三者が一緒に裁判すること
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調書追認裁判に閉塞感 民事経験 対話を大事に【最後の砦 刑事司法と再審⑧/第2章 語り始めた元裁判長㊥】
一家4人を殺害したとして死刑判決が確定した袴田巌さん(86)の再審開始を2014年、静岡地裁の裁判長として決めた村山浩昭さん(66)=21年に定年退官、現弁護士=は、刑事裁判官のイメージが強い。 古くは富山地家裁の判事補時代、「赤いフェアレディZ事件」と呼ばれた富山・長野連続誘拐殺人事件。一人に死刑、共犯者とされた別の一人に無罪を言い渡した判決に関わった。東京地裁の裁判長として、秋葉原の無差別殺傷事件を審理したことでも知られる。 静岡地裁では、袴田さんの再審開始決定の半年ほど前に、覚醒剤の使用事件で静岡県警の違法捜査を理由とした無罪判決を書いている。<(警察官が)捜索に入るなり、いきなり
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静岡県警の警官自殺、妻子は勝訴 静岡県の控訴棄却 広島高裁
2012年3月に静岡県警の30代男性警部補が自殺したのは、過重な業務が原因として、愛知県に住む男性の妻子が計約1億795万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が17日、広島高裁であった。小池明善裁判長は、自殺と業務との因果関係を認め、静岡県に計約1億135万円の支払いを命じた一審広島地裁福山支部判決を支持し、県側の控訴を棄却した。 男性の両親が訴えた同種訴訟の控訴審判決では、広島高裁(西井和徒裁判長)が15日、長期間にわたる過重業務は認められないとして、自殺との因果関係を否定し、静岡県に計220万円の賠償を命じた一審判決を取り消した。原告の逆転敗訴となり、県の責任を巡り判断が分かれた形だ。
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富士市立中央病院 薬剤師を懲戒免職 強制わいせつで有罪
富士市は17日、エステ店の女性従業員にわいせつな行為をしたとして強制わいせつ罪で有罪判決を受けた市立中央病院の男性薬剤師(33)を同日付で懲戒免職処分にしたと発表した。 静岡地裁沼津支部の判決によると、男性は2022年7月15日、市内の建物の一室で20代の女性からマッサージを受けていた際に、女性にわいせつな行為をしたとされる。同支部は16日、懲役2年、執行猶予3年の判決を下した。 小長井義正市長は17日、「安心安全を守る立場の市職員が不祥事を起こし、信頼を損なう結果となり深くおわびする。二度と起こすことのないよう、綱紀粛正に努め、信頼回復に向けて全力で取り組む」とコメントした。
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事故起こし後続車盗む 男に懲役5年求刑 静岡地裁
島田市内の新東名高速道で追突事故を起こした後、後続のワゴン車を盗んで逃走したなどとして、窃盗などの罪に問われた大阪市西成区、塗装工の被告(43)の論告求刑公判が17日、静岡地裁(谷田部峻裁判官)で開かれ、検察側は懲役5年を求刑した。 論告で検察側は「救助のために停車した被害者の善意を踏みにじる悪質で身勝手な犯行」と指摘した。 起訴状によると、被告は2020年12月14日午前0時25分ごろから同55分ごろまでの間、千葉県柏市内で40代男性の乗用車を盗んだとされる。その後、この乗用車に乗って島田市内の新東名高速道下りで追突事故を起こし、別の40代男性のワゴン車を盗んで逃走したなどとされる。
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規定乏しい再審法制 請求審の審理手探り 証拠開示の重要性説く【最後の砦 刑事司法と再審⑦/第2章 語り始めた元裁判長㊤】
〈拘置をこれ以上継続することは、耐えがたいほど正義に反する。一刻も早く身柄を解放すべきである〉 一家4人を殺害したとして死刑判決が確定した袴田巌さん(86)の再審開始を認めた2014年の静岡地裁決定は、「犯行着衣」をはじめとする重要証拠が捜査機関によって捏造(ねつぞう)された疑いを指摘した。死刑の執行のみならず拘置の執行も停止。「島田事件」など過去の死刑確定事件では再審無罪判決を前に釈放されたことはなく、初めてのケースとなった。 裁判長として静岡地裁決定に携わった村山浩昭さん(66)は定年退官する前年の20年に「再審請求審の審理について」と題する論文を発表している。主に証拠開示の重要性を
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浜松・商業施設暴走死傷 禁錮2年6月を求刑 地裁支部初公判
浜松市浜北区の商業施設で2022年8月、軽乗用車を運転中に70代の夫婦に衝突して女性を死亡させ、男性にけがを負わせたとして、自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)の罪に問われた同区西美薗、無職の被告(73)の初公判が16日、静岡地裁浜松支部(大村泰平裁判官)で開かれた。被告は起訴内容を認めた。検察側は禁錮2年6月を求刑し、結審した。 検察側は冒頭陳述などで、被告が駐車するために停止しようとした際、アクセルとブレーキを踏み間違えたと説明。事故を起こした後に車から降りようとせず、救護義務を尽くそうとしなかったと主張した。弁護側は、月命日に事故現場で献花をして反省していることや、免許再取得の意思
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袋井の強盗事件 見張り役に有罪 地裁浜松支部判決
袋井市の50代男性宅に暴力団組員の男ら3人が押し入り、金品を奪ったとされる事件で、見張り役を務めたとして強盗ほう助の罪に問われた大阪市、飲食店員の被告(40)の判決公判で、静岡地裁浜松支部(高島由美子裁判官)は16日、懲役3年、執行猶予4年(求刑懲役3年6月)を言い渡した。 高島裁判官は判決理由で、本件の被害結果は重く、被告が見張り行為によって相当額の報酬を得たことは厳しい非難に値するとした。一方で、見張り行為が犯行に不可欠な役割だったとは言い難く、犯行を認めて被害者に弁償していることなどを考慮し、「直ちに実刑に処すべき事案とまでは言い難い」と述べた。 判決によると、被告は2022年9月
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アパートの自室放火 男を起訴 地検浜松支部
静岡地検浜松支部は16日、現住建造物等放火の罪で浜松市の無職の男(47)を静岡地裁浜松支部に起訴した。裁判員裁判の対象となる。 起訴状によると、被告は2022年10月1日午前5時ごろ、アパートの自室に食用油をまいて放火し、壁や天井など計19平方メートルを焼損させたとされる。
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強制わいせつの薬剤師に有罪判決 地裁沼津支部
強制わいせつの罪に問われた富士市立中央病院の薬剤師の被告(33)=同市=の初公判が16日、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判官)で開かれ、起訴内容を認めた。即日結審し、検察側が懲役2年を求刑したのに対して地裁支部は懲役2年、執行猶予3年を言い渡した。 野沢裁判官は判決理由で「わいせつ行為は強度」とする一方、被害弁償に努めるなど反省の意思を示しているとして社会内での更生が相当とした。 判決によると、被告は昨年7月15日、県東部のエステ店で、20代の女性従業員にマッサージを受けた際、女性にわいせつな行為をした。
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裁判の仕組みや裁判員制度「周知必要」 経験者ら意見交換 地裁沼津支部
静岡地裁沼津支部は16日、裁判員経験者と法曹三者(裁判官と検察官、弁護士)の意見交換会を沼津市の同支部で開いた。改正少年法の施行により18、19歳の裁判員が選ばれるようになる中、経験者からは若い世代の参加を前向きに捉えつつも、刑事裁判の仕組みや裁判員制度を周知する必要性を指摘する声が聞かれた。 殺人や保護責任者遺棄致死などの事件で裁判員を務めた7人が出席した。会社員の桐部聡さん(38)は「評議には人生経験豊富な人たちが加わるので、積極的に意見を言うべき」と好意的に受け止めた。会社経営の赤池富士夫さん(72)は「孫世代が選ばれると考えると、罪を決める重さに耐えられるか」と複雑な心境を吐露。民
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警官自殺、両親逆転敗訴 静岡県への賠償命令取り消す 広島高裁
2012年3月に県警の30代男性警部補が自殺したのは、過重な業務が原因だったとして、広島県福山市に住む男性の両親が計550万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、広島高裁は15日、静岡県に計220万円の支払いを命じた一審判決を取り消し、原告の請求を棄却した。 西井和徒裁判長は判決理由で、下田署の交番長だった男性の自殺について、精神疾患の発症が原因とした上で「長期間にわたり過重な業務を行ったとは認め難い」とし、業務との因果関係を否定した。自殺を予見することも困難だったとして、県警が安全配慮義務に違反したとは言えないと判断した。 一審広島地裁福山支部は昨年7月、男性が業務上の心理的負担から
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露店不正組員ら起訴内容認める 地裁沼津支部初公判
暴力団員が実質経営する露店であることを隠し、「沼津夏まつり・狩野川花火大会」と三島市の「三嶋大祭り」での露店出店権を不正取得したとして、詐欺罪に問われた指定暴力団山口組藤友会組員の無職の男(77)=富士市中里=と露天商の女(55)=同=両被告の初公判が15日、静岡地裁沼津支部(谷本奈央裁判官)で開かれ、ともに起訴内容を認めた。 冒頭陳述で検察側は、男が複数の露店の経営に関わり売り上げを管理し、女は露店の営業に従事していたと指摘した。今後、追起訴する方針を明らかにした。
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木くず不法投棄 男に罰金30万円 地裁沼津支部判決
長泉町の山林に造園や樹木の剪定(せんてい)で出た木くずなどを不法投棄したとして、廃棄物処理法違反の罪に問われた山林所有者の農業の男(75)=同町=の判決公判で、静岡地裁沼津支部は15日、罰金30万円(求刑罰金50万円)を言い渡した。 弁護側は、木くずなどが廃棄物に該当せず、造園会社との共謀も成立しないとして無罪を主張していた。判決で谷本奈央裁判官は、造園会社から処分に対する報酬を得ていたことや投棄場所の状況などから「廃棄物をみだりに捨てたと認めるのが相当。周囲の環境に悪影響を与える状態と認識していた」と判断。造園会社との共謀も認定した。 判決によると、被告は造園会社関係者と共謀し昨年5月
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用心棒料受け取り 組幹部ら3人起訴 静岡地検
静岡地検は14日、県暴力団排除条例違反の罪で、指定暴力団稲川会森田一家幹部の無職の男(49)=静岡市葵区駒形通6丁目=と同一家組員の無職の男(38)=同市駿河区小鹿1丁目=、無職の男(41)=藤枝市瀬古1丁目=の3容疑者を静岡地裁に起訴した。起訴状によると、3人は共謀の上、2022年12月18日、静岡市葵区両替町で社交飲食店を営む経営者から、焼酎の購入代金名目で用心棒料4万円を受け取ったとされる。 地検は、森田一家幹部の無職の男(49)らとともに県暴力団排除条例違反の疑いで逮捕された解体工と塗装業の男性2人については処分保留で釈放した。
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交通事故偽装の示談金詐欺 被告1人に2年6月求刑 地裁浜松支部
飲酒運転の絡む交通事故を自作自演し、同乗者の女性から示談金をだまし取ったなどとして、詐欺や詐欺未遂の罪に問われた浜松市北区の会社員の男(22)、ともに住所不定、無職の男(22)、男(21)の3被告の初公判が14日、静岡地裁浜松支部で開かれた。会社員の男(22)は起訴内容を一部否認し、無職の男(22)、男(21)は認めた。会社員の男(22)の審理は即日結審し、検察は懲役2年6月を求刑した。 検察側は冒頭陳述などで、会社員の男(22)は無職の男(22)らに誘われて詐欺グループに加わったと明らかにし、事故偽装では歩行者役を務めるなど「重要な役割を担った」と指摘した。弁護側は「(詐欺の算段や配置な
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露店不正 組員ら起訴内容認める 地裁沼津支部初公判
静岡県東部の祭り会場での露店出店権を不正取得したとして、詐欺罪に問われた指定暴力団山口組藤友会組員の無職の男(66)=裾野市深良=と清掃員の女(52)=同市公文名=両被告の初公判が14日、静岡地裁沼津支部(室橋秀紀裁判官)で開かれ、ともに起訴内容を認めた。 冒頭陳述で検察側は、無職の男(66)が暴力団組員のため出店許可を得られないと認識し、女に露店の売り子をやるよう頼み、売上金を得ていたと指摘。静岡県東部の二つの祭りで、女が報酬計6万5千円を受け取っていたと明らかにした。今後、追起訴する方針も示した。 起訴状などによると、両被告は昨年6~8月、暴力団員が実質経営する露店であることを隠し、
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入浴施設侵入の公安庁職員に罰金 静岡簡裁
露天風呂に入浴中の女性を狙った組織的な盗撮事件で、静岡区検は13日、建造物侵入の罪で、公安調査庁の男性主任調査官(31)=東京都東久留米市=を静岡簡裁に略式起訴した。簡裁は同日、罰金10万円の略式命令を出した。 略式命令などによると、主任調査官は2020年3月14日、女性をひそかに撮影する目的で兵庫県内の入浴施設に侵入した。
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熊本の判決踏まえ 原告側主張追加へ 浜松・旧優生保護法訴訟
旧優生保護法下で不妊手術を強いられたのは憲法違反だとして、浜松市の視覚障害者の女性(74)が国に損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が13日、静岡地裁浜松支部で開かれた。原告側は同法を巡る一連の訴訟で、国に賠償を命じた1月23日の熊本地裁判決を踏まえ、追加で主張する予定を明らかにした。 同法を巡る訴訟では不法行為から20年間で損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」の適用の可否が争点になっている。熊本地裁判決は「除斥期間の適用は著しく正義、公平の理念に反する」とし、損害賠償請求を認めた。 口頭弁論後の報告会で弁護団は同判決について、不妊手術を受けた被害者を個別・具体的な事情ではなく「一律に救済すべ
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「若い世代こそ裁判員を」 経験者、法曹三者と意見交換 静岡地裁
静岡地裁は13日、裁判員経験者と法曹三者(裁判官と検察官、弁護士)の意見交換会を静岡市葵区の地裁で開いた。経験者の男女4人が裁判員裁判を「良い経験になった」と振り返り、「若い人たちこそ参加してほしい」と口をそろえた。 改正少年法が施行され、今年から18、19歳も裁判員に選ばれる可能性がある。50代の会社員大塚毅純さんは「社会の価値観が変わって新しい犯罪も生まれる中で、多様な意見を戦わせて一つの結論を導くことが今まで以上に大事になる」との考えを示し、さまざまな世代や立場の人が裁判員裁判に関わる意義を語った。 改善すべき点として、育休中に裁判員を経験したという40代の女性公務員は、子どもの預
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死亡ひき逃げ 男に懲役3年 静岡地裁浜松支部判決
浜松市西区の市道で2022年11月、ワゴン車を運転中に横断歩道を渡っていた男性をはねて死亡させ、そのまま逃走したとして、自動車運転処罰法違反(過失運転致死)と道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われた同区雄踏町宇布見、設備業の男(43)の判決公判で静岡地裁浜松支部は10日、懲役3年(求刑懲役5年)の実刑判決を言い渡した。 大村泰平裁判官は判決理由で、ワゴン車のフロントガラスの破損状況から「被告は被害者に重傷を負わせたと十分認識しながらその場から逃走した」と指摘。男性をはねてからまもなく現場に戻ったものの、「交通事故を起こした者として無責任と言わざるを得ない」などと実刑の理由を述べた。 判決など
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浜北の社長強殺 二審も無期懲役 東京高裁判決
2019年に浜松市浜北区の会社社長の男性=当時(38)=を借金の返済を免れる目的で殺害したなどとして、強盗殺人や詐欺の罪に問われた東京都杉並区、元会社役員の男(44)の控訴審判決で東京高裁(島田一裁判長)は10日、無期懲役とした一審静岡地裁浜松支部の裁判員裁判判決を支持し、強盗殺人罪の成立を争った弁護側の控訴を棄却した。 弁護側は、被告は男性から「金を返さなければ家族に危害を加える」との要求を受けていたと指摘。殺害の理由は家族を守るためだったとして「殺人罪にとどまる」と主張していた。 島田裁判長は被告が事件前に家族の安全確保について警察や弁護士に相談していなかった点などを踏まえ、「借金返
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沼津の女子大生刺殺 検察、被告の無期懲役求める 控訴審初公判
沼津市西浦久連で2020年6月、大学生の女性=当時(19)=を刺殺したとして、殺人やストーカー規制法違反などの罪に問われ、一審の静岡地裁沼津支部の裁判員裁判で懲役20年の判決を受けた被告の男(22)=住所不定、無職=の控訴審初公判が10日、東京高裁(安東章裁判長)で開かれた。一審判決を量刑不当としていた検察側は再び無期懲役を求め、即日結審した。判決は3月15日。 検察側は控訴趣意書で、ストーカー殺人類型の裁判例を示し、同類型の量刑傾向などを踏まえれば、無期懲役が相当と主張。弁護側は答弁書で「ストーカー殺人に限定したくくりではなく、行為の危険性や結果の重大性などで判断すべき」と一審判決を支持
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飲酒ひき逃げ 起訴内容認める 地裁浜松支部初公判
湖西市で2022年12月、業務で児童を送迎中に乗用車を飲酒運転した上、事故を起こしたにもかかわらず、その場から逃走したとして、自動車運転処罰法違反(過失傷害アルコール等影響発覚免脱)と道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われた元NPO職員、無職の男(60)=同市古見=の初公判が9日、静岡地裁浜松支部(杵渕花絵裁判官)で開かれた。被告は起訴内容を認めた。 検察は冒頭陳述などで、被告は事件当時、障害のある小学生らに放課後デイサービスを提供するNPOに勤務し、児童らを自宅に送迎する業務中に事故を起こしたと主張。事故前に、コンビニで複数回にわたって酒を購入していたことや、被告にアルコール依存症の治療歴が
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元県職員に有罪判決 公共工事巡り背任 静岡地裁
静岡県発注の公共工事に絡んで虚偽の設計公文書を作成し、請負代金を増額させるなどして県に損害を与えたとして虚偽有印公文書作成・同行使と背任の罪に問われた三島市、元県職員の被告(32)=依願退職=の判決公判で静岡地裁は8日、懲役2年、執行猶予3年(求刑懲役2年)を言い渡した。 判決理由で国井恒志裁判長は、被告が土木技師として公共工事の設計積算や監督する職務に従事していたと説明し、「公文書に対する信頼性を大きく損ない、誠実かつ公正に職務遂行する任務に背いた」と指摘。動機については予算を消化するためで「経済的利益の目的がなかったとしても短絡的で非難は免れない」と述べた。 一方、被告が反省態度を示
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事故偽装し詐欺 男3人を起訴 静岡地検浜松支部
浜松市中区で若い男のグループが飲酒運転の絡む交通事故の自作自演を繰り返し、同乗者から示談金をだまし取ったとされる事件で、静岡地検浜松支部は8日までに、詐欺の罪で、ともに住所不定、無職の男(21)、男(22)の両被告=別の詐欺、詐欺未遂事件で起訴=を静岡地裁浜松支部に追起訴し、同市の建設業の男(30)を同支部に起訴した。追起訴、起訴は7日付。 起訴状などによると、3人は共謀して2022年8月16日夜、同市中区の市道で、乗用車と歩行者の衝突事故を計画的に起こし、同乗の女性(当時21)に事故の示談金を請求して118万円をだまし取ったとされる。 無職の男(21)は運転者、無職の男(22)は同乗者
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袴田さん 迫る再審の可否 鍵を握る化学鑑定
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めてきた元プロボクサー袴田巌さん(86)の差し戻し後の即時抗告審で、東京高裁(大善文男裁判長)は3月13日に再審開始の可否決定を出す。弁護団が再審開始を、東京高検が請求棄却と袴田さんの再収監を求める中、高裁がどのような判断を示すか注目される。規定が乏しいと指摘されて久しい再審法(刑事訴訟法の第4編再審)の改正機運に影響を与える可能性もある。 鍵を握る化学鑑定 チューブの血液に酸を加えると、あっという間にチョコレート色に変化した。旭川医科大(北海道旭川市)の法医学講座。奥田
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社説(2月7日)秘書官が差別発言 問われるは政権の見識
LGBTなど性的少数者や同性婚制度を巡り、岸田文雄首相の荒井勝喜秘書官が信じ難い差別発言をした。性的少数者には「隣に住んでいたら嫌だ。見るのも嫌だ」。同性婚の導入は「国を捨てる人、この国にはいたくないと言って反対する人は結構いる」と話したという。 荒井氏は広報担当として、官邸の情報発信や報道対応を務めていた。政権中枢にいる首相側近としてあってはならない暴言だ。加えて表現もここまで言うかというほど強烈だ。人権意識の欠如は甚だしい。発言は匿名を原則とする非公式取材の中で飛び出した。だからこそ本音が出たとすれば根深い差別意識を感じる。 首相は「言語道断の発言だ」とその翌日に荒井氏を更迭した。し
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再審法改正の必要性を実感 袴田さん請求審元裁判長 検察の証拠開示法制化を 「国会で議論して」
袴田事件で死刑判決が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めている袴田巌さん(86)の再審開始と死刑・拘置の執行停止を2014年に静岡地裁の裁判長として決めた村山浩昭氏が6日、静岡新聞社の取材に応じた。再審請求審を経験したことで、再審法(刑事訴訟法第4編再審)に規定が乏しいことを実感したという。法改正の必要性を認め「立法機関の国会で、きちっと議論してほしい」と強調した。 村山氏は21年に定年退官した。報道機関の対面インタビューに応じるのは初めて。袴田さんの再審開始決定に対しては検察官が即時抗告したため、確定していない。東京高裁は同日、再審開始の可否判断を3月13日に示すと弁護団に通知した。
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袴田さん再審可否 姉ひで子さん「命ある限り戦う」 逮捕から56年、都内では支援集会
強盗殺人罪などで死刑判決が確定し裁判のやり直しを求める袴田巌さん(86)=浜松市中区=の再審開始の可否を東京高裁が3月13日に決めると明らかになったのを受け、姉のひで子さん(89)が6日、同区の自宅で取材に応じ、「(袴田さんの逮捕から)56年間戦ってきた。一区切りにしたい。再審開始をひたすら願う」と心境を語った。都内では再審開始を訴える支援者の集会も開かれた。 ひで子さんは6日午前、支援者から電話で東京高裁の決定日を伝えられた。袴田さんは昼前に起床し、午後からは支援者の自動車で外出した。「巌の中で事件は終わっているから」と、ひで子さんは決定日を告げなかった。当日、袴田さんが東京高裁に向かう
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袴田巌さん再審可否 3月13日に判断 東京高裁、血痕の変色争点
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めている袴田巌さん(86)の差し戻し後の即時抗告審で、東京高裁(大善文男裁判長)は、再審開始の可否決定を3月13日午後に出すことを決めた。弁護団が6日、報道陣に明らかにした。 事件は、発生から1年2カ月後に現場近くのみそタンクでシャツなど「5点の衣類」が見つかり、袴田さんの犯行着衣とされた。しかし、付着した血痕には赤みが残り、弁護団は「不自然」として捏造(ねつぞう)された証拠だと指摘。長期間みそに漬かった血痕に赤みが残るかどうかが差し戻し審の焦点となった。 弁護団は、みそ
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強制わいせつの元保育士に実刑 静岡地裁沼津支部判決
勤務先の保育園で女児にわいせつな行為をした上、裸体を撮影したとして強制わいせつと児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪に問われた神奈川県湯河原町、元保育士の男(29)の判決公判で静岡地裁沼津支部は3日、懲役5年6月(求刑懲役6年)の実刑判決を言い渡した。 判決理由で室橋秀紀裁判官は、犯行態様は悪質、身勝手で「自己の性的欲求に赴くまま犯行を繰り返し、常習性も顕著」と認定。被害女児は18人に上り「本来、児童らを保護するべき保育士という立場を悪用した」と厳しく非難した。 弁護側は被告が小児性愛と診断されたと主張していたが、室橋裁判官は「(被告は)自身の性的嗜好(しこう)を認識し、欲求充足のために一
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焼津の元社長再び否認 カツオ盗「指示したことない」 静岡地裁公判
焼津市の焼津漁港に水揚げされたカツオの窃盗事件で、窃盗の罪に問われた神奈川県の運送会社「ホクユウ」(現ケイエスケイ)元社長(49)と同市の水産加工会社「大熊フーズ」元社長(57)、都内の水産加工会社「大洋エーアンドエフ」元焼津営業所長(47)の公判が2日、静岡地裁(国井恒志裁判長)であり、「大熊フーズ」元社長、「大洋エーアンドエフ」元焼津営業所長の被告人質問が行われた。元社長は「(「ホクユウ」(現ケイエスケイ)元社長に)相談したこともなければ『この船の魚を持ってこい』と指示したこともない」と述べ、改めて共謀を否認した。 「大熊フーズ」元社長はその上で、反省すべき点として「(盗まれた可能性が
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元静岡市消防局の課長に懲役5月 静岡地裁判決
静岡市内でオートバイを酒気帯び運転したとして、道交法違反罪に問われた同市葵区、元市消防局葵消防署警備第1担当課長の野崎直文被告(53)の判決公判で静岡地裁は1日、懲役5月(求刑懲役6月)の実刑判決を言い渡した。 判決理由で国井恒志裁判官は、犯行直前に中ジョッキビール計8杯を飲酒していたとし「基本的な交通法規を意図的に破った」と認定。「酩酊度は相当高く、人を死傷させる危険性の高い犯行態様」と指摘した。 野崎被告は2019年9月にも別の道交法違反事件で有罪判決を受けたが、勤務先に報告せず公務員として働き続けていた。今回の飲酒運転は執行猶予期間の満了後わずか1カ月だったことに触れ、国井裁判官は
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静岡県職員の工事費水増し 8日地裁判決 予算消化優先の組織風土「余れば上司に迷惑」重圧か
行政予算は使い切るべきか-。公共工事の予算を消化するため虚偽の公文書を作成し、事業費を増額させて県に損害を与えたとして虚偽有印公文書作成・同行使と背任の罪に問われた県職員の男の判決が8日に静岡地裁で言い渡される。 男は起訴内容を認め、「予算を全て執行しなければいけない雰囲気が(職場に)あった」と証言。公判では事業費の抑制より予算消化を優先的に捉える組織風土の一端も浮き彫りになった。その背景に専門家は「公務員は予算額通りに仕事を進めることが職務評価につながる傾向がある」と分析する。 「予算が余れば迷惑がかかる」。法廷で動機を語ったのは県職員の男(32)=停職4カ月の懲戒処分=。県下田土木事
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袴田さん 差し戻し審 3月中旬、再審可否決定へ 東京高裁意向
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めている袴田巌さん(86)の差し戻し後の即時抗告審で、東京高裁が、再審開始の可否を3月中旬に決定する意向を示していることが31日、関係者への取材で分かった。候補日を複数提示し、弁護団に希望日を回答するよう求めている。 高裁は弁護団の希望を踏まえ、1カ月前には決定日時を告知するとみられる。 事件は、発生から1年2カ月後に現場近くのみそタンクでシャツなど「5点の衣類」が見つかり、袴田さんの犯行着衣とされた。しかし、付着した血痕には赤みが残り、弁護団は「不自然」として捏造(ねつ
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かけ子監禁と詐欺 懲役8年を求刑 地裁沼津支部公判
特殊詐欺グループから脱退しようとした「かけ子」の監禁事件で、監禁や暴行、詐欺などの罪に問われた東京都練馬区、無職の男(32)の論告求刑公判が31日、静岡地裁沼津支部(室橋秀紀裁判官)で開かれ、検察側は懲役8年を求刑した。 検察側は、脱退しようとしたかけ子を連れてくるよう指示し、監禁中に仲間に見張らせるなど「主導的役割を果たした」と指摘。詐欺罪については「組織的犯行で、被害結果も重大」と述べた。弁護側は公判で認める方針に転じたとした上で「詐欺事件はかけ子のリクルーターや連絡調整役に過ぎなかった。首謀者ではない」と訴えた。 起訴状などによると、被告は仲間と共謀し、昨年3月9日から12日までの
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JA富士市元職員3人起訴 虚偽口座不正利益
JA富士市(現JAふじ伊豆)の貯金口座管理システムに2680万円の預け入れがあったとの虚偽の情報で口座を作り、不正に利益を得たとされる事件で、静岡地検富士支部は31日、電子計算機使用詐欺罪で元職員の男3人を静岡地裁富士支部に起訴した。 起訴されたのは、いずれも富士市の会社員の男(59)、景品交換所従業員の男(71)、量販店従業員の男(66)の3被告。 起訴状によると、3人は共謀して2017年4月6~7日、同JAの貯金残高管理などに使われる電子計算機に口座を開設。2680万円の預け入れがあったとの虚偽の情報を与えて架空の電磁的記録を作り、同額の財産上不法な利益を得たとされる。当時支店長だっ
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証拠開示命令申し立てへ 元天竜市長・再審請求 行動記録、弁護側が裁判所に
旧天竜林高(浜松市天竜区)で起きた調査書改ざん・贈収賄事件で、贈賄罪で罰金70万円の略式命令を受けた元天竜市長(90)による再審請求の非公開の三者協議が30日、浜松簡裁で開かれた。現金の授受があったとされる日の元天竜市長の詳細な行動記録を明らかにするため、弁護側は近く検察に証拠開示を命じるよう裁判所に申し立てる。 杉尾健太郎弁護士が協議後の記者会見で説明した。これまでの協議で、検察側は証拠開示に否定的な考えを示している。 弁護側はこの日の協議で、元天竜市長が現金を渡すために高校を訪れたとされる時間帯に「元天竜市長は銀行にいた可能性が排除できない」という趣旨の意見書を提出した。銀行の退店記
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再審法改正項目提言へ 日弁連30年ぶり意見書 「今春公表」検討
日本弁護士連合会が、不備が指摘される再審法(刑事訴訟法の第4編再審)の改正意見書を今春にも公表する方向で検討していることが29日、関係者への取材で分かった。改正意見書は約30年ぶりとなる。再審請求審での証拠開示手続きの法制化や再審開始決定に対する検察官抗告の禁止をはじめ、再審開始の要件緩和や請求権者の範囲拡大など幅広く提言する見通しだ。 具体的には、再審開始要件の「無罪を言い渡すべき明らかな証拠を新たに発見したとき」の「明らかな証拠」を「事実の誤認があると疑うに足りる証拠」に緩和するほか、重大な憲法違反を理由とした再審開始も認めるべきと提案。日弁連や各地の弁護士会が公益的再審請求人になれる
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再審公判 速やかに 袴田さん支援集会 高裁可否決定控え
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めている袴田巌さん(86)の支援集会が29日、同区で開かれた。再審開始の可否を巡る東京高裁の決定を控え、参加者は、再審開始が認められて速やかに再審公判に移行することを期待した。 弁護団の加藤英典弁護士が、東京高裁で行われてきた差し戻し後の即時抗告審について説明した。高裁が再審開始を認めたとしても検察官は最高裁に特別抗告できることから、加藤弁護士は「(再審可否を巡る)審理が長引いてしまう。言いたいことがあれば再審公判で主張すべきで、世論の後押しが必要」と訴えた。 過去に3度再審
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強盗致傷 被告に有罪 静岡地裁沼津支部が判決
強盗致傷と公務執行妨害の罪に問われた静岡市清水区、無職の男(54)の裁判員裁判判決公判で、静岡地裁沼津支部は27日、懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役5年)を言い渡した。 弁護側は被告に逮捕を免れる目的はなかったとして強盗致傷罪は成立せず、窃盗と傷害の罪にとどまると主張していたが、野沢晃一裁判長は暴行の経緯から「警察官による身柄拘束を免れようとした」と認定した。 判決によると、被告は昨年3月2日午後3時ごろ、富士宮市内の神社のさい銭箱から現金約6千円を盗み、停止を求めた富士宮署の男性巡査部長を複数回殴るなどしてけがを負わせ、職務を妨害した。
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いじめ訴訟結審 6月29日に判決言い渡し 静岡地裁
静岡市の市立小で2017年度にいじめを受け、適応障害を発症したなどとして、当時5年生だった10代の男子生徒が市や同級生らに損害賠償を求めた訴訟は26日、静岡地裁(菊池絵理裁判長)で結審した。判決は6月29日に言い渡される。 訴状によると、男子生徒は17年9月ごろからいじめに遭い、18年1月以降に適応障害や機能性難聴と診断され、同4月に転校した。
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「否認の元社長からの指示」 焼津カツオ盗 実行、運送の実態説明 静岡地裁公判
焼津市の焼津漁港に水揚げされたカツオの窃盗事件で、窃盗の罪に問われた神奈川県の運送会社「ホクユウ」(現ケイエスケイ)元社長の被告(49)と同市の水産加工会社「大熊フーズ」元社長の被告(57)、都内の水産加工会社「大洋エーアンドエフ」元焼津営業所長の被告(47)の公判が25日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれ、「ホクユウ」の元社長の被告の被告人質問が行われた。「大熊フーズ」の元社長の被告は昨年10月の初公判で「共謀していない」と否認したが、「ホクユウ」の元社長の被告は「大熊フーズ」の元社長の被告からの指示でカツオを盗み、報酬を得ていたと述べた。 起訴状によると、「ホクユウ」の元社長の被告は
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浜岡原発廃炉訴訟 原告が訴え追加 静岡地裁弁論
静岡県内の弁護士らが中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)3~5号機の廃炉などを求めた訴訟の第52回口頭弁論が24日、静岡地裁(菊池絵理裁判長)であった。原告側は訴えの追加的変更を申し立て、3~5号機の運転差し止めを求めた。 原告側は申立書で、原発事故が起こると、現実的かつ実効的な避難計画が策定されていないことも相まって原告の生命・身体の安全が侵害されると指摘。「原告らは人格権に基づき、原発の運転差し止めを求める権利を有する」とした。 他の原発関連訴訟では、運転の差し止めを求めていることが多いため、請求の趣旨に追加したという。
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死亡ひき逃げ 懲役5年求刑 地裁浜松支部初公判
浜松市西区の市道で2022年11月、ワゴン車を運転中に横断歩道を渡っていた男性をはねて死亡させ、そのまま逃走したとして、自動車運転処罰法違反(過失運転致死)と道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われた同区雄踏町宇布見、設備業の男(43)の初公判が24日、静岡地裁浜松支部(大村泰平裁判官)で開かれ、被告は起訴内容を認めた。検察側は懲役5年を求刑し、結審した。 検察側は冒頭陳述などで被告がひき逃げ事故の前に繁華街の飲食店3軒で飲酒していたと明らかにした。男性をはねたのは知人のところへ向かう途中で、事故後に被告の呼気から、基準値以下のアルコールが検出されたとも説明した。 弁護側は、事故後に逃走したが
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メガソーラー建設 伊東の住民、市を提訴 事業者許可取り消し求め
伊東市八幡野の大規模太陽光発電所(メガソーラー)建設で、反対する地元住民29人が24日までに、同市を相手取り、市が宅地造成等規制法に基づいて事業者に出した新たな変更許可決定処分の取り消しを求める訴訟を静岡地裁に起こした。 提訴は23日付。市は昨年7月25日、事業者に2度目の変更許可を出していて、原告はその処分の取り消しを求めている。住民はこれまでも市を相手に、宅造法に基づく事業許可処分の無効確認などを求めて提訴したが、2021年12月に「原告適格を欠く」などとして敗訴。現在、東京高裁に控訴している。 今回の提訴に至った理由として、2度目の変更について申請も許可も住民に知らされなかったこと
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袋井強盗 見張り役の男に懲役3年6月求刑 静岡地裁浜松支部
袋井市の50代男性宅に暴力団組員の男ら3人が押し入り、金品を奪ったとされる事件で、見張り役を務めたとして強盗ほう助の罪に問われた大阪市、飲食店店員の被告(40)の第3回公判が23日、静岡地裁浜松支部(高島由美子裁判官)で開かれた。検察は懲役3年6月を求刑した。弁護側は執行猶予付きの判決を求め、結審した。 検察は論告で、被告が被害男性を見張っている間に他の2人が金品を物色し、多額の被害が発生したと指摘。報酬として現金30万円と高級腕時計を受け取った点を踏まえ、「強盗に積極的に加わっていなくても責任は大きい」と強調した。 弁護側は、他の2人によって男性は両手両足を縛られた状態だったとし「見張
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強制不妊 国に賠償命令 熊本地裁 旧優生保護法「違憲」
旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強いられたとして、熊本県の2人が国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、熊本地裁は23日、旧法は差別的な思想に基づき憲法違反だと判断し、国に計2200万円の支払いを命じた。一連の訴訟で、昨年の大阪、東京両高裁に続く賠償命令となり、地裁としては初めて。被害救済の議論が加速しそうだ。=判決要旨29面へ 判決は手術の目的や手段に正当性、合理性がないとして国の賠償義務を認めた上で、両高裁同様、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する民法の「除斥期間」を適用しなかった。訴えを退けた各地裁判決は大半が除斥期間を理由としていた。弁護団は「国は真摯(しんし)に目を向
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榛原病院に賠償命令 静岡地裁 説明義務違反を認定
牧之原市の榛原総合病院で手術を受け、約2週間後に死亡した80代男性の遺族3人(御前崎市)が、運営者の同病院組合(管理者・杉本基久雄牧之原市長)に2200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁は20日、説明義務違反を認め、165万円を支払うよう組合に命じた。同違反と死亡との因果関係は認めなかった。 判決などによると、男性は2016年12月、胃痛を訴え、榛原総合病院に入院した。17年1月12日、腹部大動脈瘤(りゅう)人工血管置換術を受けた。手術後に容体が悪化し、重症肺炎などを経て多機能不全になり、同28日に死亡した。 遺族側は、人工血管置換術よりも身体への負担が小さい術式があったとし「
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袋井の強盗事件 組員に懲役4年 地裁浜松支部判決
暴力団組員の男らが袋井市の50代男性宅に押し入り、金品を奪ったとされる事件で、強盗罪に問われた指定暴力団稲川会系組員の無職の男(50)=東京都新宿区=の判決公判で、静岡地裁浜松支部(杵渕花絵裁判官)は19日、懲役4年(求刑懲役6年)を言い渡した。 事件では無職の男(50)のほか、同組員の無職の男(54)=強盗致傷、住居侵入罪=、飲食店店員の男(40)=強盗ほう助罪=が起訴されている。 杵渕裁判官は判決理由で、無職の男(50)は、無職の男(54)が男性から金を回収しようとしていることを理解した上で見張り役を手配するなど強盗の共謀が認められ、「被害者の拘束や物色行為を担うなど、重要な役割を果
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13歳女子中学生 スマホ巡り口論か、首など刺し傷多数 牧之原・母親殺害
牧之原市の住宅の一室で16日深夜に40代女性が刺され、死亡した事件で、女性を刺したとみられる中学生の長女(13)と女性が事件発生前、スマートフォンに関する話をしていたとみられることが17日、関係者への取材で分かった。県警はスマホの使用などを巡り何らかの口論になった可能性があるとみて保護した長女に事情を聴いている。 関係者によると、長女は駆け付けた警察官に対して母親を切り付けたことを認めた上で「(事件前に)母親とスマホについて話をした」との趣旨の説明もしていたという。 母親は発見時、寝室の布団などの上で、あおむけの状態で血を流して倒れていたとみられる。刺し傷は首を中心に多数あり、一部は頸(
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元静岡市消防局の課長 懲役6月求刑 酒気帯び運転 静岡地裁公判
静岡市内でオートバイを酒気帯び運転したとして、道交法違反の罪に問われた同市葵区、元市消防局葵消防署警備第1担当課長の被告(53)の初公判が17日、静岡地裁(国井恒志裁判官)で開かれ、被告は起訴内容を認めた。検察側は懲役6月を求刑し、即日結審した。判決は2月1日。 論告で検察側は、犯行時に被告の呼気から基準値の約4倍のアルコールが検出されたとし「人を死傷させかねない危険かつ悪質な行為」と指摘。職場の同僚らと宴会に参加し、ビール8杯を飲んでいたことを明かした。 被告は2019年にも別の道交法違反事件で有罪判決を受けた。今回の飲酒運転は執行猶予期間の満了後わずか約1カ月だったとして「規範意識の
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再審の請求人、拡大を 福岡事件支援者 浜松で講演
福岡市で1947年に商人2人が射殺された福岡事件で、強盗殺人罪で死刑判決を受けた西武雄さん(1975年執行)らの再審運動を支援する熊本県玉名市の僧侶古川龍樹さん(63)が14日、浜松市中区で講演した。再審を申し立てることができる請求人の対象拡大など、制度改正の必要性を訴えた。 講演会は、強盗殺人罪などで死刑が確定し、再審請求中の袴田巌さん(86)=同区=を支援する同市の団体「袴田巌さんを救う市民の会」が企画した。 福岡事件で、主犯とされた西さんは無実を訴え続け、実行犯として死刑判決確定後に恩赦で無期懲役になった石井健治郎さん(2008年に死去)も「強盗目的はない」と主張した。2人の再審請
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熱海市「黒塗り文書」の開示拒否 損賠訴訟、初の併合審理
熱海市伊豆山で2021年7月に発生した大規模土石流の遺族らが静岡県と熱海市、土石流の起点となった土地の現旧所有者らにそれぞれ損害賠償を求めた訴訟の弁論準備手続きが11日、静岡地裁沼津支部(古閑美津恵裁判長)であった。二つの訴訟が併合され、原告と被告4者がそろった形での審理が初めて行われた。同支部が起点の土地改変に関する公文書の全面開示を行政に求めたのに対し、市は任意での提出を拒否した。 審理は非公開。県と市が公表している公文書は個人名などが黒塗りになっているため、同支部は現所有者側の申し立てを受けて昨年10月、黒塗りのない文書を任意で提出するよう要請していた。 これに対し、県は3月ごろに
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女児わいせつの元保育士 懲役6年を求刑 静岡地裁沼津支部公判
勤務先の保育園で女児にわいせつな行為をしたなどとして、強制わいせつと児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪に問われた神奈川県湯河原町、元保育士の男(29)の論告求刑公判が10日、静岡地裁沼津支部(室橋秀紀裁判官)で開かれ、検察側は懲役6年を求刑した。 検察側は論告で「保育士としての立場を悪用し、23日間で18人に同種犯行に及んだ常習性は顕著で悪質。被害者家族に与えた影響は大きい」と述べた。 弁護側は「医師から小児性愛と診断され、性欲のコントロールが困難だった。性障害の専門治療機関に通院するなど更生意欲は高い」として執行猶予付き判決を求めた。 起訴状などによると、男は昨年6月、県東部の保育園
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「精神病」のレッテル 告発者、名誉回復できず【最後の砦 刑事司法と再審④/第1章 二俣事件の記憶③】
1950年1月の二俣事件で、強盗殺人罪などに問われた須藤少年の静岡地裁浜松支部での最終弁論を翌日に控えた同年11月23日。二俣署の現職警察官による異例の投書が「夕刊読売」の紙面に載った。〈新憲法下今なお人権を無視した拷問によりこの少年に罪をなすりつけたものである〉 告発したのは、山崎兵八さん=2001年に87歳で死去=。一家4人が殺害された現場に駆け付けた刑事の一人だった。自治体警察と国家地方警察の2系統の警察が存在した時代。手記によると、捜査を仕切った国警県本部の強力犯係、紅林麻雄警部補は「証拠は何もないが、(須藤少年は)正しく犯人。証拠集めをやってくれ」と指示を出した。取り調べの激しさ
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死刑台からの生還 冤罪晴れても消えぬ傷【最後の砦 刑事司法と再審③/第1章 二俣事件の記憶②】
〈断首台の夢をみる。思わず大声を上げてはね起きる。静まり返った深夜の拘置所で目を覚まして、何回か私は気が狂いそうな気持ちに襲われた〉 手記には、いわれのない強盗殺人の罪で死の淵に立たされた恐怖がつづられていた。 現在の浜松市天竜区二俣町で1950年1月、一家4人が殺害された事件で逮捕・起訴されたのは当時18歳の少年だった。一、二審とも死刑判決が下る。最高裁は自白の真実性が疑われるとして破棄。審理を静岡地裁に差し戻し、一転して地裁、東京高裁で無罪となり58年1月に確定した。 上告審から弁護人に加わり、後に衆議院議長も務めた清瀬一郎弁護士は同年2月の本紙に記した。〈死刑執行後、再審をやって
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憲法が照らす再審の課題 あるべき姿は【最後の砦 刑事司法と再審】
裁判をやり直すための再審請求手続きを巡り、日本国憲法の理念に照らして法の不備を指摘する声が上がっている。静岡新聞社が18歳以上の県民570人を対象に行った憲法意識調査では、6割近くが法制度を整えるべきだと回答している。問題の所在を探り、あるべき姿を考えた。 格差解消へ請求審規定必要 「今の再審制度は憲法の理念に合っていない」。日本弁護士連合会の再審法改正実現本部(本部長・小林元治会長)で本部長代行を務める鴨志田祐美弁護士(京都弁護士会)は取材にそう強調する。 再審法とは、刑事訴訟法の第4編再審を指す。現行の刑訴法は戦後、日本国憲法のもとで制定された。500を超える条文のうち、再審に関す
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釈放 今も確定死刑囚 袴田さん再審、開始可否決定へ【最後の砦 刑事司法と再審① プロローグ】
静かな時間が流れていく。弟と姉。珍しく「遠州の空っ風」が鳴りをひそめた12月のある日、穏やかな窓の外に時折顔を向けながら黙々と昼食を取った。 袴田巌さん(86)、ひで子さん(89)。2人が同じ屋根の下で暮らすようになって、間もなく9年を迎える。 袴田さんは現在の静岡市清水区にあったみそ製造会社の従業員だった1966年、専務一家4人を殺害したとして逮捕され、80年に死刑が確定した。無実を訴え、裁判のやり直し(再審)を求めている。 2014年、静岡地裁で再審開始が認められた。死刑の執行停止に加え、「耐えがたいほど正義に反する状況にある」として拘置の執行も止まり、約48年ぶりに釈放された。い
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静岡県勢競輪2選手 ブログ巡り争い 「禁止行為」書き込みに慰謝料 静岡地裁富士支部
「どけーー」という競輪競技中に禁じられている声を出したとブログに書かれたことで名誉を傷つけられたとして、ともに静岡県出身の第一線で活躍する選手同士が争った慰謝料請求訴訟の判決が28日までに、静岡地裁富士支部であった。有冨正剛裁判官は慰謝料220万円の支払いとブログへの謝罪文の掲載を求めた請求の一部を認め、被告側に88万円を支払うよう命じ、双方控訴せず確定した。 原告は49歳の男性選手=富士宮市山本=で、被告は磐田市出身の男性選手(48)=東京都中央区=。ともに最高峰の「S級S班」に所属していた時期があり、いずれも通算数百勝の実績がある。 問題となったのは2人が出場した2019年1月の大宮
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子ども送迎中に飲酒ひき逃げか 湖西のNPO職員起訴 静岡地検浜松支部
ひき逃げなどの容疑で湖西署に逮捕された湖西市古見のNPO職員の男(60)が事件当時、業務で障害児ら3人を車に乗せて飲酒運転し、事故を起こしていた疑いがあることが、27日までの関係者への取材で分かった。 静岡地検浜松支部は同日、自動車運転処罰法違反(過失傷害アルコール等影響発覚免脱)と道交法違反(ひき逃げ)の罪で容疑者を静岡地裁浜松支部に起訴した。起訴状などによると、5日午後5時10分ごろ、同市古見の国道301号で、運転前の飲酒により操作に支障が生じる恐れのある状態で乗用車を運転し、信号待ちをしていた男性の乗用車に追突。男性に軽傷を負わせた上、飲酒運転の発覚を免れるため逃走したとされる。
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放課後デイ運営理事長 別施設でも不正受給、詐欺罪で追起訴 静岡地検浜松支部
放課後等デイサービス施設の運営に関する給付金をだまし取ったとして、詐欺罪で公判中の浜松市のNPO法人「アンヘレス」理事長の被告(65)について、静岡地検浜松支部は27日までに、運営する別の施設でも給付金を不正受給したとして、詐欺罪で静岡地裁浜松支部に追起訴した。26日付。 起訴状によると、被告は2019年6月から20年1月までの間、運営する同市北区の放課後等デイサービス施設「天使の部屋 初生教室」に児童発達支援管理責任者(児発管)を配置したように装い、市から不正受給額642万円を含む障害児通所給付費3737万円をだまし取ったとされる。被告は同市中区の「天使の部屋 葵教室」で、同様の手口で4
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袋井の強盗事件 組員に6年求刑 静岡地裁浜松支部
暴力団組員の男らが袋井市の50代男性宅に押し入り、金品を奪ったとされる事件で、強盗罪に問われた指定暴力団稲川会系組員の無職の被告(50)=東京都新宿区=の論告求刑公判が27日、静岡地裁浜松支部で開かれた。検察は懲役6年を求刑した。 事件では被告のほか、同組員の無職の被告(54)が強盗致傷と住居侵入の罪で、飲食店店員の被告(40)が強盗ほう助罪でそれぞれ起訴されている。 検察は論告で、被告は事件3日前に無職の被告から「金を持って逃げた男が見つかった。一緒に来てくれ」と頼まれ、押し入る際に使う手袋や見張り役の飲食店店員の被告を用意したと指摘。首謀者は無職の被告(54)だが、「従属的な立場にと
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県立高飛び降り「教諭を懲戒免に」 元生徒、静岡県教委に申し入れ
静岡県中部の県立高校2年生だった2016年、男性教員による執拗(しつよう)な叱責(しっせき)で急性ストレス反応が起き、校舎3階から飛び降りて負傷した女性(22)が26日、男性教員を懲戒処分するよう静岡県教育委員会に申し入れた。女性側は「免職が相当」と主張し、再発防止のため他人の目の届きにくい場所や手段での指導や叱責が行われないよう対策を求めた。 県庁で記者会見した女性は「一方的に人格を否定された。今でもあの恐怖が忘れられない。楽しみにしていた修学旅行や研修に参加できなかった。今まで通りの生活を送っている教諭を一生許せない」と述べた。 県教委は「今後、対応を検討したい」としている。 女性
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聖隷学園側の敗訴確定 最高裁、上告退ける
上司の男性教授によるハラスメントで精神的苦痛を受けたとして、聖隷クリストファー大大学院(浜松市)の元教授の女性と教え子2人が、学校法人聖隷学園や男性に計330万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(岡村和美裁判長)は学園側の上告を退ける決定をした。23日付。訴えの一部を認め学園側に33万円の支払いを命じた二審東京高裁判決が確定した。 今年6月の二審判決によると、女性は教授として勤務していた2018年、男性のハラスメントを学園側に申告した。後日開かれた教授会で出席者が、男性を訴えるために女性が学生に協力を求めているようだなどと発言した。
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浜北・社長強殺 控訴審初公判 弁護側が一部を否認
2019年に浜松市浜北区の会社社長の男性=当時(38)=を借金の返済を免れる目的で殺害したなどとして、強盗殺人や詐欺の罪に問われ、静岡地裁浜松支部で無期懲役の判決を言い渡された東京都杉並区、元会社役員の被告(44)の控訴審初公判が23日、東京高裁(島田一裁判長)で開かれた。弁護側は一審に続き「返済を免れる目的はなかった」として、強盗殺人罪を一部否認した。 弁護側は控訴趣意書で、殺害動機に関する一審判決の事実誤認や量刑不当を訴えた。被告は男性から「金を返さなければ家族に危害を加える」という趣旨の返済要求を受けたと指摘。殺害に及んだのは家族を守るためだったとして、「強盗殺人罪は成立せず、殺人罪
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熱海市側、初弁論欠席 遺族批判に市長釈明「弁護士の助言受け」 熱海土石流損賠訴訟
熱海市伊豆山の大規模土石流の遺族らが県と熱海市に計約64億円の損害賠償を求めた訴訟で、市側が第1回口頭弁論に欠席したことについて、斉藤栄市長は23日の定例記者会見で「出席したかったが、弁護士の助言を受けてやむを得ず欠席の判断をした」と述べた。市の対応に遺族から批判が出ていて、今後の復旧復興事業に影響を与えかねないとの声も上がっている。 第1回口頭弁論は今月14日、静岡地裁沼津支部であり遺族が意見陳述を行った。県側は代理人が出廷していたが、市側は弁護士と市職員計13人の代理人全員が欠席した。 斉藤市長は会見で「原告と裁判所が決めた弁論期日に顧問弁護士の予定が合わなかった」と釈明。指定代理人
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事故偽装し示談金詐欺 男3人起訴 静岡地検浜松支部
浜松市中区で20代の男3人が飲酒運転の絡む交通事故を自作自演し、同乗者の知人女性から示談金をだまし取ったとされる事件で、静岡地検浜松支部は23日までに、詐欺や詐欺未遂の罪で3人を静岡地裁浜松支部に起訴した。 起訴されたのは、同市北区の会社員の男(22)、ともに住所不定、無職の男(22)、男(21)の3被告。 起訴状などによると、3人は共謀して9月18日、同区の市道で、乗用車と歩行者の衝突事故を計画的に起こし、同乗していた女性(22)に事故の示談金を請求して150万円をだまし取ったほか、10月3日にも同様の手口で、別の女性(21)から示談金150万円をだまし取ろうとしたとされる。 3人は
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業務上横領罪で任意後見人実刑 静岡地裁判決
任意後見人の立場を利用して高齢男性から現金を横領したとして業務上横領罪に問われた静岡市駿河区、会社員の男(69)の判決公判で、静岡地裁は22日、懲役2年6月(求刑懲役3年6月)の実刑判決を言い渡した。 判決理由で鈴木悠裁判官は、任意後見人制度に対する信頼を揺るがしたと指摘。被害者の財産を一時的に流用したことについて被告人は違法性を認識していたとし、「利欲的な動機から横領行為を重ねた意思決定は厳しい非難に値する」と述べた。 判決によると、被告は2016年8月~17年5月、任意後見人として財産管理していた同市清水区の男性=当時(90)=の金融口座から9回にわたって現金計約770万円を引き出し
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放課後デイ給付金詐欺 理事長が認める 地裁浜松支部初公判
浜松市のNPO法人「アンヘレス」が放課後等デイサービス施設の運営に関する給付金を詐取したとされる事件で、詐欺の罪に問われた同市中区、同法人理事長の女(65)の初公判が22日、静岡地裁浜松支部(高島由美子裁判官)で開かれた。被告は起訴内容を認めた。 起訴状によると、被告は2021年、放課後等デイサービス施設「天使の部屋 葵教室」に児童発達支援管理責任者(児発管)を配置したように装い、障害児通所給付費を4回にわたって同市に請求し、不正受給額412万円を含む給付費2872万円をだまし取ったとされる。 検察は冒頭陳述で、同NPO法人の業務全般を統括していた被告は、児発管の欠員によって同給付費が減
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山林所有の男に罰金50万円求刑 長泉・木くず不法投棄
長泉町の山林に造園や樹木の剪定(せんてい)で出た木くずなどを不法投棄したとして廃棄物処理法違反の罪に問われた山林所有者の農業の男(75)=同町=の論告求刑公判が21日、静岡地裁沼津支部(谷本奈央裁判官)で開かれ、検察側は罰金50万円を求刑した。 検察側は論告で、取引価値のない不要な枝葉などを投棄目的と認識しながら受け入れ放置していたとし「不法投棄の罪の成立は明らか。処分代として利得を得ながら不合理な弁解に終始し、刑事責任は重い」と述べた。 弁護側は「枝葉などはシイタケ栽培の土地作りに必要な材料で不要物ではない。廃棄物に該当せず、造園会社との共謀の事実もない」などとして無罪を主張した。
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熱海土石流/損賠訴訟併合審理へ 責任追及、当事者そろう【追跡2022③】
14日、静岡地裁沼津支部の法廷。「住民の生命財産を守る責務を全うするために、行政はやるべきことをやってきたのか。到底そうは思えない」。熱海市伊豆山の大規模土石流の遺族、被災者でつくる「被害者の会」の瀬下雄史会長(55)の怒りを帯びた低い声が響いた。 未曽有の「人災」の責任追及を巡り、遺族らが県と熱海市に計約64億円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論。被告席で瀬下会長の意見陳述に耳を傾けたのは県の代理人のみで、熱海市の代理人の姿はなかった。 事前に答弁書を提出した市が初弁論を欠席することは法的に認められている。ただ、遺族からは「不誠実だ」「私たちと向き合う気がないのか」と怒りや嘆きの声
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強制わいせつの罪 薬剤師の男を起訴 静岡地検沼津支部
静岡地検沼津支部は20日までに、強制わいせつの罪で富士市立中央病院の薬剤師の男(32)=同市松本=を静岡地裁沼津支部に起訴した。19日付。 起訴状などによると、被告は7月15日、県東部のアパート内でエステ店の20代の女性従業員にマッサージを受けた際、女性にわいせつな行為をしたとされる。
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女性会社員刺殺 長男を不起訴 静岡地検
静岡市清水区蜂ケ谷の民家で8月、女性会社員が刺殺された事件で、静岡地検は20日、殺人容疑で逮捕・送検された長男(25)を不起訴処分にした。理由は明らかにしていない。地検は長男を鑑定留置し、当時の精神状態などを調べていた。
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浜松死亡ひき逃げ ワゴン車の男起訴 地検支部
浜松市西区の市道で11月に発生した死亡ひき逃げ事件で、静岡地検浜松支部は16日、自動車運転処罰法違反(過失運転致死)と道交法違反(ひき逃げ)の罪で同区雄踏町宇布見、設備業の男(43)を静岡地裁浜松支部に起訴した。 起訴状によると、被告は11月26日午前2時10分ごろ、同区志都呂の丁字路交差点でワゴン車を運転中に脇見運転をし、前方の横断歩道を渡っていた歩行者の男性(71)をはねて死亡させた上、その場から立ち去ったとされる。
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強制わいせつ致傷 犯行時19歳の男に有罪 地裁沼津支部判決
静岡県東部の路上で女性にわいせつな行為をし、けがを負わせたとして強制わいせつ致傷の罪に問われた沼津市のアルバイトの男(20)=事件当時(19)=の裁判員裁判判決公判で、静岡地裁沼津支部は15日、懲役3年、保護観察付き執行猶予5年(求刑懲役3年6月)を言い渡した。 野沢晃一裁判長は判決理由で、事件前日に犯行場所の見当を付け、女性を物色し待ち伏せした行動は「一定の計画性と犯行への強い意思が認められる。被害者の精神的被害は大きい」と述べた。一方で「被告が若年で更生に向けた家族の協力や医療機関への通院継続が期待できる」と保護観察付き執行猶予の理由を挙げた。 判決によると被告は4月上旬、県東部の路
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熱海土石流 損賠2訴訟併合審理へ 遺族ら真相究明期待「全ての被告そろった」
熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り、遺族ら111人と3法人が県と熱海市に計約64億円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が14日、静岡地裁沼津支部であり、古閑美津恵裁判長は、遺族らが土石流の起点の現旧土地所有者らを相手取り起こした損害賠償請求訴訟と併合審理すると決めた。原告側の代理人弁護士は全ての被告がそろうことで「真相究明に近づいた」と期待感を示した。 県、熱海市を被告とした訴訟と現旧所有者らに対し計約58億円の損害賠償を求めた訴訟が併合され、来年1月11日には非公開の弁論準備手続きが行われる。「被害者の会」会長の瀬下雄史さん(54)は「今まで責任のたらい回しが現旧所有者、県、市の間で行
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袋井強盗致傷事件 見張り役「誘われ」 地裁支部公判で被告
暴力団組員らが袋井市の50代男性の自宅に侵入して暴行を加え、現金や乗用車を脅し取ったとされる強盗致傷事件で、見張り役を務めたとして強盗ほう助の罪に問われている飲食店店員の男(40)=大阪市=の第2回公判が14日、静岡地裁浜松支部(高島由美子裁判官)で開かれた。被告は「見張りの仕事で1万円から100万円の報酬がもらえると知人から誘われ、引き受けた。内容は事件当日まで知らなかった」と主張した。 被告は検察側の質問に対して「被害男性宅にレンタカーで向かう途中、男性から金を回収するという趣旨の(暴力団組員2人の)会話を聞いた」と説明。仕事を引き受けた理由は「少し危ない仕事かもしれないとは思ったが、
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露天風呂盗撮 千葉の男に有罪 静岡地裁判決
露天風呂に入浴している女性を狙った組織的な盗撮事件で、茨城県迷惑防止条例違反の罪に問われた千葉県市川市、会社員の男(43)の判決公判で、静岡地裁は14日、懲役1年、執行猶予3年(求刑懲役1年)を言い渡した。 国井恒志裁判官は判決理由で「自らの性的欲求を満たすためという自己中心的な動機で犯行に及んだ上、知人女性らを言葉巧みに露天風呂に誘う重要な役割も担当していて、厳しい非難を免れない」と指摘した。 判決によると、被告は2020年8月25日、盗撮グループのリーダー格とされる男(50)=兵庫県迷惑防止条例違反などの罪で公判中=と共謀し、茨城県内の露天風呂に入浴中の知人女性2人をビデオカメラで盗
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熱海土石流 遺族「行政 責務全うせず」 県と市、争う姿勢 静岡地裁沼津支部 損賠訴訟初弁論
熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り、起点となった土地で違法な盛り土造成を黙認したなどとして、遺族と被災者が静岡県と熱海市に計約64億円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が14日、静岡地裁沼津支部(古閑美津恵裁判長)であり、県と市は請求棄却を求めて争う姿勢を示した。 原告の「被害者の会」会長で、母陽子さん=当時(77)=を亡くした瀬下雄史さん(54)は意見陳述で、不正に盛り土を造成し、長年放置した現旧土地所有者の悪質性を指摘し、「管理責任者として不適切な対応を続けた行政も許せない」と強調。被害の結果責任に触れない姿勢に怒りをにじませ「住民の生命財産を守る責務を全うする努力をしたのか。到底そう
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焼津カツオ盗 2人を追起訴 静岡地検
焼津市の焼津漁港に水揚げされたカツオの窃盗事件で、静岡地検は13日、窃盗の罪で、同市の水産加工会社「マルテ小林商店」元役員の男(45)=同罪で起訴済み=と同市の運送会社「堀住運送」社長の男(61)=同=を静岡地裁に追起訴した。 窃盗容疑で送検された堀住運送の運転手2人と同市内の水産加工会社社員を不起訴処分にし、焼津漁協の職員については罪名を窃盗ほう助に切り替えた上で不起訴処分にした。理由は明らかにしていない。 起訴状によると、両被告は堀住運送の運転手と共謀して昨年3月17日、宮城県の船会社が焼津漁港に水揚げした冷凍カツオ約28トン(約460万円相当)を盗んだとされる。
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基準津波の説明 原告側が求める 浜岡原発廃炉訴訟
中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)3~5号機の廃炉を求めて地元住民が起こした訴訟の第34回口頭弁論が12日、静岡地裁浜松支部で開かれた。原告側は、中電が今夏に基準津波(想定の最大津波高)の22・7メートルへの引き上げを提示したのに関連し、津波が広がる仕組みや安全対策の説明を同社側に求めた。 中電は原子力規制委員会の新規制基準適合性確認審査で、プレート間(南海トラフ)地震による最大津波高について、防潮堤(高さ22メートル)を上回る22・7メートルに及ぶとの想定を示している。 原告側は新たな準備書面で、沖合から同原発敷地の海岸線に津波が到達するまでの高さと速度の推移を図面で示すことに加え、敷地
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静岡県職員に懲役2年求刑 静岡地裁公判 公共工事絡む背任
静岡県発注の公共工事に絡んで虚偽の公文書を作成し、請負代金を増額させるなどして県に損害を与えたとして、虚偽有印公文書作成・同行使と背任の罪に問われた三島市、県職員の被告(32)の公判が12日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。検察側が懲役2年を求刑し、結審した。 検察側は論告で、誠実に職務を遂行する任務に背いたとした上で「規範意識が明らかに低下している」と指摘。「犯行態様は巧妙かつ悪質で動機に酌量の余地はない」と非難した。 一方、弁護側は予算を全て執行することを至上命令とする雰囲気が職場組織にあったとし「執行猶予付き判決が相当」と主張した。 起訴状などによると、被告は県下田土木事務
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横領の任意後見人 懲役3年6月求刑 静岡地裁公判
任意後見人の立場を利用して高齢男性から現金を横領したとして業務上横領罪に問われた静岡市駿河区、会社員の男(69)の公判が9日、静岡地裁(鈴木悠裁判官)で開かれた。被告は追起訴内容を認め、検察側が懲役3年6月を求刑して結審した。 検察側は論告で、常習的に横領を繰り返していたとし、「悪質な犯行で信頼を裏切った」と非難。「地位を悪用し、任意後見人制度に対する社会の信頼を揺るがす行為」と強調した。 一方、弁護側は深い反省態度を示しているとして寛大な判決を求めた。被告は最終意見陳述で「(被害者の)財産を守る意識が欠けていた。身勝手で軽率な行動で迷惑をかけてしまい申し訳ない」と謝罪した。 起訴状な
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強制わいせつ致傷 犯行時19歳の男、懲役3年6月求刑 静岡地裁沼津支部公判
静岡県東部の路上で女性にわいせつな行為をし、けがを負わせたとして強制わいせつ致傷の罪に問われた沼津市のアルバイトの男(20)=事件当時(19)=の裁判員裁判論告求刑公判が9日、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判長)で開かれ、検察側は懲役3年6月を求刑した。 検察側は論告で、事件前に人通りの少ない犯行現場を下見するなど、欲望を満たす強い意志や一定の計画性が認められるとし「無防備な被害者を狙った卑劣で危険な犯行」と非難した。弁護側は「被告は事件当時19歳と未熟な年齢。周囲の適切なサポートがあれば更生や再犯防止が期待できる。反省や謝罪の意思も認められる」と訴え、執行猶予付き判決を求めた。 起訴状な
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強制わいせつ致傷認める 地裁沼津支部 犯行時19歳の男初公判
静岡県東部の路上で女性にわいせつな行為をし、けがを負わせたとして強制わいせつ致傷の罪に問われた沼津市のアルバイトの男(20)=事件当時(19)=の裁判員裁判初公判が8日、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判長)で開かれた。男は起訴内容を認めた。 冒頭陳述で検察側は「犯行現場周辺を車で物色し、帰宅途中の被害者に目を付け先回りして待ち伏せ、すれ違いざまに転倒させた」と経緯を説明。弁護側は「(被告は)当時新型コロナウイルスに感染し、外出が制限され性欲を抑えきれなかった」と述べた。 起訴状などによると、被告は4月上旬、県東部の路上で、自転車で走行中の10代の女性を転倒させた上、わいせつな行為をし、足や
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損害賠償請求訴訟 市と県、争う姿勢 違法盛り土「黙認」法的責任を否定 熱海土石流
熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り、起点となった土地で違法な盛り土造成を黙認したなどとして、遺族らが同市と県に計約64億円の損害賠償を求めた訴訟で、市と県が請求棄却を求める答弁書を静岡地裁沼津支部に提出したことが7日、原告への取材で分かった。一連の行政対応について、市と県は違法な権限不行使には当たらないと主張している。 遺族らは、市が前土地所有者の不動産管理会社(神奈川県小田原市)の届け出書に不備があったにもかかわらず受理したことや、市が県条例に基づく措置命令を見送った際に、県が市に行政対応の是正を求めなかったのは違法と訴えている。 市は答弁書で、再三にわたり同社に行政指導を行ったが、県条
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高校校舎飛び降り訴訟 静岡県への賠償命令を支持 東京高裁判決
静岡県中部の県立高校に通っていた2016年に校舎3階から飛び降りて負傷したのは、男性教員による執拗(しつよう)な叱責(しっせき)で急性ストレス反応が起きたのが原因だったとして、当時2年生だった県中部の20代女性が県などに550万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は7日、県に220万円の支払いを命じた一審静岡地裁判決を支持し、女性側の控訴を棄却した。 控訴審判決を受け、池上重弘県教育長は「教育的指導の範囲を超えた行為があったことを厳粛に受け止める。今後、このような行為が起こらないよう努めていく」などとコメントした。 静岡地裁判決によると、女性は他の生徒と研究班を組み、男性教員
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カード不正使用の施設経営夫婦実刑 地裁富士支部判決
富士市で経営していた薬物依存などの回復施設入所者名義のキャッシュカードで不正に現金を引き出したとして、窃盗の罪に問われた大阪府羽曳野市、共に派遣社員の男(48)と妻(57)の判決公判で、静岡地裁富士支部(西沢諒裁判官)は5日、男に懲役5年(求刑懲役6年)、女に懲役3年6月(求刑懲役4年6月)を言い渡した。 西沢裁判官は判決理由で、施設入所者のカードで出金していた常習的な行為を「経済的損害のみならず、信頼を裏切る悪質なもの」と述べた。 判決によると、両被告は共謀し、施設利用者から預かったカードで2020年4月8日から21年2月15日までに現金計740万円を引き出した。男は同じ利用者のカード
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強盗罪の被告 起訴内容認める 地裁浜松支部初公判
暴力団組員らが袋井市の50代男性の自宅に侵入して暴行を加え、現金や乗用車を脅し取ったとされる強盗致傷事件で、強盗罪に問われている指定暴力団稲川会系組員の無職の男(50)=東京都新宿区=の初公判が5日、静岡地裁浜松支部(杵渕花絵裁判官)で開かれた。被告は起訴内容を認めた。 事件では被告のほか、同組員の無職の男(54)=強盗致傷、住居侵入罪=らが起訴されている。 検察は冒頭陳述で、無職の男(54)と被害男性に仕事上の付き合いがあり、被害男性が業務を通じて現金を着服したとの情報から事件に至ったと説明。無職の男(54)は無職の男(50)に同行を依頼し、犯行を計画したと指摘した。無職の男(54)が
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袴田さん差し戻し審 裁判長と初面会 東京高裁
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直し(再審)を訴えている袴田巌さん(86)の差し戻し審で、袴田さんが5日、東京高裁の大善文男裁判長と面会した。関係者への取材で分かった。再審請求審で袴田さんが担当裁判官と顔を合わせるのは第1次、2次を通じて初めて。 弁護団が刑事訴訟規則に基づき、決定を出す前に袴田さん本人の意見を聞き取るよう高裁に求めていた。第2次請求審では、静岡地裁が2013年、意見聴取のために当時東京拘置所に収監されていた袴田さんを訪ねたが、袴田さんは「どうしたって死刑になる」などと言い、拒否していた。 関係者によると、
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袴田さん差し戻し審 血痕変色巡り対立 弁護団と高検が最終意見書
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直し(再審)を訴えている袴田巌さん(86)の差し戻し審で、弁護団と東京高検は2日、最終意見書を東京高裁に提出した。弁護団は速やかな再審開始を、高検は請求棄却と袴田さんを再収監するよう求めた。高裁は年度内にも再審開始の可否を決定する方針。 事件から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかり、袴田さんの犯行着衣とされた「5点の衣類」に付着した血痕には赤みが残り、弁護団は不自然として捏造(ねつぞう)された証拠だと指摘してきた。2020年の最高裁決定は、みそに漬かった血痕の変色に影響を与える要因につ
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同性婚訴訟「思い伝わった」「一歩前進」 静岡県内関係者
国が同性婚を認めないのは憲法違反だと同性カップルが訴えた訴訟で、東京地裁が30日、同性パートナーと家族になる法制度がない現状は「違憲状態」と判断したことを受け、原告や県内の性的少数者を支援する団体からは喜びとともに、国会での積極的な議論を求める声が上がった。 昨年12月まで熱海市で生活していた原告の一人、かつさん(37)=仮名=は東京地裁で判決の言い渡しを聞き、「裁判官に自分たちの思いが伝わっていた」と感じ取った。パートナーの広橋正さん(53)は「社会に傷つけられてきた個人の尊厳を回復する戦いだった。踏み込んだ判決で、うれしかった」と目に涙を浮かばせた。 弁護団の水谷陽子弁護士は電話取材
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重傷事故有罪判決 熱海市職員停職3カ月
熱海市は30日、2月に自家用車を運転中に歩行者をはねて重傷を負わせたとして、10月に静岡地裁沼津支部に自動車運転処罰法違反(過失致傷)の罪で禁錮1年2月、執行猶予3年の有罪判決を受けた観光建設部主幹の職員(51)を29日付で停職3カ月の懲戒処分にしたと発表した。 市によると、職員は2月16日午後7時45分ごろ、市内の交差点で横断歩道上の安全を確認する注意義務を怠り、歩行者をはねて重傷を負わせたとされる。 斉藤栄市長は「職員に対し法令の順守、安全運転を徹底するよう強く注意喚起する」とのコメントを出した。
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強制わいせつ致傷 理学療法士を起訴 静岡地検浜松支部
静岡地検浜松支部は30日、強制わいせつ致傷の罪で浜松市南区、理学療法士の容疑者(25)を静岡地裁浜松支部に起訴した。裁判員裁判の対象になる。 起訴状によると、被告は9月27日午前4時5分ごろ、市内の路上で、20代の女性に背後から抱きつき、わいせつな行為をした上、転倒した女性の首を両手で押さえ込むなどして2週間のけがを負わせたとされる。 被告は別の女性への強制わいせつ致傷容疑でも逮捕、送検されていたが、同支部は罪名を強制わいせつと傷害に切り替えた上で不起訴処分にした。
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カード窃取の指示役 懲役4年の実刑判決 静岡地裁浜松支部
特殊詐欺グループの仲間と共謀し、約1カ月間で静岡県内外の高齢者8人からキャッシュカードを盗み取ったなどとして窃盗の罪に問われた東京都江東区、収納代行業の被告(35)の判決公判で、静岡地裁浜松支部は30日、懲役4年(求刑懲役5年)の実刑判決を言い渡した。 被告らは市役所職員などを装って高齢者宅に電話をかけ、「キャッシュカードを交換する必要がある」とうそを言い、被害者のカードを封筒に入れた後、隙を見て別の封筒にすり替えるキャッシュカード詐欺盗を繰り返していた。盗んだカードで出金した現金被害額は計929万円に上る。 大村泰平裁判官は判決理由で、被告が受け子役への指示などの役目を担ったと指摘し、
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強盗で見張り役 起訴内容認める 静岡地裁浜松支部初公判
暴力団組員らが袋井市の50代男性の自宅に侵入して暴行を加え、現金や乗用車を脅し取ったとされる強盗致傷事件で、見張り役を務めたとして強盗ほう助の罪に問われている飲食店店員の被告(40)=大阪市=の初公判が30日、静岡地裁浜松支部(高島由美子裁判官)で開かれた。被告は起訴内容を認めた。 同事件では被告のほか、指定暴力団稲川会系組員の無職の被告(54)が強盗致傷と住居侵入の罪で、同組員の無職の被告(50)が強盗罪で起訴されている。 検察は冒頭陳述で稲川会系組員の両被告が知人の男性宅に先に入り、外にいた飲食店店員の被告は男性の叫び声を聞いて家に入ったと事件当時の状況を説明した。飲食店店員の被告は
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同性婚選択できる日を 損賠訴訟、30日東京地裁で判決 昨年まで熱海居住の原告
同性同士の結婚を国が認めないのは婚姻の自由の侵害だとして、東京都などの8人が国に損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、東京地裁で言い渡される。2021年12月まで熱海市に住んでいた原告の広橋正さん(53)とかつさん(37)=仮名=カップルは「性的指向で平等な権利が与えられないのは明らかに不平等。同性婚を選択できる日が一日でも早く来てほしい」と司法の判断に期待する。 2人は十数年前に会員制交流サイト(SNS)で知り合った。東京都と熱海市で約10年間同居し、現在は沖縄県に移り住んで宿泊業を始める準備を進めている。異性婚カップルと変わらない生活を送るが、婚姻が認められないことで気掛かりな点もあると
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遺体放置、年金詐取 内縁の女に有罪判決 静岡地裁
内縁関係にあった高齢男性の遺体を自宅に放置し、男性の年金などを不正受給したとして死体遺棄と詐欺の罪に問われた住所不定、無職の女(56)の判決公判で、静岡地裁は29日、懲役2年6月、執行猶予4年(求刑懲役2年6月)を言い渡した。 判決理由で谷田部峻裁判官は「犯行を正当化することはできないが、当時の被告人の心情は理解できる」とし、「深い反省態度を示している」と述べた。 判決によると、被告は4月7日から8月3日までの間、静岡市清水区の当時の自宅で同居する内縁関係にあった男性=当時(78)=の遺体を放置し、男性の年金など約5万6千円を不正受給した。
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下田の海水浴場業務妨害 総長ら起訴内容を否認 地裁沼津支部公判
下田市の白浜大浜海水浴場で、市夏期海岸対策協議会原田支部の男性支部長を脅し、海水浴場の管理運営などの業務を妨害したとして威力業務妨害の罪に問われた指定暴力団稲川会大場一家総長の男(58)=河津町峰=と幹部の男(56)=下田市吉佐美=両被告の初公判が29日、静岡地裁沼津支部(谷本奈央裁判官)で開かれ、ともに起訴内容を否認した。 総長の男は「(男性支部長とは)面識がなく浜にいたことも分からない」と述べ、幹部の男も「にらんでいない」とした。 冒頭陳述で検察側は、総長の男が市による同海水浴場での違法業者排除や警備員配置の取り組みが記載された複数の新聞記事を自宅で保管するなど、海水浴場の管理運営に
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死亡女性との婚姻届提出した男を起訴 静岡地検浜松支部
静岡地検浜松支部は29日、死亡した女性との婚姻届を提出し記録させたとして、電磁的公正証書原本不実記録・同供用の罪で浜松市のグラフィックデザイナーの男(60)を静岡地裁浜松支部に起訴した。 起訴状などによると、被告は2018年4月、同年1月に死亡した交際相手の女性との婚姻届を同市中区役所に提出し、戸籍原本のデータに事実ではない記録をさせたとされる。婚姻届は女性の生前の消印が押された封筒に入っていて、女性の死亡前に送られた物として区役所に受理されていたという。 女性の親族が警察に相談して発覚した。関係者によると、被告と女性の親族の間に財産を巡るトラブルがあったとみられる。
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国賠償責任認めず 無罪男性訴え棄却 静岡地裁判決
特殊詐欺事件で詐欺罪に問われ、東京高裁の逆転無罪判決が確定した千葉県の男性が、国家賠償法に基づいて国に約3320万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁は25日、男性の請求を棄却した。 男性側は、詐欺グループの関係者との謀議を直接的に示す事実はなく、詐欺の利益を得た証拠などもなかったと主張し、静岡地検の担当検事について「グループのメンバー1人の供述をうのみにして共謀共同正犯の成立要件を度外視し、合理的な判断過程を経ずに起訴した」と訴えていた。 増田吉則裁判長は判決理由で、検事の起訴時の判断過程について「合理性を欠くとまでは言えない」と指摘。起訴に職務上の法的義務違反はないと判断した。
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静岡新聞社側の勝訴確定 最高裁、地番報道訴訟
覚醒剤取締法違反などの容疑で逮捕されたブラジル国籍の夫婦が、地番を含む住所が報道されプライバシーを侵害されたなどとして静岡新聞社に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は24日付で、夫婦の上告を退ける決定をした。夫婦の請求を棄却した二審東京高裁判決が確定した。 一審静岡地裁判決は、プライバシーの侵害を認めて計66万円の支払いを静岡新聞社に命じた。二審判決は、重大犯罪の容疑者の特定について「公共の利害に関する重要な事項として報道される必要性が高く、プライバシーの保護に優越して表現の自由の保障が及ぶ」と指摘。地番の記載の有無により、私生活上の平穏が害される恐れに格段の違いがあ
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酒気帯び運転の罪 消防署員を起訴 静岡地検
静岡地検は25日、道交法違反の罪で静岡市葵区桜町1丁目、市消防局葵消防署警備第1担当課長(53)を静岡地裁に起訴した。 起訴状によると、被告は11月10日、同市駿河区の道路で、オートバイを酒気帯び運転したとされる。
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大学推薦入試条件誤認、出願取り下げ 静岡県、科技高元生徒に解決金
静岡県立科学技術高(静岡市葵区)で2021年、大学の指定校推薦入試の出願条件を学校が誤認し、当時3年生だった元生徒1人の出願を途中で取り下げていたことが22日、分かった。取り下げられた元生徒は進路選択の幅が狭められたとして損害賠償を求めて静岡地裁に提訴。静岡県は22年10月に、専決処分で解決金100万円を支払って和解した。 県は同日の議会運営委員会で、12月1日開会の県議会12月定例会に関連議案を提出すると報告した。 県教委高校教育課によると、同校は21年11月、出願先の大学から2人分の枠で異なる系統の学科を志願するよう条件を示されていたが、誤って同じ系統の学科に2人分の出願をした。大学
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焼津カツオ盗 3人起訴 静岡地検、2人処分保留
焼津市の焼津漁港に水揚げされたカツオが流通段階で抜き取られた事件で、静岡地検は22日、窃盗の罪で、同市の水産加工会社「マルテ小林商店」元役員の男(44)=同市焼津=ら3人を静岡地裁に起訴した。 元役員の男(44)のほかに起訴されたのは、焼津市の運送会社「堀住運送」社長の男(61)=同市北新田=、高知県の水産加工会社「大熊」元役員の男(68)=藤枝市駅前1丁目=の両被告。 起訴状によると、元役員の男(44)、社長の男(61)の両被告は堀住運送の運転手の男性2人=ともに(48)=らと共謀して昨年3月11日、焼津市の船会社「極洋水産」が焼津漁港に水揚げした冷凍カツオ約26トン(約424万円相当
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御殿場傷害致死罪 懲役2年8月判決 地裁沼津支部
御殿場市内の駐車場で同僚男性に暴行を加え転倒させ、死亡させたとして、傷害致死の罪に問われた裾野市、トラック運転手の男(32)の裁判員裁判の判決公判で、静岡地裁沼津支部は22日、懲役2年8月(求刑懲役5年)を言い渡した。 弁護側は被害者が地面に足を取られて自ら転倒したなどと主張していたが、野沢晃一裁判長は判決理由で、当時の2人のやりとりから「被告の暴行で被害者が転倒し死亡するに至った」と認定。量刑については「暴行が直接の死因ではない点や持病の影響の可能性を考慮した」と述べた。 判決によると、被告は2021年12月17日午前6時ごろ、御殿場市内の駐車場で裾野市のトラック運転手の同僚男性=当時
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御殿場傷害致死罪 懲役2年8月判決 地裁沼津支部
御殿場市内の駐車場で同僚男性に暴行を加え転倒させ、死亡させたとして、傷害致死の罪に問われた裾野市、トラック運転手の男(32)の裁判員裁判の判決公判で、静岡地裁沼津支部は22日、懲役2年8月(求刑懲役5年)を言い渡した。 弁護側は被害者が地面に足を取られて自ら転倒したなどと主張していたが、野沢晃一裁判長は判決理由で、当時の2人のやりとりから「被告の暴行で被害者が転倒し死亡するに至った」と認定。量刑については「暴行が直接の死因ではない点や持病の影響の可能性を考慮した」と述べた。 判決によると、被告は2021年12月17日午前6時ごろ、御殿場市内の駐車場で裾野市のトラック運転手の同僚男性=当時
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大自在(11月20日) 超高齢化社会
寝たきり状態になった85歳の妻は介護してくれる81歳の夫に「首を絞めて殺して」と何度も懇願していた。ある日、妻は夫の介助でトイレに行く途中、転倒して気を失う。「これで終わりにしよう」。夫は妻の首にタオルを当て、15分以上絞め続けたという。 今年7月、千葉県で起きた老老介護の末の承諾殺人。検察は起訴状で「思慮が浅い」と非難し、弁護側は「妻を愛していたゆえの犯行」と情状酌量を求めた。静岡新聞5日付朝刊に載った千葉地裁判決は懲役3年、執行猶予4年だった。 介護を支えるヘルパーは入っていたが、日常生活の中に過酷な負担があった。判決の言い渡しで裁判官は、社会の中で一生をかけて償い続けるようにと夫を
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盛り土撤去命令 取り消し訴訟 静岡県、請求棄却求める
熱海市伊豆山の大規模土石流の起点で不安定な状態で残っている盛り土を巡り、今年7月施行の県盛り土規制条例に基づき、県から土砂撤去の措置命令を受けた不動産管理会社「新幹線ビルディング」(神奈川県小田原市)が命令の取り消しを求めた訴訟の第1回口頭弁論が18日、静岡地裁(増田吉則裁判長)であった。県は請求棄却を求めて全面的に争う姿勢を示した。 同社は2006年から11年まで起点を含む土地を所有し、07年に当時の県条例に基づき盛り土造成を熱海市に届け出た。土石流では約5万5千立方メートルの土砂が流出したとされ、約2万立方メートルの土砂が不安定な状態で起点に残っている。 訴状で同社は、この土砂を搬入
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死体遺棄と詐欺罪 女に2年6月求刑 静岡地裁公判
内縁関係にあった男性の遺体を自宅に放置し、男性の年金などを不正受給していたとして死体遺棄と詐欺の罪に問われた住所不定、無職の女(56)の公判が18日、静岡地裁(谷田部峻裁判官)で開かれた。被告は追起訴分の詐欺罪の起訴内容も認め、検察側が懲役2年6月を求刑して結審した。 検察側は論告で「男性が死亡後も国に年金や生活保護費を振り込ませ、現金をパチンコや食費に充てた」とし、「男性の尊厳も著しく傷つけ、自己中心的で身勝手な犯行」と悪質性を強調した。 一方、弁護側は被告人が反省しているとして寛大な判決を求めた。 起訴状などによると、被告は4月7日から8月3日までの間、静岡市清水区の当時の自宅で同
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ツナ缶に虫混入 下請け製造会社が控訴 静岡地裁判決に不服
製造依頼したツナ缶にゴキブリとみられる虫が混入し、ブランドイメージが損なわれたとして、はごろもフーズ(静岡市駿河区)が興津食品(同市清水区)に損害賠償を求めた訴訟で、興津食品は17日、約1億3150万円の支払いを命じた静岡地裁判決を不服として東京高裁に控訴した。 2016年10月、興津食品が製造し、山梨県内のスーパーで販売されたツナ缶の一つに、ゴキブリとみられる虫の混入が発覚。はごろもフーズは17年11月、約8億9700万円の支払いを求めて提訴した。8日の地裁判決は、緊急対応コールセンターの費用や逸失利益などを損害と認めた。 県庁で記者会見した興津食品の池上浩司社長や代理人弁護士によると
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旧天竜林業高事件 検察が証拠開示拒否 行動記録巡り「必要がない」 元市長再審請求
旧天竜林業高(浜松市天竜区)で起きた調査書改ざん・贈収賄事件で、贈賄罪で罰金70万円の略式命令を受けた元天竜市長(90)による再審請求の非公開の三者協議が17日、浜松簡裁で開かれた。校長に校内で現金を渡したとされる日の元市長の行動記録の証拠開示を弁護側が求めていたのに対し、検察側は「必要がない」と拒否した。 元市長の代理人の杉尾健太郎弁護士が協議後、記者会見で説明した。この日の協議までに検察側は意見書面を提出した。検察側は、略式命令が2008年に確定している点などを踏まえ、証拠開示請求を「著しく時期に遅れた証拠漁りに過ぎない」と退けた。行動記録の証拠の有無には言及していないという。 弁護
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任意後見人の男 業務上横領認める 静岡地裁初公判
任意後見人の立場を利用して高齢男性から現金計260万円を横領したとして業務上横領罪に問われた静岡市駿河区、会社員の男(69)の初公判が17日、静岡地裁(鈴木悠裁判官)で開かれた。被告は起訴内容を認めた。 検察側は、被告が被害男性の通帳や印鑑を預かり、任意後見人として資産を管理していたと指摘。「横領した現金は自身が経営する介護事業会社の運営資金に充てた」と経緯を主張した。 犯行発覚に至った理由について、男性の任意後見監督人の弁護士が、男性名義の口座から多額の使途不明金が出金されていることに気付いたと説明。被告が犯行の隠蔽(いんぺい)を図り、口座から正当に資金を引き出したように見せるため、男
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生活保護訴訟 原告、窮状訴え 静岡地裁で結審
国が2013~15年に生活保護費の基準額を引き下げたのは生活保護法に違反するとして、県内の複数の受給者が掛川市などに減額処分の取り消しを求めた訴訟が17日、静岡地裁(菊池絵理裁判長)で結審した。判決期日は2023年5月30日。 最終意見陳述で原告の男性は「生活が苦しい。安心して1日3度食事できるようになることを望んでいる」と窮状を訴えた。 訴状によると、国は物価下落などを理由に13年から3年間で生活扶助の基準額を平均6・5%引き下げ、計約670億円を削減した。原告側は、厚生労働省が生活保護費受給者の生活状況を何ら調査せず、生活保護の実施機関に当たる市町も国の改定した基準額を機械的に適用し
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静岡県東部で覚醒剤売買 警備員ら5人起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は16日までに、県東部で覚醒剤などを売買していたとして大麻取締法違反や覚醒剤取締法違反の罪で、警備員の男(49)=富士市=、無職の女(49)=同市=ら5人を静岡地裁沼津支部に起訴した。 2被告のほかに起訴されたのは、無職の男(54)=同市=、土建業の男(56)=富士宮市=、派遣社員の男(49)=清水町=の3容疑者。事件に関わった無職の男性2人は不起訴処分にした。理由を明らかにしていない。
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放課後デイ理事長 給付金詐取で起訴 地検浜松支部
静岡地検浜松支部は16日までに、浜松市内の放課後等デイサービス施設の運営に関する給付金をだまし取ったとして、詐欺容疑で逮捕、送検されたNPO法人「アンヘレス」理事長の女(65)=同市中区=を詐欺罪で静岡地裁浜松支部に起訴した。15日付。 起訴状などによると、被告は2021年、同NPOが運営する同区の施設「天使の部屋 葵教室」で、児童発達支援管理責任者(児発管)を配置したと市に虚偽の届け出をした上で、障害児通所給付費を4回にわたって請求し、不正受給額412万円を含む給付費2872万円をだまし取ったとされる。事情を知らない職員に請求手続きを行わせたとみられる。 児発管は子どもの個別支援計画を
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静岡の県立高退学訴訟 控訴審判決が確定
静岡県教委は14日、部活動の合宿で女湯をのぞくなどしたとして2021年に県立高を退学処分になった元生徒3人が県に処分取り消しを求めた訴訟で、1人の処分取り消しを命じた控訴審判決が確定したと発表した。3日付。 池上重弘教育長は、「判決を真摯(しんし)に受け入れる。生徒指導案件で生徒の関わりの度合いや事実関係を丁寧に確認するよう、各学校に指導する」とのコメントを発表した。 高校教育課によると、退学処分が取り消された元生徒は21年10月に静岡地裁が退学処分の執行停止を決めたため、登校や学習指導を再開していた。今後、学校側が卒業認定を行う見込み。
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警部補降任強要 静岡県側「事実ない」 静岡地裁で口頭弁論
パワハラを受けたり、警部補への自主降任を強要されたりして精神的苦痛を負ったとして、静岡県警本部に勤務する男性警部補が、県と県警幹部4人に損害賠償を求めた訴訟の第2回口頭弁論が10日、静岡地裁(増田吉則裁判長)であった。被告側は、提出した準備書面で「パワハラ行為は認められず、自主降任を強要した事実もない」と反論した。 被告側は、県警幹部による指導を「上司として、業務上必要かつ相当な範囲で行われた」とし、パワハラではないと主張。降任は原告自身が願い出たとした上で「降任の意向に至った経緯などを何度も確認し、意思が固かったことから手続きを開始した」と説明し、請求棄却を改めて求めた。
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妻「適切な対応あれば」 静岡病院職員自殺パワハラ訴訟 静岡地裁本人尋問
2014年12月に静岡市立静岡病院の男性職員=当時(57)=が自殺したのは、長時間労働や部下によるハラスメント行為への対応を怠ったことが原因として、遺族が市と地方独立行政法人静岡市立静岡病院に損害賠償を求めた訴訟の本人尋問が10日、静岡地裁(菊池絵理裁判長)であった。男性職員の妻が「市が適切な対応をしてくれていればと悔やんでいる」と述べた。 妻は、14年7月末以降に男性職員の帰宅時間が遅い日が続くようになったとして「身体が心配だった」と振り返った。男性の手帳には、部下から罵倒されたり叱責(しっせき)されたりして「逆パワハラ」を受けているとの記載があったといい「夫は他人を悪く言う人ではなかっ
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無免許で車衝突 運転の男追起訴 地検沼津支部
沼津市内で無免許運転し、乗用車2台に衝突して損壊させたとして、静岡地検沼津支部は10日までに、道交法違反と器物損壊の罪で名古屋市、無職の男(38)=殺人未遂などの罪で起訴=を静岡地裁沼津支部に追起訴した。10月31日付。 起訴状などによると、被告は6月13日午後5時5分ごろ、沼津市の新東名高速道上り駿河湾沼津サービスエリア付近の道路で、乗用車を無免許運転したとされる。さらに同5時15分ごろ、同市の一方通行の道路を逆走し、乗用車2台に衝突して損壊させたとされる。
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袴田さん差し戻し審 支援団体が高検に抗告取り下げ要請
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めている元プロボクサー袴田巌さん(86)の支援団体が9日、即時抗告を取り下げるよう東京高検に要請した。高検が実施した実験からも「犯行着衣」の捏造(ねつぞう)と袴田さんの無実が「立証された」と訴えた。 高裁で続く差し戻し後の即時抗告審では、事件発生から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかった「犯行着衣」を巡り、当時の捜査資料に「濃赤色」と記された血痕の色が焦点になっている。高検は今月1日まで約1年2カ月間、みそ漬けの血痕の変色具合を調べる実験を展開。確認作業に立ち会った弁護
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長泉義母刺殺 懲役15年確定へ 最高裁、被告の上告棄却
最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は、長泉町の自宅で同居の義母を殺害したとして、殺人罪に問われた女(33)の上告を棄却する決定をした。8日付。懲役15年とした一、二審判決が確定する。 判決によると、被告は2020年3月10日、自宅で義母=当時(69)=の胸を包丁で複数回刺すなどして殺害した。 公判で被告が「犯人ではない」と無罪を主張したのに対し、裁判員裁判で審理された昨年12月の一審静岡地裁沼津支部判決は自宅の洗濯機やごみ箱で見つかった犯行着衣とみられる衣類や、殺人の計画を思わせる被告作成のメモの存在を指摘。第三者の関与を疑う事情がなく「犯人を見たという被告の供述は信用できない」と判断した
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無免許運転で事故、身代わり依頼に実刑判決 静岡地裁浜松支部
浜松市南区で7月、乗用車を無免許運転して歩行者の女性(58)をはねた上、同乗者の知人女性に身代わりを依頼したとして、自動車運転処罰法違反(無免許過失傷害)と犯人隠避教唆の罪に問われた同市中区、飲食店店員の男(24)の判決公判で、静岡地裁浜松支部は8日、懲役2年8月(求刑懲役3年6月)の実刑判決を言い渡した。 高島由美子裁判官は「意識が戻らない被害女性の無念は大きい。刑事責任は重大」と実刑の理由を述べた。一方、罪を認め、被害者側に賠償する意向を示している点などを量刑に考慮した。 判決によると、被告は7月17日、同市南区の市道で乗用車を無免許運転し、前方を歩いていた女性をはねて意識障害を伴う
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ツナ缶に虫混入 下請けに1億3千万円賠償命令 静岡地裁判決
製造依頼したツナ缶にゴキブリとみられる虫が混入し、ブランドイメージが損なわれたとして、はごろもフーズ(静岡市駿河区)が下請けの興津食品(同市清水区)に損害賠償など約8億9700万円の支払いを求めた訴訟の判決で、静岡地裁(菊池絵理裁判長)は8日、興津食品に約1億3150万円の支払いを命じた。興津食品は控訴する方針。 2016年10月、興津食品が製造し、山梨県内のスーパーで販売されたツナ缶の一つにゴキブリのような虫の混入が発覚。緊急対応コールセンターの設置費用や返品されたツナ缶の廃棄が生じ、報道された影響で家庭用シーチキンの売上高が想定より激減したなどとして、はごろもフーズが17年11月に提訴
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母の遺体を自宅に放置 年金不正受給に有罪 静岡地裁沼津支部判決
母親の遺体を自宅に放置し、年金を不正受給したとして死体遺棄と詐欺の罪に問われた富士市中里、無職の女(64)の判決公判で、静岡地裁沼津支部は8日、懲役2年4月、執行猶予3年(求刑懲役2年6月)を言い渡した。 野沢晃一裁判官は判決理由で「遺体を放置した期間は長期で、詐欺の被害額も高額。負うべき刑事責任は重い」と指摘した。一方で「事実を認め反省を述べている」など執行猶予の理由を挙げた。 判決によると、被告は2021年12月ごろ、同居する母親=当時(90)=が自宅で死亡していたのに放置し、死亡届を提出せず、今年2月15日から6月15日までの間、3回にわたり年金計約130万円をだまし取った。
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緑地の誤売却訴訟 控訴提起議案を可決 掛川市議会
掛川市が行政財産の緑地を誤って市内の不動産業者に売却した問題を巡る訴訟で、同市議会は8日、臨時会を開き、市が一審静岡地裁判決を不服として控訴を提起する議案を原案通り可決した。 一審判決は、抹消登記手続きを受けるのと引き換えに、土地の代金と関係費用など計約3500万円を支払うよう命じた。市は3500万円のうち土地の代金1千万円を除く関係費用の一部で主張が認められなかったとしている。 市議会は弁護士委託料140万円を追加する一般会計補正予算案も原案通り可決した。
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緑地の誤売却訴訟 掛川市が控訴へ 静岡地裁判決に不服
掛川市が行政財産の緑地を誤って市内の不動産業者に売却した問題を巡る訴訟で、市は7日までに、抹消登記手続きを受けるのと引き換えに、土地の代金と関係費用など計約3500万円を支払うよう命じた一審静岡地裁判決を不服として、東京高裁に控訴する方針を固めた。8日の市議会臨時会に関連議案を提出する。 10月27日の一審判決は、市職員が緑地を売り払わないようにする職務上の注意義務に違反したと認めた。県からの指摘で行政財産と判明した後、売買契約の無効を業者に通知しなかったことに関しても注意義務違反による違法を認定した。 業者側の弁護人は「依頼者と相談して対応を決める」としている。
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カード不正2被告 懲役6年など求刑 静岡地裁富士支部公判
富士市で経営していた薬物依存などの回復施設の利用者から預かったキャッシュカードで不正に現金を引き出したとして、窃盗の罪に問われた大阪府羽曳野市、ともに派遣社員の男(48)と妻(57)の第2回公判が7日、静岡地裁富士支部(西沢諒裁判官)で開かれ、両被告は窃取総額1448万5千円の追起訴内容を認めた。検察側は男に懲役6年、妻に同4年6月を求刑し、結審した。 論告で検察側は「施設経営者の立場を悪用し、被害者の信頼を裏切る相当悪質な行為だ」と断じた。動機については暴力団幹部に自ら金銭の貸与を依頼していて、自業自得と指摘した。弁護側は両被告の反省をくみ、寛大な判決を求めた。 起訴状などによると、両
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社説(11月4日)重大少年事件記録 永久保存へ明確基準を
神戸市で1997年に発生した連続児童殺傷事件で逮捕された当時14歳の少年に対する少年審判の処分決定書など事件記録一式をはじめ、重大少年事件の記録が各地の家裁で廃棄されていたことが明るみに出た。 この問題で、最高裁は全国の裁判所に、少年事件以外も含めて保存期間の満了した全ての裁判記録の廃棄を、一時停止するよう指示した。最高裁は重大少年事件記録の廃棄の個別事例について経緯を徹底検証した上で、永久保存への明確な基準作りを急ぐべきだ。 廃棄された記録に関し、警察、検察や弁護士らが一部の写しを保管している可能性もある。協力を得て可能な限りの記録復元に努めてほしい。それが将来に対する司法の責任ではな
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着衣血痕「検察実験も赤み消失」 袴田さん弁護団、再審開始に期待
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めている袴田巌さん(86)の弁護団が2日、県庁で記者会見した。みそに漬かった血痕の色の変化を調べるために検察側が1年2カ月続けてきた「みそ漬け実験」について、前日に色合いを確認した小川秀世事務局長は「(血痕の)赤みは全く消えている」と明かした。 袴田さんの犯行着衣とされる「5点の衣類」は、事件から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで発見された。ステテコの生地は白っぽさが残り、血痕に赤みが見て取れた。会見で小川事務局長は生地がみそ色に染まり、血痕が黒く見える検察側実験の写真を示し
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露天風呂 組織的盗撮事件 岡山の男に有罪 静岡地裁判決
露天風呂に入浴中の女性を狙った組織的な盗撮事件を巡り、兵庫県迷惑防止条例違反などの罪に問われた岡山市、アルバイト従業員の男(33)の判決公判で、静岡地裁は2日、懲役3年、保護観察付き執行猶予4年(求刑懲役3年)を言い渡した。 鈴木悠裁判官は判決理由で、一連の盗撮を「卑劣で計画性も認められる」と悪質性を指摘した。一方で反省し、性犯罪の治療プログラムを受けて更生の意思を示しているなどとして執行猶予が相当と判断した。 判決によると、被告は2020年10月24日、盗撮仲間のリーダー格とされる男(50)=兵庫県迷惑防止条例違反などの罪で公判中=と共謀し、兵庫県の山中で露天風呂に入浴中の知人女性を盗
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母遺体放置の女に懲役2年6月求刑 静岡地裁沼津支部で初公判
母親の遺体を自宅に放置し、年金を不正受給したとして死体遺棄と詐欺の罪に問われた富士市中里、無職の女(64)の初公判が2日、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判官)で開かれ、被告は起訴内容を認めた。検察側は懲役2年6月を求刑し、即日結審した。 検察側は論告で、体調の急変に気づいた際に救急搬送を依頼しなかったと指摘。当時被告は母親の年金で生活していたとし「利欲的な面があったことは否定できない。結果は重大で、相応の非難を免れない」と述べた。弁護側は「反省し、詐欺については被害回復している」と執行猶予付きの判決を求めた。 起訴状などによると、被告は2021年12月ごろ、同居する母親=当時(90)=が自
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任意後見人の男 横領の罪で追起訴 静岡地検
静岡地検は2日、業務上横領の罪で静岡市駿河区池田、会社員の男(69)=同罪で起訴=を静岡地裁に追起訴した。 起訴状によると、被告は任意後見人として市内の90代男性の預金口座を管理していた2016年8月26日から17年5月10日までの間、6回にわたって計517万円を払い戻して横領したとされる。
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袴田さん差し戻し審 高裁裁判長ら、検察の実験確認
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直しを求めている袴田巌さん(86)の差し戻し審で、東京高裁の大善文男裁判長らが1日、みそ漬け血痕の変色具合を調べるために検察側が静岡地検で1年2カ月間続けてきた実験の確認作業に立ち会った。 袴田さんの犯行着衣とされるシャツなど「5点の衣類」は事件から1年2カ月後、現場近くのみそタンクで見つかった。衣類に付着した血痕に赤みが見て取れたが、弁護団は不自然として捏造(ねつぞう)された証拠だと主張。差し戻し審では、みそ漬けの血痕が黒色化するメカニズムを化学的に説明した鑑定書などを新証拠として提出した。
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準強制わいせつ 埼玉の男を起訴 静岡地検
静岡地検は31日、準強制わいせつの罪で埼玉県八潮市、会社員の男(47)を静岡地裁に起訴した。 起訴状によると、被告は2017年6月17日ごろ、東京都墨田区内で、当時20代の知人女性に睡眠導入剤入りの飲料を飲ませ、わいせつな行為をしたとされる。 行為の一部始終をビデオカメラで撮影し、画像を露天風呂の盗撮グループ内で共有していたとみられる。
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静岡県職員 背任などおおむね認める 静岡地裁初公判
静岡県発注の公共工事に絡んで虚偽の公文書を作成し、請負代金を増額させるなどして県に損害を与えたとして、虚偽有印公文書作成・同行使と背任の罪に問われた三島市、県職員の男(32)の初公判が31日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。被告は起訴内容をおおむね認めた。 検察側は冒頭陳述で、被告が担当監督員として設計業務などに携わり、工事を進捗(しんちょく)管理する立場にあったと指摘。工事費用が当初の設計よりも減少し、予算に余剰が生じたため「予算を執行しなければ周囲に迷惑がかかると思った」と犯行経緯を明かした。 一方、被告は罪状認否で動機について「県に損害を与えるためではなかった」と述べた。
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静岡地裁の強制不妊訴訟結審 原告側「強烈な人権侵害」 2月判決
旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたのは憲法違反として、聴覚に障害のある静岡県内の女性が国に損害賠償を求めた訴訟が28日、静岡地裁(増田吉則裁判長)で結審した。判決は2023年2月24日に言い渡される。 原告側は最終意見陳述で「旧法と優生手術は同意なく生殖機能を強制的に侵奪するという強烈な人権侵害で、憲法の基本的理念たる個人の尊厳をないがしろにしている」と改めて指摘。国が推進した優生政策によって「不良との烙印(らくいん)」を押され、社会に根付いた差別や偏見に苦しみ続けてきたと訴えた。 被告の国側は不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」が経過していると主張
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掛川市に3500万円支払い命令 誤った緑地売却で静岡地裁判決
掛川市が行政財産の緑地を誤って市内の不動産業者に売却した問題を巡り、業者が市に損害賠償を求めて提訴し、市が所有権移転登記の抹消登記を求めて反訴した訴訟の判決で、静岡地裁は27日、抹消登記手続きを受けるのと引き換えに土地の代金約1千万円と、関係費用など約2530万円を支払うよう市に命じた。 菊池絵理裁判長は判決理由で、市職員が緑地を売り払わないようにする職務上の注意義務に違反したと認めた。さらに、静岡県からの指摘で行政財産と把握するなどした2018年10月には業者に売買契約の無効を通知すべきだったのに、これを告げなかった注意義務違反による違法も認定した。 その上で、土地取得関係費用、測量や
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部下「大声一度だけ」 静岡病院職員自殺パワハラ訴訟 静岡地裁証人尋問
2014年12月に静岡市立静岡病院の男性職員=当時(57)=が自殺したのは部下によるハラスメントなどへの対応を怠ったことが原因として、遺族が市と地方独立行政法人静岡市立静岡病院に損害賠償を求めた訴訟の証人尋問が25日、静岡地裁(菊池絵理裁判長)であった。部下が出廷し、一度だけ「いいかげんにしろ」と大声を出したことがあるとした一方、ハラスメントはなかったと述べた。 部下は大声を上げた理由について、男性職員の担当業務が滞っている傾向があったとし「大声を出すことで本気でお願いしていることが伝わると思った」と主張。「感情的に発したいわけではないので、周りの人に『これから大声を出します』と言ってから
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兄を殺害未遂 男に有罪判決 地裁沼津支部
同居する兄を包丁で刺して殺害しようとしたとして、殺人未遂の罪に問われた小山町、無職の男(34)の裁判員裁判判決公判で、静岡地裁沼津支部は25日、懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役5年)を言い渡した。 弁護側は、精神障害の影響で心神耗弱状態だったと主張していたが、野沢晃一裁判長は犯行時の行動や動機を踏まえ「心神耗弱状態にはなかった」と退けた。 判決理由で野沢裁判長は、心臓を狙い包丁で深さ13~14センチほど刺した行為は「強固な殺意に基づく危険性の高い犯行」と指摘。一方で「心神耗弱には至らずとも責任能力の低下は認められる。治療や更生に向け医療機関や家族の援助が見込める」など執行猶予の理由を挙げ
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殺人未遂罪 静岡地検、男を起訴
静岡地検は25日までに、殺人未遂の罪で藤枝市田沼1丁目、会社役員の男(36)を静岡地裁に起訴した。 起訴状などによると、被告は4月28日午後6時5分ごろ、藤枝市内で、停止中のオートバイに乗っていた少年と近くにいた少年の2人に殺意を持って運転する乗用車を衝突させ、負傷させたとされる。
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未計量カツオ「運んだ」 焼津窃盗 静岡地裁で証人「マグロ 依頼受け盗む」
焼津市の焼津漁港に水揚げされたカツオの窃盗事件で、窃盗の罪に問われた神奈川県の運送会社「ホクユウ」(現ケイエスケイ)元社長の男(49)と同市の水産加工会社「大熊フーズ」元社長の男(57)、都内の水産加工会社「大洋エーアンドエフ」元焼津営業所長の男(47)の第2回公判が24日、静岡地裁(国井恒志裁判長)であった。同市の運送会社「焼津港湾」の運転手が証人として出廷。大洋関係で未計量のカツオを運んだり、元社長の男(57)から頼まれてマグロを盗んだりしたことがあると述べた。 運転手は焼津港湾に40年ほど勤務。カツオを計量せずに運び出す行為に関わったことが「3年以上前に結構ある」とし、「ほとんどは市
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所長に三森弁護士 下田ひまわり事務所
弁護士の過疎地域の解消を狙いに日本弁護士連合会などが支援して運営する下田ひまわり基金法律事務所(下田市)の所長に10月、県弁護士会所属の三森祐二郎弁護士(51)が就任した。任期は1日から3年。 三森氏は横浜市出身。裁判所事務官や書記官として東京地裁や最高裁での勤務を経て、2010年に弁護士登録。栗原ひまわり基金法律事務所(宮城県)などで活動してきた。 所長を6代目の秋本佳宏弁護士(33)から引き継ぐ。24日に下田市内で会見した三森氏は「高齢者の財産管理などが重要課題だと受け止めている。過疎地域での経験を生かしたい」と意気込んだ。 下田ひまわり基金法律事務所は05年、県内で初めて、全国4
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5女児わいせつも元保育士が認める 地裁沼津支部公判
勤務先の保育園で女児にわいせつな行為をした上、裸体を撮影したとして強制わいせつと児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪に問われた神奈川県湯河原町、元保育士の男(29)の公判が24日、静岡地裁沼津支部(室橋秀紀裁判官)で開かれ、男は女児5人に対する追起訴内容を全て認めた。起訴事実の被害女児は計9人となった。 検察側は冒頭陳述で、勤務中に幼児用トイレで女児の着衣をずらし、スマートフォンで性的な動画を撮影していたと指摘。「コレクションで集めていた」などと動機を明らかにした。検察側は今後、さらに数件を追起訴する方針を示した。 追起訴状などによると、男は6月10日から同29日までに、県東部の勤務先の保
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HP記述で女性医師と和解 伊東市民病院「カルテ削除」撤回
2020年6月、伊東市民病院に電子カルテの記載内容を削除した不適切医師などと公表され、病院を運営する地域医療振興協会と当時の病院管理者を相手に東京地裁に慰謝料などを求める訴訟を起こしていた元同病院の女性医師が21日、伊東市内で記者会見し、和解が成立したことを明らかにした。 原告によると、20年6月4日に病院がホームページ(HP)に掲載した記事の内容について協会が撤回することなどで和解した。病院側は当時、他の医師や看護師らが患者の電子カルテに記載した内容を女性医師が故意に削除したり、介入を阻止するような内容の記載を継続して行ったりしたと公表していた。 女性医師は「協会が掲載内容を事実無根だ
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タリウム事件、記録を廃棄 静岡家裁沼津支部 永久保存せず
2005年に伊豆の国市の少女が母親に劇物のタリウムを飲ませた事件で、殺人未遂容疑で逮捕され、少年審判で医療少年院送致の決定を受けた、この少女に関する全ての事件記録を静岡家裁沼津支部が廃棄していたことが21日、同家裁への取材で分かった。保存期間の満了に伴い、16年11月16日に廃棄したという。 最高裁の規定によると、少年事件の記録は少年が26歳になるまで保存するよう定めている。一方、史料的価値の高い記録は期間満了後も保存しなければならないとし、事実上の永久保存となる「特別保存」と呼ばれている。静岡家裁によると、支部を含めて現時点で特別保存の扱いにしている記録は1件もないという。 タリウム事
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児童ポルノ製造 被告の男認める 静岡地裁初公判
着替え中の18歳に満たない女性を盗撮したとして、児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪に問われた茨城県潮来市、水産作業員の男(29)の初公判が20日、静岡地裁(国井恒志裁判官)で開かれ、被告は起訴内容を認めた。検察側は追起訴する方針。 冒頭陳述で検察側は、被告が2015年ごろに被害女性を見かけ、自宅を把握したと指摘した。その上で「夜間に脱衣所の窓の隙間から盗撮することを続けていた」と主張。露天風呂に入浴中の女性を狙った組織的な盗撮事件を捜査する中で関係者のハードディスクから関連動画が見つかり、発覚したと説明した。 起訴状によると、被告は19年9月7日午後11時ごろ、茨城県の住宅敷地内で、脱衣
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露天風呂盗撮の国家公務員有罪 静岡地裁判決
露天風呂に入浴中の女性を狙った盗撮事件で、児童買春・児童ポルノ禁止法違反と兵庫県迷惑防止条例違反の罪に問われた三重県の国家公務員の男に対し、静岡地裁は20日、懲役2年、執行猶予3年(求刑懲役2年)の判決を言い渡した。 国井恒志裁判官は判決理由で「性的欲求を満たすためという身勝手な動機に基づく卑劣な犯行。厳しい非難を免れない」と述べた。 判決によると、男は2019年5月4日ごろ、10代の女性を脱衣所で盗撮して児童ポルノを製造した。20年3月14日には、盗撮グループのリーダー格とされる別の被告(50)=同条例違反などの罪で公判中=と共謀し、兵庫県内の山中で露天風呂に入浴していた知人女性3人を
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兄を殺害未遂 懲役5年求刑 地裁沼津支部公判
同居する兄を包丁で刺して殺害しようとしたとして、殺人未遂の罪に問われた小山町、無職の男(34)の裁判員裁判論告求刑公判が19日、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判長)で開かれ、検察側は懲役5年を求刑した。 被告には精神障害があり、争点は責任能力の程度。論告で検察側は、被告が事件の5年ほど前から包丁を購入し、兄を殺害する準備をしていたなどとし「殺人が悪いこととは常識的に分かり、思いとどまる能力は十分にあった」と指摘し、完全責任能力があったと主張した。 弁護側は「心神耗弱状態だった。反省し、兄に謝罪文を渡している」として懲役3年、執行猶予5年の判決が相当と訴えた。 起訴状などによると、被告は2
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内縁関係男性の遺体放置 被告、起訴内容認める 静岡地裁
内縁関係にあった男性の遺体を自宅に放置したとして死体遺棄罪に問われた住所不定、無職の女(56)の初公判が18日、静岡地裁(谷田部峻裁判官)で開かれた。被告は起訴内容を認めた。 検察側は冒頭陳述で動機について「警察などに通報すれば亡くなった男性と離れなければならず、一緒にいたかった」と説明。被告は2018年ごろから同居生活し、男性が受給していた生活保護や老齢年金に頼って生活していたことを明かした。 起訴状などによると、被告は4月7日ごろから8月3日までの間、静岡市清水区の当時の自宅で同居する内縁関係にあった男性=当時(78)=が死亡していたのに埋葬せず、死体を放置したとされる。 被告は男
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静岡の県立高退学訴訟 双方の控訴棄却 東京高裁
静岡県教委は17日、部活動で訪れた宿泊施設で女湯をのぞいたり盗撮したりしたとして2021年に県立高を退学処分になった元生徒3人が、静岡県に処分取り消しを求めた訴訟の控訴審について、東京高裁は1人の処分取り消しを命じた静岡地裁の判決を支持し、県側と元生徒2人の控訴を棄却したと発表した。 22年2月8日の一審判決は、元生徒1人について退学処分が違法として取り消しを命じた一方、損害賠償は認めなかった。ほか2人の退学処分は適法とした。県は同月21日に控訴し、元生徒のうち2人も控訴した。控訴審で県側は、退学処分を判断した校長は「裁量権の範囲内で教育上やむを得ない措置を行使した」などと主張した。 判
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焼津カツオ窃盗、漁協元職員ら有罪 静岡地裁、5人に判決
焼津市の焼津漁港に水揚げされたカツオの窃盗事件を巡り、窃盗の罪に問われた焼津漁業協同組合の元職員の男(41)=同市東小川2丁目=ら5被告の判決公判で、静岡地裁は17日、いずれも有罪判決を言い渡した。市内の水産加工会社の元社長の男(61)=同市大村新田=は共謀の成立を否定し無罪を主張していたが、地裁は「共謀を認定できる」と判断した。 「常習的、罪の意識まひ」 地裁は両被告と、焼津市内の水産加工会社の元役員の男(48)=藤枝市藤枝4丁目=に懲役3年、執行猶予3年(いずれも求刑懲役3年)を、焼津市の運送会社の運転手だった男(48)=同市本中根=、男(44)=同市田尻北=には懲
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浜松・経営者殺害 歯科医、二審も懲役19年 東京高裁判決
浜松市東区の貸しガレージで2012年に建築会社経営の男性=当時(68)=の遺体が見つかり、殺人や死体遺棄などの罪に問われた同区の歯科医師(67)の控訴審判決で東京高裁は17日、懲役19年とした一審静岡地裁浜松支部の裁判員裁判判決を支持し、無罪を主張する被告側の控訴を棄却した。弁護人は即日上告した。 一審判決の事実誤認を訴える弁護側は「男性に睡眠導入剤アモバンを摂取させたと認定したのは誤り」などと主張していた。島田一裁判長は判決理由で、被告が虚偽の処方歴を述べてアモバンを入手し、男性と会う際に所持していたことなどを踏まえ、「男性に飲ませる目的で準備したと考えるのが自然で、一審判決に不合理な点
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仲間と4000万円詐欺 都内の男を追起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は17日までに、詐欺の罪で東京都練馬区、無職の男(31)=監禁や暴行などの罪で公判中=を静岡地裁沼津支部に追起訴した。12日付。 起訴状などによると、被告は仲間と共謀し2月24日、「かけ子」役の男が相模原市の無職男性=当時(87)=宅に息子を装って電話をかけて現金が必要とうそを言い、「受け子」役の何者かが息子の同僚を名乗って自宅を訪問し、現金4千万円をだまし取ったとされる。 特殊詐欺グループから脱退を巡る監禁事件の被害者でもある20代のかけ子の男=別の詐欺罪などで起訴=については、同地検支部が12日付で、被告らと共謀したとして詐欺罪で追起訴した。
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兄殺人未遂の男 起訴内容認める 静岡地裁沼津支部初公判
同居する兄を包丁で刺して殺害しようとしたとして、殺人未遂の罪に問われた小山町、無職の男(34)の裁判員裁判初公判が17日、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判長)で開かれ、被告は起訴内容を認めた。 検察側は冒頭陳述で、日ごろから兄の生活音や言動に不満を募らせ、事件当時は食べていた飲食物のにおいを指摘され「悪態をつかれたことに立腹した」と動機を説明した。弁護側は「精神障害の影響で心神耗弱状態だった」として執行猶予付き判決を求めた。 起訴状などによると、被告は2021年9月6日午後10時ごろ、自宅で兄=当時(36)=の左脇腹を、殺意を持って包丁で刺し、約23日間のけがを負わせたとされる。
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手術せず性別変更申し立て 鈴木さん、初の審尋 家裁浜松支部
生殖機能をなくす性別適合手術をせずに、静岡家裁浜松支部に戸籍上の性別変更を申し立てている鈴木げんさん(47)=浜松市天竜区=の家事審判で14日、初の審尋が開かれた。審尋後の会見で鈴木さんは「関心を持って審議してくれた」と強調。弁護団は、担当裁判官に対し、本年度中に判断するよう求めたことを明かした。 申し立てでは、戸籍上の性別変更を定めた性同一性障害特例法のうち、生殖機能の除去などを求める要件を違憲とし、変更審判を求めている。同様の申し立ては全国で2例目。2019年に最高裁は合憲判断を下したが「憲法違反の疑いが生じている」とする補足意見を示した。 弁護団によると、審尋は約1時間行われ、裁判
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袋井の強盗致傷事件 組員ら3人を起訴 静岡地検浜松支部
袋井市の50代男性の自宅に侵入して暴行を加え、現金や乗用車を脅し取ったなどとして、暴力団関係者ら3人が袋井署に逮捕された事件で、静岡地検浜松支部は14日、強盗致傷と住居侵入の罪で神奈川県横須賀市、指定暴力団稲川会系組員、無職の男(54)を静岡地裁浜松支部に起訴した。 被告と共謀して現金などを脅し取ったとして、強盗罪で同組員、無職の男(50)=東京都新宿区=を、見張り役を務めたとして、強盗ほう助罪で飲食店店員の男(39)=大阪市=をそれぞれ起訴した。 起訴状によると、被告(54)は9月4日、袋井市の知人男性宅に侵入し、男性の顔を金づちや拳で殴った後、被告(50)と共謀の上、両手両足を粘着テ
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任意後見人の男 横領の罪で起訴 静岡地検
静岡地検は13日、業務上横領の罪で静岡市駿河区池田、会社員の男(69)を静岡地裁に起訴した。 起訴状によると、被告は任意後見人として同市内の90代男性の預金口座を管理していた2017年1月4日から2月28日までの間、3回にわたって計260万円を払い戻して横領したとされる。
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無免許事故、身代わり依頼の男 懲役3年6月求刑 静岡地裁浜松支部
浜松市南区の市道で7月、乗用車を無免許運転して歩行者の50代女性をはねた上、同乗していた交際相手の女性に身代わりを依頼したとして、自動車運転処罰法違反(無免許過失傷害)と犯人隠避教唆の罪に問われた同市中区、飲食店店員の男(24)の初公判が13日、静岡地裁浜松支部で開かれた。被告は起訴内容を認め、検察は懲役3年6月を求刑した。弁護側は情状酌量を求め、即日結審した。 検察は冒頭陳述で、無免許を知る交際相手が制止したが、被告はそれを振り切って車を運転したと明らかにした。警察への通報時や駆け付けた警察官には「自分は助手席にいた」などと虚偽の説明をしていた。被告人質問で被告は「彼女に良いところを見せ
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カツオ窃盗「鹿児島ルート」 焼津の元社長、共謀否認 静岡地裁初公判
焼津市の焼津漁港に水揚げされた冷凍カツオの窃盗事件で、窃盗罪に問われた神奈川県の運送会社元社長の男(49)=同県南足柄市=と焼津市の水産加工会社元社長の男(57)=同市与惣次=、東京都の水産加工会社元焼津営業所長の男(47)=同市駅北3丁目=の初公判が12日、静岡地裁(国井恒志裁判長)であった。神奈川県の運送会社元社長の男(49)と東京都の水産加工会社元焼津営業所長の男(47)は起訴内容を認め、焼津市の水産加工会社元社長の男(57)は「共謀していない」と否認した。 冒頭陳述で検察側は経緯として、顔見知りだった神奈川県の運送会社元社長の男(49)と焼津市の水産加工会社元社長の男(57)が遅く
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無許可盛り土造成 男に懲役1年4月 地裁富士支部判決
富士市大淵の残土処分場に無許可で土砂を埋め立てたとして市土砂埋め立て等規制条例違反の罪に問われた山梨県身延町、残土処分業の男(58)の判決公判で、静岡地裁富士支部は12日、懲役1年4月(求刑懲役2年)を言い渡した。 西沢諒裁判官は判決理由で、土砂が周辺の土地に流れ込む事態に至り、危険で悪質な盛り土だと断じた。市から中止や原状回復命令を複数回受けても盛り土をやめず、被告が服役中も親族に事業を継続させたとして「犯意は強固だったとの評価が妥当」と述べた。 判決によると、被告は2018年4月24日ごろから22年6月13日ごろまでの間、自身が所有する土地で、富士市長の許可を得ず事業区域500平方メ
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熱海土石流 市長個人への損賠請求 訴訟費用は公費負担せず 市議会一般質問
熱海市伊豆山の大規模土石流の起点を含む土地の現所有者が斉藤栄市長に損害賠償を求めた訴訟について、同市の中田吉則経営企画部長は11日、「市長個人に対する訴訟であり、訴訟費用などは市として特段の対応はしない」との方針を明らかにした。市議会9月定例会で竹部隆氏(熱海成風会)の一般質問に答えた。 現所有者は9月6日、土石流で土地の資産価値が失われたなどとして、斉藤市長に10万円の損害賠償を求めて静岡地裁沼津支部に提訴した。中田部長は、遺族らが市と県、現旧所有者らにそれぞれ損害賠償を求めた訴訟と市長の訴訟が併合される可能性に触れ、「市の顧問弁護士と協議しながら状況を注視する」と述べた。 遺族らが市
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露天風呂盗撮事件 男に懲役3年求刑 静岡地裁公判
露天風呂に入浴中の女性を狙った組織的な盗撮事件で、兵庫県迷惑防止条例違反などの罪に問われた岡山市、アルバイト従業員の男(33)の論告求刑公判が11日、静岡地裁(鈴木悠裁判官)で開かれ、検察側は懲役3年を求刑した。 論告で検察側は、起訴された分だけでも計16件の盗撮をしていたと強調した。「被害者のプライバシーや尊厳を著しく踏みにじる計画的、組織的な悪質性の極めて高い犯行」と指摘。仲間内で「プロジェクト」と呼び、知人女性を露天風呂に誘って盗撮する行為にも関わったとして「不可欠な役割を果たした」とした。 弁護側は、反省し保釈後は実家のある京都市で働き始めたなどとして、執行猶予付きの判決を求めた
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記者コラム「清流」 大人が守るべき命
昨年7月、福岡県中間市で保育園の送迎バス内に男児=当時(5)=を置き去りにし、熱中症で死亡させたとして業務上過失致死罪に問われた当時の園長らの初公判が9月下旬、福岡地裁で開かれた。事件後に心的外傷後ストレス障害(PTSD)となった元園長は閉廷後、壁伝いに歩いて地裁を後にした。 痛々しい姿だったが、最愛の息子を奪われた遺族が許すはずがない。「罰を受けてほしい」。記者会見では心身を患いながらも遺影を抱いて出席した母親や祖父が怒りをあらわにした。事の重大さに取材側ですら押しつぶされそうな感覚に陥った。 こんなことは二度とあってはならなかった。大人が守るべき命を、大人が奪ってしまったことが何より
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露天風呂盗撮 千葉の男、起訴内容認める 静岡地裁初公判
露天風呂に入浴中の女性を狙った組織的な盗撮事件で、茨城県迷惑防止条例違反の罪に問われた千葉県市川市、会社員の男(43)の初公判が7日、静岡地裁(国井恒志裁判官)で開かれ、被告は起訴内容を認めた。検察側は追起訴する方針を示した。 冒頭陳述で検察側は、被告が2018年に盗撮グループのリーダー格とされる男(50)=兵庫県迷惑防止条例違反などの罪で公判中=と知り合ったと指摘。その上で、遅くとも同年11月以降、被告が知人女性を露天風呂に誘い、リーダー格とされる男が山中から盗撮する行為を「繰り返していた」と主張した。 起訴状によると、被告は20年8月25日、リーダー格とされる男と共謀の上、茨城県内の
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熱海土石流 土砂の最終処分、23年度末までに 静岡県代執行
静岡県は6日の県議会9月定例会危機管理くらし環境委員会で、熱海市伊豆山の土石流起点付近で県が11日に開始する行政代執行について、2022年度中に撤去した土砂を熱海港に仮置きし、23年度末までに最終処分場へ運ぶ方針を示した。22年度の代執行費用に4億円を想定していることを明らかにし、23年度にかかる費用は精査中だとしつつも、「概算で10億円程度」との見方を示した。県は代執行費用を前土地所有者に請求する。 県によると、起点付近で落ち残った盛り土のうち、撤去が必要な不安定な土砂は約2万立方メートル。事前の調査で土砂の一部から基準値を超えるフッ素が検出されたため、撤去した土砂も一部は県外の汚染土壌
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女子中学生盗撮 元教諭に有罪判決 静岡地裁
入浴中や着替え中の女子中学生を盗撮したとして、児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪に問われた裾野市麦塚、元公立中学校教諭の男(35)=懲戒免職処分=の判決公判で、静岡地裁は6日、懲役2年、執行猶予3年(求刑懲役2年)を言い渡した。 国井恒志裁判官は判決理由で「常習的な犯行の一環で、被害者の心身に有害な影響を与えた。自らの性的な興味を満足させるためという動機は厳しい非難を免れない」と述べた。一方、反省して治療計画に従うと誓い、懲戒免職処分を受けたことなども踏まえ、執行猶予が相当と判断した。 判決によると、被告は2019年9月5日に県内の宿泊施設で入浴中の女子中学生数人を盗撮。21年11月17
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清水庁舎耐震診断 市民の訴えを却下 静岡地裁判決
静岡市が実施した市役所清水庁舎の耐震診断への公金支出は違法として、一部市議と市民が田辺信宏市長を相手取り、約1400万円を市に返還するよう求めた訴訟の判決で、静岡地裁は6日、訴えを却下した。 菊池絵理裁判長は判決理由で、適法な住民監査請求を経ていないとして「不適法な訴え」と結論付けた。 静岡市監査委員は2021年5月、監査請求について、請求期間を過ぎているなどとして却下していた。
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妻殺害の男控訴 静岡地裁沼津支部判決に「不服」
沼津市内の宿泊施設で妻=当時(41)=を殺害したとして殺人の罪に問われた京都府、無職の男(45)が6日までに、懲役11年とした静岡地裁沼津支部の裁判員裁判の判決を不服として東京高裁に控訴した。1日付。 一審判決によると、被告は昨年11月23日午前5時ごろ、沼津市足高のホテルの室内で妻の首にバスタオルを巻き、その上から両手で締め付けて窒息死させた。
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長泉・木くず不法投棄 山林所有の男、否認 静岡地裁支部初公判
長泉町内の山林に造園や樹木の剪定(せんてい)で出た木くずなどを不法投棄したとして廃棄物処理法違反の罪に問われた山林所有者の農業の男(75)=同町=の初公判が5日、静岡地裁沼津支部(谷本奈央裁判官)で開かれた。被告は「(造園会社と)共謀して投棄していない」と起訴内容を否認し、弁護側は無罪を主張した。 被告は罪状認否で「造園会社が枝葉や雑草などを私の土地に投棄することは認めていたが、廃棄物の有効利用のつもりだった。私自身が投棄したことはない」と主張した。 冒頭陳述で検察側は、同社が剪定枝を細断する手間や処分費用を節約するため、金銭を支払って被告の山林に投棄し続けたと指摘。同社からは処分費用と
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静岡地裁・家裁と地検を学生ら見学 法曹三者の役割理解 法の日イベント
静岡地・家裁と静岡地検、県弁護士会は5日、法の日(1日)の記念イベントとして、法廷などの見学会を企画した。学生ら16人が地裁と家裁、地検を巡り、法曹三者の役割について理解を深めた。 地裁では、刑事裁判を担当している国井恒志、岡部紗奈子両裁判官から裁判所の役割や特徴、普段の心掛けについて説明を受けた。 積極的に質問を重ねた。「裁判官に向いている人は」との問いに対して、国井裁判官は「チームで仕事ができるかどうか。裁判は多くのスタッフに支えられて行われている」と回答。判事補として今年着任した岡部裁判官は「弁護士になろうと思っていたが、司法修習を通じて、より広い視点で物事を解決する点にやりがいを
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マラソン転落死亡事故 焼津市、遺族と和解へ
焼津市で2014年4月に開かれたマラソン大会に参加した女性=当時(20)=が会場付近の岸壁から海中に転落し死亡し、女性の遺族が主催者の市とNPO法人市スポーツ協会に損害賠償を求めた訴訟は5日、市が遺族に300万円を支払うことなどで和解が成立する見通しになった。市議会9月定例会は同日の最終本会議で、市が提出した和解案を可決した。 和解条項では、市と同協会が大会の安全な運営・遂行に努めることを約束した上で、女性の遺族に計300万円の見舞金を支払う―などと記されている。10月に東京高裁で和解が成立する見通し。 訴状などによると、女性は完走後に気分が悪くなり、市内の海岸で休憩していた際に海に転落
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生かされなかった福岡の教訓 牧之原 園バス置き去り1カ月
牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」の送迎バスで園児の女児=当時(3)=が置き去りにされ、熱中症で死亡した事件は、昨年7月に福岡県中間市で起きた男児の置き去り事件と同様に人為的なミスが重なった。川崎幼稚園が教訓として生かすべきだったことは何か。失われた幼い命は、私たち大人に何を投げかけているのか。9月下旬に開かれた福岡の事件の初公判と関係者の思いを取材した。 事件 園児の心に影響 双葉保育園 転園相次ぐ 福岡県によると、事件前の双葉保育園は2021年7月1日時点で139人の園児が在籍していた。事件後は転園などが相次ぎ、同年9月1日には96人に減少した。送迎バスは廃止し、今年9月1日現在で6
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焼津カツオ盗一部不起訴に 船会社、検審申し立て
焼津市の焼津漁港に水揚げされた冷凍カツオの窃盗事件で、宮城県の船会社が4日、窃盗容疑で逮捕された同市の冷蔵倉庫会社の50代元幹部と鹿児島県の元食品卸販売業の60代男性を不起訴にした静岡地検の処分を不服とし、静岡検察審査会に審査を申し立てた。関係者への取材で分かった。 2人は昨年3月に宮城県の船会社が水揚げした冷凍カツオを盗んだ疑いで逮捕・送検されたが、静岡地検は今年8月に不起訴処分にした。船会社側は2人が窃盗行為に深く関与していたとみていて、審査を申し立てることを決めたという。 事件に関連して、神奈川県の運送会社の元社長(49)と焼津市の水産加工会社の元社長(57)、都内の水産加工会社の
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自宅放火未遂で藤枝の男に実刑 静岡地裁公判
自宅に燃え移る危険性が高いと認識しながら室内のごみの上に火を放ち、畳を焼いたとして、現住建造物等放火未遂の罪に問われた藤枝市五十海1丁目、無職の男(58)の裁判員裁判判決公判で、静岡地裁は4日、懲役3年(求刑懲役4年)を言い渡した。 国井恒志裁判長は判決理由で「直前に実母と口論し、立腹から衝動的に犯行に及んでいる。短絡的と言うほかない」と指摘した。 判決によると、被告は1月9日、実母と同居する自宅の和室で、弁当容器などの上にティッシュペーパーを置いて火を付けた。自ら消火したため、畳などを焼損するにとどまった。
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どうする?離婚後の子育て④ しずしんニュースキュレーター/読者の意見【賛否万論】
夫婦が離婚した後、父母双方が親権者となる共同親権を導入すべきか、それとも単独親権を維持するべきか。法制審議会(法相の諮問機関)の話し合いはヤマ場を迎えていますが、家庭によって事情はさまざまで、当事者の方々の主張は平行線をたどっています。しずしんニュースキュレーターや読者からも多くの体験談や意見が届いています。 キュレーター 江口裕司さん(三島市)製造会社で米国勤務後、設計、製造、調達、翻訳、社内教育など多様な業務に携わり定年退職。現在、求職活動中。63歳 親権をどちらにすべきか、ステレオタイプの二元論で離婚後の子育ては最適化されません。子の最善の利益は子の数だけ正解があるはずですから。
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特別支援学校生 後遺症訴訟 静岡県が上告断念、賠償確定へ
静岡県立東部特別支援学校(伊豆の国市)に通っていた男子生徒が歩行訓練中に体調を崩したのに、学校側が適切な対応を取らなかったため寝たきりになったなどとして、男子生徒が学校管理者の県に治療費など約1億2255万円の損害賠償を求めた訴訟で、一審、二審でいずれも支払いを命じられた県が、最高裁への上告を断念する方針を固めたことが29日、分かった。近く上告期限を迎え、約8134万円の支払いを命じた判決が確定する見通し。 県教育委員会は「一審、二審で示された判決内容を真摯(しんし)に受け止める」と説明した。東京高裁から判決確定証明書が届き次第、正式に発表するとしている。 15日の東京高裁判決は、市民向
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熱海土石流損賠2訴訟 併合審理 土地現旧所有者と県・市 静岡地裁沼津支部
熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り、静岡地裁沼津支部は28日、原告の遺族らが崩落した盛り土を含む土地の現旧所有者らに損害賠償を求めた訴訟と、市と県に対する損害賠償請求訴訟を併合審理する方針を示した。同日行われた弁論準備手続き後、原告と現旧所有者の代理人弁護士がそれぞれ明らかにした。 弁論準備手続きは非公開。原告側は昨年9月、違法な盛り土を造成したなどとして現旧所有者や関連会社などに計約58億円の損害賠償を求めて提訴。今月5日には、盛り土の危険性を認識しながら必要な措置を怠ったとして市と県に計約64億円の損害賠償を求める訴えを起こしている。 原告側の加藤博太郎弁護士は取材に、11月にも市と県
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無許可で暗号資産購入勧誘 投資会社代表に有罪判決 静岡地裁沼津支部
高配当をうたって無許可で暗号資産(仮想通貨)の購入を勧誘したとして、金融商品取引法違反の罪に問われた投資会社「桜和堂」(東京)と同社代表の男(70)=東京都中央区=の判決公判で、静岡地裁沼津支部は28日、求刑通り同社に罰金100万円、被告に懲役1年6月、執行猶予3年、罰金100万円(求刑懲役1年6月、罰金100万円)を言い渡した。 谷本奈央裁判官は判決理由で「出資者は出資額の回収をほぼできておらず、被害は軽視できない。投資家の保護を図った金融商品取引法の趣旨を害した責任は重い」と非難。一方で「罪を認め反省している」などと執行猶予の理由を説明した。 判決によると、被告は2018年9月、内閣
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サービスエリアで警官殺害未遂 車運転の男を追起訴 静岡地検沼津支部
沼津市の新東名高速道上り駿河湾沼津サービスエリア駐車場で、男性警察官を車で引きずり殺害しようとしたとして、静岡地検沼津支部は28日、殺人未遂と公務執行妨害の罪で名古屋市、無職の男(38)=覚醒剤取締法違反などの罪で起訴=を静岡地裁沼津支部に追起訴した。裁判員裁判の対象。 起訴状などによると、被告は6月13日午後5時ごろ、同駐車場で県警機動捜査隊の男性警部補=当時(50)=の職務質問を受けた際、車を急発進して警部補を引きずり転倒させて職務を妨害し、殺害しようとしたとされる。警部補は頭や肩などに全治約4カ月の重傷を負った。 同地検沼津支部は被告とともに殺人未遂と公務執行妨害の容疑で逮捕された
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郵便局強盗未遂 男に懲役5年6月 静岡地裁浜松支部判決
浜松市中区の浜松早出郵便局に刃物を持って押し入り、強盗未遂などの罪に問われた同区早出町、無職の男(56)の判決公判で、静岡地裁浜松支部(高島由美子裁判官)は27日、懲役5年6月(求刑懲役6年)を言い渡した。 高島裁判官は判決理由で、逃走用の自動車のナンバープレートを隠すなど一定の計画性が認められ、「車の購入金欲しさに犯行に及んだのは短絡的で、身勝手な動機だ」と述べた。一方、犯行を認めて反省していることなどを考慮した。 判決によると、被告は4月4日午後0時55分ごろ、同郵便局に出入り口から侵入し、男性局員に包丁を示して「金を出せ」などと脅迫し、現金を奪い取ろうとした。通報で駆けつけた警察官
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「かけ子」監禁 起訴内容否認 静岡地裁沼津支部初公判
特殊詐欺グループから脱退しようとした「かけ子」の監禁事件で、監禁や暴行などの罪に問われた東京都練馬区、無職の男(31)の初公判が27日、静岡地裁沼津支部(室橋秀紀裁判官)で開かれ、被告は「関わっていません」などと起訴内容を否認した。 冒頭陳述で検察側は、被告から逃れ連絡を絶ったかけ子に対し、仲間が探し出して被告のもとに連行した同事件の経緯や犯行状況などを説明した。 起訴状などによると、被告は仲間と共謀し、3月9日午後から12日午前までの間、沼津市内の駐車場で脱退しようとしたかけ子の20代男を、乗用車で都内の雑居ビルなどに連行して顔を蹴る暴行を加え監禁したなどとされる。
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息子の自殺ほう助 父親に有罪判決 静岡地裁沼津支部
沼津市戸田の展望地「出逢い岬」付近で心中を図ろうとした際に息子の自殺を手伝ったとして、自殺ほう助の罪に問われた愛知県岡崎市、無職の男(64)の判決公判で、静岡地裁沼津支部は27日、懲役2年、執行猶予4年(求刑懲役2年)を言い渡した。 室橋秀紀裁判官は判決理由で、被告が自殺の意思を伝えたことが被害者の決意に影響したとして「自殺ほう助の態様として相当に重い」と指摘。一方、更生を支援する団体から支援を得られる見込みであることなどを理由に執行猶予を付けた。 判決によると、被告は4月15日午後6時から同7時ごろまでの間に、心中しようと訪れた沼津市戸田の駐車場で、長男=当時(31)=の首に電源コード
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妻殺害の男に懲役11年判決 静岡地裁沼津支部
沼津市内の宿泊施設で妻=当時(41)=を殺害したとして殺人の罪に問われた京都府、無職の男(44)の裁判員裁判判決公判で静岡地裁沼津支部は27日、懲役11年(求刑懲役15年)を言い渡した。 野沢晃一裁判長は判決理由で、将来を悲観し心中を考えていたものの被告自身が自殺する意思は強くなかったとし、「一方的な思いから及んだ短絡的な犯行。妻に落ち度はなく、動機経緯に酌むべきところは見いだしがたい」と述べた。 判決によると、被告は昨年11月23日午前5時ごろ、沼津市足高のホテルの室内で妻の首にバスタオルを巻き、その上から両手で締め付けて窒息死させた。
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スルガ銀行、シェアハウス問題終結 弁済調停すべて成立へ
スルガ銀行は26日、シェアハウス関連融資で民事調停を申し立てていた債務者105人の債権168億円を第三者に譲渡したと発表した。近く東京地裁で調停が成立し、債務は全額免除になる見通し。調停を申し立てた債務者の弁済は今回ですべて終わり、スルガ銀による不正融資が明らかになったシェアハウス問題は大きな節目を迎える。 スルガ銀は所有者がシェアハウスの土地や建物を第三者に譲渡すれば、ローン返済を免除する「代物弁済」で2020年から一括の調停に応じてきた。これまでに3回の調停が成立している。4回目となる今回の105人を合わせ、計1051人、総額約1655億円の弁済が完結する。 シェアハウス問題は運営会
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「頭にきた」福岡の園児遺族 牧之原の事件受け
福岡県中間市の男児の遺族が26日、福岡地裁での初公判の閉廷後に記者会見した。男児の祖父(69)は今月5日に牧之原市で発生した園児の置き去り事件について「まるっきり一緒のことが起きて頭にきた。最後にしてほしいと思っていた」と怒りをあらわにした。 牧之原市では認定こども園「川崎幼稚園」の送迎バス内に女児(3)が約5時間置き去りにされ、熱中症で死亡した。バスを運転していた運営法人の前理事長は降車時に車内の確認を怠ったとされる。男児の祖父は「最後に降りる人が点検するのが役割だと思う。何のために男児は亡くなったのか」と無念さをにじませた。送迎バスへの安全装置の設置義務化など国レベルでの対策の徹底も求
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熱海・刺殺男を殺人罪で起訴 静岡地検沼津支部
静岡地検沼津支部は26日、熱海市渚町のアパートで男性を刃物で刺して殺害したとして、殺人の罪で同町、無職の男(24)を静岡地裁沼津支部に起訴した。裁判員裁判の対象になる。 起訴状などによると、被告は6日午前1時50分ごろ、自宅アパート通路で、三島市の飲食店従業員の男性=当時(36)=の胸などを、殺意を持って果物ナイフで4回刺し、出血性ショックで死亡させたとされる。騒音トラブルが原因とみられる。
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カード不正使用 被告夫婦認める 静岡地裁富士支部初公判
富士市で経営していた施設の利用者から預かったキャッシュカードで不正に現金40万円を引き出したとして窃盗の罪に問われた大阪府羽曳野市、共に派遣社員の女(57)と夫(48)の両被告の初公判が26日、静岡地裁富士支部(西沢諒裁判官)で開かれた。両被告は起訴内容を認めた。 検察側は冒頭陳述で、薬物依存の回復施設を運営する中で、生活費や暴力団幹部への借金返済に充てるために施設利用者の口座から現金を引き出したと指摘した。同幹部の機嫌を取る目的で同じ口座から現金を引き出していたことも明らかにし、検察側は今後、ほかに数件を追起訴する方針を示した。 起訴状などによると、2020年12月25日、施設利用者か
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スルガ銀のシェアハウス問題解決へ 調停成立の見通し
スルガ銀行は26日、シェアハウス関連融資の債務者105人との民事調停が成立する見通しになったと発表した。調停成立は4回目。不正融資が明らかになったシェアハウス問題の被害弁済は終結する。
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教諭2人懲戒免職 静岡県教委 児童ポルノ製造など
静岡県教委は21日、入浴中や着替え中の女子中学生を盗撮したとして児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪に問われ公判中の裾野市立中教諭と、別の事件で同法違反容疑で逮捕され不起訴処分となった県立高教諭の2人を、懲戒免職処分にしたと発表した。 処分を受けたのは裾野市立中教諭の被告の男(35)と、県東部の県立高に勤める男性教諭(35)。被告は2019年に県内、21年に山梨県の宿泊施設で女子中学生を盗撮し、児童ポルノを製造したとされる。静岡地裁の公判で被告は起訴内容を認め、検察側が懲役2年を求刑した。10月6日に判決が言い渡される。 被告は4月に未成年者誘拐容疑で県警に逮捕され、この事件は不起訴処分と
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下田の海水浴場業務妨害 総長ら起訴 静岡地検沼津支部
下田市の白浜大浜海水浴場で正規の許可を得てパラソルを貸し出していた市民を脅したとして、静岡地検沼津支部は21日、威力業務妨害の罪で指定暴力団稲川会大場一家総長の無職の男(58)=河津町峰=と幹部の男(56)=下田市吉佐美=の両容疑者を静岡地裁沼津支部に起訴した。 起訴状などによると、両被告は他の仲間と共謀して8月7日午前11時半ごろ、同海水浴場でパラソルなどの貸出業務をしていた市夏期海岸対策協議会原田支部の支部長に「商売をできなくしてやるぞ」などと脅し、同支部の業務を妨害したとされる。
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浜松の経営者殺害事件 歯科医側、無罪主張 控訴審初公判
浜松市東区の貸しガレージで2012年に建築会社経営の男性=当時(68)=の遺体が見つかった事件で、殺人と死体遺棄の罪に問われ、静岡地裁浜松支部で懲役19年とされた同区の歯科医師の被告(66)の控訴審初公判が16日、東京高裁で開かれた。弁護側は一審に続き無罪を主張した。検察側は控訴棄却を求め、即日結審した。判決は10月17日。 一審判決の事実誤認などを訴える弁護側は控訴趣意書で、会社経営の男性の死亡理由について「殺人行為で亡くなったと立証されていない」などと指摘。その上で「男性の遺体を隠匿しておらず、殺人の犯人でもない」と主張した。検察側は「控訴趣意に理由がない」とした。 弁護側は約30点
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「淡島ホテル」購入希望者募集始める 沼津、債権者集会で報告
沼津市の淡島ホテルの旧運営会社の破産事件に絡み、静岡地裁沼津支部は16日、第4回債権者集会を市内で開いた。非公開で行われた。出席者によると、AWHの破産管財人が、ホテルの任意売却に向け、購入希望者の受け付けを開始したと明らかにしたという。 管財人は、売却先を広く募り、ホテルの購入を希望する企業などと個別面談を進めている現状を報告した。10月中には購入予定者を決定したい意向も示した。管財人は、購入希望者数や売却価格などの詳細には言及しなかったものの、「できるだけ高値で淡島ホテルを売却できるよう努力する」とした。
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警部補降任強要訴訟 静岡県側、請求棄却求める 静岡地裁で初弁論
警部補への自主降任を強要されたパワハラ行為で精神的苦痛を負ったとして、県警本部に勤務する男性警部補が県と県警幹部4人に300万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が15日、静岡地裁(増田吉則裁判長)であった。被告側は請求棄却を求める答弁書を提出し、詳しい認否や反論は追って行うとした。 男性の意見陳述書を代理人が代読した。男性は「私と同様に、上司から強要されて降任した警部は他にもいる」と主張。「裁判を契機に県警が危機意識を新たにして対応し、職員全員が安心して働ける職場環境を実現してほしい」と提訴を決意した理由を説明した。 男性側は訴状で、当時の上司や人事担当者らから2019年、警部に昇
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妻の首絞め殺害 懲役15年を求刑 静岡地裁沼津支部公判
沼津市内の宿泊施設で妻=当時(41)=を殺害したとして殺人の罪に問われた京都府、無職の男(44)の裁判員裁判論告求刑公判が15日、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判長)で開かれ、検察側は懲役15年を求刑した。 検察側は論告で、妻が死を承諾する発言をしていたとしても真意ではないと指摘。自暴自棄になった被告の身勝手な犯行として、「動機、経緯に酌量の余地はない」と述べた。弁護側は、被告は会社経営が傾き、債権者から精神的に追い詰められ犯行に及んだと主張。「計画性はなく、自首も成立している」などとして懲役8年を求めた。 起訴状などによると、被告は昨年11月23日午前5時ごろ、沼津市足高のホテルの室内で
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静岡県の賠償増額 東部特支生、後遺障害訴訟 東京高裁判決
静岡県立東部特別支援学校(伊豆の国市)に通っていた男子生徒が歩行訓練中に体調を崩したのに、学校側が適切な対応を取らなかったため寝たきりになったなどとして、男子生徒が学校管理者の県に治療費など約1億2255万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は15日、県に約7906万円の支払いを命じた一審静岡地裁沼津支部判決を変更し、後遺障害を重くみて賠償額を約8134万円に増額した。 控訴審で県側は、生徒の突然の体調変化自体は学校の教育活動とは無関係で、当時保護者もそばにいたことから、事後措置を行う義務はなかったなどと主張していた。判決で高橋譲裁判長は「教育活動と無関係であるとしても、そのこ
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調停制度100周年 県内でイベント 10月、無料相談会も
調停制度が10月に100周年を迎える。県内では無料相談会や、学生を対象にした模擬調停の記念イベントなどが計画されている。 調停は私人間のトラブルについて、裁判所の調停委員会が仲介して話し合いで解決を図る制度。金銭トラブルなどを扱う民事調停は地裁や簡裁で、離婚や相続をはじめとする家事調停は家裁で行う。 静岡地・家裁は10月7日と14日の午後1時半から同3時40分、大学生と専門学生向けの記念イベントを地裁で開く。両日とも定員30人程度(先着順)。裁判官が調停と裁判の違いや調停制度の歴史を解説し、調停委員らを交えた模擬調停を予定する。希望者は地裁<電054(251)6241>へ申し込む。 静
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焼津カツオ盗 新潟船会社が損害賠償提訴 漁協などに762万円
焼津漁港(焼津市)で発生した冷凍カツオの窃盗事件に関連し、新潟県の船会社が13日、焼津漁業協同組合と焼津市の水産加工会社、同市の運送会社、窃盗の罪で起訴された6被告ら7人を相手取り、計762万円の損害賠償を求める訴訟を静岡地裁に起こした。 訴状によると、7人は共謀し、2018年4月までに船会社の漁船が焼津漁港に水揚げしたカツオの一部を盗み、同社に762万円の損害を与えたとしている。7人が所属していた漁協などの3者には、それぞれ使用者責任があると主張している。 3者と7人を巡っては、水揚げしたカツオを盗まれたとして、焼津市の船会社と長崎県の船会社も損害賠償を求める訴訟を起こしている。
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妻の首締め殺害 起訴内容認める 静岡地裁沼津支部初公判
沼津市内の宿泊施設で妻=当時(41)=を殺害したとして殺人の罪に問われた京都府、無職の男(44)の裁判員裁判初公判が13日、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判長)で開かれた。被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。 検察側は冒頭陳述で、会社経営が傾き逃亡生活を送る中、飲酒中に口論になった妻に怒りの矛先を向けたと説明。「強固な殺意に基づく犯行で、理不尽に妻の命を奪った」と指摘した。 弁護側は、被告は悲観的になり衝動的に犯行に及んだとし、「被害者の両親に謝罪の手紙を書き、反省している」と訴えた。 起訴状などによると、被告は昨年11月23日午前5時ごろ、沼津市足高のホテルの室内で妻の首にバ
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無許可盛り土 懲役2年求刑 地裁富士支部公判 検察「売り上げ7000万円超」
富士市大淵の残土処分場に無許可で土砂を埋め立てたとして同市土砂埋め立て等規制条例違反の罪に問われた山梨県身延町、残土処分業の男(58)の初公判が12日、静岡地裁富士支部(西沢諒裁判官)で開かれた。被告は起訴内容を認めた。検察側は、被告がこれまでに推定約7100万円を売り上げていたと指摘した。即日結審し、検察側は懲役2年を求刑した。判決は10月12日。 検察側は冒頭陳述などで、被告が計17社からダンプ4827台分の土砂を受け入れ、自身の土地5378平方メートルの範囲に5万6077立方メートルの土砂を埋め立てたことを明らかにした。論告では盛り土の量や収益が相当多く「度重なる行政指導を無視した悪
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焼津カツオ盗 漁協職員に懲役1年6月、執行猶予3年 静岡地裁
焼津市の焼津漁港に水揚げされた冷凍カツオが抜き取られた事件を巡り窃盗罪に問われた焼津市小土、焼津漁業協同組合の職員の男(32)の判決公判で、静岡地裁は12日、懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。国井恒志裁判長は「組織的な窃盗の一環。魚市場に対する社会の信頼を傷つける」と指摘した。 国井裁判長は判決理由で「焼津漁協内で半ば堂々と行われた大胆かつ計画的な犯行」と述べた。「帳面」と呼ばれる計量担当の立場を悪用し「犯行に必要不可欠な役割を果たした」と強調し、報酬目的で加担した動機を「厳しい非難は免れない」と批判した。一方、反省し漁協の信頼回復に努めると誓っている点などを踏
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知的障害息子の自殺ほう助 父に懲役2年求刑 地裁沼津支部公判
沼津市戸田の展望地「出逢い岬」付近で心中を図ろうとした際に息子の自殺を手伝ったとして、自殺ほう助の罪に問われた愛知県岡崎市、無職の男(64)の論告求刑公判が9日、静岡地裁沼津支部(室橋秀紀裁判官)で開かれ、検察側は懲役2年を求刑した。 検察側は論告で、知的障害のある被害者は、被告から「一人で生きていけるか」と尋ねられ死を決意したと指摘。被告の言動は、被害者の意思決定に大きな影響を及ぼしたとし「わが子にまで自死を選択させた動機や経緯に酌むべき事情は乏しい」と述べた。一方、弁護側は「息子をおもんぱかった結果巻き込んでしまった。反省している」などと執行猶予付き判決を求めた。 起訴状などによると
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強制わいせつ致傷 ベトナム人に実刑 静岡地裁判決
女性を脅迫してわいせつな行為をし、けがをさせたなどとして、強制わいせつ致傷と公然わいせつの罪に問われたベトナム国籍、横浜市南区、作業員の男(25)の裁判員裁判の判決公判で、静岡地裁は8日、懲役4年(求刑懲役5年)を言い渡した。 国井恒志裁判長は判決理由で、執拗(しつよう)にわいせつ行為に及び、女性の顔を平手や拳で複数回殴った悪質性を踏まえ「実刑は免れない」と述べた。 判決によると、被告は昨年4月29日夜、静岡市内の路上で20代の女性を脅して駐車場に引きずり込み、複数回殴るなどしてわいせつな行為をし、負傷させた。同年8月5日夜には、横浜市南区のスーパー駐輪場で下半身を露出した。
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金融商品取引法違反 会社代表に懲役1年6月求刑 地裁沼津支部
高配当をうたって無許可で暗号資産(仮想通貨)の購入を勧誘したとして、金融商品取引法違反の罪に問われた投資会社(東京)と同社代表の男(70)=東京都中央区=の初公判が8日、静岡地裁沼津支部(谷本奈央裁判官)で開かれ、被告はいずれも起訴内容を認めた。検察側は同社に罰金100万円、被告に懲役1年6月、罰金100万円を求刑し、即日結審した。 検察側は論告で、無許可で少なくとも120人から計2億7900万円の出資金を集めたと指摘。投資対象への理解が不十分なまま投資に勧誘したとし「余りに軽率で無責任。投資者保護を目的とした法の趣旨に反する行為は強い非難に値する」と述べた。一方、弁護側は、勧誘は別の投資
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郵便局強盗未遂 懲役6年を求刑 静岡地裁浜松支部公判
浜松市中区の浜松早出郵便局に刃物を持って押し入り、現金を奪おうとしたなどとして、強盗未遂などの罪に問われた同区早出町、無職の男(56)の初公判が7日、静岡地裁浜松支部(高島由美子裁判官)で開かれた。被告は起訴内容を認めた。即日結審し、検察側は懲役6年を求刑した。 検察側は被告が目出し帽などを着用したり、逃走用車両のナンバープレートを隠したりするなどの計画的犯行であることや、車購入のための現金欲しさに犯行に及んだと指摘した。弁護側は「犯行は場当たり的だ」などとし、計画性は低いと主張した。 起訴状によると、被告は4月4日午後0時55分ごろ、同郵便局に出入り口から侵入し、男性局員に包丁を示して
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現所有者が市長提訴 熱海土石流
熱海市伊豆山の大規模土石流により土地の価値が失われたとして、土石流の起点を含む土地の現所有者の男性(86)が6日、同市の斉藤栄市長に10万円の損害賠償を求め、静岡地裁沼津支部に提訴した。代理人の河合弘之弁護士は「訴訟の目的は金銭ではない。因果関係の最後の引き金を引いた市長個人の責任が問われるべきだ」と主張した。 訴状によると、斉藤市長は違法状態の盛り土の危険性を認識しながら、旧土地所有者に安全対策を講じさせる措置命令を見送ったほか、土石流の発生前日から災害の危険が迫っていたのに避難指示を出さなかったとして、国家賠償法に基づく賠償責任を負うと主張。土石流により、3億円で購入した土地が利用でき
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自宅放火未遂罪、富士宮の男起訴 静岡地検沼津支部
静岡地検沼津支部は6日、現住建造物等放火未遂の罪で富士宮市、無職の男(89)を静岡地裁沼津支部に起訴した。裁判員裁判の対象。 起訴状などによると、被告は5月18日午後3時25分ごろ、自宅の和室に灯油をまいてマッチで火を付け、畳などを燃やしたとされる。地検支部は約3カ月にわたり鑑定留置し、刑事責任能力の有無などを調べていた。
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真相究明の進展期待 遺族ら提訴「行政不作為問う」 熱海土石流
災害関連死を含め27人が死亡し、1人が行方不明になっている熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り、国家賠償法に基づき市と県に約64億円の損害賠償を求める訴えを静岡地裁沼津支部に起こした遺族ら原告団は5日、沼津市内で記者会見を開いた。土石流の起点となった土地の新旧所有者らを相手取った先行訴訟と併合して審理される見通しで、原告団は「真相究明が進むことを期待し、責任を追及していく」と強調した。 遺族と被災者ら110人と3法人が原告に名を連ねた。元都庁職員でもある代理人の加藤博太郎弁護士は「まさに今回、行政庁の事なかれ主義が出てしまったと考える。危険性を認識しながら先送りした結果、甚大な被害を生じさせた
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女児にわいせつ 元保育士、認める 静岡地裁沼津支部初公判
勤務先の保育園で女児にわいせつな行為をした上、裸体を撮影したとして強制わいせつと児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪に問われた神奈川県湯河原町、元保育士の男(29)の初公判が5日、静岡地裁沼津支部(室橋秀紀裁判官)で開かれた。男は追起訴分を含め、女児4人に対する全ての起訴内容を認めた。 被害者が特定される恐れがあるため、被告について匿名で審理が行われた。 検察側は冒頭陳述で、勤務中にトイレに連れ込んだ女児の着衣をずらし、スマートフォンで性的な動画を撮影していたなどと指摘。押収した男のスマートフォンを解析した結果、被害児童は18人に上り、「コレクションとして集めていた」と明らかにした。検察側
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「誤診で卵管切除」 浜松の女性、医療公社を提訴
浜松医療センター(浜松市中区)で、医師の誤診により右卵管を切除され精神的苦痛を受けたなどとして、同市の女性(30)が5日までに、同センターを運営する市医療公社に慰謝料など1200万円の支払いを求める訴訟を静岡地裁浜松支部に起こした。 訴えは7月25日付。訴状によると、女性は2020年11月、受精卵が子宮内膜以外に着床する異所性妊娠と診断され、腹腔(ふくくう)鏡下卵管切除術を受けた。しかし、術後の診察で、医師から異所性妊娠ではなく、正常妊娠だった可能性が高いと伝えられた。 原告側は産婦人科診療のガイドラインに照らし、卵管切除に至る前に血中のホルモンの数値を確認すれば正常妊娠と見分けられたな
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国が準備書面提出 浜松の旧優生保護法訴訟
旧優生保護法下で不妊手術を強いられたのは憲法違反だとして、浜松市の視覚障害者の女性(73)が国に損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が5日、静岡地裁浜松支部で行われた。国側は準備書面を提出し、同様の訴訟で国に損害賠償を命じた高裁判決に「看過しがたい誤りがある」と主張した。 2月の大阪高裁と3月の東京高裁の判決では、不法行為から20年間で損害賠償請求権が消滅する民法の規定「除斥期間」について、権利侵害の重大性を考慮して適用せず、国に賠償を命じた。 国側は準備書面で、除斥期間の効果は不法行為の内容や程度に左右されないと法的性質を説明。最高裁判例などを踏まえ、適用制限は「法律上の根拠がない限り許され
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熱海市と静岡県に64億円賠償請求 土石流遺族ら、盛り土責任追及
災害関連死を含め27人が死亡し、1人が行方不明になっている熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り、遺族、被災者ら110人と3法人が5日午後、土石流の起点で行われた違法な盛り土造成を黙認したなどとして、同市と県に計約64億円の損害賠償を求め、静岡地裁沼津支部に提訴した。盛り土の現旧所有者、関係業者、行政が絡んだ未曽有の「人災」の責任追及は新たな局面に入る。 訴状によると、市は旧土地所有者の不動産管理会社(神奈川県小田原市)が提出した盛り土造成に関する届け出書類に複数の空欄があったにもかかわらず受理。盛り土の危険性を認識しながら措置命令などの規制権限を行使しなかったと指摘する。さらに発災前日から土砂
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長崎の船会社が提訴 焼津カツオ盗で損賠 3者7人に823万
焼津漁港(焼津市)で発生した冷凍カツオの窃盗事件に関連し、長崎県の船会社「兼井物産」が1日、焼津漁業協同組合や焼津市の水産加工会社「カネシンJKS」、同市の運送会社「焼津港湾」、窃盗の罪で起訴された6被告ら7人を相手取り、計823万円の損害賠償を求める訴訟を静岡地裁に起こした。 訴状によると、7人は共謀し、2018年4月ごろまでに兼井物産の漁船が焼津漁港に水揚げしたカツオの一部を盗み、同社に823万円の損害を与えたとしている。7人が所属していた3者にはそれぞれ使用者責任があると主張している。 3者と7人を巡っては、水揚げしたカツオを盗まれたとして、焼津市の船会社「極洋水産」から損害賠償を
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静岡県職員を在宅起訴 背任罪 静岡地検
静岡地検は1日、県発注の公共工事に絡んで虚偽の公文書を作成し、請負代金を増額させるなどして県に約1030万円の損害を与えたとして、虚偽有印公文書作成・同行使と背任の罪で、県職員を静岡地裁に在宅起訴した。 在宅起訴されたのは、県交通基盤部に在籍している被告(32)=三島市=。県が昨年8月に刑事告訴し、県警が今年3月に地検に書類送致していた。 起訴状などによると、被告は技師として県下田土木事務所松崎支所に勤務していた2017年度、担当監督員を務めた県発注の公共工事に関し、規模縮小により請負代金を約480万円減額すべきだったのに行わず、実際よりも施工面積や使用する鉄筋数などを水増しして約550
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盗撮の公立中教諭に懲役2年求刑 静岡地裁公判
入浴中や着替え中の女子中学生を盗撮したとして、児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪に問われた裾野市麦塚、公立中学校教諭の男(35)の第2回公判が30日、静岡地裁(国井恒志裁判官)であった。被告は認否を留保していた山梨県での事件も含めて起訴内容を認め、検察側が懲役2年を求刑して結審した。判決は10月6日。 検察側は論告で「性的欲求を満たすため犯行に及んだ。常習性が認められ、再犯の恐れも否定できない」と悪質性を強調した。弁護側は、反省し治療を始めているなどとして執行猶予付きの判決が相当と訴えた。 被告は被告人質問で「一生の傷となり得ることをしてしまった」と謝罪した上で、仕事上のストレスがあった
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無許可で盛り土 男性に罰金50万円 沼津簡裁
沼津区検は30日までに、三島市沢地の山中に無許可で盛り土を行ったとして市土砂等土地埋め立て規制条例違反の罪で、同市南本町の建築業の男性(67)を略式起訴した。沼津簡裁は29日付で、罰金50万円の略式命令を出した。 略式命令によると、男性は2018年8月9日ごろから今年6月8日までの間、三島市長の許可を受けず、広さ千平方メートル以上の土地を埋め立てた。 静岡地検沼津支部は、29日付で森林法違反容疑は不起訴処分とした。理由は明らかにしていない。
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露天風呂盗撮事件 茨城の男を起訴 静岡地検
露天風呂に入浴中の女性らを狙った盗撮事件で、静岡地検は29日、児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪で、茨城県潮来市の水産作業員の男(29)を静岡地裁に起訴した。 起訴状によると、被告は2019年9月7日午後11時ごろ、茨城県内の住宅で着替え中の18歳未満の少女を盗撮し、児童ポルノを製造したとされる。 県警によると、被告は全国を股に掛けて活動する盗撮グループの一員で、盗撮画像はメンバー内で共有していたとみられる。
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遺体放置で女起訴 静岡地検
静岡地検は29日、死体遺棄の罪で、住所不定、無職の女(56)を静岡地裁に起訴した。 起訴状によると、被告は4月7日ごろ、静岡市内の当時の自宅で、同居する内縁関係にあった70代の無職男性が死亡していたのに放置したとされる。
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行動履歴の開示協議 元天竜市長の再審請求
旧天竜林高(浜松市天竜区)で起きた大学推薦入試に絡む調査書改ざん・贈収賄事件で贈賄罪で罰金の略式命令を受けた元天竜市長(90)の再審請求を巡り、弁護士、検察官、裁判官の非公開の三者協議が26日、浜松簡裁で行われた。当時の校長に校内で現金を渡したとされる際の元天竜市長の行動履歴を示す証拠の開示について意見を交わした。 弁護側は検察が証拠開示した取り調べメモの分析から、校長に現金を渡すために来校したとされる時間帯について、元天竜市長は市内の銀行の支店にいた可能性を指摘している。 元天竜市長の代理人の杉尾健太郎弁護士は三者協議で、元天竜市長の来店時間を明らかにするため、弁護士会照会制度で銀行に
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強制わいせつ致傷 三重32歳男を起訴 静岡地検沼津支部
静岡地検沼津支部は26日、強制わいせつ致傷の罪で三重県亀山市、トラック運転手の男(32)を静岡地裁沼津支部に起訴した。裁判員裁判の対象になる。 起訴状などによると、被告は4日午前3時40分ごろ、富士市内の路上で県東部の10代女性の腹付近に左腕をぶつける暴行を加えた上、わいせつな行為をし、約10日間のけがをさせたとされる。
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詐欺と窃盗罪 男2人を起訴 静岡地検沼津支部
静岡地検沼津支部は22日、詐欺と窃盗の罪で東京都練馬区、無職の男(31)=暴行と監禁の罪で起訴=と、沼津市東椎路、会社員の男(21)を静岡地裁沼津支部に起訴した。 起訴状などによると、両被告は被害者宅に電話をかける「かけ子」らと共謀して1月27日、沼津市の無職女性=当時(75)=宅に電話をかけるなどし、300万円をだまし取ったとされる。同27~28日には、南伊豆町の無職女性=当時(84)=宅に電話をかけて200万円などをだまし取り、下田市のコンビニの現金自動預払機から約50万円を引き出したとされる。
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焼津カツオ盗9人不起訴 静岡地検、鹿児島の元卸業者ら
焼津市の焼津漁港に水揚げされたカツオの窃盗事件で、静岡地検は19日、窃盗容疑で逮捕・送検された運送会社元社長ら7人を不起訴処分とし、窃盗容疑で書類送検された焼津漁協職員ら2人について罪名を窃盗ほう助に切り替えた上で不起訴処分とした。処分理由は明らかにしていない。 7人は、神奈川県の運送会社元社長の男(49)や焼津市の水産加工会社役員の男(57)、都内の水産加工会社の焼津営業所長を務めていた男(46)のほか、鹿児島県の元食品卸売販売業の男性ら。昨年3月に宮城県の船会社が水揚げした冷凍カツオ8トンを盗んだなどとして逮捕された。書類送検されていた2人は焼津漁協の20代職員と30代元職員。 運送
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袴田さん支援者 再審開始訴え 逮捕から56年、姉秀子さんも
旧清水市(静岡市清水区)で一家4人を殺害したとして死刑が確定し、再審請求中の浜松市中区の袴田巌さん(86)が強盗殺人容疑などで県警に逮捕されてから56年になる18日、袴田さんの支援団体がJR浜松駅北口で早期の再審開始を訴える街頭広報を行った。 同市の袴田さん支援クラブの11人が再審請求審の内容を紹介するチラシを配布した。同クラブの清水一人さん(73)は「この事件と日本の刑事司法の問題点に関心を持ち、裁判所に声を届けてほしい」と呼びかけた。袴田さんの姉のひで子さん(89)も参加した。 袴田さんは2014年に静岡地裁の再審開始決定で釈放された。東京高裁が18年に静岡地裁の決定を取り消し再審請
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社説(8月18日)空襲被害者の救済 法整備先送り許されぬ
太平洋戦争中、米軍の空襲で多くの市民が犠牲になった。その数は全国で50万人以上、静岡県内でも約6500人に上ると推定されている。戦後、政府は旧軍人や軍属に恩給や遺族年金を支払う一方、広島や長崎の原爆被爆者らを除き、民間の空襲被害者には何の補償もしていない。 こうした状況を踏まえ、補償法の議員立法化を目指す超党派の「空襲議連」は一昨年、法案を正式決定したが自民党内の調整が進まず、先の通常国会でも提出を断念した。 被害者の高齢化は著しい。今年は名古屋空襲で顔に重傷を負った故・杉山千佐子さんらが民間戦傷者の救済を求める運動を始めて50年になる。法整備のこれ以上の先送りは許されない。 議連がま
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造園業で不法投棄 会社と代表に罰金 沼津簡裁
沼津区検は17日までに、廃棄物処理法違反の罪で長泉町の造園会社と同社代表の男性(53)を略式起訴した。沼津簡裁は8日付で、同社と男性にそれぞれ罰金20万円の略式命令を出した。 略式命令などによると、男性は同社の業務に関し従業員と共謀の上、5月9、30日、雑草など約1・4立方メートル、剪定(せんてい)枝約166キロを、同町元長窪の山林に不法に投棄した。 静岡地検沼津支部は、同容疑で書類送検などされていた同社の従業員ら男性4人を、7月29日付で不起訴処分とした。理由は明らかにしてない。
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焼津カツオ盗損賠 船会社が追加提訴、3者7人に558万円 静岡地裁
焼津漁港で発生した冷凍カツオの窃盗事件に関連し、焼津市の船会社「極洋水産」が16日までに、焼津漁業協同組合や同市の水産加工会社「カネシンJKS」、同市の運送会社「焼津港湾」、窃盗の罪で起訴された6被告ら計7人を相手取り、計約558万円の損害賠償を求める訴訟を静岡地裁に起こした。極洋水産は昨年11月に3者と7人を相手に損害賠償訴訟を起こしていて、今回はその追加措置となる。 訴状によると、3者と7人は共謀し、2018年4月ごろまでに、極洋水産の漁船が焼津漁港に水揚げしたカツオの一部を盗み、極洋水産に計約558万円の損害を与えたとしている。7人が所属していた3者にはそれぞれ使用者責任があると主張
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パトカーなど5台衝突、男を追起訴 地検沼津支部
沼津市内の国道で警察官からの追跡を逃れる目的でパトカーなど車5台に衝突したとして、静岡地検沼津支部は16日までに、公務執行妨害と器物損壊の罪で、名古屋市、無職の男(38)=覚醒剤取締法違反の罪で起訴=を静岡地裁沼津支部に追起訴した。15日付。 起訴状などによると、被告は乗用車を運転中、警察官からの停止に応じず逃走した上で6月13日午後5時10分ごろ、沼津市岡宮の伊豆縦貫道沼津岡宮インターチェンジ付近でパトカーや一般車両に次々と衝突し、計5台を壊したとされる。 地検沼津支部は被告とともに逮捕された住所不定、無職の女(32)=同=を、同容疑について15日付で処分保留とした。捜査は継続する。
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社説(8月16日)再審制度の不備 法改正に向けた議論を
現行の再審制度は法規定が乏しく冤罪[えんざい]の救済につながりにくいと訴える日本弁護士会連合会(日弁連)は、速やかな法改正を目指して「再審法改正実現本部」を新設した。再審請求手続きでの全面的な証拠開示と、再審開始決定に対する検察官の不服申し立ての禁止を柱に改正案を策定し、立法府などへの働き掛けを強化していく。 日弁連は1960年代以降、法改正を求め続けているが、法務省は消極的な姿勢を変えていない。国会議員の関心も低いと言わざるを得ない。 無実の人を罰する冤罪は、国家による最大の人権侵害で、再審制度は冤罪被害救済の最終手段である。政府も国会議員も、日弁連が指摘する再審の制度的な問題は真摯[
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白雪姫に毒リンゴ 王妃は有罪?無罪? 静岡地裁で小学生模擬裁判
静岡地裁は12日、小学生の高学年を対象に夏休みイベントを静岡市葵区の地裁本庁で開いた。県内各地の20人が参加。模擬裁判を通じて、刑事裁判のルールや流れを学習した。 白雪姫に毒リンゴを食べさせて殺そうとしたとして、ある王妃が殺人未遂の罪に問われた。しかし、王妃は犯行時刻に城にいたと訴え無罪を主張した―。児童は裁判官役、検察官役、弁護人役に分かれ、証人尋問や被告人質問を体験。裁判官役は予定時間を超える白熱の評議を経て、「犯人の声は王妃だった」とした白雪姫の証言を「もうろうとした意識の中で判断できたか疑問」などと否定し、無罪判決を言い渡した。 地裁の鈴木悠裁判官と静岡地検の風間康宏検事、県弁護
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ごみ処理施設計画訴訟 沼津市「請求棄却を」 地裁初弁論
沼津市のごみの新中間処理施設整備計画を巡り、業務委託契約に関する支出は違法だとして、市民が市を相手取り、頼重秀一市長に約1250万円の損害賠償を請求するよう求めた住民訴訟の第1回口頭弁論が9日、静岡地裁(菊池絵理裁判長)であった。市側は請求棄却を求める答弁書を提出し、争う姿勢を示した。 訴状などによると、沼津市は1976年から同市上香貫のごみ焼却施設を稼働している。施設建設に際し当時の市長は74年、隣接する清水町外原地域の区長らとの間で、現在地で増設や新設を一切しないとする覚書を結んだ。一方、市は現在地での新設を計画し、2020年に民間会社に業務委託契約を締結。21年に約1250万円を支払
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磐田市成年後見支援センター開所 市民担い手、養成不可欠【風紋】
認知症などで判断能力が不十分な市民の権利を代理人が保護する「成年後見制度」の普及を図る磐田市成年後見支援センターが1日、開所した。高齢化の進行に伴い制度の利用の必要性が増す中、課題は代理人を担う後見人の不足だ。ボランティアによる「市民後見人」の養成を強化し、全ての人が安心して暮らせる地域の体制づくりを目指してほしい。 認知症高齢者や知的障害者、精神障害者の財産管理などの支援を第三者の後見人が行う同制度。後見人には法人や弁護士、司法書士、社会福祉士、親族、それ以外の市民後見人が充てられる。2000年に導入され、16年施行の利用促進法に基づいて、18年から全国で家庭裁判所や専門職などの関係機関
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原動機付き自転車 ひき逃げ被告に有罪判決 静岡地裁
静岡市駿河区の歩道で4月に原動機付き自転車(原付)を運転し、自転車の男性に衝突して重傷を負わせた上で逃走したとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)と道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われた同市清水区七ツ新屋、会社員の男(35)の判決公判で、静岡地裁は9日、懲役2年6月、執行猶予4年(求刑懲役2年6月)を言い渡した。 弁護側は電動アシスト自転車として購入した車両が、原付に該当するとの確定的な認識はなかったと主張していた。谷田部峻裁判官は判決理由で、最大速度や出力から「電動アシスト自転車の範疇(はんちゅう)を超えていることを理解していた」と指摘。「危険性を十分認識した上で犯行に及んだことは明
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淡島ホテル前運営会社 破産手続き開始決定 東京地裁
沼津市の淡島ホテルの旧運営会社「淡島ホテル(現AWH)」の関連会社「ワン・リゾート」(東京都)が8日までに、東京地裁から破産手続き開始の決定を受けた。開始決定は7月27日付。同社の元従業員が今年4月、未払い賃金や取引先への支払いを求め破産手続きを申し立てていた。 申し立て代理人の弁護士によると、「ワン・リゾート」は2020年4月に設立し、リゾートクラブの運営や管理業務などを行う会社。同社はホテルの前運営会社で、AWHと同じ親会社が全株式を保有する。親会社の社長らが破産法違反容疑で逮捕、起訴され身柄拘束されたため、21年10~12月分の給与計約四千数百万円が未払いになっているという。実質的な
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税の使い道、クイズで学ぶ 静岡税務署などスタンプラリー
静岡納税貯蓄組合連合会と静岡法人会はこのほど、夏休み親子税金スタンプラリーを静岡市葵区の静岡税務署などで開いた。同市内の小学4~6年生と保護者ら計47人が税の使い道への理解を深めた。 同税務署では、市と県の租税関連部門の担当職員から、ごみの回収や日本平動物園の運営も税金で賄われ、豊かな生活を維持するのに税金は欠かせないと説明を受けた。クイズ形式で税を学んだり、署長室を見学したりした。静岡地裁も訪れ、法廷内を巡って裁判の仕組みを教わった。
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河川に鶏ふん流入? 汚濁、異臭対策 静岡県に要望 掛川・大須賀地域住民
掛川市大須賀地域を流れる西大谷川で汚濁や異臭が続いているとして、同市の住民代表が5日、県庁に川勝平太知事を訪ねて対策を要望した。河川上流域にある採卵養鶏施設(閉鎖中)の鶏ふんが流れ込んだのが原因とみられ、県は速やかな撤去に向けて事業者を指導する方針を示した。 要望した大須賀第1地区まちづくり協議会の林晴美会長(69)によると、汚濁が始まったのは5月下旬から。住民有志で養鶏施設付近を調べたところ、積み上げられた大量の鶏ふんが崩れて市道をふさいでいるのが見つかり、市と県に通報した。 全容解明と対策を求める林会長に対して、県の担当者は周辺の鶏ふんを施設敷地内に仮置きするなどの応急対応を説明した
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長泉の義母刺殺事件 無罪主張の控訴棄却 東京高裁
長泉町の自宅で2020年3月、無職の女性=当時(69)=を刺殺したとして、殺人の罪に問われた長男の妻の無職の女(33)の控訴審判決で、東京高裁は4日、懲役15年とした一審静岡地裁沼津支部の裁判員裁判判決を支持し、無罪を主張する被告側の控訴を棄却した。 被告側は、一審に続き第三者の犯行を主張していたが、細田啓介裁判長は判決理由で、犯人は被害者宅の衣類などを犯行着衣として着用できる者としか考えられないと指摘。「犯人像を満たすのは、犯行現場にいた被告だけという原判決の判断は相当」と退けた。 控訴審判決によると、被告は20年3月10日、自宅で同居する女性の胸などを包丁で複数回、突き刺すなどして殺
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脱退しようとした「かけ子」監禁 男3人を起訴 地検沼津支部
特殊詐欺グループから脱退しようとした「かけ子」の監禁事件で、静岡地検沼津支部は2日までに、暴行と監禁の罪で、いずれも無職の男(31)=東京都練馬区=と男(21)=沼津市小諏訪=の両容疑者を、監禁の罪で男(22)=富士宮市外神=を静岡地裁沼津支部に起訴した。1日付。 起訴状などによると、3人は共謀し、3月9日午後10時半ごろから12日午前6時50分ごろまでの間、沼津市内の駐車場で、脱退しようとしたかけ子の20代男を、乗用車で都内の雑居ビルなどに連行し、監禁したとされる。東京都の被告と沼津市の被告は同10日午前1時半ごろ、20代男の顔を蹴るなどしたとされる。 詐欺や窃盗などの疑いで逮捕された
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兄刺殺未遂の罪 清水町の男起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は2日、殺人未遂の罪で、清水町伏見、無職の男(33)を静岡地裁沼津支部に起訴した。裁判員裁判の対象になる。 起訴状などによると、被告は7月12日午後0時40分ごろ、自宅で同居する兄=当時(38)=の左胸を果物ナイフで刺して殺害しようとしたとされる。
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同級生の被告「菌まわし」謝罪 静岡市立小いじめ訴訟 静岡地裁で尋問
静岡市の市立小で2017年度にいじめを受け、適応障害を発症したなどとして、当時5年生だった10代の男子生徒が同級生らに損害賠償を求めた訴訟の本人尋問が2日、静岡地裁(菊池絵理裁判長)であった。被告の同級生は、生徒の名前に「菌」を付け、同級生同士でタッチして回す「菌まわし」を行ったことを「反省している」と述べた。 原告の男子生徒は、クラスで孤独な状態だったと主張し、腹を殴られたことがあるとも訴えている。しかし、同級生は尋問で「誰かが(原告に)『みぞおちパンチ』しているのを見たことはない」「仲間はずれじゃなかった」と否定した。 腹を殴ったと原告から指摘されている同級生の母親の証人尋問もあり、
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郵便局強盗未遂 容疑の男を起訴 静岡地検浜松支部
浜松市中区の浜松早出郵便局に刃物を持った男が押し入った事件で、静岡地検浜松支部は29日、強盗未遂と建造物侵入、銃刀法違反の罪で同区の無職の男(56)を静岡地裁浜松支部に起訴した。 起訴状によると、被告は4月4日午後0時50分ごろ、同郵便局に出入り口から侵入し、男性局員に包丁を示して「金を出せ」などと脅迫し、現金を奪い取ろうとしたとされる。通報で駆け付けた警察官が被告を取り押さえ、強盗は未遂に終わった。
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1億円賠償 静岡県控訴 警部補過重労働、自殺
2012年に自殺し、17年に公務災害と認定された静岡県警の30代男性警部補の遺族4人が県に損害賠償を求めた二つの訴訟で、県は27日までに、過重労働と自殺との因果関係を認めて県に計約1億355万円の支払いを命じた広島地裁福山支部判決を不服とし、広島高裁に控訴した。26日付。同地裁への取材で分かった。 13日の広島地裁福山支部判決は、下田署の交番長だった男性警部補の亡くなる直前1カ月の時間外勤務が140時間を超えていたと認定し、警部補が報告した時間外勤務を上司が短時間に修正していたことも認めた。業務の軽減措置を講じていなかったとして「警部補の心身の健康に配慮すべき安全配慮義務を尽くしたとは到底
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息子の自殺ほう助 被告の父親認める 静岡地裁沼津支部初公判
沼津市戸田の展望地「出逢い岬」付近で息子の自殺を手伝ったとして、自殺ほう助の罪に問われた愛知県岡崎市、無職の男(64)の初公判が27日、静岡地裁沼津支部(室橋秀紀裁判官)で開かれ、被告は起訴内容を認めた。 検察側は冒頭陳述で、被告は製造業を営んでいたが税金滞納や健康問題で困窮し、死のうと思ったと指摘。「軽度の知的障害があり長年ひきこもっていた被害者が一人で生きるのは困難と考え、(被害者を誘って)一緒に死ぬための旅に出た」と述べた。 起訴状などによると、被告は4月15日午後6時ごろから同7時ごろまでの間に、心中しようと訪れた沼津市戸田の駐車場で、長男=当時(31)=の首に電源コードを巻き付
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生徒「全部壊された」 静岡市立小いじめ訴訟 静岡地裁で尋問
静岡市の市立小で2017年度にいじめを受け、適応障害を発症したなどとして、当時5年生だった10代の男子生徒が中心的な加害者とされる同級生や担任教諭らと市に損害賠償を求めた訴訟で、男子生徒の本人尋問が26日、静岡地裁(菊池絵理裁判長)であり、生徒は「いじめのせいで全部が壊された。症状がいつ治るか分からず、不安な生活を送っている」と述べた。 市の第三者機関「市いじめ防止再調査委員会」は18年、同級生から腹部を殴られたとする暴力行為などをいじめと認定したが、ズボンやパンツを下ろされたと生徒側が主張していた行為については「確認できなかった」と結論付けている。 一方、男子生徒は尋問で馬乗りされてズ
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露天風呂組織的盗撮事件 千葉の会社員を起訴 静岡地検
露天風呂に入浴中の女性を狙った組織的な盗撮事件で、静岡地検は26日、茨城県迷惑防止条例違反の罪で千葉県市川市、会社員の男(43)を静岡地裁に起訴した。 起訴状によると、被告は2020年8月25日、兵庫県迷惑防止条例違反などの罪に問われ同地裁で公判中の男(50)=茨城県行方市=と共謀の上、同県内の露天風呂で、知人女性2人をビデオカメラで盗撮したとされる。
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浜岡原発廃炉訴訟 双方が準備書面 静岡地裁浜松支部
中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)3~5号機の廃炉を求めて地元住民らが起こした訴訟の第33回口頭弁論が25日、静岡地裁浜松支部で開かれた。原告、被告の双方が準備書面を提出した。 原告は、津波対策が不十分などと指摘して北海道電力泊原発の運転差し止めを命じた札幌地裁の5月31日の判決を踏まえ、「防波壁の安全性や建屋内の浸水防止対策について中部電力も立証を尽くすべき」と主張した。同判決について「適切な防災計画のない場合はそれだけで運転差し止めを認めるべきと判断した」と注目し、浜岡原発も「避難計画の不備は大きな差し止め理由になる」と訴えた。 中部電力は浜岡原発の地震津波対策を説明し、「自然現象に対
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車5台衝突、2人を再逮捕 公務執行妨害などの疑い 沼津署
沼津市内の国道で、警察官からの追跡を逃れる目的でパトカーなど車5台に衝突したとして、沼津署は25日、公務執行妨害と器物損壊の疑いで、名古屋市北区鳩岡2丁目、無職の男(38)と愛知県豊川市生まれ、住所不定、無職の女(32)を再逮捕した。 2人の再逮捕容疑は6月13日午後5時ごろ、共謀の上、沼津市足高の伊豆縦貫道沼津岡宮インターチェンジ付近で、パトカーや一般車両に次々と衝突し、計5台を壊した疑い。同署によると、パトカーは盗難車とみられる車両に乗る両容疑者を追跡していた。2人は事故後、そのまま逃走して車を途中で乗り捨て、市内の商業施設で別の公務執行妨害などの疑いで現行犯逮捕された。 静岡地検沼
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袴田さん差し戻し審 着衣血痕「赤みが残ることはない」 みそ漬け鑑定、法医学者証言
旧清水市(静岡市清水区)で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定し、裁判のやり直しを求めている袴田巌さん(86)の差し戻し審で、弁護側鑑定を手掛けた法医学者2人の証人尋問が22日、東京高裁で非公開であり、終了後に弁護団が記者会見して内容を説明した。2人が「1年もみそに漬かれば血痕に赤みが残ることはない」と証言したと明らかにした。 弁護団は、2人の所属と氏名について旭川医科大法医学講座の清水恵子教授と奥田勝博講師と公表した。 事件から1年2カ月後に現場近くのみそタンクから発見された「犯行着衣」に付着した血痕には赤みが残り、弁護団は不自然だとして捏造(ねつぞう)
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警部補「上司が降任強要」 パワハラ、静岡地裁に損害賠償提訴
警部補への自主降任の申し出を上司らに強要されたパワーハラスメント行為などで精神的苦痛を負ったとして、静岡県警本部に勤務する警部補の40代男性が13日、県警幹部4人と県に300万円の損害賠償などを求める訴訟を静岡地裁に起こした。代理人の弁護士が22日、県庁で記者会見して明らかにした。 訴状などによると、男性は2019年9月ごろ、当時の上司や人事担当者らが、男性が警部に昇任した以降、2度にわたる休職やうつ病での通院などを重ねていたことを引き合いに出し、自主的に警部補への降任を申し出るよう執拗(しつよう)に求めたなどとしている。 弁護士は「男性は自主降任の意向がないことを明確に伝えていた。本来
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袴田さん差し戻し審 鑑定人尋問始まる 東京高裁
旧清水市(静岡市清水区)で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(86)の第2次再審請求審で、事件から1年2カ月後に見つかった「犯行着衣」に付着した血痕の色を巡り、法医学者ら専門家の証人尋問が22日午前、東京高裁(大善文男裁判長)で始まった。同日と8月1日、同5日の3日間で計5人を尋問する。弁護団は、差し戻し審の「ヤマ場」と位置付けている。 事件現場近くのみそタンクで発見されたシャツなど「犯行着衣」の血痕には赤みが見て取れるが、弁護団は1年以上みそに漬かっていたとしては不自然だと主張してきた。審理を高裁に差し戻した2020年12月の最高裁決定は「みそ
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原付自転車ひき逃げの被告 懲役2年6月求刑 静岡地裁公判
静岡市駿河区国吉田の歩道で4月、原動機付き自転車(原付)を運転中、男性に衝突して重傷を負わせ逃走したとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)と道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われた同市清水区七ツ新屋、会社員の男(35)の論告求刑公判が21日、静岡地裁(谷田部峻裁判官)であり、検察側は懲役2年6月を求刑した。 検察側は論告で、被告は「電動アシスト自転車」として購入した車両が「原付」に該当すると認識しながら、歩道を走行していたと強調。交通トラブルがあった男性会社員を過度なアシスト機能を用いて追いかけて重傷を負わせ、逃走したことは悪質性が高いと指摘した。 弁護側は、過度な補助機能は認知してい
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社説(7月21日)東電株主訴訟判決 個人も重い責任、認識を
東京電力福島第1原発事故を巡り、旧経営陣5人が津波対策を怠って会社に損害を与えたとして、総額22兆円を東電に賠償するように株主が求めた訴訟の判決で、東京地裁は元会長ら4人に計13兆円余りの支払いを命じた。 判決は「重大事故が生じないよう最低限の津波対策を速やかに指示すべきだったが、取締役としての注意義務を怠った」と厳しく指摘。加えて旧経営陣の対応は「安全意識や責任感が根本的に欠如していた」と批判した。経営論理を優先して対策が先送りになったことを明快に断罪したと言える。 旧経営陣個人の責任を認める司法判断は初。賠償額は、国内の民事訴訟で最高額になるとされ、実際に全額を支払うのは困難とみられ
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焼津漁協職員に懲役1年6月求刑 カツオ盗事件、静岡地裁初公判
焼津市の焼津漁港に水揚げされた冷凍カツオが不正に抜き取られた事件で、窃盗の罪に問われた焼津市小土、焼津漁業協同組合職員の男(32)の初公判が20日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれ、被告は起訴内容を認めた。検察側が懲役1年6月を求刑し、即日結審した。判決は9月12日の予定。 被告は事件当時、帳面と呼ばれる計量担当職員だった。冒頭陳述で検察側は、遅くとも2018年ごろまでに、漁協の上司だった同漁協元職員の男(40)=同罪で公判中=または焼津市の水産加工会社の元役員の男(48)=同=に言われる形で、同社が正規に競り落としたカツオと一緒に未計量のカツオを渡すようになったと指摘。元役員の男から大
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浜松の妻殺害 懲役8年 地裁支部判決、認知症の影響認めず
2021年2月に浜松市中区早出町の自宅で妻=当時(73)=を殺害したとして、殺人の罪に問われた無職の男(82)の裁判員裁判の判決公判で、静岡地裁浜松支部(大村泰平裁判長)は20日、懲役8年(求刑懲役10年)を言い渡した。 事件当時、認知症の影響で怒りや悲しみの感情を抑制できない感情失禁の症状が被告にあったかが争点となった。大村裁判長は判決理由で、起訴後の精神鑑定で約2カ月間の入院中、症状が現れなかった点などを理由に「感情失禁はなく、認知症の犯行への影響は認められない」と結論付けた。 湿布を貼る枚数を巡って妻と口論になり犯行に至ったとの経緯も、妻の入退院に伴う家事と介護の負担の増加といった
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浜岡原発廃炉訴訟 原告「活断層」指摘 中電側が反論
静岡県内の弁護士や住民が中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)の廃炉などを求めた訴訟の第50回口頭弁論が19日、静岡地裁(菊池絵理裁判長)であり、中電側は、原告側が2017年に原発敷地内に活断層が存在すると指摘した点について反論する準備書面を提出した。 原告側は17年6月の準備書面で、原発敷地内の地盤には南北に伸びている「A―17」断層があり、活断層であるなどと主張した。 中電側は新たな準備書面で「地表付近に変位を生じさせる断層として評価していない」「詳細な調査を行い、南北走向の逆断層が将来変位を生ずる恐れがないものだと確認した」とし、原告側に反論した。また、東西の正断層「H断層系」を「敷地内
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ヤマハ発の模倣品 中国企業販売停止 権利侵害認める
ヤマハ発動機は19日、表面実装機用装置の模倣品を製造・販売したとして中国広東省深圳(せん)市の企業2社と経営者を提訴した訴訟で、中国企業側が著作権と特許権の侵害を全面的に認め、模倣品の販売を停止したと発表した。 深セン市の2社は同グループ。ヤマハ発は2020年夏に模倣品が出回っていることを確認し、21年10月に同市中級人民法院(地裁)に提訴した。中国企業側はヤマハ発の主張を全面的に受け入れ、損害賠償金の支払いや在庫の廃棄、謝罪広告の掲載にも応じるという。ヤマハ発は中国企業の対応が完了した後、訴訟を取り下げる。 ヤマハ発は「知的財産権を重要な経営資源と位置付けており、今後も侵害行為に対して
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被告「自転車超え」認識 原付ひき逃げ初公判、起訴内容認める 静岡地裁
静岡市駿河区の歩道で4月、原動機付き自転車(原付)を運転中、男性に衝突して重傷を負わせ逃走したとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)と道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われた同市清水区七ツ新屋、会社員の男(35)の初公判が19日、静岡地裁(谷田部峻裁判官)であり、被告は起訴内容を認めた。 検察側の冒頭陳述によると、被告は「電動アシスト自転車」として販売されていた自身の自転車が、アシスト機能の出力を上げるとスピードの上限が上がることから原付に該当すると知っていた。検察側は、肩がぶつかったことなどに腹を立てた被告が時速約39~44キロに加速して被害者を追い掛けて衝突させたと経緯を説明した。
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「闇宝くじ」2被告有罪 静岡地裁浜松支部判決
ベトナム国内で人気の宝くじを悪用した違法賭博を行ったとして、賭博開帳図利の罪に問われたいずれもベトナム国籍、名古屋市の無職の男(31)、男(29)両被告の判決公判で、静岡地裁浜松支部は19日、31歳の男に懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)、29歳の男に懲役1年、執行猶予3年(求刑懲役1年)を言い渡した。 高島由美子裁判官は判決理由で、2人がベトナム人のオーナーの下で賭け金の受け付けや集計を担当していたとして「組織的な背景のある職業的な犯行」と述べた。一方、2人とも罪を認めている点などを理由に執行猶予を付けた。 判決によると、2人は氏名不詳者と共謀の上、2021年12月から22
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長泉・木くず不法投棄 山林所有の男起訴 静岡地検沼津支部
静岡地検沼津支部は19日までに、長泉町内の山林に造園や樹木の剪定(せんてい)で出た木くずなどを不法投棄したとして廃棄物処理法違反の罪で山林所有者の無職の男(74)=同町=を静岡地裁沼津支部に起訴した。15日付。 起訴状などによると、被告は仲間と共謀し5月9、30の両日、雑草など約1・4立方メートル、剪定枝約166キロを、それぞれ被告が所有する同町元長窪の山林に不法に投棄したとされる。 地検支部は19日までに、同容疑で逮捕、送検された造園会社の社長の男性(53)=同町=と、同社の従業員の男性(35)=富士市=の2人を処分保留で釈放した。任意で捜査を続ける。
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富士の無許可盛り土 山梨の処分業男を起訴 静岡地検富士支部
富士市大淵の残土処分場に無許可で土砂を埋め立てたとされる事件で、静岡地検富士支部は19日、同市土砂埋め立て等規制条例違反の罪で山梨県身延町、残土処分業の男(58)を静岡地裁富士支部に起訴した。 起訴状によると、容疑者は2018年4月24日から今年6月13日までの間、自分が所有する土地で、富士市長の許可を得ずに広さ500平方メートルを超える範囲に土砂を埋め立てたとされる。容疑者と土砂を埋め立てたとして同条例違反容疑で逮捕・送検された山梨県南部町の女性(59)は19日付で、処分保留で釈放された。 県警によると、土砂は県内外から運び込まれ、敷地内の広さ約8800平方メートルに約5万立方メートル
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裁判員裁判制度テーマに講演会 浜松、袴田さん支援団体
旧清水市(静岡市清水区)で一家4人を殺害したとして死刑が確定し、再審請求中の袴田巌さん(86)=浜松市中区=の支援団体「袴田さん支援クラブ」は16日、裁判員裁判制度について考える講演会を同区の浜松復興記念館で開いた。 関東学院大(横浜市)で刑法と刑法史を専門に研究する宮本弘典教授が講師を務めた。宮本教授は「刑事裁判では被告人の権利をいかに守るかが重要」と強調した上で、裁判員裁判制度の導入が自白を重視する刑事司法の改善につながっていないと指摘した。
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静岡地裁で刑事裁判イベント 8月12日 小学生の参加募集
静岡地裁は8月12日午後1時半から、静岡市葵区の地裁本庁で、刑事裁判の手続きをテーマにした小学4~6年生対象の無料イベントを開く。 模擬裁判をはじめ、裁判官と検察官、弁護士への質問コーナー、法廷見学などを予定する。定員は先着20人。 問い合わせは静岡地裁の広報係<電054(251)6241>へ。
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訴訟提起の困難さ証言 旧優生保護法下の強制不妊 静岡地裁で尋問
旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強いられたのは憲法違反だとして、聴覚に障害のある静岡県内の女性が国に損害賠償を求めた訴訟の第11回口頭弁論が15日、静岡地裁(増田吉則裁判長)であり、女性から聞き取りをした県聴覚障害者協会の小倉健太郎事務局長と前田智子事務局次長の証人尋問が行われた。2人は、女性が手術を強制された経緯や訴訟を提起することが難しかった背景などを証言。「被害に寄り添う判決を」と求めた。 2人は、上部団体からの依頼で2018年に県内の被害実態を調査し、同年8月に初めて女性と会ったと説明した。前田さんが「国に賠償と謝罪を求める裁判を起こすことができる」と伝えたが、すぐに
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電動自転車の認識で購入か 静岡県警、消費者庁へ防止依頼 ひき逃げ事件で
静岡市駿河区の歩道で4月に電動アシスト自転車に衝突された男性が重傷を負い、静岡地検が車両は原動機付き自転車(原付)に当たると判断したひき逃げ事件で、自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)と道交法違反(ひき逃げ)の罪で起訴された静岡市清水区の会社員の男(35)が「車両は電動アシスト自転車であるとの認識で購入した」と話していることが15日、関係者への取材で分かった。 関係者によると、被告の車両は海外製で、道交法で電動アシスト自転車に定められた電動モーターによる補助が働く制限速度(時速24キロ)を超える速度までアシスト機能が作動した。インターネットで購入したとみられ、被告は「『公道走行可』の文字が
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静岡県に1億円賠償命令 過重労働の警部補自殺 広島地裁支部
2012年3月に自殺し、17年8月に公務災害と認められた静岡県警の30代男性警部補の遺族4人が静岡県に損害賠償を求めた二つの訴訟の判決で、広島地裁福山支部は13日、県に計約1億355万円の支払いを命じた。 男性警部補は自殺当時、下田署に勤務し、交番長を務めていた。警部補が自殺するまでの1カ月間の時間外勤務は110時間で、同一時期に連続窃盗事件の捜査や新入実習生への対応、引き継ぎ準備などが重なっていた。 地方公務員災害補償基金県支部は17年の公務災害認定で、男性警部補が12年3月上旬には精神疾患を発症していたと判断した。業務以外の負荷は確認できないとして、精神疾患と自殺との因果関係を認めて
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離婚後「共同親権」 法制審、8月中間試案 静岡県内、推進派と反対派が行方注視
離婚後の父母の双方に親権を認める「共同親権」を導入する案などを盛り込んだ家族法制の見直しに関する中間試案を、法相の諮問機関である法制審議会の家族法制部会が8月にも取りまとめる。静岡県内では親権を失った別居親を中心に共同親権の実現を求める動きが活発化しており、推進派、反対派の双方が「正念場」と法制化の行方を注視している。 「親として、子に関わりたい」。県東部の別居親の50代男性は思いを吐露した。家庭裁判所の審判で定期的な面会交流の約束をしたが、子どもと2年以上会えていない。 2020年に全国の別居親らと「単独親権制により人権侵害を受けている」として国に損害賠償を求める集団訴訟を東京地裁に起
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妻殺害の男に懲役10年求刑 静岡地裁浜松支部
浜松市中区早出町の自宅で昨年2月に妻=当時(73)=を殺害したとして、殺人罪に問われた無職の男(82)の裁判員裁判論告求刑公判が12日、静岡地裁浜松支部(大村泰平裁判長)で開かれ、検察側は懲役10年を求刑した。 争点は被告の認知症の影響。検察側は「認知症の影響はなく、あったとしても被告人に有利に働く影響はない」と指摘。介護による疲れなど同情すべき事情もないことから「身勝手で悪質な犯行」と強調した。 弁護側は「(湿布を貼る枚数を巡り)けちと言われただけで犯行に及ぶのは不自然」と話し、認知症の影響で怒りを抑えられなかったと訴えた。自首が成立し、犯行後に被告が自殺を試みたことも考慮すべきとして
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金商法違反の罪で会社と代表を起訴 地検沼津支部
高配当をうたって無許可で暗号資産(仮想通貨)の購入を勧誘したとして静岡地検沼津支部は11日、金融商品取引法違反の罪で投資会社「桜和堂」(東京)と同社代表の男(69)=東京都中央区=を静岡地裁沼津支部に起訴した。 起訴状などによると、被告は2018年9月、内閣総理大臣の許可を受けずに栃木県などで2回にわたり計3人に対し、高配当をうたう暗号資産への投資を勧誘し、無登録で第二種金融商品取引業を行ったとされる。 地検支部は11日付で、被告とともに逮捕された男性役員(39)=東京都=と男性従業員(53)=同=の2人を不起訴処分とした。理由は明らかにしていない。
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ヘビかませてけが 男性に罰金20万円 富士簡裁命令
富士市の幼稚園で近隣住民が所持していたヘビに幼稚園児をかませたとされる傷害事件で、富士区検は11日、過失傷害の罪で富士市今泉の無職の男性(69)を富士簡裁に略式起訴した。同簡裁は同日、罰金20万円の略式命令を出した。 略式命令によると、男性は同市内の幼稚園でヘビを園児に見せる際、かみつかないようにする注意義務を怠って、ヘビの頭を手で押さえるなど制御せずに園児2人にかみつかせ、軽いけがをさせた。 男性は6月下旬に傷害容疑で逮捕・送検されていた。
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風呂に女性誘い盗撮、複数回 静岡県警逮捕のグループ、手口を確立
露天風呂に入浴中の女性を狙った組織的な盗撮事件で、盗撮マニアのグループは特定の女性の撮影依頼を受け、指定の入浴施設に誘い出して盗撮する行為を「プロジェクト」と名付け、複数回実行していたことが7日、県警への取材で分かった。藤枝署と静岡県警生活保安課などは同日、茨城県迷惑防止条例違反の疑いで千葉県市川市市川南1丁目、自称飲食店員の男(43)を逮捕した。 逮捕容疑は2020年8月下旬ごろ、兵庫県迷惑防止条例違反などの罪に問われ静岡地裁で公判中の男(50)=被告、茨城県行方市=と共謀し、茨城県内の露天風呂で、知人女性2人を望遠レンズ付きビデオカメラで撮影した疑い。容疑を認めているという。 同署に
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旧天竜林高事件 支援団体が集会 浜松で18日
旧天竜林高(浜松市天竜区)で2008年に発覚した大学推薦入試に絡む調査書改ざん・贈収賄事件で、有罪が確定し再審請求中の元校長(74)の支援団体が18日、事件と再審制度を考える集会を同区の天竜壬生ホールで開く。 弁護団が最高裁での審理の現状を説明する。鹿児島県大崎町で男性の遺体が見つかった「大崎事件」の弁護団事務局長の鴨志田祐美弁護士が再審制度の問題点などをテーマに講演する。浜松市役所で7日に記者会見した元校長は「事件の概要を改めて多くの人に知ってほしい」と思いを述べた。 集会は午後1時半から。入場無料。
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19歳起訴 氏名公表、静岡県内初 強制わいせつ致傷罪 地検沼津
静岡県東部の路上で10代女性にわいせつな行為をし、けがを負わせたとして静岡地検沼津支部は7日、強制わいせつ致傷の罪で沼津市の無職の男(19)を静岡地裁沼津支部に起訴した。裁判員裁判の対象になる。4月の改正少年法で起訴後に実名報道が可能になった18、19歳の「特定少年」で、検察は男の氏名を公表した。 検察が「特定少年」の氏名を公表したのは県内で初めて。地検支部は氏名公表の理由について「事案の内容や諸般の事情を踏まえ、凶悪犯罪と捉え判断した」と説明した。 起訴状などによると男は4月上旬、県東部の路上で、自転車で走行中の10代の女性を転倒させた上、わいせつな行為をし、足や腕に約1週間のけがを負
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カツオ窃盗「日常化」 静岡地裁公判 元漁協職員ら証言
焼津市の水産加工会社が焼津漁港に水揚げしたカツオが流通段階で不正に抜き取られた事件で、窃盗罪に問われた焼津漁業協同組合の元職員の被告(40)=同市東小川2丁目=ら5人の第2回公判が6日、静岡地裁(国井恒志裁判長)であった。被告人質問で被告は、カツオの窃盗行為について「焼津漁協に入った22年前には(既に)あった」と述べた。カツオの運搬役だった2被告も「周りがやっていて日常化していた」と口をそろえ、関係者の間で規範意識が鈍麻していた様子がうかがえた。 6月の初公判で「共謀したことはない」と起訴内容を否認した焼津市の水産加工会社元社長の被告(61)=同市大村新田=は、この日の被告人質問でも「(窃
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盛り土旧所有者 請求棄却求める 損賠訴訟で準備書面【熱海土石流】
熱海市伊豆山の大規模土石流の遺族ら計84人が、崩落した盛り土を含む土地の現旧所有者らに計約58億円の損害賠償を求めた訴訟の弁論準備手続きが6日、静岡地裁沼津支部であり、旧所有者側が初出廷した。終了後の取材に、代理人の大森一志弁護士は、同日までに請求棄却を求める準備書面を同支部に提出したことを明らかにした。 準備書面では、原告側の指摘が具体性に欠け、どの行為に違法性があるのか「理解できない」と訴えた。盛り土造成と土石流の因果関係も明らかにしていないとした。 大森弁護士は「責任の押し付け合いをするつもりはない。責任の所在が誰にどの程度あるのかはっきりさせたい」と述べ、「被害弁償には誠実に対応
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知事、市長「遺族の気持ち受け止める」 被害者の会、県と市提訴へ【熱海土石流】
熱海市伊豆山の大規模土石流の遺族や被災者でつくる「被害者の会」が県と同市を相手取り損害賠償を求める訴訟を起こす方針を表明したことについて、川勝平太知事、斉藤栄市長は4日、それぞれ「ご遺族、被害者の皆様のお気持ちを真摯(しんし)に受け止めたい」とするコメントを発表した。 土石流の起点となった前・現土地所有者に対する損害賠償請求訴訟の補助参加について川勝知事は「新しい状況変化等も踏まえてさらに検討していく」と明言を避けたが、「原告側に寄り添った対応として最もよい方法を検討していくというスタンスに変わりはない」とした。 一方、市は6月28日、静岡地裁沼津支部に原告側で補助参加することを申し入れ
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妻殺害の被告 起訴内容認める 静岡地裁浜松支部初公判
2021年2月に浜松市中区早出町の自宅で妻(73)を殺害したとして、殺人の罪に問われている無職の男(82)の裁判員裁判の初公判が4日、静岡地裁浜松支部(大村泰平裁判長)で開かれた。被告は「(事実は)あった」と起訴内容を認めた。 検察は冒頭陳述で、事件直前、被告が妻の背中に湿布を貼る際、枚数について妻から「けち」と言われ、口論になったことが背景にあると説明した。近くにあったタオルで首を絞め、倒れた妻に馬乗りになって両手で絞め続けたとした。弁護人は殺人の事実関係を認めた上で「認知症の影響で感情がコントロールできなくなっていた」と訴えた。 起訴状によると、被告は21年2月6日午後11時ごろ、自
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遺族覚悟 責任と真相求め、県と市を提訴へ 熱海土石流1年
災害関連死を含め27人が亡くなり、1人が行方不明となっている熱海市伊豆山の大規模土石流は3日、発生から1年を迎えた。遺族や被災者らでつくる「被害者の会」(瀬下雄史会長)は、同市と県を相手取り損害賠償を求める訴訟を起こすことを明らかにした。変わらぬ苦しみや悲しみを抱えながら、市と県が盛り土の崩落を食い止められず、甚大な被害につながった法的責任を追及する。 「発生から1年が経過したが、誰も救済されていない」。被災の跡が生々しく残る現場近くで記者会見した弁護団の加藤博太郎弁護士は、強調した。同市は不適切な盛り土の造成を許し、長期間放置した。「過失は免れない」と厳しく非難。市に是正を求めず、森林法
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先輩を殺人未遂 男に懲役8年 静岡地裁判決
先輩ら男性2人を殺害しようとしたとして、殺人未遂の罪に問われた藤枝市高洲5丁目、土木作業員の男(46)の裁判員裁判の判決公判で、静岡地裁は1日、懲役8年(求刑懲役10年)を言い渡した。 2人への殺意と先輩に対する過剰防衛が成立するかが争点だった。国井恒志裁判長は判決理由で、先輩に対して未必的な殺意が、先輩の知人男性に対しては確定的な殺意があったと認めた。また、先輩から顔を突然殴られ、さらなる危険を感じてもおかしくはない状況だったなどと指摘。「急迫不正の侵害があったと認められる」として過剰防衛は成立すると判断した。 判決によると、被告は2020年8月19日午前3時ごろ、焼津市内の資材置き場
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袴田さん支援団体「早期再審開始を」 浜松で街頭広報
旧清水市(静岡市清水区)でみそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件の発生から56年を迎えた30日、強盗殺人罪で死刑が確定し再審請求中の袴田巌さん(86)=浜松市中区=の支援団体が、JR浜松駅北口で早期の再審開始決定を求める街頭広報を実施した。 同市の「袴田さん支援クラブ」(猪野待子代表)が通行人にチラシを配布したほか、横断幕を掲げて袴田さんの無罪を訴えた。猪野代表は「袴田さんが心から自由になれる日が早く来てほしい」と述べた。「浜松 袴田巌さんを救う市民の会」も同日、浜松駅前で広報を行った。 袴田さんは2014年に静岡地裁の再審開始決定により釈放された。東京高裁が18年、静岡地裁の決定を
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スルガ銀行株主総会 社長解任案を否決 不正融資問題巡り
スルガ銀行が29日に沼津市で開いた株主総会は、嵯峨行介社長を再任する取締役選任案などいずれも銀行側が提案した3議案を可決した。投資用不動産の不正融資問題で被害を訴える株主らが提案した嵯峨社長の解任案など10議案は全て否決された。 同行は新型コロナ対策で来場者数を事前の抽選で当選した206人に限定し、実際には183人が出席した。株主からは被害者救済や、不正融資問題を巡る元役員の懲戒解雇処分が無効と判断された23日の東京地裁判決などに関する八つの質問が寄せられたという。不適切発言を繰り返した株主が退場になるなど、今年も荒れ気味となった。 株主提案では不正融資の温床になった資金の貸付や融資審査
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袴田巌さん保佐人、弁護団から追加選任 東京家裁、姉高齢を考慮
旧清水市(静岡市清水区)で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定し、裁判のやり直しを求めている元プロボクサー袴田巌さん(86)の保佐人に弁護団の弁護士が東京家裁から追加で選任されたことが29日、関係者への取材で分かった。袴田さんの姉ひで子さん(89)が既に保佐人で、再審の請求人にもなっているが、高齢であることを考慮した対応という。 弁護士1人が4月、保佐人に追加で選任された。袴田さんの第2次再審請求は東京高裁で差し戻し審が続いているが、新たに保佐人に選任された弁護士が第2次再審の請求人に加われるかどうかは再審法(刑事訴訟法の第4編再審)に規定がなく、不透明とい
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無免許で医療行為 歯科医と助手に有罪 静岡地裁沼津支部判決
歯科医師免許を持たない歯科助手に医療行為をさせ、患者に診療費を水増し請求していたとして歯科医師法違反と詐欺の罪に問われた歯科医師の男(68)=沼津市上土町=と歯科助手の女(39)=富士市富士町=両被告の判決公判で、静岡地裁沼津支部は29日、男に懲役2年6月、執行猶予3年(求刑懲役2年6月、罰金80万円)、女に懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月、罰金30万円)を言い渡した。 谷本奈央裁判官は判決理由で、男が経営難に陥り犯行を主導したとし「国家資格を有する立場として強い非難を免れない。刑事責任は重い」と指摘。女に対しては、従属的だが実行行為に関与したとし「重要な役割を果たしたことは看
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聖隷学園と学長に原告側が逆転勝訴 東京高裁、ハラスメント訴訟
上司によるハラスメントで精神的苦痛を受けたとして、浜松市北区の聖隷クリストファー大大学院の女性非常勤講師と教え子2人が、運営する聖隷学園と大城昌平学長らに慰謝料など計330万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は29日、学園側に33万円の支払いを命じた。原告の請求を棄却した一審東京地裁判決を一部変更した。 二審判決では、会議で出席者が発言した原告のハラスメント申告に関わる内容を、上司が議事録の草稿に記載して回覧したことや、削除要請に応じず大学内のウェブサイトにアップロードしたことについて「法律上保護される利益を侵害する」と指摘した。一方、上司から威圧的な言動を受けたなどの主張は
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側溝転落死亡事故 焼津市、遺族と和解
焼津市下江留の市道で歩行中の男性が側溝に転落して死亡し、男性の遺族が市に慰謝料など約4800万円の損害賠償を求めて静岡地裁に起こした訴訟は29日までに和解が成立した。市が29日の市議会6月定例会で報告した。和解成立は24日付。和解の詳細な内容について、市は和解条項に「(内容を)第三者に口外しない」としていることから公表していない。 訴状によると、2019年6月15日に当時70代の男性が市道を歩いていた際に足を踏み外し、市道沿いの側溝に転落し、病院に搬送されたが翌16日に死亡した。
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「闇宝くじ」2被告 1年6月と1年求刑 静岡地裁浜松支部初公判
ベトナムで人気の宝くじを悪用した違法賭博を日本国内で行ったとして、賭博開帳図利の罪に問われたいずれもベトナム国籍、名古屋市の無職、男(31)、男(29)両被告の初公判が28日、静岡地裁浜松支部(高島由美子裁判官)で開かれた。2人は起訴内容を認め、検察側は男(31)に懲役1年6月、男(29)に懲役1年を求刑した。弁護側は情状酌量を求め、即日結審した。 検察側は2人は正規の宝くじ当選番号の数桁だけを予想させる「ローデー」と呼ばれる闇宝くじの申し込みをSNSで受け付けていたと指摘。客の賭け金の一部を手数料として受け取り、残りをグループの上位者に渡していたとした。 起訴状によると、2人は氏名不詳
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先輩らを殺人未遂 検察、懲役10年求刑 静岡地裁公判
先輩ら男性2人を殺害しようとしたとして、殺人未遂の罪に問われた藤枝市高洲5丁目、土木作業員の男(46)の裁判員裁判論告求刑公判が28日、静岡地裁(国井恒志裁判長)であった。検察側は被告に懲役10年を求刑した。 論告で検察側は、被告が「ぶっ殺してやる」などと怒鳴りながら犯行に及んでいたとして「殺意があったことの表れ」と指摘。危険かつ悪質な犯行態様だったと強調した。一方、弁護側は「殺意は認められない。攻撃され、身を守ろうとした」と反論した。その上で「科すべき懲役刑は3年を超えない」と述べた。 起訴状によると、被告は2020年8月19日午前3時ごろ、焼津市内の資材置き場で殺意を持って先輩とその
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従業員、スズキ提訴「作業で後遺障害」 静岡地裁浜松支部
スズキ(浜松市南区)の従業員が27日までに、工場での作業中に手の指に後遺障害が残るけがを負ったとして、同社に対して慰謝料を含む約2500万円の損害賠償を求める訴訟を静岡地裁浜松支部に起こした。提訴は5月30日付。 訴状によると、従業員は2012年1月、エンジン設置作業中に固くはめ合った部品同士を取り外すためにプラスチックハンマーを使っていた際、誤って左手親指を打った。屈筋腱(けん)が断裂し、16年1月に労災後遺障害10級に認定された。従業員側は「部品同士を安全に脱着できる構造にしておくといった安全配慮義務を怠った」としている。 労災認定を受け、同社は従業員に障害特別補償金110万円を支払
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スルガ銀行総会開催 禁止申し立てを却下 静岡地裁沼津支部
スルガ銀行による不正融資問題の被害者らが同行の株主総会開催禁止を求めた仮処分申し立てについて、静岡地裁沼津支部は27日、却下する決定を出した。株主総会は予定通り、29日に沼津市で開かれる。 同行は新型コロナウイルス対策などとして、株主総会の会場の座席数を制限し、出席希望者が多い場合は抽選とする事前登録制を導入した。古閑美津恵裁判長は決定理由で「新規陽性者はいまだ途絶えることがなく、出席する株主を一定数に限定することに合理性が認められる」と指摘。被害者ら303人の株主が訴えた「株主参与権行使の侵害」との主張を退けた。 申し立ては17日付。同行は事前登録制について「経済産業省などが認めている
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逮捕監禁など 男に懲役14年 静岡地裁沼津支部判決
会社経営者の男性を監禁してわいせつな行為をし、現金やキャッシュカードを奪ったなどとして逮捕監禁、強盗強制性交、窃盗の罪に問われた沼津市、無職の男(34)の裁判員裁判判決公判で、静岡地裁沼津支部は23日、被告の無罪主張を退け、懲役14年(求刑懲役15年)の実刑判決を言い渡した。 野沢晃一裁判長は判決理由で、防犯カメラの映像などから「犯行の各過程に関与を相当程度うかがわせる事情がある」として、被告が事件の犯人と認定。共犯者に具体的な指示をして犯行を主導したとし「計画性が高く悪質で、被害結果は重大。反省もみられない」と述べた。 判決によると、被告は土木作業員の男(29)=逮捕監禁、強盗強制性交
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大崎事件の再審棄却「不当」 静岡県弁護士会が声明
静岡県など全国各地の弁護士会が23日までに、鹿児島県大崎町で1979年に男性の遺体が見つかった「大崎事件」の再審請求審で、無実を訴えながら殺人罪などで服役した女性(95)の再審開始を認めなかった22日の鹿児島地裁決定を「著しく不当」と抗議する声明を公表した。 最高裁は70年代の白鳥・財田川決定で「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則は再審請求審にも適用されるとしたほか、新旧の全証拠を総合的に判断すべきと明言している。静岡県弁護士会は伊豆田悦義会長名の声明で、鹿児島地裁決定を「新旧全証拠の総合評価を適切に行ったとは評価しがたく、白鳥・財田川決定の趣旨を大きく後退させる」と指摘した。
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大崎事件棄却決定 袴田さん姉や元裁判官ら 法改正求める声強く
「大崎事件ほど再審制度の不備に翻弄(ほんろう)された事件はない」―。22日に鹿児島地裁で第4次再審請求を棄却された原口アヤ子さん(95)は、過去に3度再審開始が認められたものの、その都度検察側の不服申し立てで取り消された経緯がある。弁護団事務局長の鴨志田祐美弁護士は強調する。「最初の再審開始決定は20年前。検察が抗告しなかったら、20年前に終わっていたはずだ」。当事者だけでなく元裁判官たちからも、規定が乏しい再審法(刑事訴訟法の第4編再審)の早期改正を求める声が上がる。 「再審妨害」と「再審格差」。ともに鴨志田弁護士が生み出した言葉だ。前者は、再審開始決定に対して徹底的に上訴する検察当局へ
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株主総会中止の申し立て スルガ銀、却下求める方針
スルガ銀行は22日、一部の株主が株主総会中止を求めた仮処分命令申し立てについて、却下を求める方針を明らかにした。本年度の株主総会から導入し、申し立て理由になった事前登録制について「経済産業省と法務省が採用可能と認めている」と主張している。 株主総会は29日に沼津市で開く予定で、同行による不正融資問題の被害者ら約300人が嵯峨行介社長の解任など10議案を株主提案した。銀行側は新型コロナ対策などを理由に出席を事前申し込み制とし、予定数を上回った場合は抽選とする通知を株主に送付。株主提案した被害者らは「株主参与権の行使の侵害にあたる」として、開催中止を求める仮処分を17日に静岡地裁沼津支部に申し
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無許可で盛り土「実刑考え得る」 地裁沼津支部が有罪判決
無許可で盛り土を繰り返したとして沼津市土砂埋立て等規制条例違反の罪に問われた建設業の男(85)=同市柳沢=に対し、静岡地裁沼津支部が懲役1年、執行猶予4年の有罪判決を言い渡した22日の公判。室橋秀紀裁判官は判決言い渡しの後、「猶予期間は比較的長期とした。実刑も考えられる違反だった」と述べ、罪の重さを自覚するよう厳しく非難した。判決では「盛り土の高さは許可を必要とする基準を大幅に超過するもので、違反の程度は大きい。土砂崩れなどにより人的被害を含む重大な結果が生じる危険性もあると認められる」と指摘。市の指導や命令を無視して盛り土を繰り返した犯行の悪質性に加え、昨年7月の熱海市伊豆山の大規模土石流
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袴田さん姉「残念」 大崎事件、再審認めず
無実を訴えながら殺人と死体遺棄の罪で服役した女性(95)の第4次再審請求審で、鹿児島地裁が22日、女性の再審請求を棄却する決定を出したことについて、女性を励ましてきた元プロボクサー袴田巌さん(86)の姉ひで子さん(89)=浜松市中区=は「気の毒に。生きている限り頑張ってもらうしかない」と受け止めた。 女性には過去3度、再審開始の判断が示されたが、その都度検察側の不服申し立てによって取り消され、異例の経過をたどってきた。ひで子さんは自宅のテレビに請求棄却の速報が流れると、「残念。どういう理由で棄却したのかを知りたい」と話した。 女性の支援集会に駆け付けたり、入院先の病院を訪ねて見舞ったりし
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無許可盛り土に有罪判決「利得目的、身勝手」 静岡地裁沼津支部
無許可で盛り土を繰り返したとして沼津市土砂埋立て等規制条例違反の罪に問われた同市柳沢、建設業の男(85)の判決公判で、静岡地裁沼津支部は22日、懲役1年、執行猶予4年(求刑懲役1年)を言い渡した。 室橋秀紀裁判官は判決理由で「土砂崩れなどにより人的被害を含む重大な結果が生じる危険性があった。利得目的の動機も安易かつ身勝手。災害の防止と環境の保全を図る条例の趣旨を著しく害する犯行で悪質」と述べた。一方で「実現可能性に疑問が残るが、一応は撤去費用を負担する意向を示している」などと執行猶予の理由を挙げた。 室橋裁判官は判決の言い渡し後に「これ以上盛り土を繰り返さないように。撤去についても責任を
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「事務適正化」請願一部採択 小山町議会
小山町議会は21日の最終本会議で、町民有志が提出した町役場の土地売買事務と会計処理の適正化を求める請願を一部採択した。 請願は、足柄サービスエリア周辺開発事業に関連した町有地処分で、議会で議決された事業者とは別会社を権利者として登記したと指摘。同事業などで会計処理の不祥事が続き、町民の怒りは大きいとした。 町議会は請願のうち、静岡地裁が無効と判断した民間業者への土地売却の真相究明については不採択とした。「主観的な表現は除く」との意見を付けて請願を町当局に送付し、対応を報告するよう要請する。
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知人2人殺人未遂「殺意はなかった」 静岡地裁初公判
先輩ら男性2人を殺害しようとしたとして、殺人未遂の罪に問われた藤枝市高洲5丁目、土木作業員の男(46)の裁判員裁判初公判が21日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。被告は「殺意はなかった」と述べ、弁護人は「(先輩に対する)過剰防衛が成立する」と主張した。 冒頭陳述で検察側は、事故車両の保管を先輩から頼まれていたことを背景として説明。事件当日、保管状況を怒られ顔を殴られたため、あらかじめ持っていた刃物のようなもので先輩の脇腹を刺したと指摘した。また先輩の知人に飛び蹴りされたことに激高し、知人の足なども刺したとした。 弁護側は「攻撃は身を守るためだった」と訴えた。 起訴状によると、被告
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再審法改正目指し、立法府へ要請強化 日弁連が実現本部
日本弁護士連合会が、人権救済につながりにくいと指摘されてきた再審法の改正を目指し、小林元治会長を本部長とする「再審法改正実現本部」の新設を16日付で決めた。今後、改正案を策定するほか、日弁連の総力を挙げて「メインターゲット」と位置付ける立法府への働き掛けを強める。 従前の「再審法改正に関する特別部会」は40人ほどの人員だったが、実現本部化で3倍以上に増える。県弁護士会の伊豆田悦義会長ら、日弁連の理事である各地の弁護士会長も加わる。特別部会で部会長を務めてきた鴨志田祐美弁護士は、実現本部新設の意義を「ローラー的に全国会議員を訪ねることができたり、理事が入ることで地元選出議員へのアプローチが
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3人を起訴 静岡地検 焼津カツオ盗事件
静岡地検は20日、焼津漁港に水揚げされた冷凍カツオを盗んだとして、窃盗の罪で神奈川県内の運送会社の元社長の男(48)=神奈川県南足柄市=と、都内の水産加工会社の焼津営業所長の男(46)=焼津市駅北3丁目=、同市内の水産加工会社の社長の男(57)=同市与惣次=を静岡地裁に起訴した。 起訴状によると、3人は共謀して昨年3月22日、焼津漁港の魚市場で、冷凍カツオ約10・7トン(時価計約175万円)を必要な計量をせずに盗んだとされる。 関係者によると、盗んだカツオは鹿児島県内で売りさばいていたとみられる。
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焼津カツオ盗初公判 元社長否認「共謀ない」 静岡地裁
焼津市の水産加工会社が焼津漁港に水揚げしたカツオが流通段階で不正に抜き取られた事件で、窃盗の罪に問われた同市の水産加工会社の元社長の男の被告(61)=同市大村新田=や焼津漁業協同組合で水揚げ全般を仕切っていた元職員の男の被告(40)=同市東小川2丁目=ら5人の初公判が20日、静岡地裁(国井恒志裁判長)であった。元社長の被告は「共謀したことはなく、窃盗の実行行為をしたこともない」と起訴内容を否認し、弁護人は「盗品等有償譲り受けの罪が成立するのみ」と述べた。元職員の被告ら4人は起訴内容を認めた。 ほかに窃盗の罪に問われている3人は、水産加工会社の元役員の男の被告(48)=藤枝市藤枝4丁目=と、
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大自在(6月18日)袴田事件発生からまもなく56年
浜松市中心街で日課の散歩を楽しむ袴田巌さんを、久しぶりに見掛けた。静岡地裁の再審開始決定を受け、東京拘置所から釈放されて8年以上たつが、再審請求審は東京高裁で継続中。86歳となった今も立場は死刑囚のままである。 肩書は元プロボクサー。世界王者を夢見ていた時期もあったのではないか。ただ、袴田さんの現役時代と比べると、ベルトの価値は下がったような気もする。世界王座を認定する団体の数も、王座を目指して戦う体重別の階級も増えている。 数多くなった現役の世界王者が同じ体重で戦ったとしたら誰が一番強いのか。そんな視点でランキングを決める米国の専門誌が、バンタム級主要4団体のうち3団体の統一王者になっ
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基準外「アシスト自転車」注意を 普及進み事故急増 知らずに道交法違反も
新型コロナウイルス下で密を避けて移動したり、アウトドアを楽しんだりする人の増加を背景に、普及が進む「電動アシスト自転車」。静岡県内でもシニアや子育て世代、通勤通学者など幅広い層に利用が広がる一方で、同自転車による交通事故が急増している。モーターによる補助機能が日本の基準を超える海外製の車両が絡む事件なども発生し、県警は安全運転に加えて購入前の性能確認の徹底を呼びかけている。 「重荷があっても発進が安定し、子どもを乗せて買い物に行くのが楽」。静岡市駿河区の主婦(35)は、2020年に受給した新型コロナの特別定額給付金10万円を元手に電動アシスト自転車を買った。「短い距離なら自動車より小回りが
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静岡地裁に提訴「ヤミ金」事件 原告の10人、1千万円被害
指定暴力団稲川会東一家の元総長らが関与した「ヤミ金」事件を巡り、稲川会のトップとナンバー2を含めた4人に対し、静岡県内外の被害者10人が損害賠償を求めて静岡地裁に起こした訴訟で、原告の被害合計額は約1千万円に上ることが16日、県警組織犯罪対策課などへの取材で分かった。トップに加え、「代理監督責任がある」としてナンバー2まで訴えるのは全国的にも極めて珍しいという。組の複数の最高幹部の関与や責任を追及することで、資金源の剝奪効果を高める狙いがある。 訴えた相手は、稲川会トップの辛炳圭(通称・清田次郎)総裁(82)=川崎市川崎区=、稲川会ナンバー2の内堀和雄会長(69)=同=、ヤミ金行為を実行し
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スルガ銀被害弁護団 総会の来場方法で仮処分申し立てへ
スルガ銀行による投資用不動産の不正融資問題で、被害者救済に取り組んでいる弁護団は16日、同行による株主総会の来場事前登録と抽選を撤回するよう求める仮処分を近く、静岡地裁沼津支部に申し立てる方針を明らかにした。 同行の株主総会は29日に沼津市で開かれる予定で、被害者ら約300人が嵯峨行介社長の解任などを求める10議案を株主提案している。銀行側は今回から来場を事前登録とし、予定座席数を超えた場合は抽選とする案内を株主に通知した。弁護団は「株主の権利を制限する行為で受け入れることはできない。株主提案に対する妨害」と反発している。 一方、同行は「新型コロナウイルスの感染拡大防止が目的」と説明し、
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鹿児島県の元職員 露天風呂盗撮有罪 静岡地裁判決
露天風呂に入浴中の女性を盗撮したとして、県迷惑防止条例違反の罪などに問われた鹿児島市、元鹿児島県職員の男(41)=懲戒免職処分=の判決公判で静岡地裁は16日、懲役2年、執行猶予3年(求刑懲役2年)を言い渡した。 国井恒志裁判官は判決理由で、あらかじめ盗撮可能な場所を選んで高性能の機器を用意していたなどとして「非常に計画性の高い犯行」と指摘。自らの性欲を満たすためという動機についても「厳しい非難を免れない」と述べた。一方、カウンセリングを受けて再犯防止に努めていることなどから「社会内で更生機会を与えるのが相当」とした。 判決によると、被告は昨年5月、岐阜県内で仲間と一緒や単独で、露天風呂に
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伊東市初弁論で請求棄却求める 静岡地裁「いじめ」訴訟
伊東市役所を退職せざるを得なかったのは職場でのいじめが原因だとして、20代の元職員が市と上司、先輩職員2人を相手取り、慰謝料など440万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が16日、静岡地裁(菊池絵理裁判長)であった。被告側はいずれも請求棄却を求める答弁書を提出し、争う姿勢を示した。 訴状によると、元職員の男性は2018年4月に同市に採用された。19年1月に自殺未遂を起こし、混合性不安抑うつ障害と診断され、出勤できなくなった。20年4月に公務災害認定を受け、同6月に退職した。 元職員側は、配属された課で、直後から先輩職員の1人に日常的に暴行されたり、たばこの火を手に押しつけられたりしたと
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稲川会トップを提訴 「ヤミ金」事件の被害者ら 全国初
元指定暴力団稲川会東一家総長らが関与した「ヤミ金」事件の被害者約10人が16日、「使用者責任などがある」として稲川会トップの辛炳圭(通称・清田次郎)総裁(82)=川崎市川崎区=ら4人に損害賠償金の支払いを求める訴訟を静岡地裁に起こした。関係者によると、ヤミ金事件に絡み、使用者責任に基づいて指定暴力団稲川会のトップに賠償を求める訴訟は全国初という。 訴えた相手は辛総裁のほか、稲川会ナンバー2の内堀和雄会長(69)=同=、ヤミ金に関与したとして有罪判決を受けている稲川会の元2次団体東一家の70代総長=静岡市清水区=と40代幹部=同市葵区=の計4人。 原告側代理人は、県弁護士会民事介入暴力対策
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社説(6月16日)東名あおり判決 社会を挙げて根絶図れ
神奈川県の東名高速道路で2017年、あおり運転により静岡市清水区の一家4人を死傷させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた被告の男(30)の差し戻し裁判員裁判で、横浜地裁は求刑通り懲役18年の判決を言い渡した。 あおり運転は人命を危険にさらす犯罪行為との認識を改めて共有し、社会を挙げて根絶を図る契機としたい。事故の動機や背景にも注目し、今後の教訓とする必要がある。 事故は、被告のあおり運転を受け追い越し車線に停止していた家族のワゴン車に、後続のトラックが追突、帰宅途中だった夫婦が死亡し、同乗の娘2人もけがを負った。 判決は最大の焦点だった危険運転致死傷罪の成
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ワカメ産地偽装社長、有罪判決「消費者の信頼損なう」 静岡地裁
鳴門産ワカメと偽って外国産のワカメを販売していたとして、不正競争防止法違反と食品表示法違反の罪に問われた静岡市葵区の水産物加工卸業「黒汐の華」社長の男(80)=同区田町4丁目=の判決公判で静岡地裁は14日、懲役10月、執行猶予3年(求刑懲役10月)を言い渡した。 谷田部峻裁判官は判決理由で「一般消費者の食品表示に対する信頼を大きく損なった犯行で、社会に与えた影響も大きい」と指摘。「自社の利益を守ろうとしたという動機は自己中心的かつ身勝手」と述べた。その上で、罪を認めて反省している点などを考慮した。 判決によると、被告は同社の工場責任者の70代女性と共謀し、2021年11月、外国産のワカメ
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社説(6月15日)島根再稼働同意 住民避難 実効性あるか
島根県の丸山達也知事が、中国電力島根原発2号機(松江市)再稼働への同意を表明したことで、地元同意の手続きが整った。2号機は早ければ2023年度にも再稼働する可能性が出てきた。 島根2号機は、過酷事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型炉(BWR)。原子力規制委員会の新規制基準への適合審査に合格したBWRはほかにもあるが、再稼働した原発はまだない。他原発の状況次第では島根原発でBWRが初めて動く。中部電力が再稼働へ申請中の浜岡原発3、4号機(御前崎市)も同じBWRだ。島根原発の動向は目が離せない。 審査に合格し、所定の手続きが終了したとしても、住民避難の面で課題は残る。島根原発は全
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歯科医に懲役2年6月求刑 無免許医療行為 静岡地裁沼津支部
歯科医師免許を持たない歯科助手に医療行為をさせ、患者に診療費を水増し請求していたとして歯科医師法違反と詐欺の罪に問われた歯科医師の男(68)=沼津市上土町=と歯科助手の女(39)=富士市富士町=両被告の論告求刑公判が8日、静岡地裁沼津支部(谷本奈央裁判官)で開かれた。検察側は歯科医師の男に懲役2年6月、罰金80万円、歯科助手の女に懲役1年6月、罰金30万円を求刑した。 検察側は論告で、歯科医師の男が多額の負債を抱えて厳しい経営状況の中、主導的に犯行に及んだと指摘。「違法行為で利益を得ようとした身勝手な利欲的動機にくむべき事情はない。患者の信頼を裏切る悪質な犯行」と述べた。両被告の弁護人は「
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静岡地裁管内 傍聴席制限を撤廃 13日から
静岡地裁は、新型コロナウイルスの感染防止対策として実施してきた傍聴席の制限を13日から撤廃する。支部や簡裁を含め、全席を使えるようにする。 これまで「1席空け」を続けてきた。今後も傍聴に際してマスクの着用や消毒の徹底への協力を求める。 最高裁は5月、全席使用を検討するよう全国の裁判所に通知していた。
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御殿場市立小教諭 酒気帯びで罰金40万円 沼津簡裁が略式命令
沼津区検は8日までに、道交法違反の罪で御殿場市立小の男性教諭(64)=同市=を略式起訴した。沼津簡裁は罰金40万円の略式命令を出した。 略式命令などによると、教諭は4月1日午前0時25分ごろ、同市内の市道で乗用車を酒気帯び運転した。
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県立高飛び降り控訴 静岡地裁判決、原告の元生徒側
静岡県中部の県立高校に通っていた2016年に校舎3階から飛び降りて負傷したのは、男性教員による執拗(しつよう)な叱責(しっせき)で急性ストレス反応が起きたのが原因だったとして、当時2年生だった県中部の女性(22)が県などに550万円の損害賠償を求めた訴訟で、女性側が7日、県に220万円の支払いを命じた静岡地裁判決について、主張が一部しか認められず不服だとして東京高裁に控訴した。代理人弁護士への取材で分かった。 5月26日の静岡地裁判決によると、女性は他の生徒と研究班を組み、男性教員から指導を受けていた。女性は16年10月1日、私用と重なったことを理由に3日夕方からの研修を欠席したいと男性教
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生活保護引き下げ「生きていけない」 静岡、訴訟原告が会見
2013年からの生活保護費の基準額引き下げは生存権を保障する憲法に違反しているとして、裁判を起こしている県内の受給者らが7日、県庁で会見し「このままでは生きていけない」と引き下げの取り消しを訴えた。 生活保護制度は、生活困窮者に生活費を支給し自立を促す仕組み。厚生労働省が決める基準額に満たない収入の不足分が支給される。基準額は性別、居住地域や家族の人数などの条件で異なる。 原告は、基準額引き下げの根拠とする物価の動向を厚労省が恣意(しい)的に利用したことや、被保護者の生活実態を十分に調べなかったとして生活保護法に違反する―と主張。生活保護制度を運用し、被保護者の暮らしを知る福祉事務所が同
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東名あおり 危険運転認定に遺族安ど 裁判長期化に苦言も
神奈川県大井町の東名高速道路で2017年、あおり運転で停止させられたワゴン車にトラックが追突して静岡市清水区の一家4人が死傷した事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた男(30)に対して6日、差し戻し前の一審判決と同様、懲役18年を言い渡した横浜地裁の差し戻し審判決。遺族は「裁判所はちゃんと判断してくれた」と静かに受け止めた。ただ、被告側が控訴する考えを示し、裁判はさらに長期化する見通しになった。 静岡市清水区の男性=当時(45)=と妻=同(39)=が犠牲となり、娘2人がけがを負った。判決公判には男性の兄2人と妻の父親が足を運び、危険運転致死傷罪の成立を認めた裁判
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東名あおり差し戻し、男に懲役18年判決
神奈川県大井町の東名高速道路で2017年、あおり運転で一家4人のワゴン車を停止させ、後続車の追突事故で死傷させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた男(30)の差し戻し裁判員裁判で、横浜地裁(青沼潔裁判長)は6日、求刑通り懲役18年の判決を言い渡した。判決は、危険運転致死傷罪の成立を認めた。 公判では危険運転致死傷罪の成否が最大の争点となった。検察側は、危険な速度で移動しながらワゴン車の前で減速を繰り返したとして、同罪が成立すると指摘。弁護側は、被告の運転と事故の因果関係はないとして無罪を主張した。
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複数校侵入、備品盗んだ男に有罪判決 静岡地裁
静岡市内の複数の学校で学習机などを多数盗んだとして、建造物侵入と窃盗の罪に問われた同市葵区田町3丁目、無職の男(28)の判決公判で、静岡地裁は3日、懲役2年、執行猶予4年(求刑懲役2年)を言い渡した。 谷田部峻裁判官は判決理由で、学生時代の気持ちを思い出したり、学校を舞台にしたアニメの世界観を再現したりしたいという動機を「自己中心的」と批判。短期間に類似の犯行に及んだとして「常習性が認められ、規範意識は乏しい」と述べた。一方、社会的制裁を受けているなどとして執行猶予が相当とした。 判決によると、被告は昨年10~11月、静岡高の体育館から机など4点を盗んだほか、静岡英和女学院中・高の体育館
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盗撮で教員追起訴 静岡地検
静岡地検は3日、児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪で、裾野市麦塚、同市立富岡中教諭の男(35)=同罪で起訴=を静岡地裁に追起訴した。 起訴状によると、被告は2019年9月5日、県内の宿泊施設で、入浴中の少女数人をビデオカメラで盗撮したとされる。 一方、地検は、静岡市内で10代の少女2人を誘拐したとする被告の未成年者誘拐容疑については不起訴処分とした。同被告と一緒に同容疑で逮捕された富士市の男性消防職員(40)も不起訴処分にした。理由は明らかにしていない。
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大自在(6月4日)津波対策
東京・虎ノ門の気象科学館を訪れると、フロア中央に津波シミュレーターが設置されていた。細長い水槽の端で波を起こし、それがもう一方の端にある岸辺と建物模型に押し寄せる仕掛けだ。建物脇には小型カメラもあって水際目線で見ることもできる。 かつて静岡県地震防災センター(静岡市葵区)にも似た実験装置があったので、それを見たことがある人もいるだろう。単純な造りだが、東日本大震災の津波映像を見た後では、波が迫ってくる姿が重なった。 北海道電力が再稼働を目指す泊原発(北海道泊村)の安全性が問われた訴訟の判決で、札幌地裁は津波対策の不備を理由に運転差し止めを命じる判決を言い渡した。現在の防潮堤は地盤の液状化
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社説(6月4日)泊原発差し止め 津波対策「最悪」想定で
北海道電力が再稼働を目指す泊原発(北海道泊村)1~3号機の安全性が問われた訴訟の判決で、札幌地裁は「津波に対する安全性の基準を満たしていない」として、3基の運転差し止めを命じた。 2011年3月の東京電力福島第1原発事故を踏まえれば、津波対策は最優先課題で、事業者は常に「最悪」の事態を想定した安全対策が欠かせない。津波の危険性と対策の重要性を再確認する必要がある。 3基とも福島原発事故の後に定期検査入りして、そのまま停止している。13年7月、事故の教訓を踏まえて策定された原発の新規制基準施行と同時に、北海道電は原子力規制委員会に再稼働に向けた審査を申請した。 提訴は11年11月。北海道
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リニア工事訴訟 原告が意見陳述 静岡地裁
リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う流量減少問題を巡り、大井川流域の住民らがJR東海を相手取り、県内工区(10・7キロ)の工事差し止めを求めた訴訟の第6回口頭弁論が3日、静岡地裁(増田吉則裁判長)であった。菊川市で米や野菜を作っている原告の鴨川登さんが「農業を営むことができているのは、大井川の水があってこそ」などと意見陳述した。 弁論終了後の進行協議では、増田裁判長から原告側に対し、専門家を証人尋問する考えがあるかや具体的な候補者がいるかどうかの質問があったという。次回は9月9日で、次々回は11月25日。
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息子の自殺ほう助 愛知の父親を起訴 静岡地検沼津支部
静岡地検沼津支部は2日、沼津市戸田の展望地「出逢い岬」付近で心中を図ろうと息子を殺害したとして、殺人容疑で逮捕、送検された愛知県岡崎市、無職の男(64)について、自殺ほう助の罪で静岡地裁沼津支部に起訴した。地検支部は「捜査を遂げた結果」としている。 起訴状などによると、被告は4月15日午後6時ごろから同7時ごろまでの間に、沼津市戸田の駐車場で、同居する無職の息子=当時(31)=の首に電源コードを巻き付けた上で、首をつらせて窒息死させ、自殺をほう助したとされる。被告は送検後に一時、勾留停止になっていた。
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推定1000万円超の利益 沼津の盛り土、被告に懲役1年求刑
無許可で盛り土を繰り返したとして沼津市土砂埋立て等規制条例違反の罪に問われた同市柳沢、建設業の男(85)に対する1日の静岡地裁沼津支部初公判で、検察側は、被告は5年ほど前から、旧知の業者の依頼で2トンダンプ車1台分の土砂を2千円で受け入れるなどして、これまでに推定1千万円以上の利益を得ていたことを明らかにした。 裁判は即日結審し、検察側は懲役1年を求刑、弁護側は執行猶予付き判決を求めた。判決は22日に言い渡される。 論告で検察側は、再三にわたり市からの指導や命令を無視し盛り土を繰り返した行為は「強固な犯意に基づく犯行で悪質。土砂が崩れ落ちる危険性も高く、周辺住民に与えた不安は大きい」と述
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無許可盛り土認める 建設業の男初公判 静岡地裁沼津支部
無許可で盛り土を繰り返したとして、沼津市土砂埋立て等規制条例違反の罪に問われた同市柳沢、建設業の男(85)の初公判が1日、静岡地裁沼津支部(室橋秀紀裁判官)で開かれた。被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。 起訴状などによると、被告は2019年1月18日ごろから21年12月28日ごろまでの間、沼津市長の許可を受けず、同市宮本の市街化調整区域約1325平方メートルに高さ3・9メートルから18・5メートルの盛り土をしたとされる。同条例では、市街化調整区域の面積500平方メートル以上かつ盛り土の高さ1メートル以上の事業は、市長の許可を必要としている。 市は19年4月、市条例に基づき被告
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「退職は職場のいじめ原因」元伊東市職員 市を提訴 静岡地裁
伊東市役所を退職せざるを得なかったのは職場のいじめが原因だとして、20代の元職員が31日までに、市と上司、先輩職員2人を相手取り、慰謝料など440万円の損害賠償を求める訴えを静岡地裁に起こした。 訴状によると、元職員の男性は2018年4月に伊東市に採用された。19年1月に自殺未遂を起こし、混合性不安抑うつ障害と診断され、以降は出勤できない状態が続いたとしている。20年4月に公務災害認定を受け、同6月に退職した。 元職員側は、配属された課で、直後から先輩職員の1人に日常的に暴行されたり、たばこの火を手に押しつけられたりしたと主張。上司だった課長は止めるどころかいじめに加担し、激辛焼きそばを
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安全性判断注目すべき 川勝知事コメント 泊原発運転差し止めの札幌地裁判決
川勝平太知事は31日、北海道電力泊原発の運転差し止めを命じた札幌地裁判決に関し「原発の安全性について司法が判断を示したものであり、注目すべきものと受け止めている」とのコメントを発表した。 「安全性や運転の可否は発電所ごとに判断すべき」とした上で、原子力規制委員会が新規制基準への適合性を審査中の中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)については「国に対して厳正な審査を求めるとともに、中部電力に対して安全確保の徹底を求めていく」と指摘した。
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滋賀・日野町事件 捜査の問題点指摘 浜松で弁護団長講演
滋賀県日野町で1984年に発生した強盗殺人事件の第2次再審請求審の弁護団長、伊賀興一弁護士(大阪弁護士会)が28日、浜松市中区のクリエート浜松で講演し、冤罪(えんざい)を生み出す捜査の問題点や再審制度の課題について語った。 事件で無期懲役刑が確定し、服役中に死亡した阪原弘元受刑者の遺族が裁判のやり直しを求めている。大津地裁が2018年、捜査段階での自白の信用性や任意性を否定し、再審開始を決定。検察が即時抗告し、大阪高裁で審理が続いている。 伊賀弁護士は、捜査機関が自白とつじつまを合わせるため、犯行を再現させる「引き当て捜査」の写真をすり替えたなど、再審請求審で分かった問題を紹介。「阪原さ
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電動自転車「原付」と判断 静岡地検、危険運転致傷で男起訴
静岡市駿河区の歩道で4月、自転車に衝突された男性が重傷を負ったひき逃げ事件で、静岡地検は27日、傷害と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで逮捕、送検された同市清水区の会社員の男(35)について、罪名を自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)と道交法違反(ひき逃げ)に切り替えて静岡地裁に起訴した。地検は被告が乗っていた電動アシスト自転車が原動機付き自転車(原付)に当たると判断した。 起訴状によると、被告は4月18日午後8時5分ごろ、静岡市駿河区国吉田の国道1号沿いの歩道で原付を運転し、同市葵区の男性会社員が乗った自転車を妨害しようと、重大な交通の危険を生じさせる速度で追い抜きながら著しく接近して衝突さ
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浜松・旧優生保護法訴訟 原告「被害救済を」高裁判決踏まえ主張
旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強いられたのは憲法違反だとして、浜松市の視覚障害者武藤千重子さん(73)が国に損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が23日、静岡地裁浜松支部(佐藤卓裁判長)で開かれた。原告側は準備書面で、同種の訴訟で国に損害賠償を命じた高裁判決を踏まえ、被害救済を訴えた。 2月の大阪高裁判決と3月の東京高裁判決は、不法行為から20年間で損害賠償請求権が消滅する民法の規定「除斥期間」を、権利侵害の重大性などを考慮して適用せず、原告の請求を認めた。武藤さんの弁護団は両判決を引用し、「除斥期間の適用は正義・公平に反する」と訴えた。 除斥期間の起算点についても「違法状態の
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袴田さん差し戻し審 7、8月に証人尋問 東京高裁
旧清水市(静岡市清水区)で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定した袴田巌さん(86)の第2次再審請求審で、東京高裁は23日、7、8月に計5人の証人を尋問する日程を示した。追って正式に決める。同日、高裁と東京高検、弁護団による3者協議が開かれ、終了後に弁護団が記者会見して説明した。 袴田さんの犯行着衣とされるシャツなど「5点の衣類」は事件から1年2カ月後に現場のみそタンクで見つかり、血痕の色は当時の捜査資料に「濃赤色」と書かれていた。弁護団は高裁での差し戻し審で、みそ漬けの血液が黒色化するメカニズムを化学的に示し、長期間みそに漬かると「血液の赤みは残らない」と
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熱海土石流損賠訴訟 遺族ら原告側、静岡県と市に補助参加要請
熱海市伊豆山で昨年7月に発生した大規模土石流を巡り、遺族や被災者が土石流の起点となった盛り土を含む土地の現旧所有者らに損害賠償を求めた訴訟で、原告側は23日、静岡県と市に対し原告側を補助する「補助参加人」の立場で参加するよう要請した。 県には原告の1人で被害者の会の瀬下雄史さん(54)が難波喬司理事に電話で参加を求めた。県は「まだ訴訟告知書が届いていないのでコメントできない」とした。原告側は、市から補助参加の意向があったことを明らかにしているが、市幹部は取材に、県と同様に告知書が届いていないとした上で「まだ決まっていない」と話した。 現所有者側は第1回口頭弁論が行われた18日、県と市、斉
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城北公園整備巡り静岡市長を提訴 住民、協定差し止め求め
静岡市が民間資金を活用して同市葵区の城北公園にカフェや駐車場を整備する事業を巡り、市民12人が20日、田辺信宏市長を相手取り、市と民間事業者による実施協定の締結差し止めを求める住民訴訟を静岡地裁に起こした。別の市民1人も19日に提訴している。 訴状で原告側は、事業について「市民参画条例を無視し、事業者の都合を優先して勝手に進めている」と指摘。駐車場の整備も条例に違反し根拠がなく、実施協定が締結されると違法な公金が支出されるとした。 19日に田辺市長を提訴した市民は、公金支出の差し止めなども求めている。いずれの原告も「市は市民の知らないところで計画を進めてきた」などと訴えた。 整備事業は
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盗撮・ポルノ製造 中学教諭を起訴 静岡地検
脱衣中の女子中学生を盗撮し、児童ポルノを製造したとして静岡地検は19日、児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪で裾野市麦塚、同市立富岡中の教諭(35)を静岡地裁に起訴したと発表した。 起訴は17日付。起訴状などによると、被告は昨年11月17日、山梨県の宿泊施設の脱衣所で、静岡県外在住の女子中学生数人が18歳未満と知りながら着替え中の様子を盗撮し、児童ポルノを製造したとされる。
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熱海土石流訴訟、争点は 審理長期化の見通し、弁護士が解説
18日に第1回口頭弁論が行われた熱海市伊豆山の土石流災害を巡る損害賠償請求訴訟の争点となりそうなポイントについて、日本弁護士連合会災害復興支援委員会副委員長の永野海弁護士(静岡県弁護士会)に解説してもらった。 盛り土の施工事業者に対しては、民法709条の不法行為責任追及となり、施工に問題があったことの立証だけでなく、盛り土が土石流として流出することを予見できたかが大きな争点となります。 過去の裁判例(飛騨川バス転落事故、名古屋高裁判決1974年)では、当該災害の具体的な発生予測ができたかどうかまでは求めておらず、予見可能性の立証のレベルを緩和していることも参考になります。また、自然災害の
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被告は行政の責任指摘 熱海土石流損賠訴訟、初弁論
熱海市伊豆山の土石流災害を巡り、遺族ら84人が起点の盛り土を含む土地の現旧所有者らに計約58億円の損害賠償を求めた訴訟は18日、静岡地裁沼津支部で審理が始まった。熱海市議会の調査特別委員会(百条委員会)では関係者による証言の食い違いが際立つ中、原告団は訴訟を通じた真相解明に期待を掛ける。一方、被告の現所有者(85)は同日、行政の責任を指摘して訴訟への参加を促す「訴訟告知」を行った。 被告は土地の現旧所有者のほか、盛り土の造成工事に関わった業者ら計13個人・企業。このうち訴状が送達できていない2被告を除き、いずれも請求棄却を求め争う姿勢を示した。現所有者が訴訟告知を行ったのは県と熱海市、同市
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モニュメント損壊、南伊豆の男に有罪 静岡地裁下田支部
南伊豆町が設置したモニュメントなどをスプレー式塗料で汚したとして、器物損壊の罪に問われたデザイナーの男(77)=同町一条=の判決公判で、静岡地裁下田支部は18日、懲役1年、執行猶予3年(求刑懲役1年)を言い渡した。 竹内幸伸裁判官は被告が損壊を「デザイン修正」と主張している点について、「犯行動機は身勝手というほかない」と断じた。判決理由で「反省する様子がなく、再犯の恐れも否定できない」とした一方、被告自身が高齢である点などを執行猶予を付した理由に挙げた。 判決によると、被告は2021年3月19日に町内で町設置のモニュメントを汚し、同23日ごろから30日ごろまでの間には町内で町所有の看板も
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1歳児に熱湯 懲役2年判決 地裁沼津支部
同居する交際相手の女性の息子=当時(1)=に熱湯を浴びせやけどを負わせたとして、傷害の罪に問われた富士市原田、工員の男(26)の判決公判で静岡地裁沼津支部は18日、懲役2年(求刑懲役3年6月)を言い渡した。 谷本奈央裁判官は判決理由で「自分の身を守ることのできない幼い児童に対し、一方的に熱湯を掛けた動機に酌量の余地はなく、犯行は卑劣かつ残忍」と指摘。やけどは広範囲に及び、皮膚移植を受けたとし「生じた結果は重大。刑事責任は重い」と述べた。 判決によると、被告は2021年7月18日、自宅の浴室で男児にシャワーで熱湯を浴びせ続ける暴行を加え、全治約2カ月のやけどを負わせた。
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原告涙の訴え「悪質な人災、責任を転嫁」 熱海土石流訴訟初弁論
熱海市伊豆山の土石流災害を巡り、遺族と被災者らが起点の盛り土部分を含む土地の現旧所有者らに総額約58億円の損害賠償を求めた訴訟の18日の静岡地裁沼津支部初弁論。遺族や被災者でつくる「被害者の会」会長の瀬下雄史さん(54)=千葉県=が意見陳述し「違法盛り土の土石流は悪質な商行為による人災。被告たちは全員、責任転嫁論を展開している」と現旧所有者の責任を指摘した。 瀬下さんは法廷で、事前に用意した意見陳述書をはっきりとした口調で読み上げた。20年ほど前、瀬下さんの両親は風光明媚(めいび)な伊豆山の景色に引かれ移り住んだが、穏やかな生活は突然の災害により奪われた。土石流に巻き込まれた母陽子さん=当
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初弁論 現旧所有者ら争う姿勢 熱海土石流損賠訴訟
熱海市伊豆山の土石流災害を巡り、遺族と被災者ら84人が、起点の盛り土部分を含む土地の現旧所有者らに計約58億円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が18日、静岡地裁沼津支部(古閑美津恵裁判長)であり、現旧所有者ら被告側は請求棄却を求めて争う姿勢を示した。現所有者側は「盛り土が崩落して土石流が生じる危険性を予見することなどできず、過失は認められない」と強調した。 旧所有者らは詳しい主張を追って行うとしている。 土石流災害は2021年7月3日に起きた。災害関連死を含め27人が死亡し、1人が行方不明になっている。遺族ら70人が同9月、違法な盛り土が原因の「人災」だとして、起点部分の土地の現旧
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旧天竜林高事件再審請求 開かれた審理で真実を【風紋】
旧天竜林高(浜松市天竜区)を舞台にした大学推薦入試の調査書改ざん・贈収賄事件の再審請求審で、1月末に検察から開示された新証拠をめぐり、審理の行方に注目が集まっている。「贈収賄は事実無根」と訴え、共に再審を求めている北川好伸元校長と中谷良作元天竜市長の両代理人は、新たな展開を受けて「裁判のやり直しは必至」と主張する。公正な証拠開示を踏まえた、真実の究明を求めたい。 新証拠は中谷元市長への警察の取り調べメモ計318枚。1日ごとに手書きとワープロ打ちの文書がセットとなっている。これにより、任意段階からの取り調べの詳細が初めて明らかになった。 検察は取り調べメモについて一貫して「ない」と説明して
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除草剤散布で訴訟 小山町側争う姿勢 地裁沼津支部
小山町が所有する緑地帯に周辺住民への告知なく除草剤を散布し健康被害を受けたなどとして、同町の住民が、町と大森康弘副町長、町職員に治療費など約1万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が17日、静岡地裁沼津支部(五島真希裁判官)で開かれた。町側は請求棄却を求める答弁書を提出し、争う姿勢を示した。 訴状などによると2021年8月、大森副町長が職員に「個人的な依頼」として、同町一色の緑地帯両側に全長約1・8キロ、幅約1メートルにわたり除草剤を散布したとしている。原告は散布を知らず同所を散歩し、飼い犬がけいれんを起こし動物病院を受診したほか、原告も下痢や皮膚疾患などに悩まされているという。原告側
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熱海土石流集団訴訟 18日初弁論 主張対立、長期化か
熱海市伊豆山の土石流災害を巡り、遺族と被災者ら計84人が、起点の盛り土部分を含む土地の現旧所有者らに計約58億円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が18日、静岡地裁沼津支部で行われる。現旧所有者は請求棄却を求めて争う方針。被告の間でも主張や利害が対立するため、審理が長期化する可能性がある。 土石流災害は昨年7月3日に起きた。災害関連死を含め27人が死亡し、1人が行方不明になっている。遺族ら70人が同9月、違法な盛り土が原因の「人災」だとして、起点部分の土地の現旧所有者や造成に関わった事業者ら12の個人・企業を提訴した。今年2月、さらに遺族14人が原告に加わり、現所有者が設立した企業1社
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時論(5月14日)村越化石 郷里の句碑20年
蛇笏[だこつ]賞、紫綬褒章などを受け、2014年に91歳で死去した俳人村越化石は今年、生誕100年。郷里の藤枝市は記念行事を実施している。 生家近くの「玉露の里」に立つ句碑はこの冬、建立20年になる。化石は除幕式に招かれ、ハンセン病国立療養所から60年ぶりに3日間だけ帰郷した。 経緯は建立記念誌「大龍勢」、藤枝市制作のDVD「心眼」に詳しい。 帰郷後の第8句集「八十路[やそぢ]」(07年)の巻末に、師の大野林火(1904~82年)が化石の半生と作品を解説した文章(79年)が転載された。林火先生にすべて明かしたこれをもって自伝とする、という強い思いを感じる。 50歳を前に光を失い、最晩
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学校備品盗事件 男に懲役2年求刑 静岡地裁公判
静岡市内の複数の学校で学習机などが多数盗まれた事件で、建造物侵入と窃盗の罪に問われた同市葵区田町3丁目、無職の被告(28)の第2回公判が11日、静岡地裁(谷田部峻裁判官)であり、被告は昨年11月に同市駿河区の城南静岡中・高に侵入して備品を盗んだとする追起訴内容を認めた。検察側が懲役2年を求刑し、結審した。 論告で検察側は、夜間に学校に忍び込む手口を「大胆で悪質」と指摘した。その上で常習的な犯行だったとして「規範意識が著しく鈍麻している」と強調した。一方、弁護側は執行猶予付きの判決を求めた。 起訴状によると、被告は昨年10月、静岡高の体育館から机など4点を盗んだほか、静岡英和女学院中・高の
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ベトナム人2被告 身代金要求で有罪 地裁沼津支部判決
監禁や拐取者身代金要求などの罪に問われたいずれもベトナム国籍の富士市、技能実習生の男(24)と住所不定、無職の男(24)両被告の裁判員裁判の判決公判で、静岡地裁沼津支部は10日、技能実習生の男に懲役2年6月、執行猶予4年(求刑懲役4年)、無職の男に懲役2年10月、執行猶予5年(求刑懲役5年6月)を言い渡した。 野沢晃一裁判長は判決理由で、事件は技能実習生の男と被害者との金銭トラブルがきっかけで、共犯者の中でも無職の男は身代金要求の中心的な役割を担ったと指摘した。 判決によると、両被告は仲間と共謀し、2020年12月、同国籍で富士市在住の男性技能実習生=当時(31)=をつくば市内のアパート
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焼津カツオ抜き取り事件 静岡地検が2人追起訴
焼津漁港に水揚げされたカツオが流通段階で抜き取られた事件で、静岡地検は9日、窃盗の罪で焼津市本中根、契約社員の被告(47)と同市田尻北、会社員の被告(43)を静岡地裁に追起訴した。 起訴状によると、両被告は焼津市の運送会社「焼津港湾」の運転手だった昨年4月30日午前、同市内の水産加工会社「カネシンJKS」の元社長らと共謀し、焼津漁港の魚市場で冷凍カツオ計約4トン(計約74万円相当)を盗んだとされる。2人は別事件で既に、窃盗の罪で起訴されている。
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死亡事故で起訴 職員停職6カ月 三島市
三島市は28日、昨年11月に乗用車で歩行者をはねて死亡させたとして、3月に静岡地裁沼津支部に自動車運転処罰法違反(過失運転致死)の罪で起訴された人事課付職員(35)を同日付で停職6カ月の懲戒処分にしたと発表した。 職員は昨年11月1日に乗用車で帰宅する途中、信号機のある交差点で横断歩道上の歩行者と衝突し、死亡させたとされる。起訴されるまでは通常通り勤務し、4月に人事課付に異動になった。市は「痛ましい事故が二度と起こらないよう常に細心の注意を払い、自覚して行動するよう注意喚起と周知徹底を図っていく」としている。
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男児へ熱湯、被告に懲役3年6月求刑 地裁沼津支部初公判
同居する交際相手の女性の息子=当時(1)=に熱湯を浴びせてやけどを負わせたとして、傷害の罪に問われた富士市原田、工員の男(25)の初公判が27日、静岡地裁沼津支部(谷本奈央裁判官)で開かれ、被告は起訴内容を認めた。検察側は懲役3年6月を求刑し、即日結審した。 検察側は論告で、被告が日頃募らせていた鬱憤(うっぷん)を晴らそうと八つ当たりしたと指摘。至近距離から継続的に熱湯をかけたとして「残酷で執拗(しつよう)、極めて悪質」と述べた。弁護側は「反省していて再犯の可能性は低い」と執行猶予付きの判決を求めた。 起訴状などによると、被告は2021年7月18日、自宅の浴室で男児にシャワーで熱湯を浴び
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静岡市マスク配布 弁護士、田辺市長相手に費用請求求め提訴
静岡市が田辺信宏市長の名前と似顔絵入りのマスクを高校生に配ったのは違法として、同市の藤森克美弁護士が26日、田辺市長を相手にラベル費用約2万6千円を田辺市長自身と市職員に請求するよう求める訴えを静岡地裁に起こした。 市は1月、新型コロナウイルス対策を呼び掛ける目的で市内の高校生にマスクを配布。売名行為との誤解を招く恐れがあるとして直後に回収した。藤森弁護士は2月、公選法に違反するとして住民監査請求をしたが、今月棄却されていた。 藤森弁護士は訴状で「血税を使って売名行為をし、二重に悪質。断じて許容できない違法行為」とした。
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元校長側、新たな補充書提出 旧天竜林高事件再審請求
旧天竜林高(浜松市天竜区)で起きた調査書改ざん・贈収賄事件で、再審請求中の元校長の男性(74)の弁護団が20日、贈収賄の事実を否定する新たな申立補充書を最高裁に提出した。元校長と弁護団は都内で行った記者会見で「重要な証拠が開示されないまま言い渡された原決定(東京高裁の抗告棄却決定)の破棄は必至である」と訴えた。 最高裁への申立補充書は4通目。1月に検察が開示した元天竜市長の男性(89)に対する取り調べメモを分析し、贈収賄の事実が自白や目撃証言の誘導によって捏造(ねつぞう)されたと主張した。 弁護団によると、取り調べメモには同校で2度目の現金授受があったとされる日の元市長の行動履歴が示され
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町長らに費用請求、住民側の敗訴確定 長泉・火葬場整備訴訟
長泉町が裾野市と共同整備した新火葬場整備事業は違法だとして、住民有志「長泉町民のための火葬場を考える会」が町に対し、負担金の一部662万円を前町長と現町長に請求するよう求めた訴訟で、最高裁第2小法廷は20日までに、原告側の上告を受理しない決定をした。15日付。原告側の請求を棄却する一審、二審判決が確定した。 一、二審判決によると原告側は火葬場の建設について、遠藤日出夫前町長が虚偽説明をして、共同運営案へと町議会を誤導したなどと主張していた。二審判決では「町議会の議決に違法、無効となる事由はない」と判断した。
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三島死亡事故 被告争う姿勢 地裁沼津支部初弁論
三島市内で2019年、赤信号で交差点に進入した乗用車が同市の会社員=当時(50)=のミニバイクと衝突して死亡させた事故で、遺族が車を運転していた被告の女性らに約7300万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が20日、静岡地裁沼津支部(古閑美津恵裁判長)で開かれた。被告側は請求棄却を求める答弁書を提出し、争う姿勢を示した。 被告は自動車運転処罰法違反(過失致死)の罪に問われて昨年、同地裁支部で禁錮3年、執行猶予5年の判決を受けて確定した。訴状によると、被告は赤信号を見過ごしたまま時速約50キロで交差点に進入し、ミニバイクと衝突した。原告側は刑事裁判の初公判まで信号無視を認めず、会社員に事
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浜岡原発廃炉訴訟 中電次回反論へ 原告「断層」主張に4年超で初
中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)の廃炉などを求めた訴訟の第49回口頭弁論が19日、静岡地裁(菊池絵理裁判長)で開かれた。原発敷地内の地盤に活断層が存在するとする原告のこれまでの主張に対し、中電側は次回期日の7月19日に、初めて反論する方針を示した。 原告側から「A-17」断層についての準備書面提出や陳述がされてから約4年9カ月が経過。この間、中電側は「新規制基準適合審査の状況を踏まえて断層の活動性の評価が固まった段階で主張を行う」として、明確な認否や反論はしていない。 菊池裁判長から断層の評価の進捗(しんちょく)を問われた中電側は「(次回期日で)部分的になるが反論したい」と述べた。同社の
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静岡市役所で窃盗 職員「記憶にない」 静岡地裁初公判
静岡市役所静岡庁舎で職員の机から現金を盗んだとして窃盗の罪に問われた伊豆市熊坂、静岡市職員の男(39)の初公判が19日、静岡地裁(谷田部峻裁判官)で開かれた。被告は罪状認否で「記憶にはありません」と述べた。 被告は「事件について否定するものではなく、本当に記憶がありません」と主張した。弁護人は「責任能力の段階で議論したい」と考えを示した。 検察側は冒頭陳述で、被告が仕事を終えて帰宅した後、夜に同庁舎に戻り犯行に及んだと指摘。机内のコインケースから硬貨を抜き取り、気付かれにくいようにそろえ直したとした。付近に設置された小型カメラに被告が映っていたことも明らかにした。 起訴状などによると、