あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 裁判しずおか

大自在(7月11日)白か黒か

 死刑判決が確定した袴田巌さんの再審公判を巡り10日、検察側が静岡地裁に有罪立証の方針を伝えた。東京高裁は3月、捜査機関が証拠を捏造[ねつぞう]した可能性にまで言及し再審を決定。その経緯を顧みれば、白か黒かの決着にこれ以上時間を費やすのかと違和感が拭[ぬぐ]えない。
 こちらの白黒も気になる。発生から2年たった熱海土石流。崩落した盛り土周辺の開発行為に関する行政対応文書について、元はカラーだった文書を白黒化し、一部判読できない状態で公表されていた問題は、県による釈明が二転三転し訳が分からない。
 問題の文書は、土石流の起点となった逢初[あいぞめ]川上流域から泥水が流れ出したことを受け、県が現地調査した2007年4月の記録と写真。本紙の請求に応じ今年2月に開示された。
 県側は当初、ホームページ掲載にあたり、カラー文書はデータ量が大き過ぎるため白黒化したと説明。本紙記者の取材で、カラーでも掲載可能と分かると「担当者の思い込み」に転じた。文書を保管していた県熱海土木事務所によれば「白黒コピーを複数回行い、画像処理は一切していない」。ところが専門家への取材で、白黒コピーしただけでは開示文書のような状態にはならないことも判明した。
 当該文書は、県が行政対応を検証するため設置した第三者委員会に提出されていなかったことも分かった。「見落とし」が原因らしい。説明が事実なら、重要な検証作業に及ぼした影響に比してあまりに軽い。
 何のための検証か。根本に立ち返り、一つ一つの「なぜ」に白黒をと求めたい。

▶ 追っかけ通知メールを受信する

裁判しずおかの記事一覧

他の追っかけを読む