的確な訴訟指揮を要請 袴田さん弁護団、静岡地裁に意見書、出頭の免除も
現在の静岡市清水区で1966年に一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判の進め方を巡り、弁護団は25日、新たな意見書を静岡地裁(国井恒志裁判長)に提出した。静岡地検に速やかに立証方針を明らかにさせるための訴訟指揮と、袴田さんの公判への出頭免除を地裁に求めた。29日の次回3者協議で議論する。
弁護団は意見書で、前回の協議で検察官が立証方針の決定に3カ月かかるとしたことについて「裁判長は説明を検察官に求めることもなく、当然であるかのような対応をした」と抗議。迅速な裁判を受ける権利を無視していると批判し、的確な訴訟指揮を促した。また、袴田さんの公判出頭義務を免除することも要請。精神科医の診断書を踏まえ「出頭の強制は恐怖でしかなく、強制による不安を完全にかつ早期に打ち消してあげるべきだ」と強調した。
小川秀世事務局長は取材に「検察庁は(再審開始決定に対する)特別抗告を断念した時点で、内部的には有罪立証はできないと判断しているはず」と述べた。
四つの支援団体も25日、要請書を地裁に提出した。一日も早く再審公判を開いて無罪判決を言い渡すことに加え、捜査機関の手元に残る証拠を全て開示させるよう要望。さらに、重要証拠の捏造(ねつぞう)を当時の担当検察官が承知していたはずだとして公判で尋問することも求めている。
一方、県弁護士会は規定の乏しい再審法(刑事訴訟法の再審規定)の改正を目指し、29日に川勝平太知事と難波喬司静岡市長を訪ねて賛同や協力を要請する。