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テーマ : 裁判しずおか

再審法改正「実現する年に」 国会議員らが決意新た 市民団体、都内で集会

 刑事裁判のやり直しに関する刑事訴訟法の規定(再審法)は不十分で不備があるとして、市民団体「再審法改正をめざす市民の会」は30日、法改正の実現に向けた集会を都内の衆議院第二議員会館で開いた。法改正を求める3万8206人分の署名を国会に提出。袴田巌さん(87)の再審判決を控える中、参加者は「正念場の一年。法改正を実現する年にしなくてはならない」と決意を新たにした。

周防正行さん(右端)から再審法改正を求める署名を受け取る国会議員=30日午後、衆議院第二議員会館
周防正行さん(右端)から再審法改正を求める署名を受け取る国会議員=30日午後、衆議院第二議員会館

 市民の会の共同代表で、映画監督の周防正行さんが自民党の鈴木貴子衆院議員に署名を手渡した。鈴木議員は「国家権力によって事実がねじ曲げられることがあってはならない。政権与党こそ(法改正に向け)リーダーシップを果たさなくてはいけない」と述べた。
 社民党の福島瑞穂党首は「一刻の猶予もない。超党派で頑張りたい」と強調。共産党の本村伸子衆院議員は「この通常国会でも論戦していく」と意気込んだ。
 日弁連の再審法改正実現本部で本部長代行を務める鴨志田祐美弁護士は基調報告で、法改正に否定的な法務省の姿勢と主張を批判した。早ければ8月にも見込まれる袴田さんの再審判決時が、改正の実現へ「最大瞬間風速の風が吹くとき」と指摘。「一気に実現させなくては」と呼びかけた。
 最高裁が29日付で再審開始を認めない決定をした名張毒ぶどう酒事件は、いったんは再審開始が認められたものの、検察官の不服申し立てで判断が覆った経過がある。紆余(うよ)曲折を経て再審が始まった袴田さんの姉ひで子さん(90)は集会にオンラインで参加し「どうか皆さま、再審法を改正してください」と世論の高まりを切に願った。
各地の地方議会で意見書可決の動き   再審法を巡っては、国に改正を求める意見書の可決が地方議会で増えている。
 日本国民救援会などによると30日現在、北海道議会と岩手、山梨、三重の各県議会をはじめ、三島市や下田市など、地方議会の1割以上となる209議会が可決した。静岡県議会は研修会を開催し、意見書の提出が念頭にあるとみられる。
 30日の集会では、地方議会への働きかけについても情報を共有。公明党に所属し、四半世紀にわたり平塚市議を務めた経歴を持つ奥山晴治さん(81)は「袴田さんの話をしたら、みんな協力してくれた」と市議会が可決に至った背景を紹介した。西東京市議会の可決を報告した救援会の生江尚司さん(58)も「袴田さんの話をすると『なんとかしなくては』と応じてくれるのが印象的だった。訴えやすかった」と振り返った。
(社会部・佐藤章弘)

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