社会部 佐藤章弘
さとう・あきひろ 2006年入社。整理部、東部総局、天竜支局、社会部、榛原支局を経て、現在は社会部勤務。
-
再審格差への対応 最高裁「承知せず」 改正議連総会【最後の砦 刑事司法と再審】
冤罪(えんざい)被害者の救済につながっていないと指摘される再審法(刑事訴訟法の再審規定)の早期改正を目指す超党派の国会議員連盟は25日、第3回総会を国会内で開き、最高裁に問題意識を尋ねた。「再審格差」が存在するとの批判がある中、その対応を最高裁内部でしているかどうかについて担当者は「今の時点で承知していない」と述べ、再審無罪事件の検証は「していない」とした。 最高裁事務総局刑事局の近藤和久第2課長が再審制度の概要などを説明し、質疑に移った。議連事務局長の井出庸生衆院議員(自民党)が現行法に規定のない証拠開示について「(裁判官として)条文があった方がやりやすいか」と質問したのに対し、近藤氏は
-
袴田さん再審、立証終了 5月22日結審へ 弁護団「無罪判決に自信」
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審第14回公判が24日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。犯行着衣とされた「5点の衣類」に付着した血痕と袴田さんのDNA型は「一致しない」と結論づけた鑑定を前回に引き続き主な審理テーマとした。「信頼性に疑問がある」とする検察側は、意見書や捜査報告書などの証拠を提示しながら説明。その後、弁護団が反証し、公判を通じた双方の立証はほぼ終了した。静岡地裁は、5月22日の次回公判で検察側の論告・求刑と弁護団の最終弁論などを実施するとした。 終了後の記者会見で弁護団は、立証活動を振り返り「
-
袴田さん弁護団「DNA型鑑定結果は無罪の証明に」 検察は否定 再審第13回公判
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審第13回公判が17日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。犯行着衣とされる「5点の衣類」のうち、白色半袖シャツに付着した血痕と袴田さんのDNA型は「一致しない」と結論づけた鑑定について、弁護団は高い信頼性があるとして「無罪を証明すると同時に、衣類が捏造(ねつぞう)されたことを強く示唆する」と主張。一方、検察側は「鑑定結果は信用できず、犯行着衣ではないことを示す証拠とはなり得ない」と対立した。 DNA型鑑定を手がけたのは、弁護団が推薦した本田克也筑波大教授(当時、現名誉教授)。再
-
袴田さん弁護団「地裁は逃げずに判断を」 評価割れてきたDNA型鑑定【再審第13回公判】
「きちんと判断してほしい」ー。再審第13回公判終了後の記者会見で、弁護団の伊豆田悦義弁護士は、DNA型鑑定に関する冒頭陳述に込めた思いを語った。 第2次再審請求審で、再審開始を認めて袴田さんを釈放した2014年の静岡地裁決定は、弁護団が推薦した筑波大の本田克也教授(当時、現名誉教授)が手がけたDNA型鑑定について、手法や説明を「全てが全面的に信用できるとまでは判断していない」としつつ、批判的な検討を加味しても「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」と捉えた。 一方、地裁決定を取り消した18年の東京高裁決定は本田鑑定の証拠価値を否定した。審理を差し戻した20年の最高裁決定では、裁判官5人のうちの
-
袴田さんへの処罰感情 遺族が書面で陳述へ 5月に静岡地裁【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(88)の静岡地裁で続くやり直しの裁判(再審)で、専務の遺族が意見陳述を申し出たことが16日、関係者への取材で分かった。処罰感情などを伝える意向とみられる。 関係者によると、被害者遺族の意見陳述は5月22日の第15回公判で、検察側の論告・求刑に先立つ形で行うことを想定している。口頭での陳述ではなく、意見を記した書面の提出を望んでいるという。同公判では弁護団の最終弁論と袴田さんの姉ひで子さん(91)による最終意見陳述も予定され、結審する見通しだ。 袴田さんの再審は昨年10月に始まり、検察側は有
-
袴田さん再審「判決公判の傍聴席拡大を」 支援団体が静岡地裁に要請
現在の静岡市清水区で1966年に一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(88)の支援団体は11日、再審公判の傍聴席を拡大するよう静岡地裁に要請した。判決を含めてあと4回の公判が見込まれる中、とりわけ判決公判では傍聴希望者の殺到が予想されると指摘。「予期せぬ混乱を防ぐためにも、傍聴席の拡大やモニターによる傍聴を可能に」と訴えた。 要請したのは、各地の支援団体でつくる「袴田巌さんの再審無罪を求める実行委員会」。これまでも同様の申し入れをしてきたが、実現には至っていない。また、司法行政文書の開示を申し立てたところ、地裁が傍聴席の拡大要請に対する意思決定の記録については存否を答えず、抽選
-
再審法改正目指す国会議連 麻生氏が最高顧問に 加入議員拡大、法務省などに聞き取り
規定の不備によって冤罪(えんざい)被害者の救済につながりにくいと指摘される再審法(刑事訴訟法の再審規定)を巡り、早期の改正を目指す超党派の国会議員連盟(柴山昌彦会長)は9日、第2回総会を国会内で開き、自民党の麻生太郎副総裁が最高顧問に就く役員案を承認した。入会議員は設立時点の134人から210人に拡大。日本弁護士連合会と法務省の双方への聞き取りも実施した。 日弁連は、再審法改正実現本部の鴨志田祐美本部長代行が現行法の問題点を指摘した。袴田巌さん(88)の再審が確定するまでの経緯を例に挙げ、①検察官の手元に眠る証拠を開示させるルールがない②再審開始決定に対する検察官の不服申し立てが許されてい
-
戦後一度も改正されない再審制度 仕組みと課題
日本の再審制度は、裁判のやり直しを求める手続き(再審請求手続き)と、やり直しの裁判(再審公判手続き)の2段階の構造になっています。再審の開始が確定すると、再審公判に移る流れです。これら再審に関する規定は刑事訴訟法の第4編再審(435~453条)にあり、再審法とも呼ばれています。 国内で初めて再審制度が法で定められたのは、治罪法(1882年施行)によってです。明治刑訴法(1890年)に続く大正刑訴法(同1924年)は無罪を有罪にするといった被告側にとって不利益な再審も認めていましたが、現行刑訴法(1949年)は日本国憲法に照らして廃止しました。しかし、それ以外は大正刑訴法をほぼ引き継いだため
-
最大の争点「5点の衣類」とは 犯行着衣かねつ造か
事件発生から1年2カ月後の1967年8月31日、現場近くのみそ工場で、タンク内から血痕が付着した白色半袖シャツ、ねずみ色スポーツシャツ、鉄紺色ズボン、白色ステテコ、緑色ブリーフが見つかりました。これらは「5点の衣類」と呼ばれています。 犯行着衣と認定も...「色」に疑問 すでに始まっていた袴田さんの公判で、検察側はパジャマを犯行着衣だと主張していました。しかし、衣類の発見後に冒頭陳述を変更し、衣類を犯行着衣に改めました。袴田さん自身は当初から、自分の衣類ではないと訴えていました。控訴審では三度、ズボンの着装実験が行われましたが、いずれもはくことができませんでした。ただ、裁判所は、ズボンの
-
イチからわかる「袴田事件」 事件と裁判の経緯を担当記者が解説
1966年6月30日未明、旧清水市(現在の静岡市清水区)のみそ製造会社専務方から出火し、焼け跡から一家人の遺体が見つかりました。県警は強盗殺人事件として捜査を開始し、同8月、当時30歳だった住み込み従業員の袴田巌さんを逮捕しました。 「自白」 袴田さんは日本フェザー級6位にまで駆け上った元プロボクサーです。引退後、みそ会社で働いていました。逮捕後の取り調べは1日平均12時間、最大16時間20分に上り、起訴される直前に「自白」しましたが、裁判では一貫して無実を主張しました。 1968年の静岡地裁判決は「自白の獲得にきゅうきゅうとして物的証拠に関する捜査を怠った。厳しく批判され、反省されな
-
【袴田さん再審公判】3日間の証人尋問終了 血痕黒褐色化「揺るがしようのない立証」 弁護団総括
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審第12回公判が27日、静岡地裁(国井恒志裁判長)であった。証人尋問の最終日を迎え、検察・弁護側双方の証人計5人全員に同時に尋ねる「対質」が行われた。1年以上みそに漬かった血痕の色調という争点を巡り、弁護側証人の3人は専門的知見を踏まえて赤みは失われて黒褐色化すると改めて証言。検察側証人からも弁護団の主張に沿うような見解が示され、弁護団は公判終了後の記者会見で「揺るがしようのない状況まで立証できた」と3日間を総括した。 対質は証言台の前に五つの椅子が並べられ、裁判官が証人5人に質問
-
弁護側証人「赤みの保持あり得ない」改めて説明 【袴田さん再審公判】 釈放10年、日弁連は再審法改正訴え
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審第12回公判が27日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれ、弁護側証人の石森浩一郎北海道大教授(物理化学)への反対尋問が行われた。袴田さんが釈放されて同日で10年。日本弁護士連合会は地裁前で、再審法(刑事訴訟法の再審規定)の改正を求める街頭活動を展開した。 石森氏は尋問で、1年以上みそに漬かった血痕について「赤みを保つことはあり得ない」と改めて証言した。みそタンクで発見されて犯行着衣とされた「5点の衣類」は、みその仕込みが始まるまでの3週間で赤みを失っていたとの前提の下、蒸した大量
-
血痕の赤み「残らない」弁護側証人3人が断言【袴田さん再審公判】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審第11回公判が26日、静岡地裁(国井恒志裁判長)であり、前日に続いて証人尋問が行われた。再審開始の大きな根拠となった鑑定を手がけた弁護側の証人3人は「1年以上みそに漬かった血痕に赤みが残ることはない」と断言。旭川医科大の清水恵子教授(法医学)は、検察側が反論の証拠として提出した共同鑑定書について「抽象的な可能性論を繰り返すだけで仮説の域を出ておらず、われわれの鑑定結果を左右しない」と強調した。 ▶関連記事 証人全員に質問27日実施 弁護団「色問題」立証に自信 5点の衣類は事件
-
袴田さん再審で証人尋問開始 血痕の赤み「否定できず」 検察側・法医学者指摘【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審第10回公判が25日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれ、3日間にわたる証人尋問が始まった。犯行着衣とされる「5点の衣類」に付着した血痕の色調変化を巡り、検察側証人で法医学者の神田芳郎久留米大教授は血痕に赤みが残る可能性について「いろんな状況を考えれば否定できない」と述べた。 弁護団はこれまでの再審公判で、再審請求審と異なり立証責任は検察にあるとして「血痕の赤みが残ることが間違いないと立証できなければ反証としては不十分だ」とけん制している。 神田氏は尋問で、再審開始を認めた20
-
再審法の改正求め 静岡県議会 意見書可決 「公平性損なう」【最後の砦 刑事司法と再審】
静岡県議会は18日、戦後一度も改正されていない再審法(刑事訴訟法の再審規定)の改正を国に求める意見書案を全会一致で可決した。冤罪(えんざい)被害者の人権救済について、国はもちろん「地方自治体にとっても重要課題」と受け止めた上で、わずか19カ条しかない現行法では再審請求審の適正さが「制度的に担保されず、公平性も損なわれている」と指摘している。 意見書では、捜査機関の手元に残された証拠が再審段階で明らかになり、冤罪被害者を救済する大きな原動力になった事例が多いと説明。だが、証拠を開示させる規定がないため、裁判官や検察官の対応によって差が生じているとした。再審開始決定に対して検察官が不服を申し立
-
再審公判「警備過剰」 袴田さん支援団体、地裁に是正求め要請書
現在の静岡市清水区で1966年、一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審開始を認めた2023年の東京高裁決定から13日で1年を迎えた。その後、再審開始が確定し、同年10月に静岡地裁で再審が始まった。審理は終盤に入り、5月にも結審する見通し。一方、支援者は公判開廷日の警備が過剰で傍聴機会も制限されているとして地裁の対応を疑問視してきた。同日、是正を求める要請書を改めて提出。「あしき前例にしてはいけない」と訴えた。 要請したのは、各地の支援団体で構成する「袴田巌さんの再審無罪を求める実行委員会」。申し入れは今回が5度目で、これまでと同様、再審公判開廷日の地裁庁舎内への立ち
-
再審法改正へ「立法府の英知結集を」 日弁連が院内集会 袴田さん姉「一歩ずつ」
日本弁護士連合会(小林元治会長)は12日、不備があると指摘してきた再審法(刑事訴訟法の再審規定)の改正を求める集会を都内の参院議員会館で開いた。改正実現を目指す超党派の国会議員連盟が前日に誕生したことを受け、小林会長は「不合理な状況が続き、冤罪(えんざい)に苦しむ人を見続けている。もはや看過できず、立法関係者には英知を出してほしい」と期待。与野党の議員が法改正への決意を表明した。 静岡地裁で再審公判が続く袴田巌さん(88)の姉ひで子さん(91)も浜松市から駆けつけ、議連の立ち上げを「本当にうれしい。全部いっぺんに変えるのは難しいだろうから、一つずつでも進んでくれれば良いと思っている」と喜ん
-
再審法改正へ国会議連設立 超党派134人で始動「成し遂げる」
規定が乏しく、冤罪(えんざい)を訴えている人の救済につながっていないと指摘される再審法(刑事訴訟法の再審規定)の早期改正実現を目指す超党派の国会議員連盟が11日、設立された。134人が入会し、会長には元文部科学相の柴山昌彦衆院議員が就いた。柴山氏は「(法改正は)大変困難な道だが、必ず成し遂げなくてはいけない。さまざまな当事者、関係団体の話を聞きながら成果に結びつけていく」と述べた。 議連の呼びかけ人は自民党の麻生太郎副総裁のほか、公明党の山口那津男代表、立憲民主党の泉健太代表、日本維新の会の馬場伸幸代表、国民民主党の玉木雄一郎代表ら与野党の幹部がそろい踏みとなった。衆院第1議員会館で開かれ
-
【再審法改正・国会議連設立】「高き山」越えられるか 静岡県内議員ら、超党派集結の意義強調
再審法(刑事訴訟法の再審規定)改正実現の難しさは、戦後一度も改正されてこなかった歴史そのものが物語る。11日に誕生した早期改正実現を目指す超党派の国会議員連盟。議員たちは困難さを認識しているからこそ、議連が立ち上がったことの意義を強調した。県内からも与野党の議員が複数参加。「必ず法改正につなげていく」と誓った。 越えるべき山は「相当高い」|。議連の幹事長に就いた逢坂誠二衆院議員(立憲民主党)はその理由に、再審法が改正されずに「塩漬け状態」であること、法務・検察が「法的安定性」を理由に法改正に否定的であることなどを挙げた。事務局長の井出庸生衆院議員(自民党)も当初は「島の見えない海に船をこぎ
-
再審法改正へ「静岡県 先頭に」 日弁連会長 知事と27日面会【最後の砦 刑事司法と再審】
日本弁護士連合会の小林元治会長は6日、静岡新聞社の取材に対し、川勝平太知事と27日に面会することを明らかにした。不備が指摘される再審法(刑事訴訟法の再審規定)について、改正への賛同を求める。小林会長は「県民の代表として先頭に立っていただけるとありがたい」と述べた。 27日は、2014年に静岡地裁が袴田巌さん(87)の再審開始と死刑・拘置の執行停止を認める決定を出し、袴田さんが釈放されてから10年の節目を迎える。また、終盤に入った袴田さんの再審公判で法医学者らの証人尋問が予定される。 これに合わせ、日弁連の再審法改正実現本部のメンバーが本県を訪れる。街頭活動などに参加し、袴田さんの地元から
-
再審法改正議連、呼びかけ人に与野党"大物" 自民麻生氏や公明山口代表ら 11日に設立総会
戦後一度も改正されず、不備が指摘されている再審法(刑事訴訟法の再審規定)の早期改正を目指す超党派の国会議員連盟に関して、自民党の麻生太郎副総裁や公明党の山口那津男代表ら26人が呼びかけ人になっていることが4日、関係者への取材で分かった。11日に設立総会が開かれる。 立憲民主党の泉健太代表や日本維新の会の馬場伸幸代表、国民民主党の玉木雄一郎代表も名を連ねた。呼びかけ人の代表は柴山昌彦元文部科学相。一方、静岡地裁で再審が行われている袴田巌さん(87)の地元である県内関係の議員は呼びかけ人には入っていない。 設立総会に向け、議連の事務局は4日、全国会議員に対し入会案内を出した。 再審法の改正
-
再審法改正、超党派の国会議員連盟誕生へ 3月中に設立、袴田さん姉期待「前進」
規定が不十分なため冤罪(えんざい)を訴えている人の救済につながっていないと指摘される再審法(刑事訴訟法の再審規定)を巡り、法改正の早期実現を目指す超党派の国会議員連盟が3月中に設立されることが、29日までの複数の関係者への取材で分かった。 静岡地裁で再審公判が続く袴田巌さん(87)は、再審を求めてから実際に開始されるまでに42年の歳月を要した。日本の再審制度は再審請求手続きと再審公判手続きの2段階構造になっている中、再審法の条文は19しかなく、再審を開くかどうかを判断する再審請求手続きについて審理をどう進めていくかの具体的なルールが乏しい現状がある。 さまざまな課題のうち、日本弁護士連合
-
再審法改正は義務教育「鍵」 京都の高校生が探究 冤罪被害「誰でも可能性」【最後の砦 刑事司法と再審】
一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の裁判をやり直すことが決まるまでに40年以上が費やされ、改めて不備が指摘される再審法(刑事訴訟法の再審規定)。戦後一度も改正されておらず、その理由を探る高校生たちが京都市にいる。活動で見えてきたのは、再審制度が十分に理解されていない現実。生徒は「冤罪(えんざい)を身近に感じられる体験型の学習や、再審を巡る課題を知ることができる学習を義務教育に取り入れることが大切」と提案する。 京都府立嵯峨野高2年の久下あすかさん(17)、杉浦花菜さん(17)、鈴木結香さん(17)、福原遼介さん(17)の4人は、課題探究活動のテーマに再審法を選んだ。昨
-
「島田事件」赤堀さん死去 死刑廃止や適正捜査願う 配慮と感謝、優しい人柄
1954年に島田市内で幼女が殺害された「島田事件」で死刑確定後に再審無罪となり、22日に94歳で死去した赤堀政夫さんは、死刑制度の廃止や違法捜査、障害者差別の根絶を晩年まで願い続けた。一方、周囲への配慮と感謝を絶やさない優しい人柄で知られた。 ※画像タップで拡大してご覧になれます 「皆さん、どうもありがとう」。89年1月31日、静岡地裁で再審無罪判決が言い渡されて釈放された赤堀さんは、地裁前で右拳を突き上げ、集まった支援者に生還をアピールした。35年ぶりに自由の身となった。 冤罪(えんざい)ながら死と隣り合わせだった日々の記憶はいつまでも鮮明だった。「35年と口で言うのは簡単
-
「5点の衣類」血痕 検察「不自然でない」弁護団「赤み消える」 袴田さん再審で主張、けん制
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)のやり直しの裁判(再審)は15日、犯行着衣とされる「5点の衣類」に関する審理が本格化し、ヤマ場を迎えた。弁護団が「衣類が1年以上みそ漬けにされたことが間違いない、との証明なくして有罪はない」とくぎを刺す中、検察側は「犯行着衣だと指し示すさまざまな証拠がある。付着した血痕に赤みが残る可能性があれば、犯行着衣だと否定されない」と主張を始めた。 「赤みが残る抽象的な可能性しか立証できないと暗に認めた」。公判終了後の記者会見で、弁護団の間光洋弁護士は検察側の冒頭陳述をそう評した。これまで第2次
-
血痕の色巡り応酬 袴田さん再審 公判ヤマ場に【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審第9回公判が15日、静岡地裁(国井恒志裁判長)であった。犯行着衣とされた「5点の衣類」に付着した血痕の色を巡り、検察側は「長期間みそ漬けされた血痕の赤みが残る可能性がある」と改めて主張した。弁護団は「抽象的な可能性を指摘しているに過ぎず、赤みが残ることが『間違いない』と立証されたとは言えない」と批判し、赤みが残る5点の衣類は「捏造(ねつぞう)を示している」と訴えた。 最大の焦点となっている血痕の色変化について、弁護団と検察側が同じ日に主張・立証するのは初めてで、審理はヤマ場を迎え
-
「捏造、徐々にエスカレート」袴田さん弁護団が指摘 再審第8回【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審第8回公判が14日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。弁護団は、捜査機関が人権を無視した取り調べで獲得した袴田さんの「自白」に基づき、侵入・脱出方法や被害金に関する証拠を作り出したと指摘。事件直後から行われてきた捏造(ねつぞう)が「徐々にエスカレートし、集大成として(犯行着衣の)『5点の衣類』が作られた」と強調した。一方、検察側は「根拠が極めて薄弱だ」と反論した。 弁護団は冒頭陳述で、侵入・脱出方法についての実況見分調書や捜査報告書は内容が虚偽だと主張した。侵入口とされる高さ
-
大川原社長(吉田出身)が講演 人質司法「冤罪の温床」 静岡で袴田さん支援集会【刑事司法と再審】
生物兵器製造に転用可能な装置を無許可で輸出したとして逮捕・起訴され、後に起訴が取り消された横浜市の「大川原化工機」の大川原正明社長(74)=吉田町出身=が4日、静岡市清水区で講演した。実体験に基づき、弁護士の同席が容疑者の権利として認められていない取り調べや、否認すると勾留され続ける「人質司法」の問題を指摘。冤罪(えんざい)の「温床になっている」と強調した。 大川原さんは2020年3月に逮捕・起訴され、初公判直前の21年7月に起訴が取り消された。6回目の請求で同年2月に保釈が認められるまで11カ月にわたり身体を拘束された。東京都と国に損害賠償を求めた訴訟で、警視庁公安部の警察官が事件を「捏
-
再審法改正「実現する年に」 国会議員らが決意新た 市民団体、都内で集会
刑事裁判のやり直しに関する刑事訴訟法の規定(再審法)は不十分で不備があるとして、市民団体「再審法改正をめざす市民の会」は30日、法改正の実現に向けた集会を都内の衆議院第二議員会館で開いた。法改正を求める3万8206人分の署名を国会に提出。袴田巌さん(87)の再審判決を控える中、参加者は「正念場の一年。法改正を実現する年にしなくてはならない」と決意を新たにした。 市民の会の共同代表で、映画監督の周防正行さんが自民党の鈴木貴子衆院議員に署名を手渡した。鈴木議員は「国家権力によって事実がねじ曲げられることがあってはならない。政権与党こそ(法改正に向け)リーダーシップを果たさなくてはいけない」と述
-
袴田さん再審弁護団 新主任に小川秀世事務局長 静岡地裁に変更届
現在の静岡市清水区で1966年に一家4人を殺害したとして死刑が確定したものの、静岡地裁でやり直しの裁判が行われている袴田巌さん(87)の弁護団は23日、西嶋勝彦団長の急逝を受け、小川秀世事務局長を新たな主任弁護人とする変更届を地裁に提出した。 7日に82歳で死去した西嶋さんは長年にわたり主任弁護人を、小川弁護士は副主任弁護人を務めてきた。 刑事訴訟法は、複数の弁護人がいる場合は主任を定めるとしている。一方で当面は団長を置かず、小川弁護士は事務局長を続ける。小川弁護士は取材に「これからも(弁護団の)みんなで力を合わせて無罪判決を勝ち取りたい」と述べた。 西嶋さんは90年に袴田弁護団に加わ
-
記者コラム「清流」 語らない議員たち
楽観視し過ぎていた。裁判のやり直しに関する法律(再審法)の国会議員アンケート。忙しくても答えてもらえるよう設問を絞り、回答依頼の電話も掛けた。 与野党が対立するようなテーマではない。日弁連は各地の単位会ごと地元議員を訪ね、問題点を説明。にもかかわらず、自民党の回答率は2.9%。380人中11人しか答えなかった。 興味がない、票につながらない、責任を負いたくない、検察ににらまれたくない―。口を閉ざす理由を、そう解説する議員がいた。 県内も自民党議員の半数以上が無回答。裏金事件に揺れ「信頼回復を」と勇ましいが、都合のいいことしか語らない姿が不信を招いていると気づかないのか。 再審法の改正
-
袴田さん弁護団「衣類は捏造、決着済み」 検察側の蒸し返しと批判 再審第7回公判
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審第7回公判が17日、静岡地裁(国井恒志裁判長)であり、前日の第6回に引き続き弁護団が反証した。事件から1年2カ月後に見つかり犯行着衣とされた「5点の衣類」の色に関する実験や鑑定に基づき「衣類は捏造(ねつぞう)だと示している。巌さんは無罪」と強調。再審請求審で決着がついた論点を検察側が蒸し返しているとして「再審公判を長期化させている」と批判した。 袴田さんの取り調べ状況を踏まえ、「捜査機関が犯人に仕立てた」とも主張。取り調べの録音テープを一部再生した。犯人と決め込む警察官や検事が自
-
「5点の衣類」発見経過や損傷…血痕問題以外からも「捏造疑い」 袴田さん弁護団 再審第6回公判
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審第6回公判が16日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。事件から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかったズボンやシャツなど「5点の衣類」について、袴田さんの犯行着衣だとする検察側に弁護団が反論。最大の争点とされる衣類に付着した血痕の色を巡る問題を抜きにしても、犯行着衣とするには「合理的な疑い」が生じ、捜査機関による捏造(ねつぞう)の疑いが浮かび上がると訴えた。 また、遺体の写真を分析し直した結果、被害者は縄などで縛られ身動きが取れない状態で犯人に刃物で刺されたとの新たな主
-
袴田さん弁護団長・西嶋氏が死去 日本の再審裁判をリード
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、静岡地裁でやり直しの裁判が続く袴田巌さん(87)の弁護団長を務める西嶋勝彦氏が7日午後11時17分、都内の病院で死去した。82歳。近年は間質性肺炎を患っていた。13日、近親者で葬儀を済ませた。同日、弁護団が会見して明らかにした。 福岡県出身で、65年に弁護士登録。「八海事件」や「仁保事件」、「徳島ラジオ商事件」など、多くの冤罪(えんざい)事件・再審事件に関わった。静岡県内でも、89年に静岡地裁で再審無罪が言い渡された「島田事件」や、三島市で発生した「丸正事件」の再審弁護団員として活躍。冤罪事件に半生をさ
-
ひで子さん「再審法改正 早く実現を」 日弁連、都内で集会
日本弁護士連合会(小林元治会長)は23日、不備を指摘している再審法(刑事訴訟法の再審規定)の改正機運を盛り上げようと、市民集会を都内で開いた。申し立てから42年の歳月を経て再審が開始された袴田巌さん(87)の姉ひで子さん(90)らが参加した。ひで子さんは「巌だけが助かればいいとは思っていない。何とか早く、再審法改正をお願いしたい」と訴えた。 ひで子さんら参加者は、「布川事件」で再審無罪となり、8月に76歳で亡くなるまで冤罪(えんざい)の根絶に奔走した桜井昌司さんをしのびつつ、再審法改正実現への決意を述べた。 パネル討論では、袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会事務局長の山崎俊樹さん(6
-
袴田巌さん再審開始 「5点の衣類」ヤマ場へ【追跡2023①】
2023年が終わる。長く閉ざされていた袴田巌さん(87)の再審の扉が開かれ、5回の公判が行われた。静岡市清水区の国道1号静清バイパスでは立体化工事中の橋桁が落下し作業員2人が死亡。6月の台風2号では県内各地で大きな被害が出た。4月の統一地方選で静岡、浜松の両政令市に新しい市長が誕生。サッカーJ1復帰を目指した県内J2チームは明暗が分かれた。悲喜こもごもの今年のニュースを振り返り、その後を追った。 「良い年でした。何年かかろうが、良い年に向かって頑張っている。だから、来年はもっと、素晴らしい年になると思っている」 現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死
-
検察側「袴田さんに犯行動機あった」 再審第5回、犯人性巡り主張立証 静岡地裁
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した後、裁判のやり直しが認められた元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審第5回公判が20日午前、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。検察側は「犯行着衣」とする衣類のほかにも、袴田さんが犯人だと考えられる事情が存在すると主張した。午後は弁護団が反論する。 事件から約1年2カ月後に現場近くのみそタンクでシャツやズボンなど「5点の衣類」が見つかり、検察側は再審公判でも袴田さんの犯行着衣だと説明した。一方、弁護団は捜査機関によって捏造(ねつぞう)された証拠だと訴えている。 この日の冒頭陳述で検察側は、給料以上の
-
「5点の衣類」法廷で一部展示 弁護団「捏造以外あり得ない」 再審第4回公判
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した後、裁判のやり直しが認められた袴田巌さん(87)の再審第4回公判が11日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。事件発生から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかった「5点の衣類」を巡り、弁護団が袴田さんの犯行着衣ではなく捜査機関による「捏造(ねつぞう)以外あり得ない」と主張。衣類の一部を証拠物として法廷で展示した。 ▶緊張走る法廷の様子 5点の衣類はシャツやステテコなど。発見直後に撮影されたカラー写真では生地は白く、衣類に付着した血痕は赤みが残っていた。弁護団は再審請求審で、長期間みそに漬かってい
-
袴田さん再審第4回 5点の衣類、展示へ 姉「大事なところ」 静岡地裁
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した後、裁判のやり直しが認められた袴田巌さん(87)の再審第4回公判が11日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。事件発生から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかった「5点の衣類」を巡り、検察側が前回に引き続き、衣類は袴田さんの犯行着衣で犯行後にタンクに隠したものだとする立証を行った。午後から弁護団の反証に入り、衣類の一部を法廷で展示する。 袴田さんの姉ひで子さん(90)は浜松市内の自宅を出発する際、報道陣の取材に「今日は大事なところ。弁護団がうまく反論してくれると思う」と期待した。 5点の衣類は
-
袴田さん再審公判「5点の衣類」法廷へ 弁護団、展示の方針
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、弁護団は30日、確定判決が袴田さんの犯行着衣と認定した半袖シャツやズボン、ステテコなど「5点の衣類」について法廷で展示する意向を明らかにした。 同日、静岡地裁で法曹三者による非公開の打ち合わせがあった。終了後に取材に応じた弁護団によると、5点の衣類の状態などを直接確認した上で、裁判官らと展示方法について話し合ったという。12月11日の第4回公判で展示する方針。 5点の衣類は事件から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかり、血痕には赤みがあった。袴田さんの再審開始
-
袴田さん再審第3回公判 「犯行着衣」の捏造否定 検察「非現実的で不可能」
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審第3回公判が20日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。事件から約1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかった「5点の衣類」を巡り、検察側が袴田さんの犯行着衣だと改めて主張した。弁護団が捜査機関によって捏造(ねつぞう)されたと指摘していることについては「非現実的で実行は不可能」と強く否定した。 袴田さんの再審開始を認めた2014年の静岡地裁決定は、血痕がついたシャツやズボン、ステテコといった5点の衣類を捜査機関が捏造した疑いがあると指摘。検察側の即時抗告を棄却した今年3月の東
-
袴田さん再審第2回、弁護団が反証「外部の複数犯」 「凶器」展示、取り調べ録音再生も
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定後、裁判のやり直しが決まった袴田巌さん(87)の再審第2回公判が10日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。犯人はみそ工場関係者であり、犯人の行動を袴田さんが取ることができたとする検察側の主張に対し、弁護団が「到底認められない」と反証をスタート。証拠調べでは、確定判決が凶器とした「くり小刀」などが展示され、取り調べの録音テープの一部も再生された。 公判の冒頭、検察側は起訴状に記載した専務の年齢を「42」から「41」に訂正した。その後、再審公判の大きな論点のうち、犯人がみそ工場関係者と強く推認され、その犯人
-
袴田さん再審第2回、記事証拠不採用に異議 弁護団「虚偽リーク明らか」 静岡地裁は棄却
袴田巌さんの第2回再審公判で、弁護団は、事件直後の新聞記事を静岡地裁が証拠として採用しなかったことに異議を申し立てた。 採用されなかったのは、「従業員『H』浮かぶ」「血ぞめのシャツ発見」の見出しが躍る1966年7月4日付の記事など。弁護団は、袴田さんのパジャマに付着していたとされる血痕は肉眼で分からないほどだったのに「警察が事実に反する虚偽の内容をリークしたことが明らか。事件から4、5日の段階で袴田さんを捜査対象にし、世論を作ろうとした。われわれの主張に関連する重要な証拠」と訴えた。検察側は「リークというのは全くの臆測。裁判の事実認定に影響を与えるものではなく、異議には理由がない」と反論し
-
袴田さん再審初公判 42年、費やした時間とエネルギー 日弁連「実現の過程にも思いを」刑事司法の正念場強調
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審公判が27日、静岡地裁で始まった。再審を初めて申し立ててから42年が過ぎ、ようやくたどり着いた舞台。再審支援に取り組む関係者は「公判だけに注目するのではなく、再審が実現するまでにどれほどの時間とエネルギーが費やされたのか、プロセスにも思いを致すべき」と強調する。 論点三つ 再審公判は当面、犯人がみそ会社の関係者と推認され、犯人の行動を袴田さんが取ることができたか▽事件から約1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかった「5点の衣類」が袴田さんの犯行着衣かどうか▽袴
-
「弟は無実、真の自由を」姉ひで子さん訴え 袴田さん再審初公判、検察は有罪主張
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定後、今年3月に裁判のやり直しが決まった元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審初公判が27日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。袴田さんは心神喪失状態にあるとして出廷を免除された。罪状認否で、姉ひで子さん(90)が補佐人として「弟に代わって無実を主張します。真の自由をお与えください」と述べ、弁護団も無罪を訴えた。一方、検察側は有罪の立証に入った。 検察は有罪主張 事件の1年2カ月後に現場近くのみそタンクで赤みが残る血染めのシャツやズボンなど「5点の衣類」が見つかり、袴田さんの犯行着衣とされた。しかし再審
-
袴田さん再審 きょう27日初公判【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定後、今年3月に裁判のやり直しが決まった元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審公判が27日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で始まる。死刑囚の再審は5例目。先の4例は全て無罪が確定している。 弁護団は、再審公判について「第一の目的は速やかな無罪判決。そして、裁かれるべきは警察、検察の捜査・公判活動の過ちだ。裁く側の裁判所も裁かれる立場にある」と位置づける。 捜査機関の証拠捏造(ねつぞう)によって袴田さんは犯人に仕立て上げられたと弁護団が主張する一方、検察側は改めて有罪を立証する。再審請求審と同様、真っ向から対立す
-
1大学2校の決定先送り 日詰学長「丁寧に説明」 【静大・浜医大 再編】
静岡大は25日、日詰一幸学長と理事で構成する役員会を開いた。浜松医科大との運営法人統合・大学再編を巡り、18日の学内評議会で合意を得た「1大学2校案」を静大の正式案に決定する方針だったが、学内へ丁寧に説明する機会が必要だと判断し、先送りした。 関係者によると、11月に静岡、浜松の両キャンパスで説明会を開く予定。その上で、12月の役員会で正式決定する考えとみられる。 1大学2校案では、静大と浜医大を一つの大学に統合した上で静岡と浜松に2校を置く。評議会後、学外委員が過半数を占める経営協議会で、複数委員から学内へ十分に説明するよう求める意見が寄せられた。これを受け、日詰学長が役員会で、正式決
-
静岡地裁、袴田さんの出廷免除 27日に再審初公判 弁護団「年度内結審は厳しい」
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)のやり直しの裁判(再審)を巡り、静岡地裁(国井恒志裁判長)は24日、袴田さんの出廷を免除する考えを示した。同日、法曹3者による非公式の協議が地裁であり、国井裁判長が「(袴田さんは)心神喪失の状態にあると考えているため、強制は求めない」と述べたという。協議終了後、弁護団が会見で明らかにした。 一方、書証の取り調べに想定以上の時間を要することが決定的で、結審が新年度にずれ込むことが不可避な情勢という。年明けから予定していた証人尋問は早くても2月以降となり、論告や最終弁論は4月
-
那覇で再審見直し、機運を「袴田事件契機に」 元静岡県弁護士会の坂田さん、弁護団招きシンポ
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定したものの静岡地裁でやり直しの裁判(再審)が始まる袴田巌さん(87)を事例に、再審や死刑制度について考えるシンポジウムが21日、那覇市で開かれた。弁護団の小川秀世事務局長、2014年に地裁で袴田さんの再審開始決定を手がけた村山浩昭元裁判長に講師を依頼したのは、かつて静岡県弁護士会に所属していた坂田吉加弁護士(沖縄弁護士会)。再審を巡る法制度の充実を求める声が高まる中、坂田さんは「冤罪(えんざい)は誰にでも起こりうる。袴田事件を通じ関心を持ってもらい、行動に移すきっかけになれば」と期待する。 坂田さんは兵庫県
-
初公判27日午前11時 袴田さん再審 静岡地裁、年内の公判期日指定
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)のやり直しの裁判(再審)に向け、静岡地裁(国井恒志裁判長)は13日、年内の公判期日を正式に指定した。初公判は27日午前11時に開廷する。 その他の指定期日は11月10日、同20日、12月11日、同20日。地裁で2番目に広い法廷を使用する。地裁は年度内に結審したい意向を示し、来年3月末までの期日は追って指定する。 一方、弁護団が訴えている袴田さんの出廷免除については現時点で可否を判断していない。弁護団は今月10日、出廷が難しいことを伝える追加資料として、袴田さんが釈放後に書き連ねたノー
-
裁判長、袴田さんと面会 再審公判の出廷免除可否判断か【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、静岡地裁の国井恒志裁判長が9月に袴田さんと面会していたことが5日、関係者への取材で分かった。27日に初公判を控える中、袴田さんの出廷を免除するかどうかを判断するためとみられる。 関係者によると、9月29日に静岡地裁浜松支部で面会した。検察官と袴田さんの姉ひで子さん(90)、弁護団が立ち会った。袴田さんは年齢を問われ「23歳」と答え、ひで子さんは普段の様子を説明したという。 弁護団は袴田さんの出廷免除を求めている。拘禁反応により、訴訟能力が認められないと
-
袴田さん再審、初公判10月27日 出廷可否判断は保留 静岡地裁
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判に向けた静岡地裁(国井恒志裁判長)と静岡地検、弁護団による6回目の3者協議が27日、地裁であった。初公判を10月27日に開くことが事実上、決まった。終了後に弁護団が明らかにした。 地裁が前回の協議で提示した来年3月27日まで12回の公判候補日を、地検と弁護団の双方が受け入れた。地裁は年内の5期日について、10月中旬に正式に指定する。袴田さんの出廷免除については弁護団に資料の追加提出を求めた上で可否を判断する考えを示した。 静岡市葵区で記者会見した袴田さんの姉ひで子さん(90
-
年明けから証人尋問 袴田さん再審 審理計画
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判はどのように進められていくのか。静岡地裁で開かれた27日の3者協議で、その大枠が少しずつ見えてきた。 10月27日の初公判では、罪状認否で袴田さんの姉ひで子さん(90)が保佐人として意見を述べる予定という。その後、静岡地検と弁護団の双方が冒頭陳述を行い、証拠調べに入る。年内で書証などの取り調べを終わらせ、年明けからは証人尋問が実施される見通しだ。 初公判を含めた年内5期日のうち前半の3回で、犯人がみそ会社関係者と推認されるかどうか▽事件から約1年2カ月後に現場近くのみそタン
-
袴田さん弁護団も証人尋問請求へ 法医学の専門家想定【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、弁護団は19日、静岡地裁に証人尋問を請求する方針だと明らかにした。法医学の専門家を想定しているという。 事件では、1年2カ月後に現場近くのみそタンクからシャツやズボンなど「5点の衣類」が見つかり、袴田さんの犯行着衣だと認定された。一方、袴田さんの再審開始を認めた今年3月の東京高裁決定は、長期間みそに漬かった衣類の血痕に赤みは残らないと結論づけた弁護団の鑑定書などを重視。衣類は捜査機関によって捏造(ねつぞう)された可能性が極めて高いと言及した。 静岡地検
-
初公判、10月27日提示 袴田さん再審で静岡地裁 「年度内に結審したい」
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定したものの、今年3月に裁判のやり直し(再審)が決まった袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、静岡地裁(国井恒志裁判長)は12日、弁護団と静岡地検との第5回3者協議で、初公判の候補日として10月27日を提示した。国井裁判長は「本年度内に審理を終わらせたい」と述べ、来年3月27日まで計12回の公判候補日を伝えた。 協議終了後に弁護団が記者会見し、明らかにした。弁護団は初公判の期日を受け入れる考えで、早ければ次回9月27日の3者協議で指定される。地検は「争点整理が煮つまっていない」と懸念しつつ、特に反対意見は述べな
-
袴田さん弁護団「証拠調べ請求却下を」 検察も意見書、有罪主張を補充【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、今年3月に裁判のやり直しが決まった袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、弁護団と静岡地検の双方が31日、新たな意見書を静岡地裁(国井恒志裁判長)に提出した。弁護団は地検の有罪立証方針を批判するとともに、地検が請求した証拠調べについて「必要性が認められない」として却下するよう要請。地検は有罪主張を補充した。9月12日に次回の3者協議が予定され、意見書を踏まえて今後の進め方などが話し合われる。=関連記事31面へ 弁護団が静岡市内で記者会見し、概要を説明した。弁護団は意見書で、再審公判で検察官に求められているの
-
「海外から見た袴田事件は」 弁護団ら9月、イタリア・ドイツで課題や現状報告【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、無実を訴え続けて今春、裁判のやり直しが決まった元プロボクサー袴田巌さん(87)の弁護団員らが9月、イタリアとドイツで日本の再審制度の課題や死刑制度の現状を報告する。弁護団の戸舘圭之弁護士は「袴田事件には日本の刑事司法の問題が凝縮されている。世界的に見てどうなのか、というのは重要な視点。海外の見方から学んで考え、国内の議論を活性化させるきっかけにしたい」と話している。 イタリア・フィレンツェで9月6~9日に開かれる第23回ヨーロッパ犯罪学会で発表する。学会に先立つ4日は、ドイツ・ベルリンでワークショップ
-
袴田さん再審日程決まらず 静岡地裁、3者協議継続へ
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判に向け、静岡地裁(国井恒志裁判長)は19日、弁護団と静岡地検との4回目の3者協議を地裁で行った。弁護団は9月の次回協議を初公判期日に切り替えるよう求めていたが、国井裁判長は警備上の対応や他の裁判との調整などに時間が必要との考えを説明。次回も3者協議を続けることになった。 協議は非公開。終了後に記者会見した弁護団によると、地裁は袴田さんの再審公判を開く日は他の裁判を行わないことを想定しているという。国井裁判長はその調整をはじめ、傍聴希望者の整理や警備体制についても準備が必要との
-
「一刻も早い無罪を」浜松の街頭で訴え 袴田さん支援団体
袴田巌さん(87)の支援団体が19日、袴田さんの早期の無罪判決を訴える街頭広報をJR浜松駅北口で行った。「浜松 袴田巌さんを救う市民の会」のメンバーら約10人が参加した。寺沢暢紘共同代表がマイクを握り、「検察は立証を断念すべき」「一刻も早い無罪を」などと声を張り上げた。旧天竜林高を舞台にした大学推薦入試を巡る調査書改ざん・贈収賄事件についても言及し、証拠の精査や再審の開始を求めた。
-
袴田さん弁護団、3者協議打ち切り要請 9月初公判申し立て【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審を巡り、弁護団は18日、静岡地裁、静岡地検との19日の3者協議を前に、9月に初公判を開くよう地裁に申し立てた。再審公判に向けた非公開の協議を3者で続けてきたが、「公正で迅速な裁判の妨げになっている」として打ち切りを要請。弁護団と地検の双方が主張立証方針を明らかにしていることも踏まえ、裁判の公開原則に従い、10月下旬までの協議期日を公判期日に改めるよう求めた。 弁護団は申立書で、柔軟かつ率直に議論できる利点を考慮し、4月に始まった3者協議に協力してきたと説明。しかし、
-
「有罪立証放棄を」 袴田さん再審巡り ネット署名4.6万人
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、静岡地検に対して有罪立証の放棄を求める声が広がっている。弁護団が始めたネット署名の賛同者は4万6千人を突破。弁護団と支援団体は14日、地検の主張は再審請求審の「許されざる蒸し返し」だとして、速やかに有罪立証を放棄するよう改めて申し入れた。 事件から約1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかったシャツなど「5点の衣類」について、確定判決は袴田さんの犯行着衣と認定した。しかし、第2次再審請求審で最高裁の判事2人は「5点の衣類が長期間みそ漬けされたことは当然視されたが、か
-
9月に初公判を 袴田さん再審で弁護団方針 静岡地裁に申し入れへ
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)の弁護団は13日、都内で会議を開き、9月に再審の初公判を開くよう静岡地裁に申し入れる方針を決めた。 地裁は再審公判に向けた弁護団、静岡地検との3者協議の期日を今月19日と9月12日、同27日、10月27日に設定している。弁護団としては議論も含めて「公平を期すために公開の法廷で行うべき」と判断。次回で協議を打ち切り、9月以降の協議期日を再審公判期日に変更するよう求める。弁護団によると、地検は再審公判に提出する予定の新たな証拠を開示したという。 袴田さんの再審公判を巡り、地
-
請求証拠「即座に開示を」 袴田さん再審巡り弁護団【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、弁護団は11日、静岡地検に対し、有罪立証に用いる証拠を直ちに開示するよう申し入れた。静岡地裁には地検に証拠開示を促すよう訴えた。 審理計画の早期策定と迅速な公判実現に必要だと判断した。弁護団によると、地検は有罪立証を維持する方針を示した10日の意見書で、犯行着衣とされる「5点の衣類」に付着した血痕の色評価に関して、鑑識担当者の供述調書や写真専門家の供述調書、法医学者7人による共同鑑定書、法医学者の供述調書、醸造専門家の聴取報告書などを新たに取り調べ請求予
-
検察、袴田さん有罪立証へ 血痕衣類「捏造」に反発【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、静岡地検は10日、袴田さんが犯人であり有罪だと立証する方針を静岡地裁(国井恒志裁判長)に伝えた。捜査機関による証拠の捏造(ねつぞう)を主張して無罪を訴える弁護団との間で対立は激しく、審理が長引く可能性が高い。弁護団は再審請求審の蒸し返しに過ぎないと批判し、地検に抗議した。 袴田さんの再審公判に向け、静岡地裁は弁護団と静岡地検の双方に対し、10日までに立証方針と取り調べを請求する証拠について書面で示すよう求めていた。 確定判決は、事件発生から約1年2カ月
-
「積極的な有罪立証困難」 袴田さん支援集会、弁護団が検察けん制
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、3月に裁判のやり直しが決まった袴田巌さん(87)の支援集会が25日、同区内で開かれた。検察側が再審公判での主張・立証方針を7月10日までに明らかにするとしている中、弁護団の一員で元裁判官の水野智幸弁護士は「新たな証拠を出す形での積極的な有罪立証はできないだろう」とけん制した。 事件から1年2カ月後にみそタンクで見つかり、袴田さんの犯行着衣とされた「5点の衣類」を巡り、再審開始を認めた東京高裁決定は、長期間みそ漬けの血痕に赤みは残らないとした弁護団の鑑定を評価した。 水野弁護士は集会で、4月に始まった静
-
証拠開示も命令 公正で中立な視点 常に【最後の砦 刑事司法と再審⑫/第3章・日産サニー事件の先例㊦】
「家族が一生懸命に支えていた」。福島県いわき市で1967年に自動車販売会社の宿直員が殺害されて現金が奪われた「日産サニー事件」で無期懲役が確定し、仮釈放された後に裁判のやり直し(再審)を請求した男性の元主任弁護人、折原俊克弁護士は、奔走する家族の姿が忘れがたい。 再審請求審では証人尋問が公開され、全国初と報じられた。同じく弁護人だった弓仲忠昭弁護士は公開を求めた理由について「家族だけではなく支援者も一生懸命。家族や支援者の前で行いたい、というのが出発点だった」と回想する。しかし、尋問を公開するかどうかの規定は再審法(刑事訴訟法の第4編再審)には存在しない。 弓仲弁護士は言う。「裁判官の裁
-
再審法改正へ国会議員も意欲 日弁連院内集会 袴田さん姉出席
日本弁護士連合会(小林元治会長)は6日、再審法(刑事訴訟法の再審規定)の改正を求め、都内の衆議院第二議員会館で集会を開いた。与野党の国会議員30人が集まり、参加議員を含む89人が法改正への賛同メッセージを寄せた。小林会長は取材に「国の政策にきちんと反映させなければいけない、との大きな合意ができつつある」と述べ、議員や関係者への働き掛けを続けていく考えを示した。 集会には、再審開始が確定した袴田巌さん(87)の姉ひで子さん(90)も出席した。弁護団の戸舘圭之弁護士は「もし再審開始決定に対する検察官の上訴が禁止されていれば、9年前に再審が開始され、再審公判で無罪になっていた」と指摘し、法の不備
-
生活保護減額「違法」 県内4市処分取り消し 静岡地裁判決
国が2013~15年に生活保護費の基準額を引き下げたのは生活保護法に違反するとして、受給者6人が浜松、静岡、袋井、掛川の4市に減額処分の取り消しを求めた訴訟の判決で、静岡地裁は30日、減額処分を取り消した。菊池絵理裁判長は、厚生労働相の引き下げに関する判断過程には「過誤、欠落があると言わざるを得ず、裁量の逸脱・乱用がある」と指摘し、生活保護法違反を認定した。 同種の訴えは29都道府県で起こされ、地裁段階の判決は21件目。原告側の勝訴判決は11件目となった。 国は、物価下落を理由に13年から3年間で基準額を平均6・5%引き下げ、計約670億円を削減した。 静岡地裁判決は、物価動向を考慮し
-
再審冒頭陳述案、7月提出要請 静岡地裁、袴田さん弁護団と地検に 出頭免除応じる考え
現在の静岡市清水区で1966年に一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、静岡地裁と弁護団、静岡地検による非公開の3者協議が29日、地裁で開かれた。国井恒志裁判長は、冒頭陳述案を7月10日までに提出するよう弁護団と地検の双方に求めるとともに、現時点では袴田さんを公判に強制的に出頭させる考えはないと述べた。協議終了後、弁護団が記者会見して明らかにした。 再審公判に向けた3者協議は2回目。4月の第1回協議で検察側は、立証方針を決めるのに「3カ月かかる」と主張している。この日の協議で国井裁判長は冒頭陳述案の提出と同時に、立証に必要な証拠の取り調べを地裁に対して請求
-
袴田さん、元裁判長と初対面 14年に再審開始や拘置執行停止決定 姉感謝「命助けてくれた」
現在の静岡市清水区で1966年に一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直しが認められた元プロボクサー袴田巌さん(87)が19日、静岡地裁の裁判長として袴田さんの再審開始と死刑・拘置の執行停止を決めた村山浩昭さん(66)と都内の集会会場で初めて対面した。袴田さんの姉ひで子さん(90)は「命を助けてくれたようなもの。ありがとう」と村山さんに直接感謝を伝えた。 村山さんは2014年、袴田さんの再審開始と死刑の執行停止に加えて「耐えがたいほど正義に反する」として拘置の執行停止も決め、袴田さんは約48年ぶりに釈放された。13年には手続きの一環で意見を聴くため収監先の東京拘置所に出向いたが、
-
無実の人救済、より実効性を 京都・龍谷大が研究センター新設 学者と弁護士協働「あるべき再審法」提示目指す
龍谷大(京都市)に2023年度、刑事司法・誤判救済研究センターが新設された。再審法(刑事訴訟法の再審規定)の不備によって無実の人の救済が遅れているとの指摘がある中、弁護士と協働し、実効性のある仕組みの構築を目指す。センター長に就いた斎藤司法学部教授(刑訴法)は「持続可能な刑事司法と再審制度を支える基盤を整え、実務と研究の担い手も育てていきたい」と話している。 研究員21人の過半数は刑事弁護にたけた弁護士だ。「もっと普通に、もっと安定的に誤判救済ができるようにしたいと考えたとき、実務家の努力がなければ机上の空論になりかねない」と斎藤教授。その上で「実務の蓄積を共有すると同時に、理論的観点の検
-
再審無罪願って逝く 袴田さん支援の須藤春子さん 二俣事件冤罪、亡き夫重ね 「本当の笑顔見たい」あと一歩で
現在の浜松市天竜区二俣町で1950年に一家4人が殺害された「二俣事件」で、一・二審で死刑判決を受けたものの差し戻しを経て無罪に至った須藤満雄さん(2008年に死去)の妻春子さんが4日、老衰のため85歳で亡くなった。夫と同じ境遇の元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審無罪を願い続けた一人。「一日も早く、巌さんの本当の笑顔が見たいの。無罪になるまで絶対に死なない」。そう誓ってきたが、あと一歩のところで旅立った。 静岡地裁は14年3月、一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田さんの再審開始を認め、釈放した。直後、春子さんは「袴田さんはうちの主人と同じようにつらい思いをしたと思う。苦労しただろう
-
再審法 憲法に照らし検証を 静岡大・笹沼教授 袴田事件踏まえ「捜査機関は全証拠、裁判所に」
3日は憲法記念日。現在の静岡市清水区で1966年、一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の裁判のやり直し(再審)が決まるまでに長い年月がかかったことを巡り、現在の再審法(刑事訴訟法の第4編再審)は憲法上の要請を実現できていないとの指摘が聞かれる。不利益再審を廃止した以外は戦前の旧刑訴法の規定を引き継ぎ、一度も改正されていない再審法について、静岡大の笹沼弘志教授(憲法学)は「憲法に適合しているかどうかを全面的に検証すべき」と話している。 袴田さんは80年に死刑が確定し、翌81年に再審を請求した。第2次再審請求審で静岡地裁は2014年、再審開始と死刑・拘置の執行停止を認めて袴
-
日弁連会長、検察けん制「有罪立証、諦めるべき」 袴田さん再審公判巡り
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定した袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、日本弁護士連合会の小林元治会長は19日、速やかな公判開始と無罪判決を求める声明を公表した。同日の定例記者会見で、小林会長は「これ以上、袴田さんに過酷な時間を強いてはいけない」と強調した。 再審公判の日程は決まっていない。静岡地裁と弁護団、地検による10日の3者協議で地検は立証方針を表明せず、7月10日までに明らかにする考えを示した。 声明は、事件から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで発見され、袴田さんの犯行着衣とされた「5点の衣類」について、第1次と2次の再審
-
袴田さん弁護団「心外」 3者協議開始 検察の態度を批判
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決を受け、今年3月に裁判のやり直し(再審)が確定した袴田巌さん(87)の再審公判に向けた法曹三者の協議が10日、静岡地裁でスタートした。有罪の主張・立証をするかどうかの方針を3カ月後まで示すことができないとした検察側に対し、早期の再審無罪と謝罪を求めている弁護団は「誠に心外だ」(西嶋勝彦団長)と反発した。 「全くの予想外。憤りを感じている」。1時間を超える3者協議の終了直後、弁護団の小川秀世事務局長は地裁前で報道陣の取材に応じ、検察側が態度を留保したことを批判した。 やりとりの中で、確定記録が静岡地検ではなく
-
袴田さん再審へ協議開始 検察、主張立証方針示さず「3カ月ほしい」
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の裁判をやり直す再審公判に向け、静岡地裁(国井恒志裁判長)と弁護団、静岡地検による非公開の3者協議が10日、地裁で始まった。終了後に記者会見した弁護団によると、検察は主張や立証の方針を示さなかった。「方針を決めるのに3カ月ほしい」として、7月10日までに明らかにする考えを説明した。 次回の協議を5月29日、次々回を6月20日に行う。地裁は証拠調べに必要な確定記録を選別するよう要請したという。検察は主張と立証の方針に加え、取り調べを請求する証拠の範囲についても7月10日に示す。 弁護団
-
検察や裁判官に謝罪要求 袴田さん再審公判、弁護団方針
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定した袴田巌さん(87)の裁判をやり直す再審公判を巡り、弁護団が、袴田さんは捏造(ねつぞう)された証拠で死刑囚にさせられてきたとして、検察官と裁判官に長年の判断の誤りを謝罪するよう求めることが7日、関係者への取材で分かった。 再審公判に向けた弁護団と静岡地裁、静岡地検による3者協議が10日に地裁で開かれる。弁護団と地検の主張方針を確認し、公判日程などが話し合われる。 弁護団は速やかに無罪判決を得るため、即日結審を要望する。一日で検察側の論告求刑や弁護側の最終弁論まで行うことが難しい場合でも、判決を含め「
-
カツオ盗、被害船主と和解へ 焼津漁協の防止策評価 解決金支払い
焼津市の焼津漁港を舞台にした冷凍カツオの窃盗事件で、被害に遭った船主のうちの10社が4日、静岡県庁で記者会見し、解決金を支払うとした焼津漁業協同組合からの和解申し入れについて受け入れる考えを明らかにした。漁協によると、残りの船主もおおむね和解に応じる意向を示している。 船主側によると、解決金の支払いは損害賠償請求訴訟で焼津漁協や漁協職員、元職員を被告から外すことが条件。和解を受け入れることにした10社は極洋水産(焼津市)や明豊漁業(宮城県)など。提示された解決金額に納得できない部分はあるものの、漁協の再発防止策を評価したという。 焼津漁協は3月、解決金として15社に総額6億7千万円を支払
-
3者協議、4月10日に 袴田さん再審公判へ初 静岡地裁
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直し(再審)が認められた袴田巌さん(87)の弁護団は29日、再審公判に向けた静岡地裁、静岡地検との3者協議が4月10日午後に地裁で開かれることが決まったと明らかにした。 検察側は協議の中で、再審公判で有罪立証するかどうかの方針を示すとみられる。弁護団は早期の無罪判決を求めていく。笹森学弁護士は、再審開始の確定から3週間で初回の協議が開かれることについて、自身も関わり再審無罪となった「足利事件」と比較しながら「相当早い」と述べた。 事件では、発生から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで血痕の赤
-
袴田さん釈放9年 静岡地裁決定のウェブ掲載、支援団体が再要請
現在の静岡市清水区で1966年、一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)が釈放されて27日で9年となった。袴田さんの再審開始と死刑・拘置の執行停止を認めた2014年の静岡地裁決定(村山浩昭裁判長)は裁判所のウェブサイトに載っておらず、袴田さんの支援団体は同日、地裁に「日本の刑事裁判史上極めて重要な判例となった村山決定は特筆に値し、広く一般に公開されてしかるべき」として掲載するよう再要請した。 地裁決定を取り消した18年の東京高裁決定と、審理不尽の違法があるとして高裁に差し戻した20年の最高裁決定はウェブサイトに載っている。支援団体によると、21年にも掲載を要請したが、地裁は
-
再審法「改正実現を」 袴田さん弁護団が不備指摘 静岡でシンポジウム
一家4人を殺害したとして死刑が確定し、今月再審開始が確定した袴田巌さん(87)の弁護士らは25日、静岡市内で開かれた再審法に関するシンポジウム(県弁護士会主催)で、検察官の手元に残されている再審の請求人にとって有利な証拠がなかなか開示されず、再審開始決定が出ても検察官の不服申し立てで救済が妨げられていると批判。各地の弁護士会や支援者と連携しながら再審法の早期改正の実現を目指す重要性を訴えた。 シンポジウムには袴田さんと姉ひで子さん(90)も出席した。袴田さんは長期拘禁の影響も見られる中で「闘いは勝たなきゃいかん」と語り、ひで子さんは長年の支援に改めて感謝した。 再審法は、刑事訴訟法の第4
-
冤罪の叫び 司法に届かず【最後の砦 刑事司法と再審/緊急連載 抗告断念㊦】
「検察がてんびんにかけたのは、袴田さんの早期救済ではない。メンツのために特別抗告するか、それとも世論のハレーションを避けるか、というてんびんだった」。日本弁護士連合会再審法改正実現本部の鴨志田祐美本部長代行(京都弁護士会)はそうみている。 みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審開始を東京高裁が認めた13日、検察は最高裁に特別抗告すると多くの関係者が予想した中、鴨志田さんは「50%」と読んだ。 再審開始決定に対する検察の不服申し立てが再審の実現を妨げているとの批判は根強い。不備が指摘される再審法(刑事訴訟法の第4編再審)の改正を求める声の高まりを受
-
ひで子さん「やっと再審開始」 袴田さんも来場、静岡で集会【動画あり】
一家4人を殺害したとして死刑判決が確定し、裁判のやり直し(再審)が認められた袴田巌さん(87)の支援団体が21日、静岡市内で再審開始確定後初の報告集会を開いた。袴田さんと姉ひで子さん(90)がそろって来場。ひで子さんは「やっと再審開始になりました」と述べ、長年の支援に感謝した。 袴田さんの第2次再審請求審で、東京高裁は13日、袴田さんの再審開始を認める決定を出した。東京高検は20日、最高裁に特別抗告しないことを発表し、再審開始が確定した。 集会で弁護団の西嶋勝彦団長は、静岡地裁での再審公判が残されていることを踏まえて「九分九厘の勝利を祝したい」と述べた。 映画監督の周防正行さんがゲスト
-
「早く無罪に」決意新た 弁護団、抗告断念にうれし涙 袴田さん再審確定【動画あり】
当然の判断だと分かってはいても目にはうれし涙が浮かんだ。一家4人を殺害したとして死刑が確定し、無実を訴えて裁判のやり直し(再審)を求めてきた袴田巌さん(87)の再審開始が20日、検察の特別抗告断念によって確実になった。弁護団は都内で記者会見を開き、二人三脚で取り組んできた支援者に感謝。「袴田さんを早く無罪にしてあげたい」と決意を述べた。事件から半世紀余り。姉のひで子さん(90)は満面の笑顔を見せた。 特別抗告期限を踏まえ、会見は午後4時半に設定されていた。検察の断念が弁護団に伝わったのは、そのわずか1分前。小川秀世事務局長の携帯電話に担当検察官から連絡が入った。 「特別抗告を断念するのか
-
袴田さん再審開始 20日抗告期限 抗告要件は憲法違反か判例違反
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)の裁判のやり直し(再審)を認めた東京高裁決定は20日、最高裁への特別抗告期限を迎えた。東京高検が同日中に抗告すると、再審開始の可否を巡る審理はさらに長引く。一方、抗告を断念した場合は静岡地裁で再審公判に移り、袴田さんは無罪となる公算が大きい。 事件では、発生から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで血痕の赤みが見て取れるシャツなど「5点の衣類」が見つかった。確定判決は袴田さんの犯行着衣と認定したが、弁護団は赤みが残っているのは不自然として捏造(ねつぞう)された証拠だと訴えて
-
「特別抗告の理由ない」 袴田さん再審巡り 元裁判長、検察けん制 都内でシンポ【最後の砦 刑事司法と再審】
みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直し(再審)を求める袴田巌さん(87)の差し戻し後の即時抗告審で、再審開始を認めた東京高裁決定に対し検察が最高裁に特別抗告するかどうかの期限が迫る中、2014年に静岡地裁の裁判長として袴田さんの再審開始を認めて釈放した村山浩昭弁護士が18日、都内のシンポジウムで「特別抗告の理由が全くない。もし特別抗告したら、検察官の抗告は法律で禁止しなくてはいけないという意見がもっともっと高まる」とけん制した。 刑事訴訟法は、特別抗告の要件を憲法違反か判例違反がある場合とする。村山氏は高裁決定について、審理を差し戻した最高裁の課題に答えを出
-
「特別抗告断念を」SNSで賛同の輪 袴田さん再審開始確定願い【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審開始を認めた東京高裁決定に対して東京高検が最高裁に特別抗告する公算が大きくなる中、弁護団や日本プロボクシング協会袴田巌支援委員会が、特別抗告を断念するよう求める動きをSNSでも強めている。ネット署名は開始から1日で賛同者が2万7000人を超え、増え続けている。 特別抗告の期限は20日。高検が特別抗告しなければ再審開始が確定する。静岡地裁で再審公判が開かれ、袴田さんは無罪になる可能性が高い。特別抗告した場合は、再審開始の可否をめぐる審理が最高裁で続く。 ネット署名は、戸舘圭之弁護士
-
「検察は抗告断念を」国内弁護士会が声明 袴田さん再審決定
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の第2次再審請求審で、東京高裁が13日に袴田さんの再審開始を認める決定をしたことを受け、静岡県弁護士会(伊豆田悦義会長)など全国各地の少なくとも13の弁護士会や弁護士連合会が、検察側に特別抗告しないよう求める声明を公表した。併せて、政府や国会に不備が指摘される再審法(刑事訴訟法の再審規定)の改正を訴え、死刑制度の廃止も促している。 特別抗告の期限は20日。県弁護士会は伊豆田会長名の声明で、高裁決定について、再審開始を認めて袴田さんを釈放した2014年の静岡地裁決定に続き「袴田さんの無実
-
再審可否きょう午後決定 袴田さん差し戻し審 東京高裁
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めている元プロボクサー袴田巌さん(87)の差し戻し後の即時抗告審で、東京高裁(大善文男裁判長)は13日午後、再審開始の可否決定を出す。検察側の即時抗告を棄却して袴田さんの再審開始を認めるのか、再審請求を棄却するのか。高裁の判断に注目が集まる。 事件では、発生から1年2カ月後に現場近くのみそタンクでシャツなど「5点の衣類」が見つかり、袴田さんの犯行着衣とされた。しかし、付着した血痕には赤みが残り、弁護団は「不自然」として捏造(ねつぞう)された証拠だと指摘。長期間みそに漬かった
-
袴田さん再審可否 13日決定 高裁差し戻し審
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めている元プロボクサー袴田巌さん(87)の差し戻し後の即時抗告審で、東京高裁は13日、再審開始の可否を決定する。検察側の即時抗告を棄却して再審開始を認めるのか、再審請求を棄却するのか。高裁の判断が注目される。 事件発生から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで「5点の衣類」が見つかり、袴田さんの犯行着衣とされた。しかし、付着した血痕には赤みが残り、弁護団は「不自然」として捏造(ねつぞう)された証拠だと指摘してきた。静岡地裁は2014年、DNA型鑑定結果を最大の根拠に袴田さんの
-
袴田さんの請求審 静岡地裁決定ウェブ掲載を 支援団体要望
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の第2次再審請求審で、東京高裁は13日、再審開始の可否について判断を示す。第2次請求を巡り、静岡地裁は2014年に再審開始と死刑・拘置の執行停止を決め、袴田さんを釈放した。一転して請求を棄却した東京高裁決定、審理を差し戻した最高裁決定とは異なり、地裁決定だけ裁判所のウェブサイトに掲載されていない。支援団体が「不合理だ」として公開を強く望んでいる。 東京高裁での審理は、検察側が静岡地裁の再審開始決定を不服として即時抗告したために行われてきた。各地の支援団体で組織する「袴田巌さんの再審無罪
-
袴田さん87歳に 浜松市の自宅で誕生会 再審可否決定、目前に控え
無実を訴えながらも死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さんが10日、87歳の誕生日を迎えた。再審開始の可否を巡る東京高裁の決定を13日に控え、姉ひで子さん(90)は「再審開始を願っている」と話した。 浜松市の自宅で誕生会が開かれ、ひで子さんは革の手袋を、支援者は花束や財布をプレゼントした。袴田さんは年齢を問われ「21だと決めちゃっているんだ。それ以上、年をとらん」。ひで子さんについて「姉ということじゃあね、こき使うわけにもいかない」と言って、周囲を笑わせた。 近ごろは支援者の運転する車でドライブに出かけることが日課になっている。ひで子さんは「100歳ぐらいまで丈夫に生きてもらいたい」と目を
-
ツバキ華やか 洋種など200点 静岡・アイセル21で11、12日
静岡ツバキ会(小川秀世会長)は11、12の両日、洋種ツバキが中心の「世界の椿展」を静岡市葵区のアイセル21で開く。入場無料。 新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、4年ぶりの開催。世界各国で品種改良された洋種ツバキは花が大きく、華やかさに特徴があるという。会員が工夫して育てた鉢植えのツバキや切り花計約200点を並べる。 両日とも午前10時から。11日は午後5時、12日は同4時まで。
-
証拠開示大きな役割 袴田さん再審請求審と日野町事件の共通点
大阪高裁が27日に再審開始を認めた「日野町事件」は、3月13日に東京高裁の再審可否決定を控える袴田巌さん(86)の第2次再審請求審の経過と共通点が見られる。ともに、再審開始の判断が導かれる上で検察官の手元に残されていた証拠の開示が大きな役割を果たし、再審開始決定に対して検察官が即時抗告したため請求審が長期化。関係者は速やかな救済に向け、規定が乏しい再審法(刑事訴訟法の再審規定)を改正する必要性に言及した。 「(検察官は)特別抗告すべきではない。いたずらにわれわれの時間を奪うべきではない。一日も早く再審公判を開いてほしい」。大阪高裁決定後の記者会見で、再審請求を申し立てていた阪原弘元受刑者の
-
無実の人を救済しやすく 30年ぶり 日弁連が再審法改正案
日本弁護士連合会(小林元治会長)は22日、規定が乏しいと指摘されて久しい再審法(刑事訴訟法の第4編再審)の速やかな改正を求める意見書を約30年ぶりにまとめ、公表した。証拠開示に関する具体的な手続きを盛り込み、再審開始決定に対する検察官の不服申し立てを禁止するなど、無実の人の救済という再審制度の目的が実現しやすくなるように規定を充実させた改正案を提示している。 裁判員裁判の導入に伴って通常審では証拠開示制度が整えられてきたが、再審請求審は未整備のまま先送りされてきた。検察官が裁判所に提出してこなかった再審の請求人側に有利な証拠が開示された結果、再審開始や再審無罪の大きな原動力となった事例が相
-
再審法改正に向け奔走 判断しやすい環境追求【最後の砦 刑事司法と再審⑨/第2章 語り始めた元裁判長㊦】
一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(86)の再審開始決定を静岡地裁の裁判長時代に手がけた村山浩昭さん(66)は、その当時から「裁判員の方には気付かされることが多い」と口にしていた。 「人の一生を左右するような事件についてチームを組み、真剣に議論する。互いに歩んできた人生が違うから、いろいろな経験則が提出される。量刑にもその価値観が結構反映される。非常に新鮮な経験だった」 一般の市民が刑事司法に関わる意義はどこにあるのか。村山さんは「大上段に言うと、司法は国家権力を行使する一つの場。以前は市民の手が届きにくかったと思う」と説明。その上で「市民の方と法曹三者が一緒に裁判すること
-
再審法改正の必要性を実感 袴田さん請求審元裁判長 検察の証拠開示法制化を 「国会で議論して」
袴田事件で死刑判決が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めている袴田巌さん(86)の再審開始と死刑・拘置の執行停止を2014年に静岡地裁の裁判長として決めた村山浩昭氏が6日、静岡新聞社の取材に応じた。再審請求審を経験したことで、再審法(刑事訴訟法第4編再審)に規定が乏しいことを実感したという。法改正の必要性を認め「立法機関の国会で、きちっと議論してほしい」と強調した。 村山氏は21年に定年退官した。報道機関の対面インタビューに応じるのは初めて。袴田さんの再審開始決定に対しては検察官が即時抗告したため、確定していない。東京高裁は同日、再審開始の可否判断を3月13日に示すと弁護団に通知した。
-
袴田さん 差し戻し審 3月中旬、再審可否決定へ 東京高裁意向
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めている袴田巌さん(86)の差し戻し後の即時抗告審で、東京高裁が、再審開始の可否を3月中旬に決定する意向を示していることが31日、関係者への取材で分かった。候補日を複数提示し、弁護団に希望日を回答するよう求めている。 高裁は弁護団の希望を踏まえ、1カ月前には決定日時を告知するとみられる。 事件は、発生から1年2カ月後に現場近くのみそタンクでシャツなど「5点の衣類」が見つかり、袴田さんの犯行着衣とされた。しかし、付着した血痕には赤みが残り、弁護団は「不自然」として捏造(ねつ
-
再審法改正項目提言へ 日弁連30年ぶり意見書 「今春公表」検討
日本弁護士連合会が、不備が指摘される再審法(刑事訴訟法の第4編再審)の改正意見書を今春にも公表する方向で検討していることが29日、関係者への取材で分かった。改正意見書は約30年ぶりとなる。再審請求審での証拠開示手続きの法制化や再審開始決定に対する検察官抗告の禁止をはじめ、再審開始の要件緩和や請求権者の範囲拡大など幅広く提言する見通しだ。 具体的には、再審開始要件の「無罪を言い渡すべき明らかな証拠を新たに発見したとき」の「明らかな証拠」を「事実の誤認があると疑うに足りる証拠」に緩和するほか、重大な憲法違反を理由とした再審開始も認めるべきと提案。日弁連や各地の弁護士会が公益的再審請求人になれる
-
再審公判 速やかに 袴田さん支援集会 高裁可否決定控え
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めている袴田巌さん(86)の支援集会が29日、同区で開かれた。再審開始の可否を巡る東京高裁の決定を控え、参加者は、再審開始が認められて速やかに再審公判に移行することを期待した。 弁護団の加藤英典弁護士が、東京高裁で行われてきた差し戻し後の即時抗告審について説明した。高裁が再審開始を認めたとしても検察官は最高裁に特別抗告できることから、加藤弁護士は「(再審可否を巡る)審理が長引いてしまう。言いたいことがあれば再審公判で主張すべきで、世論の後押しが必要」と訴えた。 過去に3度再審
-
記者コラム「清流」 二俣事件の記憶
1950年1月に一家4人が殺害された二俣事件で、その人が遺族の一人だと知ったのは、恥ずかしながら天竜支局から異動した後だった。 大橋武司さん(83)。旧天竜市の元教育長であり、本田宗一郎ものづくり伝承館を運営するNPO法人の理事長を務めていた。二俣事件の当事者とは想像もしなかった。 「創作」としながら事件で生き残ったことを大橋さんがつづった郷土文芸誌を読み、ようやく把握した。おそるおそる取材を願い出たのは2015年8月。当時のメモには「もうタブーはない」「事実は話すよ」と書いてあった。 あれから7年余り。穏やかな晩年にさざ波を立てないか心配だったが、連載した。朝早く、大橋さんが感想を伝
-
憲法が照らす再審の課題 あるべき姿は【最後の砦 刑事司法と再審】
裁判をやり直すための再審請求手続きを巡り、日本国憲法の理念に照らして法の不備を指摘する声が上がっている。静岡新聞社が18歳以上の県民570人を対象に行った憲法意識調査では、6割近くが法制度を整えるべきだと回答している。問題の所在を探り、あるべき姿を考えた。 格差解消へ請求審規定必要 「今の再審制度は憲法の理念に合っていない」。日本弁護士連合会の再審法改正実現本部(本部長・小林元治会長)で本部長代行を務める鴨志田祐美弁護士(京都弁護士会)は取材にそう強調する。 再審法とは、刑事訴訟法の第4編再審を指す。現行の刑訴法は戦後、日本国憲法のもとで制定された。500を超える条文のうち、再審に関す
-
再審開始「ゴングを」 ボクサーの絆、袴田さんの闘いを支援 缶バッジ配布し周知に力
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めている元プロボクサー袴田巌さん(86)の差し戻し審は、東京高裁による再審開始の可否判断を待つ段階に入った。「ただ待つだけではダメ。むしろ、これからが頑張りどころ」―。日本プロボクシング協会の袴田巌支援委員会が、缶バッジを配るなどして袴田さんの“闘い”を広く知ってもらおうと力を入れている。 WBA・WBC世界ライトフライ級統一王者の寺地拳四朗選手(30)や前WBO世界フライ級王者の中谷潤人選手(24)らが5日、最終意見陳述のため高裁に向かう弁護団と袴
-
焼津中央「ごみ発電」に最優秀 7高校がエネルギー問題解決策
エネルギーをテーマに社会的課題の解決策を提案する「第4回高校生が競うエネルギーピッチ!」(電気新聞主催、静岡新聞社・静岡放送共催)が20日、静岡市駿河区のグランシップで開かれ、県内の7高校が出場した。ごみ焼却施設での発電効率を引き上げ、生み出したエネルギーを地域活性化にも活用する「スーパーごみ発電」を発表した焼津中央高が最優秀賞に輝いた。 生徒たちは8月から「SDGs達成に向けたエネルギーの変革」を見据え、企業や大学の研究室などの協力を得て実地研究を進めてきた。発表では、山本隆三常葉大名誉教授や開沼博東京大大学院准教授ら審査員が見つめる中、スライドを用いて分かりやすく利点や実現可能性を訴え
-
袴田さん差し戻し審 支援団体が高検に抗告取り下げ要請
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めている元プロボクサー袴田巌さん(86)の支援団体が9日、即時抗告を取り下げるよう東京高検に要請した。高検が実施した実験からも「犯行着衣」の捏造(ねつぞう)と袴田さんの無実が「立証された」と訴えた。 高裁で続く差し戻し後の即時抗告審では、事件発生から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかった「犯行着衣」を巡り、当時の捜査資料に「濃赤色」と記された血痕の色が焦点になっている。高検は今月1日まで約1年2カ月間、みそ漬けの血痕の変色具合を調べる実験を展開。確認作業に立ち会った弁護
-
着衣血痕「検察実験も赤み消失」 袴田さん弁護団、再審開始に期待
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めている袴田巌さん(86)の弁護団が2日、県庁で記者会見した。みそに漬かった血痕の色の変化を調べるために検察側が1年2カ月続けてきた「みそ漬け実験」について、前日に色合いを確認した小川秀世事務局長は「(血痕の)赤みは全く消えている」と明かした。 袴田さんの犯行着衣とされる「5点の衣類」は、事件から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで発見された。ステテコの生地は白っぽさが残り、血痕に赤みが見て取れた。会見で小川事務局長は生地がみそ色に染まり、血痕が黒く見える検察側実験の写真を示し
-
「布川事件」描いた映画 静岡で上映 再審無罪の桜井さん「人生前向きに」
茨城県で1967年に起きた「布川事件」で29年間身柄拘束され、やり直しの裁判(再審)で無罪となった桜井昌司さん(75)のドキュメンタリー映画「オレの記念日」が28日から、静岡市葵区の静岡シネ・ギャラリーで上映される。「失ったものを求めてもしょうがない。得たものを喜んで生きてきた」―。そんな桜井さんの生きざまを描いた金聖雄監督(59)は「皆がしんどさを抱えている今の時代に生き方のヒントになるのでは」と話している。 「記念日」は桜井さんの獄中詩だ。二十歳の秋に逮捕された日、うその自白をした日、強盗殺人の罪で無期懲役刑が言い渡され「人殺しの犯人だと裁判官が言った日」、両親が亡くなった日&hell
-
幼稚園のベンチ 静岡刑務所の受刑者が修繕 社会貢献で「充実感」
静岡刑務所(静岡市葵区)の受刑者が社会貢献活動の一環で、静岡精華幼稚園(同区)の古くなった木製ベンチの修繕に取り組んでいる。これまでに3台を仕上げ、今後も10台を直す計画。関係者は、受刑者にやりがいを感じてもらうことで社会復帰への意欲を高めていくと同時に、地域で刑務所への理解が深まっていくことを期待している。 静岡刑務所は社会貢献として2019年度、受刑者による近隣公園の清掃活動を始めた。ただ、新型コロナウイルスの感染が拡大して以降は外出自粛を余儀なくされ、刑務所内で可能な貢献活動を模索してきた。 子育て中の職員花田幸一郎さん(38)が偶然、静岡精華幼稚園の園庭開放イベントにプライベート
-
ユーモラスに創作秘話 児童文学作家の大原さん講演 静岡・駿河区
静岡市在住の児童文学作家大原興三郎さんが10日、同市駿河区の市立南部図書館で講演した。ユーモアを交えながら創作秘話や普段の心がけを明かした。 講演会は図書館の開館30周年記念。大原さんは「空飛ぶのらネコ探険隊」シリーズで知られ、登呂遺跡公園をモチーフにした「おじさんは原始人だった」は映画化されている。 大原さんは「どの世界を書くにしても、その世界に精通した人たちがいる。だから、取材をきちんとやる」と強調。「でも原始時代には行けないから、そんなときは文献を読みあさる」と説明した。 近ごろの児童文学には、あえて「優しく」まとめようとする風潮があるという。「実におかしいと思う」と大原さん。「
-
静岡地裁・家裁と地検を学生ら見学 法曹三者の役割理解 法の日イベント
静岡地・家裁と静岡地検、県弁護士会は5日、法の日(1日)の記念イベントとして、法廷などの見学会を企画した。学生ら16人が地裁と家裁、地検を巡り、法曹三者の役割について理解を深めた。 地裁では、刑事裁判を担当している国井恒志、岡部紗奈子両裁判官から裁判所の役割や特徴、普段の心掛けについて説明を受けた。 積極的に質問を重ねた。「裁判官に向いている人は」との問いに対して、国井裁判官は「チームで仕事ができるかどうか。裁判は多くのスタッフに支えられて行われている」と回答。判事補として今年着任した岡部裁判官は「弁護士になろうと思っていたが、司法修習を通じて、より広い視点で物事を解決する点にやりがいを
-
被災家庭の一時保育、私たちに任せて 地域に恩返し、常葉大生130人名乗り ボランティアで遊び相手
台風15号の影響による断水で静岡市清水区のこども園が休園する中、常葉大は27日、浸水被害などの片付け作業に追われる家庭を対象に、同市駿河区の静岡草薙キャンパスにある子育て支援室で子どもの一時保育を始めた。保育学部の学生や教職員らがボランティアで遊び相手を務めている。 利用は無料で、時間は午前9時から午後4時半。対象年齢は2~9歳。昼食は持参する。30日までを予定し、定員は各日20人。希望者は同大のホームページから利用日ごとに申し込む。 保育学部の赤塚めぐみ准教授が中心になって企画した。子どもたちが安心して過ごせ、親は復旧作業に集中できるよう、地域への恩返しの思いを込めて学内に一時保育を提
-
袴田さん差し戻し審 東京高裁 再審可否「年度内に決定」
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直しを求めている袴田巌さん(86)の差し戻し審で、東京高裁と東京高検、弁護団の3者協議が26日、高裁であり、高検と弁護団の双方が12月2日までに最終意見書を提出することが決まった。終了後に記者会見した弁護団によると、大善文男裁判長は「めどとして、本年度中に(再審可否について)決定を出せるようにしたい」との意向を示した。決定日時を3週間前に告知する考えも伝えた。 ■12月に最終意見書 弁護団が最終意見書の要点を口頭で高裁に説明する期日が12月5日に設けられた。袴田さんの姉ひで子さん(89)が
-
袴田さんの再審無罪を訴え 都内で支援集会 やくみつるさんも参加
袴田巌さん(86)と「名張毒ぶどう酒事件」で獄死した奥西勝元死刑囚の支援集会が19日、東京都内で開かれた。参加者は、袴田さんと奥西元死刑囚の再審無罪判決を勝ち取るとともに、規定が乏しい再審法(刑事訴訟法の再審規定)が改正されることを期待した。 「袴田巌さんの再審無罪を求める実行委員会」などが主催した。会場に駆けつけた漫画家やくみつるさんは「(国会)議員は再審法の改正を」と注文。テレビ局員時代に奥西元死刑囚と袴田さんのドキュメンタリーを手掛けた斉藤潤一関西大教授は、2人の再審開始決定が検察側の不服申し立てで取り消された共通点を挙げて「司法は何を狙っているのか。時間稼ぎとしか思えない」と批判し
-
石垣りんさん100年 未刊の詩325編、1冊に 南伊豆町教委
伊豆ゆかりの詩人石垣りんさん(1920~2004年)の生誕100年を記念し、南伊豆町教育委員会が、所蔵する未刊の詩325編を収めた詩集を刊行した。生前、近しい人に「未刊詩集を出したい」と希望を伝えていたという石垣さん。“遺言”が成就したとも言える詩集は、県内の図書館で読むことができる。 石垣さんは東京・赤坂生まれ。父親が南伊豆町の出身で、町立図書館の一角には09年、全国からの寄付で「石垣りん文学記念室」が誕生。ボランティアらが未刊詩などを整理してきた。 南伊豆町教委は記念事業として当初、20年に記念式典やノンフィクション作家梯久美子さんの講演会などを計画していたが
-
投資の勉強、わが子と 金融教室盛況 静岡市清水区「ま・あ・る」
静岡市清水区の「市こどもクリエイティブタウンま・あ・る」でこのほど、親子向けの金融教育教室が開かれ、ファイナンシャルプランナーの杉本京子さん(49)と前田久美子さん(46)が講師を務めた。小学4年生以上の親子が参加した。定員を上回って抽選となる人気ぶりだった。 杉本さんと前田さんは、貨幣の価値は時代によって変化しているとして「ただ持っているだけだと、知らない間に価値が減っていることもある」と指摘した。親子は「積み立て投資ゲーム」を通じ資産形成のイメージを体感。投資とは「お金の価値を守ること。会社を応援することでより良い社会づくりにも貢献できる」と学んだ。 4月に成人年齢が18歳に引き下げ
-
白雪姫に毒リンゴ 王妃は有罪?無罪? 静岡地裁で小学生模擬裁判
静岡地裁は12日、小学生の高学年を対象に夏休みイベントを静岡市葵区の地裁本庁で開いた。県内各地の20人が参加。模擬裁判を通じて、刑事裁判のルールや流れを学習した。 白雪姫に毒リンゴを食べさせて殺そうとしたとして、ある王妃が殺人未遂の罪に問われた。しかし、王妃は犯行時刻に城にいたと訴え無罪を主張した―。児童は裁判官役、検察官役、弁護人役に分かれ、証人尋問や被告人質問を体験。裁判官役は予定時間を超える白熱の評議を経て、「犯人の声は王妃だった」とした白雪姫の証言を「もうろうとした意識の中で判断できたか疑問」などと否定し、無罪判決を言い渡した。 地裁の鈴木悠裁判官と静岡地検の風間康宏検事、県弁護
-
南アルプス保全、発信強化 静岡県「みらい財団」設立
静岡県は南アルプスみらい財団を設立し、「山の日」の11日に静岡市内で発足式を開いた。2014年にユネスコエコパークに登録された南アルプスの自然環境の保全活動を促進したり、魅力を広く発信したりする。 一般財団法人で、設立登記は7月19日付。県が300万円を出資した。理事長に戸野谷宏静岡ガス会長が就き、薗田靖邦川根本町長や佐藤洋一郎ふじのくに地球環境史ミュージアム館長らが理事を務める。登山拠点となっている同市葵区田代の椹島(さわらじま)ロッジに現地事務所を置く。 戸野谷理事長は発足式で「ユネスコエコパークの理念に沿って活動する。南アルプスを地域資源として活用し、活性化につなげていきたい」とあ
-
弁護団鑑定「異論ない」 袴田さん差し戻し審、化学専門家が証言
旧清水市(静岡市清水区)で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定し、裁判のやり直しを求めている袴田巌さん(86)の差し戻し審で、弁護団が請求した化学者の証人尋問が5日、東京高裁で非公開であり、1年以上みそに漬かった血痕に「赤みが残ることはない」とまとめた弁護団提出の鑑定書を「全く異論はない」と肯定した。 事件から1年2カ月後に現場近くのみそタンクから見つかった「5点の衣類」に付着した血痕には赤みが見て取れ、審理を高裁に差し戻した最高裁決定は血痕の変色に影響を及ぼす要因について専門的知見を踏まえて検討するよう求めた。 7月から3日間の日程で計5人が出廷した証人
-
袴田さん差し戻し審 着衣血痕「赤みが残ることはない」 みそ漬け鑑定、法医学者証言
旧清水市(静岡市清水区)で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定し、裁判のやり直しを求めている袴田巌さん(86)の差し戻し審で、弁護側鑑定を手掛けた法医学者2人の証人尋問が22日、東京高裁で非公開であり、終了後に弁護団が記者会見して内容を説明した。2人が「1年もみそに漬かれば血痕に赤みが残ることはない」と証言したと明らかにした。 弁護団は、2人の所属と氏名について旭川医科大法医学講座の清水恵子教授と奥田勝博講師と公表した。 事件から1年2カ月後に現場近くのみそタンクから発見された「犯行着衣」に付着した血痕には赤みが残り、弁護団は不自然だとして捏造(ねつぞう)
-
袴田さん差し戻し審 鑑定人尋問始まる 東京高裁
旧清水市(静岡市清水区)で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(86)の第2次再審請求審で、事件から1年2カ月後に見つかった「犯行着衣」に付着した血痕の色を巡り、法医学者ら専門家の証人尋問が22日午前、東京高裁(大善文男裁判長)で始まった。同日と8月1日、同5日の3日間で計5人を尋問する。弁護団は、差し戻し審の「ヤマ場」と位置付けている。 事件現場近くのみそタンクで発見されたシャツなど「犯行着衣」の血痕には赤みが見て取れるが、弁護団は1年以上みそに漬かっていたとしては不自然だと主張してきた。審理を高裁に差し戻した2020年12月の最高裁決定は「みそ
-
記者コラム「清流」 前進しなきゃ意味がない
鹿児島県の「大崎事件」で、無実を訴えながらも殺人罪などで服役した原口アヤ子さん(95)の再審可否を巡る決定の速報を、袴田巌さん(86)と姉ひで子さん(89)の自宅で一緒に待たせてもらった。 袴田さんも原口さんも再審開始決定を受けた後、検察側の抗告で取り消された共通点がある。ひで子さんにその点を尋ねると、「検察官に恨みはないよ。恨んでもしょうがない」と言うから驚いた。 「悪口を言って留飲は下げられるかもしれないけれど、留飲を下げても仕方がない。前進しなきゃ意味がないの。抗告できる制度になっている以上、悪いのは制度。制度を直さないといけない」とも。 そうだった。ひで子さんはそういう人だった。合理
-
自然科学44研究に助成金 山崎教育振興会 静岡で3年ぶり伝達式
科学を通じて創造性豊かな青少年の育成を目指す「山崎自然科学教育振興会」(安倍徹代表理事)は3日、2022年度研究助成金の伝達式を静岡市内で開いた。新型コロナウイルスの影響で過去2年は伝達式を中止していたため、3年ぶりの開催。県内の小中高から70件の応募があり、このうち44件に助成金と認定証を贈った。 助成対象者は次の通り。 【小・中学校の部】児童・生徒の部 佐藤迪洋、知海(磐田西小6、4)落合晃馬(同5)有薗朋希(浜松雄踏小3)早川義也(長泉北小5)加藤瑠花、池ケ谷知那(静岡サレジオ中3)有薗彩奈(浜松雄踏中1)河原崎朱(清水南高中2)落合美琴(静岡大付属浜松中3)田中宏征(同2)鈴木悠
-
主権者教育 現状にNO 静大ゼミ、在学生調査【参院選しずおか】
静岡大人文社会科学部の政治思想ゼミが参院選に絡み、2日までに在学生100人に調査したところ、自身が受けてきた主権者教育が役に立っていないとの回答が半数を占めた一方で、投票率の向上には主権者教育が必要だと9割以上が認めた。ゼミの学生は「多くの若者は現実の政治を題材にした教育を求めている。従来の授業は実際の政治をイメージしにくい」と指摘する。 選挙権年齢の引き下げに伴い文部科学省は2015年、政治的中立性を保ちつつ現実の具体的な政治的事象を高校教育で扱うことなどを明確化した通知を出した。調査の自由記述には「選挙の仕組みしか習っていない」「政党の主張の違いが教育内容に組み込まれておらず、投票す
-
袴田巌さん保佐人、弁護団から追加選任 東京家裁、姉高齢を考慮
旧清水市(静岡市清水区)で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定し、裁判のやり直しを求めている元プロボクサー袴田巌さん(86)の保佐人に弁護団の弁護士が東京家裁から追加で選任されたことが29日、関係者への取材で分かった。袴田さんの姉ひで子さん(89)が既に保佐人で、再審の請求人にもなっているが、高齢であることを考慮した対応という。 弁護士1人が4月、保佐人に追加で選任された。袴田さんの第2次再審請求は東京高裁で差し戻し審が続いているが、新たに保佐人に選任された弁護士が第2次再審の請求人に加われるかどうかは再審法(刑事訴訟法の第4編再審)に規定がなく、不透明とい
-
年内にも最終意見書 袴田さん差し戻し審 弁護団と高検
旧清水市(静岡市清水区)で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定し、裁判のやり直しを求めている袴田巌さん(86)の差し戻し審で、東京高裁と東京高検、弁護団による3者協議が27日、高裁であった。高裁は7~8月に証人尋問を実施した後、11月上旬に高検の「みそ漬け実験」に立ち会う意向を示したほか、弁護団と高検が年内にも最終意見書を提出する今後の流れを確認した。 袴田さんの犯行着衣とされる「5点の衣類」は事件から1年2カ月後に現場のみそタンクで見つかり、血痕の色は当時の捜査資料に「濃赤色」とあった。弁護団は差し戻し審で、みそ漬けの血痕が黒色化するメカニズムを化学的に示
-
大崎事件棄却決定 袴田さん姉や元裁判官ら 法改正求める声強く
「大崎事件ほど再審制度の不備に翻弄(ほんろう)された事件はない」―。22日に鹿児島地裁で第4次再審請求を棄却された原口アヤ子さん(95)は、過去に3度再審開始が認められたものの、その都度検察側の不服申し立てで取り消された経緯がある。弁護団事務局長の鴨志田祐美弁護士は強調する。「最初の再審開始決定は20年前。検察が抗告しなかったら、20年前に終わっていたはずだ」。当事者だけでなく元裁判官たちからも、規定が乏しい再審法(刑事訴訟法の第4編再審)の早期改正を求める声が上がる。 「再審妨害」と「再審格差」。ともに鴨志田弁護士が生み出した言葉だ。前者は、再審開始決定に対して徹底的に上訴する検察当局へ
-
再審法改正目指し、立法府へ要請強化 日弁連が実現本部
日本弁護士連合会が、人権救済につながりにくいと指摘されてきた再審法の改正を目指し、小林元治会長を本部長とする「再審法改正実現本部」の新設を16日付で決めた。今後、改正案を策定するほか、日弁連の総力を挙げて「メインターゲット」と位置付ける立法府への働き掛けを強める。 従前の「再審法改正に関する特別部会」は40人ほどの人員だったが、実現本部化で3倍以上に増える。県弁護士会の伊豆田悦義会長ら、日弁連の理事である各地の弁護士会長も加わる。特別部会で部会長を務めてきた鴨志田祐美弁護士は、実現本部新設の意義を「ローラー的に全国会議員を訪ねることができたり、理事が入ることで地元選出議員へのアプローチが
-
静大OB外交官渡辺さん 静岡キャンパスで講演、国際情勢解説も
静岡大卒業生で駐パプアニューギニア大使の渡辺信之さん(62)が19日、静岡市駿河区の同大静岡キャンパスで講演した。外務省入省からの40年を国際情勢の変化とともに振り返り、「国際的な出来事に関心を持ち、外国の文化に親しんで」と後輩たちを激励した。 渡辺さんは1982年に外務省に入省。主に中国との外交・交流分野で活躍してきた。米国・ボストン総領事館の首席領事や、中国・重慶総領事館の総領事などを歴任し、2021年10月から現職。 入省時は冷戦後期だった。その後、米国を中心とした国際協調が進んだが、2000年代に入ると国際構造が流動化した。渡辺さんは「国際情勢の決定要因が多様化している」と指摘。
-
再審法改正に注力 日弁連「実現本部」設置検討
日本弁護士連合会は、規定が乏しく人権救済につながりにくいと長年指摘されてきた再審法の改正を目指し、小林元治会長を本部長とする「再審法改正実現本部」を設置する方向で検討している。この問題を2月の会長選で公約に掲げた小林会長は「再審法改正に向けた動きをつくっていきたい」と意気込む。 再審法は刑事訴訟法の第4編「再審」を指す。刑訴法には500以上の条文がある中、再審に関する条文はわずか19しかない。審理の手続きについては、事実の取り調べができるとあるだけ。裁判官が主導する「職権主義」が取られているため、裁判官の積極性次第で審理の進め方に格差が生じているとも言われる。 過去、検察官が裁判所に提出
-
記者コラム「清流」 「赤い糸」
オーストラリア在住の末妹が結婚する。コロナ禍で延期状態だった。パートナーは現地で暮らす韓国の人という。 終息を待つより早く結婚すれば良いのにと兄は思っていたが、両家の顔合わせをするまでは、と律義だった。感染が落ち着きつつある機会を見計らい、夏に両家の交流を計画していると連絡が来た。 焼津市とオーストラリアのタスマニア島にあるホバート市の姉妹都市提携が45周年を迎えたという。妹は高校生の時、派遣事業でホームステイを経験。ホバートの少女が実家に滞在したこともある。妹はその後、幾つかの国を経てオーストラリアに住んだ。 好きなことを続けていたら運命の人に出会った。「赤い糸」の不思議を思う。本人
-
袴田さん支援表明にも署名、キエフ市長 静岡県内関係者ら案じる ボクシング元世界王者
ロシアによるウクライナ侵攻で、裁判のやり直しを求める元プロボクサー袴田巌さん(86)の支援者らもウクライナの状況に心を痛めている。攻防戦が続く首都キエフのビタリ・クリチコ市長はヘビー級の元世界王者で、袴田さんの支援に理解を示していた。ボクシングでつながる袴田さんの支援者らは、ビタリ市長らウクライナ国民の安全と早期停戦の実現を祈る。 日本プロボクシング協会袴田巌支援委員会の新田渉世委員長(54)によると、ビタリ市長は現役の世界王者だった2013年、タイで開かれたWBC(世界ボクシング評議会)の総会で袴田さんの支援表明に署名した。支援を呼び掛ける文章を熟読していたという。 新田さんは「(ビタ
-
ネット時代 家庭の性教育どうすれば 有識者インタビュー②【賛否万論】
性の多様性について理解を深めることは性教育の大切な一つとされる。学校教育の現場では、どう教えられているのか。セクシュアリティー教育や教育史が専門で、学校における性的少数者の支援・研究に取り組む静岡大教職センター准教授の松尾由希子さん(44)に現状や課題を尋ねた。 性の多様性 幸せの選択肢に ーそもそも「性」とは何でしょうか。 人間の性の主な構成要素として「からだの性」「性自認」「性的指向」「表現する性」があります。からだの性は、多くの場合は戸籍上の性と一致しますが、一致しない場合もあります。「性自認」は自らの性をどのように認識するのか、しないのか、「こころの性」とも言わ
-
ネット時代 家庭の性教育どうすれば 有識者インタビュー①【賛否万論】
日本の性教育は海外と比べ遅れていると指摘される。3歳からの性教育を勧め、国内各地で保護者向けの講座を開く「とにかく明るい性教育 パンツの教室協会」代表理事の、のじまなみさん(40)=東京都=に性教育の意義や家庭で進める上でのヒントを聞いた。 3歳から性教育を ーなぜ、3歳からの性教育を提案しているのですか。 ユネスコ(国連教育科学文化機関)の「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」では、性教育の開始年齢は5歳とされています。私がなぜ3歳からの性教育を訴えているかというと、今の日本はSNSとの関わりが当たり前の文化になっているからです。スマホは子育てに欠かせません。国の「ギガスクール構想」
-
乏しい規定 再審実現、至難の業 法改正に関心薄く
裁判をやり直す再審を巡り、法改正を求める声が強まっている。人権救済制度とされるが、規定が乏しく、当事者にとって再審の実現は事実上、至難の業となっているためだ。過去に改正されたことはなく、国政選挙で争点にもならない。議員立法という手段もある中、関係者は「政治家にとって票にならない分野で関心が薄い。誤判冤罪(えんざい)がある現実を知らなすぎる」と指摘している。 再審は刑事訴訟法第4編(再審法)に規定され、その手続きは再審開始の可否を判断する再審請求手続きと、再審確定後に始まる再審公判手続きの2段階構造になっている。再審を求める当事者や日弁連などが長年訴えてきたのは法の不備だ。 再審に関する条
-
袴田弁護団が期待感「再審開始は目前」 静岡で集会
旧清水市(静岡市清水区)で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直しを求めている袴田巌さん(85)の支援集会が27日、同区であった。弁護団報告で小川秀世事務局長は「検察官は追い詰められている。再審開始は目前と確信している」と期待感を示した。 再審請求審を巡っては最高裁が昨年12月、審理を東京高裁に差し戻す決定を出し、今春から差し戻し審が始まっている。焦点は、犯行着衣とされる「5点の衣類」が現場のみそタンクに入れられた時期。弁護団は衣類の血痕に赤みが残っているのは不自然として、事件から1年2カ月後の発見直前に入れられた捏造(ねつぞう)証拠だと主張してい
-
「着衣は捏造証拠」 差し戻し審 袴田弁護団 実験踏まえ改めて主張
旧清水市(静岡市清水区)で1966年、みそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件で再審を請求している袴田巌さん(85)の差し戻し即時抗告審で、東京高裁と東京高検、弁護団の第2回三者協議が21日、高裁で開かれた。弁護団は、事件から1年2カ月後にみそタンクで見つかった血染めの「犯行着衣」を巡り、実験結果を踏まえて「1年2カ月もみそに漬かれば(血痕は)赤みが消えて黒色化することが明らか」と主張し、捏造(ねつぞう)証拠だと改めて訴えた。 弁護団は同日、事件発生直後にみそタンクを捜索した元警察官の証人尋問を請求した。この元警察官は以前、静岡新聞社の取材に「棒で内部を確認したが、何もなかった」と証言して