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テーマ : 裁判しずおか

大川原社長(吉田出身)が講演 人質司法「冤罪の温床」 静岡で袴田さん支援集会【刑事司法と再審】

 生物兵器製造に転用可能な装置を無許可で輸出したとして逮捕・起訴され、後に起訴が取り消された横浜市の「大川原化工機」の大川原正明社長(74)=吉田町出身=が4日、静岡市清水区で講演した。実体験に基づき、弁護士の同席が容疑者の権利として認められていない取り調べや、否認すると勾留され続ける「人質司法」の問題を指摘。冤罪(えんざい)の「温床になっている」と強調した。

会場で会話する袴田ひで子さん(左)と大川原正明さん=4日午後、静岡市清水区
会場で会話する袴田ひで子さん(左)と大川原正明さん=4日午後、静岡市清水区

 大川原さんは2020年3月に逮捕・起訴され、初公判直前の21年7月に起訴が取り消された。6回目の請求で同年2月に保釈が認められるまで11カ月にわたり身体を拘束された。東京都と国に損害賠償を求めた訴訟で、警視庁公安部の警察官が事件を「捏造(ねつぞう)」と証言。東京地裁は23年12月、逮捕・起訴を違法とし、都と国に計約1億6千万円の支払いを命じた(都、国、社長側のいずれも控訴)。
 大川原さんは「事件に遭うまで人質司法の問題に無関心だった」と告白。取り調べは弁護士の助言で黙秘を貫いたが、「精神的にも肉体的にも厳しい期間」と回想した。勾留を「ほとんど無条件で認めている」として裁判所の姿勢を疑問視し、報道機関には「本当に逮捕が必要かどうか報じてほしい」と注文。また「彼ら(捜査機関)は証拠も自由に作る」とも批判した。
 静岡地裁でやり直しの裁判が行われている袴田巌さん(87)の支援団体が招いた。袴田さんの姉ひで子さん(90)は「冤罪で苦しんでいる人は大勢いる」と述べ、事件の大小にかかわらず冤罪に巻き込まれた人は「大変苦しむ」と訴えた。
 (社会部・佐藤章弘)

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