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テーマ : シニア・介護・終活・相続

在宅医療の質向上へ 監視システムで急変“予知” 磐田の安間院長、開発進める

 えん在宅医療クリニック(磐田市)の安間章裕院長(39)は浜松市のソフト開発会社などと連携し、在宅患者の脈拍などのバイタルデータを遠隔でモニタリング(監視)するシステムの開発に乗り出している。いつ患者の容態悪化の連絡が来るか分からない―。日々神経をすり減らす訪問診療医の負担を、患者の急変を“予知”するシステムで軽減し、在宅医療の質向上にもつなげる。

在宅患者の遠隔モニタリングシステムの開発に取り組む安間医師=磐田市
在宅患者の遠隔モニタリングシステムの開発に取り組む安間医師=磐田市

 2022年3月の開院時に想定した定員を上回る患者を抱える安間院長。「在宅医療は患者に何かあれば24時間365日の対応が求められる。常に気が張り、夜もなかなか寝つけない」。高齢化が進む一方で、訪問診療医のなり手が少ない地方都市での実情をこう説明する。月2回程度の定期診療で患者宅を訪れるが、異常が知らされれば昼夜問わず駆けつける。在宅医療は受け身の対応にならざるを得ない。
 「急変の一歩手前の状態に気付くことができれば能動的に対応でき、患者のリスクも抑えられる」。そんな思いでシステムの開発に着手した。患者には血中酸素濃度や脈拍、呼吸数を計測する腕時計型の装置を身につけてもらい、医師がそのデータをパソコンやスマートフォンでいつでもチェックできるようにする。既に患者数人で試験的に運用し、データの送受信が機能することを確認した。
 今後は、患者が危険な状態になる直前のバイタルの変化を自動検知し、アラートを医師に送信する仕組みを構築していく方針だ。安間院長は「在宅医療は家族の負担や不安もハードルの一つ。それも軽減できる」と強調する。
 24年2月をめどに試作モデルを完成させ、効果の検証やシステムの改善を図った上で、25年の実用化を目指す。商品として他の医療機関にも販売することも視野に入れる。
 安間院長は「在宅医療を希望する人が安心して受けられる環境の充実につながれば。負担を減らせば、在宅医療を担ってくれる医師が増えるかもしれない」と、診療の合間を縫って開発にいそしんでいる。
 (磐田支局・八木敬介)

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