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静岡県内在住者ハーレーチーム 闘病の仲間へ また、風を切ろう 願いの千羽鶴

 「治療を終えたらまたみんなで風を切ろう」。大型バイク「ハーレーダビッドソン」の愛好家でつくる静岡県内在住者の男性チーム「龍神」が、白血病を患うメンバーのために千羽鶴を制作した。重さ数百キロのハーレーを乗りこなす面々のほとんどが折り鶴は数十年ぶりといい、指先の繊細な作業に苦戦した。それでも仲間の快気を願い、年代も居住地も職種も異なる一人一人が思いを一つにして、昨年末に完成させた。

苦労して作った千羽鶴の出来を確かめるメンバー。チームメンバーのようにそれぞれ個性のある折り鶴が集まった=2023年12月中旬、静岡市葵区
苦労して作った千羽鶴の出来を確かめるメンバー。チームメンバーのようにそれぞれ個性のある折り鶴が集まった=2023年12月中旬、静岡市葵区
ツーリングに訪れた富士山で記念撮影するメンバー=2023年9月、裾野市(提供写真)
ツーリングに訪れた富士山で記念撮影するメンバー=2023年9月、裾野市(提供写真)
苦労して作った千羽鶴の出来を確かめるメンバー。チームメンバーのようにそれぞれ個性のある折り鶴が集まった=2023年12月中旬、静岡市葵区
ツーリングに訪れた富士山で記念撮影するメンバー=2023年9月、裾野市(提供写真)

 チームは2015年に結成し、SNSを通じて県内から集まった40~60代の男性20人が所属する。季節を問わず月1回のツーリングを企画し、富士山や伊豆、御前崎など県内を中心に観光名所を訪れて名物やスイーツを堪能するのが定番になっている。
 23年11月末、リーダーの長谷川幹太さん(54)=静岡市葵区=の元にメンバーの男性から電話が入った。それは、白血病と診断されたとの報告だった。男性は22年9月の台風15号の後、自宅が床上浸水被害を受けた静岡市清水区在住のメンバーに飲料水を届けるなど仲間思いで、チームのムードメーカー的存在。「みんなで応援したい」。勇気づけようと他のメンバーが動くのは自然な流れだった。
 一人の提案で千羽鶴の制作を決め、中心メンバー10人が100羽ずつを折ることになった。すぐに作り終えると見込んでいたが、折り方を思い出すのにひと苦労。最初は1日に2、3羽しか折れなかったという。折り方を紹介するネット動画を参考に、2週間ほどかけて何とか仕上げた。
 ただ、そろった折り鶴は大きさや形が異なり、まさに「十人十色」。ハーレーに乗っていることだけが共通点で、個性豊かなメンバーがそろうチームの様子がそのまま表現されたような千羽鶴になった。23年12月下旬に男性の家族に届けたが、病室に持ち込めないため、写真をスマートフォンに送ったという。
 長谷川さんは「全員が一生涯の友人。決して1人ではない。1羽1羽に魂を込めた」と振り返り、再び男性が一緒にハーレーを走らせる日を待ち望んでいる。
 (社会部・小沢佑太郎)

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