台風15号(2022.9.23-24)の記事一覧
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大鉄が5月ツアー 台風被災区間、歩いて知って 運行再開へ現状と課題説明
大井川鉄道(本社・島田市)は5月11日と18日、2022年9月の台風15号で被災した大井川本線の運休区間を歩いて見学する日帰りツアーを開催する。静岡県を中心にした大鉄の在り方検討会で、早期の運行再開を目指す方針で一致したことを受け、不通区間の現状や全線再開の課題を広く知ってもらおうと企画した。 ツアーでは鉄道部の社員が案内しながら、土砂流入など被害が大きかった下泉―田野口間3・6キロの線路上を歩く。会社には「土砂を撤去すれば運行再開できるのでは」といった声も届くが、トンネルの修繕や鉄道敷地外にある土砂発生場所の工事など再開には根本的な対策が求められている状況を解説する。 不通により稼働し
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社説(4月19日)災害用トイレ車両 県内市町に配備促進を
能登半島地震で被災した石川県の奥能登地域で、富士市と西伊豆町が導入した「トイレトレーラー」など、全国の自治体が派遣した災害用トイレ車両が活動している。被災地での悲惨なトイレ事情は詳しく伝えられることはあまりないが、深刻な問題だ。 地震発生から3カ月以上を経ても上下水道が復旧していない被災地が多い。排せつが不自由だと日常生活に支障があるだけでなく、健康にも影響する。災害関連死を防止する意味でも被災者の排せつ支援は極めて重要だ。 災害用トイレ車両にはトラックや商用車を改造した自走式の「トイレカー」もある。大規模災害が頻発して関連死の防止が重視される中、全国でトイレ車両を整備する自治体が増えて
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PFAS、大気で拡散か 土壌と結合で長期残留 静岡・清水区
発がん性との関連が報告されている有機フッ素化合物(PFAS、読みはピーファス)が、静岡市清水区三保の化学工場から2~3キロも離れた飲用の井戸水からも高濃度で検出されている実態が明らかになった。この工場は2013年までPFASの一種PFOA(ピーフォア)を使用していたことが明らかになっている。自然界で極めて分解されにくいため〝永遠の化学物質〟と呼ばれるPFAS。拡散の原因について行政関係者は首をひねるが、静岡新聞社が入手した内部資料からは工場の煙突から放出されたPFOAが大気により散らばった可能性が浮上。1970年代後半まで工場敷地内の穴にPFOAを“投棄”していたことが
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「持続可能な鉄道重要」 大鉄復旧で島田市長 静岡県の財政支援に言及
島田市の染谷絹代市長は2日の定例記者会見で、2022年9月の台風15号で被災し一部区間で運休が続く大井川鉄道(同市)について、静岡県による財政支援の必要性に言及した。 3月末に県庁で開かれた大鉄のあり方検討会では、早期の運行再開を目指す方針で一致したが、運行再開に必要な費用約22億円のうち、大鉄が負担する8・4億円以上の財源をどう確保するかが今後の課題になっている。染谷市長は「川根本町と島田市だけでどれだけの支援ができるか。県が大鉄にコミットできるかだ」と述べた。その上で、「災害復旧だけで終わらせてはいけない。持続可能な鉄道であることが重要」と指摘した。市として市施設の指定管理やコミュニテ
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能登義援金3300万円寄付 静岡市自治連
静岡市自治会連合会は26日、石川県の能登半島地震の義援金3304万3678円を日本赤十字社に寄付した。中村直保会長が日本赤十字社静岡市地区本部長の難波喬司市長に目録を手渡した。 同連合会は2月末から約1カ月間、自治会や町内会ごとに義援金の寄付を募ってきた。葵区で1015万1773円、駿河区で999万5963円、清水区で1289万5942円がそれぞれ集まった。義援金は難波市長から日本赤十字社県支部の鈴木亨事務局長に託され、同支部を通じて被災地に届けられる。 中村会長は2022年9月の台風15号に触れ、「つらい思いをしたときはお互いさま。義援金を使ってもらえればありがたい」と話した。
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洪水リスク低減へ 上野部川(磐田)に放水路新設計画 静岡県の整備変更原案
静岡県袋井土木事務所は27日、一雲済川流域委員会を磐田市役所で開き、近年の台風での浸水被害を踏まえた河川整備計画の変更原案を示した。これまで抜本的な河川改修が行われていない支流の上野部川を新たに計画に組み込み、洪水リスクを低減するため、同河川上流部に天竜川への放水路を新設する方針を盛り込んだ。 上野部川沿いは家屋が立ち並んでいることなどから河道改修が困難なため、放水路が治水対策に適していると判断した。整備箇所は上野部川と天竜川の距離が最も近い天竜浜名湖鉄道上野部駅の北側付近を想定した。箱形のコンクリート構造物をつなげ、現時点で予定する区間約20メートルは全て暗渠(あんきょ)とする方針。天竜
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【静岡県内公示地価・中部】経済正常化、二極化が加速 静岡市葵区 西草深町引き合い強く/焼津市祢宜島 子育て世代関心
国土交通省が26日発表した静岡県内公示地価(1月1日時点)は、社会経済活動の正常化により商業地が4年ぶりの上昇に転じるなど、利便性の高い地域で堅調な伸びを示した。沿岸部も下落幅が若干縮小したものの、需要が高まる内陸部との二極化傾向は続く。各地の需給や取引状況を不動産関係者に聞いた。 (価格は1平方メートル当たり) 静岡市葵、駿河区 住宅地は葵区0・8%、駿河区0・6%といずれも上昇した。中心市街地は需要が高く、土地の動きが活発化している。 駅から徒歩圏内のエリアは引き合いが強く、葵区春日町で23万円、西草深町で38万円、駒形通で24万円など。中古の一戸建てやマンションも人気で、
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大井川鉄道の在り方検討会 早期運行再開で一致 8.4億円の財源確保焦点
2022年9月の台風15号で被災し一部区間で運休が続く大井川鉄道(島田市)の在り方検討会が26日、県庁で開かれ、早期の運行再開を目指す方針で一致した。運行再開に必要な費用約22億円のうち、大鉄の負担額は8・4億円以上になる見込みで、財源をどう確保するかが今後の焦点となる。具体的な再開時期は明示しなかった。 検討会は国や県、大鉄のほか、沿線の静岡市、島田市、川根本町などで構成。新型コロナウイルスや自然災害の影響で厳しい経営環境が続く中、観光資源としての重要性や地元の要望などを踏まえ、24年度も全線復旧に向けた検討を継続していく。資金調達の手段としてクラウドファンディング(CF)や企業版ふるさ
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災害廃棄物処理 島田市と協定 県産廃協会支部
島田市はこのほど、災害廃棄物処理等の協力に関する協定を県産業廃棄物協会志太榛原支部と結んだ。 地震や水害など市内で自然災害が発生した際、災害廃棄物の収集や運搬、処分、仮置き場の運営などで、会員企業の協力を仰ぐ。地元の廃棄物処理業者と連携し、災害時の円滑な災害廃棄物処理を目指す。 市役所での締結式で染谷絹代市長と寺井敬雄支部長が協定書に署名した。染谷市長は「災害時は想定を超える廃棄物が発生する。地元業者の協力は心強い」と述べ、寺井支部長は「一昨年の台風15号ではわれわれも経験を積んだ。しっかり協力したい」と応えた。
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床上浸水10年でゼロに 浜松市が計画見直し 内水氾濫対策強化
浜松市は近年頻発する内水氾濫を抑えるため、市総合雨水対策計画を見直し、26日にホームページで公表した。床上浸水が472戸に上った2022年9月23日の台風15号を教訓に、今後10年間で床上浸水ゼロとする目標を掲げ、ハードとソフト両面の対策を強化する。 従来の重点対策エリア12カ所に中央区の安間川上流支川と松小池川、浜名区の有隣川を追加して15カ所とした。河川や排水路の流下量を増やす拡幅工事、可搬式を含む排水ポンプの増設に加え、雨水を「ためる」対策を強化し、計画に位置づける校庭貯留の数を24校から44校に、公園貯留をゼロから6カ所に増やした。 田んぼダムの導入、農地保全のための開発許可基準
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特別交付税 静岡県、市町分とも減額 23年度 災害関連経費減
静岡県は22日、災害などの特別な財政支出に対して国が地方自治体に交付する2023年度の特別交付税と震災復興特別交付税の本県決定額を公表した。総額は県分が前年度比2・9%減の26億2556万円、市町分が同7・8%減の167億6665万円。県内中西部を襲った台風15号災害に見舞われた22年度に比べ、災害関連経費が減少したことが影響し、県と17市町が前年度を下回る交付額となった。 県分の内訳は、特別交付税が前年度比2・9%減の26億971万円、震災復興特別交付税が同0・1%増の1584万円。 市町分は、特別交付税が前年度比7・8%減の167億6633万円、震災復興特別交付税が同36・3%減の3
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磐田市の仿僧川と今ノ浦川 浸水25%減想定、流域治水へプラン案
静岡県と磐田市は25日、同市の仿僧川と今ノ浦川の流域治水対策推進に向けた協議会を袋井市の県袋井土木事務所で開いた。氾濫をできるだけ防ぐ▽被害対象を減少させる▽被害を軽減し早期に復旧・復興する-の観点で、ハード・ソフト両面の対策を盛り込んだ水災害対策プラン案を示した。 ハード対策として、両河川流域で河道の拡幅や堤防のかさ上げ、水路の逆流防止弁の設置、排水ポンプの増強などを進める。10年以内に実施する短期対策の効果について、流域に甚大な被害をもたらした2022年の台風15号と同様の降雨でシミュレーションし、現状に比べて流域市街地の浸水面積を25%減らせると想定した。長期的にも施設の増強などを
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能登半島地震被災地 静岡県内技術系ボランティア走る 家財救出 生活再建に貢献
能登半島地震の被災地に通い、住民の要望を受けて被災住宅から車やスマホ、家財を回収したり、家を補修したりする静岡県内の「技術系災害ボランティア」が生活再建に貢献している。一般の災害ボランティアが入れない傷んだ家でも安全を確保して活動。南海トラフ地震に備え、県内に技術系ボランティアを増やそうと講習も行っている。 2月下旬、石川県輪島市の民家。車を覆っていたがれきを電動のこぎりで切り、車を“救出”すると、沈んだ表情だった住民男性に笑顔が戻った。「諦めていた車に乗れるなんて。皆さんはヒーローです」 感謝されたのは静岡県の技術系災害ボランティアチーム「しぞ~か・まめっ隊」代
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当初予算案など可決 静岡市議会が閉会
静岡市議会2月定例会は19日、最終本会議を開き、3534億円の2024年度一般会計当初予算案など73議案を原案通り可決して閉会した。 市教育委員に黒川彩子氏(葵区)を選任する案に同意したほか、22年9月の台風15号で被災した大井川鉄道の早期全線復旧に向けて国、県、周辺市町の具体的な取り組みを求める議員発議の意見書案を可決した。 共産党市議団が、24年度に市国民健康保険料を1人当たり平均約2千円値上げすることに反対し、当初予算案などの修正案3件を提出したが、いずれも賛成少数で否決した。
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静岡市教育委員に黒川氏の選任案 市、市議会に提出へ
静岡市は18日、市教育委員にフリースクール運営黒川彩子氏(43)を新たに選任する人事案を19日の市議会2月定例会最終本会議に提出すると議会運営委員会で報告した。 黒川氏は特別支援教育相談員として市教委学校教育課勤務などを経て、2020年5月から葵区にフリースクール「きみのスペースまんま」を開業した。米国ニューヨーク大卒。4月23日付で任期満了になる杉山節雄委員(68)の後任で、任期は4年。 最終本会議ではこのほか、22年9月の台風15号で被災した大井川鉄道の全線復旧早期実現のために国、県、周辺市町が具体的に取り組むことを求める意見書を議員発議で提出する。 議会運営委員会では4月25日に
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【2024注目予算】川根本町 学校給食の家庭負担減 移住の呼び水なるか
過去5年間で人口が約千人減少した川根本町。急速に進む少子高齢化が顕在化し、税収減にも直結する。ただ、前年度の転出者から転入者を差し引いた「社会減」はほぼ横ばいで、移住者増加の兆しも見える。町は新年度当初予算案に小中学校の学校給食費の家庭負担を減らす事業として670万円を計上した。移住者の呼び水となるように、子育てしやすい環境整備を目指す。 1人当たりの給食費を、小学校が月額3310円、中学が同3940円と、現在家庭で給食費を負担している県内市町の中で最安値となるように町が費用の一部を補填(ほてん)する。薗田靖邦町長は「人口減が進む町にとって、子ども施策は最も重要。給食は成長に欠かせない重要
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被災ビオトープに ミズバショウ植栽 松野小 静岡市
静岡市葵区の松野小(石原鉄也校長)のビオトープでこのほど、ミズバショウの植栽が行われた。1~6年の児童が地域住民から譲り受けた苗約20株を池などに植えた。 同校のビオトープは2022年秋の台風15号で浸水被害に遭い、児童と教職員が地域の協力を得て再生に取り組んでいる。ミズバショウの苗は学区に住む海野和義さんが提供した。児童は海野さんの手ほどきを受けながら、池や小川の中に丁寧に苗を植えていった。 3年の石原舞果さん(9)は「水は冷たかったけど、楽しかった。早く咲いてほしい」と話した。
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下水道区域の浸水想定図作成 浜松市議会建設消防委 内水氾濫時の円滑避難へ
浜松市は14日の市議会建設消防委員会で、排水施設で雨水が排除できなくなった際に浸水が想定される地域を示す「雨水出水浸水想定区域図」を2024年度中に作成する方針を示した。下水道などから排出しきれない雨水があふれる内水氾濫が起きた際の円滑な避難につなげる。 下水道工事課によると、同区域図の作成事業は23年度から行っている。23年度は公共下水道の事業区域について、22年9月の台風15号の降雨量を参考に現地調査や資料作成を行った。24年度は降雨量により、どの程度の浸水が起きるのかシミュレーションを行う。 同区域図は25年度までの作成を国が通達している。市は通達よりも1年早い完成を目指す。作成後は、
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巴川流域の氾濫予測システム 24年度早期に試験運用方針
静岡市は2022年9月の台風15号で浸水被害が出た巴川流域に導入する水位・氾濫域予測システムについて、24年度早期に試作版を稼働させ試験運用に入る方針を、12日の市議会都市建設委員会で示した。 市が管理する巴川流域の支川11カ所に新たに水位計を設置するなどしてデータを集め、河川の水位上昇や氾濫の危険性を予測する。得られた数値は市内部で共有して、災害時の的確な避難情報の発出につなげる。 試験運用を通じ「何時間前の予測を元に避難情報を出すのか」など、命と財産を守るための情報の精度向上を図る。25年度の本格運用を目指す。
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敷地川治水対策へ 国交省に支援要望 静岡県、磐田、袋井両市
静岡県と磐田市、袋井市は11日、2年連続で堤防が決壊した敷地川の治水対策について、国の重点的な予算措置を求める要望書を国土交通省に提出した。磐田の草地博昭、袋井の大場規之両市長らが小鑓隆史政務官と面会し、復旧状況や支援の必要性を説明した。 両市を流れる敷地川は2022年9月の台風15号、23年6月の台風2号で磐田市内の同一箇所が決壊し、周辺に浸水被害をもたらした。県が復旧工事を進めているが、今回被害があった場所以外にも、川幅が狭く氾濫の危険性が高い箇所が存在している。河道掘削や橋の架け替えなど敷地川全体の河川改修を迅速に進めるため、国に補助を要請した。 草地、大場両市長は「3度目(の決壊
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大鉄復興願い菊川で歌謡祭 県連盟、浄財募り寄付
静岡県大衆歌謡連盟は10日、菊川市の菊川文化会館アエルで「大井川鉄道復興祈願チャリティー」と銘打った歌謡祭を開き、集まった浄財を大井川鉄道に寄付した。牧野千恵子会長が「早く全線開通してほしいという気持ちを届けたい」と述べ、大鉄の鈴木肇社長に未開封の募金箱を手渡した。 大鉄は2022年9月の台風15号で被害を受け、一部区間で運休が続く。連盟は4年ぶりに開催した歌謡祭の会場に募金箱を設け、出演者102人と観客から寄付を募った。鈴木社長は「復旧に全力を挙げているが、道筋が付いていない。応援を心強く思う」と謝辞を述べた。 歌謡祭には杉本基久雄牧之原市長と長谷川寛彦菊川市長がゲスト出演した。杉本市長が
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被災文化財救済「連携が大切」 所有者や技術者、活動報告 静岡市葵区で講座
静岡市歴史博物館は9日、災害時の文化財保護の活動「文化財レスキュー」を紹介する講座を同市葵区の同館で開いた。2022年9月の台風15号で被災した静岡平和資料センター(同区)の資料を救済するために活動した田中文雄センター長ら3人が、所有者、技術者、協力者それぞれの立場で取り組みを報告した。 同センターの資料は、駿河区の市立南部図書館地下室に預けていた4箱分が約60センチの浸水による被害を受けた。カビや劣化を防ぐため、業務用冷凍庫に保管し、解凍後に水で洗ったりエタノールで殺菌したりして乾燥させた。 被災して約1週間後に状況を確認したNPO文化財を守る会(葵区)の友田千恵理事長は「初動が遅く
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被災支援円滑化へ整備 前線拠点を設置方針 藤枝市
藤枝市の北村正平市長は6日の市議会2月定例月議会一般質問で、災害ボランティアの支援活動の円滑化に向け、災害時に地域の被災状況に応じて活動場所の近くに前線拠点となる「サテライトセンター」を設置する方針を示した。八木勝氏(藤のまち未来)への答弁。 市大規模災害対策課によると、事務所や駐車場、アクセス性を考慮して地区交流センターなど複数の候補施設を検討する。必要な被災情報や市民からの支援要請について市が集約した情報を円滑に提供するため、市職員を連絡調整要員として活動運営拠点の災害ボランティアセンターに配置し、サテライトセンターとの迅速な情報共有につながる態勢を整える。 災害ボランティアセンター
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BCP、4月から策定義務化 静岡県内介護事業者 見直し機運高まる 能登地震受け危機感 実効性ある運用へ
4月から事業継続計画(BCP)の策定が義務付けられる介護事業者で、能登半島地震を受けて実効性のある計画運用や見直しの意識が高まっている。要介護者の屋外避難は難しく、限られたスタッフで施設内の被災生活を余儀なくされる可能性が高い。大規模災害のたびに突き付けられる課題にどう対応するか。関係者は「BCP策定は防災の始まり。終わりはない」と対策に磨きをかける。 海岸線から約300メートルの高台に立地する特別養護老人ホーム「久能の里」(静岡市駿河区)。建物北側に裏山が広がり、東西には川も流れる。大地震による土砂崩れで道路や河川が寸断されれば、避難や救助、支援活動は困難を極める。2022年9月に策定し
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「大鉄は観光誘客の核」 静大名誉教授、島田で講演 早期の全線復旧訴え
川根本町の町民らでつくる「大井川鉄道全線復旧を支援する会」は25日、静岡大学の土居英二名誉教授(経済統計学)を招いた講演会「大井川鉄道と地域の関わり」を島田市川根町家山の市川根文化センター「チャリム21」で開いた。地域住民ら約70人が参加した。 土居名誉教授は、2022年秋の台風15号被害による大鉄の一部不通が同年に川根本町に与えた経済的影響を試算。鉄道事業に約2億4400万円、宿泊業に約3億円、飲食や小売業に約3億6500万円の損失が発生したと示した。また、農業や輸送への影響も加味して通年換算すると、同町の経済損失は年間約12億円に上ると説明した。 20年前と比較した町内の就業者数も紹
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【2024注目予算】島田市 コテージに露天風呂 市施設 観光路線強化
「蒸気機関車(SL)の存在が誘客に直結するのを実感した」。SLが見える温泉として、島田市内外から観光客らが訪れる「川根温泉ふれあいの泉」(同市川根町笹間渡)の三浦俊夫支配人は語る。昨年10月、1年ぶりに大井川鉄道が最寄りの川根温泉笹間渡駅まで延伸再開。SL風景が戻ったことで、客数や客単価の回復を肌で感じている。 同温泉は、日帰り温泉をはじめ、コテージなどを兼ね備える川根町時代から続く市の観光施設。第三セクターの株式会社川根町温泉が運営する。市は利用者の満足度や稼働率の向上を目指し、4人棟コテージに露天風呂を新設するなど改修費2200万円を当初予算案に計上した。 コテージはコロナ禍で高まっ
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新年度予算案 川根本町
市町名(議会会期)①一般会計規模②前年度比伸び率③主要事業(事業費)の順 ◇川根本町(3月4日~22日予定)①63億8900万円②9・4%減③斎場建設(1億300万円)▽新スマート物流実装(1億円)▽し尿等中継槽建設(8000万円)▽観光誘客(2900万円)▽学校給食費減額(670万円)▽保育料軽減(410万円) ※2022年度の台風15号の復旧や義務教育学校開校に向けた校舎改修などが一段落し、前年度当初を下回ったが、新町建設計画に基づき、斎場建設やし尿等中継槽建設など大型ハード事業を始動し、過去6番目の予算規模となった。
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静岡県弁護士会の次期会長 梅田欣一さん【時の人】
弁護士の道を志したのは大学時代。在野で正義の実現を目指すことが自分の性分に合っていると直感した。「市民のお役に立てる弁護士会にしていきたい」。静岡県弁護士会の次期会長として立志の頃の決意を改めて胸に刻む。 取り組みの具体例として「土曜日法律相談」の活性化を挙げる。2018年4月にスタートしたが利用件数は低迷。「平日に仕事をする方にとっては需要があるはず」と周知方法などを見直して利用者拡大を図る。 1月1日に能登半島地震が発生し、災害時の支援の大切さを再認識した。「熱海土石流(21年)や台風15号(22年)による被害では、支部を超えて会員が生活再建などの被災者支援に当たった。今後も弁護士会
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大井川鉄道不通の影響を解説 25日、島田で講演会
川根本町の町民らでつくる「大井川鉄道全線復旧を支援する会」は25日午後1時半から、大井川鉄道と地域経済の関係をテーマにした講演会を島田市川根町家山の川根文化センターチャリム21で開く。 土居英二静岡大名誉教授を講師に招き、2022年秋の台風15号被害による大鉄の一部不通に伴う経済的な影響などを解説する。 参加無料。申し込み不要。希望者は直接会場へ。
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県土強靱化へ集中工事 防災・インフラ 住宅耐震化も加速【点検!静岡県予算案】
静岡県の2024年度当初予算案は、能登半島地震で顕在化した防災上の課題解消や、22、23年に相次いだ豪雨災害からの復旧、今後想定される巨大地震への対策にも重点を置いた。 能登半島地震では、道路寸断で多くの孤立集落が発生した。本県も同様の課題を抱えている。自然災害の激甚化が叫ばれる中、県は人命救助や物資輸送などの“生命線”になる緊急輸送路などののり面37カ所をはじめ、河川、港湾、砂防ダムなど計約200カ所で集中的に防災工事を行う県土強靱(きょうじん)化対策事業に総額40億円を投入して被害拡大の防止を図る。 県中西部を襲った22年9月の台風15号などで浸水被害があった
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交付税重点配分 川根本町長求める 総務副大臣に
川根本町の薗田靖邦町長は14日、総務省で馬場成志副大臣と面会し、2023年度の特別交付税の重点配分を要望した。22年の台風15号、23年の台風2号による災害からの復旧や経済の活性化、過疎・人口減少対策に取り組む必要があるとして、約7億円を求めた。 薗田町長は取材に「台風の復旧工事はようやく着手できた段階で、しっかりと道筋を付けなければいけない。大井川鉄道の運休に伴う代行バス運行の補助事業といった特殊事情もある」と説明。「地域振興も含めたさまざまな面で配慮をお願いした。前向きに対応してもらえたと思う」との認識を示した。 同町の22年度特別交付税実績は4億1800万円。
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危機管理総室「局」に格上げ 静岡市 組織改正
静岡市は2024年度の組織機構改正で、部相当の危機管理総室を局相当の危機管理局に格上げし、災害対応体制を強化する。2022年9月の台風15号災害対応の反省を踏まえた措置。8日開会した市議会2月定例会に関係する条例改正案を提出した。 市総務課によると、改正後の危機管理局では、自然災害や感染症への対応について全庁的な調整の役割を担い、局長級ポストの危機管理監が同局長を兼務する。局内は危機管理課の1課編成で、職員を24人から25人に増やす。4係体制は変更しない。局次長級ポストの危機管理総室長は廃止し、他局と同じように局次長を置く。 市は23年8月、難波喬司市長のもとで台風15号の行政対応が遅れた原
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静岡人インタビュー「この人」 高校生有志団体「US(アス)」の代表 川畠慎之介さん(静岡市駿河区)
静岡県内の地元企業や団体がSDGsにちなんだ活動を発表する静岡SDGs万博を企画し、25日に静岡市葵区の中心部で開く。同じ高校の生徒6人と開催準備を進めている。若者の事業を支援する「若者チャレンジファンド」の選考会で、高校生の団体として初めて採択された。駿河総合高3年。18歳。 -団体の具体的な活動は。 「ワークショップとして廃棄野菜を使ったスタンプでのエコバッグ作りを親子向けに展開するなどSDGsがテーマの活動を続けている。認知症カフェを開催したり、2022年の台風15号では発生数日後に地元企業に協力を得て支援物資をスーパーで配布したりもしてきた」 -大事にしていることは。 「『と
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本年度特別交付税 市長 18億円を要望 島田市
島田市の染谷絹代市長は5日、総務省で松本剛明総務相と面会し、2023年度の特別交付税を増額するよう要望した。市内の道路や鉄道、農業用施設、河川に多数の被害が発生した22年9月の台風15号、23年6月の台風2号による災害からの復旧などに必要だとして、18億円を求めた。 染谷市長は終了後の取材に「台風の爪痕がまだ残っていて、復旧は道半ばだ」と説明。市の主力である茶業の活性化に向けた基盤整備や担い手育成に取り組む重要性、エネルギー価格の高騰による厳しい財政運営の実情も訴えた。「(松本氏から)好意的に理解してもらえた」と述べた。 同市への特別交付税は近年、10億円台を中心に推移し、22年度は約1
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能登地震災害廃棄物処理へ 静岡市、収集車と職員派遣
静岡市は31日、能登半島地震で発生した災害廃棄物の処理を支援する市収集業務課職員の第1陣10人を石川県へ派遣した。2月3日まで、被災地のごみ集積所にたまった災害廃棄物を分別場まで運搬する活動などを行う。 同市葵区の沼上収集センターで開かれた出発式で、市環境局の田嶋太局長は「2022年に市内で起きた台風15号被害の経験を生かし、能登半島の方々の一日も早い復興のために努めてもらいたい」と激励した。派遣される職員は「地域の安心安全のために活動する」と気を引き締めた。 関係者が手を振って見送る中、職員10人はごみ収集車4台とトラック1台に分乗して出発。2月1日朝から活動を始める。3日以降も第2陣、第
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水循環計画、策定案了承 緊急度高い圏域から作業 静岡県環境審
静岡県環境審議会(会長・藤川格司常葉大名誉教授)は30日、県庁で会合を開き、静岡県内8圏域(伊豆海岸、狩野川、富士川、安倍川、大井川・菊川、太田川、天竜川、浜名湖)で策定する流域水循環計画について、各流域の現状や課題を点数化して、緊急度が高いと評価された圏域から策定を進める水循環保全部会の案を了承した。審議会は近く川勝平太知事に答申する。 同部会の案は、水質、水量、災害・治水など5分野計26項目の指標を20~100点で採点して合計点を算出。そこから「河川やダムの濁りによる水産資源への影響」「気候変動に伴う水害の激甚化」「森林荒廃による水源涵養(かんよう)機能の低下」といった9項目の課題のう
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女性防災リーダー育成へ経験伝える 川根本町
「地域で活躍する女性防災リーダー育成講座」(県主催)が28日、川根本町の文化会館で開かれた。日本ファシリテーション協会フェロー・災害復興委員会の鈴木まり子さんを講師に招き、同町の女性ら約50人が参加した。 鈴木さんは2021年の熱海土石流や22年の台風15号などで災害支援に携わった経験を説明。避難所での話し合いに女性がいなかった事例を紹介し、下着や生理用品の受け取りなどで女性への配慮が足りなかったと解説した。また、料理は女性が行うなど性別を理由にした役割分担も多いと危機感を示した。講座後は、参加者同士で「今できること」をテーマに話し合うワークショップも開かれた。 鈴木さんは「普段の訓練から女
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水道管の耐震化進まず、静岡県43% 財政難や人手不足が課題、災害復旧に影響
能登半島地震では水道施設が甚大な被害を受け、断水の長期化が課題となっている。南海トラフ巨大地震が想定される静岡県でも対策は急務だが、主要な水道管の耐震化率は自治体の財政難や人手不足もあって4割強にとどまる。被災地で復旧や給水に当たった自治体職員らはインフラ整備の重要性を指摘する。 「復旧作業がいつ終わるのか見通せない。長期戦を覚悟しなければ」 石川県珠洲市で水道施設の被災状況を調査した浜松市水道工事課の河村栄二技監(49)は現地の深刻な状況を語った。道路があちこちで陥没し、損傷箇所の特定も容易ではなかったという。「効率的に耐震化を進める必要がある」と教訓を口にした。 被災地では全国の
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静岡市「災害に強い」否定回答59% 22年台風15号対応影響か 市民意識調査
静岡市は22日、2023年度の市民意識調査結果を公表した。市での暮らしぶりやまちの印象を尋ねた満足度調査のうち、「災害に強く、安全・安心に暮らせるまちだと思うか」を聞いた設問では、「あまりそう思わない」「思わない」の否定的な回答の合計が59・5%となり、「そう思う」「ある程度そう思う」の肯定的な回答の合計32・2%を大幅に上回った。担当者は、22年9月の台風15号の災害対応の影響があったと分析している。 否定的な回答の割合は前年度と比べて21・0ポイント増え、この設問を設けた12年度以降で最も高かった。一方、肯定的な回答は前年度比21・0ポイント減で、過去最低だった。 回答者の居住区別
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大鉄不通で乗客5万5000人減 川根本町、影響を試算 寸又峡宿泊は1万人減
川根本町の観光関係者らでつくる「持続可能な寸又峡づくり実現の会」(望月孝之会長)は19日、島田市内で会合を開いた。土居英二静岡大名誉教授が試算した大井川鉄道の一部不通による経済的な影響を報告した。 2022年秋の台風15号被害による一部区間の運転見合わせにより、22年度下期(10~3月)で乗客数5万5千人、鉄道収入として1億2200万円の減少が発生したと算出した。寸又峡温泉の宿泊客数は同年度下期(同)で1万人の減少、宿泊費として1億5300万円の収入減を推計した。 21年度上期(4~9月)と22年度上期(同)を比較した観光客数の回復傾向が、22年度下期(10~3月)も継続した場合の予測値
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水災害「新たなステージ」 河川審議会で県リポート案 流域治水の必要性強調
静岡県河川審議会(会長・大石哲神戸大教授)が19日、静岡市葵区の県地震防災センターで開かれた。県は2022年の台風15号、23年の台風2号で被災した教訓を踏まえ「新たなステージに入った水災害に対する取り組み」のリポート案を示し、氾濫防止や被害対象の減少などに向けて県河川砂防局が取り組む29項目の重点対策や工程を提示した。 22年の台風15号は、県中部で24時間最大雨量が400~500ミリに達し、5700戸以上で床上浸水した。23年の台風2号でも複数箇所で同500ミリ超を観測し、広域で浸水被害に見舞われた。 リポート案では、県内で時間雨量50ミリ以上の降雨が30年前に比べ1・4倍に増え、水
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南アルプス県道トンネル 掘削開始 夏にずれ込む 静岡市【大井川とリニア】
リニア中央新幹線建設の工事車両の通行ルートとして静岡市葵区に建設中の県道南アルプス公園線トンネルについて、2023年度内を予定していた掘削工事着手が、夏頃にずれ込む見通しになったことが、17日までの市への取材で分かった。22年9月の台風15号や23年3月に発生した県道三ツ峰落合線での落石で、工事現場に通じる道路が通行止めになったことなどが影響したとしている。 新設するのは葵区の玉川地区と井川地区を結ぶ全長4・6キロのトンネル。市は現在、出入り口付近で仮設道路の建設や建築資材や重機を置く河川内への仮設構台の設置などを進めている。 玉川側では仮設道路の設置は完了済み。2月中に仮設構台の設置が
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講演とセットで子ども食堂 仏料理店「ボンマスダ」(清水区)に実行章 静岡市
「小さな親切」運動県本部は15日、7年前の開店以来無料の子ども食堂を店内で開いているフランス料理店「ボンマスダ」=静岡市清水区江尻東=に実行章を送った。 同店は「子どもたちが進む未来を、大人が明るく照らしてあげるべき」との思いから、食育の一環として1カ月に1回程度、サッカー選手やアナウンサー、茶農家などのゲストによる講演とセットで子どもたちにフランス料理などを無料で提供している。一昨年の台風15号による断水では、水の配布などのボランティア活動も実施した。 店主の増田慎一さん(46)は「子ども食堂で学んだ子どもが大人になったときに、社会貢献活動に関心のある人になってほしい」と話した。 贈
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能登支援状況を共有 平時の連携強化提案 島田市社協 地震受け、市内事業所と会合
島田市社会福祉協議会は17日、能登半島地震の被災地支援の状況を市内の事業所と把握、共有する「しまつなカフェ」を同協議会で開いた。 NPO法人や通所介護施設、電力や保険会社などの担当者と社協職員の計8人が参加し、募金活動や電力復旧に向けた社員の派遣など地震に関連した各事業所の取り組みを紹介した。事業継続計画(BCP)の共有や防災訓練の共同実施も互いに提案した。 同協議会は大規模災害を念頭に、平時から民間団体と情報共有に取り組むプロジェクトも提案した。2022年9月の台風15号の際、川根地区で災害やボランティアの情報が行き届かず、社協と行政の連携だけでは限界があったという。年数回の会合をはじめ、
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能登の被災者へ寄付車出発 日本カーシェアリング協静岡支部
日本カーシェアリング協会静岡支部(富士市)は12日、能登半島地震の被災者に使ってもらうため、同支部から石川県に向けて車の搬送を開始した。本県からは計40台ほどをボランティアが運転して届ける予定。 同日夕から夜にかけて、ボランティアが支部に集まり、整備済みの軽トラックや乗用車に乗り込んで石川県能美市の参集場所に向けて出発した。車両はいずれも静岡県内をはじめとする有志や関連団体からの寄付で、地震発生を受けて同支部で点検整備を行い、協賛企業から贈られたスタッドレスタイヤへの交換を進めている。 協会は石川県七尾市の和倉温泉付近に支援拠点を設け、10日から利用受付を始めた。現地調査では家屋の下敷きにな
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静岡県内在住者ハーレーチーム 闘病の仲間へ また、風を切ろう 願いの千羽鶴
「治療を終えたらまたみんなで風を切ろう」。大型バイク「ハーレーダビッドソン」の愛好家でつくる静岡県内在住者の男性チーム「龍神」が、白血病を患うメンバーのために千羽鶴を制作した。重さ数百キロのハーレーを乗りこなす面々のほとんどが折り鶴は数十年ぶりといい、指先の繊細な作業に苦戦した。それでも仲間の快気を願い、年代も居住地も職種も異なる一人一人が思いを一つにして、昨年末に完成させた。 チームは2015年に結成し、SNSを通じて県内から集まった40~60代の男性20人が所属する。季節を問わず月1回のツーリングを企画し、富士山や伊豆、御前崎など県内を中心に観光名所を訪れて名物やスイーツを堪能するのが
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【2023年 十大ニュース 静岡県内】袴田さんの再審始まる/清水立体工事現場で橋桁落下
静岡新聞社は県内の今年の十大ニュースを選んだ。1位は袴田巌さん(87)の再審開始。2位は静岡市清水区で発生した国道1号静清バイパスの立体化工事現場での橋桁落下事故。3位に静岡、浜松両政令市長選で新市長誕生、が入った。 ①袴田巌さんの再審始まる 再審開始の決定を受けて笑顔を見せる袴田ひで子さん(右手前)=3月13日、東京・霞が関 ドライブを終え帰宅する袴田巌さん。散歩中に再審開始が認められたが、拘禁症状がある袴田さんの体調に配慮し、決定内容は伝えられなかった=3月13日、浜松市中区 現在の静岡市清水区で1966年、一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さ
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トーマス号、24年も会えるよ 大井川鉄道が6~12月運行
大井川鉄道(本社・島田市)は2024年も蒸気機関車(SL)「きかんしゃトーマス号」を運行する。期間は6~12月を予定していて、区間は大井川本線の新金谷―川根温泉笹間渡間に拡大する。 22年9月の台風15号被害による一部区間の運休で、23年は新金谷―家山間の運転だった。川根温泉笹間渡までの延伸再開に伴い、およそ2年ぶりにトーマス号が大井川本流を渡る。 運行の問い合わせは大鉄SLセンター<電0547(45)4112>へ。
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水防対応 市町でばらつき 警戒活動や情報共有 静岡県調査
静岡県内に大きな爪痕を残した2022、23年の台風災害を受け、静岡県が35市町に実施した水防活動に関するアンケートで、被害の報告や河川の巡視などの対応が市町によってばらつきがあることが分かった。県は水防法に基づく水防団、消防団の役割の再確認を呼びかけるとともに、市町が避難指示を出す際の判断などを支援するハード、ソフト面の対策を検討している。 調査は12月1~18日に実施した。県によると、水防業務を所管する部局は危機管理、建設、消防と市町によって異なる。そのため災害時に「被害の報告は最終的にどこまで上げることになっているか」との質問に、80%の市町が災害対策本部と答えた一方、消防本部(8・
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堆積物への対応迅速化 浜松市、対策チーム発足
浜松市は27日に市役所で開いた市防災会議で、土砂災害や内水氾濫の後に問題となる堆積物への対応を迅速化させるため、庁内に「土砂災害対策チーム」を新設したと報告した。危機管理課、環境部、農林水産担当、都市整備部、土木部の5部署が連携し、堆積物が問題となるケースが生じた場合に会議を開いて解決策を協議する。 災害で土砂や流木が堆積した場合、その場所を所管する部署が個別に対応しているが、民有地では行政機関が堆積物の除去を支援する法的根拠が乏しく、住民の悩みに十分な対応ができていない。6月2日の豪雨では河川流域で広範囲に土砂が堆積し、深刻な地域課題になったことから、新たなチームを置くことで各部署が所管
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静岡県西部、台風2号で記録的豪雨 爪痕今も...復旧は道半ば【追跡2023④】
記録的な豪雨がもたらした深い爪痕は、半年がたった今もはっきりと残っていた。6月に県内を襲った台風2号。磐田市を流れる敷地川は昨年の台風15号に続いて堤防が決壊して氾濫が発生し、浜松市内では山間部を中心に土砂崩れが相次いで発生した。いずれも復旧までは道半ばだが、活気を取り戻そうと動き始めた被災者もいる。 「やらなければいけないことが多過ぎて、手の施しようがなかった」。柿や白ネギ、米を生産する柳沢重博さん(62)=磐田市=は苦しい胸の内を明かした。わずか1年足らずで2度の天災。あたり一帯は濁流にのみ込まれ、田んぼに水を供給する施設も壊れた。「米作りができなくなり、農業を辞める人が相次いだ。
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敷地川で「流域治水」推進 磐田、袋井市 静岡県が協議会 3月までに災害対策
静岡県と磐田、袋井両市は25日、昨年9月と今年6月の台風に伴う豪雨で堤防が2度決壊した敷地川の流域治水対策推進協議会を設立した。近年の自然災害の激甚化・頻発化を踏まえ、ハード・ソフト両面の取り組みで、決壊箇所だけでなく流域全体の被害防止・軽減を図る。対策メニューを盛り込んだ水災害対策プランを来年3月中旬までに策定・公表することを目指す。 磐田市内の決壊箇所では2025年6月の完了を目指し、約400メートルの区間で川幅を広げるなどの改良復旧工事が進められている。一方で、昨年9月の台風15号では敷地川沿いの広範囲で浸水被害が相次いだことから、①氾濫をできるだけ防ぐ②被害対象を減らす③被害を軽減
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水害 静岡県被害額最多1951億円 22年台風15号影響
国土交通省は22日、2022年の全国の洪水や津波、地滑りなどの水害による建物やインフラの被害額(暫定値)を計約6千億円と発表した。本県は都道府県別で最も多い1951億9800万円だった。 静岡県は1961年の統計開始以来、最大の被害額となった。2022年9月の台風15号による被害が約1900億円で大半を占めた。このうち、住宅や農作物などの一般資産等被害額が約1630億円。台風15号で浸水や土砂災害の被害を受けた建物棟数の9割以上が本県で、9578棟に上った。 22年を通じた全国の被害建物棟数は約2万2千棟、水害区域面積は約3万1千ヘクタールで、被害額は過去10年間で4番目の規模。都道府県
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大自在(12月22日)新聞感想文コンクール
「支えあうために」「私ができること」「誰もが受け入れられる未来へ」。 2023年度しずおか新聞感想文コンクールの小学生、中学生、高校生各部門最優秀賞を紹介した7日付特集面。それぞれの作品のタイトルから拾った言葉を並べると、ページ全体を表す見出しになるように思われた。 東海大静岡翔洋小6年の小曽根杏樹さんは、黄色いハンカチで安否確認する自主防災隊の訓練を伝えた記事に昨年の台風15号で受けた断水被害の記憶がよみがえった。「みんなが黄色いハンカチを用意していれば、困っている人から優先して助けられたかも」。自治会の集会で提案したい―と決意を添えた。 認知症の祖母がいる掛川西中1年の礒部葵衣さん
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科学研究の成果 小中生発表 静大の支援講座
科学研究に取り組む子どもたちを支援する静岡大の講座「静岡STEAMフューチャースクール」はこのほど、本年度の探究活動発表会を静岡市駿河区の同大で開いた。小中学生約50人が自身でテーマを設定し、半年かけて行った研究の成果を他の受講生や保護者らに発表した。 テーマは「サッカーボールのどこを蹴れば一番カーブするのか」「災害時により簡単に水を温める方法は」など素朴な疑問を題材にしたユニークなものばかり。静岡大付属静岡小6年の小泉尚志君は「探せ 身近にある石」と題して昨年9月の台風15号前後の安倍川にある石の大きさを比較した。台風直後は川の増水によって大きな石が増えたものの、徐々に元通りになったとの結
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農業者収入保険、22年の支払額11.5億円 静岡県内ほぼ横ばい
農業者の収入保険を取り扱う静岡県農業共済組合(NOSAI静岡)が19日までにまとめた2022年の保険金等支払額は、約11億5千万円だった。台風15号など自然災害の被害が発生したが、前年比ほぼ横ばいで推移した。一方、加入経営体数は年々増加し、予期せぬ事態への備えとして利用が広がっている。 保険金を受け取った農家の主な作物はお茶40%、ウンシュウミカン29%、イチゴ7%。減収要因は価格低下が43%と最多で、病害虫28%、気象災害20%が続いた。保険期間終了前に保険金を支払うつなぎ融資も59件、総額1億3897万円実施した。 同保険は農業収入が原則過去5年平均の90%を下回った場合、差額の90
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荒廃茶園をワサビ田に 静岡県が基盤整備計画 災害リスク抑え安定生産へ 葵区中山間地
昨年夏の台風15号で甚大な被害を受けた静岡県産ワサビの安定生産に向け、県は2024年度から静岡市葵区でワサビ田の基盤整備に乗り出す方針を固めた。新たな造成地として活用するのは、価格低迷や生産者の高齢化で荒廃が進む同市中山間地の茶畑。ワサビ栽培発祥の地で知られる有東木地区を含めたオクシズ一帯で、今後数期に分けて継続的なワサビ田の整備に向けた検討を進める。 市街地から車で約50分。同区内匠(たくみ)地区の曲がりくねった細い山道を進むと、枯れた赤い葉が所々に目立つ茶畑が広がる。今年の一番茶を最後に生産を終え、今は誰も管理していない。「この辺りには荒廃茶園がいくらでもある」と安倍山葵業組合の出雲
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静岡県24年度予算 612億円財源不足と試算
静岡県は14日、2024年度当初予算編成のたたき台となる一般会計の部局調整案をまとめた。歳出が歳入を上回る財源不足額が23年度当初予算と比べて74億円増加して612億円になるとの試算を公表した。国の予算や地方財政対策の状況を精査しつつ、不足額の縮減を図る。 試算には24年度から始まる「こども・子育て支援加速化プラン」関連の影響額は含まれていない。 歳出総額は、23年度当初予算比で3・1%減の1兆3285億円となった。 部局別の歳出は、新型コロナウイルス関連経費が減少するものの、健康福祉部が2652億円(23年度当初比17・7%減)で最多。経営管理部2646億円、教育委員会2190億円、
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湯日川水系整備の計画修正原案示す 県島田土木事務所
静岡県島田土木事務所は14日、第4回湯日川水系流域委員会を島田市の同事務所で開き、今後20年間の河川整備目標などを定めた湯日川水系河川整備計画の修正原案を示した。学識経験者や地域の代表者らでつくる委員の意見などを踏まえ、年度内の策定を目指す。 湯日川は同市と吉田町を流れ、駿河湾に注ぐ延長15・9キロの2級河川。2021年12月の第3回会合で委員から出た意見を反映した修正原案では、流域の現状や課題、河川整備の基本方針などをまとめた。22年9月の台風15号による流域の被害状況も報告した。 委員からは洪水時に発生するごみ対策などを求める意見が聞かれた。委員長を務めた田中博通東海大名誉教授は「近年の
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慈善公演収益金 県ボラ協に寄付 静岡・ハーモネット
静岡市で活動するハーモニカサークル「ハーモネット」は13日、先月17日に同市葵区で開いたチャリティーコンサートで集めた浄財などを原資とする現金10万円を県ボランティア協会に寄付した。同区の同協会で贈呈式が行われ、同サークルの石川圭之代表(82)が小野田全宏理事長に寄付金を手渡した。寄付金は災害復興支援に活用される。 コンサート当日は約500人が来場した。会場内に募金箱を設置し、寄付金を募った。石川代表は「チャリティーに協力している喜びもあり、コンサートを続けてこられた」と語り、開催の継続に意欲を示した。 贈呈式で小野田理事長が昨年9月の台風15号で被災した同区の旅館「油山苑」が年明けにも宿泊
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台風2度被災世帯 支援へ訪問調査 磐田市
磐田市は11日、昨年9月と今年6月の台風に伴う豪雨で2度被災した世帯を対象に、訪問調査を実施した。生活再建が進む中、市は、現在の被災者の健康状態などを把握することで継続的な支援につなげる。 市と市社会福祉協議会の職員が2人一組で被災宅を訪問し、心身の健康状態や困りごとについて聞き取った。自宅が2度浸水被害を受けた月花忠さん(80)=同市敷地=は「トタンや木などが自宅に流れ込んだ。当時は片付けに必死だったので、腰が痛くなり、2カ月ほど通院していた」と明かし、「雨が強く降ると不安になることがある。行政の方が様子を見に来てくれて心強い」と話した。 同市では昨年の台風15号と今年の台風2号による大雨
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水源確保の最適案選定 清水地区検討部会 6案組み合わせ 静岡市
2022年9月の台風15号で大規模な断水が発生した静岡市清水区南部の新たな水源を検討する「清水地区水源検討部会」はこのほど、第4回会合を葵区の市上下水道庁舎で開いた。実現性やコストなどを考慮して前回までに絞り込んだ取水手段9案のうち、民間井戸の活用やポンプ車の使用など6案を組み合わせた方策を最適案に選定した。 6案は、他の系統からの水融通(北部、南部、和田島の3案)▽井戸の新設▽民間井戸の活用▽ポンプ車等の使用―。 渇水や風水害、河川水汚染が生じた場合の有効性や事業期間、コスト、開発水量などを勘案して決定した。6案を組み合わせた際の総事業費は約20億8千万円を見込む。 残りの3案のうち
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災害現場の測量 スマホで省力化 静岡県取り組み「優秀政策」に
スマートフォンなどのモバイル端末を使って3次元点群データを構築し、災害現場の測量や図面作成などの省力化を図る静岡県の取り組みがこのほど、全国知事会の「先進政策バンク」の優秀政策(デジタル部門)に選ばれた。小規模な現場であれば、職員1人でも現場の情報を正確に読み取ることができ、予算や時間の大幅な縮減も可能。自然災害が頻発する中、県の担当者は「市町でも活用してほしい」と期待している。 県の取り組みは、レーザー光で距離や位置を測定する「LiDAR(ライダー)」センサーを搭載したモバイル端末で空間をスキャン。3次元点群データを基につくられた現場の画像をあらゆる角度から見たり、計測したりすることが端
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被災者支援、住宅の迅速な提供体制必要 静岡の2022年台風15号 研究者ら指摘
昨年9月の台風15号を踏まえ、被災した人々や中小零細企業への支援のあり方を考える公開シンポジウムが3日、静岡市駿河区の常葉大静岡草薙キャンパスで開かれた。被災者支援に当たった行政職員や研究者らが成果や課題を報告し、住宅支援を必要とする被災者に迅速に提供できる体制構築の必要性が指摘された。 2、3両日に同キャンパスで開かれた日本災害復興学会静岡大会の一環。住宅支援に関し、同市の担当者は、床上浸水しても法的な要件を満たさず支援が受けられなかった世帯に対し、独自財源で支援できたものの1カ月以上を要した事例を説明した。被災者支援に当たった県弁護士会の永野海弁護士は、独自支援は評価した上で「最も住ま
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昨秋浸水の狢川 河床の状態良好 東区、10月調査 浜松市議会
伏木章尋土木部長は、東区積志地区周辺を流れる狢(むじな)川について、10月に調査を実施したところ、堆積土砂はなく河床の状態は良好だったと報告した。2022年9月の台風15号で多数の浸水被害が発生したため堆積土砂の撤去、水草の除去を行っていた。鈴木氏への答弁。 河川課によると、狢川は浜北区横須賀を起点に中区早出町の馬込川に合流する延長7・1キロの準用河川。10月の調査は合流部から遠州鉄道西ケ崎駅までの5・2キロ区間が対象。土砂は堆積していなかったが水草は繁茂していたため、除去して次の出水期に備える。 狢川流域は市が見直しを進めている総合雨水対策計画の重点対策エリアで、川の排水能力が低い上に
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リニア「一定の前進」 田代ダム案了解に 川勝知事と国会議員意見交換
川勝平太知事と県内関係国会議員の意見交換会が30日、与党と野党・無所属の2回に分けて国会内で開かれた。4年ぶりとなった与党との会合では、リニア中央新幹線トンネル工事湧水の県外流出対策「田代ダム取水抑制案」を県が了解したことを巡り、早期整備へ「一定の前進だ」と評価する声が議員から上がった。=関連記事26面へ 冒頭を除き非公開。自民党県連の城内実会長(衆院静岡7区)によると、知事はリニアについて「整備促進を基本に、全線開業の前倒しを目指す立場」と改めて述べた。議員側からは生物多様性や残土処理などの課題も「科学的根拠に基づいた丁寧な議論の積み重ねを」との注文があった。 城内氏は「国会議員も含め
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大井川鉄道、全線再開に22億円 被災当時想定から膨らむ 自社負担8.4億
静岡県は29日、昨年9月の台風15号で被災し一部区間の運休が続く大井川鉄道(島田市)について、全線での運行再開に必要な費用が総額で約22億円に上ると明らかにした。鉄道・運輸機構や鉄道総合技術研究所による現地調査を踏まえて精査した結果、当初想定された約19億円から膨らんだ。大鉄の負担額は8・4億円以上になる見込み。県や地元市町による支援策や資金調達の方法を今後議論する。 同日に県庁で開かれた「大井川鉄道本線沿線における公共交通のあり方検討会」で報告した。大鉄の鈴木肇社長は会合後の取材に、「コロナ禍で赤字が続き、企業単独で負担するのは難しい。復旧の道筋は立っていないのが現状だ」と述べた。工事
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昨秋台風被災の静岡市葵区油山 再発防止へ砂防ダム増設 静岡県が2カ所着工、来年5月完成目指す
静岡県はこのほど、昨年9月の台風15号で土石流が発生し旅館や民家が被災した静岡市葵区油山地区で再発防止のため、油山川の上流2カ所に砂防ダムを増設する工事に本格着手した。上流部の道路を埋め尽くした土砂や岩石の除去が難航し、発災から約1年2カ月たってやっと大規模工事にこぎ着けた。出水期前の来年5月末までに完成を目指す。 上流部には元々2カ所に治山ダム、3カ所に砂防ダムが設置されていた。だが昨年の台風15号では線状降水帯に伴う大雨で山崩れが起き、土石流が砂防ダムの容量を超えて押し寄せた。再発防止に向け、県は既設の砂防ダムにたまった土砂を掘削して機能を回復。その上で既設ダムの下流1カ所に幅約50
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2度の台風で浸水―規格外の柿をプリンに 磐田・柳沢農園 菓子店とタッグ
昨年9月と今年6月の台風による豪雨で、浸水被害に見舞われた磐田市敷地の柿農家が、老舗菓子店「玉華堂」(磐田市)と連携し、形が悪くて出荷できなかった敷地産の柿でプリンを完成させた。2度の水害を乗り越え、商品化に挑んだのは「柳沢農園」の柳沢重博さん(62)。「復活した敷地の柿を食べてほしい」と意気込み、24日から27日の期間限定で発売されるプリンをPRしている。 玉華堂の人気商品「極ぷりん」をベースに、柿の実がゴロゴロと入ったオレンジ色のジュレをのせた。傷があったり、形が悪かったりして従来は捨てられていた規格外の柿を使うことで、SDGs(持続可能な開発目標)にも寄与する。 柿の木約千本を管
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来年度の予算編成 静岡市に政策提言 市議会・創生静岡
静岡市議会第2会派の創生静岡は16日、市の2024年度当初予算編成に向けた政策提言書を難波喬司市長に提出した。重点要望事項として行財政改革の推進や大規模災害対応など危機管理体制の強化を掲げた。 「健全な市政運営の推進」「安全安心なまちづくり」など六つのテーマ別に計196項目の政策推進を求めた。行財政改革については、市役所清水庁舎の大規模改修やJR東静岡駅前でのアリーナ建設など大規模事業が検討される中、健全な財政運営に努めることを要望した。災害対策を巡っては、昨年の台風15号災害で脆弱(ぜいじゃく)性が露見した清水区南部の水道水源について早急な対応を求めた。 会派議員と市役所静岡庁舎を訪れた白
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「防災体制強化を」 静岡市に政策提言 市議会・志政会
静岡市議会会派の志政会(佐藤成子代表)は15日、2024年度当初予算編成に向けた政策提言を難波喬司市長に行った。アセットマネジメントの推進を通じた自治体経営体質の改革や22年9月の台風15号の教訓を生かした防災体制の強化などを求めた。 公共施設の統廃合や民営化などを行うアセットマネジメントでは、民間の力がうまく活用されていないと指摘し、民間の提案を積極的に取り入れるよう要望した。東静岡に整備を検討しているアリーナについては、渋滞や騒音対策など、市民の理解を得てから事業を進めるよう訴えた。 防災に関し、危機管理総室を中心に各部局の事業継続計画(BCP)の策定や自治会との連携体制の強化を要望。学
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地元・清水を盛り上げたい 静岡の酒店などイベント
静岡市清水区下野西の松永酒店はこのほど、同区三保のクラフトビール会社「ガルシアブリューイング」などとコラボし、酒や食を楽しむイベントを開いた。 昨年の台風15号で被災した地元を盛り上げようと企画した。今年8月に続き2回目の開催で、地元企業や店舗が出店。参加者らはビールを片手におにぎりや冷やし芋、焼き肉などを味わい、笑顔を浮かべた。 同店を営む松永美由紀さんは「今後も地域のいろんなお店に出てもらい、持続可能なイベントにしたい」と意気込んだ。
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静岡県内公立図書館 半数超に浸水リスク 想定区域の2割が対策「できていない」 静岡新聞社アンケート
静岡県内の公立図書館96館のうち、考えられる最大規模の降雨時に浸水すると国と県が想定する区域「洪水浸水想定区域」に位置している施設が51館あることが、11日までに静岡新聞社のアンケートで分かった。回答を寄せた94館の54・3%に上る。このうち、浸水対策が「できていない」「あまりできていない」と回答した施設が計10館(19・6%)あった。「十分できている」「ある程度できている」と回答した施設でも、館内にハザードマップを掲示していないなど、対策が不十分な現状が浮き彫りになった。 昨年9月の台風15号で静岡市立南部図書館の地下書庫が浸水し、約2万冊を廃棄する被害があった。図書館の浸水対策は喫緊
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災害対策の予算確保訴え 浜松市長、内閣府に要望
浜松市の中野祐介市長は8日、内閣府に堀井学副大臣を訪ね、国土強靱化(きょうじんか)の推進を要望した。市内で多数の被害が発生した昨年の台風15号、今年6月の台風2号を踏まえ、激甚化・頻発化する自然災害や予想される南海トラフ地震などに備える事業への予算確保を訴えた。 流域治水の支援、道路などインフラの老朽化対策、三遠南信自動車道の整備―の3点を主に挙げた。現在の国土強靱化5カ年加速化対策を着実に実行し、完了後も切れ目なく継続していく必要性も指摘した。 中野市長は取材に「市内でも中山間地域であれば土砂崩れ、南側では浸水など、地域によって被害の様相が異なることを理解してもらった」と説明した。堀井
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大井川鉄道、早期全線復旧を 支援する会が国交次官に要望書
川根本町の町民らでつくる「大井川鉄道全線復旧を支援する会」は7日、大井川本線の全線復旧の早期実現に向けた要望書を国土交通省に提出した。山口捷彦会長らが同省で和田信貴事務次官と面会し、町内外から寄せられた約3万5千筆の署名とともに届けた。 大鉄は昨年9月の台風15号により、全線で土砂流入などの被害を受けた。同12月16日に金谷―家山、今年10月1日に家山―川根温泉笹間渡で運転が再開されたが、残る川根温泉笹間渡―千頭の再開時期は未定。 要望書では「1年を超す不通は、沿線の高齢者や高校生などにとっても大きな不便を強いられているのをはじめ、観光・地域経済への影響は計り知れない」と指摘。県などによ
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防災・減災対策 志太労福協要望 藤枝市に提出
志太地区労働者福祉協議会(河合雄介会長)は31日、勤労市民の福祉向上のための要望書を藤枝市に提出した。要望は9項目。昨年9月の台風15号を考慮した防災・減災対策への取り組みや、全国で増加する子どもの自殺を踏まえた命を守るための対策強化、地域部活動への移行に向けた環境整備などを求めた。 河合会長ら同協議会の役員が市役所を訪れ、北村正平市長に手渡した。北村市長は「皆さんの意見を聞きながら、しっかり進めていきたい」と応じた。
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記者コラム「清流」 見過ごせない「共助死」
災害時に避難誘導などの共助の行動に伴う犠牲「共助死」が、近年の豪雨災害では毎年のように発生している。昨秋の台風15号でも、川根本町で地区の安全確認をしていた元副区長の男性が亡くなった。 「共助」と「死」。真逆とも言える言葉の組み合わせは少しショッキングに感じた。災害時の原則は自身の安全確保が第一だろう。復旧や復興にこそ、共助の力が発揮される。平時からの備えや地域の連携を確認しておくことも大切だ。 共助を強調し過ぎることで、助けに行くことが「当然」と捉えられてしまわないか。一方で、助からなくてもいい命はなく、簡単には答えが出ない。岩手県大槌町安渡地区は震災後、「救助は最初の15分まで」との
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5年ぶり体育大会 1000人の選手が満喫 静岡市
静岡市清水区連合体育会は29日、同区の清水総合運動場陸上競技場で「第21回市清水区民体育大会」を開いた。新型コロナウイルス感染症の感染拡大や、台風15号による被災の影響で5年ぶりの開催。 連合自治会対抗で、各地区の予選を勝ち上がったチームや、選抜チームの老若男女が玉運びリレーや縄跳びリレー、年齢別リレーに参加した。約千人の選手たちは笑顔でスポーツの秋を満喫していた。
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補正予算など3議案を可決 森町議会臨時会
森町議会は27日、臨時会を開き、600万円を追加する本年度一般会計補正予算案など3議案を原案通り可決した。 補正予算案には、2022年の台風15号に伴う豪雨により被災した鍛治島地区上田水道利用組合の飲料水供給施設の整備事業に対する補助金を計上した。補正後の総額は103億2558万円。
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官民連携で巴川治水対策 雨水貯留施設、計画の8割整備 公共用地確保に課題
静岡県静岡土木事務所は26日、巴川の流域治水対策の一環で、静岡市清水区の県営吉川団地で整備を進めている雨水貯留施設の工事現場を報道公開した。1974年7月の七夕豪雨を教訓に、官民連携で整備する雨水貯留施設の容量は計画目標値の約8割に達する一方で、県施設の整備率は42%にとどまる。2022年の台風15号災害など近年、激甚・頻発化する豪雨に対応できず、巴川流域で大規模な冠水が発生している。県は国の協力を得ながら整備を加速させたいとしている。 雨水貯留施設は、大雨時に一時的に雨水をため、河川水量を減らして下流域の負担を軽減する。巴川流域では80年代に整備が始まり、既に学校や公園、民間施設など約
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全国お茶まつり 福岡で28日開幕 全国闘茶会で健闘 市川桃子さん(静岡・市川園)
「一人前の茶商に」日々専心 東京の広告会社勤務を経て約3年前、実家で創業51年の市川園(静岡市駿河区)に就職した市川桃子さん(28)。男性中心の茶業界で戸惑いとやりがいを感じながら、日々の仕事に打ち込んでいる。9月に鹿児島県で開かれた全国茶審査技術競技大会(闘茶会)に、静岡茶業青年団初の女性団員として出場した。市川さんは「茶商として力をつけ、女性が活躍できる業界に変えていきたい」と未来を見据える。 Uターンのきっかけは新型コロナ禍。感染が拡大し始め、東京での生活に不安を抱き始めていたころ、父で社長の真太朗さん(53)から連絡があった。「戻ってこないか」。大学の卒業論文で日本茶の消費をテーマ
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年末の警戒推進や被害者支援に重点 清水署協議会
清水署協議会(山崎雅和会長)が25日、同署で開かれた。夏休み中のイベントやレジャーの際の事故防止や出水期の災害対策について振り返り、10~12月にかけての重点項目を決めた。 7~9月の業務推進結果として、コロナ禍から人出が回復傾向にある中で行われた清水七夕まつりなどの雑踏対策や海のレジャーなどでの水難事故防止活動、昨年の台風15号での被害を踏まえて実施した災害対策などを各課長が報告した。 10~12月にかけては犯罪被害者支援と年末特別警戒の推進の2点を重点項目とする。各種啓発・広報活動に注力するとともに、犯罪や事故を減らすためには関連機関との連携が不可欠との認識を共有した。
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二俣小生、ウナギのキッシュ調理 考案の天竜高生から学ぶ 浜松市
浜松市天竜区二俣町の二俣協働センターでこのほど、「小学生うなぎ料理教室」が行われた。二俣小の児童9人が参加し、天竜高の生徒に教わりながらウナギを使ったキッシュを作った。 二俣地区社会福祉協議会などが主催した。天竜高生が考案した「うなキッシュ」は浜名湖産ウナギや天竜産シイタケ、ホウレンソウや食パンなどで作る。児童らはエプロンと三角巾を着用して調理し、オーブンで焼き上げた後、机を囲んでキッシュをほおばった。 浜名湖養魚漁業協同組合がウナギを提供した。同組合は昨年、台風15号被害にあった同小児童を励ますために、ウナギのつかみ取り体験会を実施。今回、同組合の「高校生うなぎ料理コンテスト」に天竜高
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災害支援協定、検証の動き 静岡県内企業や団体 実効性確保が課題
熱海土石流や台風15号など県内で近年相次いだ災害を受け、静岡県内の企業や団体が大規模災害を見据えて締結した支援協定の内容を見直す動きを見せている。締結以来初めて災害に直面し、課題が浮き彫りになったことが背景。協定に基づく支援や受援が迅速、確実にできるか検討している。一方、見直しができていない組織もある。県や市町、民間事業者はさまざまな協定を結んでいて、実効性が確保できるか、点検する必要がありそうだ。 県や県社会福祉協議会などと2015年3月に結んだ協定の精査に取り組んでいる静岡銀行。「やいばを突きつけられたようだった」。その理由を、防災士で総務グループの八鍬晴康グループ長は切迫感のある言
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勤労者福祉向上へ 市に要望書提出 島田榛北労働者福祉協議会
島田榛北地区労働者福祉協議会(樋熊敦志会長)は24日、勤労者福祉向上に向けた要望書を島田市に提出した。 要望は勤労者世帯を対象に住宅取得の利子補給制度の再構築や学校教育支援員らの増員、特別教室へのエアコン設置など8項目。昨年9月の台風15号被害を念頭に置いた情報発信の強化、島田高近くの河川敷へ抜ける道路周辺の安全対策も求めた。 樋熊会長らが市役所を訪れ、染谷絹代市長に要望書を手渡した。
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台風被害 磐田・一雲済川の「流域治水」推進 静岡県と市が協議会設立
静岡県と磐田市は23日、昨年9月の台風15号で周辺地域が甚大な浸水被害に見舞われた一雲済川の流域治水対策推進協議会を設立した。温暖化に伴って高まる豪雨リスクを踏まえ、ハード・ソフト両面の取り組みを盛り込んだ水災害対策プランを来年2月下旬までに策定する。 一雲済川流域では台風15号に伴う豪雨で、200戸を超える浸水被害が発生。今年6月の台風2号の際も、支流の上野部川沿いで11戸が浸水した。協議会は、河川改修だけでなく、流域全体で効果的に防災・減災を図る流域治水対策を検討する。 袋井市山名町の県袋井土木事務所で開かれた第1回会合では、堤防のかさ上げや雨水貯留浸透施設の設置などのハード整備に加
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「小島陣屋跡」範囲追加 文化審答申 静岡の史跡、馬場跡
文化審議会は20日、被爆の痕跡や当時の姿を残す六つの建物からなる「広島原爆遺跡」(広島市)や、国内最大級の横穴墓群、十五郎穴横穴群(茨城県ひたちなか市)など9件を史跡に指定するよう盛山正仁文部科学相に答申した。このほか、静岡市清水区の小島陣屋(おじまじんや)跡など17件について範囲の追加も求めた。近く答申通り告示される。被爆した建造物の史跡指定は原爆ドーム、長崎原爆遺跡に続き3件目となる。 広島原爆遺跡は、爆心地近くの旧燃料会館(現・平和記念公園レストハウス)や、壁に窓ガラスの破片が突き刺さった痕が残る旧日本銀行広島支店、被害の一報を別の部隊に伝えたとされる旧中国軍管区司令部防空作戦室など
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大鉄の駅舎清掃 小さな親切実行章 全線復旧を支援する会
「小さな親切」運動県本部は18日、「大井川鉄道全線復旧を支援する会」に実行章を贈った。島田市の静岡銀行島田支店で贈呈式を行い、県本部島田地区支部長の岡山匡伸支店長が同会の山口捷彦会長に実行章を手渡した。 同会は昨年の台風15号の影響で運休している大井川鉄道の一部区間の駅舎周辺で窓ガラスを磨いたり、雑草を取り除いたりして、清掃活動を行ってきた。山口代表は「復旧した際に、町民や子どもたちが快適に利用できるよう今後も続けていきたい」と話した。
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治水関係予算増へ 国交省に要望提出 遠州4市町の期成同盟会
袋井、磐田、掛川、森の4市町でつくる太田川水系治水対策推進期成同盟会は19日、治水関係予算の拡大確保を求める要望書を国土交通省に提出した。昨年9月の台風15号、今年6月の台風2号で護岸崩壊などの被害が相次いだことを踏まえ、河川改修事業促進も訴えた。会長の大場規之袋井市長、副会長の草地博昭磐田市長らが、同省で小鑓隆史政務官に文書を届けた。 大場市長は面会後の取材に「台風15号、2号の被害の中でも、特に敷地川は同じ箇所が2度にわたって決壊し、地元にも負担をかけている。国によるこれまでのハード、ソフトの取り組みに感謝しつつ、さらに強力な支援をお願いした」と説明。小鑓氏は資金、技術の両面で継続して力
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アユ情報 狩野川(14~16日)ほか(友釣り)
狩野川(14~16日) 松ケ瀬つり橋12~22センチ2~26匹、矢熊橋アルバトロス前16~24センチ6~21匹、嵯峨沢橋17~20センチ8~18匹、宮田橋15~26センチ2~13匹、遠藤橋18~26センチ10~23匹。 (狩野川漁協) 興津川(14日) 19センチまでが清地つり橋2~3匹。20センチまでが清水橋2~4匹、和田島橋1~3匹、茂野島橋3~5匹。21センチまでが高瀬出合い2~4匹、片瀬えん堤3~5匹、広瀬えん堤2~6匹。11月から、昨年の台風15号被害の復旧工事が始まるため川に濁りが発生すると予想される。楽しめるのは今月いっぱいか。また、八木間新浦安橋上流端から河口までの区域
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台風で被災のビオトープにアサギマダラ 静岡の松野小 復旧に住民ら協力、児童喜び
昨秋の台風15号で浸水被害に遭った静岡市葵区の松野小(石原鉄也校長)のビオトープに、「旅するチョウ」として知られるアサギマダラが飛来している。静岡県内外のボランティアの協力で復旧後、アサギマダラが好むフジバカマの苗を地域住民からの提供で植栽した。児童や教職員は「多くの人のおかげで、アサギマダラが来てくれた」と喜んでいる。 3、4年生の14人は17日、総合的な学習の時間を活用し、ビオトープに飛来したチョウを観察した。フジバカマの先に止まった華麗な姿に「かわいい」と声を弾ませた。4年の松永空奈さん(9)は「来てくれてうれしい。地域の人たちに感謝したい」と話した。 同校のビオトープは昨年、台風
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被災者支援を延長継続 静岡市、台風15号対応 24年10月まで
静岡市は16日、昨年9月の台風15号で被災し、生活の再建に至っていない市民への継続支援策を発表した。一部は市単独事業として補助金利用期間を延長し、住宅被害を受けながら補助金を申請していない市民を支援する。 被災者生活再建支援法に基づく支援金の申請は、当初は今月23日までとした期限を2024年10月22日までの1年間延長する。全壊、大規模半壊、中規模半壊など、住宅の損壊の程度に応じて支給する基礎支援金と建設、補修など再建方法に応じて支給する加算支援金を合計し、最大で300万円を補助する。 準半壊以上の被害認定を受けた住宅の応急修理費用の一部を補助する「住宅の応急修理制度」は、国制度が9月2
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好記録目指して全力疾走 藤枝陸上競技協会 秋季記録会に135人
藤枝市陸上競技協会はこのほど、市秋季陸上記録会を藤枝総合運動公園陸上競技場で行った。志太地区の小学生から一般まで135人がエントリーし、自己記録の更新を狙った。 50メートルと100メートル、400メートル、800メートル、1500メートル、走り幅跳びの計6種目を実施した。子どもたちは仲間や家族の声援を受けて力走し、高校生や一般は好記録に挑んだ。 記録会は競技の普及を目的に、競技愛好者が自己記録を知り、仲間と親しむ機会として毎年行っている。昨年9月の台風15号の影響で2年ぶりの開催となった。
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各地方紙記者 取材事例報告【静岡で地方紙フォーラム】
遺族の言葉 道しるべに 河北新報社 池田旭記者 河北新報社 池田旭記者 6月12日で発生45年となった宮城県沖地震の取材で、犠牲者の家族を訪ね歩いた。「もう被災者ではない」「思い出したくない」と断られることが多かった。遺族に求められていないように感じ、節目で災害や事件を伝えることの意義を改めて考えさせられた。 そんな中、妻を亡くした96歳の男性と出会った。東日本大震災の遺族が生死に向き合う姿から伝承こそが残された人の役目と感じ、断っていた取材に初めて応じてくれた。「妻の死を無駄にしたくない。6月12日だけは、あの日を振り返ってほしい」と語った。 男性の言葉で、取材する意味を確かめられ
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災害見舞金拡充へ 焼津市長に要望書 市議会会派凌雲の会
焼津市議会会派「凌雲の会」は13日、市災害見舞金の支給額拡充についての要望書を中野弘道市長に提出した=写真=。中野市長は「前向きに検討していきたい」と答えた。 要望に訪れたのは池谷和正会長ら6人の市議。昨年の台風15号に伴い東益津地区で床上浸水が発生したことや、県で短期間に複数回被災した世帯を対象にした災害特別見舞金の創設といった動きを踏まえ、市民の負担を少しでも軽減できるよう支給額の拡充を求めた。 市の災害見舞金では、住居の床上浸水で1万円、住居の全焼、全壊、流出で5万円をいずれも一世帯に支給している。
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河川施設機能 維持、改良へ 浜松市協議会 水災害対策見直し
静岡県と浜松市の治水関連部局でつくる市流域治水対策推進協議会は13日、第7回会合を中区の県浜松総合庁舎で開いた。昨年9月発生の浜北区を中心とした局地的豪雨と、台風15号の影響で安間川、馬込川流域で浸水被害が起きたのを受け、改訂作業を進めてきた「水災害対策プラン」の具体的な見直し内容を共有した。河川施設の機能について維持、改良を行って被害軽減を図る。 既存施設の機能を維持し、十分な活用につなげる3年以内の「緊急対策」としては主に、河道内の土砂掘削、伐木を行って水があふれるのを防ぐ。安間川については東区の遊水地上下流を中心に実施。馬込川については南区の高塚川合流点の下流、中区の曳馬川合流点の上下
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管理業者にも責任 排水処理施設 死亡事故 静岡市 議会で見解
静岡市の管理不備が原因で、排水処理施設で作業中の地元男性=当時(71)=が死亡した事故について、市は11日に開かれた市議会観光文化経済委員会で、施設の管理業務を委託した業者にも責任の一端があるとの見方を示し、「保険会社が受託業者に(保険金を)求償する際には協力する」と述べた。鈴木直人氏(自民党市議団)への答弁。 男性は2022年9月24日夜、台風15号の影響で葵区平野の汚水処理施設が停電したため、市の依頼に応じて非常用のエンジンポンプで排水を行っていた。ポンプのマフラーが腐食し穴が開いていたため、施設内に排ガスが漏れ、男性は一酸化炭素中毒を起こし転倒。地下水槽から床にあふれた水で溺死したとさ
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静岡の排水処理施設「管理に不備」 委託業務中の男性死亡 市長謝罪、示談成立へ
静岡市は10日、2022年9月に同市葵区平野の農業集落排水処理施設で地元の男性=当時(71)=が市の業務委託中に亡くなった事故について、遺族2人と示談が成立する見通しとなったと発表した。難波喬司市長が同日、市役所静岡庁舎で記者会見し、「市の施設の管理に不備があり、それが原因で亡くなった。大変申し訳なく思っている」と謝罪し、点検事項の追加などの再発防止対策を講じたと説明した。 事故は22年9月24日に発生。同施設は台風15号の影響で停電し、非常用のエンジンポンプによって排水を行っていた。男性は市の委託を受け、非常用ポンプの燃料を補給するため施設内にいたが、腐食によりポンプのマフラーに穴が開い
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社説(10月9日)大井川鉄道の活路 観光を軸に議論進めよ
昨年9月の台風15号で線路の複数箇所が被災した大井川鉄道大井川本線は今月、運行区間の中間点付近の家山―川根温泉笹間渡間2・9キロが復旧した。これで全線の半分に当たる島田市区間約20キロが運行再開したが、残る終点の千頭までの川根本町区間は被害が大きく、全線復旧の見通しは立っていない。 静岡県は3月、「大井川鉄道本線沿線における公共交通のあり方検討会」を初開催。そこでは台風被害以来運行休止している上流側の家山駅から千頭駅までは代行バスがほぼダイヤ通り運行し、乗客の積み残しも発生していないことが報告された。その後、会議は開かれていない。 公共交通としての代替手段は確保されているからといって検討
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記者コラム「清流」 温泉の力 信じて再起へ
「取り壊す時は身を削られる思いだった」。昨秋の台風15号の土石流で全壊の被害を受けた静岡市葵区の油山温泉元湯館の海野博揮社長(41)は、旅館が解体された時の胸中を語った。 同温泉は戦国時代の1556年、今川義元の母・寿桂尼が湯治で滞在。義元も見舞いに足を運んだと史料に記され、長い歴史を誇る。当時、梅ケ島温泉(同区)は武田氏の統治下にあり、今川氏の負傷兵は油山温泉で湯治したと言われる。 海野社長は1964年創業の旅館を継ぐ3代目。今川氏を陰で支えた寿桂尼を癒やした温泉として「寿桂湯」と名付けた浴場もあった。2年後の再建を目指し、断腸の思いで解体した。 「心が折れるたび支援者に励まされた。
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委託業務中に死亡、遺族に賠償3300万円 静岡市、議会提出へ
静岡市は6日までに、2022年9月の台風15号に関連し、同市葵区平野の農業集落排水処理施設内で亡くなった地元の農業の男性=当時(71)=は市の委託業務中の事故だったとして、遺族に損害賠償金約3300万円を支払う方針を固めた。相当額を計上した23年度農業集落排水事業会計補正予算案を、11日の市議会9月定例会最終本会議に追加提出する。関係者への取材で分かった。 関係者によると、男性は22年9月24日夜、台風15号の影響で停電したため、施設内で自家発電機を使って排水作業に従事していたが、一酸化炭素中毒が原因で死亡した。男性は市に施設管理を委託されていて、業務中の事故だったため、市が遺族側と協議し