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損保の走行データ、交通安全に活用 裾野市で連携事業、契約者のドラレコなど分析

 裾野市とあいおいニッセイ同和損害保険(東京)が、保険契約者の自動車走行データを交通安全対策に活用して効果を検証する全国初の連携事業に取り組んでいる。交通量に対して急ブレーキの多い場所を4段階の色分けで示した「交通安全マップ」を同社が提供。市は発生割合が多い危険な場所で看板設置や路面標示といった対策を施す。既に安全運転につながる効果も確認され、対象エリアの拡大を目指す。

走行データを踏まえ、裾野市が交通安全対策を実施した交差点=8日、同市(画像の一部を加工しています)
走行データを踏まえ、裾野市が交通安全対策を実施した交差点=8日、同市(画像の一部を加工しています)

 同社は契約者に貸与するドライブレコーダーなどの車載機器から走行データを集め、運転傾向を診断したり、音声で注意喚起したりする「特約サービス」を提供している。連携事業は裾野市内の特約車両約千台の走行データを活用して、2022年度に実証実験として始めた。
 同市茶畑の信号機のない市道交差点はマップ上の「危険ゾーン」で、市は非優先道路に一時停止の看板を設け、舗装の色や素材を変えて立体的な障害物に見せる路面標示を施すなどした。優先道路に進入する際、0~4キロまで減速した車両の割合は対策前の33・3%から46・4%に上がったという。
 23年度は国のデジタル田園都市国家構想交付金の採択を受け、通学路になっている市道2カ所の交差点で看板を設置したり、路側帯や路肩を車道と区別する車道外側線を引き直したりして効果を調べる。市は「今後もデジタルを活用して市民の安全につなげるため、検証場所を増やしていく」(戦略推進課)とする。
 あいおいは裾野市と同じように連携協定を結ぶ全国486の自治体を中心に交通安全マップを提供する。移動体の車に通信システムを組み合わせたテレマティクスデータを活用して位置情報を把握し、急ブレーキだけでなく急発進や急ハンドル、速度変化などのデータも蓄積している。
 デジタルビジネスデザイン部の朝隈善彦課長補佐は「マップに搭載するデータや機能のさらなる拡充を予定している。お客さまや地域、社会とともに課題を解決し、事故のない安心・安全なまちづくりという共通価値を創造していきたい」と強調する。
 (東部総局・杉山諭)

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