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裾野・熊野神社「しゃぎり」33年ぶりの音色、10月披露 伝統後世に

 裾野市伊豆島田の熊野神社で10月14日、秋の祭典が開かれる。後継者不足で途絶えていた伝統的な祭りばやしの「しゃぎり」が地域住民の手で33年ぶりに復活し、披露される。

秋の祭典に向け、しゃぎりの練習に励むメンバー=裾野市の熊野神社
秋の祭典に向け、しゃぎりの練習に励むメンバー=裾野市の熊野神社

 復活させたのは、かつてしゃぎりの中心メンバーだった市川光幸さん(74)。地区の回覧板などで参加者を募り、園児から40代までの25人が集まった。社務所に残っていた大小の太鼓とかねを使い、5月中旬から練習を始めた。
 しゃぎりには楽譜がなく、口伝えで覚えるのが伝統だが、市川さんは子供にも分かりやすいように使う手やたたく位置を示した図面を作り、一から指導した。太鼓とかねと合わせる笛は自ら演奏するという。市川さんは「地域で伝承してきたしゃぎりを絶やしたくなかった。みんな覚えるのが早い」と目を細める。
 祭りではテンポの異なる「神楽昇殿」「荷くずし」「屋台」の3曲を奉納する。市川武尚君(裾野南小6年)は「祭りに向けてみんなで頑張って練習してきた。思い切って音を鳴らしたい」と張り切る。
 市川さんによると、熊野神社のしゃぎりは三嶋大祭りで知られる三島市のしゃぎりの流れをくみ、娯楽の少なかった明治時代に始まったとされる。戦争などで途切れたが、1972年にしゃぎり消滅に危機感を抱いた地域住民が明治を知る「長老格の先輩」に指導を仰いで再開した。
 その後、後継者がいなくなり、90年に再び休止状態になった。仕事で一時地元を離れていた市川さんは帰郷後、新型コロナウイルスの感染が落ち着くのを待って復活させた。市川さんは「かつて子供しゃぎりのメンバーだった住民が音色を聞き、懐かしく感じてくれたらうれしい」と話す。
 (東部総局・杉山諭)

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