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流域「影響回避策 議論を」 自治体首長ら訴え 静岡県、JRに見解送付へ【大井川とリニア】

 リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川の水問題を巡り、国土交通省専門家会議の中間報告を踏まえて20日に開かれた大井川利水関係協議会。流域自治体の首長からは、県有識者会議の専門部会で具体的な影響回避策の協議を継続するよう求める意見が相次いだ。利水団体からは、水源を貫く南アルプスルートの変更を求める声もあった。

大井川利水関係協議会での流域市町長と利水団体代表の主な発言
大井川利水関係協議会での流域市町長と利水団体代表の主な発言
協議会後の記者会見で利水者としての見解を述べる大井川土地改良区の内田幸男理事長(右手前)=20日午後、県庁
協議会後の記者会見で利水者としての見解を述べる大井川土地改良区の内田幸男理事長(右手前)=20日午後、県庁
大井川利水関係協議会での流域市町長と利水団体代表の主な発言
協議会後の記者会見で利水者としての見解を述べる大井川土地改良区の内田幸男理事長(右手前)=20日午後、県庁

 協議会には流域10市町(島田、焼津、掛川、藤枝、袋井、御前崎、菊川、牧之原、吉田、川根本)の首長らと11の利水団体がオンラインなどで出席。「現状では工事を認められる状況にない」という県の認識に対し、協議会終了後の記者会見で流域市町や利水団体の代表者が賛同の意向を表明した。
 県は各市町・団体に改めて意向を確認した上で、事業主体のJR東海の説明に関する意見も文書に盛り込んで同社に送る。県専門部会の再開時期はJR次第という。
 この日の難波喬司副知事による中間報告の説明について、藤枝市の北村正平市長は「国の会議がJRに問題があることを指摘し、姿勢をただしたことで、ようやく県の会議で対話できるレベルになったと理解できた」と受け止め、「工事によるリスクと回避・低減策の具体的な内容について県専門部会で科学的、工学的な議論をお願いしたい」と要請した。
 島田市の染谷絹代市長は「議論する前提のベースになる」と中間報告を位置付けた上で「現実的に水をどうすれば守れるのかという議論に踏み込めていない。どうすれば安心できるリスク管理ができるのか議論を共有し、流域の人にも理解できるように伝えてほしい」と県に注文した。
 大井川土地改良区の内田幸男理事長は「渇水が頻発する近年は毎年のように節水対策を実施し、最大の懸念材料になっている。ダムの貯水量は季節・年ごとの変動が大変大きいため、貯水量が少ない時に工事で水が減ると水利用に大きな影響を与えることになる」と利水者としての見解を述べ、ルート変更の必要性に言及した。

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