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自民裏金事件 厳正処分 実効性に疑問 程なく復党、要職就任か

 自民党執行部は派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、安倍派幹部に「離党勧告」や「党員資格停止」といった厳正処分を科す方針だ。対象者は選挙で党の支援を得られず、落選の憂き目に遭うリスクが高まる。だが程なく復党し、要職に就いた例は多い。処分の実効性に疑問符が付く。

自民党の過去の処分例
自民党の過去の処分例


 いばらの道
 「派閥パーティー問題で政治不信が大変広まっている。けじめをつけないといけない」。3日、大阪市で開かれた「政治刷新車座対話」。裏金事件に対する地方組織の怒りを鎮めようとスタートさせた会合で、渡海紀三朗政調会長は厳正処分への決意をにじませた。
 党執行部は、安倍派の衆院側、参院側でトップだった塩谷立、世耕弘成両氏に対し「除名」に次いで重い離党勧告を科す構えだ。通達から10日以内に再審査を請求せず、離党届を提出しなければ除名となる。
 離党によって最も制約されるのが選挙活動だ。党から活動資金を援助してもらえず、知名度の高い党幹部の応援も見込めない。衆院選では比例代表で復活当選できず、小選挙区で勝利しない限り議員の立場を失う。
 安倍派幹部への処分では、離党者に近い扱いを強いられる党員資格停止も有力視される。期間は原則「3カ月以上2年以下」で、この間に国政選挙があれば党公認は得られない。党総裁選への投票権も失う。安倍派中堅は「どちらの処分もいばらの道だ」とこぼす。

 ご都合主義
 ただ処分を受けても、その後復権を果たしたケースは散見される。
 自民は2005年10月、郵政民営化関連法案採決を巡り59人に対し除名や離党勧告などの処分を科した。離党した森山裕、野田聖子、武田良太各氏らは06年12月には復党。後に野田、武田両氏は総務相に就任した。
 森山氏は17年8月から自民歴代最長の4年超にわたり国対委員長を務め、現在は総務会長として裏金問題の収拾に奔走。岸田文雄首相を支える。21年2月には、新型コロナウイルス緊急事態宣言中に東京・銀座のクラブで飲食したとして、松本純元国家公安委員長ら3人に離党を勧告した。いずれも離党したが、23年5月までに復党した。
 自民ベテラン議員は「例えば選挙で勝ち、みそぎを済ませば良い。復権させない理由はない」と強調する。しかし立憲民主党幹部は「ほとぼりが冷めれば元に戻していいのか。ご都合主義としか言いようがない」と批判する。

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