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【川勝知事辞意表明】職業差別発言あくまで撤回せず リニア「一里塚超えた」能弁に

 突然の辞職表明から丸一日。3日の臨時記者会見で決断理由を語った川勝平太知事は吹っ切れた表情で、懸案のリニア中央新幹線問題が「大きな区切りを迎えた」「一里塚を越えた」と能弁に持論を展開する〝川勝節〟を繰り返した。職業差別として批判を浴びた発言については陳謝する一方、撤回をかたくなに避けるなど、記者との質疑応答は十分かみ合わないままに終わった。

記者会見で謝罪する川勝平太静岡県知事=3日午後、静岡市葵区の県庁
記者会見で謝罪する川勝平太静岡県知事=3日午後、静岡市葵区の県庁

 報道陣の質問に対していら立ちをあらわにする場面も見られた2日から一転し、この日の川勝知事は淡々とした口調で約1時間、辞職の決断に至った経緯などを明らかにした。
 リニア中央新幹線についてはJR東海が品川ー名古屋間の2027年開業を断念し、工事に計10年余りを要する新たな事業計画を示したことから「従来計画の根本的な見直しになる」と前向きに評価。リニア問題は「私の手をもう離れた」「じっくり話し合って決めていけばいい」との判断に至ったことを笑顔を交えながら振り返った。記者からの「南アルプスと大井川を守るためにはまだ道半ばではないか」との追及には明確な回答はなかった。
 職業差別とも受け取れる発言に対しては「人の心を傷つけたとすれば誠に申し訳ない」と神妙な表情でわびた。だが撤回の意思を問う記者からの度重なる質問には「(発言の)全文を読んでほしい。不適切だとは思っていなかった」と決して首を縦に振らなかった。
 任期途中で辞職する思いについては、県議会で自民党会派と対立してきた経緯を念頭に「県民のためになっているかどうか。けんかをしないことが大事。新しい人(知事)には党派を超えて(支持され)、能力のある人が選ばれればいい」と率直な思いを述べた。
 知事としての約15年間に成し遂げた主な成果を問われると、感極まった様子で声を詰まらせながらも「一番うれしかったのは(2013年に)富士山が世界文化遺産になったこと。皆さんと一緒に喜べた」と懐かしそうに振り返る場面もあった。

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