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政府 AI法規制検討 偽情報対策不備に罰則

 政府が大規模な人工知能(AI)開発者を対象とする法規制の検討に入ることが18日分かった。偽情報対策などに不備がある場合の罰則を視野に入れる。欧州連合(EU)をはじめとする各国・地域が強制力のある規制に動いているのを踏まえ、企業の自主的な取り組みを尊重してきた従来の方針を転換する。6月ごろに取りまとめる経済財政運営の指針「骨太方針」への明記を目指す。

AI法規制で想定される内容
AI法規制で想定される内容

 AI規制を巡って、政府は近くガイドライン(指針)を正式に公表する。人権配慮と偽情報対策を求める「人間中心」や「安全性」など10原則を柱に企業に自主規制を促すが、AIによる偽情報の流布や人権侵害が問題となる中、AIを直接の対象とした拘束力のある規制が必要と判断した。
 有識者らで構成する「AI戦略会議」を近く開き、一定の規制導入の必要性について、政府側から問題提起する見通しだ。自民党のプロジェクトチームが2月に示した法律の素案が議論のたたき台になるとみられる。
 素案によると、対話型の生成AI「チャットGPT」の米オープンAIなどを念頭に、先進的な技術を開発した事業者を、政府が「特定AI基盤モデル開発者」に指定する。特に高リスクな領域でのAIに関しては、自社や外部機関による安全性検証を義務付け、リスク情報を企業と政府で共有することも求める。
 特定開発者に対して、国や第三者機関に義務の順守状況を報告するよう要求する。守られていない場合、政府は報告を求めたり立ち入り検査をしたりすることができ、義務違反時には課徴金や刑罰を科す可能性もある。
 政府関係者は素案に賛同した上で「特定開発者向け規制や立ち入り検査に関しては新法が必要」と指摘する。具体的な対象や規制内容など詳細を今後詰める。
解説 世界の潮流に歩調合わせる  政府が人工知能(AI)に関する法規制を導入する方向で検討に入る背景には、厳格な規制を課す欧州連合(EU)などの動きがある。日本はガイドライン(指針)を定めるにとどめ、事業者の自主的な取り組みに任せる考えだったが、世界の潮流に歩調を合わせることにした。
 日本が強制力のある規制を実施しない場合、トラブルが生じた場合の対処に必要な情報を政府が事業者から適切に得られず、状況の把握に手間取り、対策が遅れるといった問題が生じかねないとの懸念が強まりつつあった。AIの活用が一段と加速する中、EUなどと同様に法規制を実施すべきとの声が与党自民党などから上がっていた。
 EUの包括的な規制法案は、企業に生成AIで作成した画像の明示などを義務付け、違反時には巨額の制裁金を科す。EU域内で活動する外国企業も対象となる。2026年から適用が始まる見通しだ。米国も23年10月、高度なAI技術を開発する企業に情報提供を義務付ける大統領令を発出するなど規制を強化しつつある。

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