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水道管の劣化 AIで診断 県、更新事業を効率化 新興企業開発 システム活用 周辺の土壌や気象条件から判定

 静岡県企業局は水道管の劣化状況を人工知能(AI)で診断する新たなシステムを導入した。周辺の土壌や交通量、気象条件といった膨大なデータから地中にある水道管の状態を判定し、地図上で可視化する仕組み。水道インフラの老朽化が課題となる中、最新技術を生かして更新事業の効率化を図る。

AI技術による水道管の劣化診断結果を確認する県企業局担当者=3月下旬、県庁
AI技術による水道管の劣化診断結果を確認する県企業局担当者=3月下旬、県庁


 都内のスタートアップ(新興企業)が開発した水道管の劣化予測システムを活用した。水道管は地面に埋まっているため、土壌の成分や車の往来、地震の有無などで劣化の進み具合に差が生じるとされる。こうしたビッグデータと経過年数、過去の漏水履歴などの情報を組み合わせて劣化具合を推定する。
 水道管の老朽化は全国的な課題だ。古くなって腐食すると漏水のリスクが高まり、実際に大規模な事故が発生したケースもある。能登半島地震でも断水が長期化し、生活を支える水道インフラの重要性が改めて浮き彫りになった。企業局が所管する水道管は計約750キロ。法定耐用年数の40年を超えた管路が2022年度末時点で全体の53%を占め、近い将来、本格的な更新時期を迎える。
 水道管の劣化状況は道路を試掘し、実際に目視で確認する必要がある。ただ、膨大な費用と時間がかかり、技術職員の数も限られることから「全ての老朽管路を短期間に更新することは現実的ではない」(企業局水道企画課)。AI技術の導入により、劣化診断の迅速化や精度向上、漏水事故の予防といった効果が期待される。
 このほど企業局が所管する全ての水道管でAI技術を活用した劣化診断が終了し、大半の管路でリスクがほとんどないことを確認したという。今後は実際に現地を試掘して診断結果を検証する。同課の担当者は「更新の優先順位をつける上で参考にしていきたい」と話す。
 (政治部・森田憲吾)

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