テーマ : 政治しずおか

生活保護申請最多25万件 23年 収入減、物価高打撃

 2023年1~12月の生活保護申請件数が、現行の調査方式になった13年以降で最多だったことが6日、厚生労働省の統計で分かった。22年から7・6%増の25万5079件に上り、増加は4年連続。新型コロナウイルス禍による生活苦に、物価高の打撃が重なったとみられる。23年12月時点の受給は過去最多の165万3778世帯。半数以上は高齢者世帯だが、現役世代の申請も増えており、困窮層の広がりが懸念される。

生活保護受給世帯の内訳
生活保護受給世帯の内訳

 コロナ禍で家計収入が減り、低所得世帯への公的支援が縮小する中、食料品や光熱費などが値上がりしている。厚労省によると、貯蓄が減少したことで生活保護申請を選択する人が増えているという。担当者は「コロナ禍の影響が長引いており、増加傾向はしばらく続くとみられる。動向を注視したい」としている。
 厚労省が発表した統計(23年3月までは確定値、同4月以降は速報値)に基づき、年間の申請件数を集計した。23年12月の申請は1万8695件で、前年同月と比べて5・6%増えた。増加は12カ月連続。
 23年12月から保護を受け始めたのは1万8801世帯で前年同月比7・2%増。以前から受けている人を含む受給世帯は0・4%増の165万3778世帯となった。
 受給が一時停止中の世帯を除く164万5271世帯の内訳は、高齢者世帯が前年同月とほぼ同数の90万6709世帯。現役世代を含む「その他世帯」は26万438世帯(2・0%増)、母子世帯は6万5461世帯(3・5%減)だった。
 22年度の1カ月平均の確定値も公表した。申請は2万475件で前年度と比べて6・9%増えた。増加は3年連続。
 支援団体のNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の担当者は「コロナ禍に失業などで収入が悪化し、回復できないまま物価高に苦しめられている人が多い」と指摘している。
若者や女性、長引く貧困 食料配布に長い列  生活保護の申請件数は4年連続で増え、2023年は13年以降最多となった。支援団体が毎週実施する食料配布には長い列ができ、若者や女性、単身者が目立つ。新型コロナウイルス禍の失業や収入減少、長引く物価高騰の影響は深刻で、困窮を訴える人が減る兆しは見えない。
 東京都新宿区で毎週土曜日、NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」が行う無料の食料配布には、毎回700人前後が集まる。コロナ禍前はホームレスらを対象に月2回配布し、100人程度が利用。コロナ禍で困窮者は増え、20年から毎週実施にすると、食料を求める人が増加していったという。
 2月の寒空の下、約20分並んで初めて食料を受け取った男性(39)は「無料はありがたい」と笑顔で話した。コンビニなどのアルバイトで生計を立てるが、物価高もあり現金はいつも足りない生活。働く意欲があり生活保護は受けないと決めているが「その日暮らしから解放されるなら『保護を申請しようか』と考えることもある」と気持ちは揺らぐ。
 コロナ禍で非正規の事務職を失った練馬区の女性(65)は生活保護を受けて暮らす。「物価が高く、保護費を受け取っても全部出ていって、何も残らない」。1人暮らしで数年前に膝を痛めたが、医療機関の受診は控え、もやいの食料配布や別団体の炊き出しに頼る。
 もやいによると、食料配布や相談会にはコロナ禍以降、女性や20~40代の若年層の参加が増えている。担当者は、コロナ禍で失業した人らの家計が回復する前に、物価高が直撃したと指摘。「これまでどうにか生活できていた世帯が、耐えきれず生活保護受給に転じたのでは」と分析する。

いい茶0

政治しずおかの記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞