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【出馬会見全文】前浜松市長の鈴木氏「経験、知見を全て注ぐ」 静岡県知事選

 川勝平太知事の辞職に伴う静岡県知事選(5月9日告示、26日投開票)への出馬を正式に表明した前浜松市長の鈴木康友氏(66)の15日の記者会見でのやりとりは次の通り。

県知事選への出馬を正式表明し、記者会見する鈴木康友氏=15日午前、県庁(写真部・二神亨)
県知事選への出馬を正式表明し、記者会見する鈴木康友氏=15日午前、県庁(写真部・二神亨)

 【決意表明
 私、鈴木康友は川勝知事の辞職に伴って行われる知事選挙に出馬する決意をした。「やります」というスローガンは、今から17年前、最初に市長選に出たときのスローガン。これを基に88のマニフェストを掲げ、最初の市長選にチャレンジした。「やります」の精神の下、16年間さまざまな施策を実施してきた。
 今回の知事選出馬に当たり、もう一度この原点に立ち戻り、「やります」の精神で県政のかじ取りをしていきたい。知事の急な辞職に伴って、今県政は混迷しているが、しっかりと立て直し、静岡県が持つ素晴らしい資源を活用して、東部、中部、西部、「オール静岡」で静岡県の発展に全力を尽くしていく所存だ。
 【経験と人脈
 私の売りは、幅広い経験、豊富なネットワーク。民間企業の経営を10年、衆院議員2期5年、そして浜松市長4期16年の経験、知見を全部注ぎ込んで静岡県の発展、県政をけん引していきたい。特に、市長4期16年の経験というのは大きな財産。産業政策をはじめさまざまな実績を上げてきた。こうした取り組みは、県政に生かしていけると思っている。企業誘致は16年間で320社を浜松に誘致し、都田、三方原地区は浜松のものづくりの中心地となった。スタートアップ施策でも全国にとどろく先進都市としてけん引している。農林業もFSCを活用した林業振興をし、東京五輪施設にたくさんの浜松材を供給したし、生産性の高い農業にも取り組んできた。多文化共生とかさまざまな取り組みをしてきた。
 浜松市で培った知見、経験を全部注ぎ込んでこれからの県政に取り組んでいきたい。もちろん私は基礎自治体の長として県内の市長と一緒にいろんな取り組みをしてきた。これからはしっかりと市長、町長を支えて「オール静岡」で県の発展を担っていきたい。
 私のもう一つの強みは、豊富なネットワークにある。衆院議員5年、松下政経塾出身と言うこともあり、衆参、与野党問わず約200人の知人の国会議員がいる。浜松市でもこうしたネットワークを活用してきたが、県政でさらに生かせるのではないかと思っている。国会議員のみならず知事にも広いネットワークを持っている。私は山梨県の政策顧問を務めているが、長崎幸太郎知事とは昔からじっこんの仲であるし、神奈川県の黒岩裕治知事はフジテレビのキャスター時代から知人だった。愛知県の大村秀章知事とは議員の頃から友人である。こうした隣県の知事とも密な連携をとることができる。今の知事会の半分ぐらいは私の知人。即戦力として活動できると思っている。
 私が作った「活力ある地方を創る首長の会」というのがあるが、菅義偉政権が誕生した時に、菅総理とともに地方創生に取り組もうということで私と前三重県知事の鈴木英敬現衆院議員、元佐賀県武雄市長の樋渡啓祐さんと3人で発足させ、今、知事、市町村長はじめ300を超えるメンバーがいる。こうした首長の会がさまざまな国の政策の後押しをしている。最近話題になっているライドシェアも、活力ある地方を創る首長の会を中心に国に働きかけている。私は初代会長を務め、今は最高顧問という肩書だが、活力ある地方を創る首長の会のネットワークも活用できると思っている。いずれにしても私がこれまで積み上げてきた知見、経験、ネットワークを全部注ぎ込んで静岡県の発展のために、「オール静岡」で取り組んでいく所存だ。
 【一問一答
 ー出馬を決めた一番の理由は。
 以前から知事にといろいろな方から声をいただいていたが、今回、知事が突然辞職したということで、混迷した県政をしっかり立て直し、さらに静岡県を発展させるためには、私のこれまでの経験を大いに生かせると確信して即決断した。
 ー川勝県政の評価は。
 川勝知事の一番の魅力は発信力だったと思う。文化行政を中心にいろいろ静岡県を内外に発信してきた。県民の信頼も厚かった。選挙のたびに多くの得票を獲得するのは県民の支持の表れなので、県民の支えを元に静岡県を大いに発信したと思う。一方で、産業政策をはじめいくつかの点で市長として見ていたが、静岡全体でやったらいいのになということがいくつかあった。スタートアップもそうだが、浜松だけでやってきたが、県内全体に広げれば、静岡県はすごいポテンシャルを持っているので、特に東部は首都圏のスタートアップをもっと誘致できる。観光や移住と絡めてスタートアップ施策をもっと充実させれば、もっと発展を担える。浜松でFSC認証や林業施策をやってきたが、これも大きなブランド力をもつようになった。かつて県全体でやれば静岡県が日本一のFSC先進県になり、ブランド材として静岡県材がもっと売れるという提案もした。私がみてきたものを県全体で大いに発揮したいと思っている。
 ー県内の首長との連携は。
 これまで一緒に仲間として静岡県の市長会、町長の皆さんともいろいろな形で交流してきた。県の役割は基礎自治体を支えること。自分が市長をやって感じたのは、それぞれの基礎自治体は頑張っている。その頑張りをしっかり支え、ともに良くしていくのが県の役割と考えている。そういう姿勢で臨みたい。
 ーリニア問題のスタンスは。
 ずっと推進を表明してきたので、そのスタンスは変わらない。ただ、川勝知事がいろんな課題を明確化し、深掘りした。特に大井川の水資源の確保と南アルプスの生態系の保全という二つの課題があると認識している。水については田代ダム案が解決方法としてこれから具体的に手法が示されると伺っている。いろんな手法が見えてきたので、環境との両立を図りながらリニアを推進していく。この立場に変わりはない。
 ー川勝知事については県内外から賛否の「否」の評価もあった。
 課題をいつまでも引きずるのではなく、私は市長時代に常に目標、ゴールを定めてそれに向けて物事を進めていく手法でやってきた。課題は課題として把握していなければいけないが、どうやって前に進めていくか。私はいつも職員に言っていたが、「できない理由は言ってこないでくれ。どうしたらできるかを考えよう」と伝えてきた。そういう姿勢で臨んでいきたい。
 ー「オール静岡」の意味は。
 これまで浜松を中心に県西部の自治体と連携してきたが、静岡県は中部、東部それぞれの地域特性がある大変広い県。それぞれの地域特性を生かして「オール静岡」で発展を期していくことが県政にとって最も重要と思っている。伊豆半島を中心とした東部はものすごくポテンシャルがあると思っていた。前からもったいないと思っていた。こうしたポテンシャルを生かして東部、中部、西部がそれぞれ発展していけるように取り組んでいきたい。
 ー出馬表明した大村慎一氏(60)は「得られる推薦は得たい」と話している。
 私も同様に推薦していただけるところは全てお願いしていきたい。
 ー無所属での出馬か。
 はい。
 ー浜松市の経済界の2人が出席されている。
 大変これまで支えてくださった2人。
 ースズキの鈴木修相談役も後ろ盾になっていたと思うが、浜松でこれからどういう支援を受けるか。中部、東部の経済界はどう巻き込んでいく。
 今日はずっと支えてくださった浜松の重鎮の2人にご臨席していただいたが、静岡にも若手の経済人を中心に私の仲間がいる。そうした仲間を中心に県内全域に幅広く声がけしていきたい。
 ーお二人はなぜ康友さんを推すか。
 【ハマキョウレックス・大須賀正孝会長
 鈴木さんの市長16年間を見てきて、「やります」というのを一つ一つ確認してきた。浜松の財政を良くしようと一生懸命頑張り、16年間で1300億円の借金を減らした。ただ借金を減らすだけではなく、ちゃんと事業をしながら、企業を誘致し、いろんなことをやりながら、防潮堤もやりながら借金を減らした。無駄をなくしてメリハリがはっきりしている。政令市の中でも、昔は浜松市の財政は良い方ではなかったが、今は2番目ぐらいに良くなった。財政は無限ではないから、ちゃんとしていかないといけない。知事になったら県全体をそうしていくと静岡県のためにもなる。
 【遠州鉄道・斉藤薫会長
 少子化で人口減少という問題は、公共事業に絡んでいると過疎の問題がどうしてもある。当初、合区の話が出てきた時も、行政はスリムになっていただくことで、人口減少の過疎地のサービスをどれだけ維持していくかというようなこともあるから、合区には賛成と意見を言ったことがある。そういう部分で実績を上げて、行革も進めてきた。合区が最たるものだと思うが、行政のスリム化をやっていただき、地域の持続性を維持していただく実績を上げられた。
 ーリニア推進というのは着工を認める方向で議論を進めるということか。
 課題がクリアになれば当然着工を認めていくことになる。
 ー川勝知事が辞職を決めた後、何か連絡は取ったか。
 特に。急なことだったので連絡をとっていない。この後時間があればごあいさつに伺いたい。
 ー県議会との向き合い方は。
 執行側と議会の二元代表制であり両輪で市政も県政も進んでいく。行政区再編も含めて、相当とんがったことをやってきたが、議会の理解が得られないと一つも先に進まない。当然、議会とのコミュニケーションをしっかりとり、理解をいただいていくことは大変必要と思っている。県政運営でも議会との良好な関係、コミュニケーションをとっていく必要があると思っている。
 ー川勝知事と議会の動きはどう見ていたか。
 私がコメントすることではないと思っている。人それぞれのやり方がある。私は私のやり方でいろんな改革を進めるときも、そうとう大変なこともあったが、一つずつ議会で議決いただくことになるので、そういう努力を積み重ねてきた。私は私のやり方でやっていきたい。
 ーリニア推進とのことだが、静岡県のメリットは。
 よく県内には駅がないと言われるが、私はリニアが開通すると東海道新幹線沿線にものすごいメリットが生じると考えている。のぞみの多くがリニアを吸収していくことになる。今はほとんど東海道新幹線はのぞみの通過交通のために線路がある。浜松でも1時間にひかり1本、こだま2本しか止まらない。のぞみの多くがリニアに吸収されると、経営的観点で東海道新幹線の利便性を上げて乗客を増やす底上げをしないと、2本足で経営は成り立つので、どう考えても東海道新幹線の利便性が上がる。仮定でも、これだけの経済波及効果を県内にもたらすことができると発表してもらえたら県民の理解も進むのではないか。
 ーかねて特別自治市の法制度化へのこだわりを強く持っていたが、その考えは。
 変わりない。基礎自治体が自立していった方がいいと思うし、浜松市はそれが一番やりやすい環境にある。特別自治市は推進してもらいたい。道州制は宮城県の村井嘉浩知事をはじめ何人かの知事が積極的に推進している。私も村井さんと一緒にやってきたが、そういう姿勢はこれからも変わることはない。
 ー特別自治市について、浜松市の中野祐介市長は前向きだが、静岡市の難波喬司知事は目指さないとしているが。
 県都か県都でないということが非常に大きい。政令市の市長会は神戸市の久元喜造市長が担っているが、もともと総務省の自治行政局長をやった地方自治の大ベテラン。久元さんを中心に特別自治市の法制化に向けた取り組みをやってきたが、法律ができたら神戸市がすぐに特別自治市になるかといったら久元さんは否定している。やっぱり県庁所在地は非常に難しい。県の域外にでることだから。昔、川勝知事もおっしゃったが、例えば浜松市と静岡市が静岡県の域外から出るとなると、静岡市に県庁があるというのは論理的矛盾を来すことになる。知事はそうなったら富士山空港の近くなどに県庁を移したいということをおっしゃったが、静岡市にとっては非常に大きな影響を受ける。でも浜松市は元々県庁所在地ではないのでまったく関係ない。県有施設も少ない。静岡市には県の施設が多い。ですから県庁所在地とそうではない都市ではおのずと特別自治市へのなりやすさが違う。私は浜松みたいなところは、天竜川から向こうは切り離してもらえば明日からでも独立できる。そういう所からしっかり実証して、自立した都市系統が必要だと全国に示していけば、徐々に広がっていく。川崎市の福田紀彦市長が非常に積極的だが、県庁所在地ではない政令市、中核市が先陣を切ってくべきだと思う。
 ー鈴木氏も大村氏も「オール静岡」を唱えているが、どこに違いがあるか。
 やはり16年間、私が市長を担ってきたことだと思う。4回の選挙があり、市民の負託を受けて市長をやってきた。自分なりにさまざまな成果を上げてきた自負もある。実績を積み重ねてきた経験、知見があることが一番の私の売りだと思う。
 ー浜松市の野球場建設についてはどう進めていくか。
 語り出すと時間が足りないので、手短に話すと、ドーム形球場を造る建設費のことだけがテーマになっているが、それはちょっと違うと思う。これからの野球場は、野球場を中心に全体を集客できる「ボールパーク」という発想でやっていかなければいけない。北海道北広島市もアメリカのボールパークを参考にしている。あれと同じことで、ドーム球場を中心に周辺整備をして、全体として集客する。その中心にあるのが球場という考え方。開放型のドーム球場にすれば、370億円と言われているような建設コストはかからないし、いろんなやり方がある。当時から私はサブ球場を含めて周辺整備は浜松市が担う。県だけにやらせるのではなく、県市合わせてやっていくという姿勢を県にも伝えたし、中野市長にも申し送りをした。手法としてはPFI方式になると思う。20年ぐらいの契約スパンで民間のSPCが運営することになると、例えばホテルとかいろんな付帯設備、民間の投資が入ってくる。全体としてボールパークができていくし、20年間の長期契約であれば、建設コスト、運営コストを含めて一時に何百億円というお金がでていくことではないので、そこは財政負担を平準化できると思う。そういう発想で計画を進めていく必要があると思う。私が進めていくのであれば、そういう方針の下で計画を練り直していきたい。
 ードームでなくてもいいということか。
 私はドームがいいと思う。ただ、ドームがすごくお金がかかるのではない。むしろ客席数をどのくらいにするかとか、そちらの方がかかる。密閉型のドームにすると空調を含めてすごくお金がかかる。開放型で風をうまく取り込む形にすれば空調がいらなくなるので、後のメンテナンスもコストダウンできる。国立競技場もその方式を使っている。いろんなやり方があるので検討しながら進めていく必要がある。
 ー中部電力浜岡原発の再稼働については。
 原子力規制委員会という国家行政組織法に基づく強力な委員会ができて、厳しい審査をして再稼働の可否を検討している。まずは原子力規制委員会の判断を待つ。
 ースタートアップ企業について、東部、中部ではどんな政策を訴えたいか。
 いろいろな施策を浜松でやってきたので、それを横展開する。県内全域に効果を広げていくことができるし、スタートアップのコミュニティーづくりが大事。既にスタートアップの経営者の皆さんが県全域の組織をつくろうと動き出している。そういうところと連携して、浜松で行ったファンドサポート事業とか実証実験サポート事業、サテライトオフィスの誘致とかいろいろなサポート施策を県全域でやっていく。市町と連携して。それにより県全体をスタートアップの県にしていきたい。
 ー一番訴えていきたいのは産業・経済関係の政策か。
 そうですね。やはり基礎自治体が基本的な住民サービスのほとんどを提供している。県の役割はそれをサポートすること。県全体でやっていくとなると、一番大事なのは産業や観光施策とか、県全体をどうやって活力を生み出して発展させていくかというのが、県として重要な施策になると思うので注力していきたい。
 ー出馬を決意したのはいつか。きっかけは。
 いろいろな方からお声がけをいただいたのだが、今回、突然川勝知事が辞職したということで、即戦力の自分がやるべきだろうと、僭越(せんえつ)ではあるが、すぐに決断して決意した。
 ーそれは何日ぐらいのことか。
 わりとすぐのこと。
 ー大村氏も鈴木氏も「オール静岡」という言葉を使い、有権者にはわかりにくいのではないか。
 県知事になれば、全て県民の負託に応えていかなければならないので、誰がやってもオール静岡ということになると思う。
 ー浜松市長の経験があるので、浜松寄りになるとの懸念を持つ人もいるが。
 それは逆だと思う。むしろ浜松で培ってきた経験を中部、東部の発展に生かしていく。むしろ逆だと私は思っている。
 ー政策説明は別の日に行うか。
 別の日に設定する。
 ー現状で最も課題と捉えていることは。
 私は産業政策にもっと力を入れれば良かったかなと思っている。
 ー具体的にはどのように。
 浜松でやってきた企業誘致やスタートアップとか、産業と言ってもものづくりだけではない。農業も林業も含めて。林業も本当はFSC認証を県全体でやれば相当ダイナミックな取り組みができたと思うし、もっと五輪施設に県産材を売り込めたと思う。第1次、第2次、第3次産業を含め県の産業を底上げしていきたい。
 ー大村さんの支援に中部の財界が動いている。鈴木氏は中部の財界との関係は。
 私を囲む若手経営者の会がある。そういう皆さんにご支援をお願いしたい。
 ーこれまでの知見、経験を注ぎ込むことで、どんな県政運営ができるか。
 浜松で行ってきたようなことが県全体に広がる。それは私にしかできないことだと思う。知見、経験を存分に注ぎ込んで県の発展につなげる。
 ー自身の知事像とは。
 県を引っ張っていくリーダーとしての資質と、県民に分かりやすくいろんなことを発信することが大事と思っている。
 ー浜松市の野球場の計画を練り直すと発言があったが。
 申し訳ない。まだ県政を担っていないので、練り直すというか、どういう状況になっているのかを自分なりに把握した上で。さきほどのは私の構想なので、そういう形でいけるかどうかはこれからの検証作業になる。
 ー目下のところ、県は県議会6月定例会で基本計画案を明らかにすることになっているが、事業のスピード感は。
 仮定の話はここではできない。仮に知事になったらスピーディーに判断していきたい。
 ー推薦依頼を出している政党は。
 自民、公明、立憲、国民。これから正式に依頼状を持っていきたい。今日中に。
 ー静岡大と浜松医科大の大学再編のスタンスは。
 方針は変わらない。これからの日本の発展や県の発展、あるいは国や県の成長を考えた時に医工連携はやっていくべきだ。そうすれば特徴をもった教育機関や研究機関ができる。国内だけでなく海外からも優秀な人材を集められると思う。そこで出た成果は、県東部は医療資源が乏しくて問題になっているので、医師派遣を含めて東部の医療をどう充実させていくかにも。浜松医大の学長も構想を練っているところなのでそういう取り組みをしていきたい。一番の問題は、静岡キャンパスに将来ビジョンがないこと。私の個人的な持論で、知事にも学長にも話したことがあるが、静岡市には県立大がある。ここには薬学部と食物学部がある。静岡大静岡キャンパスには農学部と理学部がある。ここの連携により静岡を薬の開発拠点、創薬、サプリ、バイオの開発拠点にできないか。県が今進めているファルマバレー構想あるいは医療田園都市構想。医療ビジネスの拠点にするのが県の産業政策の柱になっているので、それを支える二つの核ができる。薬、サプリ、バイオの開発を静岡に置き、新しい薬や医療サービスをつくっていく。浜松では新しい医療機器とか医療ビジネスを生む。この2核ができれば県の産業政策を支えることができる。そういうことを進めることで静岡も浜松も成長できる。そういうビジョンをもってやっていく必要がある。今のところ私の個人的見解だが。
 ー浜松医大と静岡大の合意は守るべきか。
 大学同士の話なので、最後は大学同士で決めることだが、サポートしていきたい。
 ー山梨県政策顧問、浜松医大の顧問などの肩書は。
 選挙が終われば全て整理していきたい。これからも政策顧問という形ではなく、長崎知事と隣同士ということでさらに交流できるし、水素社会を一緒に作っていこうという取り組みもしている。ウーブンシティーをトヨタがつくるが、トヨタを巻き込んで山梨と静岡で水素社会をつくる一大拠点にしていくことも、これから山梨と一緒にやっていけると思っている。今ある肩書は選挙が終われば整理していきたい。
 ー現時点では変わっていないか。
 この2、3日のことなのでまだ整理は進んでいない。
 ー大村氏と鈴木氏のバックボーンから、どうしても静岡と浜松。難波市長や中野市長は地域間対立は避けてほしいと言っているが。
 本当にそう思う。
 ー有権者からみるとそういう構図に見えがちだが。
 県全体に自分の政策、ポリシーをしっかり訴えて、地域間対立ではないと県民に分かっていただくことが最も重要。東部はものすごくポテンシャルがあると思っているので、これから伊豆半島を中心とした県東部の発展にも力を注いでいきたい。東中西のオール静岡でやっていかなければいけない。
 ー知事選に当たり、自身のクリアすべき課題は。
 やはり浜松とか西部の人間と思われているので、そうではなく、全県を視野に入れてこれからやっていくということを、いかに分かっていただけるか。その一点につきる。
 ー「オール静岡」と言わなければならない現状をどう見ているか。
 静岡は非常に特異な県。明治時代に浜松県と静岡県と足柄県が一緒になって今の静岡県になった。いまだに東部、中部、西部の地域性は色濃く残っている。これを全部融合するのは難しい。知事になる人は東部、中部、西部の地域特性の良さを把握しながら、それぞれの地域にあった取り組みをしていくというのが、静岡県の知事に課せられた重要な課題、資質だと思う。そういう意味でオール静岡と言った。

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