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安倍派 裏金真相にふた 参院政倫審

世耕弘成前参院幹事長、西田昌司元政調会長代理、橋本元五輪相
世耕弘成前参院幹事長、西田昌司元政調会長代理、橋本元五輪相

世耕前参院幹事長 弁明要旨  参院政治倫理審査会での自民党・世耕弘成前参院幹事長の弁明要旨は次の通り。
 政治に対する国民の信頼を大きく毀損(きそん)し、深くおわびを申し上げる。
 安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティー券販売ノルマ超過分の還流には関与したこともなければ、報告、相談も受けていない。安倍晋三元首相の死去後も、私が出席している場で還流が決まったり、私が了承したりしたことは一切ない。今回の事態が明らかになるまで、自分の資金管理団体が還流を受け取っている意識がなかった。
 派閥で政治資金収支報告書の不記載が行われていることは一切知らなかった。私が積極的に調査し、事務局の誤った処理の是正を進言していれば、こんなことにならなかったと痛恨の思いだ。
 私の資金管理団体でも記載漏れがあり、収支報告書を訂正した。一部の贈答品代は領収書を発見できず、金額は不明だが、2020年からの3年で60万円程度と推測される。還流分は私の事務所に現金で渡され、そのまま管理運用されていた。収支報告書の簿外での管理であり、チェックに引っかからなかった。管理監督が不十分であったとのそしりは免れない。
 還流分について私的な目的での支出、いわゆる裏金的な支出は一切確認されていない。

西田元政調会長代理 弁明要旨  参院政治倫理審査会での自民党・西田昌司元政調会長代理の弁明要旨は次の通り。
 私は安倍派(清和政策研究会)の幹部ではないが、国民の政治不信を招いた責任の一端がある。説明責任を果たすために出席した。
 還流の存在は報道で初めて知った。派閥事務局から私の事務所担当者に現金で渡されていた。担当者は拒否したが、派閥側が「みんながしているのだから受け取ってもらわないと困る」とのことで受け取った。私に報告はなかった。
 還流分は派閥パーティー券の購入に充て流用は一切ない。2020年の還流は高額だったので、担当者は預かり証をもらった上で派閥に預けた。
 今回の問題は担当者が独自の判断で行ったが、監督不行き届きだった。
 派閥会長だった安倍晋三元首相が還流をやめるよう言ったのに、それを積極的に続けていた議員や派閥幹部は責任重大だ。政治家として責任を取ってもらわなければならない。

橋本元五輪相 弁明要旨  参院政治倫理審査会での橋本聖子元五輪相の弁明要旨は次の通り。
 2016年から19年まで自民党参院議員会長を務めた。その後は五輪相という立場にあり、自ら説明責任を果たす必要があると考え、出席した。
 23年10月から今年2月まで安倍派(清和政策研究会)の常任幹事だったが、派閥の会計や経理に一切関わっておらず、帳簿や通帳、収支報告を見たことはない。政治資金収支報告書への不記載は、報道で初めて知った。政治資金パーティー券の売り上げを慣行的に派閥議員に還流していたことは知っていた。政治資金として適正に処理されていると思い、裏金との認識はなかった。
 私の事務所担当者は、派閥事務局から還流を受け取った際「領収書は不要」と言われていた。派閥からの寄付金として計上できないため、便宜上、私からの借入金として収支報告書に記載し、政治活動に適正に使ったとの報告を受けた。
 東京地検の任意聴取には真摯(しんし)に対応し、事件として扱わないと判断された。「裏金ではない」という結論だと思う。

世耕前参院幹事長 質疑要旨  参院政治倫理審査会での自民党・世耕弘成前参院幹事長に対する質疑要旨は次の通り。
 佐藤正久氏(自民)安倍派(清和政策研究会)で政治資金パーティー券の販売ノルマ超過分を還流する仕組みはいつ始まったのか。
 世耕氏 本当に分からない。少なくとも十数年前には始まっていたと思う。
 佐藤氏 世耕氏側にはいつからあったのか。
 世耕氏 2013年ごろからは確認している。
 佐藤氏 参院選の年は還流が増えている。選挙資金だったのか。
 世耕氏 参院選で改選対象の議員に販売ノルマがないなどのルールがいつからあったのか、誰が決めたのかも分からない。全額還流の決定過程には全く関与していない。
 佐藤氏 参院幹事長を辞任したことで、責任は十分果たしたか。
 世耕氏 私は不起訴、嫌疑なしで真っ白だが、政治的、道義的責任を取らなければいけないとの思いで辞した。
 蓮舫氏(立民)22年8月の派閥幹部の協議に関し、還流継続を巡る出席者の説明が食い違う。
 世耕氏 8月5日に集まり、還流を政治資金収支報告書に記載するアイデアが出され、私は「反対しない」との意見を述べた気がする。この時、確定的なことは決まっておらず、還流復活が決まったということは断じてない。何らかの資金手当てをしなければいけないと決まった。以降、パーティー券の取り扱いを話し合う場に私が出席したことはない。誰が復活を決めたのか、はっきり言って私自身が知りたい。
 蓮舫氏 改選議員に全額還流し選挙に使ったとすれば、公選法違反だ。
 世耕氏 選挙に使うことは基本、あり得ない。
 山下芳生氏(共産)派閥会長を務めた森喜朗元首相に還流が始まった経緯を聞いたのか。
 世耕氏 党の議員ヒアリングでは森氏の関与は一切認められなかった。私もそういう認識だ。

西田元政調会長代理 質疑要旨  参院政治倫理審査会での自民党・西田昌司元政調会長代理に対する質疑要旨は次の通り。
 福岡資麿氏(自民)安倍派(清和政策研究会)の幹部は説明責任を果たしていると考えるか。
 西田氏 全く果たされていない。誰一人、まともに答えている人がいない。幹部は実態を調べて報告する義務がある。当然のことだ。世耕弘成氏の弁明には全く納得できない。
 里見隆治氏(公明)誰が還流を知っていたか。
 西田氏 世耕、西村康稔、塩谷立、下村博文各氏はキーマンだろう。
 音喜多駿氏(維新)離党勧告や除名など、派閥幹部への処分を望むか。
 西田氏 責任の重さを踏まえ、自ら出処進退を考えるべきだ。
 舟山康江氏(国民)秘書は還流の受け取りを拒否し、翌年は政治資金パーティー券をノルマ分のみ売ればよかった。
 西田氏 秘書は次のノルマ達成に向け、還流分を残すことにしたと話している。
 吉川沙織氏(立民)秘書の行為は政治資金規正法の意義を失わせる。
 西田氏 私に道義的責任と監督責任がある。

橋本元五輪相 質疑要旨  参院政治倫理審査会での橋本聖子元五輪相に対する質疑要旨は次の通り。
 牧野京夫氏(自民、参院静岡選挙区)安倍派(清和政策研究会)からの還流資金は、参院選の費用でなく政治活動に使ったのか。
 橋本氏 政治活動のみに使った。
 吉川沙織氏(立民)いつから受け取っていたのか。
 橋本氏 毎年、還流を受けていたかどうかは知らなかった。参院選のあった2019年に販売ノルマがなく、還流資金が大きくなったことに驚いた秘書が報告に来たことは思い出す。
 里見隆治氏(公明)自身の責任の取り方は。
 橋本氏 一度は国会議員辞職を心に決めたが、責任や役割を果たすべきだとの思いに至った。本当に申し訳なく、責任の取り方をこれから私なりに考えていかなければいけない。
 井上哲士氏(共産)派閥会長だった森喜朗元首相に説明を果たすよう言うべきだ。
 橋本氏 私を政治の道に進めてくれた森氏は大きな存在だ。この問題については、森氏に関する根拠がない中で話すことができない状況だ。

識者談話  ガス抜きの場、限界露呈
 政治評論家の有馬晴海氏 参院の政治倫理審査会に出席した3議員は、資金還流が始まった経緯や不記載を「知らなかった」と説明した。自己弁護に終始し、全容解明には程遠い内容だった。結局ただの「ガス抜き」の場となってしまい、偽証罪に問えない政倫審の限界が露呈して終わった形だ。一方テレビ中継を見て「この議員はおかしい」と感じた国民はいるはずだ。その感覚を次の選挙に反映して、政治を変えていくしかない。自民党が甘い党内処分で問題の幕引きを図ろうとした場合にも、憤りの声を上げることが必要だ。

 国民はもう飽きている
 評論家の大宅映子さん 衆院に続き参院でも政治倫理審査会が開かれたが、具体的で生々しい新証言はなく、時間の無駄だった。国民が知りたがっているのは、自民党議員が裏金を何に使ったかだ。票集めのために使ったと思われるが、肝心の証言は聞かれなかった。質問する野党も、緊張感に欠けていた。国民は意外と冷めていて、もう、この問題に飽きてしまっている。自民党は政倫審開催を「免罪符」とする魂胆なのかもしれないが、これで終わりにしてはいけない。

いい茶0

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