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【迫る 御前崎市長選 市議選㊥】財政健全化 安定運営、取り組み急務 4月7日告示、14日投開票

 2月中旬、御前崎市議会の予算決算審査特別委員会は張り詰めた空気に包まれた。「財源が確保できなければ職員給与をカットする覚悟で臨む」。市幹部らは強い危機感をにじませ、4年間で約12億4千万円の財源確保案を示した。

御前崎市財政調整基金残高の推移
御前崎市財政調整基金残高の推移

 中部電力浜岡原発の立地交付金や固定資産税など、いわゆる「原発関連財源」による税収を基に豊かな財政力を誇ってきた同市。2011年の運転停止以来、歳入悪化に歯止めがかからず、財政健全化への取り組みが急務になっている。
 市はこの日、財政予測も公表した。災害時など不測事態に備えて15年度に約88億2千万円あった財政調整基金の残高は、財源確保策を講じても27年度には約19億1千万円まで落ち込むとの内容。16年度約23億円だった地方債残高は10年間で約4倍の100億円に膨らむとも見込み、議会側は「財政的緊急事態宣言を考えるべき」と指摘した。
 5号機が営業運転を開始した翌年に当たる06年度には、96億8600万円と一般会計歳入の49%を占めていた市の原発関連財源は24年度、40億8千万円と歳入割合で25・82%まで減少。本来、税収が落ち込めば公共施設の再編や各種補助金の見直しなど歳出削減を迫られるが、市は起債や財政調整基金の切り崩しで予算規模を維持してきた。
 御前崎市の財政力指数は0・94(22年度時点)。指標だけ見れば他市町よりも財政運営は安定していると見て取れるが、指数算定に含まない市民プールやケーブルテレビといった赤字の公共施設サービスも多く抱える。山本明人財政課長は「財政が潤沢だった頃に整備した施設が老朽化し、負担になっている」と説明する。
 市は近年、県内でいち早くこども医療費の全額助成や給食費無償化などを打ち出し、子育て環境の充実を図ってきた。ただ、今後さらに財政状況が厳しくなれば、市民負担の増加や各種事業の統廃合は避けて通れない。
 豊富な財政力で高水準の行政サービスを維持してきた原発立地市。その優位性が揺らぐ中、安定した財政運営への政治手腕が求められている。▶御前崎市長選 開票速報ページ
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