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テーマ : 裾野市

不登校でも「学校」に行かせるべき?⑨ 読者の意見【賛否万論】

 フリースクールや私立通信制高校など不登校の受け皿を中心に取り上げた今回のテーマも最終回になりました。読者から多くの投稿が寄せられ、一昔前と比べると「不登校」へのネガティブなイメージが薄れ、社会の理解が広がっている印象を持ちました。一方で不登校の子を持つ保護者からの投稿も目立ち、いまだに深刻な悩みや孤独感の解消が進んでいない実態が浮き彫りになりました。引き続き、課題を取材して解決策を模索していく必要性を感じました。

■「お互いさま」育む場ならば
 読者 グレーゾーンの子どものための学習支援教室「学びのいろは」代表 寺岡勝治さん

 学校に行くことが望ましいと思います。
 私は以前、県立高校の教諭として全日制、定時制、単位制に勤め、現在は発達に特性がある子どもの学習塾で指導しています。過去多くの子どもを見届けた中で、大人になるまでに身に付けてほしいことがあります。それは学力、体力、お互いさまの気持ちの三つです。お互いさまの気持ちとは、助け合い、あるいは相手あっての自分、といったような意味です。
 学力は塾でも身に付けることができます。体力も他で代替できます。しかし、お互いさまという気持ちを育む場は、学校が適していると思います。気兼ねない関係性の中で、失敗し、譲り合い、寄り添い合いながら、少しずつ獲得していくものだと思います。今までの学校の形にとらわれる必要はないと思います。子どもたちが安心して過ごせる居場所でさえあれば。

■成長のバラツキに対応を
 読者 桑原清剛さん(袋井市)

 人間として生まれたことは絶対な幸福であると親は考えるはずです。そして、一番脳が発達する3歳前後に保育園、幼稚園に入園させるのは何のためか、まだまだわが子は人間だとはっきり意識していないのに子どもは一生懸命に大きくなろうと努力しています。「はえば立て、立てば歩めの親心」です。このようにして脳の発達は、小学校入学前に終了するといいます。子どもはその時期に受けた良いこと、悪いことなどはしっかりと記憶していると考えるべきです。
 かくて、小学校に入学すると後は先生が集団生活のやり方、読み書きを教えてくれます。この時期は脳に蓄積しているだけです。そして中学に入ると徐々に応用力が付き始めて身体も発達してきます。この変化時期にプラス思考が多いか、マイナス思考が多いかは、自身が考えて自分なりに判断し、自分の居場所はここではないと気が付いた時が始まりではないでしょうか。
 例えば、小学1年のクラスの先生は児童に分かりやすく基本から教えると思います。中学1年では、小学校で学んできている事柄をさらに分かりやすく教えると思います。応用力を発達させるためです。しかしながら、バラツキが出るのはなぜでしょう。高校や大学のように選抜されていないからです。確認テストを行っても正規分布は裾野が広くなる。この部分で子どもは学校嫌いが発生してくるのではないでしょうか。その時期にフリースクールに行けば元気になり、個人個人の早さで無理なく進むことができると考えます。
 応用力がつく前の蓄積する時期に家庭で気が付き補完することができれば不登校はなくなるでしょう。家庭内や家族では、人生の達人であるじいじやばあばが理論ではなく経験を語ってくれるのも大事な事柄です。
 しかし、現代社会は親子そろって大所帯という家族構成はなくなってきています。カメラ付き電話で会話するもよし、手紙をやりとりするもよし、別々に暮らしていてもスマホ時代に流されることなく今風にアレンジしてみて、親子で元気になることが先決ではないでしょうか。

■楽しみにフォーカスしたい
 読者 T・Sさん(吉田町)50代

 娘は小学4年から不登校となり、中学1年になりました。地元中学校へ籍を置きながら某私立通信中学のネットコースに所属しています。リモート授業などに取り組みましたが、ネット上でも人とのやりとりに疲れや苦手意識を持つようになり、学習への遅れを挽回する目的意識を持てずにいるように見受けます。同世代の友人などとの関わりも娘の成長に重要だと感じていますが、娘が自ら求めるのを待っている状態です。
 教育費の負担は正直重たいですね。相手を思いやったり物事を深く考えたり、自分なりに突き詰めて実践したり、といった姿勢が見られるのは喜ばしいです。
 学校に通えていなくても穏やかに安心して過ごせることの方が幸せなのかもしれない。小さな喜びを感じられる心のみずみずしさを育める環境こそが幸せなのではないかと考えたりしています。
 娘の今後については不安もありますが、楽しみの方へフォーカスして成長を見届けたいと思います。

■親の方が苦しんでいた
 読者 サラームさん(静岡市)30代

 小1ギャップに、いじわるな友人との関係が重なり、心のエネルギーが空っぽになってしまって、学校に行くのがつらくなった時期がある。そんな私を母は抱きしめ、「大好き、かわいい」と言ったり、些細[ささい]なことでも喜び、褒めてくれたりした。帰ったら元気な母が笑顔で抱きしめてくれる、丸ごと肯定してくれるという安心は、私が学校に向かう力になった。
 それから何年もしてから、その頃のことを母と話した時、母の方が私よりよっぽど苦しんでいたことに驚いた。母は悩んで、焦って、怒っていたそうだ。「言わなかったけれど、学校に電話したこともあったよ。でも先生もね、一緒に考えてくれた」と母は言った。
 学校に行くのがしんどいと感じる子の保護者も苦しい。孤軍奮闘状態にしてしまえば、親も子も困難を乗り越えるためのエネルギーが不足してしまう。それは先生にもいえる。大事なのはチームワーク。学校に足が向かない子がいるときに、迅速にスクラムを組むこと、専門的な知識に基づく対応をとっていけることが何より大事だ。

■大人との信頼関係不可欠
 読者 Aさん(浜松市)60代

 フリースクールの充実は必要。子どもの成長期に必要なのは、安心安全な中で他人との関わりを学び、いろいろな経験や価値観に触れ、どのように受け入れるか、心を育むために大人との信頼関係が不可欠である。
 私の時代は、戦後混乱期の社会を立て直すために学校や社会が一丸となって子どもの成長に関わってくれた。小学校で「落し物は警察に届ける」ことを習い、実際届けると鉛筆がもらえ、学校が社会に触れさせ社会が子どもに応えてきた。良いこと、悪いことをその都度クラスで考えたあの頃。が、今はいじめにも消極的な学校の姿勢。地域や社会も「自分や仲間だけ良ければ良い」という戦後混乱期さながらの状態。これでは子どもが自立した思考が持てない。
 日本の未来を考えた上でも子どもの成長に心ある者が関わっていかないといけないのではないか。保育士や学校支援員をやって、子どもはあの頃と変わらない。不登校の理由はいろいろにあるのだと思うが、ひきこもらずにいられる環境を与えることは必要だ。

■親子で明るく過ごせる場に
 読者 おさだまさん(裾野市)40代

 1月26日の「ゆったりさん」の投稿を読んで、少しでも励ましたいと思い投書いたします。
 うちの子とだいたい状況が同じです。子どもが不登校になって、その親の気持ちがわかるようになり、親が元気になる方法はないかと考えていました。子どもの事が心配で心配で、心も目もほぼ100%子どもの方を向いてしまう、それは当たり前の反応だと思いますが、たまには子どもから少し離れて親のリフレッシュする場が必要です。
 そこで、子どもの通う中学校の図書室を借りて「図書室カフェ」という大人のしゃべり場を始めました。月に1、2回、平日の午前中にオープン、親同士の情報交換や、すきま時間に顔を出してくれる先生方と話をしていて、うちの子は図書室カフェの日だけは登校して不登校仲間とたわいもない話をして過ごしています。
 この先どうなるかは本人にも親にもわからない。それなら子どもも親も「今」を明るく過ごしてほしいと思います。図書室カフェのような、気軽に参加できる場がもっと増えることを願います。
次回のテーマは 個別最適な学びへ 宿題や家庭学習どう取り組ませる?  次回のテーマは「個別最適な学びへ 宿題や家庭学習どう取り組ませる?」です。宿題や家庭学習の内容や量は、各学校や家庭によって千差万別ですが、子どもを自主的に机に向かわせることは今も昔も多くの保護者にとって悩みの一つです。ICTの活用など、教育を取り巻く環境が大きく変化する中、「個別最適な学び」の実現へ宿題や家庭学習のあり方にも変化が生まれています。独自の取り組みを始めている学校の紹介やモチベーションの引き出し方に関する有識者インタビューなどを通じ「主体的な学び」とは何かを探っていきます。

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