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テーマ : 裾野市

大自在(3月26日)二階俊博元自民党幹事長

 1958年9月26日夜に伊豆半島南端をかすめ、日付が変わったころ三浦半島に上陸した狩野川台風。伊豆を中心に死者888人、行方不明者381人、負傷者1138人、家屋の全半壊・流出1万数千棟という甚大な被害を出した。
 当時、建設相を務めていたのが裾野市出身の遠藤三郎氏(1904~71年)。中選挙区時代の衆院静岡2区選出で、地元の惨状に心を痛めたことは想像に難くない。復旧に力を尽くし、7年後に完成した狩野川放水路の建設にも大きく貢献したとされる。
 その遠藤氏に11年にわたり秘書として仕えたことのある二階俊博元自民党幹事長が、次の衆院選に出馬しないと表明した。自民派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件で自ら率いる二階派の元事務局長や秘書が立件され、政治責任をとるという。
 ただ、不出馬表明の記者会見では国民に陳謝したものの、事件について具体的な説明はなかった。衆院政治倫理審査会に出席して語ることもしていない。
 事件を受け、二階氏の資金管理団体が訂正した政治資金収支報告書には、書籍代として3年で約3500万円の支出が追加され、物議を醸した。この状況で政治家として説明責任を果たしたとは、とても言えまい。
 二階氏は遠藤氏の死去に伴って故郷の和歌山に帰り、県議を務めた後、衆院議員に転じた。経済産業相や運輸相を務め、自民幹事長の在職期間は歴代最長を記録。政治家として遠藤氏を上回る数々のポストを歴任したのは間違いないが、遠藤氏がこの引き際を見たら、さて何と言うだろう。

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