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テーマ : 裾野市

元教諭の「終活」 教え子に作文や習字返却 がんと闘う裾野市の清水信行さん

 裾野市茶畑の元小学校教諭、清水信行さん(71)が在職中に子どもたちから預かった作文や絵画、習字、日記などの返却を進めている。がんの再発で闘病中の清水さんは「終活」の一環として返却を始め、手元に届いた教え子との旧交にもつながったという。「思い出の品を1人でも多くに返したい」と心に秘め、連絡先が分からなくなった教え子の行方を捜している。

小学校教諭時代に児童から預かった作品の返却を進める清水信行さん‖3日、裾野市
小学校教諭時代に児童から預かった作品の返却を進める清水信行さん‖3日、裾野市


 清水さんはスポーツ少年団で剣道を指導した経験から「子どもに教える仕事に就きたい」と教職の道に進んだ。病気のため、定年を前に校長職を退くまでの34年間、県東部の小学校に勤務。このうち、学級担任を務めた23年間、「受け持った記念」として作品の提供をお願いし、承諾した児童の分を保管していた。
 「楽しく学校に通ってもらえるよう常に心がけてきた」と振り返る清水さん。「名前を見れば、いまでも一人一人の当時の様子がよみがえる。ともに過ごした時間はすべてが良い思い出」と目を細める。
 延命治療を告げられた数年前、当時の名簿をもとに郵送で返却を始め、授業と学校行事の映像や音声が残っていた場合は複製を同封した。国内外からお礼の手紙や電話、メールが届き、それぞれの道を歩く教え子の近況を知ることができたと喜ぶ。
 清水さんの闘病を知った教え子や家族からは礼状と一緒にお守りやお札、生花などが送られてきた。新型コロナ禍を気にしながら、自宅まで見舞いに訪れた人も20人近くに上ったという。「立派に成長した教え子と再会し、思い出話に花を咲かせたのは教師冥利(みょうり)につきる。何よりも楽しく、元気をもらうことができた」と感謝する。
 同窓会も利用し、作品を預かっていた約470人のうち、350人前後に返した。一方、100人以上は宛先不明で返送された。清水さんは富士市の吉原小、清水町の西小、沼津市の第四小と西浦小(当時)で指導を受け、その後住所が変わるなどした現在30~57歳になる教え子や家族からの情報を募っている。
 問い合わせは清水さん<電055(992)2924>、Eメール<shiminobu3@yahoo.co.jp>へ。
 (東部総局・杉山諭)

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