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テーマ : 裾野市

青春を生きる新しい晴明像 映画「陰陽師0」裾野でロケ 原作・夢枕獏、監督・佐藤嗣麻子

 裾野市などで撮影が行われた19日公開の映画「陰陽師0[おんみょうじゼロ]」は、夢枕獏のベストセラー小説を下敷きに、平安時代に実在した呪術を操る陰陽師、安倍晴明の若き日を描くオリジナル作品。「エコエコアザラク」「アンフェア」などを手がけた佐藤嗣麻子監督が、陰陽師の学校であり行政機関であった「陰陽寮」を舞台に、新しい「晴明像」を提示した。

映画「陰陽師0」の一場面
映画「陰陽師0」の一場面
「脚本は自由にやってもらった」と話す夢枕獏(右)と「平安時代の知識が全くなくても見られる作りにした」という佐藤嗣麻子監督=3月、裾野市
「脚本は自由にやってもらった」と話す夢枕獏(右)と「平安時代の知識が全くなくても見られる作りにした」という佐藤嗣麻子監督=3月、裾野市
映画「陰陽師0」の一場面
「脚本は自由にやってもらった」と話す夢枕獏(右)と「平安時代の知識が全くなくても見られる作りにした」という佐藤嗣麻子監督=3月、裾野市

 若くして呪術の天才と呼ばれている陰陽寮学生の晴明(山崎賢人)は、貴族の源博雅(染谷将太)から皇族の徽子[よしこ]女王(奈緒)の周辺で起こる怪奇現象の解明を頼まれる。解決に向けて動く2人の周辺で、ある若者が変死。怪異と事件の根源には一体何が-。
 ユーモラスな会話劇あり、アクションあり、謎解きありのエンターテインメント作。佐藤監督は2016年ごろから脚本を書き始めた。
 「獏さんの『陰陽師』は映画、舞台、アニメなどでやり尽くされている。新しく映画にするのであれば、官僚としての陰陽師になる前の、若き日の晴明を描きたいと思った」
 30年以上前から佐藤監督と親交が続く夢枕にとっても、特別な作品という。
 「(佐藤監督が)映像の世界に入ったばかりの10代の時に知り合った。その時に『いつか俺の小説も映像化してよ』って。いろいろな状況が整って、ようやく昔の約束を果たせた」
 主演が山崎に決まったのは脚本執筆開始後。当初は晴明を誰が演じるかを想定しないで書いていた。
 「晴明と博雅の関係は、獏さんも公言しているとおり(コナン・ドイル原作の探偵小説に出てくる)ホームズとワトソン。晴明をシャーロック・ホームズの性格にしておけば、最終的に原作にのっとった場所に着地すると思っていた」
 現場では山崎、染谷と対話を繰り返しながら役柄をつくり込んでいった。
 「晴明と博雅の距離感をつかんでほしくて、出会いのシーンでは互いのせりふを全部覚えてもらい、役を交換して演じてもらった。これまで試みたことのない、エクササイズ的なこともした」
 骨太なメインストーリーに小さなエピソードが精緻に絡む。VFXを織り交ぜた絢爛[けんらん]豪華な風景描写や、平安時代の建築や小道具の美しさ、逆光を巧みに利用したカメラワークも見どころ。夢枕は「魔法や呪術がストーリーを崩さず、バランスよく溶け込んでいる。優れた青春物語。新しい晴明像ができた」とたたえた。
 (教育文化部・橋爪充)

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