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テーマ : 裾野市

母「人権尊重の経営を」 高橋まつりさん過労自殺8年

 広告大手電通の新入社員高橋まつりさん=当時(24)、裾野市出身=が、長時間労働やパワハラに苦しんだ末に自殺してから、25日で8年となり、母の幸美さん(60)が手記を公表した。今でも「悲しみが癒えることはない」と心情をつづり「最も大切なのは、働く全ての人の人権を尊重した経営を行うことだ」と訴えた。

神奈川・箱根へハイキングに出かけた際の高橋まつりさん(右)と母の幸美さん=2015年1月(幸美さん提供)
神奈川・箱根へハイキングに出かけた際の高橋まつりさん(右)と母の幸美さん=2015年1月(幸美さん提供)

 手記では、今年問題になった医師の過労死や、宝塚歌劇団の女性俳優の急死に言及。長時間労働が当たり前の医療現場、上下関係が厳しい歌劇団の文化から「当時の電通の社風が思い起こされる」と指摘し、人権侵害に確固たる姿勢で臨んでほしいと経営者らに呼びかけた。
 亡くならなければ、32歳となっていたはずの娘をしのび「人生も仕事もいっぱい頑張って、幸せに生きていたに違いない」と悔しい思いを吐露。自身はがん治療を乗り越え、体調が万全ではないが過労死防止活動を続けていると報告し「誰もが安心して働き、希望を持って人生を送れる国になるよう、まつりと共に力を尽くす」と誓った。
 まつりさんは2015年12月25日に自殺。16年9月に長時間労働が原因の労災と認定された。検察は17年7月、労働基準法違反罪で法人としての電通を略式起訴。東京簡裁が正式裁判を開き、罰金50万円の判決が確定した。事件は働き方改革推進のきっかけとなった。

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