あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 選挙しずおか

時論(4月14日)静岡、浜松新市長までの軌跡

 統一地方選前半戦の静岡市長選で元副知事難波喬司氏、浜松市長選で元総務省課長中野祐介氏が初当選した。喜びの表情が並んだ本紙を感慨深く眺めた。両氏の擁立劇の頓挫を取材した数年前を思い起こしながら。
 難波氏は4年前の静岡市長選でも出馬が取り沙汰されていた。県議2人が擁立を画策する動きを、難波氏本人の意向そっちのけで一部メディアが報じ、これをきっかけに取材が過熱した。
 告示まで2カ月のころに開かれた難波氏の出版祝賀会で、発起人代表の川勝平太知事が出馬を促すかのようなあいさつをし、事実上の決起集会と捉えられるなど、難波氏に決断を迫る空気は強まる一方だった。本紙は難波氏や政界関係者への取材から不出馬とみて抑制的に報じ、結果もその通りだったが、現場担当としては見込みが外れるのかと内心、気が気でなかったと告白せざるを得ない。
 中野氏は2年前の知事選で自民党県連が擁立をもくろんでいた。中野氏が当時副知事を務めていた北海道の鈴木直道知事に党幹部を通じて了承を取り付けるなど、環境整備が進んだ。中野氏が党幹部に会いに永田町に姿を現した際は、いよいよ決断したのかと思ったが、本人の答えは辞退だった。
 熱い期待の声を寄せられ、難波、中野両氏とも心が揺れたに違いない。だが、当時は支援態勢などを総合的に勘案して危ない橋を渡らなかったのだろう。
 今回は厚い布陣に支えられて目的を成就した両氏。官僚出身らしい堅実さが見込める半面、豪胆さは未知数だ。時にはトップとして、議会や県とやり合ってでも信念を貫く突破力を見たい。
 (東京支社編集部長 宮嶋尚顕)

いい茶0
▶ 追っかけ通知メールを受信する

選挙しずおかの記事一覧

他の追っかけを読む