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テーマ : 選挙しずおか

衆院選へ968人準備 「10増10減」実施後 初 野党 空白区擁立急ぐ

 2025年秋までに実施される次期衆院選の立候補予想者が昨年12月31日現在、968人に上ることが共同通信社の集計で分かった。女性は215人。小選挙区定数「10増10減」などを受けた新区割りによる初の衆院選で、計465議席を争う。289ある小選挙区を巡り自民、公明両党は布陣をほぼ決定。野党第1党の立憲民主党、第2党の日本維新の会は、候補者未定の空白区で擁立を急ぐ。立民を軸とした野党候補一本化の成否が焦点だが、難航は必至だ。

第50回 衆院選党派別立候補予想者数
第50回 衆院選党派別立候補予想者数
野党を巡る構図
野党を巡る構図
衆院選などを巡る自公関係の現状
衆院選などを巡る自公関係の現状
第50回 衆院選党派別立候補予想者数
野党を巡る構図
衆院選などを巡る自公関係の現状


 4年間の衆院議員任期は25年10月に満了。衆院選は、自公連立政権への審判と位置付けられる。選挙区の予想者は889人で、与党は自民275人、公明11人。野党は立民169人、維新152人、共産党129人、国民民主党26人、教育無償化を実現する会4人、れいわ新選組10人、社民党7人、みんなでつくる党0人、参政党89人。無所属は17人となった。
 自民は選挙区公認候補となる支部長に関し、福岡9区などを除き決定。同区などで保守分裂の可能性がある。公明は近畿6選挙区での維新との対決に注力する。自公連携が課題だが、東京都内の候補者調整で対立した経緯があり、不安を残す。
 現有95人の立民は選挙区と比例代表で計150議席の獲得を目指す。泉健太代表は未達成なら辞任する意向を表明した。選挙区で200人を擁立する計画だ。維新は現有41人から大幅に上積みし、立民から野党第1党を奪取する目標を掲げる。
 各党の擁立状況を見ると、与党、立民、維新の候補者3人が出そろう選挙区は94。与党に加え、立民、維新のどちらかが立てる選挙区は計130だった。立民は共産と63選挙区、国民と6選挙区で競合する。
 全国11の比例ブロックは176議席で、選挙区との重複立候補を除くと、79人の立候補が見込まれる。各党は衆院選直前に顔触れを固める。多くの候補者が比例にも重複立候補する見通しだ。
 女性候補者が最多だったのは09年衆院選で229人。全体では1374人が出馬した。

立共、63選挙区で競合 候補一本化 すれ違う思惑  立憲民主党は次期衆院選小選挙区で、他の野党との候補者一本化を目指す。想定するのは共産党や国民民主党など。共産は63選挙区、国民は6選挙区で競合する。接戦区を中心に共産による一方的な候補者取り下げを期待する立民に対し、共産は政策合意を基にした強固な共闘態勢の構築を訴え、一方的に降ろすことはできないとの立場。国民は党勢拡大へ独自路線を追求する。各党の思惑はすれ違うばかりだ。
 立民が選挙区に擁立したのは169人、共産は129人。共産票は一つの選挙区に1万~2万あるとされる。野党一本化は、政権批判票を奪い合う「消耗戦」(立民の野田佳彦元首相)を避け、与党候補と接戦に持ち込むのが狙い。ベテランは「共産票が生死を分ける可能性がある」と読む。
 だが立民内では、前回衆院選で、与党に「立憲共産党」と攻撃され「これまでの支持層が逃げた」(中堅)との苦い記憶が残る。最大の支援組織である連合は立民と共産の連携を否定している。
 立民は昨年12月、共産などと共に安全保障関連法の廃止を求めるグループ「市民連合」と政策合意したが、共産との関係はこうした間接的なレベルにとどめたい考えだ。
 共産も事情がある。一方的に候補者を降ろせば、運動量が減り、比例代表票に響く。小池晃書記局長は記者会見で「政党間でしっかり協議する。相互尊重、対等平等だ」とけん制。候補者一本化には互いの譲り合いが必要だとの認識を示した。
 立民は他の野党との連携も見通せない。国民の玉木雄一郎代表は「共産と連携する政党とは協力できない」と距離を置く。維新は野党第1党奪取を掲げ、立民との全面対決を明言している。

自公連携 消えぬ不安 両党間のパイプ役不在  自民、公明両党は次期衆院選での連携に不安を抱える。小選挙区定数「10増10減」を受けた東京の候補者調整で対立。公明は「自公の信頼関係は地に落ちた」(石井啓一幹事長)と批判し、東京を相互推薦の対象外とする対応を取った。最終的に両党党首が選挙協力復活に合意したが、しこりが完全に消えたとは言い難い。両党間のパイプ役不在が影響しているとの指摘もある。
 昨年9月の東京都立川市長選では公明が自主投票で臨み、自民推薦候補が敗北。同市の都議補選でも自民候補が落選した。武蔵野市長選は自民推薦候補が僅差で勝利したが、自民閣僚経験者は「関係修復で合意したとはいえ、公明はまだ様子見だ。自民の動きを見極めるということだろう」と不快感を隠さない。
 自公間の意思疎通が円滑に行われていないとの見方もある。公明や支持母体・創価学会と深い関係を持つ菅義偉前首相らは非主流派で、岸田文雄首相と距離を置く。学会関係者は「公明の意図が自民にきちんと伝わっていない」と懸念する。麻生太郎副総裁は公明の安全保障関連3文書への対応を巡り山口那津男代表らを「がん」と批判。公明内で不信を招いた。
 公明筋は、自民派閥の政治資金パーティー裏金事件が自民との協力に影響を及ぼしかねないと明かす。創価学会が「政治とカネ」問題がつきまとう候補者を嫌う傾向が強いと説明する。
 ただ自公ともぎくしゃくした状況が続くのは避けたいのが本音だ。公明は大阪と兵庫で日本維新の会と対決。埼玉14区は石井氏が出馬する重点区で、当選には自民の連携が欠かせない。自民も多くの選挙区で公明の支援がなければ苦戦必至だ。自民幹部は「ごたごたを抱えていては勝てない」と嘆息した。

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