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テーマ : 選挙しずおか

吉田町“トリプル”無投票 静岡県議に続き町長・町議選も

 18日告示の吉田町長選、町議選(定数13)は同日、いずれも立候補者の無投票当選が決まった。県選管によると、首長と議員選挙がいずれも無投票になったのは2004年の旧天竜市以来。識者や元町議からは首長の多選(7選)を念頭に、議会のチェック機能がこれまで以上に重要となる中で町議選も無投票の事態を憂える声が上がる。東伊豆町議選も連続で無投票となり、町民の政治への関心低下が懸念される。

吉田町長選、町議選の掲示板。いずれも定数を上回る候補者は現れなかった=18日午後5時過ぎ、吉田町住吉
吉田町長選、町議選の掲示板。いずれも定数を上回る候補者は現れなかった=18日午後5時過ぎ、吉田町住吉
統一地方選後半戦の立候補状況
統一地方選後半戦の立候補状況
吉田町長選、町議選の掲示板。いずれも定数を上回る候補者は現れなかった=18日午後5時過ぎ、吉田町住吉
統一地方選後半戦の立候補状況

チェック機能の担保憂慮、東伊豆町長選も2回連続
 同日午後5時過ぎ、7選を決めた現職田村典彦氏(79)が選挙事務所前に姿を見せると、支援者たちが拍手で出迎えた。無投票は2回連続。田村氏は「対抗馬が出なかったということは、私のまちづくり策以外はないのではないか」と自らの町政運営に自信を示した。
 議長経験のある元町議は「今の町政には目立った失政がなく争点もない。ただ選挙は4年間の評価を受ける場。候補者の訴えを聞くことができないのは有権者にとって不利益だ」と政治離れを懸念する。選挙がなかった分、町民との直接的な対話や議会活動の周知の重要度が増すと強調する。
 同町は3月31日告示の県議選でも選挙戦とならず、“トリプル無投票”。町民は短期間で3回もの投票機会を失うこととなった。自営業江原駿介さん(29)は「普段から政治に関心を持っているが、一番身近な町政にさえ自分の意思を示すことができなかったことは残念」と落胆を隠さない。
 一方、東伊豆町議選は2回連続の無投票(定数12、補選を除く)。吉田町と同様、出馬を探る新人の動きもあったが具体化しなかった。小山町議選も土壇場で無投票に。ある現職東伊豆町議は「さすがに2回連続で町民の審判を受けないと自分の活動が正しいのか不安になる」と吐露する。
 さらに心配されるのが政治への関心低下だ。先の県議選で同町は下田市・賀茂郡選挙区で唯一の投票率40%割れ。選挙離れと議員のなり手不足との関連も読み取れる。
 同町の高齢化率は47・28%(3月現在)で、人口減少や高齢者福祉など地域ならではの課題が少なくない。「無投票の最大の問題は政策論争がないこと」と話すのは、県内政治に詳しい静岡大の井柳美紀教授。その上で「そもそも議会の大きな役割は多様な声の集約」と指摘し、女性や若者、移住者ら多様な人材による議会構成の重要性を説く。
 (榛原支局・足立健太郎、下田支局・伊藤龍太)

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