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テーマ : 選挙しずおか

子どもの遊び場確保 恒久施設 期待する声【検証 静岡市予算案㊥】

 「屋根があって授乳室があってご飯を食べる場所もある。図書館も併設されていて子どもが大きくなっても通える」

子どもの遊び場として来年度暫定的に利用される旧静岡市立清水西河内小=1月下旬、同市清水区西里
子どもの遊び場として来年度暫定的に利用される旧静岡市立清水西河内小=1月下旬、同市清水区西里
24年度当初予算案の主な子育て支援事業
24年度当初予算案の主な子育て支援事業
子どもの遊び場として来年度暫定的に利用される旧静岡市立清水西河内小=1月下旬、同市清水区西里
24年度当初予算案の主な子育て支援事業

 2月上旬、焼津市が運営する焼津おもちゃ美術館。静岡市駿河区から0歳の子どもと一緒に訪れた30代の女性会社員は話した。堀内千穂館長は「焼津市民と同じくらい静岡市民の利用客がいる」と打ち明ける。
 雨天でも子どもが屋内で体を動かせる官民の施設の設置が県中部でも相次いでいる。ただ、静岡市中心部や近郊の一部の民間施設は料金が比較的高く、親子で気軽に使える“居場所”は意外と少ないのが実態だ。
 静岡市は2024年度、JR清水駅西口の駅前銀座商店街のアーケードと、廃校となった清水区の旧市立清水西河内小の2カ所に子どもの遊び場を設置する。シャッターが閉まったままの店舗も多い商店街や、子どもの声が聞こえなくなった過疎地の活性化も事業目的に挙げるが、葵区の別の30代の主婦は「狙いは地域活性化なのか子育て支援なのか…。清水区に偏っているのも分かりづらい」と話す。
 商店街には地元の実行委員会への「負担金」として2500万円、旧小学校では「委託費」として800万円を24年度当初予算案に計上。後者については市が25年度から民間委託による集客施設への衣替えを検討しているため「期間限定」となる。中心市街地で大型の子どもの遊び場を設置する場合、2千万円を上限に建設費などの3分の1を補助する。
 清水区の主婦は「市内では近年、大型の公共事業が目立つが子どもの居場所こそ恒久施設を期待したい」と訴える。
 静岡市は県平均や同じ政令市の浜松市と比べ、1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率が、長年低い傾向が続いている。子どもを産み育てやすい環境の整備は急務だ。
 市はこのほか、「発達が気になる子」への支援を厚くし、24年度は新規で私立こども園や保育所の職員配置の経費を助成する。カップルの新婚生活を支援する家賃補助制度も拡充し、家賃・共益費の補助対象期間を最大2カ月から6カ月に広げ、補助額も県内最高額(23年度時点)となる上限80万円を用意した。

 <メモ>静岡市企画課によると、市の合計特殊出生率は1990年代後半から県平均や同じ政令市の浜松市に比べ低い水準となっている。直近のデータ(2013~17年平均)では、浜松市が1.59、県平均が1.54に対し、静岡市は1.44にとどまる。同課は「出生率の低さは人口減少率の大きさの原因になっている」と分析する。
 県立大の前山亮吉教授(政治学)は「(23年4月の選挙で)市長が交代しても市が抱える長期課題に新予算が十分コミットしきれていない」と指摘した上で、「与野党相乗りの選挙となり、十分な政策論争を経なかったことも遠因。市長選そのものの在り方について有権者は立ち返る必要がある」とした。

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