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テーマ : 選挙しずおか

リニアで存在感 川勝知事、4期目折り返し 発信力に陰りも

 川勝平太知事(74)は5日、4期目の任期折り返しを迎えた。2021年6月の知事選でリニア中央新幹線問題を争点に掲げ、自民推薦候補を相手に得票率60%、95万票の圧勝で4選を果たしてから2年。この間、静岡県内は新型コロナウイルス禍に加え、災害や子どもを巡る事件が相次ぎ、県行政を束ねる知事は対応に追われた。いわゆる自身の「コシヒカリ発言」は、対立する県議会自民会派との間で政局を招き、県政史上初の知事辞職勧告決議に至った。リニア問題で強い存在感を発揮するが、新野球場整備など肝いり事業は足踏みし、発信力に陰りも見える。

4期目の折り返しを迎えた川勝平太知事。2022年度以降、定例会見では質疑がかみ合わず、紛糾する場面が増えた=6月下旬、県庁
4期目の折り返しを迎えた川勝平太知事。2022年度以降、定例会見では質疑がかみ合わず、紛糾する場面が増えた=6月下旬、県庁


初の辞職勧告決議/肝いり事業足踏み
 ◇湧水流出対策
 沿線自治体でつくる建設促進期成同盟会に静岡県が22年7月に入会すると、知事は矢継ぎ早に神奈川、山梨両県に出向いた。突如、一部区間の先行開業を主張し、現地の用地買収に関わる言動が内外で物議を醸した。トンネル工事に伴う湧水の県外流出対策としてJR東海が22年4月に提案した田代ダム取水抑制案を巡っては、議論の進展を求める地元市町長と足並みの乱れも見える。国はリニア開業後の東海道新幹線の停車数増加に向けた調査を今夏までにまとめる方針で、関係者の中には調査結果や田代ダム案の議論次第で県民の見方が変わるとみる向きもある。

 ◇市町連携
 4選直後に発生した熱海市伊豆山土石流災害では、発生原因とみられる違法盛り土に対する県と熱海市の連携や行政対応が問題視された。県の第三者委員会は「行政の失敗」と結論付け、県庁の組織風土の変革も求められている。県と市町の連携は、22年9月の台風15号でも災害派遣要請や情報収集について静岡市などと論議になった。相次ぐ豪雨災害対応を巡って知事の掲げた「防災先進県」の看板は揺らいでいる。

 ◇側近不在
 22年度当初予算案は、知事に近いとされた人物を含む非常勤特別職3人の報酬をカットした自民修正案が可決された。熱海市土石流災害などで陣頭指揮を執った元副知事難波喬司氏も静岡市長選に出馬し、川勝県政を支えた“腹心”が相次いで県庁を去った。ある県職員は「知事の難解な指示をさばく参謀がいなくなり、庁内の混乱が加速した」と嘆く。22年度以降の定例記者会見はリニア問題の質疑に費やされ、「知事の発信力が相対的に弱まっている」との評価もある。

 ◇次期知事選
 4月の県議選(定数68)は、法的拘束力がある知事不信任決議の可決ライン「51議席」が注目された。結果は改選前とほぼ同じ会派構成が維持され、自民をはじめとする「反川勝」勢力は数議席届かなかった。知事自身は辞職勧告決議以降は政務と距離を置き、リニア以外では得意の劇場型政治も鳴りを潜める。
 自民県連は2年後の知事選に向け、5月の大会で早々に独自候補擁立方針を出した。県議は「リニア発言が県全体への批判を招き、以前ほどの人気はない」と世論の変化を指摘する。
 知事本人は一貫してリニア問題解決に並々ならぬ意欲を見せる。次期選挙に臨むとなれば、多選批判や年齢への不安もつきまとう。「親川勝」勢力も含め、去就判断に注目が集まる。

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