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テーマ : 選挙しずおか

首相「0勝」回避へ躍起 裏金逆風、小池氏と共闘も 来月、衆院3補選

 岸田政権の命運が懸かった衆院3補欠選挙が4月16日に告示される。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で逆風下にある岸田文雄首相。全敗なら求心力低下を招き「岸田降ろし」が始まる可能性も否めない。独自候補を立てた島根1区に戦力を集め、「0勝」を回避しようと躍起だ。20日には自民の茂木敏充幹事長が初めて同区入りした。東京15区は小池百合子東京都知事との共闘を視野に勝機を探る。

衆院3補選を巡る自民党の状況
衆院3補選を巡る自民党の状況


 危機感
 「派閥の問題を巡って党に大変厳しい国民の目、批判が寄せられている。決して楽な選挙ではない」。茂木氏は、島根1区補選に擁立した元財務官僚の集会に駆け付け、危機感をあらわにした。
 同区は11期務めた細田博之前衆院議長の死去に伴う。保守王国とされてきたが、細田氏が所属した清和政策研究会(現安倍派)などの裏金事件で一変。候補予定者の知名度不足も相まって「情勢はかなり厳しい」(県連幹部)。党幹部が重点的に応援に入り、1勝をもぎ取る戦略で臨む。
 自民では「全敗すれば『選挙の顔を変えろ』という声が強まる」との見方がもっぱらだ。首相の衆院解散権が縛られ、9月の総裁再選戦略にも暗雲が漂うのは必至。周囲は「3補選全てに候補を出してバツを増やすのは避けたい」と漏らす。

 成功体験
 そんな首相の意を受ける形で、長崎3区補選は独自候補を擁立せず、不戦敗の方向で調整が進む。裏金事件で有罪となった谷川弥一前議員(自民離党)の辞職に伴う「マイナスからの出発」(選対関係者)。さらに衆院小選挙区定数「10増10減」で定数が4から3に減るため、主戦論が高まらなかった。
 東京15区は、公選法違反事件で議員辞職し、一審で有罪判決を受けた柿沢未途前議員(自民離党)の地元。自民は、1月の東京都八王子市長選で自民、公明両党が推薦し、小池氏の支援を受けた無所属候補が勝利した「成功体験の再現」(党幹部)を狙う。
 小池氏が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」と連携すれば、逆風を弱められるとの思惑からだ。都民ファ関係者は候補者を擁立できるかどうか「28日の都議会最終日には決めたい」と語る。ただ小池氏が辞任し、自ら15区から出馬するとの臆測も絶えない。

 天王山
 野党は裏金事件を争点に据え、議席奪取を目指す。立憲民主党の岡田克也幹事長も茂木氏と同様、20日に島根1区入りし、対決姿勢を鮮明にした。島根県雲南市で記者団に「国民に政治を変えないといけないとの思いが非常にある」と強調した。
 立民は3補選のうち元職を擁立した島根1区を「天王山」(岡田氏)と位置付ける。事実上の野党候補一本化による与野党対決となる公算が大きいためだ。
 一方、東京15区と長崎3区で独自候補を立てた日本維新の会は、野党候補の一本化を否定。野党側にも候補の競合による共倒れといった懸念材料が浮上する。

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