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テーマ : 選挙しずおか

社説(12月17日)浜松市議会の定数 住民参加で最適配分を

 来年1月1日の浜松市の行政区再編に伴い、次の市議選から区割りが変更される議会が、議員定数に関する議論を本格化させている。有権者を議論に巻き込み、最適な議席数を探ってほしい。
 現行の7行政区が、「中央」「浜名」「天竜」の3区に再編されることによって、2027年4月に予定される次回選挙も7から3選挙区で争われる。市議会は10月、定数について協議する検討会議を初めて公開で行い、外部有識者の意見を取り入れる議論の方法や26年3月までに具体的な定数を確定するスケジュールを示した。
 焦点は、現行46の定数の扱いと、各区への定数配分だ。行政コストを意識しつつ、多様な住民の声を吸い上げ、政策立案や行政の監視など緊張感ある運営が可能な体制が求められよう。
 政令市・浜松誕生の土台となった05年の12市町村合併は、行財政改革が大きな目的の一つだった。総勢216人いた市町村議は合併に伴い65人となり、段階的に政令市最少の46人にまで削減した。
 今回の行政区再編も、組織のスリム化、職員を削減する行革が起点にある。これまでの流れに沿えば、議員数も当然、削減を前提に議論をスタートするべきだ。
 一方、議員を減らせば、市民の多様な声が行政に届きにくくなる懸念がある。
 人口60万人超、都市機能が比較的充実している合併前の旧浜松市を中心とした中央区もあれば、天竜区のように人口は約2万6千人、少子高齢化や過疎化など深刻な地域課題を抱えた周辺の旧市町村部もある。各区一律に議席を削減したり、単純に人口比に応じた定数を配分したりするのは拙速である。
 地方議会を巡っては、4月の統一地方選では本県を含めて各地で無投票当選者が相次ぎ、議員のなり手不足が浮き彫りとなった。
 なり手が減っている背景には、少子高齢化などのほかにも、議会に対する住民の関心が低下していることや、仕事や育児の両立の難しさといった若者や女性など多様な人材が挑戦しにくい環境が根本にある。定数問題は、議員の質や機能を効率的に高める議会改革とセットで議論するべきだろう。
 定数の議論は予定されている外部有識者の活用だけでなく、主役である住民たちも議論に参加できる機会をぜひ設けてもらいたい。
 無駄なコストを省く行革は、持続可能な都市実現に欠かせないが、それ自体を目的化してはならない。浮いた財源を、市民が求めるサービス、地域の声がしっかりと届く政治のためにいかに有効に活用するかが問われている。

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