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テーマ : 選挙しずおか

大詰めの市町長選 富士宮市/清水町/小山町 統一地方選後半戦・終盤情勢

 統一地方選後半戦の富士宮市長選、清水町長選、小山町長選は23日の投開票に向け、いずれも一騎打ちの激戦が繰り広げられている。大詰めを迎えた3市町長選の終盤情勢を探った。
 富士宮市
 須藤氏/知名度と実績で優位 望月氏/高齢層への浸透苦戦
 4選を目指す現職の須藤秀忠氏(76)と元市議の新人望月則男氏(44)の一騎打ちとなった富士宮市長選は、知名度と実績を前面に出す須藤氏が優勢を保ったまま終盤戦に入った。望月氏は高齢層への浸透がいまひとつで、苦戦を強いられている。
 須藤氏は市政運営3期12年の実績を訴えつつ、自身が集大成と位置付ける4期目の政策展望を示す。遊説では富士山本宮浅間大社周辺の市街地活性化の未来像を具体的に説明し、市中心部の有権者らにアピール。浮動票獲得に向けて各地に出向き、「住んでよし、訪れてよし」など短い合言葉を連呼して、聴衆に印象付ける。
 後援会組織は全体的に高齢化が進んでいるものの、市議5期、県議3期で培った人脈をフル活用する。建設や運送業など各種団体とのつながりも生かす。推薦を取り付けた自民、公明両党の支援者から手堅く票を集め、連合静岡の後押しも受けて盤石の態勢になりつつある。
 望月氏は現市政を閉塞(へいそく)感が漂うとし、変革を掲げる。仮称・郷土史博物館建設の構想を白紙として財源を医療と子育てに充てるとの訴えが、30~50代を中心に徐々に浸透してきた。夜はSNSでライブ配信を企画するなど、若年層の取り込みを図る。
 出馬表明が告示の約1カ月前で遅れた分を巻き返そうと、知名度の向上に努める。序盤は地元の旧芝川町や市郊外をくまなく回って顔を売った。故臼井進旧芝川町長の地盤を引き継ぎ、現職多選に対する批判の受け皿になっていて、一定数の支持を得る。若手経済人の一部からも水面下で賛同の声が出ているが、組織的な支援には至っていない。
 前回選は無投票で市長選は8年ぶり。市議選とのダブル選だが舌戦は活発とは言えず、盛り上がりを欠く。投票率は8年前の55・48%から大きく下がると予想され、過去最低だった1968年の54・45%を下回るとの懸念もある。
 清水町
 山本氏/対話重視し追い上げ 関氏/全域を回りやや先行
 清水町長選は元町議で新人の山本文博氏(65)と、現職の関義弘氏(69)の一騎打ちで、激しい選挙戦を繰り広げる。関氏が自民党町支部と連合静岡の推薦を受け、組織力の厚みを生かして現時点でやや先行する。親族で前町長の山本博保氏の支援を受け、草の根運動を展開している山本文博氏が猛追する形で終盤を迎えた。
 関氏は自民党支持層の約65%を固め、投票率の高い70代以上に支持を広げる。公明票は拮抗(きっこう)。両氏とも地元を基礎票とするが、山本氏は堂庭で食い込みを許す。注目の一つは山本氏が主張する南小の移転先で大票田の徳倉だが、ここでも関氏がややリード。無党派層の票は伯仲している。
 関氏はいち早く出馬を表明した。後援会や建設業関係者のほか、4年前に後継指名した山本前町長の支援者の一部が応援に回り、全域で活動を展開。告示が近づくと、自ら徳倉地域に入った。財政健全化を進めた実績や、生涯にわたり健康で笑って暮らせる「笑街健幸(しょうがいけんこう)」のまちづくり推進をアピールする。後援会幹部は「全町的に回ってきた。手応えはあるが安穏とはしていられない」と追い込みをかける。
 山本氏は住民との対話を重視し、早くから全町的にローラー作戦を展開した。年明け以降、各地で「語る会」を開き、知名度向上に力を注いできた。山本前町長の助言も活動に反映している。現町政について町民との合意形成が少ないと批判し、町民主導のまちづくりを訴える。町長給与3割減額などの施策も主張している。陣営の幹部は「人事を尽くした。山本前町長や薬剤師としての人脈も票の上積みに期待できるはず」と話す。
 町を二分する大きな争点はなく、現町政への評価を問う選挙戦となった。町議選と同じ日程だが、町民からは両候補とも「動きが見えない」との声も出ている。投票率は前回選(50・07%)を下回るとの見方が強い。
 小山町
 池谷氏/草の根の活動で猛追 込山氏/組織力で一歩リード
 現職の池谷晴一氏(73)と元職の込山正秀氏(75)=自民推薦=の一騎打ちとなった小山町長選。4年前と同じ2人による選挙は、込山氏が一歩リードして終盤戦を迎えている。政策面は「事業の進行速度」「力を注ぐ分野」などの主張にそれぞれの色が見えるが、明確な争点はない。町民の関心も再開発、ふるさと納税、防災など広く分散。総じて町長としての実績と政治姿勢への評価が勝負の分かれ目となりそうだ。
 両氏とも前回選で論点となった都市計画税は課税を検討せず、ふるさと納税はルール内で返礼品の工夫を凝らす-との立場。健康状態が一時悪化し、回復した点も共通する。一方で立場や健康面に関する懸念や不安を払拭(ふっしょく)できるかどうかが、浮動票の動向に影響するとみられる。
 4年ぶりの返り咲きを狙う込山氏は、各地区の有力者がそろう後援会や幅広い支援組織による組織力で自民党支持者や各種業界団体などの票を着実に固めている。北郷、足柄、須走の各地区で優勢な状況とみられる。再開発や企業誘致を主とした「町にお金が集まる仕組みと雇用確保」の仕掛けづくり、ふるさと納税寄付金による貯金の確保、学校給食の無料化、こども園の整備など、現在の町の礎を築き上げた実績を再評価する声は大きい。子育て・教育環境の充実、駿河小山駅前の再開発なども訴え、票の積み増しを狙う。
 池谷氏は学校の同級生や後輩、サッカー仲間などを通じた草の根の活動で、主に成美、明倫両地区で支持を得ている。医師会と協力した新型コロナウイルス対応で円滑なワクチン接種や事業者支援、経済対策を実現したと力説。今後の対応の充実を期待して支持する町民は多い。芸術文化やスポーツの振興を独自色とし、共感する年齢の幅も広い。街頭演説では「(込山氏の)町政の私物化を許してはいけない。再びかじ取りを任せてはいけない」と声を張り、市街化区域などに多い込山町政に対する批判票の取り込みを図る。

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